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K 1603-5:2010  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 原理······························································································································· 2 

5 妨害物質 ························································································································· 2 

6 試料の採取 ······················································································································ 2 

7 A法−ボンベによる全塩素試験方法 ····················································································· 3 

7.1 試薬 ···························································································································· 3 

7.2 装置 ···························································································································· 3 

7.3 操作 ···························································································································· 4 

7.4 計算 ···························································································································· 6 

7.5 精度及び偏り ················································································································ 6 

8 B法−酸素燃焼フラスコによる全塩素試験方法 ······································································ 6 

8.1 試薬 ···························································································································· 6 

8.2 装置 ···························································································································· 6 

8.3 操作 ···························································································································· 7 

8.4 計算 ···························································································································· 8 

8.5 精度及び偏り ················································································································ 8 

9 試験報告 ························································································································· 9 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 10 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,ウレタン原料工業会(JURA),日本プラスチ

ック工業連盟(JPIF)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制

定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格であ

る。これによって,JIS K 1556:2006は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。 

JIS K 1603の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS K 1603-1 第1部:イソシアネート基含有率の求め方 

JIS K 1603-2 第2部:酸度の求め方 

JIS K 1603-3 第3部:加水分解性塩素の求め方 

JIS K 1603-4 第4部:異性体比率の求め方 

JIS K 1603-5 第5部:全塩素の求め方 

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日本工業規格          JIS 

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プラスチック− 

ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法− 

第5部:全塩素の求め方 

Plastics− 

Aromatic isocyanates for use in the production of polyurethanes− 

Part 5: Determination of total chlorine 

序文 

この規格は,2008年に第1版として発行されたISO 26603を基に,技術的内容を変更して作成した日本

工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,ポリウレタンの原料として用いる芳香族イソシアネート中に含まれる全塩素の求め方につ

いて規定する。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 26603:2008,Plastics−Aromatic isocyanates for use in the production of polyurethanes−

Determination of total chlorine(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

警告 この規格の使用者は,一般的な試験操作に精通しているのが望ましい。この規格は,これを利用す

ることによって生じる安全に関するすべての問題の処置を意図しているものではない。安全及び健康に関

する適切な基準の制定,並びに国のすべての規制への適合の確保は,この規格の使用者の責務である。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則 

JIS K 1101 酸素 

JIS K 1603-3 プラスチック−ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法−第3部:加水分解

性塩素の求め方 

JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬) 

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JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8624 炭酸ナトリウム十水和物(試薬) 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

ISO 3696,Water for analytical laboratory use−Specification and test methods 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

芳香族イソシアネート(aromatic isocyanates) 

一つ以上のイソシアネート基(-NCO)をもつ芳香族有機化合物。 

3.2 

加水分解性塩素(hydrolyzable chlorine) 

イソシアネート製品中に存在する,有機又は無機の塩素で,JIS K 1603-3に規定する条件でメタノール

と反応し,塩化水素を遊離するもの。 

3.3 

全塩素(total chlorine) 

