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K 2258-1:2009  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 試験の原理 ······················································································································ 2 

5 試験器···························································································································· 2 

6 試料の採取方法 ················································································································ 3 

7 試料の準備 ······················································································································ 3 

8 試験器の準備 ··················································································································· 4 

9 試料の移替え及び蒸気圧ボンベの組立 ·················································································· 4 

10 試験の手順 ···················································································································· 6 

11 次回の試験のための試験器の準備 ······················································································ 7 

12 結果の表し方 ················································································································· 8 

13 精度 ····························································································································· 8 

14 試験結果の報告 ·············································································································· 9 

附属書A(規定)試験手順A,C及びD用の試験器 ··································································· 10 

附属書B(規定)試験手順B用の試験器 ·················································································· 16 

附属書JA(参考)試験方法の種類 ·························································································· 18 

附属書JB(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 20 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,石油連盟(PAJ)から,工業標準原案を具して

日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した

日本工業規格である。これによってJIS K 2258:1998は廃止され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。 

JIS K 2258の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS K 2258-1 第1部:リード法 

JIS K 2258-2 第2部:3回膨張法 

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日本工業規格 

      JIS 

K 2258-1:2009 

原油及び石油製品−蒸気圧の求め方− 

第1部:リード法 

Crude petroleum and petroleum products-Determination of vapour 

pressure-Part 1:Reid method 

序文 

この規格は,1999年に第3版として発行されたISO 3007を基に作成した日本工業規格であるが,国内

の実情に合わせるため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。 

警告 この規格は,危険な試薬,操作及び試験器を用いることがあるが,安全な使用法をすべてに規

定しているわけではないので,この試験方法の使用者は,試験に先立って,適切な安全上及び

健康上の禁止事項を決めておかなければならない。 

適用範囲 

この規格は,揮発性で,かつ,非粘ちょう性の石油製品の37.8 ℃における蒸気圧をリード法によって求

める方法について規定する。ただし,酸素化合物を含む石油製品については,炭素数が5以上のエーテル

類は体積分率15 %以下,エタノールは体積分率10 %以下,炭素数が3以上のアルコール類は体積分率

7 %以下のものだけに適用する。 

蒸気圧が10 kPaを超える揮発性原油に適用する場合は,箇条13の精度規定は,適用できない。 

この規格は,四つの試験手順(A〜D)を規定する。試験手順A及び試験手順Bは, 蒸気圧が180 kPa以下

の航空ガソリンを除く原油及び石油製品に適用する。試験手順Cは,蒸気圧が180 kPaを超える石油製品

に適用する。試験手順Dは,蒸気圧が50 kPa以下の航空ガソリンに適用する。 

注記1 

JIS K 2258の規格群には,附属書JAに示す試験方法がある。 

注記2 

メタノールを含む試料及び酸素化合物がこの規格の適用範囲を超える試料の場合は,JIS K 

2258-2に規定する方法がある。また,液化石油ガスの場合は,JIS K 2240に規定する方法が

ある。 

注記3 

この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 3007:1999,Petroleum products and crude petroleum−Determination of vapour pressure−Reid 

method (MOD) 

なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを

示す。 

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引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7410 石油類試験用ガラス製温度計 

JIS K 2251 原油及び石油製品−試料採取方法 

注記 対応国際規格:ISO 3170,Petroleum liquids−Manual sampling (MOD) 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部:精確さに関する値の実用的

な使い方 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

蒸気圧 (vapour pressure) 

湿潤状態にある37.8 ℃の蒸気圧ボンベ内で,試料と蒸気層との容積比が1:4のとき,空気及び水が飽

和の状態で試料が示す圧力。 

注記 湿潤状態とは,濡れた蒸気圧ボンベに試料を採取して試験をすることで,水分のない(又は乾

燥状態)試験容器に試料を採取するJIS K 2258-2及びASTM D 4953とは異なる。 

試験の原理 

蒸気圧ボンベの試料室に0〜1 ℃に冷却した試料を満たし,37.8 ℃の空気室に試料室を接続した後,こ

れを37.8 ℃±0.1 ℃に保った恒温槽に浸せきする。その後,空気室の圧力が平衡に達したときの圧力を読

み取る。読み取った値を,検査用圧力計を用いて補正した値を蒸気圧とする。 

なお,測定原理が同じである自動試験器を用いてもよいが,自動試験器によって得られた試験結果に疑

義を生じた場合には,この試験方法によって得られた結果による。 

試験器 

試験器は,次による。 

5.1 

蒸気圧試験器 

a) 試験手順Aに用いる蒸気圧試験器を,附属書Aに示す。蒸気圧ボンベには,空気室及び一つ口試料室

を用いる。 

b) 試験手順Bに用いる蒸気圧試験器を,附属書Bに示す。蒸気圧ボンベには,空気室及び一つ口試料室

を用いる。圧力計には,ブルドン管又は圧力センサを用いる。 

c) 試験手順Cに用いる蒸気圧試験器を,附属書Aに示す。蒸気圧ボンベには,空気室及び二つ口試料室

を用いる。試料は,密閉形試料容器に採取する。 

d) 試験手順Dに用いる蒸気圧試験器を,附属書Aに示す。蒸気圧ボンベには,空気室及び一つ口試料室

を用いる。 

5.2 

冷却浴 氷水浴又は冷蔵庫で,試料を0〜1 ℃に,試料室を5 ℃以下に冷却できるもの。氷水浴は,

水及び氷を容器に入れたもので,ドライアイスは,試料に二酸化炭素が溶解し,試験結果に誤差を生じる

ことがあるので,用いてはならない。冷蔵庫は,冷凍室を備えたものが適切で,安全性を考慮したものを 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

