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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 0211-1992 

ドライプロセス表面処理用語 

Glossary of terms used in surface treatments by dry processing 

1. 適用範囲 この規格は,ドライプロセス表面処理に関する主な用語及び定義について規定する。 

2. 用語の分類 ドライプロセス表面処理用語は,次の9部門に分類する。 

(1) 基礎 

(2) 材料及び機能 

(3) 物理蒸着法 

(4) 化学蒸着法 

(5) 溶融成膜法 

(6) 表面改質法 

(7) 表面加工法 

(8) 設備及び工程 

(9) 試験及び検査 

3. 用語及び定義 用語及び定義は,次のとおりとする。 

なお,参考のために対応する英語を示す。 

備考 二つ以上の用語を並べてある場合は,その順位に従って使用する。 

(1) 基礎 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1001 

表面処理 

材料表面の状態を変えることによって,表面の性質を変えたり,新しい

機能を付加すること。 

surface treatment 

1002 

表面改質 

(広義) 表面処理(1001参照)に同じ。 

(狭義) 材料の表面自身を変化させ,新しい機能を付加すること。 

surface modification 

1003 

ドライプロセス 

材料表面を気相又は溶融状態を用いて処理すること。 

参考 水溶液又は非水溶液を用いて処理することをウエットプロセ

スという。 

dry process 

1004 

真空 

通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態。 

参考 真空の程度を表現するため,便宜上圧力の領域によって,次

のように区別する。 

低真空  102Pa以上 

中真空  102〜10−1Pa 

高真空  10−1〜10−5Pa 

超高真空 10−5〜10−10Pa 

極高真空 10−10Pa以下 

vacuum 

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H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1005 

