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K 2536-5:2003  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,石油連盟(PAJ)から,工業標準原案を具して

日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した

日本工業規格である。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS K 2536の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS K 2536-1 石油製品−成分試験方法 第1部:蛍光指示薬吸着法 

JIS K 2536-2 石油製品−成分試験方法 第2部:ガスクロマトグラフによる全成分の求め方 

JIS K 2536-3 石油製品−成分試験方法 第3部:ガスクロマトグラフによる芳香族の求め方 

JIS K 2536-4 石油製品−成分試験方法 第4部:タンデム式ガスクロマトグラフによる成分の求め方 

JIS K 2536-5 石油製品−成分試験方法 第5部:ガスクロマトグラフによる酸素化合物の求め方 

JIS K 2536-6 石油製品−成分試験方法 第6部:酸素検出式ガスクロマトグラフによる酸素分・酸素

化合物の求め方 

K 2536-5:2003  

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 2 

3. 試験の原理 ····················································································································· 3 

4. 試験器及び器具 ··············································································································· 3 

4.1 ガスクロマトグラフ ······································································································· 3 

4.2 データ処理装置 ············································································································· 3 

4.3 マイクロシリンジ ·········································································································· 3 

5. 試薬 ······························································································································ 3 

6. 試験の準備 ····················································································································· 3 

6.1 ガスクロマトグラフの調整······························································································· 4 

6.2 検量線の作成 ················································································································ 4 

7. 試料の採取方法及び調製方法 ····························································································· 5 

8. 試験の手順 ····················································································································· 5 

9. 計算方法 ························································································································ 7 

10. 精度 ···························································································································· 7 

11. 試験結果の報告·············································································································· 7 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 2536-5:2003 

石油製品−成分試験方法 

第5部:ガスクロマトグラフによる 

酸素化合物の求め方 

Liquid petroleum products−Testing method of components 

Part 5: Determination of oxygenate compounds by gas chromatography 

1. 適用範囲 この規格は,JIS K 2254に規定する常圧法蒸留試験方法による終点が250 ℃以下の石油製

品中のメタノール及びメチルターシャリーブチルエーテル(以下,MTBEという。)をガスクロマトグラ

フ法で定量する方法について規定する。 

備考1. この規格による定量範囲はメタノール0.1〜3 %,MTBE0.1〜10容量%である。 

2. メタノール以外のアルコールも,同様の方法で測定してもよいが,測定する場合は,その成

分の分離確認及び同定をして測定する。 

3. この規格によって得られたメタノール及びMTBEの試験結果に疑義が生じた場合には,JIS K 

2536-2によって試験しなければならない。 

4. この規格は,危険な試薬,操作及び試験器を用いることがあるが,安全な使用法をすべてに

わたって規定しているわけではないので,この試験方法の使用者は,試験に先立って,適切

な安全上及び健康上の禁止事項を決めておかなければならない。 

参考 この規格群には,参考表1に示す試験方法がある。 

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K 2536-5:2003  

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参考表 1 試験方法の種類 

規格群 

種類 

試験する成分 

適用区分 

単位 

適用油種例 

K 2536-1 

蛍光指示薬吸着法 飽和分 

オレフィン分 
芳香族分 

終点が315 ℃以下(1)の
石油製品に適用する。 

容量% 

自動車ガソリン 
航空ガソリン 
航空タービン燃料油 
灯油 

K 2536-2 

ガスクロマトグラ
フによる全成分の
求め方 

全成分 
ベンゼン 
トルエン 
キシレン 
メタノール 
エタノール 
MTBE 
ETBE 
灯油分 

終点が250 ℃以下(1)の
石油製品に適用する。 

質量% 
又は 
容量% 

自動車ガソリン 

附属書(規定) 
ガスクロマトグラ
フによる迅速な全
成分の求め方 

K 2536-3 

ガスクロマトグラ
フによる芳香族の
求め方 

芳香族分 
ベンゼン 
トルエン 
キシレン 

終点が220 ℃以下(1)の
石油製品に適用する。 

自動車ガソリン 
航空ガソリン 

K 2536-4 

タンデム式ガスク
ロマトグラフによ
る成分の求め方 

ベンゼン 
トルエン 
キシレン 
メタノール 
MTBE 
灯油分 

終点が250 ℃以下(1)の
石油製品に適用する。 

容量% 

自動車ガソリン 

K 2536-5 

ガスクロマトグラ
フによる酸素化合
物の求め方 

メタノール 
MTBE 

K 2536-6 

酸素検出式ガスク
ロマトグラフによ
る酸素分・酸素化
合物の求め方 

酸素分 
メタノール 
エタノール 
MTBE 
ETBE 
その他の酸素化合物 

質量%
又は 
容量% 

自動車ガソリン 

注(1) 終点は,JIS K 2254に規定する常圧法蒸留試験方法による。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0114 ガスクロマトグラフ分析通則 

