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H 1183:2007  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 一般事項························································································································· 1 

5 定量元素及び定量範囲 ······································································································· 1 

6 定量方法························································································································· 2 

6.1 定量方法の区分 ············································································································· 2 

6.2 粉末法 ························································································································· 2 

6.3 金属固体法 ··················································································································· 6 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本鉱業協会(JMIA)

及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS H 1183:1993は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

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銀地金の発光分光分析方法 

Method for emission spectrochemical analysis of silver bullion 

序文 

この規格は,1964年に制定され,その後3回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1993年に

行われたが,その後の発光分光分析装置の進歩に対応するために改正した。 

なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。 

適用範囲 

この規格は,JIS H 2141に規定する銀地金のアーク放電,スパーク放電又はグロー放電を用いる発光分

光分析法について規定する。 

なお,この規格は,鉛,ビスマス,銅及び鉄の定量に適用する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS H 1181 銀地金分析方法 

JIS H 2141 銀地金 

JIS K 0010 標準物質−標準液−銅 

JIS K 0015 鉛標準液 

JIS K 0016 鉄標準液 

JIS K 0017 標準物質−標準液−ビスマス 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS Z 2611 金属材料の光電測光法による発光分光分析方法通則 

JIS Z 2612 金属材料の写真測光法による発光分光分析方法通則 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0050による。 

一般事項 

分析方法に共通な一般事項は,JIS K 0050,JIS Z 2611及びJIS Z 2612による。 

定量元素及び定量範囲 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

定量元素及び定量範囲は,表1による。 

表1−定量元素及び定量範囲 

定量元素 

定量範囲 

%(質量分率) 

鉛 

0.000 1 以上 

0.005 以下 

ビスマス 

0.000 1 以上 

0.005 以下 

銅 

0.000 3 以上 

0.030 以下 

鉄 

0.000 2 以上 

0.003 以下 

定量方法 

6.1 

定量方法の区分 

定量方法は,分析試料の調製方法によって,次に示す2種類に分類し,その適用は,いずれかによる。 

a) 粉末法 

b) 金属固体法 

6.2 

粉末法 

6.2.1 

要旨 

試料を硝酸で分解した後,蒸発乾固して得る塩類(硝酸銀)を補助電極に充てんし,対電極との間に直

流アークを発生し,発光スペクトルを分光器によって分光し,定量元素のスペクトル強度を測定する。 

6.2.2 

試薬 

試薬は,次による。 

6.2.2.1 

硝酸(1+3,1+15) 

6.2.2.2 

硝酸銀 硝酸銀は,あらかじめ105±5 ℃で約2時間乾燥し,デシケーター中で放冷した後,6.2.5.2 

a) 1)で充てんする量とほぼ同量を補助電極の穴に充てんし,6.2.5.2 a) 2)及び3)の手順に従って試料と同じ

操作を行ったとき,各定量元素(鉛,ビスマス,銅及び鉄)のスペクトルを検出しないものを使用する。 

6.2.2.3 

標準鉛溶液(Pb:5〜200 μg/mL) 鉛[99.9 %(質量分率)以上]0.500 gを硝酸(1+3)20 mL

で分解した後,煮沸して酸化窒素などを追い出す。常温まで冷却した後,溶液を500 mLの全量フラスコ

に水を用いて移し入れ,水で標線まで薄め,これを原液(Pb:1 mg/mL)とするか,又はJIS K 0015に規

定する鉛標準液のPb 1000を原液とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に200〜5倍に薄め

て標準鉛溶液とする。 

6.2.2.4 

標準ビスマス溶液(Pb:5〜200 μg/mL) ビスマス[99.9 %(質量分率)以上]0.500 gを硝酸

(1+3)20 mLで分解した後,煮沸して酸化窒素などを追い出す。常温まで冷却した後,溶液を500 mL

の全量フラスコに硝酸(1+15)を用いて移し入れ,硝酸(1+15)で標線まで薄め,これを原液(Bi:1 mg/mL)

とするか,又はJIS K 0017に規定するビスマス標準液のBi 1000を原液とする。この原液を使用の都度,

必要量だけ硝酸(1+15)で正確に200〜5倍に薄めて標準ビスマス溶液とする。 

6.2.2.5 

標準銅溶液(Cu:5〜200 μg/mL) 銅[99.9 %(質量分率)以上]0.500 gを硝酸(1+3)20 mL

で分解した後,煮沸して酸化窒素などを追い出す。常温まで冷却した後,溶液を500 mLの全量フラスコ

に水を用いて移し入れ,水で標線まで薄め,これを原液(Cu:1 mg/mL)とするか,又はJIS K 0010に規

定する銅標準液のCu 1000を原液とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に200〜5倍に薄め

