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K 0450-10-10:2006  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本工業

用水協会(JIWA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの

申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 0450-10-10:2000は改正され,この規格に置き換えられる。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS K 0450-10-10には,次に示す附属書がある。 

附属書1(規定)試験に使用する水の質の確認方法 

附属書2(規定)感度係数を用いる濃度の算出方法 

附属書3(参考)装置の定量範囲の下限値を確認する場合の方法 

JIS K 0450の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS K 0450-10-10 工業用水・工場排水中のビスフェノールA試験方法 

JIS K 0450-20-10 工業用水・工場排水中のアルキルフェノール類試験方法 

JIS K 0450-30-10 工業用水・工場排水中のフタル酸エステル類試験方法 

JIS K 0450-40-10 用水・排水中のアジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)試験方法 

JIS K 0450-50-10 用水・排水中のベンゾフェノン試験方法 

K 0450-10-10:2006  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 共通事項 ························································································································ 1 

4. 試料 ······························································································································ 2 

4.1 試料の採取 ··················································································································· 2 

4.2 試料の取扱い ················································································································ 2 

5. 試料の前処理 ·················································································································· 2 

5.1 溶媒抽出法 ··················································································································· 2 

5.2 固相抽出法 ··················································································································· 4 

5.3 クロマトグラフ分離及び誘導体化······················································································ 6 

6. ガスクロマトグラフ質量分析法 ·························································································· 8 

6.1 試薬 ···························································································································· 8 

6.2 器具及び装置 ················································································································ 8 

6.3 操作 ···························································································································· 9 

6.4 検量線 ························································································································ 10 

7. 結果の表示 ···················································································································· 11 

附属書1(規定)試験に使用する水の質の確認方法 ···································································· 13 

附属書2(規定)感度係数を用いる濃度の算出方法 ···································································· 14 

附属書3(参考)装置の定量範囲の下限値を確認する場合の方法 ·················································· 15 

  

   

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日本工業規格          JIS 

K 0450-10-10:2006 

工業用水・工場排水中のビスフェノールA試験方法 

Testing method for bisphenol A in industrial water and waste water 

1. 適用範囲 この規格は,工業用水及び工場排水中の 4,4′-(1-メチルエチリデン)ビスフェノール(ビ

スフェノールA)(C15H16O2)(CAS No.80-05-7)の試験方法について規定する。 

2. 引用規格 付表1に示す規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成

する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

3. 共通事項 共通事項は,次による。 

a) 通則 化学分析に共通する一般事項は,JIS K 0050による。 

b) 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0101,JIS K 0102,JIS K 0211又はJIS K 0215に

よる。 

c) ガスクロマトグラフ質量分析法 ガスクロマトグラフ質量分析法に共通する一般事項は,JIS K 0123

による。 

d) 化合物の名称 化合物の名称は,社団法人日本化学会が定めた化合物命名法[国際純正及び応用化学

連合(IUPAC)の有機化学命名法に基づく。]によるものを用い,その末尾に慣用名を括弧で記載してあ

る。 

e) 水 この規格で用いる水は,JIS K 0557に規定するA1〜A4の水とする。 

f) 

