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K 5633 : 2002  

(1) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本塗料

工業会 (JPMA) /財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべき

との申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これ

によってJIS K 5633 : 1995は,改正され,この規格に置き換えられる。 

また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標

準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。 

JIS K 5633 : 2002には,次に示す附属書がある。 

附属書(規定) りん酸の定量 

日本産業規格          JIS 

K 5633 : 2002 

エッチングプライマー 

Etching primer 

1. 適用範囲 この規格は,エッチングプライマーについて規定する。 

備考 エッチングプライマーは,金属塗装の際に,金属素地に対する塗装系の付着性を増加する目的

で用いるものと,鋼板の素地調整後,本格塗装を行うまでの間,一時的に防せい(錆)力を付

与する目的で用いるものとがあり,生地を清浄にした後,直ちに塗り付け,その後にさび止め

塗料,上塗り塗料などを塗り重ねて塗装系を構成する金属表面処理用の地肌塗り塗料である。

エッチングプライマーは,素地の金属と反応するためのりん酸,又はりん酸とクロム酸塩顔料

とを含み,ビニルブチラール樹脂などのアルコール溶液を主なビヒクルとする液状の塗料で,

成分を分けて主剤と添加剤との2液とし,使用の直前に混合するように作ったものである。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS G 3141 冷間圧延鋼板及び鋼帯 

JIS G 3303 ぶりき及びぶりき原板 

JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則 

JIS K 2235 石油ワックス 

JIS K 5500 塗料用語 

JIS K 5600-1-1 塗料一般試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法) 

JIS K 5600-1-2 塗料一般試験方法−第1部:通則−第2節:サンプリング 

JIS K 5600-1-3 塗料一般試験方法−第1部:通則−第3節:試験用試料の検分及び調整 

JIS K 5600-1-4 塗料一般試験方法−第1部:通則−第4節:試験用標準試験板 

JIS K 5600-1-5 塗料一般試験方法−第1部:通則−第5節:試験板の塗装(はけ塗り) 

JIS K 5600-1-6 塗料一般試験方法−第1部:通則−第6節:養生並びに試験の温度及び湿度 

JIS K 5600-1-8 塗料一般試験方法−第1部:通則−第8節:見本品 

JIS K 5600-2-4 塗料一般試験方法−第2部:塗料の性状・安定性−第4節:密度 

JIS K 5600-2-6 塗料一般試験方法−第2部:塗料の性状・安定性−第6節:ポットライフ 

JIS K 5600-3-2 塗料一般試験方法−第3部:塗膜の形成機能−第2節:表面乾燥性(バロチニ法) 

JIS K 5600-4-3 塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第3節:色の目視比較 

JIS K 5600-5-1 塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第1節:耐屈曲性(円筒形マンドレ

ル法) 

JIS K 5600-5-3 塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第3節:耐おもり落下性 

JIS K 5600-6-1 塗料一般試験方法−第6部:塗膜の化学的性質−第1節:耐液体性(一般的方法) 

K 5633 : 2002  

JIS K 5600-7-6 塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第6節:屋外暴露耐候性 

JIS K 5600-8-2 塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第2節:膨れの等級 

JIS K 5600-8-3 塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第3節:さびの等級 

JIS K 5600-8-5 塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第5節:はがれの等級 

JIS K 5601-1-1 塗料成分試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法) 

JIS K 5601-1-2 塗料成分試験方法−第1部:通則−第2節:加熱残分 

JIS K 5622 鉛丹さび止めペイント 

JIS K 5624 塩基性クロム酸鉛さび止めペイント 

JIS K 5627 ジンククロメートさび止めペイント 

JIS K 8102 エタノール (95) 試薬 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8230 過酸化水素(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8587 アミド硫酸(試薬) 

JIS K 8643 チモールブルー(試薬) 

JIS K 8839 2−プロパノール(試薬) 

JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬) 

JIS K 8903 4−メチル−2−ペンタノン(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS R 3202 フロート板ガラス及び磨き板ガラス 

