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K 0350-60-10:2005  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本工業用水協会(JIWA)/財団法人

日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標

準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS K 0350-60-10には,次に示す附属書がある。 

附属書1(規定)改良ISA寒天培地による定量法 

K 0350-60-10:2005  

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 定義 ······························································································································ 1 

4. 共通事項 ························································································································ 1 

4.1 通則 ···························································································································· 1 

4.2 水 ······························································································································· 1 

4.3 試薬 ···························································································································· 1 

4.4 ガラス器具類 ················································································································ 2 

4.5 器具などの滅菌 ············································································································· 2 

4.6 消毒操作 ······················································································································ 2 

5. 試料 ······························································································································ 2 

5.1 試料の採取 ··················································································································· 2 

5.2 試料の取扱い ················································································································ 3 

6. 試験方法 ························································································································ 3 

6.1 試薬及び培地 ················································································································ 3 

6.2 器具及び装置 ················································································································ 4 

6.3 定性試験 ······················································································································ 4 

6.4 定量試験 ······················································································································ 5 

7. 結果の表示 ····················································································································· 8 

附属書1(規定)改良ISA寒天培地による定量方法 ····································································· 9 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格       JIS 

K 0350-60-10:2005 

工業用水中の硫酸塩還元菌試験方法 

Testing method for detection and enumeration of sulfate - reducing bacteria 

in industrial water 

1. 適用範囲 この規格は,工業用水中の硫酸塩還元菌を培養法によって定性的,定量的に判定する試験

方法について規定する。 

2. 引用規格 付表1に示す規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成

する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0101,JIS K 0102,JIS K 0550及びJIS K 0211に

よるほか,次による。 

3.1 

硫酸塩還元菌 硫酸塩を還元して硫化水素を産生する偏性嫌気性の細菌。大きさ(0.5〜1.0)×(2.5〜

5.0) μmの湾曲したかん(桿)状又はらせん状を呈し,活発に運動する。 

備考 硫酸塩還元菌は,酸素の欠乏しやすい汚濁の進んだ河川,湖沼の底泥,温血動物の腸管などに

多く生息している。工業用水からもしばしば検出され,硫酸塩還元菌の産生する硫化水素が水

に悪臭を与えたり,配水管の金属部分を腐食するなどの障害を与える。デスルホビブリオ

(Desulfovibrio)属がよく検出される。 

4. 共通事項 共通事項は,次による。 

4.1 

通則 化学分析に共通する一般事項は,JIS K 0050による。 

4.2 

水 JIS K 0557に規定するA2又はA3(1)の水。 

注(1) 石英ガラス又はほうけい酸ガラス-1製の蒸留器で精製したもの。 

4.3 

試薬 試薬は,次による。 

a) 試薬は, JISに規定されているものの最上級の品質のものを用い,JISに規定されているものがない

場合には,試験に支障のないものを用いる。 

b) 試薬類の溶液の濃度は,特に断らない限り質量濃度はg/L又はmg/L,モル濃度はmol/Lで示す。 

なお,化合物については,無水物としての質量を用いる。 

備考1. 試薬類の溶液名称の後に括弧で示されている濃度は,概略の濃度であることを意味する。 

2. 試薬類の名称は,国際純正及び応用化学連合(IUPAC)の無機化学命名法及び有機化学命名法

を基にして,社団法人日本化学会が定めた化合物命名法及びJIS試薬の名称ともできるだけ

整合させている。 

3. 試薬類及び廃液などの取扱いについては,関係法令などに従い,十分に注意する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.4 

