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K 0106:2010  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義並びに共通事項 ······························································································ 2 

4 分析方法の種類及び概要 ···································································································· 2 

5 試料ガス採取方法 ············································································································· 2 

5.1 一般 ···························································································································· 2 

5.2 試薬及び試薬溶液の調製 ································································································· 3 

5.3 器具及び装置 ················································································································ 3 

5.4 採取操作 ······················································································································ 5 

5.5 試料ガス採取量 ············································································································· 5 

6 分析用試料溶液の調製 ······································································································· 6 

7 定量方法························································································································· 6 

7.1 2, 2'-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)吸光光度法(ABTS吸光光度法) ····· 6 

7.2 4-ピリジンカルボン酸-ピラゾロン吸光光度法(PCP吸光光度法) ··········································· 8 

7.3 イオンクロマトグラフ法(IC法) ··················································································· 10 

8 分析結果の記録 ··············································································································· 13 

8.1 記録項目 ····················································································································· 13 

8.2 排ガス分析値の求め方 ··································································································· 13 

附属書A(規定)二塩化3, 3'ージメチルベンジジニウム吸光光度法(o-トリジン吸光光度法) ············· 16 

附属書B(参考)検知管法 ···································································································· 19 

K 0106:2010  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本環境

測定分析協会(JEMCA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業

標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 0106:1995は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 0106:2010 

排ガス中の塩素分析方法 

Methods for determination of chlorine in flue gas 

適用範囲 

この規格は,排ガス中の塩素を分析する方法(以下,分析方法という。)について規定する。 

この規格で規定する方法は,試料ガス中に臭素,よう素,オゾン,二酸化塩素などの酸化性ガス又は硫

化水素,二酸化硫黄などの還元性ガスが共存すると影響を受けるので,その影響を無視又は除去できる場

合に適用する。二酸化窒素の影響については,分析方法の適用条件による。 

なお,この規格において排ガスとは,化学反応,燃焼などに伴って煙道,煙突,ダクト(以下,ダクト

という。)などに排出されるガスをいう。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0095 排ガス試料採取方法 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0127 イオンクロマトグラフ分析通則 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

JIS K 8005 容量分析用標準物質 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8355 酢酸(試薬) 

JIS K 8443 シアン化カリウム(試薬) 

JIS K 8500 N,N-ジメチルホルムアミド(試薬) 

JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬) 

JIS K 8622 炭酸水素ナトリウム(試薬) 

JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬) 

JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬) 

JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬) 

JIS K 9020 りん酸水素二ナトリウム(試薬) 

JIS K 9548 3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロン(試薬) 

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JIS Z 8808 排ガス中のダスト濃度の測定方法 

用語及び定義並びに共通事項 

この規格で用いる主な用語及び定義並びに化学分析方法,排ガスの試料採取方法,吸光光度法及びイオ

ンクロマトグラフ法に共通する事項については,JIS K 0050,JIS K 0095,JIS K 0115及びJIS K 0127に

よる。 

分析方法の種類及び概要 

分析方法の種類及びその概要は,表1による。 

表1−分析方法の種類及び概要 

分析方法の種類 

分析方法の概要 

適用条件 

要旨 

試料採取 

定量範囲a) 

mg/m3 

(vol ppm) 

2, 2'-アジノビス(3-エチルベ
ンゾチアゾリン-6-スルホン
酸)吸光光度法(ABTS吸光
光度法) 

試料ガス中の塩素を2, 2'-アジノビ
ス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-
スルホン酸)吸収液に吸収して,発
色させ,吸光度 (400 nm) を測定
し,試料ガス濃度を求める。 

吸収瓶法 
吸収液:ABTS溶液 
(0.1 g/L) 
吸収液量:20 mL×2 
標準採取量:20 L 

0.10〜2.0 
(0.03〜 
0.63) 

7.1.1によ
る。 

4-ピリジンカルボン酸-ピラ
ゾロン吸光光度法(PCP吸光
光度法) 

試料ガス中の塩素をp-トルエンス
ルホンアミド吸収液に吸収して,ク
ロラミンTに変えた液を分析用試
料溶液とする。これに少量のシアン
化カリウム溶液を加えて塩化シア
ンとした後,4-ピリジンカルボン酸
-ピラゾロン溶液で発色させ,吸光
度 (638 nm) を測定し,試料ガス濃
度を求める。 

吸収瓶法 
吸収液:p-トルエン
スルホンアミド溶液 
(1.0 g/L) 
吸収液量:20 mL×2 
標準採取量:20 L 

0.25〜5.0 
(0.08〜1.6) 

7.2.1によ
る。 

イオンクロマトグラフ法(IC
法) 

試料ガス中の塩素をp-トルエンス
ルホンアミド吸収液に吸収して,ク
ロラミンTに変えた液を分析用試
料溶液とする。これに少量のシアン
化カリウム溶液と水酸化カリウム
溶液を加えシアン酸イオンとした
後,イオンクロマトグラフ法で測定
し,試料ガス濃度を求める。 

吸収瓶法 
吸収液:p-トルエン
スルホンアミド溶液 
(1.0 g/L) 
吸収液量:20 mL×2 
標準採取量:20 L 

1.3〜25 
(0.40〜7.9) 

7.3.1によ
る。 

注記1 この表に示すmg/m3及びvol ppmは,標準状態[273.15 K(0 ℃),101.32 kPa]における質量濃度及び体積

濃度である。 

注記2 この表の方法のほかに,二塩化3, 3'-ジメチルベンジジニウム吸光光度法(o-トリジン吸光光度法)(附属書

A参照)及び検知管法(附属書B参照)がある。 

注a) 試料ガスを通した吸収液 (40 mL) を50 mLに薄めて分析用試料溶液とした場合。ここに示した定量範囲は,

試料ガスの標準採取量,分析用試料溶液及び検量線の最適範囲から求めたものである。定量範囲を超える濃度
を測定する場合には,分析用試料溶液を定量範囲内に入るように希釈して測定する。 

試料ガス採取方法 

5.1 

一般 

分析に用いる試料ガスの採取位置は,代表的なガスが採取できる点を選び,同一採取位置において近接

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した時間内に,通常2回以上試料ガスを採取し,それぞれ分析に用いる。 

