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K 5600-4-3 : 1999 (ISO/FDIS 3668 : 1998) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

なお,この規格の制定後3か年を経た2002年4月をもって,この規格に対応するJIS K 5400(塗料一般

試験方法)は,廃止されこの規格に置き換わる予定であるので,なるべくこの規格によるとよい。 

JIS K 5600は,次に示す部編成になっている。 

JIS K 5600-1-1〜1-8 通則 

JIS K 5600-2-1〜2-7 塗料の性状・安定性 

JIS K 5600-3-1〜3-6 塗膜の形成機能 

JIS K 5600-4-1〜4-7 塗膜の視覚特性 

JIS K 5600-5-1〜5-11 塗膜の機械的性質 

JIS K 5600-6-1〜6-3 塗膜の化学的性質 

JIS K 5600-7-1〜7-8 塗膜の長期耐久性 

JIS K 5600-8-1〜8-6 塗膜劣化の評価 

JIS K 5600-4は塗料一般試験方法−塗膜の視覚特性に関する試験方法として,次の各節によって構成す

る。 

JIS K 5600-4-1 第4部−第1節:隠ぺい力(淡彩色塗料用) 

JIS K 5600-4-2 第4部−第2節:隠ぺい力(低明度塗料用) 

JIS K 5600-4-3 第4部−第3節:色の目視比較 

JIS K 5600-4-4 第4部−第4節:測色(原理) 

JIS K 5600-4-5 第4部−第5節:測色(測定) 

JIS K 5600-4-6 第4部−第6節:測色(色の計算) 

JIS K 5600-4-7 第4部−第7節:鏡面光沢度 

JIS K 5600-4-2,4-3,4-7には,それぞれ次に示す附属書がある。 

JIS K 5600-4-2 附属書A(規定) 必要な補足情報 

JIS K 5600-4-3 附属書A(規定) 必要な補足情報 

JIS K 5600-4-3 附属書B(規定) 色差等級表 

JIS K 5600-4-3 附属書C(参考) 条件等色対 (METAMERIC MATCHES) 

JIS K 5600-4-7 附属書A(規定) 必要な補足情報 

JIS K 5600-4-7 附属書B(参考) 参考文献 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 5600-4-3 : 1999 

(ISO/FDIS 3668 : 1998) 

塗料−般試験方法− 

第4部:塗膜の視覚特性− 

第3節:色の目視比較 

Testing methods for paints−Part 4 : Visual characteristics of film− 

Section 3 : Visual comparison of the colour of paints 

序文 この規格は,1998年に発行されたISO/FDIS 3668 Paints and Varnishes−Visual comparison of the colour 

of paintsを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にない事項である。 

技術的内容を改訂したこの第2版は,第1版 (ISO 3668 : 1976) を無効にしてそれに代わるものである。 

附属書A及びBはこの規格の規定であり,附属書Cは情報である。 

1. 適用範囲 この規格は,塗料及び関連製品の試料採取及び試験を取り扱う一連の規格の一つである。

この規格は塗膜及び関連製品の色を,自然昼光又は色観察ブース内の人工光源を用いて,標準品(参照標

準又は新たに調整した標準)と対比して目視比較するための方法を規定する。 

特別な効果を示す顔料を含む塗膜(例えば,メタリックエナメル)の方法については,照明及び受光の

すべての詳細についての事前の協定がない場合には適用されない。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発効年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構

成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その

最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 5600-1-2 塗料一般試験方法−第1部:通則−第2節:試料採取方法 

備考 ISO 1512 : 1991, Paints and varnishes−Sampling of products in liquid or paste formが,この規格

と一致している。 

JIS K 5600-1-3 塗料一般試験方法−第1部:通則−第3節:試験用試料の検分及び調整 

備考 ISO 1513 : 1992, Paints and varnishes−Examination and preparation of samples for testingが,こ

の規格と一致している。 

JIS K 5600-1-4 塗料一般試験方法−第1部:通則−第4節:試験用標準試験板 

備考 ISO 1514 : 1993, Paints and varnishes−Standard panels for testingが,この規格と一致している。 