イソシアネート中に存在する無機及び有機結合塩素で,この試験による燃焼条件で,滴定可能な塩化物

に変化するもの。 

原理 

酸素雰囲気下での燃焼によって試料中の有機物を分解し,有機的結合をもつ塩素をイオン性の塩化物に

変化させる。その塩素量を,硝酸銀溶液による電位差滴定によって測定する。この規格で求める全塩素と

加水分解性塩素(3.2参照)との差は,芳香族イソシアネートを製造するプロセスで使用した溶剤の残留量

の目安となる。 

この試験方法には,燃焼方法によってA法及びB法の二つの方法がある。A法は,試料を加圧酸素燃焼

ボンベ(以下,ボンベという。)内で燃焼する方法で,B法は,試料を大気圧のシェーニガーフラスコ(以

下,酸素燃焼フラスコという。)内で燃焼する方法である。 

注記 シェーニガーフラスコ(Schöniger flask)は,JIS K 6233-1又は,参考文献 [2] を参照。 

妨害物質 

チオシアン酸塩,シアン酸塩,硫化物,よう化物,銀イオンと反応する他の物質,及び酸性溶液中で銀

イオンを還元する物質が,測定を妨害することがある。 

試料の採取 

有機イソシアネートは,雰囲気中の水分と反応するので,試料の採取には,注意を払う必要がある。試

料の採取は,通常の雰囲気で行うと,速やかに採取したとしても,雰囲気中の水分と反応して副生する不

溶性尿素によって試料の汚染を引き起こす。したがって,常時,乾燥不活性ガス(例えば,窒素ガス又は

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アルゴンガス)又は乾燥空気で試料全体を覆う。 

警告 有機イソシアネートは,皮膚に直接触れたり,蒸気を吸入すると危険であるため,その取扱時には,

適切な換気を行い,保護手袋及び保護めがねを着用する。 

A法−ボンベによる全塩素試験方法 

7.1 

試薬 

試薬は,次による。 

7.1.1 

水 水は,ISO 3696に規定する等級2のものを用いる。 

7.1.2 

エタノール エタノールは,JIS K 8101に規定するものを用いる。 

7.1.3 

希硝酸 希硝酸は,氷浴中で冷却した100 mLの水に,100 mL の硝酸(JIS K 8541に規定する密

度1.42 g/mLのもの。)を強くかくはんしながら加えて調製したものを用いる。 

7.1.4 

酸素 酸素は,JIS K 1101に規定する,可燃物及びハロゲン化合物を含まないものを用いる。 

7.1.5 

0.01 mol/L硝酸銀標準液 0.01 mol/L硝酸銀標準液は,JIS K 8550に規定する硝酸銀を用いて調製

し,JIS K 8180に規定する塩酸を用いて質量測定法又は電位差滴定法によって,0.000 5 mol/Lの差まで検

出できるように標定したものを用いる。 

7.1.6 

50 g/L炭酸ナトリウム溶液 50 g/L炭酸ナトリウム溶液は,JIS K 8624に規定する炭酸ナトリウム

十水和物135 gを1 Lの水に溶かして調製したものを用いる。 

7.2 

装置 

装置は,次による。 

7.2.1 

ひょう量瓶及びはかり ひょう量瓶及びはかりは,液体試料をひょう量できるもので,かつ,液体

試料を0.5 mgまではかりとれるものを用いる。 

7.2.2 

ボンベ ボンベは,純酸素で40気圧まで加圧可能な防食鋼材製の容器で,内部のヒューズ線(7.2.3)

を用いて試料を電気的に着火燃焼できるもので,試料の燃焼による圧力上昇に耐えるものを用いる。この

容器としてParr 1108 Oxygen combustion bomb(図1参照)が適している。同等の結果が得られる場合は,

これと同様な他のものを用いてもよい。 

注記 Parr 1108 Oxygen combustion bombは,Parr Instrument Company社(アメリカ)から購入できる。

この情報は,この規格の利用者の便宜を図って記載するもので,この製品を推奨するものでは

ない。 

7.2.3 

ヒューズ線 ヒューズ線は,鉄/ニッケル/クロム合金の電線で,34BSゲージ(直径が0.160 1 mm)

又はこれと同等の太さのものを用いる。 

7.2.4 

電位差滴定装置 電位差滴定装置は,JIS K 0113に規定するもので,ガラス電極(銀−塩化銀電極)

及び10 mL マイクロビュレットを備えた自動(推奨)又は手動のものを用いる。 

7.2.5 

泡カウンタ 泡カウンタは,100 mLの目盛付き容器(L字形ガラス管)と導管又はゴム管とをつ

ないで構成する。目盛付き容器は,0.1 mol/L硝酸銀溶液3 mL及び濃硝酸1滴を添加した水で,50 mLま

で満たしたものを用いる。 

注記 泡カウンタの目盛付き容器内液に次第に生じる濁りは,燃焼の際に発生する塩化水素ガスが排

気されていることを示している。 

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ボンベ本体 

ヒューズ線 

燃焼皿 

電極 

吸気弁 

排気弁(ニードル弁) 

ボンベ外ふた 

ボンベ内ふた 

環状電極 

10 パッキングリング 

11 端子 

12 泡カウンタ 

図1−ボンベ及び泡カウンタの例 

7.3 

操作 

操作は,次による。 

a) ボンベ,酸素配管及び接続金具には,油及び/又はグリースが付着していないことを確認する。 

警告 油又はグリースは,少量の付着でも激しい爆発の可能性があるので注意する。 

ボンベを繰り返し使用すると,内部表面に薄膜が生じることがある。その場合,旋盤を用いて,回

転数約300 rpmでボンベを回転させ,軽機械油を塗った粒度P100〜P120又は同等の研磨紙で研磨し,

その後,砂を含有しない酸化クロムと水とからなるペーストを用いて内部表面を研磨して薄膜を取り

除く。この操作で,表面を研磨している間に,特に深いくぼみ以外の部分は除去される。ボンベは,

用いる前に石けん及び水で洗浄し,残った切削油又はペーストを取り除く。表面に凹凸のあるボンベ

は,前試料の塩素が付着している可能性があるので,用いない方がよい。 

b) 燃焼皿中に,試料0.9 gを±0.5 mgまではかりとる。 

100 mL 

50 mL 

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警告 1 gを超える試料を用いると激しい燃焼,爆発など安全上の問題が発生するので注意する。 

