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K 0410-3-9 : 2000 (ISO 5667-9 : 1992) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

JIS K 0410-3-9には,次に示す附属書がある。 

附属書A(規定) 海水のサンプリング報告の例 

附属書B(参考) 参考文献 

JIS K 0410シリーズは,次に示す各部からなる。 

JIS K 0410-3-1 水質−サンプリング−第1部:サンプリング計画策定の指針 

JIS K 0410-3-2 水質−サンプリング−第2部:サンプリング技術の指針 

JIS K 0410-3-3 水質−サンプリング−第3部:試料の保存及び取扱いの指針 

JIS K 0410-3-4 水質−サンプリング−第4部:天然及び人造湖からのサンプリングの指針 

JIS K 0410-3-6 水質−サンプリング−第6部:河川水のサンプリングの指針 

JIS K 0410-3-7 水質−サンプリング−第7部:ボイラ施設の水及び蒸気のサンプリングの指針 

JIS K 0410-3-8 水質−サンプリング−第8部:湿性沈着のサンプリングの指針 

JIS K 0410-3-9 水質−サンプリング−第9部:海水のサンプリングの指針 

JIS K 0410-3-10 水質−サンプリング−第10部:廃水のサンプリングの指針 

JIS K 0410-3-11 水質−サンプリング−第11部:地下水のサンプリングの指針 

JIS K 0410-3-12 水質−サンプリング−第12部:底質のサンプリングの指針 

原国際規格のISO 5667シリーズには,第1部〜第12部連続で各部が規定されているが,この中のISO 

5667-5 : 1991は,飲料水及び食品,清涼飲料水加工処理用水のサンプリングの指針となっており,日本工

業規格の制定は行っていない。 

K 0410-3-9 : 2000 (ISO 5667-9 : 1992) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 2 

3. 定義 ······························································································································ 2 

4. サンプリング装置 ············································································································ 2 

4.1 試料容器 ······················································································································ 2 

4.2 サンプリング装置の種類·································································································· 3 

5. サンプリング操作 ············································································································ 4 

5.1 サンプリング場所 ·········································································································· 4 

5.2 サンプリングの頻度及び時期 ···························································································· 5 

5.3 サンプリング方法の選択·································································································· 6 

5.4 試料の保存,安定化,ろ過及び貯蔵 ··················································································· 7 

6. 安全対策 ························································································································ 7 

7. 試料の確認及び記録 ········································································································· 7 

附属書A(規定) 海水のサンプリング報告の例 ········································································· 8 

附属書B(参考) 参考文献··································································································· 9 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 0410-3-9 : 2000 

(ISO 5667-9 : 1992) 

水質−サンプリング− 

第9部:海水のサンプリングの指針 

Water quality−Sampling− 

Part 9:Guidance on sampling from marine waters 

序文 この規格は,1992年に第1版として発行されたISO 5667-9, Water quality−Sampling−Part 9:Guidance 

on sampling from marine watersを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工