JIS K 5600-1-6 塗料一般試験方法−第1部:通則−第6節:養生並びに試験の温度及び湿度 

備考 ISO 3270 : 1984, Paints and varnishes and their raw materials−Temperatures and humidities for 

K 5600-4-3 : 1999 (ISO/FDIS 3668 : 1998) 

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conditioning and testingが,この規格と一致している。 

JIS K 5600-1-7 塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚 

備考 ISO/DIS 2808 : 1996, Paints and varnishes−Determination of film thicknessが,この規格と同等

である。 

JIS K 5600-4-4 塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第4節:測色(原理) 

備考 ISO 7724-1 : 19841), Paints and varnishes−Colorimetry−Part 1. Principlesが,この規格と一致

している。 

JIS K 5600-4-5 塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第5節:測色(測定) 

備考 ISO 7724-2 : 19842), Paints and varnishes−Colorimetry−Part 2 : Colour measurementが,この規

格と一致している。 

JIS K 5600-4-6 塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第6節:測色(色差の計算) 

備考 ISO 7724-3 : 19843), Paints and varnishes−Colorimetry−Part 3 : Calculation of colour differences

が,この規格と一致している。 

JIS K 5600-8-1 塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第1節:一般的な原則と等級 

備考 ISO 4628-1 : 1982, Paints and varnishes−Evaluation of degradation of paint coatings−

Designation of intensity, quantity and size of common types of defect−Part 1 : General 

principles and rating schemesが,この規格と一致している。 

CIE Publication No.51 : 1981 A method for assessing the quality of daylight simulator for colorimetry.  

CIE Publication No.15.2 : 1986 Colorimetry.  

注1) 

出版の予定あり(ISO 7724-1 : 1984の改訂版)。 

2) 

出版の予定あり(ISO 7724-2 : 1984の改訂版)。 

3) 

出版の予定あり(ISO 7724-3 : 1984の改訂版)。 

3. 原理 比較する塗膜の色は,自然昼光又は人工昼光のいずれかを規定した照明条件及び観察条件の下

で観察する。人工昼光の場合は,色観察用のブースを用いる。色差成分(色相,彩度及び明度)を表現す

るための手順,すなわち,特別の等級法について記載する。また,メタメリズム(条件等色)の判定も考

慮している。 

4. 必要な補足情報 この規格で規定する試験方法は,いかなる特定の適用に対しても,補足情報によっ

て補完されなければならない。補足情報の項目は,附属書Aに示す。 

5. 色観察用照明 

5.1 

共通事項 日常の色合わせ用には,自然昼光又は人工昼光のどちらを用いてもよい。しかし,自然

昼光の質は変動しており,観察者の判断はすぐ近くにある物体の色によっても影響されがちなので,目的

が照合 (reference purpose) のためであるときは,色観察ブース内の厳密に管理した人工照明を用いなけれ

ばならない。観察者は中性色の衣服を身に付け,試験片よりも強い着色面が視界にあってはならない。 

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5.2 

自然昼光照明 拡散昼光を用いなければならない。この拡散昼光は,北半球においては,部分的に

曇りの北方の空からのものが望ましく,南半球においては,部分的に曇りの南方の空からのものが望まし

い。また,この拡散昼光には,強い着色体(赤煉瓦壁又は緑色の樹木のようなものすべて)からの反射が

あってはならない。照明は試験片が置かれる部分では均一であり,少なくとも2 000lx(ルクス)レベルの

照度でなければならない。直射日光は,避けなければならない。 

5.3 

色観察ブースの人工照明 色観察ブースは外部光を遮断する囲い及びその囲いの内部を照明する光

源で構成される。この光源は試験片上を照明し,その分光分布はCIE標準の光D65又はCIE標準の光A

の分光分布と近似である。 

異なった分光分布をもつ光源を使用する場合は受渡当事者間で協定しなければならない。 

人工昼光の質は,CIE出版物No.51に記載する方法で評価する。光源の分光分布は,分類BC (CIELAB) 又

はそれ以上とする。色観察位置の照度は1 000〜4 000lxの間とし,暗い色に対しては,この範囲の上限に

近い数値が望ましい。 

通常用いる色観察用のブースの内面は,明度L*が約45〜55のつやなし中性灰色 (neutral grey) 塗料(a*

及びb*の値は各1.0未満とする)で塗装する。しかしながら,主として明るい色及び白に近い色を比較す

る場合は,その試験する色とブース内面色間の明るさとを近似させるために,ブース内面は,明度L*が約

65又はそれ以上になるように塗装してもよい。主として暗い色を比較する場合は,ブース内面は明度L*

が約25のつやなし黒で塗装してもよい。 

備考 L*,a*及びb*は,CIELAB表色系。(JIS K 5600-4-4参照) 