試薬  

1) 試薬は,日本工業規格(以下,JISという。)に規定されているもので試験に支障のないものを用い

る。JISに規定されていないものは,試験に支障のないものを用いる。 

2) 標準液の濃度は,mg/ml,μg/ml又はng/mlで表す。 

3) AとBの混合溶液濃度は,C(a+b)で表す。この表し方は,AとBをa mlとb mlの割合で混合した

ことを示す。 

4) 標準液の名称の後に括弧で示す濃度は,正確な濃度であることを意味する。 

5) 試薬類の名称は,国際純正及び応用化学連合(IUPAC)の無機化学命名法及び有機化学命名法を基に

して社団法人日本化学会が定めた化合物命名法及びJIS試薬の名称とできるだけ整合させている。 

6) 標準液の調製に使用する試薬は,可能な限りトレーサビリティが確保された標準物質又は認証標準

物質を使用する。入手できない場合は,純度と不確かさが明らかなものを用いる。この規格では,

“標準品”と記述してある。それらの中には類似した化合物が不純物として含まれることがあるの

で,試験に支障のないものを使用する。 

7) 試薬類及び廃液類などによる室内汚染,人体への吸入及び付着に注意する。また,その取扱いにつ

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いては,関係法令,規則などに従い,十分に注意する。 

g) ガラス器具類 ガラス器具類についての共通事項は,次による。 

1) ガラス器具類は,特に断らない限りJIS R 3503及びJIS R 3505に規定するものを使用する。ただし,

分液漏斗などのコック部には,四ふっ化エチレン樹脂製のものを用いてもよい。また,加熱操作を

伴う場合には,JIS R 3503に規定するほうけい酸ガラス-1を用いる。 

デシケーターに用いる乾燥剤は,特に断らない限りシリカゲル(1)とする。 

注(1) JIS Z 0701に規定する包装用シリカゲル乾燥剤A形1種を用いる。 

2) 試験に用いるガラス器具類は,使用前に5.1.1a)の水で洗浄した後,更に,アセトン(JIS K 8040に

規定する濃縮300以上の品質のもの。)で洗浄し,放置してアセトンを揮散させた後,約200 ℃で

約2時間加熱し,汚染のないところで放冷する。 

h) 検量線 検量線の作成に当たっては,試験方法に示される定量範囲内を4〜6段階に分け,ガスクロマ

トグラフ質量分析計へ導入するビスフェノールAの量がその量に一致するように標準液をとり,定量

範囲内について作成する。 

4. 試料  

4.1 

試料の採取  

4.1.1 

試料容器 試料容器は,共栓ガラス瓶1 000 ml(2)を用いる。 

注(2) 共栓の代わりにねじぶた(四ふっ化エチレン樹脂製のパッキン付き)を用いてもよい。 

4.1.2 

採取操作 採取操作は,次による。 

a) 表層水の採取 JIS K 0094の4.1.1(試料容器による採取)又は4.1.2(バケツ類による採取)による。 

b) 各深度の水の採取 JIS K 0094の4.1.4(バンドーン採水器による採取)による。 

c) 配管装置からの採取 JIS K 0094の4.3(採取弁を用いる採取)による。 

4.2 

試料の取扱い 試験は試料採取後,直ちに行う。直ちに行えない場合には,0〜10 ℃の暗所に保存

し,できるだけ早く試験する。冷所に保存する場合には,凍結させないようにする。 

5. 試料の前処理 試料の前処理には,溶媒抽出法又は固相抽出法を適用し,対象成分を濃縮した後,カ

ラムクロマトグラフ分離及び誘導体化を行う。固相抽出法は,懸濁物を含む試料では,抽出に影響を及ぼ

すことがあるので注意する。 

なお,試料中に懸濁物が多量に含まれる場合には,5.1.3の備考の操作を行う。 

5.1 

溶媒抽出法 試料に塩酸を加えてpHを約3に調節し,塩化ナトリウムを添加後,内標準物質として

ビスフェノールA-d16を加え,ジクロロメタンを用いて抽出後,抽出液を,脱水,濃縮する(3)。 

注(3) 3. f) 7)による。 

5.1.1 

試薬 試薬は,次による。 

a) 水 3.e)のA4(又はA3)を用いる(4)。試薬の調製,操作,空試験に用いる。 

注(4) 精製直後のものを用いる。必要な場合には,使用前に附属書1の操作を行い,ビスフェノール

Aの保持時間に相当する位置にピークのないことを確認する。さらに,精製が必要な場合には,

JIS K 0557の4.の備考6.による。又はA4又はA3の水を活性炭などで処理する。 

b) 塩酸(1 mol/L) JIS K 8180に規定する塩酸を用いて調製する。 

c) 塩化ナトリウム JIS K 8150に規定する塩化ナトリウムを約600 ℃で約60分間加熱した後,デシケ

ーター中で放冷する。 

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d) 硫酸ナトリウム JIS K 8987に規定する硫酸ナトリウムを約600 ℃で約60分間加熱した後,デシケ

ーター中で放冷する。 

e) アセトン JIS K 8040に規定する濃縮300以上の品質のもの(5)。 

注(5) 使用前に,30 mlを用いて5.1.3のd)及びe)に準じた操作を行い,得られた濃縮液を用いて5.3.3 

のg)及びh)の誘導体化の操作を行う。この溶液を用いて6.3 c)の操作を行い,ビスフェノールA

の保持時間に相当する位置にピークのないことを確認する。 

f) 

ジクロロメタン JIS K 8117に規定する濃縮300以上の品質のもの(6)。 

注(6) 使用前に,120 mlを用いて5.1.3のd)及びe)に準じた操作を行い,得られた濃縮液を用いて5.3.3 

のg)及びh)の誘導体化の操作を行う。この溶液を用いて6.3 c)の操作を行い,ビスフェノールA

の保持時間に相当する位置にピークのないことを確認する。 

g) ビスフェノールA-d16内標準液(10 μg/ml-アセトン) ビスフェノールA-d16(C15H16O2-d16)の標準品

0.100 gを全量フラスコ100 mlにとり,アセトンを標線まで加える。この溶液1 mlを全量フラスコ100 

mlにとり,アセトンを標線まで加える(7)。 

注(7) 5 ℃以下の暗所に保存する。 

h) ビスフェノールA-d16内標準液(1 μg/ml-アセトン) ビスフェノールA-d16内標準液(10 μg/ml-アセ

トン)1 mlを全量フラスコ10 mlにとり,アセトンを標線まで加える(7)。 

i) 

窒素 JIS K 1107に規定する高純度窒素2級 

備考 ビスフェノールA重水素化物には,重水素の数が16のものと,6,8のものがあり,いずれを

使用してもよい。ただし,重水素の数が16のものは,誘導体化したときヒドロキシル基の重水

素はTMSとの置換によってなくなる。 

5.1.2 

器具 器具は,次による。 

a) 分液漏斗 1 000〜2 000 ml。 

b) 目盛付き共栓試験管 10〜20 ml。0.5 ml及び1 mlに目盛のあるもの。 

c) 共通すり合わせ三角フラスコ 100〜500 mlのもの。 

d) マイクロシリンジ 100〜200 μlのもの。 

e) 濃縮器 ロータリーエバポレーター又はクデルナ−ダニッシュ濃縮器(8)。 

注(8) 毛細管を付けないもの。 

f) 