圧力 

空間内のある点を含む仮想の微小平面を両側の方向から通過する分子に

よって,単位面積当たり,単位時間に輸送される運動量の面に垂直な成

分の総和。 

pressure 

1006 

分圧 

混合気体中の特定成分の圧力(1005参照)。 

partial pressure 

1007 

全圧 

混合気体中の全成分の分圧(1006参照)の総和。 

total pressure 

1008 

飽和蒸気圧 

その温度で凝縮相と熱力学的平衡に達している蒸気の示す圧力。 

saturation vapor pressure 

1009 

気体分子密度 

単位体積当たりの気体分子の数。 

number density of molecules 

1010 

平均自由行程 

気体の中を自由に動き回る粒子(分子,原子,電子,イオン,中性子な

ど)が同種又は異種の粒子と次々に衝突する場合,相続く衝突間に粒子

が飛行した距離の平均。 

mean free path 

1011 

衝突頻度 

気体の中を自由に動き回る粒子が単位時間に受ける衝突の平均回数。 

collision rate 

1012 

体積衝突頻度 

気体の中で起こる粒子間衝突の単位時間,単位体積当たりの平均回数。 

volume collision rate 

1013 

吸着 

気体の原子や分子が固体又は液体の表面にとどまっている現象。 

adsorption 

1014 

化学吸着 

表面に原子や分子が付着したとき,表面第一層の原子と付着した原子や

分子との間で電子の交換を行い,化学結合を形成する吸着(1013参照)。 

chemisorption 

1015 

物理吸着 

表面に原子や分子が付着したとき,表面第一層の原子と付着した原子や

分子との間に電子の授受がない,ファン・デル・ワールス力による吸着

(1013参照)。 

physisorption 

1016 

解離吸着 

付着する気体分子が解離した化学吸着(1014参照)。 

dissociative adsorption 

1017 

平均滞留時間 

気体の原子や分子が表面に吸着状態で束縛されている時間の平均。略し

て滞留時間ともいう。 

mean residence time 

1018 

脱離 

表面に吸着(1013参照)した気体の原子や分子又は内部から表面に拡散

してきた原子や分子が表面に滞在した後,空間に飛び出していくこと。 

desorption 

1019 

付着確率 

入射粒子に対する基板(2001参照)に凝縮する粒子の比。付着係数とも

いう。 

sticking probability 

1020 

入射速度 

表面の単位面積当たりに単位時間に入射する物質の量。 

impingement rate 

1021 

入射角 

気相から基板(2001参照)に入射する粒子の法線に対する角度。 

angle of incident, incident 

angle 

1022 

放電 

強い電界によって,気体などの絶縁体中を電流が流れる現象。 

参考 圧力(1005参照)と電流密度の大きさによってグロー放電

(1023参照),アーク放電(1024参照),コロナ放電(1025

参照)に分類され,使用する電波の周波数によって直流放電,

低周波放電,高周波放電,マイクロ波放電に分類される。 

また,磁界を加えることによって,マグネトロン放電(1026

参照),電子サイクロトロン共鳴放電(1027参照)などがあ

る。 

electric discharge 

1023 

グロー放電 

大気圧以下で得られる電離度(1033参照)の低い薄明るい放電(1022参

照)。 

glow discharge 

1024 

アーク放電 

大気圧以上又は真空中で得られる電離度(1033参照)の高い弧状の明る

い放電(1022参照)。 

arc discharge 

1025 

コロナ放電 

およそ10−6A以下の比較的小さい平均電流下で,導体の近傍に得られる

かすかな光を伴う放電(1022参照)。 

corona discharge 

1026 

マグネトロン放

電 

磁界と電界とが直交する,電極近傍に得られる放電(1022参照)。 

magnetron discharge 

1027 

電子サイクロト

ロン共鳴放電 

高周波又はマイクロ波プラズマ中の電子を磁界下で共鳴させて得られる

放電(1022参照)。ECR放電ともいう。 

electron cyclotron resonance 

discharge 

1028 

プラズマ 

総電荷量がゼロであるようなイオンや電子などの荷電粒子と,原子,分

子などの中性粒子からなる気体。 

plasma 

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H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1029 

平衡プラズマ, 

高温プラズマ, 

熱プラズマ 

イオン,電子,中性粒子の温度がほぼ等しいプラズマ(1028参照)。 

参考 プラズマ中の粒子の温度が104K程度の高温のため,高温プラ

ズマ又は熱プラズマという。 

equilibrium plasma, 

high-temperature plasma, 

thermal plasma 

1030 

非平衡プラズマ, 

低温プラズマ 

電子の温度がイオン及び中性粒子よりもはるかに高いプラズマ(1028参

照)。 

参考 密度の低い電子の温度が104 K程度に対し,密度の高いイオ

ン及び中性粒子の温度が数百K程度のため,低温プラズマと

いう。 

non-equilibrium plasma, 

low-temperature plasma, 

cold plasma 

1031 

電離, 

イオン化 

原子や分子を構成している電子に外部から電気,光などのエネルギーを

与え,原子や分子から電子を飛び出させること。 

参考 この結果,正イオンができる。 

ionization 

1032 

電離エネルギー, 

イオン化工ネル

ギー 

電離(1031参照)に必要とする最小のエネルギー。 

ionization energy 

1033 

電離度, 

イオン化率 

プラズマ中の電離の度合いを表す割合。 

中性粒子密度no,電子密度をneとしたとき,(

)

e

o

e

n

n

n

+

で示す。 

ionization degree 

1034 

再結合 

正イオンが電子と衝突して,中性粒子又は荷電数の低い正イオンになる

こと。 

参考 電離(1031参照)の逆過程。 

recombination 

1035 

イオン再結合 

正イオンが負イオンと衝突して,中性の原子や分子になること。 

ion recombination 

1036 

電子付着 

電子が中性の原子や分子に付いて負イオンを生じること。 

参考 正イオンと電子の場合の再結合(1034参照)とを区別して電

子付着と呼ぶ。 

electron attachment 

1037 

脱離 

負イオンから電子がとれ,中性の原子や分子に戻ること。 

参考 吸着(1013参照)の場合の脱離(1018参照)と同じ用語とな

っている。 

detachment 

1038 

電子親和力 

電子が原子や分子に結合するときに放出するエネルギー。脱離(1037参

照)に必要なエネルギーに等しい。 

electron affinity 

1039 

ガス温度, 

気体温度 

プラズマ(1028参照)中の気体(ガス)分子の平均的熱運動エネルギー

を表す尺度。 

参考 非平衡プラズマ(1030参照)内では,一般に電子温度(1040

参照)より低い。 

gas temperature 

1040 

電子温度 

プラズマ(1028参照)中の電子の平均的熱運動エネルギーを表す尺度。 

electron temperature 

1041 

イオン温度 

プラズマ(1028参照)中のイオンの平均的熱運動エネルギーを表す尺度。  ion temperature 

1042 

電子密度, 

プラズマ密度 

プラズマ(1028参照)中の単位体積当たりの電子の数。 

electron density, plasma 

density 

1043 

イオン密度 

プラズマ(1028参照)中の単位体積当たりのイオンの数。 

ion density 

1044 

シース 

プラズマ(1028参照)中に固体が存在するとき,その周囲に形成される

空間電荷層。 

sheath 

1045 

イオン源 

気相中にイオンを発生する装置。 

参考 イオンの発生方法によって, 

(1) 気体放電による電子衝突電離を利用する気体プラズマ形 
(2) 金属表面と原子の相互作用を利用した表面効果形に大別さ

れる。 

ion source 

気体プラズマ形イオン源は,放電(1022参照)によってプ
ラズマ(1028参照)を形成し,プラズマ界面からイオンを
引き出す方式が多く,代表的なものにデュオプラズマトロ
ン形イオン源,カウフマン形イオン源がある。表面効果形
イオン源としては,液体金属イオン源がある。 

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H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1046 

