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K 6259-2:2015  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 試験の概要 ······················································································································ 2 

4 オゾン濃度測定装置 ·········································································································· 2 

5 校正······························································································································· 2 

6 測定方法························································································································· 2 

6.1 測定方法A(紫外線吸収法)···························································································· 2 

6.2 測定方法B(計器法) ····································································································· 4 

6.3 測定方法C(湿式化学法)······························································································· 4 

7 結果の表記 ······················································································································ 4 

8 試験報告書 ······················································································································ 5 

附属書A(参考)オゾンの分圧と濃度との関係 ·········································································· 6 

附属書B(規定)測定方法B(計器法) ···················································································· 7 

附属書C(規定)測定方法C(湿式化学法) ············································································ 10 

附属書JA(規定)紫外線吸収測光装置の校正 ··········································································· 19 

附属書JB(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 22 

K 6259-2:2015  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本ゴム工業会(JRMA)及び

一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があ

り,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS K 6259の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS K 6259-1 第1部:静的オゾン劣化試験及び動的オゾン劣化試験 

JIS K 6259-2 第2部:オゾン濃度の求め方 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 6259-2:2015 

加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐オゾン性の求め方−

第2部:オゾン濃度の求め方 

Rubber, vulcanized or thermoplastic-Determination of ozone resistance- 

Part 2: Determination of the ozone concentration 

序文 

この規格は,2000年に第1版として発行されたISO 1431-3を基とし,技術的内容を変更して作成した

日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。 

適用範囲 

この規格は,試験槽内のオゾン濃度の求め方について規定する。 

なお,この規格は,紫外線吸収法(測定方法A),計器法(測定方法B)及び湿式化学法(測定方法C)

の3種類の方法に適用する。ただし,紫外線吸収法は,オゾン濃度の校正の基準となる方法であり,計器

法及び湿式化学法の校正に用いる。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 1431-3:2000,Rubber, vulcanized or thermoplastic−Resistance to ozone cracking−Part 3: 

Reference and alternative methods for determining the ozone concentration in laboratory test 

chambers(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

警告 この規格の利用者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とする。この規格は,

その使用に関して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利

用者は,各自の責任において安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 6259-1 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐オゾン性の求め方−第1部:静的オゾン劣化試験及び

動的オゾン劣化試験 

注記 対応国際規格:ISO 1431-1,Rubber, vulcanized or thermoplastic−Resistance to ozone cracking−

Part 1: Static and dynamic strain testing(MOD) 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬) 

JIS K 9019 りん酸水素二ナトリウム・12水(試薬) 

試験の概要 

オゾンを含んだ空気をオゾン劣化試験装置の試験槽から採取し,オゾン濃度は,紫外線吸収法,計器法

又は湿式化学法のいずれかによって測定する。計器法又は湿式化学法は,紫外線吸収法によって校正する。 

なお,オゾン濃度測定法の種類及び方法を表1に示す。 

表1−オゾン濃度測定法の種類及び方法 

測定法 

名称 

方法 

紫外線吸収法 
(測定方法A) 

− 

紫外線吸収測光装置を用いる方法 

計器法 
(測定方法B) 

測定方法B1 

電気化学的方法 

測定方法B2 

化学発光法 

湿式化学法 
(測定方法C) 

測定方法C1 

よう素法 

測定方法C2 

修正よう素法 

測定方法C3 

定電流電解法 

オゾン濃度測定装置 

オゾン濃度測定装置は,次のいずれかによる。 

なお,いずれの装置も紫外線吸収法によって校正しなければならない。 

a) 紫外線吸収測光装置 紫外線吸収測光装置は,6.1による。紫外線吸収測光装置は,JIS K 6259-1に規

定されているオゾン濃度が測定できなければならない。 

b) 電気化学的方法用装置 電気化学的方法用装置は,B.1による。 

c) 化学発光装置 化学発光装置は,B.2による。 

d) 湿式化学法用装置 湿式化学法用装置は,附属書Cによる。 

校正 

紫外線吸収測光装置の校正は,附属書JAによる。 

電気化学的方法用装置,化学発光装置及び湿式化学法用装置の校正には,附属書JAのJA.1.1.1 b) のオ

ゾン発生装置を用いる。オゾン発生装置に紫外線吸収オゾン濃度校正装置と校正する装置とを接続して,

校正を行う。 

測定方法 

6.1 

測定方法A(紫外線吸収法) 

紫外線吸収法は,次による。 

a) 原理 低圧水銀放電ランプによって253.7 nm付近の紫外線を発生させ,オゾン濃度を測定するオゾン

を含む空気が流れている紫外線吸収セルに照射する。吸収セルを透過した紫外線は,受光器で検出し,

電気信号に変換する。吸収セル内のオゾンを含む空気による紫外線の吸収がオゾン濃度として計算さ

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れる。 

ランベルト・べール(Lambert-Beer)の法則によると,紫外線吸収セルの紫外線透過率は,吸収セ

ルの光路長,253.7 nmにおけるオゾン吸収係数とオゾン濃度との間において,式(1)の関係がある。 

(

)

aCd

I

I

A

=

=

exp

0

 ···································································· (1) 