濃縮器用フラスコ ロータリーエバポレーターを用いる場合は,なす形フラスコ。クデルナ−ダニッ

シュ濃縮器を用いる場合は,濃縮管付き濃縮フラスコ。100〜500 mlの共通すり合わせで濃縮器に接

続できるもの。 

g) 振とう器  

5.1.3 

操作 操作は,次による。 

a) 4.1.2で採取した試料(9)の適量(例えば,1 L)を分液漏斗にとり,塩酸(1 mol/L)を加えて,pHを約3

に調節し,液量1 Lについて塩化ナトリウム30 gを加える(10)。続いてビスフェノールA-d16内標準液

(1 μg/ml-アセトン)100 μlをマイクロシリンジを用いて添加し,液量1 Lについてジクロロメタン50 

mlを加え,振とう器を用いて約10分間振り混ぜ,放置する。 

注(9) 試料中に懸濁物が多量に含まれる場合には,5.1.3の備考の操作を行う。 

(10) 海水の場合は,塩化ナトリウムの添加は行わない。 

b) ジクロロメタン層を共通すり合わせ三角フラスコに移し入れる。分液漏斗の水層に液量1 Lについて

ジクロロメタン50 mlを加え,振とう器を用いて約10分間振り混ぜ,放置する。ジクロロメタン層を

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先の共通すり合わせ三角フラスコに合わせる。 

c) 共通すり合わせ三角フラスコ中のジクロロメタン溶液100 mlについて硫酸ナトリウム20〜30 g(11)を

加え,軽く振り混ぜ,約10分間放置して脱水(12)する。ろ紙5種A(又は5種B)(13)を用いてろ過し,

ろ液を濃縮器用フラスコに受ける。ジクロロメタン溶液を入れた共通すり合わせ三角フラスコは,少

量のジクロロメタンで2回又は3回洗浄する。さらに,その洗液で,先のろ紙及びろ紙上の硫酸ナト

リウムも洗浄し,洗液を濃縮器用フラスコに合わせる。 

注(11) エマルションが生じた場合には,更に過剰に加える必要がある。 

(12) このほかに,ジクロロメタン溶液を−20 ℃の暗所に保存し,水分を凍結させて分離する方法も

ある。濃縮操作を当日行わない場合に用いるとよい。 

(13) ろ紙は,使用時にジクロロメタンで洗浄する。 

d) 濃縮器を用いて,約40 ℃の水浴中で加熱(14)しながら,ジクロロメタン溶液を約5 mlになるまで濃縮

する。 

注(14) ロータリーエバポレーターを用いた場合は,約40 ℃の水浴中で加熱しながら減圧濃縮する。

乾固しないように注意する。クデルナ−ダニッシュ濃縮器を用いる場合は,減圧方式ではなく,

大気圧下で75 ℃以下で加熱して濃縮する。濃縮終了後,スニーダーカラムを濃縮部に付けた

まま装置から取り外し,スニーダーカラムの上部から少量のジクロロメタンを加えて洗浄し,

スニーダーカラムを付けたまま放冷する。 

e) この濃縮液を目盛付き共栓試験管に移す。濃縮に用いた濃縮器用フラスコをジクロロメタン2〜3 ml

で洗浄し,その洗液も目盛付き共栓試験管に合わせる。これを約40 ℃の水浴中で加熱しながら,溶

液に窒素を緩やかに吹き付け,約0.5 mlになるまで濃縮する(15) (16)(17)。 

注(15) 直ちに6.3の操作を行わない場合には,この濃縮液を−20 ℃の暗所に保存する。 

 (16) カラムクロマトグラフ分離を省略する場合は,5.3.3f)の操作に移る。 

(17) 窒素を吹き付ける操作では,濃縮液が飛散しないように注意する。濃縮液の表面が動いている

のがようやく見える程度に窒素の流量を調節する。また,乾固させると窒素の吹き付けによっ

て対象物質が揮散することがあるので注意する。 

f) 

空試験用として試料に代え,試料と同量の水を分液漏斗にとり,a)〜e)の操作を行う。 

備考 試料中に懸濁物が多量に含まれる場合には,次の操作を行い,続いて5.1.3 a)の塩化ナトリウム

を添加する以降の操作を行う。 

1) 4.1.2で採取した試料をよく振り混ぜ,懸濁物を均一に分散させた後,その適量をとり,ア

セトンで洗浄した孔径1 μmのガラス繊維ろ紙を用いて吸引ろ過[JIS K 0102の14.1(懸濁

物質)のろ過器(分離形)を用いる。]する。 

2) ガラス繊維ろ紙上の懸濁物は,ガラス繊維ろ紙ごとビーカーに移し,アセトン約10 mlを

加え,溶出操作を超音波洗浄器を用いて2回又は3回行う。溶出液を合わせ,濃縮器を用

いて減圧濃縮を行い,約5 mlになるまで濃縮する。 

3) 1)のろ液及び2)の濃縮液を分液漏斗にとり,塩酸(1 mol/L)を加えてpHを約3に調節する。

続いて,5.1.3 a)の塩化ナトリウムを添加する以降の操作を行う。 

5.2 

固相抽出法 試料に塩酸を加えてpHを約3.5に調節し,内標準物質としてビスフェノールA-d16を

加え,固相カラム又は固相ディスクを用い,加圧法(18)又は減圧法(19)で通水して対象物質を吸着させた後,

ジクロロメタンで溶出し,約40 ℃で,濃縮する(3)。 

注(18) 固相カラムに対して試料を加圧状態で送り込む方法をいう。 

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装置は,調節部及びポンプ部から成り,調節部は,試料を流す時間及び通水流量を制御する。 

ポンプ部は,シリンジを用いる方式とペリスタルティックポンプを用いる方式がある。シリ

ンジの場合は,チューブは四ふっ化エチレン樹脂製のものを使用する。ペリスタルティックポ

ンプの場合は,使用する溶媒に適したポンプ用チューブを用いる。 

(19) 固相カラムの底部側を減圧状態として試料を送り込む方法をいう。 

装置は,吸引用配管部と真空ポンプ又はアスピレーターから成る。減圧法は,固相の通液抵

抗のばらつき,試料中の懸濁物などによって流量を一定に保つことが困難であるが,簡易な装

置で一度に多数の試料を処理できるなど有効な場合もある。 

5.2.1 

試薬 試薬は,次による。 

a) 水 5.1.1 a)による。 

b) 塩酸(1 mol/L) 5.1.1 b)による。 

c) アセトン 5.1.1 e)による。 

d) ジクロロメタン 5.1.1 f)による。 

e) アセトン-ジクロロメタン溶離液(1+6)  

f) 

