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K 6271-1:2015  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 原理······························································································································· 2 

5 試験装置························································································································· 3 

6 試験装置の校正 ················································································································ 4 

7 試験片···························································································································· 4 

7.1 試験片の採取及び作製 ···································································································· 4 

7.2 試験片の数 ··················································································································· 5 

8 状態調節························································································································· 5 

9 試験条件························································································································· 5 

10 試験方法 ······················································································································· 5 

11 試験結果のまとめ方 ········································································································ 6 

12 試験報告書 ···················································································································· 7 

附属書A(参考)電極の種類の特徴及び使用上の注意事項 ··························································· 8 

附属書B(参考)体積抵抗率の測定条件及び測定値範囲の設定根拠 ················································ 9 

附属書C(規定)試験装置の校正 ··························································································· 11 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 13 

K 6271-1:2015  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本ゴム工業会(JRMA)及び

一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があ

り,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。これによって,JIS 

K 6271:2008は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS K 6271の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS K 6271-1 第1部:二重リング電極法 

JIS K 6271-2 第2部:平行端子電極法 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 6271-1:2015 

加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−電気抵抗率の求め方−

第1部:二重リング電極法 

Rubber, vulcanized or thermoplastic-Determination of resistivity- 

Part 1: Guarded-electrode system 

序文 

この規格は,2011年に第1版として発行されたISO 14309を基とし,技術的内容を変更して作成した日

本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの二重リング電極法による体積抵抗率及び表面抵抗率の求め方

について規定する。 

なお,この規格は,試験片の厚さが0.5 mm〜5.0 mmのときに,体積抵抗率が101〜1017 Ω・m(103〜1019 

Ω・cm)である材料に適用する。 

注記1 金属以外の材料(ゴム,樹脂など)では,電気抵抗率は,材料の内部を導通する電流と表面

を導通する電流とを考慮する必要があるので,材料内部に関わる電気抵抗率を体積抵抗率と

し,材料表面に関わる電気抵抗率を表面抵抗率として区別している。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 14309:2011,Rubber, vulcanized or thermoplastic−Determination of volume and/or surface 

resistivity(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

警告 この規格の利用者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とする。この規格は,

その使用に関して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利

用者は,各自の責任において安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7507 ノギス 

JIS K 6200 ゴム−用語 

K 6271-1:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 6250 ゴム−物理試験方法通則 

注記 対応国際規格:ISO 23529,Rubber−General procedures for preparing and conditioning test pieces 

for physical test methods(MOD) 

ISO 18899:2004,Rubber−Guide to the calibration of test equipment 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 6200によるほか,次による。 

3.1 

体積抵抗(volume resistance) 

二つの電極間の直流電圧を,電極に挟まれた試験片の内部を流れる電流で除した値。 

注記 体積抵抗の記号は,Rv(Ω)で表す。 

3.2 

表面抵抗(surface resistance) 

試験片の同一表面に設けた一対の電極間の直流電圧を,表面層を流れる電流で除した値。 

注記 表面抵抗の記号は,Rs(Ω)で表す。 

3.3 

体積抵抗率(volume resistivity) 

試験片の内部を流れる電流に対して平行方向の電位差の傾き(単位長さ当たりの電位差)を,その電流

密度で除した値。この数値は,各辺0.01 mの立方体の相対する2表面を電極とする二つの電極間の体積抵

抗に等しい。 

注記 体積抵抗率の記号は,ρv(Ω・m)で表す。 

3.4 

表面抵抗率(surface resistivity) 

試験片の表面層を流れる電流に対して平行方向の電位差の傾きを,表面の単位幅当たりの電流で除した

値。この数値は,各辺0.01 mの正方形の相対する辺を電極とする二つの電極間の表面抵抗に等しい。 

注記 表面抵抗率の記号は,ρs(Ω)で表す。 

3.5 

二重リング電極法(guarded-electrode system) 