5.2 

試薬及び試薬溶液の調製 

5.2.1 

試薬 

試薬は,次による。 

5.2.1.1 

水 JIS K 0557に規定するA3の水。 

5.2.1.2 

硫酸 JIS K 8951に規定するもの。 

5.2.1.3 

りん酸二水素カリウム JIS K 9007に規定するもの。 

5.2.1.4 

りん酸水素二ナトリウム JIS K 9020に規定するもの。 

5.2.1.5 

2, 2'-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)二アンモニウム(ABTS二アンモニ

ウム) 

5.2.1.6 

p-トルエンスルホンアミド 

5.2.2 

試薬溶液の調製 

試薬溶液の調製は,次による。 

5.2.2.1 

硫酸 (0.02 mol/L) 水1 Lに硫酸1.2 mLを加える。 

5.2.2.2 

緩衝液 (pH7) りん酸二水素カリウム4.5 gを水に溶かして1 Lとしたもの (1/30 mol/L) と,り

ん酸水素二ナトリウム4.7 gを水に溶かして1 Lとしたもの (1/30 mol/L) とを等量混合した後,水酸化ナ

トリウム溶液 (2 g/L) でpH7に調節する。 

5.2.2.3 

吸収液 

a) ABTS吸光光度法の場合  

ABTS溶液(0.1 g/L):2, 2'-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)アンモニウム(ABTS

アンモニウム)0.1 gを緩衝液 (pH7) 100 mLに溶かし,硫酸 (0.02 mol/L) を加えて1 Lとする。この

溶液の保存期間は,冷暗所で2日間である。 

b) PCP吸光光度法及びイオンクロマトグラフ法の場合  

p-トルエンスルホンアミド溶液 (1.0 g/L):p-トルエンスルホンアミド0.1 gを水100 mLに加え,水

浴上で50〜60 ℃に加熱し,よく振り混ぜて溶かした後,室温に戻す。 

5.3 

器具及び装置 

器具及び装置は,次による。 

5.3.1 

吸収瓶 図1に例示する吸収瓶(容量50 mL)を2個連結して用いる1), 2)。 

5.3.2 

試料ガス採取装置 図2に例示する構成で,次の条件を備えるもの。 

a) 試料ガス採取管 (B) は,排ガス中の塩素などの腐食性ガスによって侵されない材質,例えば,ほうけ

い酸ガラス管,シリカガラス管,四ふっ化エチレン樹脂管などを用いる。 

b) 試料ガス中にダストなどが混入することを防ぐため,試料ガス採取管の先端又は適切な位置にろ過 

材3)を詰める。 

c) 試料ガス中の水分が凝縮することを防ぐため,試料ガス採取管からコック (P1) までの間を加熱でき

る構造とする4)。 

なお,この間の接続部分は,すり合わせ接手管,シリコーンゴム管又は四ふっ化エチレン樹脂管を

用いる。 

d) 装置各部の接続は,漏れがないように組み立てる。 

注1) 塩素を完全に捕集することを確認した場合は,吸収瓶は一つでよい。 

2) 

吸収瓶のガラスボールフィルターに目詰まり,破損などがあると塩素の吸収率に影響するの

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で,目詰まり,破損などがないことを確認した後,用いる。吸収瓶の確認方法としては,吸

収瓶に水20 mLを入れて通気し,気泡が分散して均一に泡立ち,目詰まり又は破損がないこ

とを確認する。 

3) 

排ガス中の成分と化学反応を起こさない材質のもの,例えば,シリカウール,無アルカリガ

ラスウールを用いる。 

4) 

配管はできるだけ短くし,水分が凝縮するおそれのある場合には,試料ガス採取管からコッ

ク (P1) までの間を約120 ℃に加熱する。 

単位 mm 

図1−吸収瓶の例 


ろ過材 
試料ガス採取管 
採取口 
温度計 
ヒーター 

F1, F2 


K1, K2 

吸収瓶(容量50 mL) 
ガラスフィルター 
洗浄瓶(容量50 mL) 
乾燥管 
流量調節コック 


P1, P2 

吸引ポンプ 
湿式ガスメーター 
温度計 
マノメーター 
流路切換三方コック 
冷却槽 

図2−試料ガス採取装置の例 

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5.4 

採取操作 

操作は,次による。ここに示す装置の記号は,図2による。 

a) 吸収瓶 (F1, F2) に,分析法ごとに規定された5.2.2.3 a)又はb)のいずれかの吸収液20 mLをそれぞれ入

れる1)。 

b) 吸収瓶 (F1, F2) を冷却槽 (Q) 内に設置し,試料ガス採取管と接続する5)。 

c) 流路切換三方コック (P1, P2) をバイパス側に回した後,吸引ポンプ (L) を作動させて,試料ガス採取

管 (B) から流路切換三方コック (P1) 内を試料ガスで置換する。採取現場の狭あいなど,場所の制約

がありバイパス用導入管が設置できない場合は,採取管から流路切換三方コック (P1) 間の導管を試

料ガスで十分に置換すれば,バイパスを省略してもよい。 

d) 吸引ポンプ (L) を停止した後,流路切換三方コック (P1, P2) を吸収瓶 (F1, F2) 側に回す。次に湿式ガ

スメーター (M) の指示 (V1) を0.01 Lのけたまで読み取る。 

e) 吸引ポンプ (L) を作動させ,試料ガスを吸収瓶 (F1, F2) に通す。このとき流量調節コック (K1, K2) を

調節して,流量を1 L/min[二塩化3, 3'-ジメチルベンジジニウム吸光光度法の場合は0.5 L/min6)]程度

にする。試料ガスを約20 L(二塩化3, 3'-ジメチルベンジジニウム吸光光度法の場合は2.5 L)7) 採取

した後,吸引ポンプ (L) を停止し,流路切換三方コック (P1, P2) を閉じ,湿式ガスメーター (M) の

指示 (V2) を0.01 Lのけたまで読み取る。また,試料ガス採取時に湿式ガスメーターの温度計 (N) 及

びマノメーター (O) によって,湿式ガスメーターの温度 (t) 及びゲージ圧を測定する。また,大気圧

を測定しておく。 

f) 

必要に応じて,試料ガス中の水分をJIS Z 8808の6.(排ガス中の水分量の測定)によって測定する。 

注5) 冷却槽内には,氷水を入れる。 

6) 

塩素が吸収液に完全に吸収されることがあらかじめ明らかなときは,流量を約1 L/minとし

てもよい。 

7) 

塩素濃度に応じて,適宜,増減してもよい。 

5.5 

試料ガス採取量 

式(1)〜(4)によって,標準状態[273.15 K(0 ℃),101.32 kPa]における試料ガス採取量を,乾きガス量 

(VSD) 又は湿りガス量 (VSW) として算出する。 

a) 乾きガス量を求める場合 

1) 湿式ガスメーターを用いた場合 

(

)

b

a

P

P

P

t

V

V

+

×

+

+

×

+

×

=

41

.