業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。 

1. 適用範囲 この規格は,感潮水域の海水(例えば,河口及び感潮入江,沿岸水域及び外洋)試料のサ

ンプリング計画の策定,サンプリング技術及び試料の取扱い,保存に適用する原則に関する指針を示す。

微生物及び生物試験用の試料採取は取り扱わない。微生物試験用のサンプリングの一般的指針はISO 8199

に示す。 

この規格の主目的を1.1〜1.4に規定する。 

1.1 

水質特性測定 天候,生物活動,水の運動及び人の影響の効果を確定し,また,将来の変化の大き

さ及びその影響を推定するための水質の空間分布及び経時的傾向の変動の測定。 

1.2 

水質管理測定 一度測定した水質が水浴,水生生物の保護,脱塩 (deminerariz-ation) 又は冷却など規

定された用途への適性を維持しているか,また,観察した変化が容認できないものかどうかを確認するた

めの一つ又は複数の特定場所における長期間にわたる水質の測定。 

1.3 

特別な理由による測定 顕著な水質変化の原因,程度及び影響の評価,海域に排出された汚濁物質

の発生源及びその後の運命の研究。汚染の原因調査,例えば,無せきつい動物,魚類又は鳥類の大量死 

(mortality),また,排出,漏えい,プランクトンの異常発生によると考えられる色,濁りの発生,又はごみ,

油の浮遊層の生成などのほかの疑わしい現象。しかし,これらの目的達成は極めて困難な場合が多いこと

を強調しておかなければならない。大量死は自然現象でも生じ,蓄積した汚染物の多くは未発見のままで

ある。 

1.4 

人工物の影響調査 せき (barrage),突堤,橋りょう(梁),防波堤,港などの土木工事,及び廃棄物

処分用海水の過剰使用による水質変化の評価。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

ISO 5667-9 : 1992 Water quality−Sampling−Part 9:Guidance on sampling from marine waters 

K 0410-3-9 : 2000 (ISO 5667-9 : 1992) 

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2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構

成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その

最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0410-3-1 水質−サンプリング−第1部:サンプリング計画策定の指針 

備考 ISO 5667-1 : 1980, Water quality −Sampling−Part 1:Guidance on the design of sampling 

programmesからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS K 0410-3-2 水質−サンプリング−第2部:サンプリング技術の指針 

備考 ISO 5667-2 : 1991, Water quality−Sampling−Part 2:Guidance on sampling techniquesからの引

用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS K 0410-3-4 水質−サンプリング−第4部:天然及び人造湖からのサンプリングの指針 

備考 ISO 5667-4 : 1987, Water quality−Sampling−Part 4:Guidance on sampling from lakes, natural and 

man-madeからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

ISO 5667-3 : 1985, Water quality−Sampling−Part 3:Guidance on the preservation and handling of samples 

参考 現在はISO 5667-3 : 1994が発行されている。 

JIS K 0410-3-3 水質−サンプリング−第3部:試料の保存及び取扱いの指針が,ISO 5667-3 : 

1994, Water quality−Sampling−Part 3:Guidance on the preservation and handling of 

samplesがこの規格と一致している。 

ISO 6107-2 : 1989 Water quality−Vocabulary−Part 2 

ISO 8199 : 1988 Water quality−General guide to the enumeration of micro-organisms by culture 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

3.1 

スポット試料 (spot sample)  水塊からランダムに(時間及び/又は場所に関して)採取した個別試

料 (ISO 6107-2)。 

3.2 

深度プロファイル試料 (depth profile sample)  特定の場所で水塊の各深度から採取した一連の水

試料 [JIS K 0410-3-4 (ISO 5667-4)]。 

備考1. 水塊全体の水質特性を調査するには,いろいろな場所で深度プロファイルをとることが必要

である。 

3.3 

平面プロファイル試料 (area profile sample)  いろいろな場所で水塊の特定深度から採取した一連

の水試料。感潮水域では,長さプロファイル(水路の長さに沿って)又は横断プロファイル(水路を横断

して)が,沿岸水域及び外洋では1方向又は2方向の計画案 (plan-view) グリッドによるものがある [JIS K 

0410-3-4 (ISO 5667-4)]。 

備考2. 3.2のように,特性調査では三次元サンプリングが必要なこともある。 

3.4 

混合試料 (composite samples)  二つ以上の試料又はサブ試料をある既知の割合で混ぜ合わせたも

ので(個別的又は連続的に),これから必要とする特性の平均値が得られる。割合は通常,時間又は流量測

定に基づく (ISO 6107-2)。 

4. サンプリング装置 

4.1 

試料容器 

− 一般的指針をJIS K 0410-3-2 (ISO 5667-2) に示す。 

K 0410-3-9 : 2000 (ISO 5667-9 : 1992) 

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− 海水中に存在する低濃度の多様な物質の汚染防止,又は吸収による損失防止の必要性について,並び