試験片の片面に同心円の二重電極を形成するとともに,反対面にも電極を形成することによって,体積

抵抗率及び表面抵抗率を求める方法。 

原理 

規定に従って配置した電極を用いて,電圧を印加し,電流を流すことによって,試験片の体積抵抗及び

/又は表面抵抗を測定し,測定した抵抗値から体積抵抗率及び/又は表面抵抗率を計算する。 

電極構成は,主電極,リング電極及び対向電極の三つからなり,これらの電極は,それぞれ測定電極,

ガード電極及び電圧印加電極として機能する。ガード電極は,印加電圧以外の電圧,迷走電流などの影響

から電極を防護し,測定誤差を減少させる機能をもつ。また,ガード電極の働きによって測定電極に流れ

込む電流が明確になり,抵抗率の計算式が成り立つ[式(1)及び式(2)参照]。 

なお,体積抵抗測定時には,各電極は,次のように機能する。 

− 主電極:測定電極 

K 6271-1:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− リング電極:ガード電極 

− 対向電極:電圧印加電極 

表面抵抗測定時には,各電極は,次のように機能する。 

− 主電極:測定電極 

− リング電極:電圧印加電極 

− 対向電極:ガード電極 

特に,体積抵抗率を求めるときに,測定誤差を引き起こす迷走電流を遮断するために,リング電極を図

2のように配置する。 

なお,二重リング電極法と平行端子電極法とでは,測定値は,必ずしも一致しない。 

注記1 

電極を装備した測定ボックスの材質の絶縁抵抗及び測定ケーブルを含む測定系の絶縁抵抗

が,試験片の電気抵抗より十分大きいものを用いることによって,測定誤差はかなり減少す

る(より詳細な内容は,IEC 60093の5.3を参照)。 

注記2 附属書Bに体積抵抗率範囲の設定根拠及び測定条件の適正範囲を示す。 

試験装置 

試験装置は,直流電圧源,電圧計,電流計及び電極によって構成し,次による。 

5.1 直流電圧源 直流電圧源は,試験片に1 V〜1 000 Vの電圧を印加するためのものであり,直流安定化

電源を用いる。 

5.2 電圧計 電圧計は,測定精度が±2 %のものを用いる。 

5.3 電流計 電流計は,試験片を流れる電流を測定するためのものであり,測定する試験片の体積抵抗率

に応じて,0.01 pA〜100 mAの測定が可能な微小電流計を選択し用いる。また,電流計の測定精度は,±5 %

で測定できるものを用いる。 

5.4 電極 

電極は,次による。 

a) 二重リング電極の構成 二重リング電極は,試験片上で,主電極(円形),リング電極(輪形)及び対

向電極(円形)から構成する。 

b) 二重リング電極の形状及び寸法 標準二重リング電極の形状及び寸法を,図1に示す。この形状以外

での測定を行う場合には,次の要件を満足する電極形状で行う。 

1) 主電極の径(図1のD1)は,試験片厚さ(図1のh)の10倍以上とする。 

2) 主電極とリング電極との間の距離(図1のg)は,試験片厚さ(図1のh)の2倍以上とする。 

3) リング電極の幅は,試験片の厚さ(図1のh)以上とする。 

4) 対向電極は,リング電極の外径より大きい径とする。 

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D1 (50±0.5) mm 
D2 (70±0.5) mm 
D3 (80±0.5) mm 
D4 (83±2) mm 