22

32

.

101

15

.

273

15

.

273

V

m

a

SD

 ································ (1) 

2) 乾式ガスメーターを用いた場合 

(

)b

a

P

P

t

V

V

+

×

+

+

×

+

×

=

41

.

22

32

.

101

15

.

273

15

.

273

m

a

SD

 ····································· (2) 

b) 湿りガス量を求める場合 

1) 湿式ガスメーターを用いた場合 

(

)c

b

a

P

P

P

t

V

V

+

+

×

+

+

×

+

×

=

41

.

22

32

.

101

15

.

273

15

.

273

V

m

a

SW

 ··························· (3) 

2) 乾式ガスメーターを用いた場合 

(

)c

b

a

P

P

t

V

V

+

+

×

+

+

×

+

×

=

41

.

22

32

.

101

15

.

273

15

.

273

m

a

SW

 ······························· (4) 

K 0106:2010  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに, 

VSD: 乾きガス量 (L) 

VSW: 湿りガス量 (L) 

V: ガスメーターで測定したガス量 (L) 

 [5.4 d)〜e)の操作におけるV2−V1] 

t: ガスメーターにおける温度 (℃) 

Pa: 大気圧 (kPa) 

Pm 8): ガスメーターにおけるゲージ圧 (kPa) 

PV 9): t ℃における水の飽和蒸気圧 (kPa)  

a8): 吸収液に捕集された分析対象成分ガス量 (mol) 

b8): 吸収液に捕集された分析対象成分以外のガス量 (mol) 

c8): JIS Z 8808の6.によって求めた水分量 (mol) 

273.15: 0 ℃に対応する絶対温度 (K) 

101.32: 1気圧に対応する圧力 (kPa) 

22.41: 標準状態における気体1モルの体積 (L) 

注8) 無視しても差し支えない場合が多い。 

9) 表2に示す。 

分析用試料溶液の調製 

調製は,次による。 

a) ABTS吸光光度法 

1) 5.4の操作を行った後,吸収瓶 (F1, F2) の内容液を直ちに全量フラスコ50 mLに移し,更に吸収瓶

などを水で洗浄し,洗液を先の全量フラスコに合わせる。 

2) 水を標線まで加えて密栓する10)。これを分析用試料溶液とする。 

注10) 密栓すれば,発色後約2時間安定である。 

b) PCP吸光光度法及びイオンクロマトグラフ法 

1) 5.4の操作を行った後,吸収瓶 (F1, F2) の内容液を直ちに全量フラスコ50 mLに移し,更に吸収瓶

などを水で洗浄し,洗液を先の全量フラスコに合わせる。 

2) 水を標線まで加えて密栓する。これを分析用試料溶液とする11)。 

注11) この溶液は,PCP吸光光度法及びイオンクロマトグラフ法の両方に用いることができる。 

定量方法 

7.1 

2, 2'-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)吸光光度法(ABTS吸光光度法) 

7.1.1 

適用条件 

この方法は,窒素酸化物(特に二酸化窒素)の影響を大きく受けるので,燃焼排ガス中の塩素の分析に

は適用できない。塩素の質量濃度が0.10〜2.0 mg/m3の場合に適用する。この範囲を超える場合は,分析用

試料溶液を希釈して測定する。 

7.1.2 

試薬及び試薬溶液の調製 

7.1.2.1 

試薬 

試薬は,次による。 

7.1.2.1.1 

水 JIS K 0557に規定するA3の水。 

7.1.2.1.2 

酢酸 JIS K 8355に規定するもの。 

7.1.2.1.3 

次亜塩素酸ナトリウム溶液 有効塩素50〜120 g/Lのもの。 

7.1.2.1.4 

チオ硫酸ナトリウム五水和物 JIS K 8637に規定するもの。 

K 0106:2010  

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7.1.2.1.5 

炭酸ナトリウム JIS K 8625に規定するもの。 

7.1.2.1.6 

よう化カリウム JIS K 8913に規定するもの。 

7.1.2.1.7 

でんぷん(溶性) JIS K 8659に規定するもの。 

7.1.2.1.8 

よう素酸カリウム JIS K 8005に規定する容量分析用標準試薬。 

7.1.2.2 

試薬溶液の調製 

試薬溶液の調製は,次による。 

7.1.2.2.1 

酢酸 (1+1) 酢酸100 mLと水100 mLとを混合する。 

7.1.2.2.2 

0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液 チオ硫酸ナトリウム五水和物13 g及び炭酸ナトリウム0.2 

gをはかり取り,溶存酸素を含まない水[JIS K 0557の4.の備考3.参照]1 000 mLに溶かした後,気密容

器に入れて2日間放置する。その後,よう素酸カリウムを用いて標定する。標定は次による。 

標定 a) よう素酸カリウムを130 ℃で約2時間乾燥し,デシケーター中で放冷した後,その0.35

〜0.36 gを0.1 mgのけたまではかり取る。 

b) 水に溶かした後,全量フラスコ250 mLに水で洗い移し,水を標線まで加える。 

c) 共栓三角フラスコ300 mLにこの溶液25 mLを正確に取り,水を加えて約100 mLとし,よ

う化カリウム1〜2 g,酢酸 (1+1) 6 mLを加え,栓をして静かに振り混ぜ,暗所に5分間

放置する。 

d) 遊離したよう素を0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,溶液の黄色が薄くなって

から指示薬としてでんぷん溶液約1 mLを加えて滴定を続け,よう素でんぷんの青が消え

た点を終点とする。 

e) 別に同一条件で空試験を行って滴定値を補正する。 

f) 

式(5)によって,0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクターを算出する。 

783

001

.0250

25

×′

×

=am

f

 ······································································ (5) 