ガラス器具類 ガラス器具類は,一般にJIS R 3503及びJIS R 3505に規定するものを使用する。た

だし,特殊な器具を必要とする場合には,それぞれの項目に,その一例を図示又は説明する。また,加熱

操作を伴う場合には,JIS R 3503に規定するほうけい酸ガラス-1を用いる。 

4.5 

器具などの滅菌 器具などの滅菌は,次による。 

a) 乾熱滅菌 ガラス製,金属製器具類などの滅菌に用いる。滅菌する器具類は,硫酸紙,アルミニウム

はくなどで包むか,滅菌用の金属箱などに納めた後,乾熱滅菌器内に入れ,器内の温度が約170 ℃に

到達した後,約1時間加熱する。 

b) 高圧蒸気滅菌 培地,希釈水,試料容器,使用済み培地などの滅菌に用いる。また,比較的構造の複

雑なガラス器具,肉厚のガラス瓶などで乾熱滅菌では破損しやすいものの滅菌にも用いる。 

なお,大きなガラス瓶,フラスコなどを高圧蒸気滅菌する場合には,その内部に少量の水を入れて

おく。滅菌時間は高圧蒸気滅菌器の内部の温度が121 ℃に到達した後,15〜20 分間とする。 

c) 火炎滅菌 移植操作時の試験管の口部などの滅菌に用いる。試料採取時の給水栓などの滅菌にも用い

る。 

4.6 

消毒操作 消毒操作は,次による。 

a) 試験操作の前後には,手指及び実験台を消毒する。手指の消毒にはクレゾール石けん液(10 g/L),陽性

石けん液(1〜10 g/L),消毒用エタノール(日本薬局方に規定するもの)又はエタノール[80 %(体積分率)]

[JIS K 8102に規定するエタノール(95)を用いて調製する。]を用いる。 

実験台は,陽性石けん液(10 g/L),消毒用エタノール,エタノール[80 %(体積分率)]などを噴霧する

か,これらを含ませた布でぬぐって消毒する。 

b) 使用済みのピペット,試料容器,採水器などの器具は,クレゾール石けん液(30〜50 g/L)などの消毒液

中に1日間浸した後(又は高圧蒸気滅菌した後),消毒液が完全に除去されるまで,水でよくすすぐ。 

5. 試料  

5.1 

試料の採取 試料は,試料容器又は採水器を用いて採取する。 

5.1.1 

器具 器具は,次による。 

a) 試料容器 共栓ガラス瓶100〜1 000 ml。試料容器は,あらかじめ水で洗浄,乾燥した後,栓部と首部

とをアルミニウムはく(又は硫酸紙)などで覆って乾熱滅菌又は高圧蒸気滅菌を行う(2)。又は滅菌済み

の細菌試験用のポリエチレン瓶を用いてもよい。試料採取時まで汚染を受けないように注意する。 

注(2) 残留塩素などの酸化性物質を含む試料を採取する場合には,試料容器にJIS K 8637に規定する

チオ硫酸ナトリウム五水和物(粉末にしたもの。)20〜30 mgを入れ,高圧蒸気滅菌又はオキシラ

ン(エチレンオキシド)滅菌をしておく。市販の滅菌済みの細菌試験用ポリエチレン瓶でチオ硫酸

ナトリウムの入っているものを用いてもよい。 

b) 採水器 ハイロート採水器。採水器は,携帯箱に収めて乾熱滅菌を行う。図 1に一例を示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

                                 A:ガラス瓶(100〜1 000 ml) 

                                 B:栓 

                                 C:鎖 

                                 D:開栓用鎖 

                                 E:瓶の保持板の止め金具用鎖 

                                 F:瓶の保持板 

                                 G:携帯箱 

                                 H:携帯箱のふた 

                                  I:おもり 

図 1 ハイロート採水器及び携帯箱の一例 

5.1.2 

操作 試料の採取は,次による。 

a) 表層水の採取 湖沼,河川,水路,貯水槽などの表層水で,直接採取できる場合は,試料容器で試料

を採取する。この際,手指に触れた水は採取しない。直接採取できない場合は,採水器を用いて採取

する(2)。 

b) 各深度の水の採取 一定の深さの水は,採水器を用いて採取する(3)。 

注(3) ハイロート採水器による採取が困難な場合には,バンドーン採水器を用いて採取し,試料容器

に移す。 

c) 給水栓からの採取 給水栓の材質が火炎滅菌に耐えるものである場合は,あらかじめ,火炎滅菌に準

じて給水栓口を滅菌し,栓を開き,配管中の水を十分に放出した後,試料容器に採取する。 

火炎滅菌ができない場合は,あらかじめ,給水栓口の周辺及び内部の汚れを除去し,エタノール

[80 %(体積分率)]などで消毒し,栓を開き,配管中の水を十分に放出した後,試料容器に採取する。 

d) 配管,装置からの採取 c)と同様に操作して採取する。 

5.2 

試料の取扱い 試験は試料採取後,直ちに行う。直ちに試験ができない場合には,0〜5 ℃(凍結さ

せない。)の暗所に保存する。 

6. 試験方法 試験方法は,試料中の硫酸塩還元菌の発育に伴って産生された硫化水素が,改良ISA液体

培地の成分中の鉄(Ⅱ)を硫化鉄(Ⅱ)に変化させ,黒い沈殿物を生じる反応を用いて細菌の有無を確認する定

性試験,及び最確数法による定量試験を適用する。 

6.1 

試薬及び培地 試薬及び培地は,次による。 

a) 水 4.2による。 

b) 希釈水 希釈水は,生理食塩水又はりん酸塩希釈水(pH7.2)を用いる。 

1) 生理食塩水 JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム8.5 gを水に溶かして1 Lとする。これを6.2 d)

