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H 1335 : 1998  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによってJIS H 1335-1976は改正され,この規格に置き換えられる。 

今回の改正では,規定する三つの定量方法のうち国際規格ISO 1975 : 1973, Magnesium and magnesium 

alloys−Determination of silicon−Spectrophotometric method with the reduced silicomolybdic complex 

[マグネシウム及びマグネシウム合金−けい素定量方法−モリブドけい酸青吸光光度法(アスコルビン

酸還元法)]と対応する方法について整合させた。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 1335 : 1998 

マグネシウム及びマグネシウム 

合金中のけい素定量方法 

Methods for determination of silicon in magnesium and magnesium alloys 

序文 この規格は,1973年に第1版として発行されたISO 1975, Magnesium and magnesium alloys−

Determination of silicon−Spectrophotometric method with the reduced silicomolybdic complexを元に,対応する

部分については技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。 

なお,対応規格がない二つの定量法を日本工業規格として追加している。 

1. 適用範囲 この規格は,マグネシウム及びマグネシウム合金中のけい素定量方法について規定する。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

ISO 1975 : 1973 Magnesium and magnesium alloys−Determination of silicon−Spectrophotometric 

method with the reduced silicomolybdic complex 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。 

JIS H 1331 マグネシウム合金分析方法の通則 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

3. 一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS H 1331, JIS K 0050及びJIS K 0115の規定による。 

4. 定量方法の区分 けい素の定量方法は,次のいずれかによる。 

a) モリブドけい酸吸光光度法 この方法は,けい素含有率0.02% (m/m) 以上0.50% (m/m) 以下の試料に

適用する。 

b) モリブドけい酸青吸光光度法(スルホン酸還元法) この方法は,けい素含有率0.001% (m/m) 以上

0.05% (m/m) 以下の試料に適用する。 

c) モリブドけい酸青吸光光度法(アスコルビン酸還元法) この方法は,けい素含有率0.01% (m/m) 以

上0.6% (m/m) 以下の試料に適用する。希土類及び/又はトリウムを含有する試料には適用しない。 

5. モリブドけい酸吸光光度法 

5.1 

要旨 試料をほう酸,硫酸及び硝酸で分解し,七モリブデン酸六アンモニウムを加えてモリブドけ

い酸を生成させ,光度計を用いて,その吸光度を測定する。 

H 1335 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.2 

試薬 試薬は,次による。 

a) 硝酸 (1+1) 

b) 硫酸 (1+4) 

c) ほう酸溶液(飽和,約50g/l) 

d) マグネシウム マグネシウム[99.90% (m/m) 以上]でけい素を含有していないもの又はけい素含有率

が既知のもの。 

e) 融解合剤[炭酸ナトリウム(無水)1,炭酸カリウム1] 

f) 

モリブデン酸アンモニウム溶液 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物20gを水に溶解し,水で液

量を200mlとする。 

g) 標準けい素溶液(500μgSi/ml) あらかじめ約1 000℃で強熱し,デシケーター中で室温まで放冷した

二酸化けい素[99.95% (m/m) 以上]1.070gを白金るつぼ(30番)にはかり取り,融解合剤 [e)] 5gを

加えて混合し,加熱して融解する。室温まで放冷した後,白金るつぼを温水約100mlを入れたポリエ

チレンビーカー (200ml) 中に浸し,融成物を溶解し,白金るつぼを水で洗って取り出す。常温まで冷

却した後,溶液を1 000mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄め,ポリエチレン

瓶に入れて保存する。 

5.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,1.0gとし,1mgのけたまではかる。 

5.4 

操作 

5.4.1 

試料の分解 試料の分解は,次の手順によって行う。 

a) 試料をはかり取って,コニカルビーカー (300ml) に移し入れる。 

b) 時計皿で覆い,水約25ml及びほう酸溶液5mlを加え,流水で冷却しながら硫酸 (1+4) 12mlを少量ず

つ加えて分解する。 

c) 反応が穏やかになったら,硫酸 (1+4) 1ml及び硝酸 (1+1) 0.5mlを加え,加熱して試料を完全に分解

する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びコニカルビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除

