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H 1364 : 2002 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本アル

ミニウム協会 (JAA) /財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正す

べきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS H 1364 : 1971は改正され,改正されたJIS H 1364のうちビスマス定量方法は,この規

格に置き換えられる。 

JIS H 1364 : 1971では,ビスマスの定量方法のほか鉛の定量方法も同一規格として規定していたが,今

回の見直しで,それぞれ個別規格とし次の規格とした。 

JIS H 1364 アルミニウム及びアルミニウム合金中のビスマス定量方法 

JIS H 1366 アルミニウム及びアルミニウム合金中の鉛定量方法

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 1364 : 2002 

アルミニウム及び 

アルミニウム合金中のビスマス定量方法 

Methods for determination of bismuth in aluminium and aluminium alloys 

1. 適用範囲 この規格は,アルミニウム及びアルミニウム合金中のビスマス定量方法について規定する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS H 1306 アルミニウム及びアルミニウム合金の原子吸光分析方法 

JIS H 1307 アルミニウム及びアルミニウム合金の誘導結合プラズマ発光分光分析方法 

JIS H 1351 アルミニウム及びアルミニウム合金の分析方法通則 

JIS P 3801 ろ紙(化学分析用) 

3. 一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1351の規定による。 

4. 定量方法の区分 ビスマスの定量方法は,次のいずれかによる。 

a) 電解分離エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム滴定法 この方法は,ビスマス含有率0.1% 

(m/m) 以上1.0% (m/m) 以下の試料に適用する。 

b) チオ尿素吸光光度法 この方法は,ビスマス含有率0.1% (m/m) 以上1.0% (m/m) 以下の試料に適用す

る。 

c) 臭化物・メチルトリオクチルアンモニウムブロミド抽出原子吸光分析方法 この方法は,ビスマス含

有率0.003% (m/m) 以上0.1% (m/m) 以下の試料に適用する。 

d) 原子吸光分析方法 この方法は,ビスマス含有率0.1% (m/m) 以上1.0% (m/m) 以下の試料に適用する。 

e) 誘導結合プラズマ発光分光分析方法 この方法は,ビスマス含有率0.01% (m/m) 以上1.0% (m/m) 以

下の試料に適用する。 

5. 電解分離エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム滴定法 

5.1 

要旨 試料を水酸化ナトリウム溶液で分解した後,硝酸を加えて酸性とする。白金電極を用いて電

解を行って陽極と陰極に析出したビスマス,鉛,銅などを硝酸で分解した後,溶液の酸濃度を調節する。

その溶液の一定量を分取し,キシレノールオレンジ(以下,XOという。)を指示薬としてエチレンジアミ

ン四酢酸二水素二ナトリウム(以下,EDTA2Naという。)標準溶液で滴定する。 

5.2 

試薬 試薬は,次による。 

a) 硝酸 

H 1364 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 硝酸 (1+1)  

c) 水酸化ナトリウム溶液 水酸化ナトリウム200gを水に溶解し,水で1 000mlにする。この溶液は,ポ

リエチレン瓶に保存し,その上澄み液を使用する。 

d) 過酸化水素 (1+9)  

e) 0.01mol/L EDTA2Na標準溶液 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物3.72gを水に溶

解し,水で正確に1 000mlに薄め,ポリエチレン瓶に保存する。 

この溶液のビスマス相当量は,次の手順によって求める。 

ビスマス[99.9% (m/m) 以上]1.000gをはかり取ってビーカー (200ml) に移し入れ,時計皿で覆い,

硝酸 (1+1) 30mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビー

カーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水

で標線まで薄める。この溶液から正確に20mlをビーカー (300ml) に取り,水で約100mlに薄めた後,

以下,5.5.2の手順に従って操作し,0.01mol/L EDTA2Na標準溶液で滴定してビスマス相当量を,次の

式によって求める。 

2

1

Bi

04

.0

V

V

f

ここに, 

fBi: 0.01mol/L EDTA2Na標準溶液1mlのビスマス相当量 (g)  

0.04: 標準ビスマス溶液20ml中のビスマス量 (g)  

V1:  0.01mol/L EDTA2Na標準溶液の使用量 (ml)  

V2: 空試験における0.01mol/L EDTA2Na標準溶液使用量 (ml)  

f) 