用いる。 

5.3 

恒温槽 

a) 試験手順A,C及びDに用いる恒温槽を,附属書Aに示す。 

b) 試験手順Bに用いる恒温槽を,附属書Bに示す。 

試料の採取方法 

試料の採取方法は,次による。 

a) 蒸気圧の測定は,試料の蒸発による損失及びその結果生じる組成の変化に著しく影響を受けるので,

試料の採取及び取扱いには,細心の注意が必要である。 

b) 試料の採取は,JIS K 2251の附属書1の規定による。 

c) 試験手順A,B及びDで用いる試料容器は,1 Lのものとし,試料を試料容器容積の70〜80 %採取す

る。試験手順Cで用いる試料容器は,図A.4に示す密閉形試料容器で,容積が0.5 L以上のものを用

いる。 

なお,受渡当事者間で合意した場合は,不活性ガスを封入した船槽から専用に試料を採取するとき

に限り,蒸気圧測定のため,0.3 Lまでの少量の試料を採取してもよい。この場合も,試料を試料容器

容積の70〜80 %採取する。ただし,箇条13の精度規定は,適用できない。 

d) 試料容器は,漏れがあってはならない。目視で確認できる漏れがあった場合は,試料容器を廃棄し,

新しい試料容器に採取する。 

e) 精度よく試験するためには,蒸気圧測定だけに用いる試料を採取し,試料採取場所に冷却浴及び断熱

効果のある運搬器具を用意するなどの試料を採取する準備が必要である。試料を採取するときは,規

制及び/又は仕様書で,試料採取についての特別な指示の記載の有無を確認する。 

f) 

試料容器は,すべての手順において,試料採取場所から冷却浴に入れるまでの間で試料に過度の熱が

加わらないように,断熱材などで覆う。 

試料の準備 

試料の準備は,次による。 

a) 試料を0〜1 ℃の温度に冷却する。冷却浴から試料容器を取り出し,水分を吸収性の高い材質のもの

を用いてふき取る。試料量が試料容器容積の70〜80 %であることを確認する。確認の方法は,試料

容器が透明なときは目視でよいが,透明でないときは,適切な物差しを用いて確認する。 

b) 試料量が,試料容器容積の70〜80 %であることを確認する。試料量が,試料容器容積の70 %よりも

少ない場合は,この試料は,試験に用いてはならない。試料量が,試料容器容積の80 %よりも多い

場合は,試料容器内の試料が,70〜80 %の範囲になるように試料を抜き取る。抜き取った試料は,試

料容器に戻してはならない。 

c) 試料を冷却浴に戻し,試料を0〜1 ℃の温度に冷却する。 

d) 試験手順A,B及びDの場合は,試料容器を0〜1 ℃の冷却浴から引き上げ,ふたを開けて空気を瞬

時に入れ,再び密閉する。試料容器を10〜20秒間激しく振とうし,冷却浴に戻し,2分間以上静置す

る。この手順を更に2回繰り返す。試料室へ移し替えるまでの間は,試料容器を冷却浴に戻しておく。 

e) 試験手順Cについては,試料を移し替えるまでの間は密閉形試料容器を冷却浴に入れておく。 

f) 

試料容器を冷却浴から取り出す前に,試料容器内の試料が0〜1 ℃となっていることを確認する。こ

の温度の確認は,試験に用いる試料容器とは別に試料と類似の液体を入れた試料容器を,同時に冷却

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浴に入れ,この類似の液体の温度を測定することによって行う。 

g) 蒸気圧の測定に用いる試料は,試料容器から最初に小分けした試料分について実施する。試料容器に

残った試料は,2回目の測定に用いてはならない。再測定が必要な場合は,新しい試料を箇条6の方

法で採取する。 

試験器の準備 

8.1 

試料室 

開放した試料室を冷却浴に垂直に立て,完全に浸せきした状態で,10分間以上保持し,試料室の温度を

5 ℃以下にする。試験手順A,B及びDの場合は,図1に示す試料注入用連結管も同じ時間だけ入れてお

く。冷蔵庫の冷凍室を用いる場合は,冷却所要時間を短縮することができる。 

図1−試料注入用連結管 

8.2 

空気室 

試験の直前,圧力計を取り付け,37.8 ℃に保った恒温槽中に10分間以上,浸せきする。このとき,空

気室の頂部は,少なくとも水面下25 mmの深さまで浸せきしなければならない。空気室は,試料室と連結

するまで,恒温槽から取り出してはならない。 

試料の移替え及び蒸気圧ボンベの組立 

9.1 

試験手順A,B及びD 

試験手順A,B及びDの試料の移替え及び蒸気圧ボンベの組立は,次による。試料容器から一つ口試料

室への試料の移替えの説明図を,図2に示す。 

a) 冷却した試料容器を冷却浴から取り出し,試料容器のふたを取り,冷却した試料注入用連結管を差し

込む。 

b) 冷却した一つ口試料室を冷却浴から取り出し,水をよく切ってから試料注入管を差し込み,全体を手

早く逆さまにし,一つ口試料室を垂直の位置に置き,試料注入管の先端が一つ口試料室の底部から約

6 mm以内になるようにする。 

c) 一つ口試料室からあふれ出るまで試料を満たし,一つ口試料室の底を実験台上で軽くたたいて泡を除

いた後,更にあふれるまで試料を注ぎ足す。試料の移替えの前に,あふれ出た試料が,広がらないよ

うな方策をしておく。また,引火源が近くにないように注意する。あふれ出た試料は,安全に廃棄す

る。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 恒温槽から空気室を取り出し,速やかに水をよく切る。空気室内の37.8 ℃の空気と室内の空気とが置

換しないように,空気室を不用意に動かさないよう注意する。空気室と試料を満たした一つ口試料室

とを速やかに接続し,蒸気圧ボンベを組み立てる。この蒸気圧ボンベの組立操作は,空気室を恒温槽

から取り出してから10秒以内で行う。 

(1) 

試料移替え前 
の試料容器。 

(2) 

ふたを取り試料注入 
用連結管を付ける。 

(3) 

試料室に試料注入管

を差し込む。 

(4) 