ここに, 

A: 紫外線透過率 

I: オゾンを含む空気の紫外線透過率 

I0: オゾンを含まない空気の紫外線透過率 

a: 253.7 nmにおけるオゾンによる紫外線の吸収係数(m2/μg) 

(a=1.44×10−5 m2/μg) 

C: 紫外線吸収セル内の空気の温度及び圧力における質量オゾン

濃度(μg/m3) 

d: 光路長(m) 

b) 装置 装置は,紫外線吸収セル,低圧水銀放電ランプ,補償用受光器,ゼロガスフィルタ,サンプリ

ングポンプ,空気流量調節器,流量計,温度指示計,圧力計などから構成される自動オゾン濃度測定

及び調節装置を用いる。その例を,図1に示す。 

c) 操作方法 操作方法は,次による。 

1) オゾン試験槽からオゾンを含む空気を,サンプリングポンプによってダストフィルタを通した後,

紫外線吸収セルを通過させる。 

2) ディジタル又は記録計上のオゾン濃度(ppb)を読み取る。 

注記 ppb単位におけるオゾン濃度は,101.3 kPaにおける体積比1.0×10−9が0 ℃では,2.141 

μg/m3,20 ℃では,1.995 μg/m3及び25 ℃では,1.962 μg/m3の関係がある。吸収セル内の

オゾンを含む空気の温度及び圧力におけるオゾン濃度(ppb)は,演算回路で自動的に計算

され,規定のオゾン濃度に調節されるとともに,ディジタル表示器又は記録計上に表示さ

れる。 

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1 オゾンガス入口 

11 測定用受光器 

2 ダストフィルタ 

12 補償用受光器 

3 ゼロガスフィルタ 

13 増幅器 

4 三方電磁弁 

14 演算回路 

5 排気 

15 ディジタル表示 

6 サンプリングポンプ 

16 記録調節計 

7 空気流量調節器 

17 電力調節回路 

8 流量計 

18 オゾン試験槽 

9 紫外線吸収セル 

19 オゾン発生器 

10 低圧水銀放電ランプ 

図1−紫外線吸収法によるオゾン濃度測定及び調節装置の例 

6.2 

測定方法B(計器法) 

測定方法B1(電気化学的方法)及び測定方法B2(化学発光法)は,附属書Bによる。これらに用いる

測定装置の用い方は,測定装置の製造業者の指示に従う。特に,初期設定,ゼロ調整及び保守には,注意

が必要である。 

6.3 

測定方法C(湿式化学法) 

測定方法C1(よう素法),測定方法C2(修正よう素法)及び測定方法C3(定電流電解法)は,附属書

Cによる。 

結果の表記 

一般的に,オゾン濃度(φO,3)の単位は,ppb又はpphmであるが,mg/m3又はmPaでも表すことができ

る。mg/m3で表したオゾン濃度は,圧力及び温度に依存する(附属書A参照)。 

単位変換の式は,次の式(2)及び式(3)による。 

O,3

3

10

78

.5

ϕ

×

×

×

=

T

P

C

 ······························································· (2) 

ここに, 

C: 大気圧で補正したオゾン濃度(mg/m3) 

φO,3: オゾン濃度(ppb) 

P: 大気圧(hPa) 

T: 絶対温度(K) 

オゾンの分圧で表すと, 

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O,3

2

Ο,3

10

ϕ

P

p

=

 ········································································· (3) 

ここに, p O,3: オゾンの分圧(mPa) 
 

P: 大気圧(hPa) 

φO,3: オゾン濃度(ppb) 

試験報告書 

試験報告書には,次の事項を記録する。 

a) この規格の番号(JIS K 6259-2) 

b) 使用した測定装置 

c) 測定間隔(連続で測定しない場合) 

d) オゾン濃度及び測定範囲(ppb,pphm,mg/m3又はmPaのいずれか),校正係数として必要であればオ

ゾンを含む空気の圧力 

e) 試験年月日 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

オゾンの分圧と濃度との関係 

加硫ゴム又は熱可塑性ゴムとオゾンとの反応速度(亀裂発生速度)は,ゴム表面とオゾン分子との接触

率の関数である。したがって,オゾンとの反応の割合又は亀裂の度合は,他の全ての要因を一定としたと

き,存在するオゾン分子の数の関数で表現できる。 

理想気体の状態方程式によれば,温度(T)で測定したとき,オゾンを含む空気の体積(V)中のオゾン

のモル数(nO,3)の関数としてオゾンの分圧(pO,3)を計算できる。その関係を,次の式(A.1)に示す。 

V

RT

n

p

O,3

O,3=

 ········································································· (A.1) 

ここに, 

pO,3: オゾンの分圧(mPa) 

nO,3: オゾンの物質量(mol) 

T: 温度(K) 

V: 試験槽の体積(m3) 

R: 気体定数(R=8.314 Pa・m3・mol−1・K−1) 