に海水のイオン強度が他の天然水に比べて高いことに由来する問題について特に注意する必要がある。 

− 試料と容器間の相互反応の心配があるときは,ガラスその他不活性な材料を使用するとよい。 

備考1. より詳細はBerman及びYeats (1985) [1] が記載している。 

− 海のサンプリングでは,壊れやすい容器は避けたほうがよい。 

4.2 

サンプリング装置の種類 

4.2.1 

序文 

− 海面下の試料は,試料容器を単に(手で)沈めるだけで十分に採取できる。上部のふたを開き,容器

に水を満たし,再びふたをする。試料を最終的に採取する前に瓶を採取しようとする水で数回洗うこ

とが重要である。採取者はプラスチックの手袋をつけて試料の汚染を避けるとよい。試料はサンプリ

ング台から上流又は潮の上手及び外洋中でとる。そのためには,風又は潮の流れによって静かに動く

ボートの船首の先端から試料を採取するとよい。この簡単な操作で,起こり得る汚染は最小になり,

サンプリング装置の内面で生じる吸着損失は防止される。 

− いろいろな深度の試料採取用に開発された多様な装置を4.2.2〜4.2.4に示す。 

備考2. より詳細は“海水分析法” (1983) [2] に示されている。 

4.2.2 

開口採水器及び表層採水器 

− 開口採水器は,口の開いた容器で,水面及びその直下のサンプリングに用いられる。開口採水器は表

層水による汚染を生じるので,水面下のサンプリングには好ましくない。表層水はある種の化合物を

かなり高濃度に含んでいて,これが試料全体の濃度を押し上げることがある。 

− 表面のマイクロレイヤの試料は,この目的用に設計された特殊な採水器を用いるとよい。しかし,代

表試料を得るのは,特に野外条件では,困難である。 

備考3. 表面のマイクロレイヤは,実際上は定性的な方法でしか採取できない。 

なお,マイクロレイヤの化学及びサンプリング方法についてはLiss (1975) [3] を参照。 

4.2.3 

閉管装置 

− 閉管採水器は,バルブ又は栓を備えた中空管で,指定深度の試料採取(スポット試料又は一連の試料)

又は深度集積混合試料 (depth-integrated composite sample) の採取に用いられる。 

− 閉管採水器の多くは,ポリ塩化ビニル (PVC) 又は類似の材料で製作され,そのため,汚染源になり

やすい。これを避けるには,採水器は内面を四ふっ化エチレン樹脂(以下,PTFEという。)でコーテ

ィングし,よく慣らし,シリコーンゴム又はPTFEの“O”リングを取り付けるとよい。ゴム製の内

部スプリング及び外部の金属スプリングは,対象成分に関して汚染の危険がある場合は用いないほう

がよい。 

− 構造には,次の二つの種類がある。 

− 空気置換 

− 開放端 (open ended) 

− 空気置換採水器は,両方の口を栓で閉じたままロープを付けて沈める。その栓は第2のひもで水面に

つなぐか,又は主沈下ひものスプリングを迂回する非弾性のコードでひもにつなぐ。採水器が正常に

作動する深度は水圧,抵抗 (drag) によって制限を受ける。したがって,この装置は河口域のサンプリ

ングに最適であるが,より開けた水域でも表層にはよく機能する。 

− 開放端採水器は,通水しながら水路ケーブル (hydrographic cable) につないで水柱内を沈下させる。微

量の金属又は炭化水素用サンプリングの場合は,非金属ロープ又は水路ケーブルを用いなければなら

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ない。管はよく密着したふた,電磁作動のシャッター,メッセンジャーのおもり又は水圧で閉じる。