イオン電流 

イオンの移動による電流。 

ion current 

1047 

イオン電流密度 

単位面積当たりのイオン電流(1046参照)。 

ion current density 

1048 

ラジカル 

不対電子をもつ原子又は分子。 

radical 

1049 

クラスタ 

原子又は分子が数十個から1 000個程度凝集してできた小集合体。マイク

ロクラスタともいう。 

cluster 

1050 

クラスタイオン 

電荷をもったクラスタ(1049参照)。 

ionized cluster 

(2) 材料及び機能 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2001 

基板 

気体から凝縮によって薄膜(2020参照)が形成されるとき,凝縮を起こ

す場となる固体。 

substrate 

2002 

基板温度 

膜が形成される基板(2001参照)の表面温度。 

substrate temperature 

2003 

界面 

2相間の境界。 

interface 

2004 

表面粗さ 

固体表面のうねりを除いた凹凸の状態。 

surface roughness 

2005 

平面度 

平面形態の幾何学的に正しい平面からの狂いの大きさ。 

flatness 

2006 

清浄表面 

構成原子以外のものを含まない表面。 

clean surface 

2007 

表面構造 

表面における原子又は分子の並び方。 

surface structure 

2008 

結晶 

原子や分子が規則正しく配列してつくられている固体。 

crystal 

2009 

単結晶 

すべての部分が同一の結晶学的方位をもつ固体。 

single crystal 

2010 

多結晶 

方位が異なる単結晶(2009参照)が集合した固体。 

polycrystal 

2011 

結晶粒 

多結晶(2010参照)を構成する個々の結晶(2008参照)。 

crystal grain 

2012 

結晶粒界 

結晶(2008参照)と結晶との境界。 

grain boundary 

2013 

微結晶 

数nm以下の大きさの微細な結晶(2008参照)。 

micro crystalite 

2014 

非晶質, 

アモルファス 

原子の配列に長距離の規則性をもたず,決まった結晶形や構造をもたな

い非結晶状態。 

amorphous state 

2015 

再結晶 

ある温度以上に加熱した場合,新しい結晶核の発生及びその成長がみら

れる現象。 

recrystallization 

2016 

格子面 

同一直線上にない三つ以上の格子点を含む平面。結晶面ともいう。 

参考 ミラー指数によって表示する。 

lattice plane 

2017 

面方位 

格子面(2016参照)の方位。 

参考 ミラー指数によって表示する。 

plane direction 

2018 

等方性 

材料の性質が,測定する方向によらず一様なこと。 

isotropy 

2019 

異方性 

材料の性質が,測定する方向によって異なること。 

anisotropy 

2020 

薄膜 

およそ数μmまでの厚さの膜。 

thin film 

2021 

厚膜 

およそ数μm以上の厚さの膜。 

thick film 

2022 

連続薄膜 

基板(2001参照)を完全に覆った薄膜(2020参照)。 

continuous thin film 

2023 

不連続薄膜 

基板(2001参照)を完全に覆っていない薄膜(2020参照)。 

discontinuous thin film 

2024 

単層膜 

同一成分の膜。 

single layer film 

2025 

多層膜 

2種類以上の単層膜(2024参照)を積層した膜。積層膜,累積膜ともい

う。 

multilayer film 

2026 

表面拡散 

表面原子又は表面付着原子がエネルギー的に,より安定な場所に表面に

沿って移動する現象。表面移動ともいう。 

surface diffusion 

2027 

核 

過冷却相や過飽和相の中から主として結晶化又は相析出に際して形成さ

れる,原子又は分子の小さい集合体。 

nucleus 

2028 

臨界核 

核(2027参照)が生成しても小さすぎて,ある臨界半径以下では,核が

成長しないか又は消滅するが,ある臨界半径以上になると核が成長する

ことができる。その臨界半径の核のこと。 

critical nucleus 

2029 

核生成 

過冷却相や過飽和相から,核(2027参照)が形成されること。 

参考 核生成には,均一核生成及び不均一核生成がある。 

nucleation 

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H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2030 

核成長 

生成した核(2027参照)のうち,臨界半径以上の大きさになった核が成

長すること。 

参考 核成長には,二次元核成長及び三次元核成長がある。 

nucleus growth 

2031 

合体 

核生成(2029参照)によって形成された核(2027参照)が,成長する段

階で核どうし一体となること。 

coalescence 

2032 

薄膜成長 

初期の連続薄膜(2022参照)が形成され,より厚い膜になる過程。 

参考 薄膜(2020参照)の成長様式は,次の三つに分類できる 

(1) 薄膜成長の初期に核(2027参照)が形成され,三次元的な島

状構造(2039参照)が起こる場合 

[フォルマー−ウエバー形(Volmer−Weber形)] 

(2) 成長の初期段階から層状成長が起こる場合 

[フランク−ファンデルメルヴェ形(Frank-van der Merwe

形)] 

(3) 最初の何層かが層状成長をし,その上に核生成(2029参照)