1 主電極 

3 試験片 

2 リング電極 

4 対向電極 

図1−標準二重リング電極の形状及び名称 

c) 二重リング電極の種類 電極の種類は,試験片表面に密着固定することのできるステンレス鋼などの

金属製電極,銀ペーストなどの導電性塗料電極などを用いる。導電性塗料電極を用いる場合には,図

1に示す形状を試験片上に透湿性の導電性塗料で描き,乾燥して電極を形成する。 

注記 附属書Aに,電極の種類及び使用上の注意事項を示す。 

試験装置の校正 

試験装置の校正は,附属書Cによる。 

試験片 

7.1 

試験片の採取及び作製 

試験片の採取及び作製は,JIS K 6250の8.(試験片の採取・作製)による。ただし,標準二重リング電

極を用いる場合には,試験片は,厚さが0.5 mm〜5.0 mmの成形シートから,望ましくは,厚さが1.0 mm

又は2.0 mmの成形シートから,長さ及び幅をそれぞれ100 mmに切り取ったものを用いる。標準以外の電

極を用いる場合には,試験片は,リング電極の外径より大きな寸法で切り取ったものを用いる。いずれの

場合にも,試験片の厚さを,試験片中央部及び4か所の角部付近の計5か所について0.01 mmまではかり,

各測定点における値が(1.0±0.1)mm又は(2.0±0.2)mmであり,かつ,5か所の平均値の±10 %の範囲

内であることを確認する。この5か所の平均値を,試験片の厚さ(t)とする。 

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7.2 

試験片の数 

試験片の数は,3個とする。 

状態調節 

試験片の状態調節は,JIS K 6250の6.(試験室の標準条件)の湿度(50±10)%及び9.(試験片の状態

調節)による。さらに,体積抵抗率が106 Ω・m(108 Ω・cm)以上の高抵抗材料を測定する場合には,状態

調節を行っている間,試験片の両面を金属板で挟み,金属板どうしを短絡し続けることによって,試験片

に帯電した電荷を除去する。 

試験条件 

試験条件は,次による。 

a) 試験室の標準条件は,JIS K 6250の6.(試験室の標準条件)による。ただし,その他の条件で試験を

行う場合には,受渡当事者間の協定に従い,行ってもよい。 

b) 試料及び試験片の保管は,JIS K 6250の7.(試料及び試験片の保管)による。 

c) 試験片への標準印加電圧は,1 V,10 V,100 V,500 V及び1 000 Vの中から選択する。あらかじめ

5.2で規定する電圧計で印加電圧を確認しておく必要がある。印加電圧を選択するとき,試験片の電気

抵抗率を考慮し,用いる電流計の定格電流を超えることがないようにするとともに,試験片内部での

電力損失が0.1 Wを超えないように注意する。 

注記 附属書Bに,測定条件の適正範囲を示す。 

10 試験方法 

試験方法は,次による。 

a) 用いる主電極の外径[図1,式(1)及び式(2)のD11)]及びリング電極の内径[図1及び式(2)のD21)]を,

ノギスで0.05 mmまで測定する。 

なお,ノギスは,JIS B 7507に規定するもの,又はこれと同等以上の精度をもつものを用いる。 

b) 金属製電極を用いるときは,金属製電極を試験片の上下に密着させ,試験片と電極との間に隙間が生

じないように固定する。このとき,過度の圧力を加えると試験片が変形し,試験結果に影響を及ぼす

ので注意する。また,導電性塗料電極を用いるときは,電極の損傷,剝離などが生じないように注意

する。 

c) 直流電圧源及び電流計は,体積抵抗率[ρv1)]を求める場合には,図2に示すように接続し,表面抵抗

率[ρs1)]を求める場合には,図3に示すように接続する。 

d) 接続後,電圧を印加する前に主電極と電圧印加電極とを電気的に短絡し,試験片に帯電している電荷

を除去する。体積抵抗率[ρv1)]が106 Ω・m(108 Ω・cm)以上の高抵抗材料の試験片の場合には,状態

調節時にも,除電処理を行っているが,更にこの操作を行う。 

e) 試験片の除電を行った後,スイッチを切り替え(図2又は図3において切替えスイッチ6を接点7か

ら接点8へ切り替える。),両電極間に規定の電圧[V 1)]を印加し,電流の計測を開始し,電圧印加後

1分後に,主電極と印加電極との間を流れる電流[Iv1)又はIs1)]を測定し,記録する。 

f) 

測定を終了した試験片は,試験片内部に電荷が帯電しているため,繰り返し測定を行う場合,又は体

積抵抗率及び表面抵抗率を連続して求める場合には,測定終了試験片の除電処理を行う必要がある。

特に,試験片の体積抵抗率が106 Ω・m(108 Ω・cm)以上の高抵抗材料を測定する場合には,連続した

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測定は行わず,次の測定を行う前に,必ず状態調節時に行う除電処理を行わなければならない。 

注1) 式(1)及び式(2)の量記号を示す。 

主電極(測定電極) 

切替えスイッチ 

リング電極(ガード電極) 

除電用短絡側接点 

試験片 

電圧印加側接点 

対向電極(電圧印加電極) 

電流計 

直流電圧源 

10 接地 

図2−体積抵抗率 測定回路図 

主電極(測定電極) 

切替えスイッチ 

リング電極(電圧印加電極) 

除電用短絡側接点 

試験片 

電圧印加側接点 

対向電極(ガード電極) 