く(1)(2)。 

d) 不溶解物を,ろ紙(5種C)を用いてこし分け,ろ紙と不溶解物を水で十分に洗浄し,ろ液及び洗液

を合わせてビーカー (300ml) に保存する。不溶解物を,ろ紙とともに白金るつぼ(30番)に移し入れ,

加熱してろ紙を乾燥,灰化した後,融解合剤1gを加え,加熱して融解する。室温まで冷却した後,白

金るつぼをポリエチレンビーカー (300ml) に移し入れ,熱水を加えて融成物を溶解し,白金るつぼを

水で洗って取り除く。硫酸 (1+4) を加えて中和した後,硝酸 (1+1) 約10滴を加えて加熱する。常

温まで冷却し,硫酸 (1+4) を用いてpH1.0〜1.6に調節した後,溶液を保存しておいたろ液及び洗液

に合わせる。 

e) 溶液を250mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で液量を約200mlとする。 

注(1) この溶液のpHは,1.0〜1.6の範囲にある。このpH範囲にないときは,この範囲となるように

硫酸 (1+4) の添加量を増減して調節する。 

(2) ここで溶液中に不溶解物が認められない場合には,次のe)の操作は行わない。 

5.4.2 

呈色 5.4.1のe)で得た溶液にモリブデン酸アンモニウム溶液 [5.2 f)] 10mlを加えてよく振り混ぜ,

水で標線まで薄め,約10分間放置する。 

5.4.3 

吸光度の測定 5.4.2で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として,

波長430nm付近の吸光度を測定する。 

H 1335 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.5 

空試験 コニカルビーカー (300ml) にほう酸溶液5ml,硫酸 (1+4) 1ml及び硝酸 (1+1) 0.5mlを取

る(1)。以下,5.4.1 e)〜5.4.3の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

5.6 

検量線の作成 検量線の作成は,次の手順によって行う。 

a) マグネシウム [5.2 d)] を1.0gずつ数個をはかり取り,数個のコニカルビーカー (300ml) に移し入れ,

5.4.1のb)及びc)の手順に従って操作する。 

b) 溶液をそれぞれ250mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,標準けい素溶液 [5.2 g)] 0〜10.0ml(け

い素として0〜5 000μg)を段階的に加える。水を加えて液量を約200mlとした後,モリブデン酸アン

モニウム溶液 [5.2 f)] 10mlを加えてよく振り混ぜ,水で標線まで薄め,約10分間放置する。 

c) この溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として,430nm付近の吸光度を試料

と並行して測定し,得た吸光度とけい素量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行

移動して検量線とする。 

5.7 

計算 5.4.3及び5.5で得た吸光度と5.6で作成した検量線とからけい素量を求め,試料中のけい素含

有率を,次の式によって算出する。 

100

Si

2

1

×

=

m

A

A

ここに, Si: 試料中のけい素含有率 [% (m/m)] 
 

A1: 試料溶液中のけい素検出量 (g) 

A2: 空試験液中のけい素検出量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

6. モリブドけい酸青吸光光度法(スルホン酸還元法) 

6.1 

要旨 試料をほう酸,硫酸及び硝酸で分解し,アンモニア水でpHを調節する。七モリブデン酸六ア

ンモニウムを加えてモリブドけい酸を生成させ,硫酸及びスルホン酸還元剤を加えてモリブドけい酸をモ

リブドけい酸青に還元し,光度計を用いて,その吸光度を測定する。 

6.2 

試薬 試薬は,次による。 

a) 硝酸 (1+1) 

b) 硫酸 (1+4) 

c) ほう酸溶液(飽和,約50g/l) 

d) アンモニア水 (1+1) 

e) 融解合剤[炭酸ナトリウム(無水)1,炭酸カリウム1] 

f) 

硫酸マグネシウム溶液 (50mgMg/ml)  硫酸マグネシウム七水和物127gを水に溶解し,水で液量を

250mlとする。 

g) モリブデン酸アンモニウム溶液 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物10gを水に溶解し,水で液