が起こる場合 

[ストランスキー−クラスタノフ形(Stranski−Krastanov

形)] 

growth of thin film 

2033 

被覆率 

材料表面に他の物質を被覆するとき,その被覆物質が覆う面積の全表面

積に対する割合。被覆度ともいう。 

coverage 

2034 

シャドーイング 

集積回路など複雑な表面の形態を示す基板(2001参照)において,突起

の影の部分などに原子が入り込めず,被覆が困難になる現象。 

shadowing 

2035 

ステップカバレ

ージ 

基板表面で階段状に形態が変化しているところで,階段の側面まで薄膜

を付けること。 

step coverage 

2036 

回り込み 

空間に存在する気体による散乱によって,基板(2001参照)の光学的に

影に当たる部分[蒸発源(3012参照)に対し基板の裏面,階段の側面な

ど]にも膜が付着すること。 

throwing power 

2037 

成膜速度 

形成される膜の単位時間当たりの厚さの増加する割合。堆積速度ともい

う。 

deposition rate 

2038 

モルフォロジ, 

モフォロジ 

形成された膜の表面や断面の形態。 

morphology 

2039 

島状構造 

核(2027参照)が成長して,島とよばれる原子の集合体となり,この島

が不連続に多数分布した薄膜(2020参照)の構造。 

island structure 

2040 

網目状構造 

島と島とが合体して,島がつながった状態の薄膜(2020参照)。 

参考 島状構造(2039参照)から連続薄膜(2022参照)への移行段

階。 

network structure 

2041 

柱状構造 

基板(2001参照)に対し,柱状の結晶(2008参照)が成長した薄膜(2020

参照)の構造。 

columnar structure 

2042 

繊維構造 

結晶(2008参照)が一つの結晶方位に配向した薄膜(2020参照)の構造。  fiber structure 

2043 

層状構造 

異種又は同種の原子又は分子が層状になって積み重なった薄膜(2020参

照)の構造。 

layer structure 

2044 

格子欠陥 

規則正しく配列した結晶格子の規則性の乱れ。 

参考 その形状から,点欠陥(空孔,格子間原子など),線欠陥(転

位),面欠陥(積層欠陥など)などに分類される。 

lattice defect 

2045 

格子不整 

原子配列の異なる原子層界面における格子配列の不一致。 

lattice misfit 

2046 

緩衝層 

積層している各層の層間の不整合を緩和するため,層間に挿入する層。 

buffer layer 

2047 

ボイド 

空孔の集合による球状又は多面体の空洞。 

void 

2048 

ピンホール 

薄膜(2020参照)に存在する微小な穴状の欠陥。 

pinhole 

2049 

多孔率 

薄膜(2020参照)の全容積のなかで細孔の占める容積の割合。多孔度又

は気孔率ともいう。 

porosity 

2050 

化学量論組成 

分子式で示されるような化合物の組成。 

stoichiometry 

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H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2051 

組成こう(勾)