JIS R 6253 耐水研磨紙 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 5500による。 

4. 種類 種類は,次による。 

a) 1種 金属生地に対する塗装系の付着性を増加する目的で,塗り付けた後,数日以内に次の塗料を塗

り重ねるように作ったもの。 

b) 2種 鋼板の素地調整後,本格塗装を行うまでの間,一時的に防せい力を付与する目的で,塗り付け

た後,数か月以内に次の塗料を塗り重ねるように作ったもの。 

5. 品質 品質は,7.によって試験したとき,表1による。 

background image

K 5633 : 2002  

表1 品質 

項目 

種類 

1種 

2種 

主剤 

添加剤 

混合物 

主剤 

添加剤 

混合物 

密度23℃ 

g/cm3 

0.85〜0.95 

0.90〜0.95 

− 

0.88〜1.20 

0.80〜1.00 

− 

容器の中での状態 

かき混ぜた
とき,堅い塊
がなくて一
様になるも
のとする。 

− 

− 

かき混ぜた
とき,堅い塊
がなくて一
様になるも
のとする。 

− 

− 

ポットライフ 

− 

− 

8時間で使用
できるもの
とする。 

− 

− 

8時間で使用
できるもの
とする。 

塗装作業性 

− 

− 

はけ塗りで
塗装作業に
支障があっ
てはならな
い。 

− 

− 

はけ塗りで
塗装作業に
支障があっ
てはならな
い。 

乾燥時間 

min 

(半硬化乾燥) 

− 

− 

30以下 

− 

− 

30以下 

塗膜の外観 

− 

− 

塗膜の外観
が正常であ
るものとす
る。 

− 

− 

塗膜の外観
が正常であ
るものとす
る。 

耐衝撃性 
(デュポン式) 

− 

− 

300mmの高
さから落と
したおもり
の衝撃によ
って,割れ・
はがれがあ
ってはなら
ない。 

− 

− 

300mmの高
さから落と
したおもり
の衝撃によ
って,割れ・
はがれがあ
ってはなら
ない。 

耐屈曲性 
(円筒形マンドレル法) 

− 

− 

直径6mmの
折り曲げに
耐えるもの
とする。 

− 

− 

120℃で1時
間加熱した
後,直径6mm
の折り曲げ
に耐えるも
のとする。 

耐塩水性 

− 

− 

− 

− 

− 

塩化ナトリ
ウム溶液に
浸したとき,
異常がない
ものとする。 

加熱残分 

17〜21 

− 

− 

 20以上 

− 

− 

溶剤不溶物 

8〜12 

− 

− 

9以上 

− 

− 

溶剤不
溶物中
の組成 

酸化亜鉛 

55以上 

− 

− 

− 

− 

− 

無水クロム酸 % 
(CrO3として) 

14以上 

− 

− 

− 

− 

− 

鉛の定性 

含まないこ
と。 

− 

− 

− 

− 

− 

background image

K 5633 : 2002  

項目 

種類 

1種 

2種 

主剤 

添加剤 

混合物 

主剤 

添加剤 

混合物 

りん酸 

(H3PO4として) 