注記 温度(273 K)及び圧力(1 013 hPa)の標準条件下では,1 ppb=0.101 mPaである。 

同じ温度で,異なる大気圧では,オゾンを含む空気の同一オゾン含有(体積比)に対し,オゾンの分圧

とオゾンのモル数とが,大気圧と同じ比率で変化することは,実証できている。 

北米で行われた試験室間試験プログラムの結果は,一定のオゾン量(体積)が及ぼす亀裂の度合に対し

大気圧の影響が大きいことを示した。 

したがって,体積比によるオゾン濃度の表示は,大気圧に差があるときは,不適切である。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(規定) 

測定方法B(計器法) 

B.1 

測定方法B1(電気化学的方法) 

B.1.1 原理 

オゾン(O3)を含む空気を,よう化カリウム(KI)緩衝液を含み,かつ,白金陰極と銀陽極又は水銀陽

極(銀の方が望ましい。)とをもった電量セル中に規定流量で流す。 

オゾンは,式(B.1)のように,よう化カリウムと反応してよう素(I2)を遊離する。このよう素は,陰極

でイオン化され[式(B.2)],陽極で除かれて,よう化銀(I)(AgI)又は二よう化二水銀(I)(Hg2I2)を生

成する[式(B.3)]。各オゾン分子に対し2単位の電荷が生成され,生じた電流は,オゾン濃度に比例して

いる。セルの起電力は,逆起電力で相殺され,周囲の温度及び圧力に対して補正される。 

化学反応は,次のとおりである。 

2

2

2

3

I

O

KOH

2

O

H

KI

2

O

+

+

+

+

 ·············································· (B.1) 

陰極側 

+

I2

e2

I2

 ····························································· (B.2) 

陽極側 

2

2I

Hg

Hg

2

e2

I2

+

················································· (B.3) 

ファラデーの法則によって:

C

500

96

e2

I2

O3

×

したがって,オゾン1モルは,2×96 500クーロンに相当する。 

B.1.2 装置 

電気化学的方法による装置は,図B.1に示す一般的な電量セルを含む分析器を用いる。 

注記 標準的な分析器は,市販されている。 

陰極は,オゾンを含む空気が通過中に泡立たせることができる白金製のかごの形をしている。陽極は,

次のうちいずれかでなければならない。ただし,b) が望ましい。 

a) 水銀た(溜)め 

b) 銀製の渦巻状網 

オゾンによって溶液から遊離したよう素は,陰極でイオン化され,泡立ち作用で矢印の方向に引き起こ

された液体循環によって陽極に送られる。陽極では,不溶性よう化銀(I)又は二よう化二水銀(I)が,

空気とともに導入されたオゾンと正確に等価なイオン電荷の放出で形成される。 

セルは,図B.2に示す一般的な種類の分析回路に接続されていなければならない。 

直流安定化電源は,オゾンを含まない空気がセルを通過するときにセル端子に現れる標準電位を得るた

めに用いる。この標準電位は,陽極材料に依存する。 

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1 オゾンを含む空気 2 空気 3 陰極 

4 陽極 5 緩衝液 6 排出 

図B.1−電気化学的方法における分析器(電量セル) 

B.1.3 試薬 

よう化カリウム緩衝液は,次の方法で調製する。 

試薬特級の次の薬品をはかり取り,塩化物及び硫酸塩を含まない蒸留水1 Lに溶かす。 

よう化カリウム(KI) 

1.50 g 

りん酸水素二ナトリウム(Na2HPO4) 

1.50 g 

りん酸二水素カリウム(KH2PO4) 

1.40 g 

これは,pH 6.5〜pH 6.8の緩衝液となる。 

B.1.4 操作 

オゾン試験槽から,オゾンを含む空気を摂取し,装置を通過させ,電流計で電流をはかる。標準温度及

び大気圧における150 cm3/minのガス流量及び1 000 ppbのオゾンと仮定すれば,電流の大きさ(μA)は,

次の式(B.4)になる。 

54

.

21

60

400

22

10

500

96

2

150

10

000

1

6

9

=

×

×

×

×

×

×

=

I

 ·································· (B.4) 

ここに, 

I: 電流(μA) 

したがって,この関係からセルを校正し,図B.2に示す代表的な回路では,分析器のセル電流からオゾ

ン濃度を求めることができる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1 微小電流計 2 安定化電源 3 電量セル 

図B.2−電気化学的方法における単純化した分析回路の例 

B.2 

測定方法B2(化学発光法) 

化学発光装置では,オゾンを含む空気をエチレンの流れと接触するように反応セル中を通過させ,二つ

のガスは,約430 nmにおける光子の放射によって化学発光反応を生じる。このエネルギーの放射は,光

電子増倍管によって測定され,オゾン濃度に比例する電気出力に変換される。 

10 

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附属書C 
(規定) 

測定方法C(湿式化学法) 

C.1 一般事項 

C.1.1 中性よう化カリウム(KI)緩衝液中にオゾンを吸収させると,式(C.1)に示すように酸化によって

遊離よう素を生成する。 

2

2

2

3

I

O

KOH

2

O

H

KI

2

O

+

+

+

+

 ·············································· (C.1) 

よう化カリウム標準液にチオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)標準液を加えておくと,遊離よう素とチオ硫酸