現場では,採水器は約5分間周辺になじませてから用いるとよい。メッセンジャーのおもりを用いる

ときはプラスチックコーティングを施しておくとよい。表面のマイクロレイヤ及び別の層の水による

汚染を避けるために,シャッターを閉じたまま沈下させる構造のものもある。 

− 流れの速い場所又は深度の大きい場所では水路ケーブルは垂直になりにくい。水柱内のサンプリング

装置の位置は圧力トランスジューサ又は音響測深器で知ることができる。より簡単には,引き出され

たワイヤの長さ及び角度をはかり,簡単な幾何学の計算から真の深さを補正することで十分である。 

− 海底付近からの試料は,特にその目的用に設計された採水器で採取するとよい。 

4.2.4 

揚水装置 

− 汚染の心配が少ないペリスタルチックポンプ又はインペラを備えた遠心ポンプが使用できる。サンプ

リング管は非金属性の水路ケーブルを用いて水塊中に沈める。管の開いた端はケーブル及びポンプか

ら十分に離し,管は試料採取前に試料でよく洗い流しておくとよい。この種の装置はスポット試料又

は指定深度の一連の試料,又は深度集積,面積集積の混合試料の採取に用いられる。 

− 揚水装置は粒子状,溶存両方の化学的に安定な対象成分の採取に用いられるが,気体状又は揮発性化

合物には適切ではない。 

4.2.5 

自動サンプリング装置 

− 自動サンプリング装置の多くは,一定の時間間隔で個別試料を採取するのに用いられる。システムは

現場の監視装置,データロガー,遠隔計測網と結ばれていることが多い。複合的な自動監視局が定置

船又は固定監視点から,表層又は深層のある種の対象成分を測定するため現場プローブを利用して運

用されている。これらの装置を用いる場合のより詳細な情報を5.3に示す。 

5. サンプリング操作 

5.1 

サンプリング場所 

− サンプリング計画策定の一般的指針をJIS K 0410-3-1 (ISO 5667-1) に示す。 

− サンプリング場所の空間分布は,統計的手法が適用可能な情報を提供できるような多数のサンプリン

グ場所を用いた詳細な予備調査をへて,はじめて決定できる。 

備考 利用できる多様な統計的手法は,Sokal及びRohlf (1969) [4] が述べている。 

− サンプリング位置の選択は,測定対象項目の分布の変化性,その変化性に影響する要因,及び特性調

査を必要とする変動の大きさから決定される。個々のサンプリング地点は,その相互間に信頼性のあ

る補間が可能なようにとらなければならない。さもないと,局所的なばらつきが検出されずに残った

り,また,十分な特性調査ができなくなる。しかし,対象の化学成分の細かい変動を十分に解明し得

る近接したサンプリング地点が得られるのは,局所的なばらつきについての特別な研究においてだけ

である。 

− 残念ながら,各研究は独自性のある事象であるから,正確な指針を示すことは不可能である。 

− 潮せき(汐)運動との関係には常に注意することが望ましい。隣接した場所でのサンプリングは同じ

水塊を採取しないようにすることが重要である。これは場所間の距離が潮間距離 (tidal excursion) と

等しいか,小さいときに起こり得る。 

− サンプリングは通常,ボート,船,ホーバクラフト,ときにはヘリコプターを用いて海から行う。し

かし,狭い河口域又は感潮入江をサンプリングするときは,突堤,防波堤,橋りょうなどを用いて陸

地から採取するのがより便利である。 

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− 一般に,移動中の船からのサンプリングでは,航行位置指示装置によるサンプリング地点の指示で十

分である。しかし,陸地に近い所では操作を失敗しやすい。六分儀その他の航行装置が目視の陸地目

標と関連付けて位置を定めるのに用いられる。 

− サンプリング地点の配置は,対象とする海域環境の面積によって異なる。 

5.1.1 

感潮水 (tidal waters) 