− 

14〜18 

− 

− 

6以上 

− 

屋外暴露耐候性 

− 

− 

− 

− 

− 

3か月間の試
験で見本品
と比べて,さ
び・膨れ・は
がれの程度
が大きくな
いものとす
る。 

6. 見本品 見本品は,JIS K 5600-1-8に規定する区分によって,表2とする。 

表2 見本品 

試験項目 

観察項目 

見本品の区分 

形態 

設定方式 

品質水準 

塗膜の外観 

流れ・しわ・膨れ・
あな・白化 

塗料見本 

又は 

塗膜見本 

協定見本品 

又は 

社内見本品 

限度見本品 

屋外暴露耐候性 さび・膨れ・はがれ 塗料見本 協定見本品 

又は 

社内見本品 

限度見本品 

7. 試験方法 

7.1 

サンプリング サンプリングは,JIS K 5600-1-2による。 

7.2 

試験用試料の検分及び調整 試験用試料の検分及び調整は,JIS K 5600-1-3による。 

7.3 

試験の一般条件 試験の一般条件は,JIS K 5600-1-1,JIS K 5600-1-6及びJIS K 5601-1-1によるほ

か,次による。 

7.3.1 

試験の場所 

a) 養生及び試験を行う場所は,特に規定する以外は,JIS K 5600-1-6の4.1[標準条件(可能な場合常に

使用すべき条件)]で直射日光を受けず,養生及び試験に影響を与えるガス・蒸気・ほこりなどがなく,

通風の少ない室内とする。 

b) 拡散昼光は,JIS K 5600-4-3の5.2(自然昼光照明)とする。ただし,JIS K 5600-4-3の5.3(色観察ブ

ースの人工照明)に規定する色観察ブースを用いても差し支えない。 

7.3.2 

試験片の作製 

7.3.2.1 

試験板 試験板は,JIS K 5600-1-4による。ただし,特に規定する以外は,耐水研磨紙によって

調整した鋼板 (150×70×0.8mm) とする。 

備考 鋼板は,JIS G 3141に規定するSPCC-SBの鋼板とする。耐水研磨紙は,JIS R 6253に規定する

P280を用いる。 

7.3.2.2 

試料の混合と薄め方 

a) 主剤と添加剤とを質量比80 : 20で量り取り,よく混合する。 

b) 混合した試料は,容器にふたをして,1時間おく。 

K 5633 : 2002  

c) 混合した試料は,毎回よくかき混ぜた後,直ちに塗る。初めの混合から時間を測定して8時間を過ぎ

たものは,試験に用いてはならない。 

7.3.2.3 

試料の塗り方 試料の塗り方ははけ塗りとし,塗り付け量は1回ごとに塗り面積100cm2当たり,

1種では0.6g以下で流れない程度になるべく多く,2種では0.80±0.08gとし,いずれも試験片の長辺に平

行に塗り付ける。必要に応じて,製品に規定するシンナーを用いて,10%(質量)以下で薄めてもよい。 

備考 はけ塗りに用いるはけの種類及び塗り方は,JIS K 5600-1-5の附属書A(規定)とする。 

7.3.2.4 

乾燥方法 乾燥方法は,特に規定する以外は自然乾燥とする。 

なお,塗り終わってからの試験片の保持は,JIS K 5600-1-1の表1による。 

7.3.2.5 

試験片の周囲塗り包み 試験片の周囲塗り包みは,特に規定する以外は,試験片の両面に試料を

塗り,塗面が乾いた後,試料を用いて試験片の周囲を塗り包む。ガラス板は塗り包む必要はない。 

なお,液に浸して試験する試験片のほか,塗膜の長期耐久性を試験する試験片の場合も同様に処理する。 

7.4 

密度 密度の試験は,JIS K 5600-2-4による。 

7.5 

容器の中での状態 容器の中での状態の試験は,JIS K 5600-1-1の4.1.2a)(液状塗料の場合)による。 

7.6 

ポットライフ ポットライフの試験は,JIS K 5600-2-6によるほか、次による。 

7.6.1 

試験板・試料 試験板は,ぶりき板 (500×200×0.3mm) とし,試料は,7.3.2.2によって混合した

ものを用いる。 

備考 ぶりき板は,JIS G 3303に規定する電気めっきぶりきのSPTE5.6/5.6 T2とする。 

7.6.2 

操作 密閉できる金属製容器を用い,混合して8時間後の試料について,7.5,7.9及びJIS K 5600-1-1

の4.2(塗装作業性)によって塗装作業性を調べる。 

7.6.3 

