H 4701 : 2001
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人新金属協
会 (JSNM)/財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申
出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これによっ
て,JIS H 4701 : 1989は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正のポイントは,
1. 化学成分値の水素基準値を下げた。
2. 化学成分値のモリブデンの基準値を設けた。
3. 板のひずみの規格を設けた。
4. 化学分析試験方法の新規分を採用した。
である。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
H 4701 : 2001
タンタル展伸材
Tantalum flat mill products, rod and wire
1. 適用範囲 この規格は,タンタルの板,条,はく,棒及び線(以下,展伸材という。)について規定す
る。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。
これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 0321 非鉄金属材料の検査通則
JIS H 1680 タンタル分析方法通則
JIS H 1681 タンタル中の炭素定量方法
JIS H 1682 タンタル中のけい素定量方法
JIS H 1685 タンタル中の窒素定量方法
JIS H 1695 タンタル中の酸素定量方法
JIS H 1696 タンタル中の水素定量方法
JIS H 1699 タンタルのICP発光分光分析方法
JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
JIS Z 2201 金属材料引張試験片
JIS Z 8401 数値の丸め方
3. 種類及び記号 展伸材は形状によって,表1のとおり5種類とする。
表1 種類
種類
記号
板
TaP
条
TaR
はく
TaH
棒
TaB
線
TaW
4. 品質 品質は,次による。
4.1
展伸材は,使用上有害なきず及びその他の欠点があってはならない。
4.2
展伸材の化学成分は,表2による。
2
H 4701 : 2001
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表2 化学成分
単位 %
C
O
N
H
Nb
Fe
Ti
W
Si
Ni
Mo
Ta
0.03
以下
0.03
以下
0.01
以下
0.0015
以下
0.10
以下
0.02
以下
0.01
以下
0.03
以下
0.02
以下
0.02
以下
0.02
以下
99.80
以上
備考 不純物の百分率は,規定された最後の位の次の位をJIS Z 8401によって丸める。
タンタルの百分率は不純物の百分率を前記のとおり扱った後,その総計を100から差し引いて求め
る。
4.3
展伸材(はくを除く。)の機械的性質は,表3による。
表3 機械的性質
種類
質別
記号
引張試験
寸法 mm
引張強さ N/mm2
伸び %
板
軟質
TaP-O
厚さ0.2以上
245以上
25以上
1/4硬質 TaP-1/4H
343以上
20以上
1/2硬質 TaP-1/2H
373以上
8以上
硬質
TaP-H
490以上
2以上
条
軟質
TaR-O
厚さ0.2以上
245以上
25以上
1/4硬質 TaR-1/4H
343以上
20以上
1/2硬質 TaR-1/2H
373以上
8以上
硬質
TaR-H
490以上
2以上
棒
軟質
TaB-O
直径3以上
275以上
25以上
1/4硬質 TaB-1/4H
343以上
20以上
硬質
TaB-H
490以上
1以上
線
軟質
TaW-O
直径0.25以上
245以上
20以上
1/2硬質 TaW-1/2H
294以上
10以上
硬質
TaW-H
490以上
1以上
備考 上記以外のものは,受渡当事者間の協定による。
5. 寸法の許容差 寸法の許容差は,次による。
5.1
板,条,はくの厚さの許容差は,表4による。この場合,厚さはかえりを避けて測定する。
表4 板,条,はくの厚さの許容差
単位 mm
厚さ
厚さの許容差
幅120以下
幅120を超え300以下
幅300を超えるもの
0.05未満 板厚の±15%
−
受渡当事者間の協定による。
0.05以上 0.10未満 ±0.01
−
0.10以上 0.20未満 ±0.01
±0.02
0.20以上 0.40未満 ±0.02
±0.03
0.40以上 0.60未満 ±0.02
±0.04
0.60以上 0.80未満 ±0.03
±0.05
0.80以上 1.00未満 ±0.05
±0.07
1.00以上 1.50未満 ±0.05
±0.08
1.50以上 2.00未満 ±0.07
±0.10
2.00以上 2.50未満 ±0.10