量を100mlとする。 

h) 酒石酸溶液 (200g/l) 

i) 

酒石酸ナトリウム溶液 酒石酸ナトリウム二水和物20gを水に溶解し,水で液量を100mlとする。 

j) 

スルホン酸還元溶液 亜硫酸水素ナトリウム27g,水酸化ナトリウム2g及び1−アミノ−2−ナフトー

ル−4−スルホン酸0.5gを水50mlに溶解し,水で液量を250mlとし,ポリエチレン瓶に入れ,冷暗所

に保存する。この溶液は,約1週間は使用できる。 

k) 標準けい素溶液 (10μgSi/ml)  あらかじめ約1 000℃で強熱し,デシケーター中で室温まで放冷した二

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H 1335 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

酸化けい素[99.95% (m/m) 以上]0.2140gを白金るつぼ(30番)にはかり取り,融解合剤 [e)] 5gを

加えて混合し,加熱して融解する。室温まで放冷した後,温水約100mlを入れたポリエチレンビーカ

ー (200ml) にるつぼを浸し,融成物を溶解し,るつぼを水で洗って取り出す。常温まで冷却した後,

溶液を500mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄め,ポリエチレン瓶に移し入れ

て原液 (200μg Si/ml) とする。この原液を使用の都度,水で正確に20倍に薄めて標準けい素溶液とす

る。 

6.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,試料中のけい素含有率に応じ,表1に従って1mgのけた

まではかる。 

表1 試料はかり取り量 

けい素含有率 

% (m/m) 

試料はかり取り量 

0.001以上 0.002未満 

2.0 

0.002以上 0.01未満 

1.0 

0.01以上 0.02未満 

 0.50 

0.02以上 0.05以下 

 0.20 

6.4 

操作 

6.4.1 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。 

a) 試料をはかり取って,ポリエチレンビーカー (300ml) に移し入れる。 

b) 水約25ml及びほう酸溶液5mlを加え,ポリエチレン時計皿で覆い,ポリエチレンビーカーを流水で

冷却しながら硫酸 (1+4) を試料はかり取り量1gに対して14mlの割合で少量ずつ加えて分解する。

反応が穏やかになったら,硝酸 (1+1) 4, 5滴を加え,水浴上で加熱して試料を完全に分解する。 

c) 室温まで冷却した後,ポリエチレン時計皿の下面及びポリエチレンビーカーの内壁を水で洗って時計

皿を取り除く(3)。 

d) 溶液をろ紙(5種C)を用いてろ過し,ろ紙及び不溶解物を水でよく洗浄する。ろ液及び洗液は,ポ

リエチレンビーカー (300ml) に保存する。不溶解物をろ紙とともに白金るつぼ(30番)に移し入れ,

加熱して乾燥,灰化した後,融解合剤約0.1gを加え,加熱して不溶解物を融解する。室温まで放冷し

た後,熱水を加えて融成物を溶解し,溶液をろ液及び洗液が入っているポリエチレンビーカーに少量

の水を用いて移し入れる。 

注(3) 不溶解物が認められない場合には,次のd)の操作は行わない。 

6.4.2 

呈色 呈色は,次の手順によって行う。 

a) 6.4.1のc)又はd)で得た溶液に水を加えて液量を約60mlとし,アンモニア水 (1+1) と硫酸 (1+4) を

用いてpHを1.0〜1.1に調節する(4)。 

b) 溶液を100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,モリブデン酸アンモニウム溶液 [6.2 g)] 5mlを

加えて振り混ぜ(5),約20分間放置する。硫酸 (1+4) 5mlを加えて振り混ぜ,直ちにスルホン酸還元

溶液 [6.2 j)] 3mlを加えて振り混ぜ,約5分間静置する。酒石酸ナトリウム溶液5mlを加え(6),水で標

線まで薄める。 

注(4) 沈殿が生成するようなときは,溶液を加熱するとよい。 

(5) 溶液の温度が20℃以下では,モリブドけい酸の生成に長時間を要するので,20〜30℃の液温が

望ましい。 

(6) 酒石酸ナトリウム溶液 [6.2 i)] 5mlの代わりに,酒石酸溶液5mlを加えてもよい。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.4.3 