ナトリウムとの間に式(C.2)の反応が生じる。 

2NaI

O

S

Na

O

S

Na

2

I

6

4

2

3

2

2

2

+

+

 ··············································· (C.2) 

したがって,オゾン1モルは,チオ硫酸ナトリウム2モルと等価である。 

C.1.2 湿式化学法では,次の三つの方法があり,いずれを用いてもよい。 

a) 測定方法C1(よう素法) オゾンは,一定の時間内で過剰なチオ硫酸ナトリウムを含むよう化カリウ

ム緩衝液中に吸収させ,次いで,よう素(I2)標準液で,過剰なチオ硫酸ナトリウムを電気計測的に

逆滴定する。 

b) 測定方法C2(修正よう素法) よう素法を修正した方法で,終点検出装置の電極間の電圧を監視する

のに記録計を用いる。チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)の薄い水溶液をよう化カリウム(KI)緩衝液に

加え,チオ硫酸ナトリウムが完全に消費されるまで継続する。この終点で電圧が急激に上昇する。記

録から,反応の完了までの経過時間を測定し,これによってオゾン濃度を計算する。 

c) 測定方法C3(定電流電解法) よう化カリウム(KI)及びチオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)を含むり

ん酸塩緩衝液に,オゾンを含まない空気を通したときのチオ硫酸ナトリウムの減少量とオゾンを含む

空気を通してオゾンを吸収したときのチオ硫酸ナトリウムの減少量との差を電気的に計測して,オゾ

ン濃度を算出する。 

C.2 測定方法C1(よう素法) 

C.2.1 試薬 

試薬の調製は,次による。 

a) よう化カリウム緩衝液 0.1 mol/Lのりん酸塩緩衝液を用いる。蒸留水1 L中に次の試薬を溶かして調

製する。 

りん酸水素二ナトリウム二水和物(Na2HPO4・2H2O) 

17.8 g 

又はりん酸水素二ナトリウムの異なる水和物に対応する量 

りん酸二水素カリウム(KH2PO4) 

13.6 g 

よう化カリウム(KI) 

30±2 g 

この溶液のpHは,6.8である。それを使用する前に,遊離よう素を調べる。この目的のために,溶

液を10 mLとり,2 mol/Lの塩酸(HCl)数滴を,でんぷん5 mLとともに加えたとき,色変化が生じ

ないことを確かめる。光に当たらないように,栓付きの褐色瓶に調製した溶液を保管する。 

b) 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準液 市販されている認証標準液を用いる。この標準液は,冷暗所に

保管する。この条件下では,この標準液は,6か月間安定している。 

11 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 0.002 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準液 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準液を蒸留水で希釈して,分

析する当日に新しく調製する。例えば,0.1 mol/L標準液の5 mLを全量ピペットで,250 mLの全量フ

ラスコに取り,新たに沸騰した蒸留水で希釈する。 

d) 0.1 mol/Lよう素標準液 市販されている認証標準液を用いる。この標準液は,冷暗所に保管する。こ

の条件下では,この標準液は,6か月間安定している。 

e) 0.002 mol/Lよう素標準液 c) と同じ方法でd) の標準液から調製する。 

C.2.2 装置 

装置は,次による。 

a) 試薬の調製器具 試薬の調製器具は,次による。 

1) 250 mL及び1 000 mL全量フラスコ 

2) 5 mL全量ピペット 

3) はかり 5 mgまで読み取れるもの。 

b) オゾン吸収装置 オゾン吸収装置は,次のものから構成し,オゾンを含む空気に接したとき,オゾン

を顕著に吸収しない材料で作製する。全てのガラス器具は,使用前に数時間オゾンにさらしておかな

ければならない。接続管は,できるだけ短かくし,少なくとも直径4 mmとする。取外しのできない

接続管を用いるときは,オゾンと接する面を最小限にしなければならない。 

1) 接続された二つの100 mLガラス製ガス吸収瓶 図C.1に示すもの。 

警告 焼結されたガラス製発泡器を備えた瓶は,測定に影響するので,使用してはならない。 

2) 流量計 精確さ1 %までのもの。 

3) 温度計 0.5 ℃間隔の目盛付きのもの。 

c) 滴定器具 滴定器具は,次による。 

1) 100 mL全量フラスコ 

2) 2 mL全量ピペット 

3) 2 mLビュレット 0.005 mLまで読み取れるもの。 

4) 250 mLビーカー 

5) 100 mLメスシリンダー 

d) 終点検出回路 終点検出回路は,次による(図C.2参照)。 

1) 白金電極2個 直径2.5 mm,長さ25 mmで,電気的な接続を備えたガラス管に取り付けられてい

るもの。2個別々に分けた電極の代わりに,短い距離に一緒に取り付けた一対の電極(ダブル電極)