配 

膜中の組成が連続的に変化すること。 

composition gradient 

2052 

傾斜機能 

膜の組成を連続的に変化させ,新しい膜の機能を付与すること。 

gradient function 

2053 

配向性 

多結晶体中の結晶粒の結晶方位が統計的にある定まった方位を示す度合

い。 

orientation 

2054 

優先配向 

多結晶体中の結晶粒が統計的にある定まった方向を示すこと。 

preferred orientation 

2055 

サイズ効果 

材料の性質が寸法によって異なること。 

size effect 

2056 

エピタキシ 

薄膜(2020参照)が結晶基板に対してある結晶学的な方位関係をもつこ

と。 

epitaxy 

2057 

エピタキシャル

成長 

単結晶基板上に,それと規則正しい結晶配位関係にある単結晶薄膜が成

長すること。 

参考 過飽和溶液からの固相析出を利用する液相エピタキシャル成

長と,気相からの固相析出を利用する気相エピタキシャル成

長とがある。 

epitaxial growth 

2058 

エピタキシャル

温度 

エピタキシャル成長(2057参照)の生じる基板(2001参照)の最低温度。  epitaxial temperature 

2059 

ホモエピタキシ

ャル成長 

単結晶基板上に,それと同種物質の単結晶薄膜がエピタキシャル成長

(2057参照)すること。 

homoepitaxial growth 

2060 

ヘテロエピタキ

シャル成長 

単結晶基板上に,それと異なる物質の単結晶薄膜がエピタキシャル成長

(2057参照)すること。 

heteroepitaxial growth 

2061 

グラフォエピタ

キシャル成長 

基板(2001参照)がある幾何学的規則性を有するとき,その表面に単結

晶(2009参照)の薄膜(2020参照)が形成すること。 

graphoepitaxial growth 

2062 

超格子 

結晶内で格子状に並んでいる原子の周期を超える長周期をもつ結晶格

子。 

superlattice 

2063 

ひずみ超格子 

格子定数が一致しない物質の組合せで,格子定数の不整が緩和されるこ

となく,格子のひずみによって保持されている超格子(2062参照)。 

strained-layer superlattice 

2064 

量子井戸構造 

電子親和力(1038参照)の大きい物質を小さい物質で挟んだとき,伝導

帯の底は箱形の井戸のようになり,電子は井戸の底に閉じ込められる。 

井戸の厚さが電子の波長より小さくなり,電子エネルギーが量子化され

た構造。 

quantum well structure 

2065 

量子井戸細線 

物質の2方向の寸法が電子の波長より小さい細線状の構造で,二次元の

量子井戸構造(2064参照)が形成されたもの。量子細線ともいう。 

quantum well wire 

2066 

量子井戸箱 

物質の3方向の寸法が電子の波長より小さい箱形の構造で,三次元の量

子井戸構造(2064参照)が形成されたもの。量子箱ともいう。 

quantum well box 

2067 

量子サイズ効果 

物質の寸法が電子の波長と同程度になったとき,量子化によって種々の

物性が現れるサイズ効果(2055参照)。 

quantum size effect 

2068 

二次元電子ガス 

一次元の量子井戸構造(2064参照)で,電子は界面に垂直な方向では井

戸層内に閉じ込められ,エネルギーが量子化されるが,界面に平行な方

向では自由であるような電子。 

参考 正孔に対しても存在し,この場合,二次元正孔ガスという。 

two dimensional electron gas 

2069 

ミニバンド 

超格子(2062参照)の作る量子井戸構造(2064参照)において,障壁層

の厚さが薄くなると,量子井戸内に閉じ込められていた電子は障壁層を

トンネル効果によって通過し,超格子全体に広がり形成されたエネルギ

ーバンド。サブバンドともいう。 

mini-band 

2070 

ゾーンの折返し 

超格子(2062参照)において電子構造におけるブリリアンゾーンが超周

期構造によって折り返されること。 

zone folding 

2071 

表面機械的機能 

表面の示す機械的な機能。 

参考 耐熱摩耗性,耐摩擦摩耗性,接着性,潤滑性などがある。 

surface mechanical functions 

2072 

表面熱的機能 

表面の示す熱的な機能。 

参考 耐熱性,断熱性,熱伝導性などがある。 

surface thermal functions 

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H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2073 

表面電磁気的機

能 

表面の示す電磁気的な機能。 

参考 導電性,超伝導性,半導体性,絶縁性,磁性などがある。 

surface electric and magnetic 

functions 

2074 

表面光学的機能 

表面の示す光学的な機能。 

参考 色調,光沢,発光性,耐光性,反射・吸収性,光磁気特性,

光記録特性,液晶配向性などがある。 

surface optical functions 

2075 

表面化学的機能 

表面の示す化学的な機能。 

参考 耐食性,触媒活性,センサ機能などがある。 

surface chemical functions 

(3) 物理蒸着法 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3001 

蒸着 

物質を気相状態とし,吸着(1013参照),凝集,成長によって基板(2001

参照)上に固体の膜を形成すること。 

参考 便宜上,物理蒸着(3002参照)と化学蒸着(4001参照)とに

分類している。 

vapor deposition 

3002 

物理蒸着 

高温加熱,スパッタリング(3047参照)などの物理的方法で物質を蒸発

(3011参照)し,基板(2001参照)に凝縮させ,薄膜(2020参照)を形

成すること。物理気相成長ともいう。略称 PVD。 

参考 真空蒸着(3003参照),イオンプレーティング(3036参照),

スパッタリングなどの総称。 

physical vapor deposition 

3003 

真空蒸着 

真空中で物質を加熱蒸発し,基板(2001参照)に凝縮させ,薄膜(2020

参照)を形成すること。 

参考 真空蒸着を略して蒸着ということが多い。 

vacuum evaporation, 

evaporation 

3004 

反応性蒸着 

活性ガス雰囲気中で蒸発材料(3021参照)を蒸発(3011参照)させ,両

者を反応させることによって化合物薄膜を基板上に作製すること。化成

蒸着ともいう。 

reactive deposition, reactive 

evaporation 

3005 

斜め蒸着 

蒸発した原子や分子を表面に対し直角以外の角度で入射させ蒸着(3001

参照)を行うこと。 

oblique deposition 

3006 

同時蒸着 

2個以上の蒸発源(3012参照)から同一基板表面に同時に蒸発した原子

や分子を入射させ蒸着(3001参照)を行うこと。 

co-evaporation, multi-source 

evaporation 

3007 

交互蒸着 

2個の蒸発源(3012参照)を用いて交互に蒸着(3001参照)を行い,多

層膜(2025参照)を作ること。 

alternating deposition 

3008 

順次蒸着 

2個以上の蒸着源(3012参照)から順次に蒸着(3001参照)を行い、多

層膜(2025参照)を作ること。 

sequent deposition 

3009 

低温蒸着 

基板(2001参照)を低温に保って蒸着(3001参照)を行うこと。 

low-temperature deposition 

3010 

極低温蒸着 

液体窒素など極低温流体で基板(2001参照)を冷却して蒸着(3001参照)