吸光度の測定 6.4.2 b)で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として,

波長810nm付近の吸光度を測定する。 

6.5 

空試験 空試験は,次の手順によって行う。 

a) 水約25ml,ほう酸溶液5ml,硫酸 (1+4) 1ml及び硝酸 (1+1) 4, 5滴をポリエチレンビーカー (300ml) 

に取り,ポリエチレン時計皿で覆い,溶液の液量が約5mlになるまで水浴上で加熱して濃縮する。 

b) 6.4.1 c)〜6.4.3の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

6.6 

検量線の作成 

6.6.1 

試料用検量線の作成 試料用検量線の作成は,次の手順によって行う。 

a) 数個のポリエチレンビーカー (300ml) に,硫酸マグネシウム溶液 [6.2 f)] をマグネシウム量が6.4.1 a)

ではかり取った試料と同量になるように取り,標準けい素溶液 [6.2 k)] 0〜10.0ml(けい素として0〜

100μg)を段階的に加える。 

b) ほう酸溶液5ml及び硫酸 (1+4) 1mlを加え,水で液量を約60mlとし,アンモニア水 (1+1) と硫酸 (1

+4) で溶液のpHを1.0〜1.1に調節する。以下,6.4.2 b)及び6.4.3の手順に従って,試料と同じ操作

を試料と並行して行い,得た吸光度とけい素量との関係線を作成し,その関係線が原点を通るように

平行移動して試料用検量線とする。 

6.6.2 

空試験用検量線の作成 空試験用検量線の作成は,次の手順によって行う。 

a) 数個のポリエチレンビーカー (300ml) に,標準けい素溶液 [6.2 k)] 0〜10.0ml(けい素として0〜

100μg)を段階的に取る。 

b) 水で液量を約60mlとし,アンモニア水 (1+1) と硫酸 (1+4) で溶液のpHを1.0〜11に調節する。以

下,6.4.2 b)及び6.4.3の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行い,得た吸光度とけい素量

との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して空試験用検量線とする(7)。 

注(7) 試料溶液の吸光度と比較して,空試験液の吸光度が著しく低い場合には,6.6.1で作成した試料

用検量線を用いて空試験値を求めてもよい。 

6.7 

計算 6.4.3及び6.5で得た吸光度と,6.6.1及び6.6.2で作成した検量線とからそれぞれけい素量を求

め,試料中のけい素含有率を,次の式によって算出する。 

100

Si

2

1

×

=

m

A

A

ここに, Si: 試料中のけい素含有率 [% (m/m)] 
 

A1: 試料溶液中のけい素検出量 (g) 

A2: 空試験液中のけい素検出量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

7. モリブドけい酸青吸光光度法(アスコルビン酸還元法) 

7.1 

要旨 試料を硫酸と臭素水とで分解し,ふっ化カリウム及びほう酸を加えた後,モリブデン酸二ナ

トリウム又は七モリブデン酸六アンモニウムを加え,モリブドけい酸とし,酒石酸,硫酸及びL (+) −ア

スコルビン酸を加えてモリブドけい酸をモリブドけい酸青に還元し,光度計を用いて,その吸光度を測定

する。 

7.2 

試薬 試薬は,次による。 

a) 硫酸 (10+26, 1+35) 

b) ほう酸溶液(飽和,約40g/l) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 臭素水(飽和) 

d) ふっ化カリウム溶液 (50g/l) 

e) マグネシウム溶液 (10g Mg/l)  マグネシウム[99.9% (m/m) 以上]10.0gをはかり取り,トールビー

カー (600ml) に移し入れ,時計皿で覆い,水約200mlを加えた後,硫酸 (10+26) 120mlを少量ずつ加

えて分解する。反応が穏やかになったら,5分間煮沸して完全に分解する。常温まで冷却した後,時

計皿の下面及びトールビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を1 000mlの全量フラス

コに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

f) 