− 感潮水の水質は侵食,河川流,排水,特に潮位によって影響され,その結果,水は垂直的にも,水平

的にも比較的不均質になる。空間分布の正確な像を得るには“混合”パターンに基づく予備的な参考

図 (reference frame) を決めるとよい。この“混合”パターンは温度,電気伝導率(塩分濃度),酸素の

濃度,濁度,及び/又はクロロフィル蛍光など多くの項目の測定によって定量化できる。例えば,河

口に沿っての塩分分布の縦方向 (longitudinal) の断面は,野外装置を用い,固定深度でえい航して平面

プロファイルを測定するか,又はいくつかの固定位置で沈降させて深度プロファイルを測定するかに

よって得られる。多数の断面の結果が時間及び空間に関して補間され“混合”パターンの潮せき平均

像が得られる。 

− 続いてのサンプリングは,確認した不均一性に向けるとよい。例えば,平面プロファイルサンプリン

グでは,塩分濃度単位2の間隔〔UNESCO (1981) [5]〕,又はより適切な間隔で試料を採取し,深度プ

ロファイルサンプリングでは,海面,中位深度,底部から試料を採取する。 

− 特定の出口からの排水の分散の研究では,目に見える平らな水面 (slick) の存在がサンプリング時の

排水プリュームの位置の確認に役立つ。サンプリングに役立つように,より見えにくい排水の軌跡及

び分散は,例えば,蛍光染料を用いて標識するとよい。しかし,全塩分濃度範囲にわたる,採取した

試料の溶存化学物質の濃度と塩分の相関関係が,成分の増加,損失又は保存を評価するのに特に適し

ている。これは個別の排出口からの化学物質の相対的寄与を示すのに用いることができる。 

5.1.2 

沿岸部 湾,港,その他海岸から3マイル (4.828km) までの沿岸域がこの分類に入る。この海域

の水質もまた,侵食,河川流,排水の影響を受け,垂直的,水平的に比較的不均質である。したがって,

空間分布の正確な像を得るには混合パターンに基づいた予備参考図を決めるとよい。引き続いてのサンプ

リングは確認した垂直面,又は水平面双方の不均一性に向けるとよい。ある種の化学成分,例えば,栄養

塩の分布は温度,塩分の濃度分布以外の要因に関連があるようで,特別の研究を要する。 

5.1.3 

外洋 

− ここでは,水質変化は一般に近海ほど重要ではないが,水平流,垂直流及びゆう昇流の境界ではかな

りの変化が起こることがある。最初の水路学的調査でそのような変化が起こるかどうかが分かる。こ

のような場所では,塩分濃度,温度及び密度プロファイルをとって,混合パターンを決めるのに役立

てるとよい。これによって,明らかに密度の異なる適切な層から試料を採取することができる。統計

的な目的で複数の試料をとる場合を除いて,同じ均一層から余分な試料を採取することは勧められな

い。 

− 統計的考察の指針をJIS K 0410-3-1 (ISO 5667-1) に示す。 

5.2 

サンプリングの頻度及び時期 

− 平均条件の周期的又は間欠的変動 (fluctuation) が,ある場所における海水組成の時間的な変化を招く。

このような変動の周期は秒,分から年に及ぶ。重要な水質影響は,温度,降雨,日照などの長期的な

季節変動,及び潮せきの周期性(潮の干満;大潮,小潮),プランクトンバイオマス,昼光などの短期

間変化と関係がある。 

− ある水域で機能している物理的,生物的過程(流れ,混合,塩分の濃度分布など)を理解することに

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よって,水塊を適切に類別するのに必要な試料数を決めることができる。 