c) 100 mm長さのヒューズ線(7.2.3)を二つの電極に接続する。環状の電極に燃焼皿を取り付け,燃焼

カプセルの中でヒューズ線の位置を調整し,燃焼皿に接触せずに試料表面より下にくるようにする。

50 g/L炭酸ナトリウム溶液(7.1.6)約5 mLをボンベに入れ,小さなゴム製スパチュラを用いて,ボ

ンベ内ふたも含めて,できるだけ完全に,ボンベの内壁をぬ(濡)らす。ボンベ内ふたの周りにパッ

キングリングを取り付けて,ボンベ本体に入れ,ボンベ外ふたを手でしっかりと締める。ボンベに付

属している専用レンチで排気弁をしっかりと閉め,主酸素弁を少し開く。作業台に備えた支持器具に

ボンベを取り付け,適切なサイズのヘックスレンチを使って支持器具できつく閉める。酸素を満たし

た継手の接合部をボンベの吸気弁に取り付ける。2.03 MPa〜2.53 MPaまで(カップから試料を吹き飛

ばさないように)ゆっくりと酸素を入れる。ボンベの制御弁を閉め,酸素ボンベの圧力計で圧力を観

察する。徐々に圧力が低下して漏れが示唆される場合は,すべての接合部を検査し,しっかりと締め

る。漏れが止まって圧力が一定になるまで試験を実施してはならない。酸素ボンベから圧力を開放し,

ボンベの接続を外す。弁のつまみナットを酸素吸気弁に取り付け,手でしっかりと締める。 

警告 この時点から,ボンベに点火し,冷却し,酸素をすべて抜くまで十分注意する必要がある。 

d) ボンベの点火装置の電源プラグを抜く。水で満たした容器の中心部にボンベを浸し,酸素の漏れの有

無を目視で検査する。排気弁(ニードル弁)の気密性が不十分な場合は,排気弁(ニードル弁)のナ

ットを回してパッキングを少し強く締める。すべての漏れが止まるまではボンベに点火してはならな

い。ボンベは,燃焼が終了するまで容器内でボンベをボンベの高さの3/4まで水に浸し,常時周りに

冷却水を循環させる。 

警告 点火装置がショートすると,ボンベの周辺に大きな感電の危険性が発生する。ボンベ及び容

器に触れるときは,この感電防止のため電気プラグは必ず抜いておく。 

e) ボンベ上部の端子から冷却しているボンベの内部の点火装置に通電し,点火する。ボンベ内で正常に

燃焼すれば,赤色指示光が点灯する。赤色指示灯が消えたら,電気プラグを抜く。ボンベに注意深く

触れ,冷たい場合は,試験が不完全であるので,a)〜d) の操作を繰り返す。 

f) 