の希釈瓶又は三角フラスコに適量(容器容量の約21)をとり,栓をした後,高圧蒸気滅菌を約15 分間

行う。 

2) りん酸塩希釈水(pH7.2) JIS K 9007に規定するりん酸二水素カリウム34 gを水約500 mlに溶かし,

これに水酸化ナトリウム溶液(1 mol/L)(JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを用いて調製する。)

を滴加してpHを7.2に調節し,JIS K 0557に規定する炭酸を含まない水を加えて全量を1 Lとする。

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この溶液1.25 mlをとり,水を加えて1 Lとする。これを1)と同じ滅菌操作を行う。 

c) 改良ISA液体培地 トリプトン10 g,乳酸ナトリウム[70 %(質量分率)]5 g,JIS K 8061に規定する亜

硫酸ナトリウム0.5 g,くえん酸鉄(Ⅲ)アンモニウム0.5 g,JIS K 8995に規定する硫酸マグネシウム七

水和物2.0 g及びJIS K 8978に規定する硫酸鉄(Ⅱ)七水和物0.5 gを水1 Lに加え,かき混ぜて溶かす。

滅菌後のpHが7.3±0.1となるように,水酸化ナトリウム溶液(1 mol/L)又は塩酸(1 mol/L)(JIS K 8180

に規定する塩酸を用いて調製する。)を用いて調節する。 

この溶液10 mlをねじ口試験管(25 ml)にとり,高圧蒸気滅菌を約20 分間行って滅菌する。この培

地は使用時に調製する。 

d) 2倍濃度改良ISA液体培地 改良ISA液体培地の調製で用いた各試薬の2倍量を水1 Lに加え,かき

混ぜて溶かす。滅菌後のpHが7.3±0.1となるように,水酸化ナトリウム溶液(1 mol/L)又は塩酸(1 mol/L)

を用いて調節する。 

この溶液10 mlをねじ口試験管(25 ml)にとり,高圧蒸気滅菌を約20 分間行って滅菌する。この培

地は使用時に調製する。 

e) 3倍濃度改良ISA液体培地 改良ISA液体培地の調製で用いた各試薬の3倍量を水1 Lに加え,かき

混ぜて溶かす。滅菌後のpHが7.3±0.1となるように,水酸化ナトリウム溶液(1 mol/L)又は塩酸(1 mol/L)