て標準銅溶液とする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.2.2.6 

標準鉄溶液(Fe:5〜200 μg/mL) 鉄[99.9 %(質量分率)以上]0.500 gを硝酸(1+3)20 mL

で分解した後,煮沸して酸化窒素などを追い出す。常温まで冷却した後,溶液を500 mLの全量フラスコ

に水を用いて移し入れ,水で標線まで薄め,これを原液(Fe:1 mg/mL)とするか,又はJIS K 0016に規

定する鉄標準液のFe 1000を原液とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に200〜5倍に薄め

て標準鉄溶液とする。 

6.2.3 

装置及び器具 

装置及び器具は,次による。 

6.2.3.1 

発光分光分析装置 JIS Z 2611の3.(装置)又はJIS Z 2612の3.(装置)による。 

これらの装置に代えて,検出器として半導体検出器を備えた発光分光分析装置を用いてもよい。 

6.2.3.2 

電極  

電極は,次による。 

a) 対電極 対電極は,灰分5 ppm(質量分率)以下の黒鉛棒を用い,その一端を安定な放電が得られる

形状に成形して使用する。対電極の寸法は,径3〜8 mmで長さ約30 mmが望ましい。 

b) 補助電極 補助電極は,灰分5 ppm(質量分率)以下の黒鉛棒を用い,その一端の上部中心に穴をあ

けて使用する。補助電極の寸法は径5〜6 mmで長さ約30 mm,穴の大きさは径約4 mm,深さ約3 mm

が望ましい。 

なお,補助電極の穴の寸法には特に注意し,一定量の試料がなるべく等しく充てんできるようにす

るのが望ましい。 

6.2.3.3 

試料採取・試料調製用器具及び機械 JIS Z 2611の4.(試料採取・試料調製用器具及び機械)又

はJIS Z 2612の4.(試料採取・試料調製用器具及び機械)による。 

6.2.4 

試料はかりとり量 

試料はかりとり量は,1.00 gとし,1 mgのけたまではかる。 

6.2.5 

操作 

6.2.5.1 

分析試料の調製 

分析試料の調製は,次の手順によって行う。 

a) 試料をはかりとって,ビーカー(100 mL)に移し入れる。 

b) 時計皿で覆い,硝酸(1+3)7 mLを加え,穏やかに加熱して完全に分解する。放冷した後,時計皿の

下面を水で洗って時計皿を取り除く。 

c) 溶液を,穏やかに加熱し,蒸発乾固し,室温まで放冷した後,塩類(硝酸銀)を非金属製のへらを用

いて,めのう乳鉢などの鉛,ビスマス,銅及び鉄が含まれていない粉砕器に移し入れ,すりつぶして

十分微細になるまで粉砕する1)。 

d) 微細化した塩類を105±5 ℃で約2時間乾燥1) した後,ガラス瓶に移し入れ,デシケーター中に保存

する。 

注1) 塩類(硝酸銀)の微細化及び乾燥が不十分であるとき,定量元素の発光強度に影響を与える。 

6.2.5.2 

発光強度の測定 

発光強度の測定は,次のいずれかの手順によって行う。 

a) JIS Z 2611の3.に規定する装置を用いる場合 

1) 6.2.5.1 d)で保存した分析試料の一定量(通常,90 mg)を補助電極[6.2.3.2 b)]の穴に充てんする。 

2) この補助電極と対電極[6.2.3.2 a)]とを電極支持台に取り付ける。 

3) あらかじめ定めた繰返し精度のよい発光条件2) で直流アークを発光させ,定量元素のスペクトル強

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度を,繰返し精度のよい分析線3) を用いて測定する。 

なお,元素の定量に,定量元素と内標準元素とのスペクトル強度比を用いる場合には,同時に銀

(内標準元素)3) のスペクトル強度を,繰返し精度のよい分析線(内標準線)3) を用いて測定し,

定量元素と銀とのスペクトル強度比を求める。 

注2) 発光条件及び測光法の例を,表2に示す。 