少なくとも10分間ボンベを冷却し,その後,容器から取り出して排気弁に泡カウンタを接続する。圧

力をゆっくりと少なくとも2分間をかけて一定の速さで抜く。気体をすべて排出した後,ボンベを開

けて内容物を確認する。微量の燃焼しなかった試料又はすすがあれば,不完全燃焼であったことを示

しており,再試験しなければならない。 

g) ボンベ内ふた,電極,燃焼皿及びボンベ本体内壁を,次のように注意深く洗浄する。ボンベ本体内壁

を約25 mLの水で洗浄し,燃焼皿を満たす。ボンベ本体内部及びボンベ内ふたの内側表面を小さなゴ

ム製スパチュラでこするように洗い,その後,スパチュラをすすぎ,ボンベ内のすすぎ水を回収する。 

ボンベの洗浄物を,250 mLビーカにすすぎ入れる。 

試験は,ボンベ内壁に蓄積する塩化物の影響を最小限にするために,塩素量の低い試料から試験す

る。塩素量の高い試料と低い試料とを交互に試験することは避けた方がよい。 

ビーカ内の洗浄物を約20 mLまで濃縮する。次いで,10 ℃未満に冷却し希硝酸(7.1.3)を滴下し

て溶液をメチルレッド指示薬で酸性にする。ガラス電極を入れ,エタノール(7.1.2)60 mL〜100 mL

を加えて電極先端部を浸す。溶液を10 ℃に冷却し,0.01 mol/L硝酸銀標準液(7.1.5)で電位差滴定す

る。終点近くでは0.1 mLごとに0.01 mol/L硝酸銀標準液を滴下する。 

h) 試料を添加せずに,a)〜g) の操作によって空試料を滴定する。 

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7.4 

計算 

全塩素は,次の式によって,質量分率(%)として算出する。質量分率(%)は,小数点以下5けたま

で算出し,JIS Z 8401によって,小数点以下4けたに丸める。 

(

)

m

C

B

A

T

×

×

=

55

.3

ここに, 

T: 全塩素(質量分率%) 

A: 試料の滴定に要した硝酸銀標準液量(mL) 

B: 空試験滴定に要した硝酸銀標準液量(mL) 

C: 硝酸銀標準液の濃度(mol/L) 

m: 試料の質量(g) 

3.55: 塩素のモル質量(35.5 g/mol)とmgからgへの

変換係数(1 000)及び質量分率(%)への変換
係数(100)とを組み合わせた係数(g/mol) 

7.5 

精度及び偏り 

7.5.1 

精度 

結果の妥当性の判断は,次による。 

a) 繰返し精度(併行精度) 同一日に,同一装置を用いて,同一人によって得られた2回の測定結果の

差が,全塩素で0.015 %を超える場合は,その結果を採用できない。 

b) 再現精度(試験室間) 同一試料の異なる試験室での測定結果の差が,全塩素で0.03 %を超える場合

は,その結果を採用できない。 

7.5.2 

偏り 

この試験方法での偏りは,確定されていない。 

B法−酸素燃焼フラスコによる全塩素試験方法 

8.1 

試薬 

試薬は,次による。 

8.1.1 

希硝酸 希硝酸は,氷浴中で冷却した100 mLの水に,100 mL の硝酸(JIS K 8541に規定する密

度1.42 g/mLのもの。)を強くかくはんしながら加えて調製したものを用いる。 

8.1.2 

酸素 酸素は,JIS K 1101に規定する,可燃物及びハロゲン化合物を含まないものを用いる。 

8.1.3 

0.01 mol/L硝酸銀標準液 0.01 mol/L硝酸銀標準液は,JIS K 8550に規定する硝酸銀を用いて調製

し,JIS K 8180に規定する塩酸を用いて質量測定法又は電位差滴定法によって,0.000 5 mol/Lの差まで検

出できるように標定したものを用いる。 

8.1.4 

10 g/L炭酸ナトリウム溶液 10 g/L炭酸ナトリウム溶液は,JIS K 8624に規定する炭酸ナトリウム

十水和物27 gを1 Lの水に溶かして調製したものを用いる。 

8.2 

装置 

装置は,次による。 

8.2.1 

酸素燃焼フラスコ 酸素燃焼フラスコは,共栓(24/40標準)付き1 000 mLのフラスコ(図2参照)

で,共栓に直径2 mmの白金線が埋め込まれているものを用いる。45メッシュの0.2 mm白金金網で図3

に示すかごが付いているものを用いる。 

注記 かごは,手指の皮膚からの汗などの汚染による少量の塩素の付着があると,結果に影響を与え

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るので,ピンセットを用いて作製する。 

 
 
 
 
1 共栓(   ) 

図2−酸素燃焼フラスコの例 

単位 mm 

 
1 共栓(   ) 
2 白金線(φ 2) 

3 白金かご(網目0.4〜1.0) 
4 上面は白金線網 
5 径10〜13(底面をあける) 

図3−酸素燃焼フラスコの白金かご付き共栓の例 

8.2.2 

脱脂綿 脱脂綿は,質量約50 mgの正方形に切り出したものを用いる。 

8.2.3 

ろ紙 ろ紙は,6.4 mm×25.4 mmに切り出したものを用いる。 

8.2.4 

ひょう量ビュレット又は滴下瓶 

8.2.5 

ピンセット ピンセットは,正方形の脱脂綿の取扱いに用いる。 

8.2.6 

電位差滴定装置又はpHメータ 電位差滴定装置又はpHメータは,ガラス電極(銀−塩化銀電極)