ここに, 

f: 0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター 

m: よう素酸カリウム採取量 (g) 

a': 滴定に要した0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の量 

(mL) 

0.001 783: 0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当するよう

素酸カリウムの量 (g) 

7.1.2.2.3 

でんぷん溶液 でんぷん(溶性)1 gを水約10 mLとよく混和し,熱水200 mL中にかき混ぜな

がら加える。約1分間煮沸し,冷却する。使用時に調製する。 

7.1.2.2.4 

塩素標準液 (Cl2:1.0 mg/mL) 7.1.2.1.3の次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素50〜120 g/L)

100/N mL(N:有効塩素g)を全量フラスコ100 mLにとり,水を標線まで加える。使用時に調製する。 

有効塩素 (N) は,次によって求める。 

a) 7.1.2.1.3の次亜塩素酸ナトリウム溶液v mL(有効塩素50 g/Lの場合,5 mL)を全量フラスコ100 mL

にとり,水を標線まで加える。 

b) a)の10 mLを共栓三角フラスコ300 mLに正確に取り,水を加えて約100 mLとする。 

c) 7.1.2.2.2の標定に準じて操作する。 

d) 別に水v mLをとり,7.1.2.2.2の標定と同様に操作して空試験を行って滴定値を補正する。 

K 0106:2010  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

e) 式(6)によって有効塩素の濃度 (g/L) を算出する。 

000

1

773

001

.0

1

10

100

×

×

×

×

×′′

=

v

f

a

N

 ·············································· (6) 

ここに, 

N: 有効塩素 (g/L) 

a'': 滴定に要した0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液量 (mL) 

f: 0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター 

0.001 773: 0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液1 mLの塩素相当量 (g) 

v: 次亜塩素酸ナトリウム溶液の採取量 (mL) 

7.1.2.2.5 

塩素標準液 (Cl2:0.01 mg/mL) 7.1.2.2.4の塩素標準液 (Cl2:1.0 mg/mL) 1.0 mLを全量フラスコ

100 mLにとり,水を標線まで加える。使用時に調製する。 

7.1.2.2.6 

吸収液(ABTS溶液) 5.2.2.3 a)による。 

7.1.3 

定量操作 

操作は,次による。 

a) 箇条6 a)で調製した分析用試料溶液の一部を吸収セルにとり,吸収液を対照として,波長400 nm付近

の吸光度を測定する10)。 

b) 7.1.4によって作成した検量線から塩素の質量濃度 (mg/mL)を求める。 

注10) 密栓すれば,発色後約2時間は安定である。 

7.1.4 

検量線の作成 

検量線の作成は,次による。 

a) 塩素標準液 (Cl2:0.01 mg/mL) 0.1〜2.0 mLを数個の全量フラスコ25 mLに段階的にとり,吸収液20 mL

を加え,更に水を標線まで加えて密栓する。 

b) この溶液の一部を吸収セルにとり,吸収液を対照として,波長400 nm付近の吸光度を測定し,a)の全

量フラスコ中の塩素の質量濃度 (mg/mL)と吸光度との関係線を作成する。 

7.1.5 

塩素濃度の算出 

式(7)〜(9)によって,試料ガス中の塩素の濃度を算出し,有効数字2けたに丸める。 

000

1

50

S

W

×

×

=V

a

C

 ····································································· (7) 

000

1

50

316

.0

S

V

×

×

×

=

V

a

C

 ···························································· (8) 

16

.3

V

W

×

=C

C

 ·········································································· (9) 

ここに, 

CW: 試料ガス中の塩素の質量濃度 (mg/m3) 

CV: 試料ガス中の塩素の体積濃度 (vol ppm) 

a: 7.1.3 b)で求めた塩素の質量濃度 (mg/mL) 

VS: 5.5によって算出した標準状態の試料ガス採取量 (L) 

(乾きガスの場合はVSD,湿りガスの場合はVSW) 

0.316: 塩素 (Cl2) 1 mgの体積 (mL) (標準状態) 

3.16: 塩素 (Cl2) 1 vol ppmの質量濃度 (mg/m3),70.9/22.41 

7.2 

4-ピリジンカルボン酸-ピラゾロン吸光光度法(PCP吸光光度法) 

7.2.1 

適用条件 

この方法は,二酸化窒素が共存しても,その影響を受けない。塩素の質量濃度が0.25〜5.0 mg/m3の場合

に適用する。この範囲を超える場合は,分析用試料溶液を希釈して測定する。 

K 0106:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.2.2 

試薬及び試薬溶液の調製 

7.2.2.1 

試薬 

試薬は,次による。 

7.2.2.1.1 

水 JIS K 0557に規定するA3の水。 

7.2.2.1.2 

次亜塩素酸ナトリウム溶液 有効塩素50〜120 g/Lのもの。 

7.2.2.1.3 

シアン化カリウム JIS K 8443に規定するもの。 

7.2.2.1.4 

りん酸水素二ナトリウム JIS K 9020に規定するもの。 

7.2.2.1.5 

りん酸二水素カリウム JIS K 9007に規定するもの。 

7.2.2.1.6 

3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロン JIS K 9548に規定するもの。 

7.2.2.1.7 

4-ピリジンカルボン酸ナトリウム 

7.2.2.1.8 N,N-ジメチルホルムアミド JIS K 8500に規定するもの。 

7.2.2.2 

試薬溶液の調製 

試薬溶液の調製は,次による。 

7.2.2.2.1 

シアン化カリウム溶液 (10 g/L) シアン化カリウム1 gを水100 mLに溶かしたもの。 

注記 冷蔵庫に保存すれば1か月間使用できる。 

7.2.2.2.2 

りん酸塩緩衝液 (pH7.2) りん酸水素二ナトリウム17.8 gを水約300 mLに溶かした溶液に,り

ん酸二水素カリウム溶液 (200 g/L) をpH値が7.2になるまで加えた後,水で500 mLにする。 

7.2.2.2.3 

4-ピリジンカルボン酸-ピラゾロン溶液 3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロン0.3 gをN,N-ジメチ