を用いて調節する。 

この溶液25 mlをねじ口試験管(100 ml)にとり,高圧蒸気滅菌を約20 分間行って滅菌する。この培

地は使用時に調製する。 

6.2 

器具及び装置 器具及び装置は,次による。 

a) メスピペット 1〜10 ml。ピペット滅菌箱に先端を先にして入れるか,アルミニウムはく又は硫酸紙

に包んで乾熱滅菌をしておく。 

b) 駒込ピペット 1〜10 ml。ピペット滅菌箱に先端を先にして入れるか,アルミニウムはく又は硫酸紙

に包んで乾熱滅菌をしておく。 

c) ねじ口試験管 容量25〜100 ml。本体はほうけい酸ガラス製,ねじぶたは耐熱樹脂製又は金属製,内

部に耐熱パッキンを含み,密閉することができ,乾熱滅菌又は高圧蒸気滅菌に耐えるもの。 

d) 希釈瓶 ガラス瓶又は三角フラスコ(4)で,金属製又は合成樹脂製のねじぶた(5)付きのもの。使用前に

ねじぶたを緩めて,乾熱滅菌又は高圧蒸気滅菌をした後,密栓しておく。 

注(4) 容量は希釈水の約2倍のものを用いるとよい。 

(5) ふたの材質は,高圧蒸気滅菌に耐えるもの。 

e) 培養器 JIS T 1702に規定するふ(孵)卵器。20〜35 ℃の間で設定温度±1℃に調節できるもの。 

6.3 

定性試験  

6.3.1 

一般事項 3倍濃度の改良ISA液体培地に試料の一定量を加えて,30±1 ℃で2〜3 日間培養し,

培地が黒に変色したものを硫酸塩還元菌陽性とする。 

6.3.2 

操作 操作は,次による。 

a) 3倍濃度改良ISA液体培地入りねじ口試験管(100 ml)1本に,よくかき混ぜて均一にした5.の試料50 ml

を加え,更に改良ISA液体培地をねじ口試験管に満たし,気泡が残らないように注意しながら密栓す

る(6)(7)。 

注(6) 改良ISA液体培地に代えて,流動パラフィン(JIS K 9003に規定する流動パラフィンを,使用時

に乾熱滅菌して用いる。)を駒込ピペットを用いて,約1 cmの層になるように加え,培地を空

気と遮断するか,接種したねじ口試験管をそのまま嫌気ジャー(附属書1参照。)に入れて培養し

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てもよい。 

流動パラフィンを使用する場合は,あらかじめ3倍濃度改良ISA液体培地入りねじ口試験管

に加えておくとよい。 

参考 各種のジャーが市販されている。 

(7) 試料一つにつき,複数本(2,3本)を並行して行う。 

b) これを培養器に入れ,30±1 ℃で2〜3 日間培養する。 

c) 培地の底部又は培地全体が黒に変色したものを硫酸塩還元菌陽性とする(8)。 

注(8) 陰性のものについては更に培養を続け,2〜3週間培養後に再度培地の黒変の有無を確認する。 

備考 培養後の使用済み培地は,必ずねじ口試験管のまま,高圧蒸気滅菌をしてから廃棄する。 

6.4 

定量試験 改良ISA液体培地を入れたねじ口試験管に試料の一定量を加えて,30±1 ℃で4〜5 日

間培養し,培地が黒に変色したものを硫酸塩還元菌陽性とし,陽性となったねじ口試験管数から最確数表

を用いて,試料中の硫酸塩還元菌数を算出する(9)。 

注(9) 計数には改良ISA寒天培地を用いてもよい。この培養操作は,附属書1による。 

6.4.1 

試料の希釈 硫酸塩還元菌の数が多い場合,次の希釈操作を行う。 

a) よく振り混ぜて均一にした5.の試料(10)1 mlをメスピペット1 mlでとり,希釈水9 mlを入れた希釈瓶

に加えてよく振り混ぜる。 

注(10) 試料が酸性,又はアルカリ性の場合には,水酸化ナトリウム溶液(1 mol/L)又は塩酸(1 mol/L)を

用いてpHを7±0.2に調節する。 

b) この1 mlを別のメスピペット1 mlでとり,希釈水9 mlを入れた別の希釈瓶に加えてよく振り混ぜる。 

c) b)の操作を繰り返して,数段階の希釈を行い,希釈試料を調製する。 

6.4.2 

操作 操作は,次による。 

a) 試料(10)10 ml,1 ml,0.1 ml(11),0.01 ml(11)のように連続した4段階の試料(12)それぞれ5本ずつ(5-5-5

法)を改良ISA液体培地又は2倍濃度改良ISA液体培地(13)を入れたねじ口試験管に加え,更に改良ISA

液体培地をねじ口試験管に満たし,気泡が残らないように注意しながら密栓する。 

注(11) 試料の量が0.1 mlの場合は,希釈水で10倍に薄めた試料1 mlを,また,試料の量が0.01 mlの

場合は,希釈水で100倍に薄めた試料1 mlを用いる。 

(12) 試料は,その最大量を培養したものの全部か又は大多数が硫酸塩還元菌陽性となるように,ま

た,最少量を培養したものの全部か又は大多数が硫酸塩還元菌陰性となるように適切に薄めて

用いる。 

(13) 試料10 mlを培養する場合に用いる。 

b) これを培養器に入れ,30±1 ℃で4〜5日間培養する。 

c) 培地の黒変が認められたものは硫酸塩還元菌陽性とし,各希釈段階での陽性管の数(14)を求める。 

注(14) 陽性管の組合せが,表1の陽性管の組合せの中に該当しない場合は,操作手順などの誤りによ

るものであるので,操作の見直しが必要である。 

d) これから最確数表(表1)を用いて試料100 ml中の最確数(15)を求める。 

注(15) 表1の最確数表は,薄めない試料10 ml,1 ml,0.1 mlずつを培養したときの試料100 ml当たり

の最確数を示したものであるので,試料を希釈した場合には,その補正が必要になる。 

備考1. 培養後の使用済み培地は,必ずねじ口試験管のまま,高圧蒸気滅菌をしてから廃棄する。 

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表 1 最確数表(5-5-5法,10 ml,1.0 ml,0.1 ml) 