3) 分析線及び内標準線の例を,表3に示す。 

表2−発光条件及び測光法の例 

項目 

例1 

例2 

例3 

分光器 
 
 スリット幅 

1.0 m パッシェンルンゲ形
回折格子 

30 μm 

381 mm エッシェル形 
回折格子 

53 μm 

1.7 m パッシェンルンゲ形
回折格子 

25 μm 

測光法 

光電測光 

半導体検出器による測光 

写真測光 

励起法 
 二次電流 

直流アーク法 

15 A 

直流アーク法 

12 A 

直流アーク法 

15 A 

対電極 

黒鉛 

黒鉛 

黒鉛 

放電間隔 

4 mm 

3 mm 

4 mm 

予備放電時間 

なし 

なし 

なし 

積分時間 

40 s 

25 s 

40 s 

表3−分析線及び内標準線の例 

単位 nm 

定量元素 

分析線の波長 

鉛 

PbⅠ 283.306 

ビスマス 

BiⅠ 306.771 

銅 

CuⅠ 324.754 

鉄 

FeⅠ 302.064 

銀 
(内標準元素) 

又は 

AgⅠ 272.176 
AgⅠ 309.912 

b) JIS Z 2612の3.に規定する装置を用いる場合 

1) a)の1)及び2)の操作を行う。 

2) あらかじめ定めた繰返し精度のよい発光条件2) で直流アークを発光させ,JIS Z 2612の8.2(撮影操

作)及び8.3(写真処理)によって撮影操作及び写真処理を行った後,JIS Z 2612の8.4(測定操作)

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

によって,繰返し精度のよい分析線3) を用いて,定量元素のスペクトル線像の黒度を測定する。 

なお,元素の定量に,定量元素と内標準元素とのスペクトル強度比を用いる場合には,同時に銀

(内標準元素)のスペクトル線像の黒度を,繰返し精度のよい分析線(内標準線)3) を用いて測定

し,定量元素のスペクトル線像と銀のスペクトル線像との黒度比を求める。 

6.2.6 

検量線 

6.2.6.1 

検量線用標準試料の調製 

検量線用標準試料の調製は,次の手順によって行う。 

a) 硝酸銀7.9 g(銀として5.0 g)を数個(4個以上)はかりとり,それぞれをビーカー(100 mL)に移し

入れる。 

b) 硝酸(1+3)4 mL及び水6 mLを加えて硝酸銀を溶解した後,溶液に,各定量元素の標準溶液(6.2.2.3

〜6.2.2.6)の各種液量を段階的に加え4),よくかき混ぜる。 

c) 6.2.5.1のc)及びd)の手順に従って試料と同じ操作を試料と併行して行う。 

注4) 定量元素添加量の例を,表4に示す。 

表4−標準試料における定量元素添加量の例 

検量線用標準

試料系列 

定量元素添加量 

μg 

検量線用標準試料中の定量元素含有率 

%(質量分率) 

Pb 

Bi 

Cu 

Fe 

Pb 

Bi 

Cu 

Fe 

No.1 

5  

5  

15  

10  0.000 1 

0.000 1 

0.000 3 

0.000 2 

No.2 

25  

25  

100  

40  0.000 5 

0.000 5 

0.002 0 

0.000 8 

No.3 

100  

100  

400  

75  0.002 0 

0.002 0 

0.008 0 

0.001 5 

No.4 

250  

250  

1 500  

150  0.005 0 

0.005 0 

0.030 0 

0.003 0 

6.2.6.2 

検量線の作成 

検量線の作成は,次のいずれかの手順によって行う。 

a) JIS Z 2611の3.に規定する装置を用いる場合 

1) 6.2.6.1 c)で得た分析試料の一定量[6.2.5.2 a) 1)で用いた分析試料と同一量]を補助電極[6.2.3.2 b)]