を用いることができる。後者の場合には,各電極の直径が1 mmで長さが6 mmとする。各々の端

部は,直径1.5 mmのボールになっているものとする。ボールとボールとの間の距離は,0.7 mmと

する。より小さな表面を備えたダブル電極を用いる場合,用いる微小電流計の感度は,少なくとも

10倍増加できるものとする。 

2) 微小電流計 0〜20 μAの範囲のもの。 

3) 抵抗2個 2個の抵抗は,直列に配線され,1個は,1 000 Ωまで増加することができる可変抵抗で,

他の1個は,30 000 Ωの固定抵抗とする。 

4) 1.5 V電池 

background image

12 

K 6259-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

1 ガス入口 

2 ガス出口 

3 29/42又は34/45円すい形のすり合わせ 

4 ガラス支柱 5 直径3 mmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製3方コック 

図C.1−よう素法におけるオゾン吸収装置の例 

1 1.5 V  2 白金電極対  3 微小電流計 

図C.2−よう素法における電気計測上の終点検出回路 

13 

K 6259-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

C.2.3 操作方法 

操作方法は,次による。 

a) オゾンの吸収 直列に接続した二つの吸収瓶に空気及びオゾンの混合ガスを規定量通過させる。各吸

収瓶には,あらかじめよう化カリウム緩衝液約100 mL及び0.002 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準液を

正確に2.00 mL入れておく。ガス流量は,毎分1〜3 Lとする。また,ガスは,少なくとも10分間通

しておかなければならない。さらに,時間を±1秒まで記録する。 

b) 滴定 二つの吸収瓶からビーカーに溶液を移す。c) による終点指示方法によって,0.002 mol/Lよう素

標準液で過剰なチオ硫酸ナトリウムを滴定する。 

c) 終点指示 過剰なチオ硫酸ナトリウムを含んでいるよう化カリウム緩衝液中に浸せきした二つの電極

間は,低い電圧に維持する。微小電流が電流計を通して流れる。全てのチオ硫酸ナトリウムが消費さ

れたときに大きな電流が流れる。終点は,その最低点からの電流計の針の振れによって指示される。 

d) ブランク試験 a)〜c) までの操作と全く同一の方法で行う。ただし,吸収瓶には,通常の空気を通し

て,ブランク試験を行う。 

C.2.4 結果の表示 

オゾン濃度(φO,3)は,式(C.3)によって算出する。 

(

)

t

F

p

T

R

c

V

V

×

×

×

×

×

×

×

=

a

b

6

3,

O

10

5

ϕ

················································· (C.3) 

ここに, 

φO,3: オゾン濃度(ppb) 

Vb: ブランク試験で使用されたよう素標準液の体積(mL) 

Va: 実際の測定で使用されたよう素標準液の体積(mL) 

c: よう素標準液の濃度(mol/L) 

T: オゾンを含む空気の温度(K) 

p: 流量計入口の圧力(hPa) 

F: オゾンを含む空気流量(L/min) 

t: オゾンを含む空気が吸収瓶を通過した時間(min) 

R: 気体定数(8.314 Pa・m3・mol−1・K−1) 

C.3 測定方法C2(修正よう素法) 

C.3.1 試薬 

試薬の調製は,次による。 

a) よう化カリウム緩衝液 よう化カリウム緩衝液は,C.2.1 a) による。 

b) チオ硫酸ナトリウム標準液 チオ硫酸ナトリウム標準液は,C.2.1 b) で規定した0.1 mol/Lチオ硫酸ナ

トリウム標準液から,分析する日に新しく調製する。必要とするチオ硫酸ナトリウム標準液の濃度は,

オゾン濃度に依存し,次の濃度が適切である。 

250 ppbの場合:0.000 1 mol/L 

500 ppbの場合:0.000 2 mol/L 

1 000 ppbの場合:0.000 5 mol/L 

2 000 ppbの場合:0.001 mol/L 

希釈は,全量ピペット及び全量フラスコを用いて蒸留水で1段又は2段で行う。 

C.3.2 装置 

装置は,次による。 

a) 試薬の調製器具 試薬の調製器具は,C.2.2 a) による。 

background image

14 

K 6259-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) オゾン吸収装置 オゾン吸収装置は,オゾンを含む空気に接したとき,オゾンを顕著に吸収しない材

料で作製する。全てのガラス器具は,使用前に数時間オゾンにさらしておかなければならない。オゾ

ン吸収装置の例を図C.3に示す。この装置の例では,スターラ上に設置した吸収フラスコに一対の白

金電極又はダブル形の電極を挿入し,フルスケール50 mV又は100 mVの記録計に接続したものであ

る。記録から反応の完了までの経過時間を確認するストップウォッチも必要である。 

吸収フラスコの例を,図C.4に示す。この種のフラスコがない場合には,250 mLの三つ口フラスコ

を用いてもよい。 

1 バイパス管 2 熱電対 3 圧力計 4 流量計 5 ガス出口 6 ポンプ 

7 白金電極  8 記録計 9 スターラ  10 吸収フラスコ  11 ガス入口 

図C.3−修正よう素法におけるオゾン吸収装置の例 

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15 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