ルホルムアミド20 mLに溶かす。別に4-ピリジンカルボン酸ナトリウム1.8 gを水約50 mLに溶かし,両

液を合わせ水を加えて100 mLとする。 

注記 この溶液は冷蔵庫に保存すれば約2週間は安定であるが,黄色に着色した場合は使用できない。 

7.2.2.2.4 

塩素標準液 (Cl2:1.0 mg/mL) 7.1.2.2.4による。 

7.2.2.2.5 

塩素標準液 (Cl2:0.01 mg/mL) 7.1.2.2.5による。 

7.2.2.2.6 

吸収液(p-トルエンスルホンアミド溶液) 5.2.2.3 b)による。 

7.2.3 

定量操作 

操作は,次による。 

a) 箇条6 b)で調製した分析用試料溶液10 mLを全量フラスコ25 mLに正確にとる。 

b) シアン化カリウム溶液 (10 g/L) 0.5 mLを加えて栓をし,2回静かに転倒した後,室温で約5分間放置

する。 

c) りん酸塩緩衝液5 mL及び4-ピリジンカルボン酸-ピラゾロン溶液5 mLを加え,水を標線まで加える

12)。 

d) 密栓して2回静かに転倒した後,25±2 ℃の水浴中で約30分間放置する。 

e) d)の溶液の一部を吸収セルにとり,波長638 nm付近の吸光度を測定する13)。対照液には5.2.2.3 b)の

吸収液8 mLを全量フラスコ25 mLにとり,b)〜d)の操作を行ったものを用いる。 

f) 

7.2.4によって作成した検量線から塩素の質量濃度 (mg/mL)を求める。 

注記 この廃液には,有害なシアン化物イオンを含んでいるので,次亜塩素酸ナトリウム溶液で分

解処理をするか,シアン含有廃液として処分する。 

注12) シアン化カリウム溶液より先にりん酸塩緩衝液を加えると,吸光度が低下することがある。 

13) 密栓すれば,発色後約1時間は安定である。 

10 

K 0106:2010  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.2.4 

検量線の作成 

検量線の作成は,次による。 

a) 塩素標準液 (Cl2:0.01 mg/mL) 0.1〜2.0 mLを数個の全量フラスコ25 mLに段階的にとり,5.2.2.3 b)の吸

収液8 mLを加える。 

b) 7.2.3のb)〜e)の操作を行い,a)の全量フラスコ中の塩素の質量濃度 (mg/mL) と吸光度との関係線を

作成する13)。 

7.2.5 

塩素濃度の算出 

式(10)〜(12)によって,試料ガス中の塩素の濃度を算出し,有効数字2けたに丸める。 

000

1

50

25

S

W

×

×

×

=

V

V

a

C

···························································· (10) 

000

1

50

25

316

.0

S

V

×

×

×

×

=

V

V

a

C

 ···················································(11) 

16

.3

V

W

×

=C

C

 ········································································ (12) 

ここに, 

CW: 試料ガス中の塩素の質量濃度 (mg/m3) 

CV: 試料ガス中の塩素の体積濃度 (vol ppm) 

a: 7.2.3 f)で求めた塩素の質量濃度 (mg/mL) 

V: 分析用試料溶液の分取量 (mL),通常10 mL 

VS: 5.5によって算出した標準状態の試料ガス採取量 (L) 

 (乾きガスの場合はVSD,湿りガスの場合はVSW) 

0.316: 塩素 (Cl2) 1 mgの体積 (mL) (標準状態) 

3.16: 塩素 (Cl2) 1vol ppmの質量濃度 (mg/m3),70.9/22.41 

7.3 

イオンクロマトグラフ法(IC法) 

7.3.1 

適用条件 

この方法は,二酸化窒素が共存しても,その影響を受けない。塩素の質量濃度が1.3〜25 mg/m3の場合

に適用する。この範囲を超える場合は,分析用試料溶液を希釈して測定する。 

7.3.2 

試薬及び試薬溶液の調製 

7.3.2.1 

試薬 

試薬は,次による。 

7.3.2.1.1 

水 JIS K 0557に規定するA3の水。 

7.3.2.1.2 

次亜塩素酸ナトリウム溶液 有効塩素50〜120 g/Lのもの。 

7.3.2.1.3 

シアン化カリウム JIS K 8443に規定するもの。 

7.3.2.1.4 

水酸化カリウム JIS K 8574に規定するもの。 

7.3.2.1.5 

炭酸ナトリウム JIS K 8625に規定するもの。 

7.3.2.1.6 

炭酸水素ナトリウム JIS K 8622に規定するもの。 

7.3.2.1.7 

硫酸 JIS K 8951に規定するもの。 

7.3.2.2 

試薬溶液の調製 

試薬溶液の調製は,次による。 

7.3.2.2.1 

シアン化カリウム溶液 (10 g/L) 7.2.2.2.1による。 

11 

K 0106:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.3.2.2.2 

水酸化カリウム溶液 (0.1 mol/L) 水酸化カリウム1.4 gを水250 mLに溶かしたもの。 

7.3.2.2.3 

塩素標準液 (Cl2:1.0 mg/mL) 7.1.2.2.4による。 

7.3.2.2.4 

塩素標準液 (Cl2:0.01 mg/mL) 7.1.2.2.5による。 

7.3.2.2.5 

吸収液(p-トルエンスルホンアミド溶液) 5.2.2.3 b)による。 

7.3.2.2.6 

溶離液 装置の種類及び使用する分離カラムの種類によって異なる。使用する装置及び分離カ

ラムに最適なものを用いる。次にその例を示す。 

a) 炭酸水素塩−炭酸塩溶液 炭酸水素ナトリウム0.025 g (0.3 mmol)と炭酸ナトリウム0.286 g (2.7 mmol)