5.2.1 

サンプリング頻度 

5.2.1.1 

水質特性調査のためのサンプリング頻度 

− 水質特性調査用の試料は,正常な環境状態の範囲を把握するために,異常な状態を除いた条件下で採

取し,これを適宜繰り返すとよい。現場では,現場間の有効な補間ができるように潮せき周期の同じ

時期か,又は全潮せき周期にわたって頻繁に採取する。ある特定の瞬間の分布図が必要であれば,網

目全体のサンプリングを速やかに完了することが重要である。実際のサンプリング時期の間に起きる

潮の動きを見越してサンプリング位置を補正することができる。また,特定の溶存化学物質の測定さ

れた濃度を塩分の濃度と関連付けることもできる。 

− 完全な特性化には,潮せき周期,気象及び気候条件の複合的な影響の研究が必要である。これには,

統計的に十分な結果を保証するために,一つ又はそれ以上の潮せき周期にわたる間隔のサンプリング

を年間を通じて数回繰返し行う必要がある。詳細な指針をJIS K 0410-3-1 (ISO 5667-1) に示す。 

− 排水放流周辺の研究は,放流が間欠的である場合,放流,非放流の影響を完全に監視できるように計

画することが不可欠である。 

5.2.1.2 

水質管理目的のためのサンプリング頻度 水質管理目的のための試料は,潮せき,河川,天候,

季節などに関して異常な状態を除いた条件下で採取するとよい。感潮水及び沿岸水は潮せき周期にわたっ

て頻繁に採取することが望ましいが,その頻度は対象項目によって異なる。調査は正常な環境状態の範囲

を把握するため,何か意味がありそうな異常な状態の試料を便宜的にサンプリングすることも含めて,繰

り返すとよい。 

5.2.2 

統計的考察 

− 統計的考察に関する詳細な指針は,JIS K 0410-3-1 (ISO 5667-1) に示す。 

− データは独立で,ランダムに採取され,かつ,正規分布を仮定すると,サンプリングの頻度を簡単に

統計的に評価することが十分可能である。しかし,固有の時間的,空間的変動が大きい水試料間の小

さな差異を検出するには,かなりの回数の繰返しサンプリングが必要である。河川及び排水のサンプ

リング計画の設計はMontgomery及びHart (1974) [6] が論じている。その指摘の多くは,沿岸水の研

究にも適用できる。 

− その他の情報を5.1に示す。 

5.2.3 

サンプリング作業の最適化 採取,処理,分析,報告できる試料の数には常に一定の制限があるが,

研究目的が達成できなくなるほど,時間的又は空間的分解能を減少させてはならない。最適化のためには

サンプリング地点の配置を不規則にする場合もある。分布を求めることが重要な地域では配置を密にし,

過程を考慮するときは配置をより広くするとよい。水路学的,水文学的条件の知識はサンプリング作業の

最適化に役立つ。 

5.3 

サンプリング方法の選択 

− サンプリング方法の選択は,サンプリング計画の目的によって異なる。特別の理由又は管理目的で採

取された試料は多くの場合スポット試料である。しかし,潮せきによる変化性のため数個のスポット

試料が必要である。水質監視には一連の個別のスポット試料を採取するとよいが,分析経費の削減の

ためには混合試料が有用である。平均値が必要な場合には混合試料が推奨されるが,極端な状態の詳

細又は水質変動の程度が必要な場合には勧められない。二つの方法は,短時間間隔で混合試料をとり,

時々一連の個別試料をすべてとることによって結合できる。 

− 不連続なサンプリングでは,その時間の特徴的な結果だけが分かる。サンプリングが勧められない時

K 0410-3-9 : 2000 (ISO 5667-9 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

期がある。例えば,強風のときで,海へ出ることは危険である。このような極端な条件下の水質監視,

又は水質の不規則変動の影響の研究には自動サンプリング局を考慮するとよい。 

5.4 

試料の保存,安定化,ろ過及び貯蔵 

− ISO 5667-3に試料の保存及び取扱いの一般的指針を示す。 

− サンプリング計画を妨げたり,中断することなく,できるだけ多くの測定を現場で完了することを勧

める。温度,酸化還元電位その他いくつかの対象項目が満足に測定できるのは現場だけである。 

− 試料容器は密閉し,光,熱の影響を避けるとよい。分析が調査船上で終了できないときは,試料の貯

蔵は極力短くし,24時間を超えないほうがよい。貯蔵は4℃がよい。試料を長期間貯蔵するときは,

必要に応じて,ろ過,安定化及び保存処理をする。試料の低濃度の不純物及び高イオン強度について

は必要な配慮をする。 

6. 安全対策 

− JIS K 0410-3-1 (ISO 5667-1) に一般的な安全対策のいくつかを規定する。海域の条件によっては,ボ

ート及びサンプリング装置の使用は危険になる可能性がある。すべての危険性を考慮し,これを最小

にし,地域安全規制に従うとよい。ボートは特定のサンプリング水域での使用がふさわしく,ボート

の操縦者は,すべて潜在的に危険性のあるこの環境で操縦が許される前に十分に訓練を受け,経験を

積むことが不可欠である。 

− 常時,適切な安全具を着用することが重要である。 

7. 試料の確認及び記録 

− 試料源及び試料採取場所の条件の記録を完了することが望ましい。記録には次の情報を含めるとよい。 

a) サンプリング場所 

b) サンプリング日時 

c) 採取深度 

d) 採取深度の野外データ(例えば,温度,塩分の濃度,溶存酸素,pH,アルカリ度,懸濁物) 

e) 採取現場の場所の航海座標 

f) 

採取現場の場所の説明 

g) 気象条件 

h) 潮流 

i) 

サンプリング中の海の状態 

j) 

野外装置からの深度プロファイル 

k) 採取した試料,必要な測定項目 

l) 

保存又は安定化の詳細 

− 各試料瓶には,サンプリング記録用紙と対照させた確認番号を明りょうで消えないように記入すると

よい。 

− サンプリング記録用紙の例は,附属書Aを参照するとよい。 

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K 0410-3-9 : 2000 (ISO 5667-9 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A(規定) 

海水のサンプリング報告の例 

序文 この附属書は,海水のサンプリングの場合のサンプリング記録様式の例を規定したものである。 

K 0410-3-9 : 2000 (ISO 5667-9 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B(参考) 参考文献 

序文 この附属書は,本体で紹介しているサンプリング装置について文献を参考として紹介したもので,

規定の一部ではない。 

[1] BERMAN and YEATS Sampling of seawater for trace metals, CRC Critical Reviews in Analytical Chemistry 16(1) 

(1985). 