試料室に試料を注ぐ。 

図2−試験手順A,B及びDの試料の移替え説明図 

9.2 

試験手順C 

試験手順Cの試料の移替え及び蒸気圧ボンベの組立は,次による。 

a) 冷却した密閉形試料容器を冷却浴から取り出し,試料の圧力が大気圧より高くなる温度になるまで静

置する。加温してもよいが,35 ℃以上にしてはならない。 

b) 冷却した冷却コイルを密閉形試料容器の出口弁に接続する。冷却コイルは,直径6 mm,長さ約8 m

の銅管をらせん状に巻いたもので,10 Lの冷却浴に浸せきして,あらかじめ冷却したものを用いると

よい。 

c) 二つ口試料室を冷却浴から取り出し,水をよく切ってから下方弁と冷却コイルとを接続する。 

d) 二つ口試料室の上方弁を閉じ,密閉形試料容器の出口弁を開ける。わずかに二つ口試料室の上方弁を

開き,二つ口試料室を試料で徐々に満たし,更に0.2 L以上をあふれさせる。 

e) 二つ口試料室の上方弁,下方弁の順に閉じ,試料採取系統のすべての弁を閉じる。二つ口試料室を冷

却コイルから外す。 

f) 

恒温槽から空気室を取り出し,速やかに水をよく切る。空気室内の37.8 ℃の空気と室内の空気とが置

換しないように,空気室を不用意に動かさないよう注意する。空気室と試料を満たした二つ口試料室

とを速やかに接続し,蒸気圧ボンベを組み立てる。この蒸気圧ボンベの組立操作は,空気室を恒温槽

から取り出してから10秒以内で行う。蒸気圧ボンベを組み立てた後,直ちに上方弁を開ける。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

10 試験の手順 

10.1 蒸気圧ボンベの恒温槽への導入 

10.1.1 試験手順A及びD 

試験手順A及びDにおける蒸気圧ボンベの恒温槽への導入手順は,次による。 

a) 組み立てた蒸気圧ボンベを逆さまにして,一つ口試料室の試料を空気室に流し込み,逆さまのまま蒸

気圧ボンベを上下に8回激しく振とうする。 

b) 蒸気圧ボンベを,逆転してブルドン管圧力計が上方になるようにして,一つ口試料室と空気室との連

結部が水面下になるように,37.8 ℃の恒温槽に斜めに入れる。漏れの有無を注意深く観察する。 

c) 漏れがないことを確認した後,空気室の頂部が少なくとも水面下25 mmの深さになるように,蒸気圧

ボンベを垂直に浸せきする。試験中は,絶えず漏れの有無を観察する。漏れを確認した場合には,直

ちに試験を中止する。液体の漏れの発見は,気体の漏れよりも困難である。一つ口試料室と空気室と

の連結部は,特に注意を要する。 

10.1.2 試験手順B 

試験手順Bにおける蒸気圧ボンベの恒温槽への導入手順は,次による。 

a) 組み立てた蒸気圧ボンベを垂直に持ち,直ちに自在継手を急速脱着継手に接続する。蒸気圧ボンベを

下向きに20〜30°傾け,試料を4〜5秒間かけて空気室に流し込む。このとき,試料が圧力センサか

ら空気室に伸びている細管に入らないように注意する。 

b) 蒸気圧ボンベを37.8 ℃の恒温槽に入れる。一つ口試料室の底部と駆動接続部とを接続し,もう一方を

支持ベアリングの上に載せる。 

c) スイッチを入れ,組み立てた蒸気圧ボンベを回転させる。試験中は,絶えず蒸気圧ボンベから漏れの

有無を10.1.1 c)を参照して観察する。漏れを確認した場合には,直ちに試験を中止する。 

10.1.3 試験手順C 

試験手順Cにおける蒸気圧ボンベの恒温槽への導入手順は,次による。 

a) 組み立てた蒸気圧ボンベを逆さまにし,二つ口試料室の試料を空気室に流し込む。蒸気圧ボンベを振

とうしてはならない。 

b) 蒸気圧ボンベを,逆転してブルドン管圧力計が上方にくるようにして,10.1.1 b)及び10.1.1 c)に従って,

37.8 ℃の恒温槽に入れる。漏れの有無については,10.1.1 c)に従って絶えず観察を行う。漏れを確認

した場合には,直ちに試験を中止する。 

10.2 蒸気圧の測定 

10.2.1 試験手順A及びD 

試験手順A及びDにおける蒸気圧の測定は,次による。 

a) 蒸気圧ボンベを5分間以上恒温槽に静置した後,ブルドン管圧力計を軽くたたいて圧力示度を読み取

る。圧力示度は,100 kPa未満の場合は,0.25 kPa単位で,100 kPa以上の場合は,0.5 kPa単位で読み

取る。 

b) 蒸気圧ボンベを恒温槽から取り出し,逆さまにして,蒸気圧ボンベを上下に8回激しく振とうする。

蒸気圧ボンベを逆転して,蒸気圧ボンベが冷えないように,できるだけ速やかに恒温槽に戻し,2分

間以上静置する。ブルドン管圧力計を軽くたたいて圧力示度を読み取る。 

c) b)の操作を2分間以上の間隔で,少なくともあと4回繰り返す。最後の2回の読取値が同じ場合は,

これを未補正蒸気圧として記録する。最後の2回の読取値が同じでない場合は,連続2回の圧力の読

取値が同じになるまで繰り返す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 蒸気圧ボンベを速やかに恒温槽から取り出し,直ちにブルドン管圧力計を取り外す。ブルドン管圧力

計に残った試料を除去せず,ブルドン管圧力計を検査用圧力計に接続し,検査用圧力計及びブルドン

管圧力計の読みを記録する。この測定を短時間に実施すると,二つの圧力計は,両者に共通の安定し

た圧力となり,その圧力の読取値の差は1 kPa以内となる。 

なお,圧力計の取外しは,蒸気圧ボンベが37.8 ℃から冷えないように速やかに行う。検査用圧力計

の圧力は,ブルドン管圧力計を接続した後,図A.2を参照して,試料の未補正蒸気圧付近まで加圧す

るとよい。 

e) 検査用圧力計の読取値からブルドン管圧力計の読取値を減じ,この値をブルドン管圧力計補正値とし

て記録する。 

f) 