陽性菅の組合せ 

10,1,0.1(ml) 

最確数 

100 ml中 

95 %信頼限界 

陽性菅の組合せ 

10,1,0.1(ml) 

最確数 

100 ml中 

95 %信頼限界 

下限 

上限 

下限 

上限 

4-2-0 

    22 

   9.0 

  56 

0-0-0 

   <2 

− 

− 

4-2-1 

    26 

  12 

  65 

0-0-1 

     2 

  1.0 

10 

4-3-0 

    27 

  12 

  67 

0-1-0 

     2 

  1.0 

10 

4-3-1 

    33 

  15 

  77 

0-2-0 

     4 

  1.0 

13 

4-4-0 

    34 

  16 

  80 

5-0-0 

    23 

   9.6 

  86 

1-0-0 

     2 

  1.0 

11 

5-0-1 

    30 

  10 

 110 

1-0-1 

     4 

  1.0 

15 

5-0-2 

    40 

  20 

 140 

1-1-0 

     4 

  1.0 

15 

5-1-0 

    30 

  10 

 120 

1-1-1 

     6 

  2.0 

18 

5-1-1 

    50 

  20 

 150 

1-2-0 

     6 

  2.0 

18 

5-1-2 

    60 

  30 

 180 

2-0-0 

     4 

  1.0 

17 

5-2-0 

    50 

  20 

 170 

2-0-1 

     7 

  2.0 

20 

5-2-1 

    70 

  30 

 210 

2-1-0 

     7 

  2.0 

21 

5-2-2 

    90 

  40 

 250 

2-1-1 

     9 

  3.0 

24 

5-3-0 

    80 

  30 

 250 

2-2-0 

     9 

  3.0 

25 

5-3-1 

   110 

  40 

 300 

2-3-0 

    12 

  5.0 

29 

5-3-2 

   140 

  60 

 360 

3-0-0 

     8 

  3.0 

24 

5-3-3 

   170 

  80 

 410 

3-0-1 

    11 

  4.0 

29 

5-4-0 

   130 

  50 

 390 

3-1-0 

    11 

  4.0 

29 

5-4-1 

   170 

  70 

 480 

3-1-1 

    14 

  6.0 

35 

5-4-2 

   220 

 100 

 580 

3-2-0 

    14 

  6.0 

35 

5-4-3 

   280 

 120 

 690 

3-2-1 

    17 

  7.0 

40 

5-4-4 

   350 

 160 

 820 

5-5-0 

   240 

 100 

 940 

4-0-0 

    13 

  5.0 

38 

5-5-1 

   300 

 100 

1 300 

4-0-1 

    17 

  7.0 

45 

5-5-2 

   500 

 200 

2 000 

4-1-0 

    17 

  7.0 

46 

5-5-3 

   900 

 300 

2 900 

4-1-1 

    21 

  9.0 

55 

5-5-4 

  1 600 

 600 

5 300 

4-1-2 

    26 

 12 

63 

5-5-5 

≧1 600 

− 

− 

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K 0350-60-10:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

備考2. 最確数の求め方の例 

陽性管列の例が,表2に示すようになった場合の最確数の算出は,次による。 

表 2 陽性管列の例* 

 希釈倍数 

  1(希釈なし) 10(希釈なし)  100     1 000 

 希釈試料の培養量(ml) 

 10(希釈なし) 1(希釈なし)   1         1 

 薄めない試料の相当量(ml) 

 10           1             0.1       0.01 

 陽性管列の例 

   1) 

  5/5         5/5            2/5        0/5 

   2) 

  5/5         4/5            2/5        0/5 

   3) 

  0/5         1/5            0/5        0/5 

   4) 

  5/5         3/5            1/5        1/5 

   4ʼ) 