XO溶液 キシレノールオレンジ0.1gを水に溶解し,水で100mlとする。 

5.3 

器具 器具は,次による。 

a) 円筒状白金電極 円筒状白金電極は,陽極及び陰極とも付図1に規定するものを使用する。 

b) 半円形時計皿 半円形時計皿は,付図2に準じる形状のものを使用する。 

5.4 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,2.50gとし,1mgのけたまではかる。 

5.5 

操作 操作は,次の手順に従って行う。 

5.5.1 

試料溶液の調製 

a) 試料をはかり取って,ビーカー (300ml) に移し入れる。 

b) 時計皿で覆い,水酸化ナトリウム溶液 [5.2c)] 40mlを加えて分解し,反応が穏やかになったら時計皿

の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,加熱して完全に分解する。 

c) 温水で約100mlに薄め,硝酸45mlを加えて酸性とし,穏やかに加熱して窒素酸化物を追い出す。 

d) 室温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄した後,時計皿を取り除き,水を

加えて約200mlとする。 

e) d)で得た試料溶液中に陽極及び陰極として二つの円筒状白金電極を挿入する。 

f) 

半円形時計皿でビーカーを覆い,磁気かくはん器で穏やかにかくはんしながら,液温15〜30℃で0.04

〜0.05kA/m2の電流密度で約4時間電解する。 

g) 半円形時計皿の下面,ビーカーの内壁及び電極の柄の液面上に露出した部分を水で洗浄し,その洗液

によって液面を約5mm上昇させ,更に30分間電解を続け,陰極の柄の新しく電解液中に入った部分

に析出物がないことを確かめる(1)。 

h) 半円形時計皿を取り除き,電流を通したまま洗瓶を用いて水洗しながら陽極及び陰極を引き上げる。

H 1364 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

手早く水を約250ml入れたビーカー中に浸して洗浄し,陽極及び陰極を取り外す。ここで電源を切る。 

i) 

陽極及び陰極を別のビーカー (300ml) に移し入れ,硝酸 (1+1) 15mlを加え,加熱して電極表面に析

出したビスマス,鉛,銅などを溶解した後(2),電極を水で十分に洗浄して取り除く。 

j) 

この溶液を加熱して水分を蒸発し乾固する。常温まで放冷した後,硝酸 (1+1) 5mlを加えて塩類を溶

解し,水を用いて250mlの全量フラスコに移し入れ,水で標線まで薄める。 

注(1) この際,陰極に銅の析出が認められる場合があるが,鉛及びビスマスは完全に析出している。 

(2) ビーカーを傾け,電極を回転させて析出物を溶解する。 

なお,析出物が溶解しにくい場合は,過酸化水素 (1+9) を数滴加える。 

5.5.2 

滴定 5.5.1j)で得た溶液から正確に100mlをコニカルビーカー (300ml) に分取し(3),XO溶液 

[5.2f)] 0.5mlを加えてよく振り混ぜ,0.01mol/L EDTA2Na標準溶液 [5.2e)] で滴定し,溶液の色が赤紫から

黄色に変わった点を終点とする。 

注(3) 滴定の際の酸濃度は,溶液100m1中,硝酸 (1+1) 0.5〜4.0ml (pH 1.5〜0.7) とする。 

5.6 

空試験 試料を用いないで5.5の手順に従って,試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

5.7 

計算 試料中のビスマス含有率を,次の式で算出する。 

100

250

100

)

(

Bi

2

1

×

×

×

m

f

V

V

Bi

ここに, Bi: 試料中のビスマス含有率 [% (m/m)]  
 

V1: 分取した試料溶液の滴定に用いた0.01mol/LE DTA2Na標準溶

液の使用量(ml) 

V2: 分取した空試験液の滴定に用いた0.01mol/LE DTA2Na標準溶

液の使用量(ml) 

fBi: 0.01mol/L EDTA2Na標準溶液1mlのビスマス相当量 (g)  

m: 試料はかり取り量 (g)  