JIS K 0512 水素 

JIS K 1107 高純度窒素 

JIS K 2249 原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表 

JIS K 2251 原油及び石油製品−試料採取方法 

JIS K 2254 石油製品−蒸留試験方法 

JIS K 2536-2 石油製品−成分試験方法 第2部:ガスクロマトグラフによる全成分の求め方 

JIS K 8891 メタノール(試薬) 

JIS Q 0034 標準物質生産者の能力に関する一般要求事項 

K 2536-5:2003  

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JIS Q 0035 標準物質の認証−一般的及び統計学的原則 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部:精確さに関する値の実用的

な使い方 

3. 試験の原理 メチルシリコン系固定相液体(無極性)を塗布したキャピラリカラムによって,試料中

の炭化水素成分からメタノール及びMTBEを分離,溶出させる。これを,水素炎イオン化検出器で検出し,

クロマトグラム及びピーク面積積分値を記録させる。成分名が既知のクロマトグラムと比較してメタノー

ル及びMTBEを同定し,あらかじめ用意した検量線(ピーク面積百分率から作成したもの)に基づきメタ

ノール及びMTBEの含有量を算出する。 

4. 試験器及び器具 試験器及び器具は,次による。 

4.1 ガスクロマトグラフ 主要部分が次の性能を満たす昇温プログラム付ガスクロマトグラフを用いる。 

備考 ガスクロマトグラフに共通する一般事項は,JIS K 0114の規定による。 

a) 試料導入部 カラムが取り付けられるスプリット導入方式のもので,200〜250 ℃の温度に保つことが

できるもの。 

b) カラム槽 カラム槽は,5〜200 ℃の温度範囲で,1分間当たり1 ℃単位以下で昇温速度を設定できる

もの。 

c) カラム 内径0.2〜0.3 mm,長さ25〜90 mの溶融シリカ製で,メチルシリコン系液相(無極性)を塗

布したもの。 

d) 検出器 検出器は,水素炎イオン化検出器を用いる。 

4.2 

データ処理装置 データ処理装置は,次による。 

a) 1回の測定で,300以上のピーク処理能力があるもの。 

b) ノイズ及びスパイクの除去ができるもの。 

c) 垂線法及び接線法によるピーク面積の分割ができるもの。 

d) クロマトグラムを記録するとともに,個々のピークの保持時間及びピーク面積積分値を記録できるも

の。 

4.3 

マイクロシリンジ 試料導入量に応じて,適切な容量(1〜10 μL)のものを用いる。 

備考 自動試料導入装置を使用してもよい。 

5. 試薬 試薬は,次による。 

a) キャリヤーガス及び付加ガス 純度99.99容量%以上のヘリウム又はJIS K 1107に規定する窒素。 

b) 水素 JIS K 0512に規定するもの。 

c) 空気 清浄乾燥されたもの。 

d) メタノール JIS K 8891に規定するもの。 

e) MTBE 純度99 %以上のもの。 

f) 

検量線作成用基材 メタノール及びMTBEを含まない自動車ガソリン。 

備考 検量線作成用基材は,試験する試料と似た組成の自動車ガソリンが望ましい。 

6. 試験の準備 試験の準備は,次による。 

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6.1 

ガスクロマトグラフの調整 ガスクロマトグラフの調整は,次による。 

a) ガスクロマトグラフは,製造業者の取扱説明書に従って設置し,試料中の炭化水素成分のピークとメ

タノール及びMTBEのピークができる限り分離するように,初期温度,昇温速度,キャリヤーガス流

量を設定する。試験条件の一例を表1に示す。 

b) カラム槽温度を試験条件の第二段到達温度に設定し,基線が安定するのを待つ。 

c) カラム槽を初期温度まで冷却し,昇温プログラム及び記録計をスタートさせ,空試験での基線が安定

していることを確認する。 

表 1 試験条件(一例) 