を行うこと。 

very low temperature 

deposition 

3011 

蒸発 

液体又は固体の表面からその一部が気体(蒸気)となって出て行く現象。

気化ともいう。 

また,固体の場合,昇華ともいう。 

参考 気相の組成が蒸発材料(3021参照)の組成と一致している調

和蒸発と異なる非調和蒸発とがある。 

evaporation 

3012 

蒸発源 

物質に熱エネルギーを与えて,蒸発(3011参照)させるための機構。蒸

着源ともいう。 

evaporation source 

3013 

点蒸発源 

蒸着距離に比べて十分小さい球状の蒸発源(3012参照)。 

point evaporation source 

3014 

微小平面蒸発源 

蒸着距離に比べて十分小さい蒸発平面をもつ蒸発源(3012参照)。 

参考 蒸発材料(3021参照)の方向分布は,クヌーセン (Knudsen) の

余弦法則に従う。 

small area evaporation 

source 

3015 

リング蒸発源 

点蒸発源(3013参照)又は微小平面蒸発源(3014参照)を多数個,リン

グ状に配置した蒸発源(3012参照)。 

ring evaporation source 

background image

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3016 

自由蒸発源 

蒸発面から蒸発(3011参照)した蒸気が散乱せず直進できるような構造

の蒸発源(3012参照)。 

参考 蒸発容器の上面まで蒸発材料(3021参照)が満たされている

場合である。 

free evaporation source 

3017 

ノズル蒸発源 

容器形蒸発源の噴出孔にノズルを設け,蒸発材料(3021参照)の蒸気を

ノズルから噴出させる構造の蒸発源(3012参照)。 

nozzle evaporation source 

3018 

放射加熱蒸発源 

容器に入れられた蒸発材料(3021参照)を熱放射によって加熱し蒸発

(3011参照)させる蒸発源(3012参照)。 

radiant heating evaporation 

source 

3019 

クヌーセンセル 

蒸発材料(3021参照)が入った小さな孔のある密閉容器を加熱し,その

孔から分子流の状態として噴出させる蒸発源(3012参照)。 

Knudsen cell 

3020 

るつぼ形蒸発源 

蒸発容器(るつぼ)の上面が開放された構造の蒸発源(3012参照)。 

参考 自由蒸発源(3016参照)に比較すると,容器壁に衝突する蒸

発分子が存在し,散乱する。 

crucible-type evaporation 

source 

3021 

蒸発材料 

蒸発(3011参照)に用いる原材料。 

evaporation material 

3022 

蒸発速度 

表面から単位面積,単位時間当たり蒸発(3011参照)する物質の量。 

evaporation rate 

3023 

加熱法 

蒸発材料(3021参照)を加熱し,蒸発(3011参照)させる方法。 

heating method 

3024 

抵抗加熱法 

蒸発材料(3021参照)を通電加熱し,蒸発(3011参照)させる方法。 

resistive heating, resistance 

heating 

3025 

電子ビーム加熱

法 

水冷銅るつぼ又は耐火物製るつぼに装てん(填)した蒸発材料(3021参

照)の表面に電子ビームを照射して加熱,蒸発(3011参照)させる方法。 

参考1. 

