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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 7401-1993 

金属基複合材料の繊維体積含有率 

試験方法 

Test method for volume fraction of  

fiber in metal matrix composites 

1. 適用範囲 この規格は,金属基複合材料(以下,複合材料という。)の繊維体積含有率の試験方法につ

いて規定する。 

備考1. 強化材として粒子を用いた粒子強化金属に,この規格を準用してもよい。 

その場合は,この規格の“強化繊維”を“強化粒子”と読み換えるものとする。 

2. この規格は,マトリックスを酸又はアルカリで溶解できる金属基複合材料に適用する。溶解

液は,マトリックスを溶解しやすく,強化繊維を侵食しにくいものを選択する。 

3. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS H 7006 金属基複合材料用語 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8807 固体比重測定方法 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS H 7006による。 

3. 装置及び器具 この規格で用いる主な装置及び器具は,次による。 

(1) 天びん(秤) 天びんは,感量0.1mg以上の精度をもつものとする。 

(2) るつぼ形ガラスろ過器 るつぼ形ガラスろ過器は,次による。 

(a) 強化繊維径が5μm未満の場合は,JIS R 3503のるつぼ形ガラスろ過器G-4を用いる。 

(b) 強化繊維径が5μm以上20μm未満の場合は,JIS R 3503のるつぼ形ガラスろ過器G-3又はG-4を用

いる。 

(c) 強化繊維径が20μm以上の場合は,細孔の大きさが適当なものを用いてもよい。 

(3) デシケーター デシケーターは,乾燥剤入りのものを用いる。 

(4) ビーカー ビーカーは,容量300mlのトールビーカーを用いる。 

(5) 時計皿 時計皿は,直径50及び70mmのものを用いる。 

(6) 加熱水槽 

(7) 洗瓶 

(8) 減圧装置 減圧装置は,アスピレーターを用いる。 

(9) 乾燥器 

H 7401-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4. 試験片 

4.1 

試験片の質量 試験片の質量は,約1gとする。試験片は,繊維強化金属の全体を代表するように任

意の形状に切り取る。 

4.2 

試験片の数 試験片の数は,3個以上とする。 

5. 操作 

5.1 

操作の選択 試験の操作には,精密法及び簡便法があるが,精密法によって試験することが望まし

い。 

なお,簡便法は,複合材料中のマトリックス及び強化繊維と同じ物が入手できない場合,又はマトリッ

クス中の溶解残さ及び強化繊維の減量,回収漏れが無視できる場合に用いる。 

5.2 

精密法 

5.2.1 

密度の測定 密度の測定は,次による。 

(1) 試験片の質量W0は,0.1mgまで正確に量る。 

(2) 試験片の密度は,JIS Z 8807によって求める。 

(3) 複合材料中のマトリックス及び強化繊維と同じ組成でほぼ等しい加工歴の金属塊及び強化繊維の密度

は,JIS Z 8807によって求める。 

5.2.2 

複合材料試験片のマトリックス溶解 複合材料試験片のマトリックス溶解は,次による。 

(1) るつぼ形ガラスろ過器を洗浄後,393Kの乾燥器で恒温になるまで乾燥し,デシケーター中で放冷する。 

(2) るつぼ形ガラスろ過器の質量W1を,0.1mgまで正確に量る。 

(3) マトリックスを溶解するのに十分な量の酸又はアルカリをメスシリンダーで量り,トールビーカーに

入れる。 

(4) 適当な温度に保った加熱水槽にトールビーカーを入れ,試験片を投入して直径70mmの時計皿でふた

(蓋)をする。このとき,試験片を投入した時刻を記録しておく。 

(5) 試験片からの発泡終了で,マトリックス溶解反応の終了を確認してから,30分間以上放置する。 

(6) 加熱水槽からトールビーカーを取り出して室温まで冷却後,(3)で入れた量の4倍の蒸留水をトールビ

ーカーに加える。トールビーカーを加熱水槽中に置いた時間を求めておく。 

(7) るつぼ形ガラスろ過器と減圧装置を用い,トールビーカー中の残さをろ過分離する。 

なお,溶解残さをトールビーカー中に残さずに全部回収する。例えば,溶解液と残さをるつぼ形ガ

ラスろ過器に移した後,トールビーカー壁を蒸留水で洗い落とし,その洗浄液もるつぼ形ガラスろ過

器でろ過する。 

(8) 蒸留水によってるつぼ形ガラスろ過器と残さを洗浄し,次いでアセトンで洗浄する。 

(9) 残さを回収・洗浄したるつぼ形ガラスろ過器に,直径50mmの時計皿でふたをして,393Kの乾燥器

で恒温になるまで乾燥し,デシケーター中で放冷する。 

(10) 残さの入ったるつぼ形ガラスろ過器の質量W2を,0.1mgまで正確に量る。 

5.2.3 

マトリックスの溶解残さ量の測定 約1gのマトリックスと同じ組成でほぼ等しい加工歴の金属塊