ビスフェノールA-d16内標準液(1 μg/ml-アセトン) 5.1.1 h)による。 

g) 窒素 5.1.1 i)による。 

5.2.2 

器具 器具は,次による。 

a) 目盛付き共栓試験管 5.1.2 b)による。 

b) マイクロシリンジ 5.1.2 d)による。 

c) 固相カラム 内径10 mm,長さ30〜50 mmのカートリッジ。カラム充てん剤は,シルカゲルに逆相系

を化学結合したもの又は合成吸着剤を充てんしたもの。合成吸着剤は,多孔性のスチレンジビニルベ

ンゼン共重合体又はこれと同等の性能をもつもの。使用前にアセトン約10 ml及び水約10 mlを通し

て洗浄しておく。 

備考 固相は,市販品にはディスク形のものもあり,これを用いてもよい。その場合,試料の流量及

び溶出溶媒の必要量についてはあらかじめ確認しておく。 

参考 固相カラム又は固相ディスクには,市販品として次のようなものがある。 

Sep-Pak PS-2,OasisTMHLB,InertSep RP-1,abselut NEXUSなどのカートリッジ形,エムポア

ディスクSDB-RPSなど。 

5.2.3 

操作 操作は,次による。 

a) 4.1.2で採取した試料の適量(例えば,1 L)(20)をとり,塩酸(1 mol/L)を加えてpHを約3.5に調節し,

ビスフェノールA-d16内標準液(1 μg/ml-アセトン)100 μlをマイクロシリンジを用いて添加し,固相

カラム(21)に加圧法又は減圧法によって,流量10〜20 ml/min(22)で通水する。 

注(20) 懸濁物の多い試料は,5.1.3の備考1)及び2)の操作(濃縮は行わない。)を行い,この溶出液を

c)の溶出液に合わせる。 

(21) 処理した固相カラムについて回収率などをあらかじめ確認してから使用することが望ましい。 

(22) 試料の流量が大きいと保持率が小さくなることがある。流量は,20 ml/min以上とはしない。固

相カラムへの対象物質の吸着帯の幅は,1 ml/min程度で最小となるが,10〜20 ml/minでも十分

な再現性と回収率が得られ,処理時間の短縮といった利点もある。しかし,有機物の濃度が高

い試料の場合は,流量を小さく(5 ml/min以下)すると,再現性と回収率の向上につながる。

また,流量は一定に保つ。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 固相カラムに水10 mlを流して固相カラムを洗浄した後,約30分間吸引し,水分を分離除去する。 

c) 固相カラムの上端からジクロロメタン9 ml又はアセトン-ジクロロメタン溶離液(1+6)5 ml(23)を緩や

かに通し(24)てビスフェノールAを溶出させ,目盛付き共栓試験管に受ける。 

注(23) 使用する量は,あらかじめビスフェノールAを溶出するのに十分な量であることを確認してお

く。 

(24) 溶出流量は,カラムからの溶出液の液滴が連続しない程度とする。 

d) 目盛付き共栓試験管を,約40 ℃の水浴中で加熱しながら,溶出液に窒素を緩やかに吹き付け,ジク

ロロメタン又はアセトン-ジクロロメタン溶離液(1+6)が約0.5 mlになるまで濃縮する(15)(16)(17)。 

e) 空試験用として試料に代え,試料と同量の水をとり,a)〜d)の操作を行う。 

5.3 

クロマトグラフ分離及び誘導体化 カラム5.1又は5.2を行った後,カラム充てん剤にシリカゲルを

用いるカラムクロマトグラフ分離操作を行い,ピレン-d10を添加後,誘導体化の操作を行う。 

妨害物質が存在しない場合は,5.3.3 a)〜e)の操作(カラムクロマトグラフ分離操作)を省略することが

できる。その場合には,5.3.3 f)以降の操作を行う。 

5.3.1 

試薬 試薬は,次による。 

a) 水 5.1.1 a)による。 

b) 硫酸ナトリウム 5.1.1 d)による。 

c) アセトン 5.1.1 e)による。 

d) ジクロロメタン 5.1.1 f)による。 

e) ヘキサン JIS K 8825に規定する濃縮300以上の品質のもの(6)。 

f) 

アセトン-ヘキサン溶離液(1+4)  

g) ピレン-d10内標準液(1 mg/ml)(25) ピレン-d10(C16H10-d10)の標準品0.100 gをとり,あらかじめ,ヘキサ

ン2〜3 mlを入れた全量フラスコ100 mlに移し,ヘキサンを標線まで加える(7)。 

注(25) ピレン-d10内標準液は,ビスフェノールA-d16の回収率測定の場合の内標準として用いる。 

h) ピレン-d10内標準液(100 μg/ml) ピレン-d10内標準液(1 mg/ml)1 mlをとり,あらかじめ,ヘキサン2〜3 

mlを入れた全量フラスコ10 mlに移し,ヘキサンを標線まで加える(7)。 

i) 