1 白金電極  2 ガス出口  3 ガス入口  4 スターラの回転子 

図C.4−修正よう素法におけるオゾンの吸収フラスコの例 

C.3.3 操作方法 

操作方法は,次による。 

a) バイパス側に,オゾンを含む空気を流し,流量を1 L/minに調節する。 

b) 吸収フラスコによう化カリウム(KI)緩衝液を約60 mL及びチオ硫酸ナトリウム標準液を全量ピペッ

トを用いて正確に5 mL入れる。よくかき混ぜ,約10 mm/minの記録紙速度で記録を始める。 

c) オゾンを含む空気の流れ方向を吸収フラスコ側に切り替え,その時点を,記録紙に印を付ける。 

なお,ストップウォッチを用い,後で印を付けてもよい。 

d) 流量を一定に保つために,必要に応じて,調節して,記録紙上の電圧が急激な上昇を示すまで,吸収

操作を継続する。ストップウォッチを使用するか,又は記録紙上の軌跡から経過時間を測定する。軌

跡から経過時間を測定する場合には,漸次増加する線と基線とが交差する点を終点とする。 

e) 試薬を冷暗所に保管した場合には,ブランク試験は必要ない。 

C.3.4 結果の表示 

オゾン濃度(φO,3)は,式(C.4)によって算出する。 

t

F

p

T

R

c

V

×

×

×

×

×

×

=

6

3,

O

10

5

ϕ

 ·························································· (C.4) 

ここに, 

φO,3: オゾン濃度(ppb) 

V: 使用されたチオ硫酸ナトリウム標準液の体積(mL) 

c: チオ硫酸ナトリウム標準液の濃度(mol/L) 

T: オゾンを含む空気の温度(K) 

F: オゾンを含む空気流量(L/min) 

t: 経過時間(min) 

16 

K 6259-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

p: 流量計入口の圧力(hPa) 

R: 気体定数(8.314 Pa・m3・mol−1・K−1) 

C.4 測定方法C3(定電流電解法) 

C.4.1 試薬 

試薬の調製は,次による。 

なお,水は,イオン交換水又は蒸留水を用いる。 

a) りん酸塩緩衝液 0.1 mol/Lりん酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)及び0.1 mol/Lりん酸二水素カリウム

(KH2PO4)の水溶液を体積比3:2の割合で混合し,この混合水溶液100 mLによう化カリウム10〜

20 gを溶解する。この溶液は,褐色瓶に入れ,冷暗所に保管する。 

なお,りん酸水素二ナトリウムは,JIS K 9019に規定のもの,りん酸二水素カリウムは,JIS K 9007

に規定のもの,及びよう化カリウムは,JIS K 8913に規定するものを用いる。 

b) 0.01 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準液 JIS K 8001に従って0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準液を調

製し1),これを全量フラスコを使用して10倍にうすめ,約0.01 mol/Lの濃度とする。 

なお,チオ硫酸ナトリウムは,JIS K 8637に規定するものを用いる。 

注1) 市販で認証標準液が入手できる。 

c) 吸収反応液 a) で調製したりん塩酸緩衝液300 mLに,b) で調製した0.01 mol/Lチオ硫酸ナトリウム

標準液2 mLを加える。 

C.4.2 装置 

装置は,次による。 

a) 試薬の調製器具 試薬の調製器具は,C.2.2 a) による。 

b) オゾン吸収装置 装置の例を,図C.5に示す。褐色ガラス製のものを用いることが望ましい。この中

に,直径3〜4 mmのガラスビーズを詰める。 

c) 終点検出回路 終点検出回路の例を,図C.6に示す。 

d) 定電流電解装置 回路の例を,図C.6に示す。 

e) その他の器具 

1) ストップウォッチ 

2) 流量計 湿式流量計(目盛5 mL)で,マノメータ及び温度計によって差圧及び水温がはかれるもの。 

3) ピペット 7 mL全量ピペット 

4) スターラ 

5) 褐色ビュレット 

C.4.3 操作方法 

操作方法は,次による。 

a) 下部コックを閉じ,吸収反応液7 mLをピペットで正確に採り,吸収装置の上部から入れる。 

b) 試験槽からのオゾンを含む空気の採取管(PTFE製チューブ)を図C.5に示す吸収装置の採取口に連

結し,排出口に流量計及び吸収ポンプを連結する。 

c) 吸収ポンプを作動させ,毎分2 Lの流量でオゾンを含む空気5 Lを吸収させ,吸収終了後に採取管を

外し,吸収ポンプを止める。 

d) 吸収装置の上部から約100 mLの水を流し込みながら下部コックを開いて,反応した吸収反応液とと

もに容量250 mLのビーカーに流す。 

17 

K 6259-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

e) 図C.6の白金電極をこのビーカーの吸収反応液中に浸し,検出装置の電極に約0.15 Vの電圧を印加し,

電流計の指示が零位であることを確認する。 

電解装置のスイッチを入れ,200 μAの電流を電極間に流して,吸収反応液のよう化カリウムの電気

分解を行う。このとき吸収反応液をスターラによって一定の速さでかき混ぜる。スターラによるかき

混ぜ状態は,試験中は一定にしておく2)。電気分解開始と同時にストップウォッチを作動する。 

注2) かき混ぜ状態の変化は,検出装置の感度を著しく変え,終点指示値が変化して滴定の結果を

狂わせる。 

f) 

検出装置の電流計の零位から0.3 μAを指示した瞬間にストップウォッチを停止し,その後,電解装置

のスイッチを切る。このときの電気分解に要した時間をt1(秒)とする。 

g) ビーカーの液を捨て水で十分にビーカーを洗浄してから,これに新たに吸収反応液7 mL(ブランク溶

液)を全量ピペットで正確に採って入れ,更に100 mLの水を加えて上記と同様な電気分解を行う。

このときの電気分解に要した時間をt0(秒)とする。 

C.4.4 結果の表示 

オゾン濃度(φO,3)は,式(C.5)によって算出する。 

(

)

(

)

p

T

t

t

×

×

×

×

×

×

×

×

=

760

5

273

500

96

10

760

2.