について,金属塊の質量W3と,5.2.2と同様の操作で残さ回収前後のるつぼ形ガラスろ過器の質量W4(残

さ回収前),W5(残さ回収後)を,0.1mgまで正確に量る。 

5.2.4 

繊維の質量変化の測定 強化繊維についても5.2.2で要した反応時間と等しい時間,反応液中にお

き,5.2.2と同様の操作で,強化繊維の質量W6と,回収前後の,るつぼ形ガラスろ過器の質量W7(強化繊

維回収前),W8(強化繊維回収後)を,0.1mgまで正確に量る。 

H 7401-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.3 

簡便法 

5.3.1 

密度の測定 密度の測定は,次による。 

(1) 試験片の質量W0は,0.1mgまで正確に量る。 

(2) 試験片の密度は,JIS Z 8807によって求める。 

(3) 複合材料に用いた強化繊維の密度は,JIS Z 8807によって求める。 

5.3.2 

複合材料試験片のマトリックス溶解 複合材料試験片のマトリックス溶解は,次による。 

(1) るつぼ形ガラスろ過器を洗浄後,393Kの乾燥器で恒温になるまで乾燥し,デシケーター中で放冷する。 

(2) るつぼ形ガラスろ過器の質量W1を,0.1mgまで正確に量る。 

(3) マトリックスを溶解するのに十分な量の酸又はアルカリをメスシリンダーで量り,トールビーカーに

入れる。 

(4) 適当な温度に保った加熱水槽にトールビーカーを入れ,試験片を投入して直径70mmの時計皿でふた

をする。 

(5) 試験片からの発泡終了によって,マトリックス溶解反応の終了を確認してから,30分間以上放置する。 

(6) 加熱水槽からトールビーカーを取り出して室温まで冷却後,(3)で入れた量の4倍の蒸留水をトールビ

ーカーに加える。 

(7) るつぼ形ガラスろ過器と減圧装置を用い,トールビーカー中の残さをろ過分離する。 

(8) 蒸留水によってるつぼ形ガラスろ過器と残さを洗浄し,次いでアセトンで洗浄する。 

(9) 残さを回収・洗浄したるつぼ形ガラスろ過器に,直径50mmの時計皿でふたをして,393Kの乾燥器

で恒温になるまで乾燥し,デシケーター中で放冷する。 

(10) 残さの入ったるつぼ形ガラスろ過器の質量W2を,0.1mgまで正確に量る。 

6. 計算 繊維体積含有率及び空孔率の計算は,次による。 

(1) 精密法の場合 繊維体積含有率は,式(1)〜(3)を計算した後,式(4)で求める。 

また,空孔率は,式(5)を計算した後,式(6)で求める。 

0

1

2

W

W

W

Ra

=

 ··········································································· (1) 

ここに, 

Ra: 複合材料中の溶解残さ質量比 

W0: 複合材料試験片の質量 (kg) 

W2: 複合材料中の溶解残さを回収した後のるつぼ形ろ過器の質

量 (kg) 

W1: 複合材料中の溶解残さを回収する前のるつぼ形ろ過器の質

量 (kg) 

3

4

5

W

W

W

Cm

=

 ·········································································· (2) 

ここに, Cm: 複合材料中のマトリックスと同じ組成でほぼ等しい加工歴

の金属塊の溶解残さ質量比 

W3: 複合材料中のマトリックスと同じ組成でほぼ等しい加工歴

の金属塊の質量 (kg) 

W5: 金属塊中の溶解残さを回収した後のるつぼ形ろ過器の質量 

(kg) 

W4: 金属塊中の溶解残さを回収する前のるつぼ形ろ過器の質量 

(kg) 

H 7401-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6

7

8

W

W

W

Cf

=

 ·········································································· (3) 

ここに, 

Cf: 複合材料中の強化繊維と同じ組成でほぼ等しい加工歴の繊

維の回収率 

W6: 複合材料中の強化繊維と同じ組成でほぼ等しい加工歴の繊

維の質量 (kg) 

W8: 強化繊維を回収した後のるつぼ形ろ過器の質量 (kg) 

W7: 強化繊維を回収する前のるつぼ形ろ過器の質量 (kg) 

100

×

×

=

m

f

m

a

f

c

f

C

C

C

R

V

ρ

ρ

 ····························································· (4) 

ここに, 

Vf: 繊維体積含有率 (%) 

ρf: 強化繊維の密度 (Mg/m3) 

ρc: 試験片の密度 (Mg/m3) 

Cf: 複合材料中の強化繊維と同じ組成でほぼ等しい加工歴の繊

維の回収率 

Cm: 複合材料中のマトリックスと同じ組成でほぼ等しい加工歴

の金属塊の溶解残さ質量比 

Ra: 複合材料中の溶解残さ質量比 

100

×

×

=

m

f

a

f

f

c

m

C

C

R

C

V

ρ

ρ

 ····························································· (5) 