ピレン-d10内標準液(1 μg/ml) ピレン-d10内標準液(100 μg/ml)1 mlをとり,あらかじめ,ヘキサン2〜3 

mlを入れた全量フラスコ100 mlに移し,ヘキサンを標線まで加える。 

j) N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA) ガスクロマトグラフ用を用いる。 

k) 窒素 5.1.1 i)による。 

5.3.2 

器具 器具は,次による。 

a) 目盛付き共栓試験管 5.1.2 b)による。 

b) 濃縮器 5.1.2 e)による。 

c) 濃縮器用フラスコ 5.1.2 f)による。 

d) カラムクロマトグラフ管 カラムクロマトグラフ管は,次による。 

1) カラム用管 内径約1 cm,長さ約30 cmのコック付きガラス管。 

2) カラム充てん剤 カラムクロマトグラフ用のシリカゲル(粒径150〜250 μm)を約130 ℃で15時

間以上加熱した後,デシケーター中で放冷する。その95 gを共通すり合わせ三角フラスコにとり,

かき混ぜながら,水5 mlを滴加する。軽く栓をし,発熱が終了するまで静かに混合する。さらに,

振とう器で約30分間振り混ぜる。3)でカラムクロマトグラフ管として調製したものについて,対象

物質の保持時間にピークの生じないことを確認する(26)。 

K 0450-10-10:2006  

   

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注(26) 処理したシリカゲルの5 gを,3)によってカラムクロマトグラフ管とし,5.3.3 c)〜h)に準じた操

作を行い[ただし,ピレン-d10内標準液(1 μg/ml)の添加は行わない。],その濃縮液1 μlをマイク

ロシリンジでとり,6.3 c)によってビスフェノールAの保持時間に相当する位置にピークのない

ことを確認する。 

3) カラムクロマトグラフ管の作り方 カラム用管の底部にJIS K 8251に規定するガラスウール(あら

かじめヘキサンで洗浄したもの。)を詰め,少量のヘキサンを加えてガラスウール間の気泡を除去す

る。続いて,カラム充てん剤約5 gをビーカーにとり,ヘキサンを加えてスラリー状にし,これを

気泡が入らないようにカラム用管に流し込み(27),その上部に硫酸ナトリウムを約2 cmになるよう

に積層した後,コックを操作し,ヘキサンが硫酸ナトリウム層よりわずかに上部になるようにヘキ

サンを流し出す(28)。 

注(27) カラム用管にカラム充てん剤を均一に充てんするため,流し込んだ後,カラム用管に縦横の振

動を与えるとよい。 

(28) 市販のシリカゲルカートリッジを用いてもよい。ただし,使用前に回収率などをあらかじめ確

認しておく。 

e) 円筒形滴下漏斗 200 ml。カラムクロマトグラフ用。 

f) 

振とう器  

5.3.3 

操作 操作は,次による。 

a) 5.1.3 e)の濃縮液の全量又は5.2.3 d)の濃縮液の全量をカラムクロマトグラフ管の上部から流し込み,コ

ックを操作して液面を硫酸ナトリウムの層よりわずかに上部になるようにする。濃縮液が入っていた

目盛付き共栓試験管の内壁をジクロロメタン0.5〜1 mlで洗い,洗液はカラムクロマトグラフ管に流

し込む。 

b) カラムクロマトグラフ管の上部に円筒形滴下漏斗を装着し,ヘキサン100 mlを入れ,約1 ml/minで流

下して対象物質を吸着させる。ヘキサンが硫酸ナトリウム層のわずか上部にある状態でコックを閉め,

流出液は捨てる。 

c) 引き続いてカラムクロマトグラフ管の上部の円筒形滴下漏斗から,アセトン-ヘキサン溶離液(1+4)150 

mlを約1 ml/minで流下し,ビスフェノールAを溶出させ(29),溶出液150 mlを濃縮器用フラスコに受

ける。 

注(29) 5.3.3の備考の操作によってあらかじめ溶出パターン及び回収率を確認しておくとよい。 

d) 濃縮器を用いて,約40 ℃の水浴中で加熱しながら,溶出液を2〜5 mlになるまで濃縮する(15)。 

e) ジクロロメタン15 mlを加え,この溶液を再び2〜5 mlになるまで濃縮(15)し,濃縮器用フラスコを取

り外し,濃縮液を目盛付き共栓試験管に移す。濃縮器用フラスコをジクロロメタン1〜2 mlで洗浄し,

この洗液も目盛付き共栓試験管に移す。 

f) 

ピレン-d10内標準液(1 μg/ml)1 mlを添加し,目盛付き共栓試験管を,約40 ℃の水浴中で加熱しながら,

濃縮液に窒素を緩やかに吹き付け,約0.5 mlになるまで濃縮する(17)。 

g) この濃縮液にN,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)200 μlを加え,直ち

に栓をして振り混ぜた後,室温で約1時間放置して誘導体化する。 

h) 次いで,窒素を緩やかに吹き付け,0.2〜0.3 mlになるまで濃縮し(17),ジクロロメタンを加えて1 ml

の一定量とし,これを測定用溶液とする。 

i) 

空試験用として,5.1.3 f)又は5.2.3 e)の濃縮液の全量を用いてa)〜h)の操作を行い,空試験用溶液とす

る。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

備考 溶出パターン及び回収率の確認は,次の操作を行う。この操作によってカラムクロマトグラフ

操作に必要なヘキサン及びアセトン-ヘキサン溶離液(1+4)の量を確認しておく。 

1) ヘキサン約1 mlを目盛付き共栓試験管にとり,6.1 d)のビスフェノールA標準液(1 

μg/ml)100 μlをマイクロシリンジで加え,振り混ぜた後,全量をカラムクロマトグラフ管の

上部から流し込む。 

2) コックを操作し,液面が硫酸ナトリウム層よりわずかに上部になるようにする。 

3) 続いてb)の操作を行い,最初から流出する溶液約50 mlを1画分として別々の目盛付き共

栓試験管にとる。 

4) さらに,c)の操作を行い,最初から流出する溶液約30 mlを1画分として別々の目盛付き

共栓試験管にとる。 

5) それぞれの目盛付き共栓試験管に6.1 g)のビスフェノールA-d16内標準液(1 μg/ml-ジクロ

ロメタン)100 μlをマイクロシリンジで加え,振り混ぜた後,約40 ℃の水浴中で加熱し

ながら,窒素を緩やかに吹き付け,約1 mlになるまで濃縮する。 

6) 各濃縮液について5.3.3 f)〜h),6.3 c)〜e)及びg)によって溶出パターン及び回収率を求める。 

6. ガスクロマトグラフ質量分析法 測定用溶液の一定量をガスクロマトグラフ質量分析計に導入し,ビ

スフェノールA-d16を内標準物質として選択イオン検出法(SIM法)又は全イオン検出法(TIM法)によ

ってビスフェノールAを定量する。 

定量範囲:C15H16O2 10〜300 pg 繰返し分析精度:10〜20 %(いずれも装置,測定条件によって異なる。)