とを水に溶かし,全量フラスコ1 000 mLに水で洗い移し,水を標線まで加える。 

b) 水酸化カリウム溶液 溶離液調製装置を用いて3〜40 mmol/Lの水酸化カリウム溶液を調製する。 

7.3.2.2.7 

再生液(除去液) サプレッサーの機能を再生又は継続的に維持するために用いる液体で,電

気的又は化学的に再生を行う場合に使用し,装置及びサプレッサーの種類に最適なものを用いる。次にそ

の例を示す。 

a) 電気的に再生する場合 

1) 水 7.3.2.1.1の水を電解して再生液とする。 

2) 溶離液 検出器を通過した溶離液を電気透析形サプレッサーの再生液とする。 

b) 化学的に再生する場合 

1) 硫酸 (15 mmol/L) 硫酸 (1 mol/L)(硫酸60 mLを少量ずつ水500 mLに加え,冷却後,水で1 Lと

する。)15 mLを水で1 Lとする。 

7.3.3 

イオンクロマトグラフ 

イオンクロマトグラフは,次によって構成する。 

7.3.3.1 

試料導入器 分析用試料溶液の一定量を再現性よく装置に注入できる自動のもの,又は装置内に

組み込まれた試料計量管(約10〜250 μLの一定量)に,1〜10 mLのシリンジを用いて注入する手動のも

の。 

7.3.3.2 

分離カラム 内径2〜8 mm,長さ30〜300 mmの不活性な合成樹脂製又は金属製の管に,陰イオ

ン交換体を充てんしたもの。分析目的のイオンを隣接するイオン種と分離度1.3程度以上で分離できるも

の。 

7.3.3.3 

プレカラム 濃縮,予備分離及び異物除去のためのガードカラムで,必要に応じて分離カラムの

前に装着する。内径2〜8 mm,長さ5〜50 mmの不活性な合成樹脂製又は金属製の管に,分離カラムと同

種類の陰イオン交換体を充てんしたもの。 

7.3.3.4 グラジエント溶離器 溶離液の組成を変化させながら,試料溶液中のイオン種を溶離させる器具。

主に,水酸化カリウム溶離液を使用する場合に用いる。 

7.3.3.5 

サプレッサー 電気伝導度検出器で測定する場合,測定するイオン種成分の検出を損なうことな

く,バックグラウンドとなる溶離液の電気伝導度を低減する装置。 

7.3.3.6 

検出器 電気伝導度検出器 

7.3.4 

定量操作 

操作は,次による。 

a) 箇条6 b)で調製した分析用試料溶液14) 10 mLを全量フラスコ25 mLに正確にとる。 

b) シアン化カリウム溶液 (10 g/L) 0.5 mLを加えて栓をし,2回静かに転倒した後,室温で約5分間放置

する。 

c) 水酸化カリウム溶液 (0.1 mol/L) 5 mLを加え,水を標線まで加える。 

12 

K 0106:2010  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 密栓して2回静かに転倒した後,25±2 ℃の水浴中で約10分放置する。 

e) イオンクロマトグラフを測定可能な状態にし,分離カラムとサプレッサーの内側に溶離液を一定の流

量(例えば1〜2 mL/min)で流しておく。サプレッサーの外側には再生液を一定の流量で流しておく。 

f) 

d)で作成した試料溶液の一定量 (10〜250 μL) を試料導入器でイオンクロマトグラフに注入し,クロマ

トグラムを記録する。 

g) クロマトグラム上のシアン酸イオン15) のピーク面積又はピーク高さを求める。 

h) 7.3.5によって作成した検量線から,塩素の質量濃度 (mg/mL)を求める。 

i) 

吸収液8 mLを全量フラスコ25 mLにとり,b)〜d)の操作を行い,f)の注入量と同じ量を用い,e)〜h)

の操作に準じて操作し,塩素の質量濃度 (mg/mL)の空試験値を求める。 

注14) 分析用試料溶液中に固形物が認められる場合には,分離カラムを閉そく(塞)するので,あ

らかじめ孔径0.45 μm以下のメンブレンフィルタでろ過して除去する。 

15) 生成したシアン酸イオンは,約1時間は安定である。 

7.3.5 

検量線の作成 

検量線の作成は,次による。 

a) 塩素標準液 (Cl2:0.01 mg/mL) 0.5〜10.0 mLを数個の全量フラスコ25 mLに段階的にとり,5.2.2.3 b)の

吸収液8 mLを加える。 

b) 7.3.4のb)〜g)の操作を行い,シアン酸イオンのクロマトグラムから,それぞれの塩素の質量濃度

(mg/mL)とシアン酸イオン15)のピーク面積又はピーク高さの関係を求める。 

c) 別に空試験として,5.2.2.3 b)の吸収液8 mLを全量フラスコ25 mLにとり,7.3.4のb)〜g) の操作を行

い,塩素の質量濃度 (mg/mL)に相当するピーク面積又はピーク高さを求める。 

d) 空試験値を補正したピーク面積又はピーク高さと,a)の全量フラスコ中の塩素の質量濃度 (mg/mL)と

の関係線を作成する。 

検量線の作成は,試料測定時ごとに行う。 

注記 この廃液には,有害なシアン化物イオンを含んでいるので次亜塩素酸ナトリウム溶液で分解処

理をするか,シアン含有廃液として処分する。 

7.3.6 

塩素濃度の算出 

式(13)〜(15)によって,試料ガス中の塩素の濃度を算出し,有効数字2けたに丸める。 

000

1

50

25

)

(

S

W

×

×

×

=

V

V

b

a

C

 ······················································· (13) 

000

1

50

25

)

(

316

.0

S

V

×

×

×

×

=

V

V

b

a

C

 ··············································· (14) 

16

.3

V

W

×

=C

C

 ········································································ (15) 

ここに, 

CW: 試料ガス中の塩素の質量濃度 (mg/m3) 

CV: 試料ガス中の塩素の体積濃度 (vol ppm) 

a: 7.3.4 h)で求めた塩素の質量濃度 (mg/mL) 

b: 7.3.4 i)の空試験で求めた塩素の質量濃度 (mg/mL) 

V: 分析用試料溶液の分取量 (mL),通常10 mL 

VS: 5.5によって算出した標準状態の試料ガス採取量 (L) 

13 

K 0106:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 (乾きガスの場合はVSD,湿りガスの場合はVSW) 

0.316: 塩素 (Cl2) 1 mgの体積 (mL) (標準状態) 

3.16: 塩素 (Cl2) 1 vol ppmの質量濃度 (mg/m3),70.9/22.41 

分析結果の記録 

8.1 

記録項目 

分析結果として記録する項目は,次による。 

a) 分析値 

b) 分析方法の種類 

c) 試料ガスの採取日時及び採取場所 

d) 測定結果(試料ガス中の塩素の質量濃度) 

e) その他必要な事項 

8.2 

排ガス分析値の求め方 

分析は,試料採取ごとに同一分析用試料溶液について2回行い,その平均値を求め,有効数字2けたに

丸める。 

background image

14 

K 0106:2010  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2−水の飽和蒸気圧 

単位 kPa 

background image

15 

K 0106:2010  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2−水の飽和蒸気圧(続き) 