11

200

3

1

0

O,3

ϕ

(

)

1

0

760

9.

12

t

t

p

T

×

=

 ························································ (C.5) 

ここに, 

φO,3: オゾン濃度(ppb) 

T: 流量計水温(K) 

p: マノメータ差圧(mmHg) 

t1: 試験溶液の電気分解のために要した時間(s) 

t0: ブランク溶液の電気分解のために要した時間(s) 

background image

18 

K 6259-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

1 ガラスビーズ,直径3〜4 mm 

2 オゾンを含む空気の採取管(PTFE製チューブ),直径2〜3 mm 

3 コック,オリフィス直径3 mm  4 ガス採取口  5 ガス排出口 

図C.5−定電流電解法におけるオゾン吸収装置の例 

1 終点検出用電極 

2 電解用電極 

3 可変抵抗30 kΩ及び500 kΩ 

4 固定抵抗60 kΩ 

5 微小電流計 

6 可変抵抗2 kΩ 

7 電圧計 

8 微小電流計 

図C.6−定電流電解法における電気分解及び終点検出回路の例 

background image

19 

K 6259-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(規定) 

紫外線吸収測光装置の校正 

JA.1 

概要 

箇条4 a) に規定する紫外線吸収測光装置の校正について,規定する。 

JA.1.1 

紫外線吸収法オゾン濃度一次校正装置による校正 

JA.1.1.1 

紫外線吸収法オゾン濃度一次校正装置 

紫外線吸収法オゾン濃度一次校正装置は,次による。 

a) 紫外線吸収測光装置 紫外線吸収測光装置は,低圧水銀放電ランプ,単一又は二重吸収セル,検出・

信号処理装置などから構成する。吸収セル内でオゾンの発生を防ぐために,水銀ランプと吸収セルと

の間に石英ガラス窓又は同等のものを装着し,酸素を光分解してオゾンを発生する波長185 nmの光

を遮断し,かつ,253.7 nmで吸収セルを透過できるようにする。検出部は,253.7 nmで吸収セルの透

過率をはかれるもので,他の波長からの放射が0.5 %未満のものでなければならない。この条件を満

足するものに,光電面がセシウムテルルの光電管などがある。吸収セルを通過する光路の長さは,±

0.5 %の精確さをもち,セル及び導管は,オゾンの表面損失を最小限に抑えるように設計されたもので

なければならない。紫外線吸収測光装置の模式図を,図JA.1に示す。 

1 空気入口 2 フィルタ 3 紫外線吸収法オゾン濃度調節器 4 バイパス弁 

5 オゾン触媒変換器 6 低圧水銀放電ランプ 7 石英ガラス 

8 紫外線吸収セル 9 受光器 10 信号処理装置 11 流量計 12 空気流量調節器 

13 ポンプ 

図JA.1−紫外線吸収測光装置の模式図 

background image

20 

K 6259-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) オゾン発生装置 オゾン発生装置は,校正期間中,一定の流量範囲で,安定した濃度のオゾンを発生

できるものでなければならない。流量可変のオゾン発生装置を用いることのできない場合には,オゾ

ンを含まない空気でオゾンを適切に希釈できるように,出力マニホールドに混合チャンバを装備した

ものを用いる。校正用オゾン発生装置の模式図を,図JA.2に示す。 

1 オゾンを含まない空気 2 空気流量調節器 3 流量計 4 オゾン発生装置 

5 出力マニホールド 6 紫外線吸収測光装置の入力 7 校正される装置の入力 8 排気 

図JA.2−オゾン発生装置の模式図 

c) 空気流量調節器 校正中安定した空気流量を維持できるもの。 

d) 流量計 規定された空気流量が適切に測定できるもの。 

e) ポンプ(吸引形) 吸収セルから必要な空気を引くのに使用するもの。流量が毎分2 Lのものが望ま

しい。 

f) 

出力マニホールド オゾンに不活性なほうけい酸塩ガラス又はふっ素樹脂のような素材から作られた

もので,マニホールドの内外圧を等しい圧に保持できる十分な直径をもつもの。 

g) 温度指示計 精確さ±0.5 ℃のもの。 

h) 圧力指示計 精確さ±0.2 kPaのもの。 

JA.1.1.2 

紫外線吸収法オゾン濃度一次校正装置による校正手順 

校正手順は,次による。 

a) 紫外線吸収測光装置の出力値及び紫外線吸収法オゾン濃度一次校正装置の出力値を記録する。 

b) 一定のオゾン濃度になるようにオゾン発生装置を調整する。オゾン濃度は,式(JA.1)によって算出す

る。 

(

)

d

I

I

T

T

P

C

1

10

44

.1

/

ln

15

.