6. チオ尿素吸光光度法 

6.1 

要旨 試料を水酸化ナトリウム溶液で分解し,シアン化カリウムを加えた後,硫化ナトリウムを加

えてビスマスなどの硫化物を沈殿させる。沈殿をろ過して分離した後,残さを硝酸で分解する。この溶液

の一部を分取して酸濃度を調節し,チオ尿素を加えて呈色させ,光度計を用いて吸光度を測定する。 

6.2 

試薬 試薬は,次による。 

a) 硝酸 (1+1,1+2)  

b) 水酸化ナトリウム 5.2c)による。 

c) 過酸化水素 (1+9)  

d) シアン化カリウム (20g/100ml)  

e) 硫化ナトリウム溶液 水酸化ナトリウム25gと硫化ナトリウム25gとを水に溶解し,水で液量を500ml

とする。この溶液は,ポリエチレン瓶に入れ,冷暗所に保管する。 

f) 

チオ尿素溶液 (10g/100ml)  

g) 標準ビスマス溶液 (50μgBi/ml)  ビスマス[99.9% (m/m) 以上]0.500gをはかり取ってビーカー 

(200ml) に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 15mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで

冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500mlの全量

フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (1.00mgBi/ml) とする。この原液を使用の

H 1364 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

都度,必要量だけ水で正しく20倍に薄めて標準ビスマス溶液とする。 

6.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,1.00gとし,1mgのけたまではかる。 

6.4 

操作 操作は,次の手順に従って行う。 

6.4.1 

試料溶液の調製 

a) 試料をはかり取ってコニカルビーカー (300ml) に移し入れる。 

b) 時計皿で覆い,水酸化ナトリウム溶液 [6.2b)] 20mlを少量ずつ加えて分解する。反応が穏やかになっ

た後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,加熱して完全に分解する。 

c) 温水で200mlに薄め,シアン化カリウム20mlを加える。溶液をかき混ぜながら,硫化ナトリウム溶

液 [6.2e)] 5mlを滴加して硫化物を沈殿させる。加熱して2〜3分間煮沸した後,静置して沈殿を沈降

させる。時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除く。 

d) 沈殿は,JIS P 3801に規定したろ紙(5種B)を用いてろ過し,温水で十分に洗浄した後,温水を用い

て元のビーカーに洗い入れる。ビーカーを漏斗下に受け,ろ紙に付着した沈殿は温硝酸 (1+2) を注

いで溶解し,ろ紙を温水で洗浄する。 

e) 溶液を加熱して沈殿を完全に溶解した後(4),更に加熱を続け,わずかに湿りが残る程度まで蒸発乾固

する。室温まで放冷した後,硝酸 (1+1) 10mlと過酸化水素 (1+9) 数滴とを加え,静かに煮沸して塩

類を溶解するとともに過剰の過酸化水素を分解する(5)。 

f) 

常温まで冷却した後,水を用いて100mlの全量フラスコに移し入れ,水で標線まで薄める。 

注(4) 沈殿が分解しにくいときは,硝酸 (1+1) を更に少量追加する。 

(5) この際,硫黄などの沈殿を認めたときには,JIS P 3801に規定したろ紙(5種B)を用いてろ過

し,温水で洗浄する。 

6.4.2 

呈色 呈色は,次の手順に従って行う。 

a) 6.4.1f)で得た溶液10mlを50mlの全量フラスコに正しく取り,硝酸 (1+1) 2mlを加えた後,水で約30ml

に薄める。 

b) 次にチオ尿素溶液10mlを加え,水で標線まで薄め,よく振り混ぜてビスマスを呈色させる。 

6.4.3 

吸光度の測定 6.4.2b)で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として

波長430nm付一近の吸光度を測定する。 

6.5 

空試験 試薬だけを用いて,6.4の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

6.6 

検量線の作成 数個の50mlの全量フラスコに標準ビスマス溶液 [6.2g)] 0〜20ml(ビスマスとして0

〜1 000μg)を段階的に取り,硝酸 (1+1) 3mlを加えた後,水で30mlに薄める。以下,6.4.2b)〜6.4.3の手

順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行い,得た吸光度とビスマス量との関係線を作成し,その関

係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。 

6.7 

計算 6.4.3で得た吸光度から6.5で得られた吸光度を差し引いた吸光度と6.6で作成した検量線とか

らビスマス量を求め,試料中のビスマス含有率を,次の式によって算出する。 

100

100

10×

×

m

A

Bi=

ここに, Bi: 試料中のビスマス含有率 [% (m/m)]  
 

A: 分取した試料溶液中のビスマス検出量 (g)  

m: 試料はかり取り量 (g)  

H 1364 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7. 臭化物・メチルトリオクチルアンモニウムブロミド抽出原子吸光分析方法 