のものを用いる。 

8.2.7 

マイクロビュレット マイクロビュレットは,JIS R 3505に規定する5 mLの容量で0.01 mLごと

に目盛があるものを用いる。 

8.2.8 

マグネチックスターラ 

8.3 

操作 

操作は,次による。 

a) 空の酸素燃焼フラスコに25 mLの10 g/L炭酸ナトリウム溶液(8.1.4)を入れる。適度の流量の酸素を,

燃焼フラスコに約30秒間流して,内部の清掃及び空気の置換を行う。 

b) 燃焼フラスコを酸素で置換している間に,ピンセットで正方形の脱脂綿及びろ紙の細長い片(点火ヒ

ューズ)を白金かごに入れる。約0.2 gの試料を0.5 mgまでひょう量ビュレットではかりとり,脱脂

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綿に吸収させる。 

注記 このすべての操作において,手指の皮膚からの汗などによる汚染を防ぐために,脱脂綿及び

ろ紙片をピンセットで取り扱う。 

c) 片方の手で燃焼フラスコをほぼ水平に持ち,他方の手で共栓を持ち,ブンゼンバーナで共栓の先端の

白金かご内のろ紙(点火ヒューズ)に点火し,素早く共栓を酸素燃焼フラスコに差し込む。一連の作

業で共栓をしっかり締めた後,中の液が共栓の方に流れるように傾ける。この液が共栓のシールの役

割を果たす。共栓は,しっかりと保持する。 

警告 点火すると酸素燃焼フラスコ内の圧力が突然上昇することがある。試料が燃焼している間は,

安全壁の背後で,皮革又は厚いビニルの手袋で酸素燃焼フラスコを扱う。酸素燃焼フラスコ内で赤

外線ランプで黒色の発火用ろ紙に点火するシェーニガー燃焼点火装置のような安全性を考慮したキ

ャビネット内で燃焼を行うことが強く望まれる。 

d) 燃焼が完了したら,白金がぬ(濡)れないように注意しながら,酸素燃焼フラスコを回転し,フラス

コの内面をぬ(濡)らし,5〜10分間放置する。 

e) 共栓を取り外し,酸素で酸素燃焼フラスコ内を置換し,更に2回,同じ酸素燃焼フラスコと同じ試料

0.2 gでb)〜d) の操作を繰り返す。燃焼に用いた試料の全量を0.5 mgまで正確にひょう量ビュレット

ではかりとる。酸素燃焼フラスコ内の溶液を100 mLビーカに移し,少量の10 g/L炭酸ナトリウム溶

液で燃焼フラスコの内部をすすぎ,その液を100 mLビーカに加える。この溶液に希硝酸を滴下して

メチルレッドに対して酸性にし,0.1 mLを過剰に加える。マグネチックスターラでかくはんしながら,

5 mLマイクロビュレットを用いて,0.01 mol/L硝酸銀標準液で電位差滴定(銀−塩化銀電極のガラス

電極)を行う。 

f) 

試料がない状態で,a)〜e) の操作で空試験を行う。 

8.4 

計算 

全塩素は,次の式によって,質量分率(%)として算出する。質量分率(%)は,小数点以下5けたま

で算出し,JIS Z 8401によって,小数点以下4けたに丸める。 

(

)

m

C

B

A

T

×

×

=3.55

ここに, 

T: 全塩素(質量分率%) 

A: 試料の滴定に要した硝酸銀標準液量(mL) 

B: 空試験滴定に要した硝酸銀標準液量(mL) 

C: 硝酸銀標準液の濃度(mol/L) 

m: 試料の質量(g) 

3.55: 塩素のモル質量(35.5 g/mol)とmgからgへの

変換係数(1 000)及び質量分率(%)への変換
係数(100)とを組み合わせた係数(g/mol) 

8.5 

精度及び偏り 

8.5.1 

精度 

結果の妥当性の判断は,次による。 

a) 繰返し精度(併行精度) 同一日に,同一装置を用いて,同一人によって得られた2回の測定結果の

差が,全塩素で0.015 %を超える場合は,その結果を採用できない。 

b) 再現精度(試験室間) 同一試料の異なる試験室での測定結果の差が,全塩素で0.03 %を超える場合

は,その結果を採用できない。 

K 1603-5:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8.5.2 

偏り 

この試験方法での偏りは,確定されていない。 

試験報告 

試験報告には,次の事項を含める。 

a) この規格の番号(JIS K 1603-5) 

b) 試料を特定するために必要な事項(生産者,製品名,ロット番号,製造データなど) 

c) 試験結果 全塩素[質量分率(%)] 

d) 試験年月日 

e) この規格には規定していないが,結果に影響を及ぼす可能性のある補足事項。 

参考文献 [1] JIS K 6233-1 ゴム−全硫黄の定量−第1部:酸素燃焼フラスコ法 

[2] Microchemie, Springer Publishers, Vienna, Austria, Vol.42, 1955, p.123又はVol.43, 1956, p.869 