モリブデン酸ナトリウム溶液 モリブデン酸二ナトリウム二水和物19.5gを水に溶解し,水で液量を

100mlとする。 

g) モリブデン酸アンモニウム溶液 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物14.0gを水に溶解し,水で

液量を100mlにする。使用時に調製する。 

h) 酒石酸溶液 (200g/l) 

i) 

L (+) −アスコルビン酸溶液 (20g/l)  使用時に調製する。 

j) 

標準けい素溶液A (100μgSi/ml)  1 000℃で強熱して恒量とした高純度二酸化けい素0.214 0gを白金る

つぼ(30番)にはかり取り,融解合剤 [5.2 e)] 2gを加え,二酸化けい素と混合した後,加熱して融解

する。室温まで放冷した後,白金るつぼをポリエチレンビーカー (200ml) に移し入れ,温水約100ml

を加えて融成物を溶解し,白金るつぼを水で洗って取り除く。常温まで冷却した後,溶液を1000ml

の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄め,プラスチック容器に入れて保存する。 

k) 標準けい素溶液B (10μgSi/ml)  使用の都度,標準けい素溶液A [j)] 50.0mlを500mlの全量フラスコに

取り,水で標線まで薄めて標準けい素溶液Bとする。 

7.3 

試料はかり取り量 試料はかり取り量は,試料中のけい素含有率に応じ,表2に従って1mgのけた

まではかる。 

表2 試料はかり取り量並びに臭素水及び硫酸の添加量 

けい素含有率 

% (m/m) 

試料はかり取り量 

臭素水添加量 

ml 

硫酸 (10+26) 添加量 

ml 

0.01以上 0.05未満 

1.00 

75 

12.0 

0.05以上 0.6以下 

0.50 

50 

30.0 

7.4 

操作 

7.4.1 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う(8)。 

a) 試料をはかり取って,トールビーカー (250ml) に移し入れる。 

b) 時計皿で覆い,試料はかり取り量に応じ,表2に規定された量の臭素水を加えた後,溶液を流水で冷

却しながら,表2に規定された量の硫酸 (10+26) を少量ずつ加えて分解する(9)。 

c) 煮沸して過剰の臭素を追い出した後,時計皿の下面及びトールビーカーの内壁を水で洗って時計皿を

取り除き,溶液を水を用いてプラスチックビーカー (250ml) に移し入れ,水を加えて液量を約100ml

とする。 

d) ふっ化カリウム溶液5mlを加えてかき混ぜた後,60〜70℃で15〜20分間加熱する。 

e) ほう酸溶液50mlを加えてかき混ぜ,常温まで冷却した後,溶液を250mlの全量フラスコに水を用い

て移し入れ,水で標線まで薄める。 

注(8) けい素の加水分解を避けるため,使用する直前に調製する。 

(9) 臭素によるだいだい(橙)色が消えたとき又は未分解の銅によって臭素が遊離したときには,

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

更に臭素水10mlを加える。 

7.4.2 

呈色 呈色は,次の手順によって行う。 

a) 7.4.1 e)で得た溶液を表3に従って100mlの全量フラスコに分取し,水を加えて液量を約60mlとする。 

b) モリブデン酸ナトリウム溶液 [7.2 f)] 5ml又はモリブデン酸アンモニウム溶液 [7.2 g)] 5mlを加え(10),

振り混ぜた後,10分間放置する。 

c) 酒石酸溶液5ml,硫酸 (10+26) 10ml及びL (+) −アスコルビン酸溶液 [7.2 i)] 5mlを加え,水で標線

まで薄める。 

表3 分取量 

けい素含有率 

% (m/m) 