7.1 

要旨 試料を塩酸と硝酸とで分解した後,硫酸を加え,加熱して硫酸の白煙を発生させて塩酸及び

硝酸を除去する。臭化水素酸を加え,メチルトリオクチルアンモニウムブロミドを含む酢酸ブチルでビス

マスの臭化物錯体を抽出し,有機相を原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧し,その吸光

度を測定する。 

7.2 

試薬 試薬は,次による。 

a) 塩酸 (1+1)  

b) 硝酸 (1+1)  

c) 臭化水素酸 (1+8)  

d) 硫酸 (1+1)  

e) 混酸(ふっ化水素酸5,硝酸1,水5) 

f) 

ニッケル溶液 ニッケル[99.9% (m/m) 以上]0.1gをはかり取ってビーカーに移し入れ,硝酸 (1+1) 

10mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,水で液量を100mlとする。 

g) 硫酸ナトリウム(無水) 

h) 抽出溶媒 メチルトリオクチルアンモニウムクロリド6mlに酢酸ブチルを加えて液量を40mlとする。

この溶液を分液漏斗 (100ml) に移し入れ,臭化水素酸 (1+8) 40mlを加え,約5分間激しく振り混ぜ

る。静置して2層に分離した後,水相(下層)を捨てる。再び,有機相に臭化水素酸 (1+8) 40mlを

加え,約5分間激しく振り混ぜる。静置して2層に分離した後,水相(下層)を捨て,有機相に酢酸

ブチルを加えて液量を200mlとする。この抽出溶媒は,使用の都度調製する。 

i) 

酢酸ブチル 

j) 

標準ビスマス溶液 (5μgBi/ml)  ビスマス[99.9% (m/m) 以上]0.500gをはかり取ってビーカー (200ml) 

に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 10mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却し

た後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500mlの全量フラス

コに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (1.00mgBi/ml) とする。この原液を使用の都度,

必要量だけ水で正しく200倍に薄めて標準ビスマス溶液とする。 

7.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,0.20gとし,1mgのけたまではかる。 

7.4 

操作 

7.4.1 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次のいずれかの手順によって行う。 

7.4.1.1 

ビスマス含有率0.003% (m/m) 以上0.03% (m/m) 未満の試料の場合 

a) 試料をはかり取ってビーカー (200ml) に移し入れる。 

b) 時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 15mlを加え,穏やかに加熱して分解する(6)。この溶液に硝酸 (1+1) 2ml

を加え(7),加熱して試料を完全に分解する(8)。 

c) 常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄して,時計皿を取り除く。 

d) 硫酸 (1+1) 20mlを加え,加熱を続けて硫酸の白煙を十分に発生させる。放冷した後,ビーカーの内

壁を水約10mlで洗浄する。加熱して塩類を溶解し,更に加熱を続けて硫酸の白煙を十分に発生させ

る。 

e) 放冷した後,水50mlを加え,加熱して塩類を溶解し,室温まで冷却する。 

7.4.1.2 

ビスマス含有率0.03% (m/m) 以上0.1% (m/m) 以下の試料の場合 

a) 試料をはかり取ってビーカー (200ml) に移し入れる。 

b) 時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 15mlを加え,穏やかに加熱して分解する(6)。この溶液に硝酸 (1+1) 2ml