電子ビームの発生部を電子銃(EBガン)という。 

2. 蒸発材料を保持するるつぼをハースともいう。 

electron-beam heating 

3026 

高周波誘導加熱

法 

蒸発材料(3021参照)を高周波誘導加熱を利用して蒸発(3011参照)さ

せる方法。 

induction heating 

3027 

アーク放電加熱

法 

アーク放電(1024参照)を利用して蒸発材料(3021参照)を加熱し,蒸

発(3011参照)させる方法。 

arc heating 

3028 

レーザ加熱法 

レーザ光を収束して蒸発材料(3021参照)に照射し,瞬時に沸点以上に

加熱して蒸発(3011参照)させる方法。 

laser heating 

3029 

フラッシュ蒸発 

蒸発材料(3021参照)を粒状又は粉状化し,高温蒸発源の中に少量ずつ

落下させ,蒸発源(3012参照)上で瞬間的に蒸発(3011参照)させるこ

と。 

flash evaporation method 

3030 

イオンアシスト

蒸着 

真空容器内に蒸発源(3012参照)とイオン源(1045参照)とを設置し,

イオンを補助的に利用して成膜すること。 

ion assisted deposition 

3031 

イオンビーム蒸

着 

イオンを物質輸送の手段として用い,薄膜(2020参照)を形成すること。  ion beam deposition 

3032 

蒸着重合 

モノマーを蒸発材料(3021参照)とし,基板(2001参照)上で重合反応

を行わせ,高分子薄膜を形成すること。 

vapor deposition 

polymerization 

3033 

分子線蒸着 

蒸発材料(3021参照)の供給源として方向のほぼそろった分子の流れ(す

なわち,分子線)を用いて薄膜(2020参照)を形成させること。 

molecular beam deposition 

3034 

分子線エピタキ

シ 

分子線蒸着(3033参照)によって,エピタキシャル薄膜を形成すること。 

略称 MBE。 

molecular beam epitaxy 

3035 

レーザアブレー

ション 

レーザの高密度な光子を利用し,蒸発材料表面の化学結合を切り,蒸発

(3011参照)させ,薄膜(2020参照)を形成すること。 

laser ablation 

3036 

イオンプレーテ

ィング 

電界を印加して発生したプラズマ(1028参照)を利用し,蒸発原子をイ

オン化(1031参照)又は励起させ,基板(2001参照)上に薄膜(2020参

照)を形成すること。 

ion plating 

3037 

反応性イオンプ

レーティング 

イオンプレーティング(3036参照)を行う真空槽(8015参照)内に反応

ガスを導入することによって,蒸発粒子との化合物膜を形成させること。 

reactive ion plating 

background image

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3038 

活性化反応性蒸

着 

(広義) 

反応性イオンプレーティング(3037参照)に同じ。 

activated reactive 

evaporation 

(狭義) 

電子ビーム蒸発源と基板(2001参照)との間に設置した補

助電極に,正の電位を印加して放電(1022参照)を生じさ

せ,蒸発粒子と反応ガスをイオン化(1031参照)して化合

物膜を形成させる蒸着法。 

略称 ARE。 

3039 

直流イオンプレ

ーティング 

不活性ガス雰囲気で,接地した蒸発源(3012参照)に対し負の高電位を

基板(2001参照)に印加して直流グロー放電を生じさせ,同時に蒸発材

料(3021参照)を蒸発(3011参照)させて行うイオンプレーティング(3036

参照)。 

DC ion plating 

3040 

高周波イオンプ

レーティング 

蒸発空間に高周波コイルを設置し,それによる放電(1022参照)を利用

して蒸発粒子をイオン化(1031参照)して行うイオンプレーティング

(3036参照)。 

RF ion plating 

3041 

マイクロ波イオ

ンプレーティン

グ 

マイクロ波放電によってプラズマ(1028参照)を生じさせ,それによっ

て蒸発粒子をイオン化(1031参照)して行うイオンプレーティング(3036

参照)。 

microwave ion plating 

3042 

バイアスプロー

ブイオンプレー

ティング 

蒸発源(3012参照)と基板(2001参照)との間に設置した補助電極にバ

イアス電位を印加することによって放電(1022参照)を生じさせ,それ

によって蒸発粒子をイオン化(1031参照)して行うイオンプレーティン

グ(3036参照)。 

参考 狭義には,狭義の活性化反応性蒸着(3038参照)と同じ。 

広義には,高周波イオンプレーティング(3040参照),アー

ク放電イオンプレーティング(3044参照)もこれに入る。 

bias probe ion plating 

3043 

熱電子活性化イ

オンプレーティ

ング 

接地した蒸発源(3012参照)に対して負電位である蒸発源付近の熱電子

放射電極からの熱電子によって放電を生じさせ,それによって蒸発粒子

をイオン化(1031参照)して行うイオンプレーティング(3036参照)。3

極イオンプレーティングともいう。 

thermoelectron assisted ion 

plating 

3044 

アーク放電イオ

ンプレーティン

グ 

アーク放電(1024参照)を利用したイオンプレーティング(3036参照)。 

参考 アーク放電イオンプレーティングには,2種類の方法がある。 

(1) アーク放電プラズマ源から大電流電子ビームを蒸発源(3012

参照)に引き込むことによって蒸発材料(3021参照)を蒸発

(3011参照)させると同時にイオン化(1031参照)する方法。 

(2) 蒸発させるべき材料を陰極とし,真空槽(8015参照)を陽極

として,この間に直流電圧を印加してアーク放電を生じさせ

て蒸発材料のプラズマ(1028参照)を発生させる方法。 

arc discharge ion plating 

3045 

ホローカソード

イオンプレーテ

ィング 

ホローカソード(中空陰極)放電電子銃から低電圧大電流の電子ビーム

を蒸発源(3012参照)に引き込むことによって,蒸発材料(3021参照)