  5/5         3/5            2/5        0/5 

 注* 

分母は試験管数,分子は陽性管数を示す。太字体は最確数を表から求める場
合に採用する3 希釈段階の陽性管列を示す。 

出展:上水試験方法(2001年版):社団法人日本水道協会発行のものを一部修

正した。 

例1. 表2の陽性管の例が1)のように,希釈倍数100で試験本数の一部が陽性となり,希釈倍数1 000

ではすべて陰性,希釈倍数10及び1がすべて陽性の場合は,一部が陽性になった希釈倍数のも

のを中央において,連続した3段階の希釈倍数からなる陽性管列を採用する。すなわち,陽性

管列5,2,0 を採用し,表1に照らして対応する最確数50を得る。ここで,最確数の算出に

採用した3段階の陽性管列で先頭の「薄めない試料中の相当量(ml)」は1 mlであるので,表1

で求めた最確数50に倍数10を乗じて500(MPN/100 ml)を試料の最確数とする。 

例2. 表2の陽性管の例が2)のように,連続した二つの希釈倍数(10及び100)で試験本数の一部が陽

性となり,希釈倍数1 000で,すべて陰性,希釈倍数1ではすべて陽性の場合は,低い希釈倍

数(希釈倍数1)ですべて陽性となるような陽性管列を採用する。すなわち,陽性管列5,4,2を

採用し,表1に照らして対応する最確数220を得る。ここで最確数の算出に採用した3段階の

陽性管列で先頭の「薄めない試料中の相当量(ml)」は10 mlであるので,この値をそのまま試料

の最確数[220(MPN/100 ml)]とする。 

例3. 表2の陽性管の例が3)のように,希釈倍数1ですべて陰性になっている場合,試料を最も多量

に加えた場合ですべて陰性であることを重視し,希釈倍数1を先頭にし,次の希釈倍数10で陽

性となった陽性管を含めた陽性管列を採用する。すなわち,陽性管列0,1,0を採用し,表1

に照らして対応する最確数2を得る。ここで,最確数の算出に採用した3段階の陽性管列で先

頭の「薄めない試料の相当量(ml)」は10 mlであるので,この値をそのまま試料の最確数

[2(MPN/100 ml)]とする。 

例4. 表2の陽性管の例が4)のように,希釈倍数1 000でも一部が陽性となっている場合は,希釈倍

K 0350-60-10:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

数100の陽性管数に1を加えて表2の4ʼ)に示したような陽性管列とし,以下,2)と同様に取り

扱う。すなわち,陽性管列5,3,2を採用し,表1に照らして対応する最確数140を得る。こ

こで,最確数の算出に採用した3段階の陽性管列で先頭の「薄めない試料の相当量(ml)」は10 ml

であるので,この値をそのまま試料の最確数[140(MPN/100 ml)]とする。 

7. 結果の表示 6.4で得られた硫酸塩還元菌数(MPN/100 ml),附属書1で得られた硫酸塩還元菌数(個/ ml)

は,有効数字2けたに数値を丸める。 

結果には,試料の採取場所,採取日時,試験日時及び用いた試験方法を付記する。 

付表 1 引用規格 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0101 工業用水試験方法 

JIS K 0102 工場排水試験方法 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0550 超純水中の細菌数試験方法 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

JIS K 0950 プラスチック製滅菌シャーレ 

JIS K 8061 亜硫酸ナトリウム(試薬) 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8263 寒天(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬) 

JIS K 8978 硫酸鉄(Ⅱ)七水和物(試薬) 

JIS K 8995 硫酸マグネシウム七水和物(試薬) 

JIS K 9003 流動パラフィン(試薬) 

JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

JIS T 1702 ふ(孵)卵器 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1(規定)改良ISA寒天培地による定量方法 