[2] GRASSHOFF, K., EHRHARDT, M. and KREMLING, K. Methods of Seawater Analysis (2nd edition), Verlag Chemie 

(1983). 

[3] LISS, P. S. Chemistry of the sea surface microlayer, Chemical Oceanography, (2nd edition) Vol.2 (1975), pp. 

193-244, ed. J. P. Riley and G. Skirrow, London : Academic Press. 

[4] SOKAL, R. R. and ROHLF, F. J. Biometry. The principles and practice of statistics in biological research, (1969), 

pp.776, W. H. Freeman, San Francisco. 

[5] UNESCO (1981) Background papers and supporting data on the practical salinity scale 1978. UNESCO 

Technical Papers in Marine Science, No. 37, Paris. 

[6] MONTOGOMERY, H. A. C. and HART, I. C. The design of programmes for rivers and effluents, Water Pollution 

Control 73, (1974), pp. 77-98. 

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10 

K 0410-3-9 : 2000 (ISO 5667-9 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

平成9年度 国際整合化調査研究委員会 構成表(平成10年3月現在) 

氏名 

所属 

(委員長) 

○ 並 木   博 

横浜国立大学名誉教授 

○ 宮 崎 正 浩1) 

工業技術院標準部消費生活規格課 

谷   重 男2) 

通商産業省環境立地局産業施設課 

林   明 夫3) 

通商産業省環境立地局環境指導課 

○ 畑 野   浩 

環境庁水質保全局水質規制課 

○ 佐 藤 寿 邦 

横浜国立大学工学部 

中 村 和 憲 

工業技術院生命工学工業技術研究所 

○ 田 尾 博 明 

工業技術院資源環境技術総合研究所水圏環境保全部 

福 井   学 

工業技術院資源環境技術総合研究所水圏環境保全部 

田 中 宏 明 

建設省土木研究所下水道部 

菅 谷 芳 雄 

国立環境研究所地域環境研究グループ 

土 屋 悦 輝 

東京都立衛生研究所環境保健部 

渡 辺 真利代 

東京都立衛生研究所環境保健部 

竹 内 準 一 

東京都下水道局 

○ 日 野 隆 信 

千葉県衛生研究所 

○ 小 倉 光 夫 

神奈川県環境科学センター水質環境部 

○ 坂 本   勉 

財団法人日本規格協会技術部 

橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会技術部 

髙 月 峰 夫 

財団法人化学品検査協会安全性評価技術研究所 

○ 梅 崎 芳 美 

社団法人産業環境管理協会名誉参与 

横 倉 清 治 

社団法人日本環境測定分析協会(三菱マテリアル株式会社) 

竹 島   正4) 

社団法人日本下水道協会(東京都下水道局) 

狩 野 久 直 

日本錬水株式会社研究所 

久 島 俊 和 

オルガノ株式会社総合研究所 

○ 川 瀬   晃 

セイコー電子工業株式会社科学機器事業部 

米 倉 茂 男 

元東京都立工業技術センター(現東京都立産業技術研究所) 

岩 﨑 岩 次 

社団法人日本工業用水協会 

(事務局) 

宮 寺 秀 雄 

社団法人日本工業用水協会 

本 郷 秀 昭 

社団法人日本工業用水協会 

備考 

1):発足当初は,西出徹雄(工業技術院標準部消費生活規格課) 

2):発足当初は,乾 敏一(通商産業省環境立地局産業施設課) 

3):発足当初は,藤冨正晴(通商産業省環境立地局環境指導課) 

4):発足当初は,山田昭捷(東京都下水道局) 

 
○は試料採取関係の小委員会委員兼任 
(文責 梅崎 芳美)