ここに, 

Vm: マトリックス体積含有率 (%) 

ρm: マトリックスの密度 (Mg/m3) 

ρc: 試験片の密度 (Mg/m3) 

Cf: 複合材料中の強化繊維と同じ組成でほぼ等しい加工歴の繊

維の回収率 

Cm: 複合材料中のマトリックスと同じ組成でほぼ等しい加工歴

の金属塊の溶解残さ質量比 

Ra: 複合材料中の溶解残さ質量比 

Vv=100− (Vf+Vm) ···································································· (6) 

ここに, Vv: 空孔率 (%) 
 

Vf: 繊維体積含有率 (%) 

Vm: マトリックス体積含有率 (%) 

(2) 簡便法の場合 繊維体積含有率は,式(1)を計算した後,式(7)によって求める。 

なお,空孔率は,求めない。 

100

×

×

=

a

f

c

f

R

V

ρ

ρ

····································································· (7) 

ここに, 

Vf: 繊維体積含有率 (%) 

ρf: 強化繊維の密度 (Mg/m3) 

ρc: 試験片の密度 (Mg/m3) 

Ra: 複合材料中の溶解残さ質量比 

7. 結果の記録 結果の記録は,次による。 

(1) 測定値は百分率 (%) で示し,JIS Z 8401の数値の丸め方に従って,5.2の精密法で測定した場合は小

数点第1位までの数値とし,5.3の簡便法で測定した場合は整数第1位までの数値とする。 

(2) 平均値,標準偏差及び変動係数は,式(8),式(9)及び式(10)によって計算する。 

H 7401-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

X

n

x

=1

 ················································································ (8) 

ここに, 

x: 平均値 (%) 

n: 測定数 

X: 各測定値 (%) 

(

)

1

2

=

n

x

X

s

 ········································································ (9) 

ここに, 

s: 標準偏差 (%) 

X: 各測定値 (%) 

n: 測定数 

x: 平均値 (%) 

100

×

=xs

CV

 ·········································································· (10) 

ここに, 

CV: 変動係数 (%) 

s: 標準偏差 (%) 

x: 平均値 (%) 

8. 報告 試験結果報告書には,次の事項を記載する。 

(1) 試験片の明細 

(2) マトリックス溶解液の種類,濃度及び溶解温度 

(3) 試験方法 

(4) 測定試験片の数並びに平均値,標準偏差及び変動係数,又は全試験片の測定結果 

H 7401-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS原案作成委員会 

金属基複合材料繊維体積含有率試験方法委員会 構成表(順不同) 

氏名 

所属 

(委員長) 

若 島 健 司 

東京工業大学精密工学研究所 

(委員長代行) 

平 野 一 美 

工業技術院機械技術研究所 

(ワーキンググループリーダー) 

澤 田 吉 裕 

工業技術院大阪工業技術試験所 

木 内   晃 

株式会社神戸製鋼所 

塩 田 一 路 

科学技術庁金属材料技術研究所 

伊 藤 好 二 

株式会社超高温材料研究所 

西 出 重 人 

石川島播磨重工業株式会社 

伊牟田   守 

川崎重工業株式会社 

藤 原   力 

三菱重工業株式会社 

榊 原 俊 夫 

富士重工業株式会社 

鞘 師   守 

日産自動車株式会社 

向 後 保 雄 

三菱電機株式会社 

外 山 和 男 

住友金属工業株式会社 

木 村 章 三 

株式会社島津製作所 

山 田 銑 一 

株式会社豊田中央研究所 

北 村   厚 

東レ株式会社 

麻 草 春 海 

住友化学工業株式会社 

山 村 武 民 

宇部興産株式会社 

志 賀 千 晃 

川崎製鉄株式会社 

今 井 義 一 

日本カーボン株式会社 

小 屋 美 廣 

三菱化成株式会社 

白 石 博 章 

住友シチックス株式会社 

前 園 明 一 

真空理工株式会社 

荒 木 那 善 

岩谷産業株式会社 

服 部 幹 雄 

工業技術院標準部材料規格課 

(事務局) 

守 安 禎四郎 

財団法人大阪科学技術センター付属 
ニューマテリアルセンター 

脇 坂 啓 司 

財団法人大阪科学技術センター付属 
ニューマテリアルセンター 

繊維体積含有率ワーキンググループ 構成表(順不同) 

氏名 

所属 

(委員長) 

若 島 健 司 

東京工業大学精密工学研究所 

(ワーキンググループリーダー) 

澤 田 吉 裕 

工業技術院大阪工業技術試験所 

塩 田 一 路 

科学技術庁金属材料技術研究所 

和 久 芳 春 

宇部興産株式会社 

山 田 銑 一 

株式会社豊田中央研究所 

(事務局) 

守 安 禎四郎 

財団法人大阪科学技術センター付属 
ニューマテリアルセンター 

脇 坂 啓 司 

財団法人大阪科学技術センター付属 
ニューマテリアルセンター