電流計 

直流電圧源 

10 接地 

図3−表面抵抗率 測定回路図 

11 試験結果のまとめ方 

体積抵抗率ρv及び表面抵抗率ρsは,3個の試験片について求め,次の式(1)及び式(2)によって得られた値

の中央値を,有効数字2桁で表す。 

a) 体積抵抗率 

v

2

1

v

2

1

v

4

π

4

π

I

t

V

D

R

t

D

ρ

×

×

×

×

×

×

×

 ························································· (1) 

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b) 表面抵抗率 

s

1

2

1

2

s

1

2

1

2

)

(

)

)

S

I

D

D

V

D

D

R

D

D

D

D

ρ

×

×

+

×

+

 ··············································· (2) 

ここに, 

ρv: 体積抵抗率(Ω・m) 

ρs: 表面抵抗率(Ω) 

Rv: 体積抵抗(Ω) 

Rs: 表面抵抗(Ω) 

D1: 主電極の外径(m) 

D2: リング電極の内径(m) 

t: 試験片の厚さ(m) 

V: 試験片に印加した電圧(V) 

Iv: 体積抵抗測定時の電圧印加1分後の電流(A) 

Is: 表面抵抗測定時の電圧印加1分後の電流(A) 

π: 円周率 

12 試験報告書 

試験報告書には,次の事項を記録しなければならない。 

a) 試験片の詳細 

1) 試料の詳細(製品,試験用配合物など) 

2) 試験片の採取方法及び作製方法(成形方法,加硫条件など) 

b) 試験方法 

1) この規格の番号 

2) 試験片の寸法 

c) 試験の詳細 

1) 試験室の温度及び湿度 

2) 各試験片を状態調節した時間,温度及び湿度 

3) 各試験片を標準条件以外で状態調節した場合,温度及び湿度 

4) 用いた電極の寸法及び材質 

5) 印加した電圧 

6) 用いた測定装置の概要 

7) この規格に規定する以外の手順 

d) 試験結果 

1) 各試験片の体積抵抗率及び/又は表面抵抗率 

2) 3個の試験片の体積抵抗率及び/又は表面抵抗率の中央値 

e) 試験年月日 

f) 

その他必要事項 

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附属書A 

(参考) 

電極の種類の特徴及び使用上の注意事項 

A.1 一般 

試験片に主電極,リング電極及び対向電極を形成して測定を行うが,形成する電極の種類及び試験片と

の密着状態によって,試験結果に影響を及ぼす場合があるので,電極の種類の選定及び取扱いには,注意

が必要である。 

A.2 電極の種類の特徴及び使用上の注意事項 

代表的な電極の種類について,その特徴及び使用上の注意事項を表A.1に示す。 

表A.1−電極の種類の特徴及び使用上の注意事項 

電極の種類 

特徴 

使用上の注意事項 

金属製電極 

電極形状に加工した金属製の電極としては,

ステンレス鋼などを用いる。主電極,リング電
極及び対向電極が固定され,電気的な遮蔽を施
した箱形タイプが一般的である。 

特別な前処理が不要なため,非常に簡便に測

定を行うことができる。 

市販品の中には,試験片の押さえ圧力を調整

できる圧力可変方式のジグをもつものもある。 

金属製電極の場合には,試験片の押さえ圧力

によって,電極と試験片との間の密着状態が変
化するため,表面平滑性の劣る試験片を用いる
場合には,密着性改良手段を講じる必要があ
る。 

表面密着性の改良手段として,ワセリンを塗

布する方法をとる場合があるが,ゴム材料への
影響には,十分な注意が必要である。また,硬
さの低い試験片を大きな圧力で押さえた場合
には,試験片の厚さが変化する場合及び試験片
の電気抵抗が変化する場合があるため,同様の
注意が必要である。 

導電性塗料電極 

樹脂バインダとともに溶剤中に分散した銀

粒子を用い,試験片表面に塗布した後これを乾
燥し,薄膜の銀電極を形成する方法である。 

試験片表面に若干の凹凸が存在する場合に

も,密着性のよい電極形成ができるという利点
があり,試験片電極間の接触不良による誤差を
排除できる。 

試験片表面に薄膜の電極を形成するため,試

験片の表面状態がブルーム又はブリードによ
って汚染されている場合には,高い密着性が得
られないので,表面の清浄化処理を要する。 
また,電極形成後のブルーム又はブリードによ
って,電極が剝離する場合があるため,電極形
成後の長時間放置は避ける。 