(30)。 

注(30) 繰返し分析精度は,標準溶液を用い,繰返し試験で求めた変動係数(%)の概略値。 

参考 使用する装置の定量範囲の下限値を確認する場合は,附属書3によるとよい。 

6.1 

試薬 試薬は,次による。 

a) ジクロロメタン 5.1.1 f)による。 

b) ビスフェノールA標準液(1 mg/ml) ビスフェノールA(C15H16O2)の標準品0.100 gを,全量フラスコ100 

mlにとり,ジクロロメタンを標線まで加える(7)。 

c) ビスフェノールA標準液(10 μg/ml) ビスフェノールA標準液(1 mg/ml)1 mlを,全量フラスコ100 ml

にとり,ジクロロメタンを標線まで加える(7)。 

d) ビスフェノールA標準液(1 μg/ml) ビスフェノールA標準液(10 μg/ml)1 mlを,全量フラスコ10 ml

にとり,ジクロロメタンを標線まで加える(7)。 

e) ビスフェノールA標準液(100 ng/ml) ビスフェノールA標準液(1 μg/ml)1 mlを,全量フラスコ10 ml

にとり,ジクロロメタンを標線まで加える(7)。 

f) 

ビスフェノールA標準液(10 ng/ml) ビスフェノールA標準液(100 ng/ml) 1 mlを,全量フラスコ10 ml

にとり,ジクロロメタンを標線まで加える(7)。 

g) ビスフェノールA-d16内標準液(1 μg/ml-ジクロロメタン) 5.1.1 g)及びh)と同じ操作によってジクロ

ロメタンを用いて調製する(7)。 

h) 窒素 5.1.1 i)による。 

6.2 

器具及び装置 器具及び装置は,次による。 

a) 目盛付き共栓試験管 5.1.2 b)による。 

b) マイクロシリンジ 1〜5 μl及び100〜500 μl。又は自動注入装置。 

background image

K 0450-10-10:2006  

   

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS) 次の条件を満たすもの(31)。 

注(31) これらの条件は,装置,測定条件によって異なる。 

1) キャピラリーカラム用管 内径0.1〜0.5 mm,長さ5〜100 mのステンレス鋼,石英ガラス又はほう

けい酸ガラス製のもの。 

2) キャピラリーカラム キャピラリーカラム用管の内壁にメチルシリコーン系固定相液体(32)を厚さ

0.05〜10 μmで被覆したもの又は同等の分離性能をもつもの。 

注(32) メチルシリコーン系固定相液体としては,100 %メチルシリコーン,5 %フェニル-95 %メチルシ

リコーンなど,又はこれと同等の分離性能をもつものを用いる。 

参考 この試験に用いるキャピラリーカラムで,メチルシリコーン系固定相液体として100 %メチル

シリコーンを用いたものが,DB-1,CBP-1,CP-SIL-5CB,Inert Capl,SPB-1,Ultra-1などの名

称で市販されている。 

参考 市販品には,内径0.53 mmのものもある。 

3) 検出器 選択イオン検出法(SIM法)又は全イオン検出法(TIM法)が行えるもの。 

4) キャリヤガス ヘリウム[99.999 9 %(体積百分率)以上]で,線速度は20〜40 cm/sに調節して

用いる。 

5) 試料導入方法及び試料導入部温度 試料導入方法は,スプリットレス注入方式(非分割導入方式)

による。試料導入部温度は,220〜280 ℃。 

6) GC/MS接続部温度 200〜280 ℃。 

7) イオン源温度 200〜250 ℃。 

8) 電子加速電圧 70 V。 

9) 昇温プログラム 50〜240 ℃(2〜30 ℃/minの昇温) 