未補正蒸気圧にブルドン管圧力計補正値を加え,この値を蒸気圧とする。 

10.2.2 試験手順B 

試験手順Bにおける蒸気圧の測定は,次による。 

a) 組み立てた蒸気圧ボンベを恒温槽から引き上げず,10.2.1 a)〜c)の操作を行う。ただし,振とう操作は,

手で振とうせずに,附属書Bの試験器を用いて回転させる。圧力計について,軽くたたく操作及び読

取方法については,10.2.1のとおりである。ただし,圧力計に圧力センサを用いた場合には,軽くた

たく操作は不要である。 

b) 検査用圧力計を用いて未補正蒸気圧を補正する手順は,10.2.1 d)〜f)による。 

10.2.3 試験手順C 

試験手順Cにおける蒸気圧の測定は,次による。 

a) 組み立てた蒸気圧ボンベを恒温槽から引き上げず,10.2.1 a)〜c)の操作を行う。ただし,振とう操作は,

危険なので行わない。 

b) 検査用圧力計を用いて未補正蒸気圧を補正する手順は,10.2.1 d)〜f)による。蒸気圧が180 kPaを超え

る場合,検査用圧力計には,基準重すい(錘)形圧力計を用いるのが望ましい。 

注記 最後の2回の読取値が同じになるまでの所要時間は,蒸気圧ボンベを振とうしないため,試

験手順A,B及びDと比較して長時間を要する。 

11 次回の試験のための試験器の準備 

11.1 試料室,空気室及び試料注入用連結管の清浄 

試料室,空気室及び試料注入用連結管の清浄は,次による。 

a) 試料室と空気室との組立を外す。試料室,空気室及び試料注入用連結管は,32 ℃以上の温水を満たし

て,残った試料を十分除去する。この除去作業を5回以上繰り返す。各部品は,適切な溶剤で数回洗

浄し,次いでアセトンで数回洗浄し,乾燥空気で乾燥する。試料室は,次回の試験に備えて冷却浴に

入れる。 

注記 部品を適切に洗浄するために用いる溶剤には,石油エーテル,石油ナフサ,ヘプタン,2,2,4-

トリメチルペンタンなどがある。 

b) 空気室の洗浄に恒温槽を用いる場合は,恒温槽から空気室を引き上げるとき,水面に浮いている試料

などからの油膜が付かないように,空気室の上下の開口部をふさいでおく。 

11.2 ブルドン管圧力計の清浄 

ブルドン管圧力計の清浄は,次による。 

a) 検査用圧力計からブルドン管圧力計を取り外す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) ブルドン管圧力計を手に持って,弧を描くように3回以上繰り返して振り,遠心力によってブルドン

管にたまった試料の大部分を除去する。振り方としては,ねじを切った接続部を前にして,両方の手

で圧力計の面を挟むように持つ。腕を伸ばして,前方45°の角度に持ち上げた後に下方に振り下げ,

更に約135°の弧を描くように腕を上下に振るとよい。 

c) ブルドン管圧力計中に乾燥空気を細管で5分間以上吹き込んで,残った試料をすべて除去する。 

11.3 圧力センサの清浄 

圧力センサの清浄は,次による。 

a) 試験手順Bでは,検査用圧力計から圧力センサを取り外す。 

b) 圧力センサのらせん管の中に乾燥空気を細管で吹き込んで,らせん管に残った試料をすべて除去する。

T形の取っ手継手も乾燥空気を用いて乾燥する。 

注記 試験手順Bの場合,10.1.2 a) を適切に行えば,圧力計又は圧力センサに試料が入り込む可能

性は少ない。また,圧力センサに試料が残るようなくぼみは,ない。 

11.4 圧力計と空気室との接続 

圧力計と空気室との接続は,次による。 

a) 圧力計と空気室の圧力計接続部とを接続する。 

b) 空気室を37.8 ℃の恒温槽に入れ,次の試験に備える。空気室及び圧力計は,準備のためでも必要以上

に恒温槽に放置してはならない。水蒸気がブルドン管に凝縮した場合,試験結果に誤差を生じること

がある。 

12 結果の表し方 

蒸気圧が100 kPa未満の場合は,JIS Z 8401の規定によって丸めの幅0.25に丸める。ただし,100 kPa

以上の場合は,丸めの幅0.5に丸める。 

13 精度 

この試験方法によって得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次による。ただし,精度は,蒸気圧

が10 kPaを超える揮発性原油には適用しない。 

試験結果が許容差を外れた場合は,JIS Z 8402-6の規定によって処理する。 

13.1 室内併行精度 

同一試験室において,同一人が同一試験器で引き続き短時間に同一試料を2回試験したとき,試験結果

の差の許容差は,表1による。 

13.2 室間再現精度 

異なる試験室において,別人が別の試験器で,同一試料をそれぞれ1回ずつ試験して求めた2個の試験

結果の差の許容差は,表1による。 

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K 2258-1:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1−精度 

単位 kPa 

試験手順 

蒸気圧範囲 

室内併行許容差 

室間再現許容差 

0〜35 

0.7 

2.4 

35〜100 

3.2 

5.2 

110〜180 

2.1 

2.8 

 Ba) 

35〜100 

1.2 

4.5 

180以上 

2.8 

4.9 

50以下 

0.7 

1.0 

注a) ブルドン管圧力計の試験結果と圧力センサの試験結果との間に0.7〜1.4 kPaの偏差が確

認されており,試験結果は圧力センサの方が大きい。 

14 試験結果の報告 

試験結果の報告には,次の事項を記述する。 

a) 試料名,採取場所及び採取年月日 

b) この規格の番号(JIS K 2258-1) 

c) 箇条12によって得られた結果及び試験手順 

d) 特記事項 

e) 試験年月日 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(規定) 

試験手順A,C及びD用の試験器 

序文 

この附属書は,試験手順A,C及びDに用いる試験器について規定する。 

A.1 蒸気圧ボンベ 

蒸気圧ボンベは,空気室(上部)及び試料室(下部)の二つの室からなり,A.1.1〜A.1.3の仕様に適合

しなければならない。 

A.1.1 空気室 

a) 空気室は,図A.1 a)に示すように,円筒状の容器で,内径51 mm±3 mm,長さ254 mm±3 mmのもの。 

b) 両端の内面はわずかに傾斜をつけ,垂直に立てたとき,いずれの端からも試料が完全に流れ出るよう

な構造のもの。 

c) 空気室の一端には,ブルドン管圧力計を取り付けられるように,内径4.7 mm以上の雌接続金具を付

ける。空気室のもう一方の端には,雌接続金具を備えた内径約13 mmの開口部を設け,試料室のおね

じに接続できるような構造にする。接続部及び開口部は,空気室から試料を流し出すとき,流し出し

に影響のない構造のもの。 

A.1.2 一つ口試料室  

a) 一つ口試料室は,図A.1 c) に示すように,円筒状の容器で,内径は空気室と同じであるもの。 

b) 容積は,試料室と空気室との容積比が,試験手順Aでは1:3.8〜1:4.2,試験手順Dでは1:3.95〜1:

4.05であるもの。 

c) 一つ口試料室の一端には,直径約13 mmの開口部を設け,雄接続金具を取り付けて,空気室のめねじ

と接続できるような構造にする。接続金具の内側の先端は,傾斜をつけ,逆さまにして試料を流し出

すとき,流し出しに影響のない構造のもの。 

d) 一つ口試料室のもう一方の端は,図A.1 c) に示すように,開口部を設けない。 

A.1.3 二つ口試料室  

a) 二つ口試料室は,図A.1 b) に示すように,円筒状の容器で,内径は空気室と同じであるもの。 

b) 容積は,試験手順Cにおいて,試料室と空気室との容積比が1:3.8〜1:4.2であるもの。 

c) 二つ口試料室の上方の端には,直径約13 mmの全開できる上方弁を試料室と直列に連結する。上方弁

には,雄接続金具を取り付けて,空気室のめねじと接続できるような構造にする。接続金具の内側の

先端は,傾斜をつけ,逆さまにして試料を流し出すとき,流し出しに影響のない構造のもの。 

d) 二つ口試料室のもう一方の端は,図A.1 b) に示すように,試料室底部付近に直径約6 mmの全開でき

る下方弁を連結する。 

e) 二つ口試料室の容量測定には,上方弁のゲート弁の下部を含める。上方弁のゲート弁の上部は,空気

室の容積の一部に含める。 

A.1.4 容積比の値の求め方  

a) 0.6 L以上の水を分注できるビュレットに水を注入し,ビュレットの初期の読取値を記録する。 

b) ビュレットから水を試料室の上縁まで流し込み,試料室を完全に満たしたときの,ビュレットの読取

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11 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

値を記録する。 

単位 mm 

b) 二つ口試料室 

 
 

a) 空気室 

c) 一つ口試料室 

図A.1−蒸気圧ボンベ 

c) 試料室に空気室を接続し,ビュレットからの水で空気室の圧力計接続金具まで流し込み,蒸気圧ボン

ベを完全に満たしたときの,ビュレットの読取値を記録する。 

d) 試料室容積を1としたときの空気室容積の容積比の値は,次の式を用いて算出する。 

0

L

L

T

V

V

V

V

V

R

ここに, 

RV: 容積比の値 

VT: 蒸気圧ボンベを満たしたときのビュレットの読取値 (mL) 

VL: 試料室を満たしたときのビュレットの読取値 (mL) 

V0: ビュレットの初期の読取値 (mL) 

すべての試験手順では,特に試験手順Dによる測定に対して正しい容積比を維持するためには,空

気室と試料室との組合せの対を決めておくとよい。対になった空気室と試料室とは,目印を付けてお

くとよい。取替えを行う場合には,容積比の値を求めて,容積比が適切であることを確認する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A.1.5 空気室と試料室との接続部  

空気室と試料室とを接続する手段は規定しないが,次に示す項目を満足していることを確認したものを

用いる。 

a) 空気室と試料室とを接続したとき,接続部から試料の漏れがないもの。 

b) 試験条件下において,試料の漏れがないもの。 

c) 空気室と試料室とを接続したとき,空気による圧縮効果が起こらないもの。試験器を使う前に圧縮効

果がないことを確認する。空気の圧縮を避けるためには,空気室の雌接続部に排気口を設け,密閉す

るとき空気室が大気圧になるような構造のものを用いるとよい。 

注記 市販の試験器には,圧縮効果を避ける工夫がしていないものがある。圧縮効果を避ける工夫

がないものは,試料室の開口部(一つ又は二つ)を密栓して,0〜35 kPaの圧力計を用いて通

常の方法で試験器に連結したとき,圧力が上昇する。 

A.2 圧力計 

A.2.1 ブルドン管圧力計  

ブルドン管圧力計は,次による。 

a) 目盛板の直径は,100〜150 mmのもの。 

b) 空気室に連結できるようにG3/8のおねじで,その内径は,圧力の伝達を妨げないようにできるだけ大

きいものとする。 

c) 圧力計の目盛範囲及び目盛は,試料によって異なるので,表A.1を参照して決める。ブルドン管圧力

計の読取値と検査用圧力計又は基準重すい(錘)形圧力計の読取値との差がブルドン管圧力計の最高

目盛の1 %を超えた場合,その圧力計を用いてはならない。0〜35 kPaの圧力範囲では,目盛板の直

径が90 mmの圧力計を用いてもよい。 

表A.1−圧力計の範囲及び目盛幅の例 

単位 kPa 

蒸気圧 

圧力計 

目盛範囲 

目盛数字 

細分目盛 

27.5以下 

0〜 35 

 5.0 

0.5 

20〜75 

0〜100 

15.0 

0.5 

70〜180 

0〜200 

25.0 

1.0 

70〜250 

0〜300 

25.0 

1.0 

200〜375 

0〜400 

50.0 

1.5 

350以上 

0〜700 

50.0 

2.5 

A.2.2 検査用圧力計  

検査用圧力計は,試験に用いる圧力計を検査するのに適切な圧力範囲をもつ水銀マノメータ又は基準重

すい(錘)形圧力計を用いる。検査用水銀マノメータの例を,図A.2に示す。 

細分目盛は,180 kPa未満の読みに対しては0.2 kPa以下,180 kPa以上の読みに対しては0.5 kPa以下の

ものを用いる。 

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13 

K 2258-1:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図A.2−検査用水銀マノメータの例 

A.3 恒温槽  

恒温槽は,組み立てた蒸気圧ボンベが空気室の頂部を水面下25 mm以上の深さまで浸せきできるような

寸法のもので,加熱器,温度調節器,かき混ぜ機,温度計保持具などを備え,37.8 ℃±0.1 ℃に保てるも

の。恒温槽の例を,図A.3に示す。 

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14 

K 2258-1:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
① 恒温槽 
② 試料室 
③ 空気室 
④ 温度計 
⑤ 液面調節器 
⑥ ブルドン管圧力計 
⑦ 操作盤 
⑧ 温度調節用検出器 
⑨ かき混ぜ機 