導電ゴム電極 

測定する試料が,比較的高抵抗領域であり,

かつ,樹脂のような高剛性の材料を対象とする
場合,試験片表面への密着性を向上させるため
に,金属製電極の表面に設置して使用するとき
がある。 

電極として用いる導電ゴムの体積抵抗率が

100 Ω・m〜101 Ω・m(102 Ω・cm〜103 Ω・cm)で
あるため,測定する試験片の体積抵抗率が十分
に高い場合[106 Ω・m(108 Ω・cm)以上]だけ
に使用することが望ましい。 

K 6271-1:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

体積抵抗率の測定条件及び測定値範囲の設定根拠 

B.1 

印加電圧の範囲 

印加電圧の上限は,一般的に入手可能な直流電圧源の上限である1 000 Vと設定し,印加電圧の下限は,

電流計の入力電圧降下を考慮して,1 Vと設定する。 

B.2 

設定した体積抵抗率範囲の根拠 

この規格で規定する体積抵抗率の範囲(101〜1017 Ω・m)の根拠を,次に示す。 

a) 体積抵抗率の下限 印加電圧を下限の1 Vに設定する場合,電力損失の上限を0.1 Wとしているため,

実測抵抗値としては,R=V2/W=12/0.1=10 Ωが下限となる。この規格で規定している電極形状によっ

て体積抵抗率に換算した場合,体積抵抗率として約101 Ω・mとなるため,これを下限とする。 

b) 体積抵抗率の上限 高抵抗材料を測定するときに用いる微小電流計の性能を考慮した場合,市販され

ている機器の計測能力上,0.01 pAという電流であれば,十分に測定可能である。一方,印加電圧につ

いては,上限を1 000 Vに設定しているため,1 000 V/0.01 pA=1017 Ωとなる。この数値から,a)と同

様に,この規格で規定している電極面積換算を行い,体積抵抗率の上限を1017 Ω・mとする。 

B.3 

測定条件及び体積抵抗率の範囲 

図B.1に,二重リング電極法における測定条件及び体積抵抗率の測定値の範囲を示す。この図中,横軸

に示した印加電圧の1 V〜1 000 V,縦軸の体積抵抗率1017 Ω・mの範囲内で,電流計の性能(0.01 pA〜100 

mA)及び電力損失の限界ライン(0.1 W)によって囲まれたハッチングのかかった部分が,規定している

測定条件及び測定可能な体積抵抗率を示す領域である。 

なお,体積抵抗値 Rv(Ω)から,体積抵抗率 ρv(Ω・m)への換算は,標準二重リング電極を用いた場合

として,次の式による換算を行っている。試験片の厚さが2.0 mm,主電極の外径が50.0 mmの場合には, 

v

v

v

2

v

1.

98

0.4

4

00

.

500

 2

π

4

π

R

R

R

t

d

=

×

×

=

×

×

=

ρ

と換算することができる。 

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10 

K 6271-1:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 X 印加電圧(V) 

Y 体積抵抗率(Ω・m) 

体積抵抗率の範囲 

この規格で規定する範囲 

印加電圧の範囲 

電流計 0.01 pA限界 

電力損失 0.1 W限界 

電流計 100 mA限界 

図B.1−二重リング電極法における体積抵抗率の測定条件及び測定値の範囲 

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11 

K 6271-1:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(規定) 