の穴に充てんし,この補助電極と対電極[6.2.3.2 a)]とを電極支持台に取り付ける。 

2) 6.2.5.2 a) 3)の操作を試料と併行して行い,得た定量元素のスペクトル強度又は定量元素と銀とのス

ペクトル強度比と,検量線用標準試料中の定量元素含有率(質量分率)との関係線を作成し,検量

線とする。 

b) JIS Z 2612の3.に規定する装置を用いる場合 

1) a) 1)の操作を行う。 

2) 6.2.5.2 b) 2)の操作を試料と併行して行い,得た定量元素のスペクトル線像の黒度又は定量元素のス

ペクトル線像と銀のスペクトル線像との黒度比と,検量線用標準試料中の定量元素含有率(質量分

率)との関係線を作成し,検量線とする。 

なお,検量線用標準試料の発光スペクトルは,分析試料の発光スペクトルと同一乾板又は同一フ

ィルムを用いて撮影する。 

6.2.7 

計算 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

計算は,次のいずれかによる。 

a) JIS Z 2611の3.に規定する装置を用いた場合 6.2.5.2 a) 3)で得たスペクトル強度又はスペクトル強度

比と6.2.6.2 a) 2)で作成した検量線とから,試料中の定量元素含有率を求める。含有率は,%(質量分

率)で表し,JIS Z 8401の規則Aによって小数点以下4けたに丸める。 

b) JIS Z 2612の3.に規定する装置を用いた場合 6.2.5.2 b) 2)で得たスペクトル線像の黒度又は黒度比と

6.2.6.2 b) 2)で作成した検量線とから,試料中の定量元素含有率を求める。含有率は,%(質量分率)

で表し,JIS Z 8401の規則Aによって小数点以下4けたに丸める。 

6.3 

金属固体法 

6.3.1 

要旨 

平面状又は棒状に成形調製した試料を電極とし,対電極に黒鉛又はタングステンを用いて,交流高圧ア

ーク,交流断続アーク,直流低圧スパーク,直流高圧スパーク又はグロー放電を発生させ,発光スペクト

ルを分光器によって分光し,定量元素のスペクトル強度を測定する。 

6.3.2 

装置及び器具 

装置及び器具は,次による。 

6.3.2.1 

発光分光分析装置 JIS Z 2611の3.(装置)又はJIS Z 2612の3.(装置)による。 

これらの装置に代えて,検出器として半導体検出器を備えた発光分光分析装置を用いてもよい。 

6.3.2.2 

対電極 対電極には,黒鉛棒[灰分5 ppm(質量分率)以下]又はタングステン棒を用いる。対

電極の寸法は,径0.5〜8 mmで長さ約30 mm,その先端を30゜〜160°の円すい状に成形したものが望ま

しい。 

6.3.2.3 

試料採取・試料調製用器具及び機械 JIS Z 2611の4.(試料採取・試料調製用器具及び機械)又

はJIS Z 2612の4.(試料採取・試料調製用器具及び機械)による。 

6.3.3 

操作 

6.3.3.1 

分析試料の調製 

分析試料の調製は,次のいずれかの手順によって行う。 

a) 平面状試料の調製 

1) 採取 通常,一溶湯ごとに必要量を採取し,図1に示すような鋼製・鋳鋼製・鋳鉄製・銅製などの

金属製鋳型,又は黒鉛製・耐火物製鋳型で,かつ,乾燥した清浄な鋳型に注入し,鋳造試料を採取

する。 

2) 成形 鋳造試料を,エタノールなどによって清浄にした後,あらかじめエタノールなどによって清

浄にした6.3.2.3に規定する試料採取・試料調製用器具及び機械(高速切断機,金切り盤,旋盤など)

を用いて,鋳造試料の底面を厚さ2〜3 mm切断して除去し,平面部の直径が20 mm以上で厚さが5 

mm以上の平面状に成形する。 

なお,鋳造試料は,酸化しないように注意して成形する。 

b) 棒状試料の調製 

1) 採取 地金から,平均組成が得られる部分を6.3.2.3に規定する試料採取・試料調製用器具及び機械

(高速切断機など)を用いて切り取る。 

2) 成形 あらかじめエタノールなどによって清浄にした6.3.2.3に規定する試料採取・試料調製用器具

及び機械(旋盤など)を用いて,棒状(直径5 mm以上,長さ50 mm以上)に加工し,その先端を

30゜〜160゜の円すい状に成形する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

図1−金属製鋳型の例(皿形) 

6.3.3.2 

発光強度の測定  

発光強度の測定は,次のいずれかの手順によって行う。 

a) JIS Z 2611の3.に規定する装置を用いる場合 

1) 6.3.3.1のa)又はb)で調製した分析試料と対電極(6.3.2.2)とを電極支持台に取り付ける。 

2) あらかじめ定めた繰返し精度のよい発光条件5) で交流高圧アーク,交流断続アーク,直流低圧スパ

ーク,直流高圧スパーク又はグロー放電を発光させ,定量元素のスペクトル強度を測定する。 

なお,元素の定量に,定量元素と内標準元素とのスペクトル強度比を用いる場合には,同時に銀

(内標準元素)のスペクトル強度を測定し,定量元素と銀とのスペクトル強度比を求める。 

注5) 発光条件及び測光法の例を,表5に示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表5−発光条件及び測光法の例 