単位 kPa 

background image

16 

K 0106:2010  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(規定) 

二塩化3, 3'ージメチルベンジジニウム吸光光度法 

(o-トリジン吸光光度法) 

序文 

この方法は,1963年に採用されて以来,使用されてきたが,発色後の溶液は不安定であるため,排ガス

測定には制約がある。また,o-トリジンは発がん性があると指摘されており,可能な限り本体に規定する

方法を採用することが望ましい。しかし,この方法は,大気汚染防止法で規定されている分析方法を変更

するまでの移行期間を確保する目的で規定した。 

A.1 適用条件 

この方法は,試料ガス中に臭素,よう素,オゾン,二酸化窒素,二酸化塩素などの酸化性ガス,又は硫

化水素,二酸化硫黄などの還元性ガスが共存すると影響を受けるので,その影響を無視又は除去できる場

合,また,試料ガスを採取してから10分以内に測定できる場合に適用する。 

A.2 分析方法の概要 

分析方法の概要は,表A.1による。 

表A.1−o-トリジン吸光光度法の概要 

方法の種類 

分析方法の概要 

適用条

件 

要旨 

試料採取 

定量範囲 a) 

mg/m3 

(vol ppm) 

二塩化3, 3'-ジメチルベンジ
ジニウム吸光光度法(o-トリ
ジン吸光光度法) 

試料ガス中の塩素を二塩化3, 3'-ジ
メチルベンジジニウム(o-トリジン
二塩酸塩)吸収液に吸収して,発色
させ,吸光度 (435 nm) を測定す
る。 

吸収瓶法 
吸収液:二塩化3, 3'-
ジメチルベンジジニ
ウム溶液 (0.1 g/L) 
吸収液量:20 mL×2 
標準採取量:2.5 L 

0.80〜16 
(0.25〜5.0) 
 

A.1によ
る。 

注a) 試料ガスを通した吸収液 (40 mL) を50 mLに薄めて分析用試料溶液とした場合。ここに示した定量範囲は,

試料ガスの標準採取量,分析用試料溶液及び検量線の最適範囲から求めたものである。定量範囲を超える濃度
を測定する場合には,分析用試料溶液を定量範囲内に入るように希釈して測定する。 

A.3 試料ガス採取方法 

A.3.1 試薬及び吸収液の調製 

A.3.1.1 試薬 

試薬は,次による。 

A.3.1.1.1 水 JIS K 0557に規定するA3の水。 

A.3.1.1.2 二塩化3, 3'-ジメチルベンジジニウム(o-トリジン二塩酸塩) 

A.3.1.1.3 塩酸 JIS K 8180に規定するもの。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A.3.1.2 吸収液の調製 

吸収液の調製は,次による。 

A.3.1.2.1 吸収液(二塩化3, 3'-ジメチルベンジジニウム溶液)(0.1 g/L) 二塩化3, 3'-ジメチルベンジジニ

ウム(o-トリジン二塩酸塩)1 gを水約500 mLに溶かし,塩酸15 mL及び水を加えて1 Lとする。この溶

液100 mLをとり,水を加えて1 Lとする。原液は褐色瓶に入れて保存する。保存期間は約6か月である。 

注記 二塩化3, 3'-ジメチルベンジジニウムは,発がん性が疑われているので取扱いに注意する。 

A.3.2 器具及び装置 

5.3による。 

A.3.3 試料ガス採取操作 

試料ガス採取操作は,5.4に基づき,次による。 

A.3.1.2.1の吸収液20 mLを図2の吸収瓶 (F1, F2) に,それぞれ入れる。 

5.4に準じて試料ガスを採取する 

A.3.4 試料ガス採取量の算出 5.5による。 

A.4 分析用試料溶液の調製 

調製は,次による。 

a) A.3.3の操作を行った後,吸収瓶 (F1, F2) の内容液を直ちに,全量フラスコ50 mLに移し,更に吸収

瓶などを水で洗浄し,洗液を先の全量フラスコに合わせる。 

b) 水を標線まで加えて密栓する。これを分析用試料溶液とする。 

A.5 定量方法 

A.5.1 試薬及び試薬溶液の調製 

A.5.1.1 試薬 

試薬は,次による。 

A.5.1.1.1 水 JIS K 0557に規定するA3のもの。 

A.5.1.1.2 次亜塩素酸ナトリウム溶液 有効塩素50〜120 g/Lのもの。 

A.5.1.2 試薬溶液の調製 

試薬溶液の調製は,次による。 

A.5.1.2.1 塩素標準液 (Cl2:1.0 mg/mL) 7.1.2.2.4による。 

A.5.1.2.2 塩素標準液 (Cl2:0.01 mg/mL) 7.1.2.2.5による。 

A.5.1.2.3 吸収液(二塩化3, 3'-ジメチルベンジジニウム溶液) A.3.1.2.1による。 

A.5.2 操作 

操作は,次による。 

a) A.4 b)で調製した分析用試料溶液の一部を吸収セルに移し,吸収液を対照として,試料ガス採取後,

10分間以内に波長435 nm付近の吸光度を測定する。 

b) A.6によって作成した検量線から塩素の質量濃度 (mg/mL)を求める。 

A.6 検量線の作成 

検量線の作成は,次による。 

a) 塩素標準液 (Cl2:0.01 mg/mL) 0.1〜2.0 mLを数個の全量フラスコ25 mLに段階的にとり,A.3.1.2.1の吸

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収液を20 mL加え,水を標線まで加える。 

b) 吸収セルにこの溶液の一部をとり,吸収液を対照として,10分以内に波長435 nm付近の吸光度を測

定し,a)の全量フラスコ中の塩素の質量濃度 (mg/mL) と吸光度との関係線を作成する。 

A.7 塩素濃度の算出 

式(A.1)〜(A.3)によって,試料ガス中の塩素の濃度を算出し,有効数字2けたに丸める。 

000

1

50

S

W

×

×

=V

a

C

 ·································································· (A.1) 

000

1

50

316

.0

S

V

×

×

×

=

V

a

C

 ························································· (A.2) 

16

.3

V

W

×

=C

C

 ······································································· (A.3) 

ここに, 

CW: 試料ガス中の塩素の質量濃度 (mg/m3) 