分取量 

ml 

0.01以上 0.05未満 

50.0 

0.05以上 0.6以下 

10.0 

注(10) あらかじめ,a)で分取した分取量と同量をビーカー (100ml) に取り,水を加えて液量を約60ml

とした後,モリブデン酸ナトリウム溶液 [7.2 f)] 5ml又はモリブデン酸アンモニウム溶液 [7.2 

g)] 5mlを加えてpHを測定し,pHが1.35〜1.50の範囲にあるときには,モリブデン酸ナトリウ

ム溶液 [7.2 f)] を,pHが1.20〜1.30の範囲にあるときには,モリブデン酸アンモニウム溶液 [7.2 

g)] を加える。 

いずれのpH範囲にもない場合には,硫酸 (1+35) を加えていずれかのpH範囲になるように

調節し,このときに要した硫酸 (1+35) の量と同量の硫酸 (1+35) を全量フラスコに加えた後,

モリブデン酸ナトリウム溶液 [7.2 f)] 又はモリブデン酸アンモニウム溶液 [7.2 g)] を加える。 

7.4.3 

吸光度の測定 7.4.2 c)で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として,

波長810nm付近の吸光度を測定する(11)。 

注(11) 呈色後,10〜40分間の間に測定する。 

7.5 

空試験 空試験は,次のいずれかによる。 

a) 試料はかり取り量が1.00gの場合 トールビーカー (250ml) に臭素水75ml及び硫酸 (10+26) 5mlを

取り,時計皿で覆う。以下,7.4.1 c)〜7.4.3の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

b) 試料はかり取り量が0.50gの場合 トールビーカー (250ml) に臭素水50ml及び硫酸 (10+26) 25mlを

加え,時計皿で覆う。以下,7.4.1 c)〜7.4.3の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う。 

7.6 

検量線の作成 検量線の作成は,次のいずれかの手順によって行う。 

a) 試料はかり取り量が1.00gの場合 

1) 6個のプラスチックビーカー (250ml) のそれぞれにマグネシウム溶液 [7.2 e)] 100.0mlを取り,標準

けい素溶液A [7.2 j)] 又は標準けい素溶液B [7.2 k)] を,表4に従って段階的に加える。 

2) ふっ化カリウム溶液5mlを加えてかき混ぜ,60〜70℃で15〜20分間加熱する。 

3) ほう酸溶液50mlを加えてかき混ぜ,常温まで冷却した後,溶液を250mlの全量フラスコに水を用

いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

4) 6個の100mlの全量フラスコに3)で得た溶液50mlをそれぞれ分取し,水を加えて液量を約60mlと

する。 

5) モリブデン酸ナトリウム溶液 [7.2 f)] 5ml又はモリブデン酸アンモニウム溶液 [7.2 g)] 5mlを加え(12),

振り混ぜた後,10分間放置する。 

6) 以下,7.4.2 c)及び7.4.3の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して操作し,得た吸光度とけい

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H 1335 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