序文 この附属書は,改良ISA液体培地に代えて改良ISA寒天培地を用いた定量方法について規定する。 

1. 改良ISA寒天培地による定量法 改良ISA寒天培地を用いて,三重層平板法によって試料中の硫酸塩

還元菌を定量する方法は次による。 

a) 試薬及び培地 試薬及び培地は,次による。 

1) 水 本体4.2による。 

2) 希釈水 本体6.1 c)による。 

3) 改良ISA寒天培地 本体6.1 d)に示す各試薬及びJIS K 8263に規定する寒天(粉末)15 gをそれぞれ

水1 Lに加え,加熱して溶かす。滅菌後のpHが7.3±0.1となるように,水酸化ナトリウム溶液(1 

mol/L)又は塩酸(1 mol/L)を用いて調節する。 

大試験管(30×200 mm)又は三角フラスコ(1)に,この培地を適量ずつ移し入れ,これに金属製,合

成樹脂製又はシリコーンスポンジ製で高圧蒸気滅菌に耐える栓をして,高圧蒸気滅菌を約20 分間

行って滅菌後,恒温槽を用いて約45 ℃にする。この培地は使用時に調製する。 

この溶液5〜10 mlをペトリ皿に分注し,平板に固める。この操作を試験に使用するペトリ皿の枚

数分行う。 

注(1) 使用する量に応じて,適切な容量のものを選ぶ。 

b) 器具及び装置 器具及び装置は,次による。 

1) メスピペット 本体6.2 a)による。 

2) ねじ口試験管 本体6.2 c)による。 

3) 希釈瓶 本体6.2 d)による。 

4) ペトリ皿 ガラス製の直径約90 mm,高さ約15 mmのもの。ペトリ皿滅菌箱に入れるか,アルミニ

ウムはく又は硫酸紙に包んで乾熱滅菌をしておく。又はJIS K 0950に規定するプラスチック製滅菌

シャーレ90B。 

5) 嫌気ジャー 内部の空気を,窒素,二酸化炭素などで置換して嫌気状態にできるもの又は残留する

酸素と発生させた水素とを触媒によって反応させ除去し,嫌気状態にすることができるもの。 

6) 培養器 本体6.2 e)による。 

7) 恒温槽 45±0.5 ℃に保てるもの。 

c) 試料の希釈 硫酸塩還元菌の数が多い場合は,本体6.4.1による。 

d) 操作 操作は,次による。 

1) よく振り混ぜて均一にした本体5.の試料又はc)によって調製した希釈試料の一定量(0.3及び1 ml)

を,メスピペットを用いて,改良ISA寒天培地をペトリ皿の中で固めた寒天平板表面の中央部に載

せる(2)。このペトリ皿は2枚以上用いる。 

2) 約45 ℃の改良ISA寒天培地約10 mlを,それぞれのペトリ皿に注いだ後,直ちにふたをし,ペト

リ皿を静かに揺り動かして試料と培地を十分に混和させ,平板に固めて混釈平板とする(2)。 

3) これらの平板に約45 ℃の改良ISA寒天培地約5 mlを更に注いだ後,直ちにふたをし,ペトリ皿を

静かに揺り動かして平板の表面全体に培地を均一に広げた後,静置し,固めて三重層平板とする(2)。 

4) 培地が固まったのを確認した後,嫌気ジャーに入れ,培養器に納め,30±1 ℃で4〜5 日間培養す

10 

K 0350-60-10:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る。 

5) 培養後,形成した黒の集落を硫酸塩還元菌とし,集落数10〜50個(3)(4)を形成したペトリ皿について

集落数を計数し,次の式によって,試料1 ml当たりの硫酸塩還元菌の集落数(個/ml)を求める。 

ここに, 

S: 試料中の硫酸塩還元菌の集落数(個/ml) 

N1,N2,…Nn: 各ペトリ皿の集落数(個) 

n: ペトリ皿の枚数 

V: 本体5.の試料又はc)の希釈試料(ml) 

m: 試料の希釈倍数 

注(2) 試料又は希釈試料をペトリ皿にとるとき及び培地をペトリ皿に注ぐときは,ペトリ皿のふたを

わずかに開け,注ぎ終わったら直ちにふたをする。 

(3) 通常はこの範囲でよいが,大きな集落が形成される場合は,数が多いと集落が重なり合って計

数しにくい場合がある。このようなときは10〜30 個のものを用いた方がよい。状況に応じて

選択する。 

(4) 希釈していない試料1 mlで培養したペトリ皿でも集落数が10 個未満の場合は,その集落数を

用いて試料1 ml当たりの集落数(個/ml)を算出する。 

備考1. 試料中に硫化物を可溶化又は消費する細菌が存在していると,黒の集落が消失してしまう場

合がある。未知試料などを試験するときは,失敗を防ぐため改良ISA液体培地を用いた最確

数法による定量試験を併用しておくことが望ましい。 

2. 培養後の使用済み培地の取扱いは,必ずペトリ皿のまま高圧蒸気滅菌をしてから廃棄する。 

(

)

m

V

n

N

N

N

N

S

n

×

×

+

+

+

+

=

1

3

2

1