判定 容器の中での状態が容易に一様になり,塗装作業性に支障がなく,塗膜の外観が正常である

ときは,“8時間使用できる。”とする。 

7.7 

塗装作業性 塗装作業性の試験は,JIS K 5600-1-1の4.2.3a)(1回塗りの場合)による。ただし,試

験板は,溶剤洗浄によって調整したぶりき板 (500×200×0.3mm) とし,7.3.2によって,試験板の片面に

規定の塗付け量になるように,はけ塗りする。判定は,はけ塗り作業に特に困難を感じないとき,“はけ塗

りで塗装作業に支障がない。”とする。 

7.8 

乾燥時間 乾燥時間の試験は,JIS K 5600-3-2による。ただし,試験板は,溶剤洗浄によって調整し

たガラス板 (200×100×2mm) を用い,すきま100μmのフィルムアプリケータ塗りとし,乾燥時間は30

分以下とする。判定は,表面乾燥状態の評価による。 

備考 ガラス板は,JIS R 3202のフロート板ガラス及び磨き板ガラスとする。 

7.9 

塗膜の外観 塗膜の外観の試験は,JIS K 5600-1-1の4.4(塗膜の外観)による。ただし,判定は,

塗ってから3時間おいて,試験片の塗膜の色とつやが,見本品に比べて差異が少なく,流れ・しわ・膨れ・

あな・白化の程度が見本品に比べて大きくないときは,“塗膜の外観が正常である。”とする。 

7.10 耐衝撃性 耐衝撃性の試験は,JIS K 5600-5-3の6.(デュポン式)による。試験片は,7.3.2によっ

て作製したものを用いる。ただし,試料を塗ってから3時間おいたものを試験片とする。判定は,300mm

の高さからおもりを落としたとき,試験板の衝撃的変形による塗膜の割れ・はがれを認めないとき,“衝撃

によって割れ・はがれができない。”とする。 

7.11 耐屈曲性 耐屈曲性の試験は,JIS K 5600-5-1によるほか,次による。 

7.11.1 試験片の作製 試験板は,研磨によって調整したぶりき板 (150×50×0.3mm) とする。 

background image

K 5633 : 2002  

7.11.2 操作 試験板2枚の片面に,7.3.2によって試料を1回塗って24時間おいた後,1種ではそのまま,

2種では120±2℃に保った恒温器の中で1時間加熱し,取り出してデシケータの中に1時間おいた後,試

験装置タイプIを用い,試験片を直径6mmのマンドレルの周りに沿って折り曲げて,塗膜の割れ及び素地

からのはがれを目視によって調べる。 

7.11.3 判定 判定は,試験片2枚について,塗膜に割れ・はがれを認めないときは,1種では,“直径6mm

の折り曲げに耐える。”とし,2種では,“120±2℃で1時間加熱した後,直径6mmの折り曲げに耐える。”

とする。 

7.12 耐塩水性 耐塩水性の試験は,JIS K 5600-6-1の7.[方法1(浸せき法)]によるほか,次による。 

7.12.1 試験板の作製 7.3.2によるほか,次による。 

a) 試験板に試料を7.3.2によって1回塗る。24時間後に2回目を塗り重ね,96時間おいたものを試験片

とする。 

b) 試験片の処理は,周辺を融解したパラフィン(1)に浸して引き上げ,塗り包んでおく。 

注(1) パラフィンは,JIS K 2235に規定する石油ワックスで,融点55〜65℃のものとする。 

7.12.2 操作 操作は,JIS K 5600-6-1の7.4[手順A(単一の液相を使用)]とし,次による。 

a) 容器を用意し,約150mmの深さまで塩化ナトリウム溶液 (30g/L) を入れて,温度を23±1℃に保つ。 

b) 塩化ナトリウム溶液の中に,試験片を糸でつるして約120mmの深さまで浸し,24時間保つ。 

c) 24時間浸せき後,試験片を取り出し流水で洗い,立てかけて一般状態で24時間乾燥させた後,目視

によって塗膜を調べる。 

備考 塩化ナトリウムは,JIS K 8150に規定するもの。 

7.12.3 判定 試験片2枚の塗膜にさび・割れ・はがれを認めないときは,“塩化ナトリウム溶液に浸した

とき,異常がない。”とする。 

7.13 加熱残分 加熱残分の試験は,JIS K 5601-1-2による。ただし,試験条件は加熱温度105±2℃,加

熱時間は1時間とする。 

7.14 溶剤不溶物 溶剤不溶物の試験は,JIS K 5622の附属書1(規定)による。ただし,溶剤の組成は,

表3による。 

表3 溶剤の組成 

組成 

溶剤割合(容積比) 