H 1364 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

を加え(7),加熱して試料を完全に分解する(8)。 

c) 常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄して,時計皿を取り除く。溶液を

100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

d) 正確に溶液20mlをビーカー (200ml) に分取し,硫酸 (1+1) 20mlを加え,加熱して硫酸の白煙を十分

に発生させる。放冷した後,ビーカーの内壁を水約10mlで洗浄する。再び加熱して硫酸の白煙を十

分に発生させる。 

e) 放冷した後,水50mlを加え,加熱して塩類を溶解し,室温まで冷却する。 

注(6) 試料が分解しにくい場合には,ニッケル溶液 [7.2f)] 2mlを加える。 

(7) 銅含有率が高い場合には,金属銅が残ることがあるので,更に硝酸 (1+1) を加える。 

(8) 不溶解物を認めた場合には,JIS P 3801に規定したろ紙(5種B)を用いてこし分け,温水で洗

浄する。未分解残さを少量の水を用いてポリ四ふっ化エチレンビーカー (100ml) に吹き戻し,

混酸20mlと硫酸 (1+1) 1mlとを加え,加熱して硫酸の白煙を発生させ,室温まで冷却した後,

主液に合わせる。 

7.4.2 

ビスマス錯体の抽出 ビスマス錯体の抽出は,次の手順によって行う。 

a) 7.4.1.1e)又は7.4.1.2e)で得た溶液を分液漏斗 (200ml) に水を用いて移し入れ,臭化水素酸 (1+8) 5ml

を加え,水で液量を約100mlとする(9)。 

b) 抽出溶媒 [7.2h)] を正しく10ml加え,約5分間激しく振り混ぜる。静置して2相に分離した後,水相

(下層)を捨てる。 

c) 有機相を乾いたろ紙又は脱脂綿を通して,試験管 (15〜20ml) に移し入れ,酢酸ブチルを加えて液量

を10mlの目盛に合わせ,硫酸ナトリウム(無水)約1gを加え脱水する。 

注(9) あらかじめ,100mlの位置に目盛を付けておく。 

7.4.3 

吸光度の測定 7.4.2c)で得た溶液の一部を,酢酸ブチルを用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計

の空気・アセチレンフレーム中に噴霧し,波長223.1nmにおける吸光度を測定する。 

7.5 

空試験 試料を用いないで7.4.1〜7.4.3の操作を試料と並行して行う。 

7.6 

検量線の作成 硫酸 (1+1) 20ml及び臭化水素酸 (1+8) 5mlを数個の分液漏斗 (100ml) に取り,標

準ビスマス溶液 [7.2j)] 0〜12.0ml(ビスマスとして0〜60μg)を段階的に加え,水でそれぞれの液量を約

100mlとする。以下,7.4.2h)〜7.4.3の手順に従って試料と並行して操作し,得た吸光度と加えたビスマス

量との関係線を作成し,その関係線が原点を通るように平行移動して検量線とする。 

7.7 

計算 計算は,次のいずれかによる。 

a) 7.4.1.1の操作を行った場合 7.4.3で得た吸光度から7.5で得た吸光度を差し引いて得られる吸光度と

7.6で作成した検量線とからビスマス量を求め,試料中のビスマス含有率を,次の式によって算出する。 

100

×

m

A

Bi=

ここに, Bi: 試料中のビスマス含有率 [% (m/m)]  
 

A: 分取した試料溶液中のビスマス検出量 (g)  

m: 試料はかり取り量 (g)  

b) 7.4.1.2の操作を行った場合 7.4.3で得た吸光度から7.5で得た吸光度を差し引いて得られる吸光度と

7.6で作成した検量線とからビスマス量を求め,試料中のビスマス含有率を,次の式によって算出する。 

background image

H 1364 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

100

100

20×

×

m

A

Bi=

ここに, Bi: 試料中のビスマス含有率 [% (m/m)]  
 

A: 分取した試料溶液中のビスマス検出量 (g)  

m: 試料はかり取り量 (g)  

8. 原子吸光分析方法 原子吸光分析方法は,JIS H 1306の規定による。 

9. 誘導結合プラズマ発光分光分析方法 誘導結合プラズマ発光分光分析方法は,JIS H 1307の規定によ

る。 

付図1 円筒状白金電極 

付図2 半円形時計皿 

H 1364 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

河 田 秀 俊 

株式会社日軽分析センター 

村 上 徹 朗 

工学院大学 

藤 沼   弘 

東洋大学 

大河内 春 乃 

東京理科大学 

塚 本   修 

経済産業省製造産業局非鉄金属課 

穐 山 貞 治 

経済産業省産業技術環境局標準課産業基盤標準化推進室 

井 川 洋 志 

昭和電工株式会社 

久留須 一 彦 

古河電気工業株式会社 

泉     巌 

日本軽金属株式会社 

鈴 木   通 

中央工産株式会社 

川 口   修 

スカイアルミニウム株式会社 

坂 巻   博 

新日軽株式会社 

豊 嶋 雅 康 

住友軽金属工業株式会社 

吉 本 栄 治 

昭和アルミニウム株式会社(現 昭和電工株式会社) 

勝間田 一 宏 

三菱アルミニウム株式会社 

井 上 義 一 

東洋アルミニウム株式会社 

船 渡 好 人 

株式会社島津製作所 

本 田 和 人 

株式会社パーキンエルマージャパン 

(事務局) 

井 波 隆 夫 

社団法人日本アルミニウム協会