6.3 

操作 操作は,次による。 

a) あらかじめガスクロマトグラフ質量分析計に,ビスフェノールA,ビスフェノールA-d16及びピレン-d10

の選択イオン(m/z)(33)を設定しておく。 

注(33) 定量イオン,確認イオン及び保持指標の一例を表1に示す。 

表 1 対象物質及び内標準物質の選択イオン(m/z)及び保持指標 (PTRI= 

Programmed Temperature Retention Index) の一例 

化合物名 

PTRI* 

選択イオン 

定量用 

確認用 

ビスフェノールAの誘導体化物 

2 230 

357 

372 

ビスフェノールA-d16の誘導体化物 

− 

368** 

386** 

ピレン-d10 

2 140 

212 

− 

注* 

PTRIはアルカンを基準物質とし,液相として5 %フェニル-95 %メチルシ
リコーンを用いたときの値である。 

** ビスフェノールA-d16の値。重水素の数が6,8のビスフェノールAの場合

には,トリメチルシリル体の質量スペクトルを測定して,最適の測定イオ
ンを決める。 

b) ビスフェノールA標準液(10 ng/ml)1 mlを目盛付き共栓試験管にとり,ビスフェノールA-d16内標準液

(1 μg/ml-ジクロロメタン)100 μlをマイクロシリンジを用いて添加し,引き続き5.3.3 f)〜h)の操作を行

う。 

c) b)で得た溶液1 μlをマイクロシリンジ(34)でとり,ガスクロマトグラフ質量分析計(33)に導入し,選択

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

イオン検出法(SIM法)又は全イオン検出法(TIM法)によってそのクロマトグラムを記録し,出現

するビスフェノールA,ビスフェノールA-d16及びピレン-d10のピーク位置と保持時間を確認する。 

注(34) 6.4の検量線作成時と同じものを用いる。 

d) 5.3.3 h)で得た測定用溶液1μlをマイクロシリンジ(34)でとり,c)と同じ操作を行ってクロマトグラムを

記録し,c)の保持時間と一致していることを確認(35)し,保持時間に相当する位置のピークについて,

指示値(36)を読み取る。 

注(35) 試料中のビスフェノールAによる確認イオンと定量イオンのピーク強度比が標準液中のビスフ

ェノールAによるピークの±20 %以内にあれば,同じ物質が存在しているとみなす。 

(36) ピーク高さ又はピーク面積。 

e) ビスフェノールAによる指示値とビスフェノールA-d16による指示値との比を求める。また,これと

は別に,ビスフェノールA-d16による指示値とピレン-d10による指示値との比を求める。 

f) 

空試験として,5.3.3 i)で得た空試験用溶液を用いて,d)の操作を行い,対象物質の保持時間に相当す

る位置にピーク(35)が検出された場合は,ビスフェノールAによる指示値とビスフェノールA-d16によ

る指示値との比を求める。 

g) 検量線からビスフェノールAの質量とビスフェノールA-d16の質量との比(試料中の比a及び空試験

の比b)を求め,次の式によって試料中のビスフェノールA(C15H16O2)の濃度(μg/L)を算出する。 

V

n

b

a

X

000

1

)

(

×

×

ここに, 

X: ビスフェノールAの濃度 (μg/L) 

a: 検量線から求めたビスフェノールAとビスフェノールA-d16との質量比 

b: 空試験から求めたビスフェノールAとビスフェノールA-d16との質量比 

n: 試料に添加したビスフェノールA-d16(μg) 

V: 試料(ml) 

1 000: 試料1 Lに換算する係数 

h) 試料中のビスフェノールAの濃度を算出するに当たり,試料に添加したビスフェノールA-d16の回収

率が50〜120 %にあることを確認しておく。確認操作は,次による。 

1) 検量線の作成において段階的にとった検量線作成用標準液中のビスフェノールA-d16の選択イオン

による指示値とピレン-d10の選択イオンによる指示値とのそれぞれの比を求め,その平均値を算出

する。 

2) e)で求めた試料中のビスフェノールA-d16とピレン-d10との指示値の比及び1)で求めた比の平均値と

の比を求め,その百分率を回収率とする。 

6.4 

検量線 検量線は,次による。 

a) ビスフェノールA標準液(1 μg/ml)0.1〜3 mlを全量フラスコ10 mlに段階的にとり,それぞれにビスフ

ェノールA-d16内標準液(1 μg/ml-ジクロロメタン)1 mlを加え,ジクロロメタンを標線まで加える。 

b) これらの溶液1 mlを目盛付き共栓試験管にとり,引き続き5.3.3 f)〜h)の操作を行う。これらを検量線

作成用標準液とする。 

c) それぞれの一定量[試料と同量(例えば,1 μl)]をマイクロシリンジでとり,6.3 d)の操作を行う。 

d) 検量線作成用標準液中のビスフェノールAの質量(Ms)とビスフェノールA-d16の質量(Mi)との比

i

s

M

M

を横軸にとり,ビスフェノールAの選択イオン(33)による指示値(As)(36)とビスフェノールA-d16の選択

11 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

イオン(33)による指示値(Ai)(36)との比

i

s

A

Aを縦軸にとって,関係線を作成する。検量線の作成は,試料

測定時に行う。 

備考 検量線の作成に代え,感度係数(RF)を求め,これによって検出量を求める方法を附属書2に示

す。 

7. 結果の表示 結果の表示には,用いた試験方法,試料量,濃縮条件(例えば,濃縮量,カラムクロマ

トグラフ分離の有無など),ガスクロマトグラフ質量分析計の測定条件[例えば,6.2 c)に掲げる条件にお

いて,いずれかを選択した事項など。],ガスクロマトグラフへの導入量,対象物質の測定結果,6.3 h)で確

認した回収率などを明記する。 

12 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付表1 引用規格 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0094 工業用水・工場排水の試料採取方法 

JIS K 0101 工業用水試験方法 

JIS K 0102 工場排水試験方法 

JIS K 0123 ガスクロマトグラフ質量分析通則 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門) 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

JIS K 1107 高純度窒素 

JIS K 8040 アセトン(残留農薬・PCB試験用)(試薬) 

JIS K 8117 ジクロロメタン(残留農薬試験用)(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8251 ガラスウール(試薬) 

JIS K 8825 ヘキサン(残留農薬・PCB試験用)(試薬) 