CV: 試料ガス中の塩素の体積濃度 (vol ppm) 

a: A.5.2 b)で求めた塩素の質量濃度 (mg/mL) 

VS: 5.5によって算出した標準状態の試料ガス採取量 (L) 

 (乾きガスの場合はVSD,湿りガスの場合はVSW) 

0.316: 塩素 (Cl2) 1 mgの体積 (mL) (標準状態) 

3.16: 塩素 (Cl2) 1 vol ppmの質量濃度 (mg/m3),70.9/22.41 

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附属書B 

(参考) 
検知管法 

序文 

この方法は,現場測定での環境管理,又は化学分析方法での測定に当たって,排ガス濃度の概略値を事

前に簡便に求めることができるなどの利点があるので,参考とした。 

この附属書は,本体に規定した事項を,本体に準じる形で補足するものであって規定の一部ではない。 

B.1 

適用条件 

検知管法は,事業者が日常の環境管理又はスクリーニングを目的として行うための簡易法であり,検知

管法によって得られた測定結果をもって排出規制値と直接比較するものではない。 

検知管法は,二酸化窒素又は他のハロゲンガスの妨害が無視できる場合に適用する。 

検知管法を用いて得られた測定結果が問題となる値であった場合は,本体で規定した方法及び附属書A

による測定を行う。 

B.2 

分析方法の概要 

検知管法の概要は,次による。 

表B.1−検知管法の種類及び概要 

検知管法 

検知管法の概要 

反応原理 

試料採取 

定量範囲 

3, 3'-ジメチルナフチジンと
反応しニトロソ化合物を生
成する。 

検知管用真空法ガス採取器 
100 mL,200 mL 

0.05〜2 vol ppm 

ABTSが酸化され緑の反応
生成物を生じる。 

検知管用真空法ガス採取器 
50 mL,100 mL,200 mL 

0.025〜2 vol ppm 

o-トリジンが酸化され黄色

ホロキノンを生成する。 

検知管用真空法ガス採取器 
100 mL,500 mL 

0.1〜10 vol ppm 

3, 3', 5, 5'-テトラメチルベン
ジジンと反応して赤のホロ
キノンを生成する。 

検知管用真空法ガス採取器 
50 mL,100 mL,200 mL,500 
mL 

0.1〜16 vol ppm 

o-トリジンが酸化され黄色

ホロキノンを生成する。 

検知管用真空法ガス採取器 
100 mL 

1〜40 vol ppm 

B.3 

装置及び器具 

装置及び器具は,次による。 

B.3.1 検知管 JIS K 0804の5.2(検知管の品質及び性能)に規定した検知管で塩素用のもの。 

B.3.2 ガス採取器 JIS K 0804の5.1(ガス採取器の品質及び性能)に規定するシリンダー形真空方式の

もの。 

B.3.3 試料ガス採取装置 図B.1に例示する構成で行うことが望ましい。ただし,試料ガスの吸引流量は,

0.5〜1 L/minとする1)。 

注1) 煙道内が負圧の場合,検知管に規定量の試料ガスが通気できず,検知管指示値は低めの値を示

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

すので注意する。検知管での試料ガス採取時に,湿式ガスメーターの指針又はカウンターが回

っている状態であることを確認しながら採取する。 


I1, I2 

試料ガス採取器 
検知管挿入口 
(シリコーンゴム) 
検知管 
ガス採取器 
温度計 
検知管取付口 
ピストン 
乾燥管 
流量調節コック 
吸引ポンプ 
湿式ガスメーター 
四ふっ化エチレン樹脂管a) 
接続ゴム管(シリコーンゴム) 

注a) 樹脂管 (L)が長い場合は,デッドスペースが誤差要因になることがあるため,樹脂管内を十分置換してから測定

を行う。 

a) 排ガス温度が高い場合の試料採取例(燃焼排ガスなど) 

b) 反応排ガスなどの試料採取例 

図B.1−試料ガス採取装置の例 

B.4 

測定手順 

B.4.1 測定準備 

測定準備は,次による。 

a) 測定点における温度を測定し,検知管の仕様書に示されている使用範囲内であることを確認する。 

b) 使用する検知管の温度2)を測定場所の温度になるようにする。また,このときに直射日光に当たらな

いように注意する。 

c) 取扱説明書に従ってガス採取器の漏れ試験を行う。 

注2) 冷蔵庫などで冷暗所保管していた検知管などを使用する場合は,外気温と同温になってから

使用する。 

B.4.2 測定 

測定は,次による。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 検知管の両端をチップカッターなどで折り取り,検知管表面に印刷されている矢印の向きに試料空気

が流れるようにガス採取器の検知管取付口へ接続する。 

b) ガス採取器のハンドルを一気に引いてシャフトをロックし,その検知管について規定された時間放置

する。 

c) 吸引終了後,速やかに検知管を取り外し,変色層の先端の濃度目盛を読み取る3), 4)。 

d) 濃度単位の換算が必要な場合は,次の式によって行う。 

101.32

/

)

(273.15

/

273.15

22.41

/

p

t

M

C

C

×

+

×

×′

=

ここに, 

C: 塩素の質量濃度 (mg/m3) 

C': 検知管の読取値 (vol ppm) 

M: 分子量(塩素 70.9) 

t: 測定点の温度(℃) 

p: 測定点の大気圧 (kPa) 

101.32: 標準大気圧 (kPa) 

注3) 検知管によっては,通気終了後の時間経過によって変色した色が退色又は変色層の長さが変

化する場合があるので,通気終了後に変色層の先端に印を付け,速やかに読み取る。 

4) 変色層の先端面が斜めの場合には,中間点を濃度として読み取る。 

B.4.3 妨害物質の検討 

検知管の変色の原理は,多くの場合,測定対象物質だけの特異反応でなく,化学的性質の似た物質に共

通する反応である。したがって,測定対象物質と同じ反応をする物質が共存する場合には,測定対象物質

の濃度より高い指示(プラスの誤差)を与える。反対に共存物質が変色反応を妨害してマイナスの誤差を

生じるか,又は変色境界を不明りょうにする場合がある。測定するときは,共存する可能性のある物質に

ついて調査し,検知管の仕様書,技術資料などを参考にその影響について,あらかじめ検討する必要があ

る。 

参考文献 JIS K 0804 検知管式ガス測定器(測長形)