JIS K 8839に規定する2−プロパノール 

JIS K 8903に規定する4−メチル−2−ペンタノン 

7.15 溶剤不溶物中の組成 

7.15.1 酸化亜鉛の定量 溶剤不溶物中の酸化亜鉛の定量は,JIS K 5627の附属書1による。ただし,塗料

中にジンククロメート顔料が含まれていても,その亜鉛分は減じないものとする。 

7.15.2 無水クロム酸の定量 溶剤不溶物中の無水クロム酸の定量試験は,JIS K 5624の附属書(規定)に

よる。 

7.16 鉛の定性 鉛の定性は,次による。 

7.16.1 試薬 

a) 硝酸 (1+5) は,JIS K 8541に規定する硝酸を用いて調製する。 

b) 過酸化水素水 (3%) は,JIS K 8230に規定する過酸化水素を用いて調製する。 

c) よう化カリウム溶液 (100g/L) は,JIS K 8913に規定するよう化カリウムを用いて調製する。 

7.16.2 操作 

K 5633 : 2002  

a) 試料約20gを磁器るつぼに入れ,初めは弱く加熱して揮発分の大部分を蒸発させた後,強く加熱し試

料を灰化する。さらに,約600℃で強熱する。 

b) るつぼをデシケータの中で放冷した後,内容物約0.1gをビーカ100mlに取り,硝酸 (1+5) 約10ml

を加えて溶かす。過酸化水素水 (3%) を数滴加え,内容物が十分に溶けるまで水浴上で加熱した後,

過剰の過酸化物が揮発するまで静かに煮沸する。 

c) 室温まで冷却し,よう化カリウム溶液 (100g/L) を数滴加えてかき混ぜる。 

7.16.3 判定 7.16.2c)によって,黄色の板状結晶を生じないときは,“鉛を含まない。”とする。 

7.17 りん酸の定量 りん酸の定量は,この規格の附属書による。 

7.18 屋外暴露耐候性 屋外暴露耐候性の試験は,JIS K 5600-7-6によるほか,次による。 

7.18.1 試験片の作製 試験片は鋼板 (300×150×1mm) とし,この試験板の表面に7.3.2によって,試料

を1回塗りする。試験片の裏面と周辺とは,試料と同じ塗料を用い,1時間ごとに2回以上塗り包んでお

き,7〜14日おいたものを試験片とする。試験片の数は,試料と見本品について,それぞれ3枚とする。

ただし,試験片ごとの試験成績にばらつきが少ないことが分かっているときは,耐候試験片は1枚にして

差し支えない。 

7.18.2 試験開始時期及び期間 

a) 試験の開始は,毎年4月又は10月とする。 

b) 試験の期間は,3か月とする。 

7.18.3 評価方法 さびはJIS K 5600-8-3によって,膨れはJIS K 5600-8-2によって,はがれはJIS K 

5600-8-5によって評価し,同時にそれぞれ試料と見本品の耐候試験片を目視によって直接比較して調べる。 

7.18.4 評価項目 評価項目は,さび・膨れ・はがれとする。耐候試験片の表面に,外部からの物質の付着,

又は損きずによって,よごれ・変色・さびなどの欠陥が認められたときは,その状態について記録して参

考にする。 

7.18.5 判定 判定は,3か月間暴露の塗膜について,見本品と比べて,さび・膨れ・はがれの程度が大き

くないとき,表1の屋外暴露耐候性の規定に適合するものとする。 

7.19 屋外暴露耐候性試験の実施及び管理 試験の実施及び管理は,JIS K 5600-7-6の附属書1(規定)に

よる。ただし,塗料製造業者による試験の実施及び公共試験機関への試験の委託は,製品の過去における

成績と使用実績に基づいて適切な時期を選んで行うが,少なくとも5年間に1回以上,製品を公共の試験

機関に送って試験を委託する。 

なお,記録の保存期間は,5年間とする。 

8. 検査 検査は,7.によって試験し,表1に適合しなければならない。ただし,屋外暴露耐候性は,過

去に生産された製品についてJIS K 5600-7-6の附属書1(規定)によって品質の長期管理が行われ,その

屋外暴露耐候性試験の成績が適切であるときは,現在の製品が適合するものとする。 

9. 表示 エッチングプライマーの容器には,容易に消えない方法によって,次の事項を表示しなければ