273

15

.

273

25

.

101

5

0

×

×

×

+

+

×

=

ref

 ··································· (JA.1) 

ここに, 

C: オゾン濃度(μg/m3) 

d: 光路長(m) 

I: オゾンを含む空気の透過率 

I0: オゾンを含まない空気の透過率 

P: 光学セル中の圧力(kPa) 

T: 光学セル中の温度(℃) 

Tref: 基準温度(℃)(0 ℃又は20 ℃が一般) 

c) b) に用いたオゾン濃度以外の少なくとも4水準のオゾン濃度についても同様に,オゾン発生装置を調

整し,オゾン濃度を式(JA.1)によって算出する。 

d) 規定の温度及び圧力の条件で,紫外線吸収測光装置の出力値を,対応するオゾン濃度計算値に対して

プロットする。 

e) 直線回帰解析法によってオゾン検量線を描き,適切な応答係数又は傾き(例えば,1 V当たりのオゾ

21 

K 6259-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ン濃度μg/m3),交点又は零点からのずれ,及びそれに関係した誤差を確認する。 

注記1 校正の精度を評価するために,この校正を繰り返すことは任意である。 

注記2 

紫外線吸収測光装置の吸収セルの内面との接触によってオゾンが若干損失するおそれが

ある。したがって,精確さを高めるには,このようなオゾンの損失を定量的にはかり,算

出した濃度を補正するようにするとよい。 

JA.1.1.3 

校正の周期 

オゾン濃度測定及び調節装置を連続運転中は,少なくとも週1回,装置の零点,零スパン,操作パラメ

ータなどを調べることが望ましい。さらに,3〜4か月ごとに多点校正を行うことが望ましい。 

JA.1.2 

紫外線吸収法オゾン濃度二次校正装置による校正 

二次校正装置による校正は,一次校正装置をオゾン劣化試験装置の設置場所で使用できないときに,一

次校正装置と同様に測定できるような簡易形の二次校正装置を用いて行ってもよい。 

二次校正装置による校正は,一次校正装置と同様の手順で行う。 

なお,二次校正装置は,一次校正装置に対する精確さが測定ごとに5 %に維持できるものとし,一次校

正装置による校正を,少なくとも年1回行う。 

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22 

K 6259-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JB 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS K 6259-2:2015 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐オゾン性の求め方−第2部:
オゾン濃度の求め方 

ISO 1431-3:2000,Rubber, vulcanized or thermoplastic−Resistance to ozone cracking
−Part 3: Reference and alternative methods for determining the ozone concentration in 
laboratory test chambers 

(I)JISの規定 

(II) 

国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範
囲 

− 

削除 

測定法の種類及び具体的な方
法を規定した部分を削除して
箇条3へ移動した。 

JISとしての様式の変更で,技術的
差異はない。 

3 試験の
概要 

追加 

適用範囲から測定法の種類及
び具体的な方法を規定した部
分を移動し,表形式で追加し
た。 

JISとしての様式の変更で,技術的
差異はない。 

5 校正 

ISO 13964を引用 

変更 

ISO 13964の引用ではなく,追
加した附属書JAによるとした。 

利便性を考慮した変更で,技術的差
異はない。 

6 測定方
法 

− 

追加 

ISO 13964を引用する代わりに
その内容である紫外線吸収法
の測定方法及び調節方法の詳
細を追加した。 

分かりやすくするための追加で,技
術的差異はない。 

附属書A
(参考) 

Annex A 
(normative) 

− 

変更 

附属書Aを,規定から参考に変
更した。 

内容的には,規定ではなく,参考情
報であると判断したため。次回の
ISO規格の見直し時に変更を提案す
る。 

附属書C
(規定) 

C.4.1 試薬 

C.4.1 

追加 

対応規格を追加した。 

分かりやすくするための追加で,技
術的差異はない。 

C.4.2 装置 

C.4.2 

− 

追加 

流量計の詳細及び褐色ビュレ
ットを追加した。 

分かりやすくするための追加で,技
術的差異はない。 

2

K

 6

2

5

9

-2

2

0

1

5

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

background image

23 

K 6259-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 

国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

附属書JA
(規定) 

紫外線吸収測光装置
の校正 

− 

− 

追加 

ISO 13964の規定内容に基づ
き,オゾン濃度の校正について
追加した。 

対応国際規格では,箇条5でISO 
13964を引用しているが,この規格
自体に規定のある方が利便性がよ
いため,旧規格を踏襲して,附属書
としてISO 13964の規定内容を追加
した。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 1431-3:2000,MOD 

関連する外国規格 

ISO 13964:1998,Air quality−Determination of ozone in ambient air−Ultraviolet photometric method 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
  − 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  − 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD…………… 国際規格を修正している。 

2

K

 6

2

5

9

-2

2

0

1

5

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。