色比較用としての適切な視野の環境を確保するために,ブース内部の机表面は,比較する試料の明度に

近似の中性灰色の板で覆わなければならない。 

試験片上に,反射による像が生じるのを避けるために,正しくは拡散用スクリーンを使用しなければな

らない。光源の分光分布特性は,このスクリーンの分光透過率を含まなければならない。 

光源の製造者は,その製品が,この規格に適合することが期待できる稼動時間数を,示さなければなら

ない。 

6. 観察者 観察者は,正常な色覚をもっていなければならないが,かなりの割合の人間は,その色覚に

欠陥があるので,注意して選ばなければならない。石原式色盲検査は顕著な異常を検出できるが,観察者

の適性を確認するためには,より鋭敏な試験,例えば,ファーンスワース100ヒューテスト4)又はより厳

密なアノマロスコープ5)測定が望ましい。親察者が視力矯正用に眼鏡を装着する場合は,この眼鏡は,可

視スペクトルの全域で均一な分光透過率をもっていなければならない。色覚は加齢と共に大きく変化する

ので,40歳を超える観察者は,メタメリズム(条件等色)の一連の色から最高の色合わせを選ぶように要

求される方法を用いて試験されることが望ましい。色の比較作業では,正常な色覚以外に色識別能力又は

経験が重要である。 

目の疲労の影響を避けるために,強い色の直後に,その補色やパステルカラー(淡彩色)を検査しては

ならない。明るい高彩度の色を比較する場合,迅速に比較判断できないときは,観察者は,再度の比較を

試みる前に,目をそらして,周辺視野の中性色の灰色を,数秒間見なければならない。 

観察者が連続して作業をするならば,目視判断の質は著しく低下する。したがって,色観察をしない数

分程度の休憩時間を頻繁に取らなければならない。 

注4) 

ファーンスワース100ヒューテストとは,色彩を使用する人の適否を調べたり,色覚異常者の弁

色能を測定することを目的とする色相配列検査法である。 

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5) 

アノマロスコープとは,色覚の精密検査装置でスペクトルの波長670nm(赤)及び545nm(緑)

の色光が,任意の割合で混合できる視野と,589nm(黄)の強さだけを変えうる単色視野とを

被検者をして等色させ,そのときの混色及び単色の目盛によって色覚の正常,異常を判定する

方法である。 

7. 試験板と参照標準 

7.1 

共通事項 試験板及び参照標準は,平らでなければならない。大きさは約150mm×100mmであるこ

とが望ましい。試験板用に適した材料は,JIS K 5600-1-4に規定したぶりき板,上塗りした繊維圧縮板,

硬質アルミニウム板,鋼板又はガラス板である。 

試験板及び参照標準の大きさ並びに観察距離は,目に対する角度が10°になるように選ばなければなら

ない。試験片と標準品の大きさが,より大きいときは,灰色のマスクを用いて観察者の視野が10°になる

ようにする。 

代表的な観察距離及びマスクの正方形の開口サイズを表1に示す。 

表1 観察距離及びマスクの開口サイズ 

観察距離 

(cm) 

開口サイズ 

(cm×cm) 