ならない。 

a) 規格の名称 

b) 種類 

c) 正味質量又は正味容量 

d) 製造業者名又はその略号 

K 5633 : 2002  

e) 製造年月又はその略号 

f) 

製造番号又はロット番号 

g) 混合方法(別紙でもよい。) 

参考1. エッチングプライマーの取扱いなどについては,この規格に規定するほか,法令で規定され

ており,また,公団・団体などからも規則,注意事項などが定められている。 

2. この規格の品質の規定に示した項目の試験に必要な試験板の材質,寸法及び枚数並びに試験

日数は,参考表1による。また,この試験には,試料が約500ml必要である。 

background image

 
 

9

K

 5

6

3

3

 : 

2

0

0

2

  

参考表1 エッチングプライマー 

10 

K 5633 : 2002  

附属書(規定) りん酸の定量 

序文 この附属書は,溶剤不溶物中のりん酸の測定方法について規定する。 

1. 要旨 チモールブルーを指示薬として,水酸化ナトリウム溶液で中和滴定し,対応するりん酸の量を

試料中の百分率として求める。 

2. 試薬 試薬は,次による。 

2.1 

チモールブルー溶液 (0.1w/v%)   JIS K 8643に規定するチモールブルー0.1gを量り取り,JIS K 8102

に規定するエタノール(95)50mlに溶かし,水を加えて100mlとし,褐色瓶に入れて保存する。 

2.2 

0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液 (4 000g NaOH/L)  

a) 調製は,ポリエチレン瓶100mlに二酸化炭素を含まない水30mlを量り取る。JIS K 8576に規定する

水酸化ナトリウム35gを量り取り,ポリエチレン瓶を冷却しながら徐々に加えて溶かした後,密栓し

て4〜5日放置する。この上澄み液5mlを量り取り,二酸化炭素を含まない水を加え1Lとし,ソーダ

石灰管を取り付けて保存する。 

b) 標定は,JIS K 8587に規定するアミド硫酸を,過塩素酸マグネシウムを入れたデシケータの中で48

時間乾燥する。コニカルビーカ200mlにアミド硫酸0.24〜0.29gを正確に量り取り,水25mlを加えて

溶かす。JIS K 8842に規定するブロモチモールブルーを使い,2.1のチモールブルーの調整と同じ操作

によって作成した溶液 (0.1w/v%) 2滴を加えて,0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し,液の色が青

みがかった緑になったときを終点とする。標定は,使用の都度行う。 

c) ファクタは,次の式によって算出する。 

100

710

009

.0

A

V

m

F

×

×

=

ここに, 

F: 0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液のファクタ 

m: アミド硫酸の質量 (g)  

A: アミド硫酸の含量 (%)  

0.009 710: 0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液1mlに相当するアミド

硫酸の質量 (g)  

V: 滴定に要した0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液の量 

(ml)  

2.3 

塩化ナトリウム JIS K 8150に規定するもの。 

3. 装置 電位差滴定装置は,JIS K 0113に規定するもの。 

4. 操作 操作は,次による。 

a) コニカルビーカ100mlに,りん酸 (H3PO4) として約0.15gを含むように試料を正確に量り取り,二酸

化炭素を含まない水20mlを加える。 

b) 塩化ナトリウム約1gを加えて溶かす。 

c) 指示薬としてチモールブルー溶液 (0.1w/v%) 数滴を加え,0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し,