素量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。 

表4 標準けい素溶液の添加量 

標準けい素溶液B [7.2 k)] 
添加量 

ml 

標準けい素溶液A [7.2 j)] 
添加量 

ml 

けい素量 
 

mg 

− 

 5.0 

− 

  0.05 

10.0 

− 

  0.10 

25.0 

− 

  0.25 

− 

5.0 

  0.50 

− 

7.5 

  0.75 

注(12) あらかじめ,3)で得た溶液50.0mlをビーカー (100ml) に取り,水を加えて液量を約60mlとした

後,モリブデン酸ナトリウム溶液 [7.2 f)] 5ml又はモリブデン酸アンモニウム溶液 [7.2 g)] 5ml

を加え,pH範囲が試料溶液と同じ範囲にあることを確認する。試料溶液と同じpH範囲にない

場合には,硫酸 (1+35) を加えて注(10)で調べた試料溶液と同じpH範囲になるように調節し,

このときに要した硫酸 (1+35) と同量の硫酸 (1+35) を全量フラスコに加えた後,試料溶液に

加えたと同じにモリブデン酸ナトリウム溶液又はモリブデン酸アンモニウム溶液を加える。 

b) 試料はかり取り量が0.50gの場合 

1) 6個のプラスチックビーカー (250ml) のそれぞれにマグネシウム溶液 [7.2 e)] 50.0mlを取り,硫酸 

(10+26) 23.0mlを加え,標準けい素溶液A [7.2 j)] を表5に従って段階的に加えた後,水を加えて液

量を約100mlとする。 

2) ふっ化カリウム溶液5mlを加えてかき混ぜ,60〜70℃で15〜20分間加熱する。 

3) ほう酸溶液50mlを加えてかき混ぜ,常温まで冷却した後,溶液を250mlの全量フラスコに水を用

いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

4) 6個の100mlの全量フラスコに,3)で得た溶液10.0mlをそれぞれ分取し,水を加えて液量を約40ml

とする。 

5) モリブデン酸ナトリウム溶液 [7.2 f)] 5ml又はモリブデン酸アンモニウム溶液 [7.2 g)] 5mlを加え(13),

振り混ぜた後,10分間放置する。 

6) 以下,7.4.2 c)及び7.4.3の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して操作し,得た吸光度とけい

素量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。 

表5 標準けい素溶液の添加量 

標準けい素溶液A [7.2 j)] 
添加量 

ml 

けい素量 
 

mg 

 2.5 

  0.25 

 5.0 

  0.50 

12.5  

  1.25 

25.0 

  2.50 

37.5 

  3.75 

注(13) あらかじめ,3)で得た溶液10.0mlをビーカー (100ml) に取り,水を加えて液量を約60mlとした

後,モリブデン酸ナトリウム溶液 [7.2 f)] 5ml又はモリブデン酸アンモニウム溶液 [7.2 g)] 5ml

を加え,pH範囲が試料溶液と同じ範囲にあることを確認する。試料溶液と同じpH範囲にない

H 1335 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

場合には,硫酸 (1+35) を加えて注(10)で調べた試料溶液と同じpH範囲になるように調節し,

このときに要した硫酸 (1+35) と同量の硫酸 (1+35) を全量フラスコに加えた後,試料溶液に

加えたと同じにモリブデン酸ナトリウム溶液又はモリブデン酸アンモニウム溶液を加える。 

7.7 

計算 計算は,次のいずれかによる。 

a) 試料はかり取り量が1.00gの場合 7.4.3及び7.5 a)で得た吸光度と7.6 a)で作成した検量線とからけい

素量を求め,試料中のけい素含有率を,次の式によって算出する。 

(

)100

250

50

Si

2

1

×

×

=

m

A

A

ここに, Si: 試料中のけい素含有率 [% (m/m)] 
 

A1: 分取した試料溶液中のけい素検出量 (g) 

A2: 分取した空試験液中のけい素検出量 (g) 

m: 試料はかり取り量 (g) 

b) 試料はかり取り量が0.50gの場合 7.4.3及び7.5 b)で得た吸光度と7.6 b)で作成した検量線とからけい

素量を求め,試料中のけい素含有率を,次の式によって算出する。 

(

)100

250

10

Si

0

4

3

×

×

=

m

A

A

ここに, 

Si: 試料中のけい素含有率 [% (m/m)] 

A3: 分取した試料溶液中のけい素検出量 (g) 

A4: 分取した空試験液中のけい素検出量 (g) 

m0: 試料はかり取り量 (g) 

JIS改正原案調査作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

藤 沼   弘 

東洋大学工学部 

村 上 徹 朗 

工学院大学 

俣 野 宣 久 

川崎製線株式会社 

大河内 春 乃 

科学技術庁金属材料技術研究所 

廣 瀬 浩 二 

工業技術院標準部材料規格課 

山 村 修 蔵 

財団法人日本規格協会技術部 

山 本 寿 美 

古河電気工業株式会社横浜研究所分析技術センター 

井 川 洋 志 

昭和電工株式会社千葉事業所 

水 砂 博 文 

住友電気工業株式会社研究開発部門特性評価センター 

山 田 哲 夫 

株式会社神戸製鋼所アルミ・銅事業本部技術部 

冨 田 百合男 

宇部興産株式会社建設資材事業本部技術開発部 

鈴 木   通 

中央工産株式会社野田工場 

(事務局) 

井 波 隆 夫 

社団法人軽金属協会技術開発部