30 

5.4× 5.4 

50 

8.7× 8.7 

70 

 12.3× 12.3 

90 

 15.8× 15.8 

7.2 

参照標準 経時変色の少ない色標準だけを参照標準に使用しなければならない。可能な場合は,参

照標準は,試験片と同一の大きさとし,つや及び表面のテクスチャーは,極めて似ていなければならない。 

7.3 

調整及び塗装 JIS K 5600-1-3の規定に従って試験板を調整する。できればJIS K 5600-1-4に従う。

この試験板は,厳密に規定又は協定した方法によって塗装する。その理由は,塗装方法と膜厚は色に対し

て大きな影響を及ぼす可能性があるためである。 

標準塗料の色に対して比較する場合は,試験板は試験する塗料又はその塗装系で塗装しなければならな

い。同時に,同様の試験板について,標準の塗料又はその塗装系で塗装しなければならない。両方の塗装

方法及び塗装膜厚は,できるだけ同一になるようにしなければならない。 

備考 塗膜は,素地の影響を除くために,素地を完全に隠ぺいする厚さであることが望ましい。その

場合には,黒色及び白色のチャートを用いてチェックすることができる。 

7.4 

乾燥 塗装した各々の試験板を規定時間及び規定条件下で乾燥(又は焼付け)する。別に規定がな

い場合は,JIS K 5600-1-6に規定する標準状態で,少なくとも16時間,空気の流通がなく,かつ,直射日

光が当たらない場所で養生する。 

7.5 

塗膜の厚さ 乾燥塗膜の膜厚は,JIS K 5600-1-7に規定する手順の一つに従って,乾燥塗膜の膜厚を

マイクロメートル単位で測定する。 

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8. 色比較の手順 

8.1 

共通事項 

8.1.1 

標準化した色比較法では,正常な色覚をもった観察者と再現性のある照明条件及び観察条件が必要

である。ほとんどの塗料は,昼光下で色標準に合致することを要求されるが,昼光の分光成分は,かなり

大きく変動する。人工光源は,限定した期間内では,昼光に比べてより安定であるので,より再現性のあ

る色比較が可能である。したがって,色の評価用としては,人工昼光を使用するのが望ましい。 

8.1.2 

他に協定のない場合,この試験方法では,自然昼光,又は二種類の人工昼光源を使用する。日常の

比較において,自然平均昼光又は人工平均昼光を使用する。人工平均昼光照明はCIE標準光源D65による。

白熱照明はメタメリズムを点検するために追加の光源として使用する。白熱照明はCIE標準光源Aによる。 

疑義が生じた場合は,常にレフェリー比較 (referee comparison) を規定人工昼光下で行わなければならな

い。 

8.1.3 

色の構成成分である色相,彩度及び明度の差による目視評価は,附属書Bに示す等級表に従って

行うのが望ましい。受渡当事者間の協定によって,5未満の評価段階を含む単純化した等級表を用いても

よい。しかしながら,混乱を避けるために,附属書Bに示す個々の等級の意味を変えてはならない。 

8.2 

日常の方法 試験試料及び標準塗料を塗装した2枚の試験片又は試験片と参照標準を,自然昼光(5.2)