液の色が黄色から緑を経て青みを帯びたときを終点とする(1)。 

11 

K 5633 : 2002  

注(1) 終点の見にくい場合は,JIS K 0113に規定する電位差滴定法による。 

5. 計算 りん酸は,次の式によって算出する。 

100

900

004

.0

×

×

=m

V

A

ここに, 

A: りん酸(H3PO4として) (%)  

V: 滴定に要した0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液の量 

(ml)  

F: 0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液のファクタ 

0.004 900: 0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液1mlに相当するりん酸

の質量 (g)  

m: 試料の質量 (g)  

原案作成委員会組織 構成表 

氏名 

本委員会  分科会 

所属 

(委員長) 

増 子   

○ 

千葉工業大学 

(委員) 

濱 田 昌 良 

○ 

経済産業省製造産業局 

本 橋 健 司 

○ 

独立行政法人建築研究所 

橋 本   進 

○ 

財団法人日本規格協会 

冨 樫   晃 

○ 

社団法人日本自動車部品工業会 

近 藤 照 夫 

○ 

清水建設株式会社 

田 中   誠 

○ 

財団法人鉄道総合技術研究所 

用 害 比呂之 

○ 

日本道路公団 

帆 刈   均 

○ 

都市基盤整備公団 

高 橋 孝 治 

○ 

社団法人日本塗装工業会 

小 俣 一 夫 

○ 

日本建築仕上材工業会 

福 島   稔 

○ 

社団法人日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会 

池 田 順 一 

○ 

財団法人日本ウエザリングテストセンター 

橋 本 定 明 

○ 

財団法人日本塗料検査協会 

吉 田 豊 彦 

○ 

社団法人色材協会 

増 田 真 一 

○ 

○ 

アトミクス株式会社 

中 家 俊 和 

○ 

○ 

関西ペイント株式会社 

大 桑   洋 

○ 

○ 

神東塗料株式会社 

中 西   功 

○ 

○ 

スズカファイン株式会社 

岩 見   勉 

○ 

○ 

大日本塗料株式会社 

森   栄二郎 

○ 

○ 

中国塗料株式会社 

増 田 道 広 

○ 

○ 

株式会社トウペ 

曽 我 元 昭 

○ 

○ 

日本ペイント株式会社 

松 平 忠 志 

○ 

松平技術士事務所 

長 尾   進 

○ 

専門技術者 

山 崎 不二雄 

○ 

専門技術者 

内 田 幹 雄 

○ 

専門技術者 

清 水 福 士 

○ 

カナヱ塗料株式会社 

武 田 廉太郎 

○ 

関西ペイント株式会社 

泉 谷 昌 樹 

○ 

中央ペイント株式会社 

古 館   渉 

○ 

日本油脂BASFコーティングス株式会社 

田 宮 雅 也 

○ 

メーコー株式会社 

(事務局) 

豊 田 常 彦 

○ 

○ 

社団法人日本塗料工業会 

(文責 古舘 渉) 

12 

K 5633 : 2002  

日本工業標準調査会 標準部会 化学製品技術専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

宮 入 裕 夫 

東京医科歯科大学生体材料工学研究所 

大 久 泰 照 

昭和シェル石油株式会社中央研究所 

奥 泉 仁 一 

財団法人バイオインダストリー協会 

奥 山 通 夫 

社団法人日本ゴム協会 

笠 野 英 秋 

拓殖大学工学部機械システム工学科 

加 茂   徹 

独立行政法人産業技術総合研究所 

木 原 幸 弘 

社団法人日本化学工業協会 

桐 村 勝 也 

社団法人日本塗料工業会 

高 野 忠 夫 

財団法人化学技術戦略推進機構 

高 橋 信 弘 

東京農工大学農学部 

西 川 輝 彦 

石油連盟技術環境部 

西 本 右 子 

神奈川大学理学部 

古 川 哲 夫 

財団法人日本消費者協会 

愼     宏 

日本プラスチック工業連盟