±0.15
2.50以上 3.00未満 ±0.15
±0.20
3.00以上 4.00未満 ±0.15
±0.25
4.00以上 5.00以下 ±0.20
±0.30
3
H 4701 : 2001
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.2
板,条,はくの幅の許容差は,表5による。
表5 板,条,はくの幅の許容差
単位 mm
厚さ
幅の許容差
幅120以下
幅120を超え300以下
幅300を超えるもの
0.05未満
±0.30
−
受渡当事者間の協定による。
0.05以上 0.20未満
±0.50
−
0.20以上 0.60未満
±0.50
±0.70
0.60以上 2.00未満
±0.70
±1.00
2.00以上 3.00未満
±1.00
±1.00
3.00以上 5.00以下
±1.5
±1.5
5.3
板,条,はくの長さの許容差は,表6による。
表6 板,条,はくの長さの許容差
単位 mm
長さ
長さの許容差
500未満
+2
0
500以上 1 000未満
+3
0
1 000以上
受渡当事者間の協定による。
5.4
板のひずみの最大値は,表7による。
表7 板のひずみ(1)の最大値
単位 mm
ストレッチ矯正の有無
厚さ
幅
長さ
2 000以下
2 000を超え3 000以下
なし
0.2以上
15以下
1 000以下
25以下
30以下
あり
0.2以上
5以下
5以下
8以下
注(1) ひずみとは,図1のように定盤上に凹面を上にして置いた板の規定長さ1 000mmにおけ
る弧の最大深さをいう。長さが1 000mm以下の板については,その全長での最大深さ
をいう。
なお,この最大深さの測定には,通常,深さ計(シックネスゲージ,ダイヤルゲー
ジ又は長さ計)を用いる。
図1 板のひずみ
備考 規定範囲外の厚さ,幅及び長さの板のひずみの最大値は,受渡当事者間の協定による。
5.5
棒,線の径の許容差は,表8による。
4
H 4701 : 2001
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表8 棒,線の径の許容差
単位 mm
径
径の許容差
0.10以上 0.30未満
±0.01
0.30以上 1.00未満
±0.02
1.00以上 3.00未満
±0.03
3.00以上 5.00未満
±0.05
5.00以上 10.00未満
±0.08
10.00以上 15.00以下
±0.10
5.6
棒,線の長さの許容差は,受渡当事者間の協定による。
6. 製造方法 展伸材は,純度の高いタンタルを主原料として,粉末冶金法,アーク溶解法,電子ビーム
溶解法などのいずれかで得られた鋳塊を用い,鍛造及び冷間加工によって製造する。
7. 試験 試験は,次による。
7.1
化学分析試験は,次のいずれかの日本工業規格による。
JIS H 1680
JIS H 1681
JIS H 1682
JIS H 1685
JIS H 1695
JIS H 1696
JIS H 1699
7.2
引張試験 板,条,棒,線の引張試験方法は,JIS Z 2241による。
板,条の引張試験片は,板,条の圧延の方向に採ったJIS Z 2201の13号B試験片とする。棒,線の引
張試験片は,JIS Z 2201に規定する9A号試験片とする。
備考 引張試験片の採取方向は,受渡当事者間の協定による。
8. 検査 検査は,次による。
8.1
展伸材は外観及び寸法を検査するとともに7.によって試験を行い,3.及び4.の規定に合格しなければ
ならない。
8.2
分析用試料は,同一鋳塊ごとに採取する。
8.3
引張試験の試験片は,同一鋳塊で,かつ,同一熱処理ロットごとに採取する。
8.4
厚さ0.2mm未満の板,条については引張試験を行わない。
8.5
径が0.25mm未満の線については,引張試験を行わない。
8.6
その他の一般事項は,JIS H 0321による。
9. 表示 展伸材には,次の事項を適切な方法によって表示する。
a) 種類,質別又はその記号
b) 寸法
c) 質量
5
H 4701 : 2001
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 製造番号
e) 製造業者名又はその略号
タンタル展伸材JIS原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
志 賀 千 晃
科学技術庁金属材料技術研究所
塚 本 修
通商産業省基礎産業局
橋 本 進
財団法人日本規格協会
(幹事)
篠 沢 精 一
真空冶金株式会社製造部
(副幹事)
田 中 光 信
昭和キャボットスーパーメタル株式会社第二営業部
(副幹事)
竹 中 孝 一
東京電解株式会社
小 川 真
科学技術庁金属材料技術研究所
佐々木 雅 啓
日本金属工業株式会社新材料部
松 倉 宏 行
日本電気株式会社電子部品事業本部
穴 倉 貞 夫
株式会社ニューメタルスエンドケミカルスコーポレーション
豊 田 宣 俊
社団法人新金属協会
(事務局)
今 井 康 弘
社団法人新金属協会