又は色観察ブース内の人工昼光(5.3)の下で観察する。 

2枚の試験片を,目から約500mmの距離の同一面に並べて接触させて置く。試験試料で塗装した塗膜の

色を,標準塗料から塗装した塗膜の色又は参照標準の塗膜の色と比較する。より正確に比較するために,

ときどき,試験片の左右を逆にした位置で色を比較する。 

塗膜間のつやの水準が広く異なっているのを,例外的に比較する場合は,その観察方法を受渡当事者間

で協定しなければならない。この場合,それらの試験片は,自然昼光又は色観察ブースのどちらで観察し

てもよい。 

次のa)又はb)の方法で観察をする。 

a) 自然昼光における観察 つやの差を最小にする角度,例えば,鏡面反射が目に達しないような垂直に

近い方向から試験片を観察する。色相,彩度及び明度の色差成分をその大きさを示すように観察する。

例えば,試料は,参照標準と比較して色相は,適度に黄が強く,彩度はきわめてわずかに少なく,明

度はわずかに暗い。又は,附属書Bに示す成分差の等級表を用いてDH : 3ye,DC : −1及びDL : −2

と記録する。 

備考 DH,DC及びDLは,表色値ではなく,色差の分類のために用いる値である。 

b) 色観察ブースにおける観察 0°の角度で照明して45°の角度で試験板を観察するか,又は,45°の

角度で照明して0°の角度で試験片を観察する。 

色差成分を総合した全色差を観察するか,又は,8.2.4a)に従って色差成分を観察する。 

8.3 

レフェリー (referee) の方法 疑義のある場合,受渡当事者間で代替の光源について同意が得られな

ければ,CIE標準の光D65に合致する人工昼光で,比較を行う。 

9. メタメリズムの判定 参照標準及び試験板の両者間の顔料組成が異なる場合は,それらはその標準光

源下では色が合致していても,他の光源下では色が合致していないこともある。この現象はメタメリズム

(附属書C参照)として知られている。 

メタメリズムの重要さは,その塗料の使用目的によって極めて大きく左右される。例えば,顔料組成が

標準品と試験塗料間で同じ場合であっても又は異なる場合であっても,その間に生じるメタメリズム程度

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が小さいならば,その使用状況にもよるが,容認されることもある。異なった照明条件においての厳密な

色合わせが必要な場合に,もしメタメリズムがあるときは,メタメリズムの許容の程度を受渡当事者間で

協定しなければならない。 

人工平均昼光照明 (D65) の下での色合わせ結果の等級評価に加えて,白熱電球 (A) の照明下でも,さ

らに比較を行い,その色合わせの等級が同様に保持されているかどうかを評価する。 

メタメリズムを数値で表す必要がある場合は,JIS K 5600-4-4及びJIS K 5600-4-5に従って,CIE標準の

光D65及びAの両方を用いて分光測定をして,JIS K 5600-4-6に従って色差を計算する。 

10. 試験報告 試験報告には,少なくとも次の事項を含んでいなければならない。 

a) 試験した製品を確認するのに必要な細目 

b) この規格の適用 

c) 附属書Aに引用されている補足情報の各事項 

d) 上記c)に引用されている情報を提供する国際又は国家規格,製品規格又は他の文書 

e) 色の比較に用いた照明の種類(自然昼光又は人工昼光),及び色観察ブースを用いた場合のブースの形

式 

f) 

使用した等級表の種類(附属書B又はその他の使用した表) 

g) 試験の結果。この結果には,気付いたすべてのメタメリズム及び標準品の種類(既製の標準又は新し

く調整した標準)を含める。 

h) 規定した試験手順からのすべての逸脱 

i) 

試験の年月日及び試験を行った人(一人又は一人以上)の名前 

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附属書A(規定) 必要な補足情報 

この附属書に列記した補足情報の項目は,この試験方法を実施できるようにするために適切に提供され

なければならない。必要な情報は,受渡当事者間で合意することが望ましく,国際規格又は国内規格又は

その他の文書から,その一部若しくは全部を導入することかできる。 

a) 材料,厚さ及び素地の表面調整 

b) 素地に対する試験塗料の塗装方法 

c) 試験前の塗膜の乾燥(又は焼付け)並びに養生(適用される場合)の時間及び条件 

d) JIS K 5600-1-7に従って測定した乾燥塗膜の膜厚(マイクロメータ単位)及びその測定方法 

塗装系の種類(単層又は多層)及び素地(又は下地)の隠ぺい程度(完全又は不完全) 

e) 目視評価に対して関係がある場合は,試験塗膜と参照標準品間のつやの差 

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附属書B(規定) 色差等級表 

表B.1 目視評価のための色差成分の等級表 

等級 

差の程度 

知覚できない差 

非常にわずか,すなわち,知覚できる限

度の差 

わずか,しかし明らかに知覚できる差 

適度の差 

かなりな差 

非常に大きな差 

JIS K 5600-8-1 一般的な基準と等級から引用。 

色差成分: 

色相差 

名称:DH(色相差) 

等級:0〜5;より強い黄色 (ye,y),より強い緑 (gr,g),より強い赤 (re,r),より強い青 (bl,b) 

例:DH:5ye(試験片の色相差は5,そしてより強い黄色。) 

彩度差 

名称:DC(彩度差) 

等級:0〜5;より大きい (+) 又はより小さい (−) 

例:DC : −2(試験片の彩度差は2,そして彩度はより小さい。) 

明度差 

名称:DL(明度差) 

等級:0〜5;より明るい (+) 又はより暗い (−) 