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10 

K 1603-5:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS K 1603-5:2010 プラスチック−ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方
法−第5部:全塩素の求め方 

ISO 26603:2008 Plastics−Aromatic isocyanates for use in the production of 
polyurethanes−Determination of total chlorine 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範
囲 

削除 

対応国際規格にある“この規格
は,脂肪族イソシアネート類を
含む,…試料の採取量は調製す
る必要がある。”を削除した。 

この部分の詳細規定は,この規格
にはなく,使用者に誤解を与える
可能性があるので削除した。 
対応:ISOに提案する。 

7.1 試薬 

7.1.2 エタノール 

7.1 

7.1.3 

変更 

この規格では,エタノールの規
定としてJIS K 8101を引用し
た。 

使用者の利便性及び規定の明確化
のために変更した。技術的差異な
し。 

7.1.3 希硝酸 

7.1.4 

この規格では,希硝酸を調製す
るために硝酸の規定としてJIS 
K 8541を引用した。 

7.1.4 酸素 

7.1.5 

この規格では,酸素の規定とし
てJIS K 1101を引用した。 

7.1.5 0.01 mol/L硝
酸銀標準液 

7.1.6 

この規格では,硝酸銀溶液を調
製するために硝酸銀の規定と
してJIS K 8550を引用した。
また,硝酸銀溶液の標定に用い
る塩酸の規定としてJIS K 
8180を引用し,標定方法とし
て,JIS K 8001を参考とした。 

7.1.6 50 g/L炭酸ナ
トリウム溶液 

7.1.7 

この規格では,炭酸ナトリウム
溶液を調製するために炭酸ナ
トリウム十水和物の規定とし
て,JIS K 8624を引用した。 

3

K

 1

6

0

3

-5

2

0

1

0

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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11 

K 1603-5:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

7.2 装置 

7.2.4 電位差滴定装
置 

7.2 

7.2.4 

変更 

この規格では,電位差滴定装置
の規定としてJIS K 0113を引
用した。 

使用者の利便性及び規定の明確化
のために変更した。技術的差異な
し。 

7.2.5 泡カウンタ 

7.2.5 

追加 

泡カウンタの図を図1に追加
した。 

7.3 操作 

7.3 

変更 

国内で用いられている粒度の
表示に変更した。 

利用者の利便性及び規定の明確化
のために変更した。技術的差異な
し。 

7.4 計算 

7.4 

変更 

算出した質量分率の丸め方を
追加した。 

使用者の利便性及び規定の明確化
のために変更した。技術的差異な
し。 

8.1 試薬 

8.1.1 希硝酸 
8.1.2 酸素 
8.1.3 0.01 mol/L硝酸
銀標準液 
8.1.4 10 g/L炭酸ナ
トリウム溶液 

8.1 

8.1.1 
8.1.2 
8.1.3 
 
8.1.4 

変更 

7.1.3と同様 
7.1.4と同様 
7.1.5と同様 
 
7.1.6と同様 

使用者の利便性及び規定の明確化
のために変更した。技術的差異な
し。 

8.2 装置 

8.2.1 酸素燃焼フラ
スコ 

8.2 

8.2.1 

変更 

酸素燃焼フラスコの例(図2),
酸素燃焼フラスコの白金かご
付き共栓の例(図3)を追加し
た。 

使用者の利便性及び規定の明確化
のために変更した。技術的差異な
し。 

8.2.7 マイクロビュ
レット 

8.2.7 

ISO規格には規定なし。 

利用者の利便性及び規定の明確化
のために変更した。技術的差異な
し。 

8.4 計算 

8.4 

変更 

算出した質量分率の丸め方を
追加した。 

使用者の利便性及び規定の明確化
のために変更した。技術的差異な
し。 

 
 
 
 

3

K

 1

6

0

3

-5

2

0

1

0

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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K 1603-5:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 26603:2008,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
  − 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  − 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD················ 国際規格を修正している。 

3

K

 1

6

0

3

-5

2

0

1

0

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。