図A.3−恒温槽の例 

A.4 温度計 

JIS B 7410に規定する温度計番号 2 (VAP)のもの又はこれと同等以上の性能をもつ温度測定器を用いる。 

A.5 試料注入用連結管  

試料注入用連結管は,図1に示すように,試料容器の開口部に挿し込んで留めるのに適切な寸法の栓に

2本の管を通したもの。1本は,短い試料注入管で,試料を移すために用いる。別の1本は,試料容器の底

部の角に届く長さの空気管で,空気を通すために用いる。 

A.6 密閉形試料容器 

試験手順Cについては,ステンレス鋼製又はアルミニウム合金製で,耐圧が700 kPa以上の密閉形試料

容器を用いる。容量は,500 mL以上で,出口弁は,冷却コイルと接続できる構造のもの。密閉形試料容器

の例を,図A.4に示す。 

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15 

K 2258-1:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

 
 
 
 
 
① 試料容器本体 
② 出口弁 
③ 入口弁 
④ 運搬用取っ手 
⑤ 試料調整管 
⑥ 安全弁 

図A.4−密閉形試料容器の例 

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16 

K 2258-1:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(規定) 

試験手順B用の試験器 

序文 

この附属書は,試験手順Bに用いる試験器について規定する。 

B.1 

一般事項  

試験器の要求事項並びに10.1.2及び10.2.2に記載した操作手順は,一つの種類の試験器に関するもので

ある。精度規定もこの1種類の試験器による。他の種類の試験器も同様の原理で動くので,この試験手順

とほとんど同じであり,精度も同等以上の結果が得られている。異なる仕様の試験器は,試験結果が同等

である場合には用いてもよい。 

B.2 

蒸気圧ボンベ 

空気室は,A.1.1の仕様に,一つ口試料室は,A.1.2の試験手順Aの仕様に適合しなければならない。ま

た,容積比の求め方は,A.1.4の要求事項に,一つ口試料室と空気室との接続に関する事項は,A.1.5の要

求事項と同等のものでなければならない。 

B.3 

圧力計  

圧力計は,A.2に規定したブルドン管圧力計又は適切なデジタルの直読式の圧力センサを用いる。圧力

センサを用いる場合は,0〜200 kPaの範囲にわたって内部校正ができ,圧力の表示は,0.1 kPaのけたまで

表示するものを用いる。圧力センサは,正しく校正したものを用いる。圧力センサは,蒸気圧ボンベから

離して設置するため,急速脱着継手を備えて接続できるものを用いる。 

B.3.1 自在継手  

回転する蒸気圧ボンベと圧力センサ圧力計とを接続するためには,適切ならせん管状の自在継手を用い

る。 

B.3.2 空気室用細管  

内径3 mm±0.1 mm,長さ114 mm±1 mmの空気室用細管を,空気室の圧力測定側に挿入する。これに

よって,試料が蒸気圧測定用の接続管に侵入するのを防ぐことができる。空気室に空気室用細管を挿し込

んだ図を,図B.1に示す。 

単位 mm 

図B.1−細管付き空気室 

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17 

K 2258-1:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.4 

恒温槽  

恒温槽は,蒸気圧ボンベが水平の位置で完全に浸せきできる構造のもの。蒸気圧ボンベは,その軸の上

で一方へ350°,次にもう一方へ350°,連続的に回転できる構造とする。恒温槽を37.8 ℃±0.1 ℃に維

持できる制御装置を装備する。温度計保持器は,蒸気圧測定の試験中温度計を37 ℃の目盛線まで浸せき

できる構造のものとする。恒温槽の例を,図B.2に示す。 

B.5 

その他の装置  

a) 温度計又は温度センサは,A.4に規定する仕様のものを用いる。 

b) 試料注入用連結管は,A.5に規定するものを用いる。 

c) 冷却コイルは,9.2 b)に示すものを用いる。 

単位 mm 

a) アナログ式圧力計方式 

b) デジタル式圧力計方式 

図B.2−試験手順B用恒温槽の例 

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18 

K 2258-1:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

試験方法の種類 

序文 

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

JA.1 試験方法の種類 

JIS K 2258の規格群には,表JA.1に示す試験方法がある。 

表JA.1−試験方法の種類 

規格群 

試験方法の種類 

適用基準a) 

適用油種b) 

JIS K 2258-1 

リード法 試験手順A 

1) 蒸気圧が180 kPa以下の石油製品。ただ

し,酸素化合物を含む試料については,
規定濃度範囲内とするc)。 

2) 蒸気圧が10 kPa以上の揮発性原油に適用

するd)。 

原油,自動車ガソリン,
航空タービン燃料油 

リード法 試験手順B 

リード法 試験手順C 

蒸気圧が180 kPaを超える石油製品e)。 

− 

リード法 試験手順D 

蒸気圧が50 kPa以下の航空ガソリン。 

航空ガソリン 

JIS K 2258-2 

3回膨張法 

1) 蒸気圧が7〜150 kPaの試料。酸素化合物

が,リード法の規定濃度範囲外の試料も
測定できる。ただし,試料を0 ℃に冷却
したときに2層分離する試料には,適用
できない。 

2) 溶存空気圧が7 kPa以下の揮発性原油に

適用するd)。 

原油,自動車ガソリン,
航空ガソリン,航空タ
ービン燃料油 

注a) 個別のJIS製品規格などによって,適用試験方法又は試験条件が規定されている場合は,それによる。 

b) 適用油種は,JIS石油製品規格などで規定されているものを例示した。 

c) 酸素化合物の最大許容濃度は,炭素数が5以上のエーテル類が体積分率15 %以下の試料,エタノールが体

積分率10 %以下の試料,炭素数が3以上のアルコール類が体積分率7 %以下の試料である。 

d) 精度は,規定しない。 

e) 液化石油ガスには,適用できない。液化石油ガスに対しては,JIS K 2240を用いる。 

JA.2 JIS K 2258-1の試験手順A,B,C及びD並びにその手順を規定する箇条及び附属書 

JIS K 2258-1の試験手順A,B,C及びDの手順別の箇条及び附属書を,表JA.2に示す。適用範囲は,

表JA.1による。 

なお,箇条2,3,4,12及び14は,試験手順A,B,C及びDの間に差異はない。 

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19 

K 2258-1:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表JA.2−JIS K 2258-1の試験手順及びその手順を規定する箇条及び附属書 