JIS K 8987 硫酸ナトリウム(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤 

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附属書1(規定)試験に使用する水の質の確認方法 

序文 この附属書は,この規格の試料の前処理,試薬の調製,空試験などに使用する水が,ビスフェノー

ルAに相当する位置にピークのないことを確認する方法について規定する。 

1. 水の質の確認方法 この方法は,試料の前処理,試薬の調製,空試験などに使用する水について,本

体の5.1の溶媒抽出法に準じた操作を行った後,BSTFAによる誘導体化を行い,試料の測定に用いるガス

クロマトグラフ質量分析計に導入し,ビスフェノールAに相当する位置にピークがないことを確認するも

のである。 

1.1 

試薬 試薬は,次による。 

a) 塩酸(1 mol/L) 本体の5.1.1 b)による。 

b) 硫酸ナトリウム 本体の5.1.1 d)による。 

c) ジクロロメタン 本体の5.1.1 f)による。 

d) N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA) 本体の5.3.1 j)による。 

1.2 

器具及び装置 器具及び装置は,次による。 

a) 分液漏斗 本体の5.1.2 a)による。 

b) 目盛付き共栓試験管 本体の5.1.2 b)による。 

c) マイクロシリンジ 本体の6.2 b)による。 

d) ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS) 本体の6.2 c)による。 

e) 濃縮器 本体の5.1.2 e)による。 

f) 

濃縮器用フラスコ 本体の5.1.2 f)による。 

g) 振とう器  

1.3 

操作 操作は,次による。 

a) 試験に使用する水[本体の3.e)のA4(又はA3)の水]1 Lを分液漏斗にとり,塩酸(1 mol/L)を加えて,

pHを約3に調節し,ジクロロメタン50 mlを加え,振とう器を用いて約10分間振り混ぜ,放置する。 

b) ジクロロメタン層を共通すり合わせ三角フラスコに移し,硫酸ナトリウム10〜15 gを加え,軽く振り

混ぜて脱水し,ろ紙5種A(又は5種B)(1)を用いてろ過し,ろ液を濃縮器用フラスコに受ける。 

注(1) 本体の注(13)による。 

c) 本体の5.1.3 d)の操作を行う。 

d) 濃縮液を目盛付き共栓試験管に移し,約40 ℃の水浴中で加熱しながら,約0.5 mlになるまで濃縮す

る(2)。 

注(2) 窒素を緩やかに吹き付けて行うとよい。この操作を行った場合には,本体の注(17)による。 

e) この濃縮液にN,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)200 μlを加え,直ち

に栓をして振り混ぜた後,室温で約1時間放置して誘導体化する。 

f) 

この溶液1 μlをマイクロシリンジでとり,本体の6.3 a)及びc)の操作を行い,ビスフェノールAの保

持時間に相当する位置にピークのないことを確認する。 

14 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2(規定)感度係数を用いる濃度の算出方法 

序文 この附属書は,本体の6.4の検量線に代え,平均感度係数(RF)を求め,これによって試料中のビス

フェノールAの濃度を求める方法について規定する。 

1. 濃度の算出法 濃度の算出は,次による。 

a) 本体の6.4c)で得られた標準物質及びビスフェノールA-d16の指示値から,次の式によって各感度係数

(RF)を算出する(1)。 

注(1) 求めた各感度係数の値の相対標準偏差は15 %以下でなければならない。 

s

is

is

st

C

C

A

A

RF

×

ここに, 

Ast: ビスフェノールAによる指示値 

Ais: ビスフェノールA-d16による指示値 

Cis: 検量線作成用標準液中のビスフェノールA-d16(μg)  

Cs: 検量線作成用標準液中のビスフェノールA(μg)  

b) 各感度係数の平均値を求め,平均感度係数(RF)とする。 

c) 次の式によってビスフェノールAの濃度(μg/L)を算出する。 

e

'is

s

s

V

RF

A

I

A

N

×

×

×

ここに, 

N: 試料中のビスフェノールAの濃度(μg/L)  

As: 試料中のビスフェノールAの指示値 

Aʼis: 添加したビスフェノールA-d16の指示値 

Is: 添加したビスフェノールA-d16(μg)  

Ve: 試料(L)  

15 

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附属書3(参考)装置の定量範囲の下限値を確認する場合の方法 

序文 この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,装置の検出下限値から,定量範囲の下限値

を確認する方法を参考として示したものであり,規定の一部ではない。 

1. 定量範囲の下限値の算出方法 定量範囲の下限値の算出方法は,次による。 

a) 本体の6.1 d)のビスフェノールA標準液(1 μg/ml)0.1 mlを全量フラスコ10 mlにとり,本体の6.1 g)の

ビスフェノールA-d16内標準液(1 μg/ml-ジクロロメタン)1 mlを加え,ジクロロメタンを標線まで加え

る。この溶液1 mlを共栓付き試験管にとり,目盛付き共栓試験管を,約40 ℃の水浴中で加熱しなが

ら,濃縮液に窒素を緩やかに吹き付け,約0.5 mlになるまで濃縮(1)し,引き続き本体の5.3.3 g)及び

h)の操作を行う。 

注(1) 本体の注(17)による。 

b) この溶液の1 μlをマイクロシリンジでとり,ガスクロマトグラフ質量分析計(2)に導入し,本体の6.3 d),

e)及びg)によって定量する。 

注(2) 本体の6.3a)で調整したガスクロマトグラフ質量分析計を用いる。 

c) a)及びb)の操作を5回以上繰り返す。 

d) 得られた測定値から,次の式によって標準偏差を求め,その3倍を装置の検出下限値(3)(4),10倍を装

置の定量下限値(4)とする。 

(

)

1

2

i

n

x

x

s∑

ここに, 

s: 標準偏差 

xi: 個々の測定値 

x: 測定値の平均値 

n: 測定回数 

注(3) ここで得られた装置の検出下限値が,対象物質の定量下限値より大きい場合には,器具,機器

などを確認して,これらの値以下になるように調整する。 

(4) この装置の検出下限値及び定量下限値は,使用する装置の状態などによって変動するため,あ

る一定の周期で確認し,常に十分な値が得られるように管理する。また,使用する装置及び測

定条件を変更した場合などには,必ず確認する。