例:DL:−2(試験片の明度差は2,そしてより暗い。) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C(参考) 条件等色対 (METAMERIC MATCHES)  

1) 二つの塗膜が,同一の分光反射曲線をもつ場合,いかなる光源下でもその光源の分光特性に関係な

く,それらの塗膜は,目視で合致するであろう。これは“スペクトラルマッチ (spectral match)”と

いわれている。 

2) 二つの塗膜が,ある光源下では目視で色が合致しているが,異なった分光特性をもつ他の光源下で

は合致しない場合がある。この場合,二つの塗膜は,異なった分光反射曲線をもっているのである。

このような合致は“メタメリック”といわれている。 

3) 色の合致した二つの塗料の顔料組成が,異なる場合,何らかのメタメリズムは必ず発生する。ある

場合には,例え同じ顔料が使用されていても,小程度のメタメリズムがあることもある。 

4) この規格に適合する人工光源下でなされた色合致が,メタメリックであるのか,又はそうでないの

かを決定する最も簡単な方法は,追加の光源としてのタングステン電球光下で,再度それを検査す

ることであり,そして同一顔料が使用されているということが分かっているのでない限り,この検

査をすることを推奨する。タングステン電球下でも色合致が継続するならば,メタメリックではな

さそうである。その両塗膜の色が,もはや合致していないが,その非合致の程度が小さく明白でな

い程度ならば,最もメタメリックの生じやすい自然光源又は連続スペクトルをもった最も一般的に

使用する人工光源下でも,その非合致の程度が更に拡大することはなさそうである。しかし,これ

はナトリウムや水銀電球のような線放射スペクトルのある光源に対する事例ではない。 

5) この規格に適合する人工光源下でなされたメタメリックマッチは,ある種の昼光条件(例えば,青

空の北空光又は低位置の太陽からの光)下では色の合致が継続しないかもしれないが,しかし最も

頻繁に存在する昼光状態下では,色の合致が継続するであろう。メタメリズムのいかなる事例にお

いても,正常な観察者の色覚の差は,二つの塗膜の色が合致であるか又は非合致であるかに関する

判断に影響を及ぼすことがあり得る。 

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K 5600-4-3 : 1999 (ISO/FDIS 3668 : 1998) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

塗料分野の国際整合化調査研究委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

増 子   昇 

千葉工業大学 

(委員) 

西 出 徹 雄 

通商産業省基礎産業局 

大 嶋 清 治 

工業技術院標準部 

鴨志田 直 史 

工業技術院標準部 

橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会 

本 橋 健 司 

建設省建築研究所 

坪 田   実 

職業能力開発大学校 

武 井   昇 

職業能力開発大学校 

鈴 木 雅 洋 

東京都立産業技術研究所 

吉 田 豊 彦 

社団法人色材協会 

高 橋 孝 治 

社団法人日本塗装工業会 

青 木   茂 

サンコウ電子研究所 

福 島   稔 

社団法人日本鋼橋塗装専門会 

近 藤 照 夫 

清水建設株式会社 

(主査) 

岩 井   弘 

財団法人日本検査協会 

堀 江 建 治 

関西ペイント株式会社 

山 田 俊 幸 

神東塗料株式会社 

中 東 昭 憲 

神東塗料株式会社 

住 田 光 正 

大日本塗料株式会社 

上 寺 孝 明 

中国塗料株式会社 

松 井 繁 武 

株式会社トウペ 

更 谷   浩 

日本特殊塗料株式会社 

曽 我 元 昭 

日本ペイント株式会社 

大 澤   晃 

日本油脂株式会社 

高 橋   真 

ロックペイント株式会社 

長 尾   進 

専門技術者 

鈴 木 幹 夫 

専門技術者 

松 平 忠 志 

松平技術士事務所 

伊 藤 義 人 

専門技術者 

小 島   務 

財団法人日本検査協会 

常 田 和 義 

大日本塗料株式会社 

筒 井 晃 一 

日本ペイント株式会社 

(事務局) 

内 田 幹 雄 

社団法人日本塗料工業会 

山 崎 不二雄 

社団法人日本塗料工業会 

文責 伊藤 義人