試験
手順 

試験器 

試料の
採取方
法 

試料の準
備 

試験器の
準備 

試料室
の移替
え及び
蒸気圧
ボンベ
の組立 

蒸気圧ボ
ンベの恒
温槽への
導入 

蒸気圧
の測定 

次回試験
のための
試験器の
準備 

精度 

箇条5及び 
附属書A a) 

箇条6 b) 

箇条7 c) 

箇条8 d) 

9.1 

10.1.1 

10.2.1 

箇条11 e) 

箇条13 f) 

箇条5及び 
附属書B 

9.1 

10.1.2 

10.2.2 

箇条5及び 
附属書A a) 

9.2 

10.1.3 

10.2.3 

箇条5及び 
附属書A a) 

9.1 

10.1.1 

10.2.1 

注a) 試験手順A及びDの場合は,図A.1 c) に示す一つ口試料室を用い,試験手順Cの場合は,図A.1 b) に示す

二つ口試料室を用いる。 

b) 試験手順A,B及びDの場合は,1 Lの試料容器を用い,試験手順Cの場合は,図A.4に示す密閉形試料容

器で容積が0.5 L以上のものを用いる。 

c) 試験手順A,B及びDの場合は,試料を試料室へ移し替える前に,試料容器を冷却浴から引き上げ,試料容

器へ空気を導入し,試料容器を振とうし,冷却浴に戻す手順を2回繰り返し,試験手順Cの場合は,試料を
移し替えるまでの間は,試料容器を冷却浴に入れておく。 

d) 試験手順A,B及びDの場合は,図1に示す試料注入用連結管も冷却浴に浸せき(漬)した状態で試料室と

同じ時間だけ保持する。 

e) 試験手順Bの場合は,検査用圧力計から圧力センサを取り外して,洗浄する。 

f) 試験手順A,B,C及びDの精度は,表1による。 

 
 

参考文献 [1] JIS K 2240 液化石油ガス(LPガス) 

[2] JIS K 2258-2 原油及び石油製品−蒸気圧の求め方−第2部:3回膨張法 

[3] ASTM D 4953 Standard Test Method for Vapor Pressure of Gasoline and Gasoline-Oxygenate 

Blends (Dry Method) 

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附属書JB 

(参考) 

JISと対応する国際規格との対比表 

JIS K 2258-1:2009 原油及び石油製品−蒸気圧の求め方−第1部:リード法 

ISO 3007:1999, Petroleum products and crude petroleum−Determination of vapour 
pressure−Reid method 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際規
格番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の
箇条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策 

箇条番号及び 
名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲 

適用範囲について規定。 

JISにほぼ同じ。 

変更 

航空ガソリンの適用圧力
範囲をISO規格の約50 
kPaに対し,JISでは50 
kPa以下に変更した。 

国内の製品規格に対応するた
めで,技術的な差異はない。 
 

4 試験の原理 

追加 

原理が同じである自動試
験器を追加。 

試験結果に疑義が生じた場合
は,この試験方法によるとして
いる。 

5 試験器 
 
5.1 蒸気圧試験器 
 
5.3 恒温槽 

 
 
試験手順別の試験器を規
定。 


 
 
 

箇条なしに,蒸気圧
試験器及び恒温槽
を規定。内容は,JIS
にほぼ同じ。 
 

 
 
変更 
 
追加 

 
 
ISO規格は箇条がない
が,JISは,箇条にした。 
恒温槽の例の追加。 

 
 
JIS様式による。分かりやすく
するためで,技術的な差異はな
い。 

9 試料の移替え
及び蒸気圧ボン
ベの組立 
9.1 試験手順A,
B及びD 
 
9.2 試験手順C 

試料を試料室に移し替え,
空気室を接続して,蒸気圧
ボンベを組み立てる方法を
規定。 


 
 
9.1 
 
 
9.2 

試料の移替えを規
定。 
 
JISにほぼ同じ。 
 
 
JISにほぼ同じ。 

 
 
 

追加 
 
 
追加 

 
 
 
ISO規格の10.1に規定さ
れた試験器の組立に関す
る事項を追加。 
ISO規格の10.1に規定さ
れた試験器の組立に関す
る事項を追加。 

 
 
 
ISO規格では,蒸気圧ボンベの
組立は,10.1で規定しているが,
9.2で既に言及している。この
操作は,連続した操作で,迅速
性を要するため,記載場所を移
動。 

2

0

K

 2

2

5

8

-1

2

0

0

9

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際規
格番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の
箇条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策 

箇条番号及び 
名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

10 試験の手順 
 
 
 
 
 

蒸気圧ボンベの恒温槽への
導入方法及び蒸気圧の測定
手順を規定。 

10 
10.1 
 
 
 
 

 
蒸気圧ボンベに関
する事項を記載。 

 
削除 
 
 
 
 

 
ISO規格の試験器の組立
事項の内容をJISでは,
9.1及び9.2の箇条に記
載。 

 
ISO規格では,蒸気圧ボンベの
組立は,9.2で既に言及してい
る。この操作は,連続した操作
で,迅速性を要するため,記載
場所を移動。 

11 次回の試験の
ための試験器の
準備 
11.1 試料室,空気
室及び試料注入
用連結管の清浄 
 
 
11.2 ブルドン管
圧力計の清浄 
 
 
 
 
 
 
 
 
11.3 圧力センサ
の清浄 
 
 
 