カラム 

固定相液体 

 メチルシリコン 

膜厚 

μm    0.2 

長さ 

m   30 

内径 

mm    0.25 

カラム槽昇温
プログラム 

初期温度 

℃    5 

初期温度保持時間 

min   10 

第一段昇温速度 

℃/min    1 

第一段到達温度 

℃   20 

第一段温度保持時間 

min    0 

第二段段昇温速度 

℃/min   20 

第二段到達温度 

℃  200 

第二段温度保持時間 

min   10 

検出器 

種類 

 水素炎イオン化検出器 

検出器温度 

℃  220 

付加ガス種類 

 ヘリウム 

付加ガス流量 

mL/min   50 

その他 

キャリヤーガス種類 

 ヘリウム 

キャリヤーガス流量 

mL/min    1 

スプリット比 

  100〜250:1 

試料導入部温度 

℃  220 

試料導入量 

μL    1 

6.2 

検量線の作成 検量線の作成は,次による。 

a) メタノール,MTBE及び検量線作成用基材を混合して(2),表2の検量線作成用試料を調製する。 

注(2) 温度による容量変化の影響をふせぐため,メタノール,MTBE及び検量線作成用基材が室温で

あることを確認した後,混合するとよい。 

表 2 検量線作成用試料 

単位 mL 

混合試薬 

検量線作成用試料 

メタノール 

  0 

 1 

 2 

 3 

MTBE 

  0 

 3 

 6 

10 

検量線作成用基材 

100 

96 

92 

87 

備考 検量線作成用試料は,質量で混合し,各基材の密度を使用して容量%に換算してもよい。この

場合は,検量線作成用基材の密度は,JIS K 2249の規定によって測定し,メタノールの密度は

0.796 g/cm3(15 ℃)及びMTBEの密度は0.745 g/cm3を用いる。 

b) あらかじめ冷蔵庫などで冷却した検量線作成用試料1 μLをマイクロシリンジに採り,ガスクロマトグ

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ラフに導入する。直ちに,昇温装置及びデータ処理装置を作動させ,溶出成分のクロマトグラムを記

録させる。 

c) 同様に,調製したすべての検量線作成用試料について測定を行う。 

d) 得られたクロマトグラムから,メタノール,MTBE及び他の全ピーク面積を測定し,メタノール及び

MTBEの全ピーク面積値に対するピーク面積百分率を求める。 

e) メタノール及びMTBEについて,検量線作成用試料の濃度と得られたピーク面積百分率から検量線を

作成する。 

備考 検量線は一連の試験操作前又は試験条件を変更するごとに作成する。また,検量線の直線性が

確認されていれば,試料の予期濃度を内挿する2点検量線でもよい。 

7. 試料の採取方法及び調製方法 試料は,JIS K 2251に規定する一次試料採取方法及び二次試料の調製

方法によるか,又はそれに準じた方法によって採取及び調製する。 

8. 試験の手順 試験の手順は,次による。 

a) あらかじめ冷蔵庫などで冷却した試料1 μLをマイクロシリンジに採り,ガスクロマトグラフに導入す

る。直ちに,昇温装置及びデータ処理装置を作動させ,溶出成分のクロマトグラムを記録させる。ク

ロマトグラムの一例を図1に示す。 

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図 1 クロマトグラム(一例) 

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9. 計算方法 計算方法は,次による。 

メタノール及びMTBE含有量は,次の方法によって求め,JIS Z 8401の規定によって丸めの幅0.1に丸

める。 

a) 得られたクロマトグラムのメタノールとMTBEピークを同定し,それらの全ピーク面積値に対するピ

ーク面積百分率を計算する。 

b) あらかじめ作成した検量線からメタノールとMTBEの含有量(容量%)を読み取る。 

備考1. この方法によって,成分認証標準物質を定期的に測定し,その試験値と標準値との差が表3の

室間再現許容差を超える場合は,検量線又は試験条件を見直す。 

2. 成分認証標準物質は,JIS Q 0034及びJIS Q 0035に従って認証されたもの。 

参考 社団法人石油学会から供給されている。 

10. 精度 精度は,次による。 

このガスクロマトグラフ法によって得られたメタノールとMTBEの試験結果の許容差(確率0.95)は,

次のとおりである。 

備考 試験結果が許容差を外れた場合は,JIS Z 8402-6の規定よって処理する。 

a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験装置で,引き続き短時間内に同一試料を2回

試験したとき,試験結果の差の許容差を表3に示す。 

b) 室間再現精度 異なる2試験室において,別人が別の試験装置で,同一試料をそれぞれ1回ずつ試験

したとき,2個の試験結果の差の許容差を表3に示す。 

表 3 精度 

単位 容量% 

成分名 

濃度範囲 

室内併行許容差 

室間再現許容差 

メタノール 

0.5〜 3.0 

0.10X+0.07 

0.21X+0.14 

MTBE 

2.0〜10.0 

0.07X 

0.20X 

備考 Xは,各成分の試験結果の平均値。 

11. 試験結果の報告 試験結果には,次の事項を記載する。 

a) 試料名,採取場所及び採取年月日 

b) 日本工業規格番号:JIS K 2536-5 

c) 9.によって得られた結果 

d) 特記事項