試験装置の校正 

C.1 点検 

試験装置の校正を行うときは,事前に,校正する項目の現状を,校正報告書又は証明書で記録された点

検結果によって確認する。校正が,納入時の状態の校正なのか,異常又は欠陥を修理した後の校正なのか

も記録する。 

試験装置が,規定した測定値を含め,要求試験精度を満たしていて,公式に校正する必要がない場合も,

そのことを確認する。要求測定値が変化しやすい傾向にある場合は,定期点検の必要性を詳細な校正方法

に記載する。 

C.2 試験装置の校正計画 

試験装置の校正及び校正証明書検定又は照合は,この規格の要求事項である。校正周期については,特

に規定されない場合,ISO 18899の指針を参考にして各規格使用者の自由裁量で決めてよい。 

表C.1には,校正計画を,規定する校正項目及び必要条件とともに記載する。校正項目及び測定値は,

試験装置本体,装置の一部又は補助的な装置にも関連している。 

それぞれの測定値についての校正方法は,ISO 18899,その他の発行文書又は詳細に記載された試験方法

を用いてもよい(ISO 18899よりも詳細に規定した校正方法が記載されている場合には,それを用いる。)。 

それぞれの項目の校正周期は,略号で示す。校正計画に用いた略号を次に示す。 

初期確認だけ行う項目 

ISO 18899による標準的な校正周期 

表C.1−校正計画 

校正項目 

必要条件 

ISO 18899:2004の

箇条番号 

校正周期a) 

注意事項 

電圧計(1 V〜1 000 V) ±2 % 

14.2 

S(1回/1年) − 

電流計(0.01 pA〜100 
mA) 

5 %以下 

14.1 

S(1回/1年) − 

主電極の外径(D1) 
 

試験片の厚さの10倍以上 

15.2 

主電極の直径及び
リング電極の内径
を0.05 mmまで測定
する。 

主電極及びリング電極
の隙間(g) 

試験片の厚さの2倍以上 

リング電極の幅 
 

試験片の厚さより大きくす
る。 

対向電極の直径(D4) 
 

リング電極の外径より大き
くする。 

注a) 括弧内の校正周期は,例である。 

12 

K 6271-1:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表C.1に記載以外の項目を次に示す。これらもISO 18899に従い校正する。 

a) 時計 

b) 状態調節及び試験温度を監視する温度計 

c) 状態調節及び試験湿度を監視する湿度計 

d) 試験片の寸法を測定する計測器 

参考文献 IEC 60093,Methods of test for volume resistivity and surface resistivity of solid electrical insulating 

materials 

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13 

K 6271-1:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS K 6271-1:2015 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−電気抵抗率の求め方−第1部:二
重リング電極法 

ISO 14309:2011,Rubber, vulcanized or thermoplastic−Determination of volume 
and/or surface resistivity 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範
囲 

加硫ゴム及び熱可
塑性ゴムの体積抵
抗率及び表面抵抗
率の求め方 

追加 

JISでは,試験片の厚さを規定。 
体積抵抗率は厚さの影響を受
ける。 

ISOへ提案する。 

3 用語及
び定義 

3.1体積抵抗 

3.1 

追加 

JIS K 6200を追加 

JISとして必要な追加である。 
ISO規格との技術的な差異はな
い。 

3.2表面抵抗 

3.2 

3.3体積抵抗率 

3.3 

3.4表面抵抗率 

3.4 

3.5二重リング電極
法 

3.5 

変更 

JISでは,用語の定義だけとし
た。電極構成に関する注記を原
理に移動した。 

ISO規格との技術的な差異はな
い。 

4 原理 

追加 

“二重リング電極法と平行端
子電極法とでは,測定値は,必
ずしも一致しない。”を追加 

ISOへ提案する。 

5 試験装
置 

5.4 b)二重リング電
極の形状及び寸法 

5.4.2 

追加 

電極形状の説明に図1の部位
を引用した。 

分かりやすくするための追加で,
ISO規格との技術的な差異はな
い。 

10 試験方
法 

10 

追加 

物理量の後に式(1)及び式(2)で
用いる量記号を追加した。 

分かりやすくするための追加で,
ISO規格との技術的な差異はな
い。 

2

K

 6

2

7

1

-1

2

0

1

5

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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14 

K 6271-1:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

11 試験結
果のまと
め方 

11 

追加 

JISでは,得られた中央値の丸
め方として,有効数字2桁で丸
めるように規定した。 
 

JISとして必要な追加で,ISO規
格との技術的な差異はない。 

12 試験報
告書 

12 

追加 

JISでは,

“試験片の寸法”,“用

いた測定装置の概要”及び“そ
の他必要事項”を追加した。 

ISO規格との技術的な差異はな
い。 

附属書C
(規定) 
試験装置
の校正 

表C.1 

Annex C 

表C.1 

追加 

校正周期の欄にISO 18899に
よるSに具体的な校正周期の
例を追加した。 

分かりやすくするための追加で,
ISO規格との技術的な差異はな
い。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 14309:2011,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  − 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD…………… 国際規格を修正している。 

2

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2

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。