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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 1163-1991 

カドミウム地金の光電測光法による 

発光分光分析方法 

Method for photoelectric emission spectrochemical  

analysis of cadmium metal 

1. 適用範囲 この規格は,JIS H 2113に規定するカドミウム地金の光電測光法による発光分光分析方法

について規定する。 

この規格は,鉛,銅,亜鉛及び鉄の定量方法に適用する。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS H 1161 カドミウム地金分析方法 

JIS H 2113 カドミウム地金 

JIS Z 2611 金属材料の光電測光法による発光分光分析方法通則 

2. 一般事項 分析方法に共通な一般事項は,JIS Z 2611による。 

3. 定量範囲 定量範囲は,表1に示す。 

表1 定量範囲 

元素 

定量範囲 

wt% 

鉛 

0.000 5以上 0.010以下 

銅 

0.000 1以上 0.001以下 

亜鉛 

0.000 5以上 0.010以下 

鉄 

0.000 1以上 0.001以下 

4. 要旨 平面状又は棒状に成形調製した試料を電極とし,対電極に黒鉛又はタングステンを用いて,交

流高圧アーク,交流断続アーク又は直流高圧スパークを発生させ,発光スペクトルを分光器によって分光

し,定量元素のスペクトル強度を光電測光法によって測定する。 

5. 試料の調製 

5.1 

分析試料の調製 

5.1.1 

平面状試料の調製 平面状試料の調製は,次による。 

(1) 採取 原則として一溶湯ごとに必要量を採取し,図1に示すような鋳型に注入し(1),鋳造試料を採取

する。 

(2) 成形 切断・切削用機械を用いて,鋳造試料の底面を厚さ2〜3mm切断除去し,平面部の径20mm以

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H 1163-1991  

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上,厚さ5mm以上の平面状に成形する(2)。 

注(1) 鋳込みに際しては,乾燥した清浄な鋳型を用いる。 

(2) 鋳造試料は,切断・切削用機械とともにエタノールなどによって清浄にし,酸化させないよう

に成形する。 

図1 金属製鋳型の例(皿形) 

5.1.2 

棒状試料の調製 棒状試料の調製は,次による。 

(1) 採取 地金又は製品を抜き取り,平均組成が得られる部分を採取する。 

(2) 成形 切断・切削用機械を用いて,棒状(縦・横5mm以上,長さ50mm以上)に切り取る。 

5.2 

標準試料の調製 JIS Z 2611の6.2に準じて,分析試料の定量元素含有率を内挿する濃度範囲におい

て,定量元素の含有率が適当な間隔をもつように数個の試料を鋳造し,5.1に準じて調製する。 

この標準試料の定量元素含有率は,JIS H 1161に規定する方法によって求める。 

6. 装置及び器具 装置及び器具は,次による。 

(1) 発光分光分析装置 JIS Z 2611の3.による。 

(2) 対電極 径6〜8mmの黒鉛棒又はタングステン棒を用い,その先端を30〜160°の円すい状に成形して

用いる。 

(3) 試料採取・試料調製用用具及び機 JIS Z 2611の4.による。 

7. 操作 操作は,次の手順によって行う。 

(1) 5.で調製した試料と6.(2)の対電極とを電極支持台に保持する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(2) あらかじめ定めた発光条件で発光させる(3)。 

(3) JIS Z 2611の8.2に準じて分析線及び内標準線のスペクトル強度,又は分析線のスペクトル強度を測

定する(4)。 

注(3) 繰返し精度の良い発光条件を選定する発光条件の例を参考表1に示す。 

(4) 繰返し精度の良い分析線,内標準線を選定する分析線,内標準線の例を参考表2に示す。 

参考表1 発光条件の例 

項目 

例1 

例2 

分光器 
入口スリット幅 
出口スリット幅 

1.5 mパッシェンルンゲ形回折格子 

 50μm 
100μm 

1.0 mパッシェンルンゲ形回折格子 

30μm 
50μm 

測光法 

光電測光 

光電測光 

励起電源装置 
二次電圧 
二次電流 

交流高圧アーク法 

5kV 

0.8〜1.2A 

直流高圧スパーク法 

10kV 

対電極 

黒鉛 

タングステン 

分析間隙 

2mm 

5mm 

Arガス流量 

− 

5l/min 

予備放電時間 

10s 

10s 

積分時間 

20s 

15s 

参考表2 分析線及び内標準線の例 

元素 

分析線 

nm 

内標準線 

nm 

鉛 

PbⅠ 

405.78 

− 

銅 

CuⅠ 

324.75 

CuⅠ 

327.40 

− 

亜鉛 

ZnⅠ 

213.85 

ZnⅡ 

206.19 

− 

鉄 

FeⅠ 

302.06 

FeⅡ 

259.94 

− 

カドミウム 

− 

CdⅠ 

361.44 

CdⅠ 

298.06 

8. 検量線の作成 検量線の作成は,次のいずれかによる。 

(1) 5.2で調製した一系列の標準試料を用いて,試料と同じ操作を行い,分析線のスペクトル強度と内標準

線のスペクトル強度との比を求め,その比と標準試料中の定量元素含有率との関係線を作成して検量

線とする(5)。 

(2) 5.2で調製した一系列の標準試料を用いて,試料と同じ操作を行い,分析線のスペクトル強度と標準試

料中の定量元素含有率との関係線を作成して検量線とする(5)。 

注(5) 検量線は作成後変動することがあるので,一定時間間隔で,又は必要の都度検量線を更新する

か,一個又はそれ以上の標準試料を用いて装置を校正する必要がある。 

9. 計算計算は,次のいずれかによる。 

(1) 内標準線を用いる場合 7.(3)で得た分析線のスペクトル強度と内標準線のスペクトル強度との比を求

め,その比と8.(1)で作成した検量線とから,試料中の定量元素含有率を求める(6)。 

H 1163-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(2) 内標準線を用いない場合 7.(3)で得た分析線のスペクトル強度と8.(2)で作成した検量線とから,試料

中の定量元素含有率を求める(6)。 

注(6) 検量線による定量範囲は,使用した標準試料系列の定量元素含有率の範囲内でなければならな

い。 

JIS H 1163 原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

大河内 春 乃 

科学技術庁金属材料技術研究所 

(委員) 

松 田 憲 和 

資源エネルギー庁 

池 田   要 

工業技術院標準部 

崎 山 宣 義 

造幣局東京支局 

高 見   博 

古河電気工業株式会社 

外 岡 和 夫 

足尾製錬株式会社 

菅 原   弘 

SGS・ファー・イースト・リミテッド 

安 村 節 雄 

日本蓄電池工業会 

江 口 寿 英 

松下電池工業株式会社 

市 川 五 朗 

住友金属鉱山株式会社 

中 村   靖 

日本鉱業株式会社 

大 野   茂 

東邦亜鉛株式会社 

芹 田 吉 実 

同和鉱業株式会社 

稲 垣 勝 彦 

三井金属鉱業株式会社 

佐 山 恭 正 

三菱金属株式会社 

(関係者) 

近 藤   弘 

工業技術院標準部 

野 村 紘 一 

三菱金属株式会社 

澁 谷 敏 和 

住友金属鉱山株式会社 

田 山 健 一 

同和鉱業株式会社 

永 岡   信 

三井金属鉱業株式会社 

村 井 幸 男 

日本鉱業株式会社 

(事務局) 

岩 橋 康 夫 

日本鉱業協会