次回の試験のための試験器
の準備を規定。 
 
 
 
 
 
 
ブルドン管圧力計の乾燥方
法を規定。 

 
 
11.1 
 
 
11.2 
 
 
11.3 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
11.3 
 
 
 
 

 
 
JISにほぼ同じ。 
 
 
油膜に関する事項
を記載。 
 
圧力計の清浄及び
組立事項を記載。 
 
 
 
 
 
 
 
 
圧力計の清浄及び
組立事項を記載。 
 

 
 
追加 
 
 
削除 
 
 
削除 
 
 
 
 
追加 
 
 
 
 
削除 
 
 
 

 
 
ISO規格の10.2に規定の
油膜に関する事項を追
加。 
ISO規格の10.2に規定の
油膜に関する事項をJIS
では,11.1に記載。 
ISO規格の10.3に規定の
圧力センサ及び組立事項
に関する事項をJISで
は,11.3及び11.4に分け
て記載。 
ブルドン管圧力計の乾燥
方法は,ISO規格は,手
で振っているが,JISは,
空気を吹き込む方法を追
加。 
ISO規格の10.3に規定の
ブルドン管圧力計及び組
立事項に関する事項を
JISでは,11.3及び11.4
に分けて記載。 

 
 
JISは,試験器別に分けて明確
にするため,記載場所を移動。 
 
JISは,試験器別に分けて明確
にするため,記載場所を移動。 
 
JISは,試験器別に分けて明確
にするため,記載場所を移動。 
 
 
 
JISは,利用者の利便性を考慮
して,旧JISで用いていた方法
を追加した。技術的な差異はな
い。 
 
JISは,試験器別に分けて明確
にするため,記載場所を移動。 
 
 
 

2

1

K

 2

2

5

8

-1

2

0

0

9

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

background image

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際規
格番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の
箇条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策 

箇条番号及び 
名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

11.4 圧力計と空
気室との接続 

追加 

ISO規格の10.3に規定の
組立事項に関する事項を
JISでは,11.4に記載。 

JISは,試験器別に分けて明確
にするため,記載場所を移動。 

12 結果の表し方 

数値はJIS Z 8401によって
丸めることを規定。 

12 
12.1  
 
12.2 

 
JISにほぼ同じ。 
 
用いた試験手順の
記載義務を記載。 

 
追加 
 
削除 

 
ISO規格では基になる規
格の記載がない。 
ISO規格の12.2に規定の
報告項目に関する事項を
JISでは,箇条14に記載。 

 
数値の丸め方を,明確に規定し
た。 
JIS様式に合わせるため,記載
場所を移動。 
 

13 精度 
 
 
 
 
 
13.1 室内併行精
度 
 
 
 
13.2 室間再現精
度 

試験結果が許容差(確率
0.95)を外れた場合にJIS Z 
8402-6を規定。 

13 
 
 
13.1  
 
 
13.2  
 
 
 
13.3  

 
 
 
一般事項として,表
1を説明。 
 
JISにほぼ同じ。 
 
 
 
JISにほぼ同じ。 

 
 
 
削除 
 
 
変更 
 
 
 
変更 

 
 
 
ISO規格の13.1の一般事
項に関する事項をJISで
は,箇条14に記載。 
航空ガソリンの適用圧力
範囲をISO規格の約50 
kPaに対し, JISでは,50 
kPa以下に変更した。 
航空ガソリンの適用圧力
範囲をISO規格の約50 
kPaに対し, JISでは,50 
kPa以下に変更した。 

 
 
 
JIS様式に合わせるため,記載
場所を移動。 
 
国内の製品規格に対応するた
めで,技術的な差異はない。 
 
 
国内の製品規格に対応するた
めで,技術的な差異はない。 
 

14 試験結果の報
告 

報告事項を規定。 

14 

JISにほぼ同じ。 

追加 

ISO規格の12.2に規定の
報告項目に関する事項を
JISでは,箇条14に記載。 

JIS様式に合わせるため,記載
場所を移動。 
 

2

2

K

 2

2

5

8

-1

2

0

0

9

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

background image

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際規
格番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の
箇条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策 

箇条番号及び 
名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

附属書A(規定) 
試験手順A,C及
びD用の試験器 
A.2 圧力計 
 
 
 
 
 
A.3 恒温槽 
 
A.4 温度計 
 
 
 
A.6 密閉形試料
容器 

 
 
 
ブルドン管圧力計及び検査
用圧力計を規定。 

 
 
 
A.2 
 
 
 
 
 
A.3 
 
A.4 
 
 
 
− 
 

 
 
 
検査用圧力計の細
分目盛は,180 kPa
未満の読みに対し
ては,0.1 kPaである
ことを規定。 
 
JISにほぼ同じ。 
 
Annex Cを引用。 
 
 
 
− 

 
 
 
追加/ 
変更 
 
 
 
 
追加 
 
変更 
 
 
 
追加 

 
 
 
JISには,図A.2を追加。 
JISは,検査用圧力計の
細分目盛は,180 kPa未満
の読みに対しては,0.2 
kPaに変更。 
 
JISには,図A.3を追加。 
 
ISO規格がAnnex Cを引
用しているのに対し,JIS
は,JIS B 7410を引用し
た。 
JISには,図A.4を追加。 
 

 
 
 
JISは試験器の構成をより明確
にするため追加した。 
国内に既に普及している試験
器を考慮し変更した。 
 
 
JISは試験器の構成をより明確
にするため追加した。 
JISは温度計を引用している
が,Annex Cに規定する温度計
の仕様に適合している。 
 
JISは,試験器の構成及び弁の
操作手順を明確にするため追
加した。 

− 

− 

 
 

Annex C 

温度計の仕様を規
定。 

削除 

JISは,温度計の附属書
を削除した。 

JISは,JIS B 7410を引用する
ため削除した。技術的差異はな
い。 

附属書JA(参考) 
試験方法の種類 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 3007:1999,MOD 

2

3

K

 2

2

5

8

-1

2

0

0

9

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
  − 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  − 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD………………国際規格を修正している。 

2

4

K

 2

2

5

8

-1

2

0

0

9

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。