項目 

例1 

例2 

例3 

分光器 
 
 スリット幅 

1.0 m パッシェンルンゲ形
回折格子 

20 μm 

フラットフィールド形 
回折格子 

15 μm 

1.5 m パッシェンルンゲ形
回折格子 

25 μm 

測光法 

光電測光 

半導体検出器による測光 

写真測光 

励起法 
 二次電圧 
 二次電流 

直流低圧スパーク法 

50〜250 kV 

20〜250 A 

直流低圧スパーク法 

50〜250 kV 

20〜250 A 

交流高圧アーク法 

4.8 kV 

0.8〜2.7 A 

対電極 

タングステン 

タングステン 

黒鉛 

放電間隔 

3 mm 

3 mm 

4 mm 

予備放電時間 

5 s 

10 s 

5 s 

積分時間 

5 s 

20 s 

45 s 

b) JIS Z 2612の3.に規定する装置を用いる場合 

1) a) 1)の操作を行う。 

2) あらかじめ定めた繰返し精度のよい発光条件5) で交流高圧アーク,交流断続アーク,直流低圧スパ

ーク,直流高圧スパーク又はグロー放電を発光させ,JIS Z 2612の8.2及び8.3によって撮影操作及

び写真処理を行った後,JIS Z 2612の8.4によって,定量元素のスペクトル線像の黒度を測定する。 

なお,元素の定量に,定量元素と内標準元素とのスペクトル強度比を用いる場合には,同時に銀

(内標準元素)のスペクトル線像の黒度を測定し,定量元素のスペクトル線像と銀のスペクトル線

像との黒度比を求める。 

6.3.4 

検量線 

6.3.4.1 

検量線用標準試料の調製 

検量線用標準試料の調製は,次の手順によって行う。 

a) JIS Z 2611の6.2(標準試料)又は,JIS Z 2612の6.2(標準試料)によって,分析試料中の定量元素

含有率を内挿する含有率範囲において,定量元素の含有率が適切な間隔をもつように数個の銀試料を

鋳造し,6.3.3.1のa)又はb)によって1系列の検量線用標準試料を調製する。 

b) 1系列の検量線用標準試料中の定量元素含有率(質量分率)を,JIS H 1181に規定する方法によって

求める。 

6.3.4.2 

検量線の作成 

検量線の作成は,次のいずれかの手順によって行う。 

a) JIS Z 2611の3.に規定する装置を用いる場合 

1) 6.3.4.1で調製した検量線用標準試料と対電極(6.3.2.2)とを電極支持台に取り付ける。 

2) 6.3.3.2 a) 2)の操作を試料と併行して行い,得た定量元素のスペクトル強度又は定量元素と銀とのス

ペクトル強度比と,検量線用標準試料中の定量元素含有率(質量分率)との関係線を作成し,検量

線とする。 

H 1183:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) JIS Z 2612の3.に規定する装置を用いる場合 

1) a) 1)の操作を行う。 

2) 6.3.3.2 b) 2)の操作を試料と併行して行い,得た定量元素のスペクトル線像の黒度又は定量元素のス

ペクトル線像と銀のスペクトル線像との黒度比と,検量線用標準試料中の定量元素含有率(質量分

率)との関係線を作成し,検量線とする。 

なお,検量線用標準試料の発光スペクトルは,分析試料の発光スペクトルと同一乾板又は同一フ

ィルムを用いて撮影する。 

6.3.5 

計算 

計算は,次のいずれかによる。 

a) JIS Z 2611の3.に規定する装置を用いた場合 6.3.3.2 a) 2)で得たスペクトル強度又はスペクトル強度

比と6.3.4.2 a) 2)で作成した検量線とから,試料中の定量元素含有率を求める。含有率は%(質量分率)

で表し,JIS Z 8401の規則Aによって小数点以下4けたに丸める。 

b) JIS Z 2612の3.に規定する装置を用いた場合 6.3.3.2 b) 2)で得たスペクトル線像の黒度又は黒度比と

6.3.4.2 b) 2)で作成した検量線とから,試料中の定量元素含有率を求める。含有率は%(質量分率)で

表し,JIS Z 8401の規則Aによって小数点以下4けたに丸める。