を蒸発(3011参照)させると同時にイオン化(1031参照)を行うイオン

プレーティング(3036参照)。 

略称 HCD。 

hollow cathode discharge ion 

plating 

3046 

クラスタイオン

ビーム蒸着 

蒸発材料(3021参照)のクラスタ(1049参照)を細孔をもったるつぼか

ら噴射させ,噴射口のすぐ上に設けられたフィラメントからの放出電子

によってイオン化(1031参照)してクラスタイオンビームとし,負電位

を印加した基板(2001参照)に入射させるイオンプレーティング(3036

参照)。 

ionized cluster beam 

evaporation 

3047 

スパッタリング 

加速された粒子が固体表面に衝突したとき,運動量の交換によって固体

を構成する原子が空間へ放出される現象及びこの現象を用いた成膜法。 

略称 スパッタ。 

sputtering 

3048 

選択スパッタリ

ング 

複数の元素からなる合金又は化合物のターゲット(3059参照)において,

ある構成元素が選択的にスパッタリング(3047参照)されること。 

selective sputtering 

background image

10 

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3049 

反応性スパッタ

リング 

化学的に活性なガスを用いることによって,ターゲット材料とガスとを

反応させ,化合物膜を得るスパッタリング(3047参照)。活性スパッタリ

ング,化成スパッタリングともいう。 

reactive sputtering 

3050 

化学スパッタリ

ング 

プラズマ(1028参照)中のイオンやラジカルと固体表面の反応によって

揮発性の高い分子が生成され,この分子が固体表面から離脱する現象。 

参考 成膜よりエッチング(7016参照)として使用される。 

chemical sputtering 

3051 

スパッタガス 

スパッタリング(3047参照)用の加速粒子を作製するためのガス。 

sputtering gas 

3052 

スパッタ粒子 

スパッタリング(3047参照)によって固体表面から放出された粒子。 

sputtered particles 

3053 

ノックオン原子 

高速粒子が固体表面の構成原子と衝突し,これを正規の格子位置から弾

き飛ばすとき,弾き飛ばされた原子のうちその固体の内方向に向かう原

子。 

参考 次々にノックオン原子が生成されることをノックオン原子の

カスケードという。 

knock-on atom 

3054 

反跳原子 

高速粒子が固体表面の構成原子と衝突するとき,正規の格子位置から弾

き飛ばされた原子の総称。 

recoil atom 

3055 

スパッタ率 

1個の高速粒子が固体表面に衝突したとき,放出された粒子の個数。 

sputtering yield 

3056 

しきいエネルギ

ー 

スパッタリング(3047参照)を起こし得る入射粒子の最低エネルギー。 

threshold energy 

3057 

スパッタ成膜速

度 

単位時間にスパッタ粒子(3052参照)が基板(2001参照)にたい(堆)

積していく量。 

sputter deposition rate 

3058 

スパッタエッチ

ング速度 

単位時間にスパッタ(3047参照)される材料が蒸発(3011参照)してい

く量。 

sputter etching rate 

3059 

ターゲット 

スパッタリング(3047参照)現象を利用して成膜を行う場合,加速粒子

が衝突し標的となる固体原料。 

target 

3060 

複合ターゲット 

合金及び化合物成膜用のターゲット(3059参照)として,各成分元素の

成分比及びスパッタ率(3055参照)を考慮しながら,成分材料を配置し

たターゲット。 

multi-component target 

3061 

粉末ターゲット 

ターゲット(3059参照)として,材料加工及び焼結が困難な場合に,そ

の粉末原料を受け皿に入れターゲットとしたもの。 

powder target 

3062 

マルチターゲッ

ト 

同一の真空槽(8015参照)に複数の各種材料ターゲット(3059参照)を

配置する方式。 

multiple targets, multi-target 

3063 

回転ターゲット 

同一の真空槽(8015参照)に配置した複数の各種材料ターゲット(3059

参照)が回転できる方式。 

rotary targets 

3064 

バッキングプレ

ート 

ターゲット(3059参照)の支持板。 

backing plate 

3065 

バイアス電圧 

信号電圧に加える他の直流又は交流電圧。 

参考 成膜では,基板(2001参照)又はターゲット(3059参照)に

印加する電圧。 

bias voltage 

3066 

セルフバイアス,

自己バイアス 

外部から直接印加せずにターゲット(3059参照)自身の条件によって発

生する電圧変動。 

self-bias 

3067 

同時スパッタリ

ング 

一つの基板(2001参照)に対し,複数のターゲット(3059参照)から同

時に成膜を行うこと。 

co-sputtering 

3068 

多元スパッタリ

ング 

一つの基板(2001参照)に対し,多元のターゲット(3059参照)を使用

して成膜すること。 

multi-target sputtering 

3069 

プレスパッタリ

ング 

スパッタ成膜を行う前に,基板(2001参照)をシャッタなどで覆い,あ

らかじめスパッタリング(3047参照)すること。 

pre-sputtering 

3070 

直流スパッタリ

ング 

直流放電を用いたスパッタリング(3047参照)。 

DC sputtering 

3071 

交流スパッタリ

ング 

交流放電を用いたスパッタリング(3047参照)。 

AC sputtering 

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11 

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3072 

高周波スパッタ

リング 

高周波放電とそれによって励起される電極上の負のセルフバイアス

(3066参照)を利用したスパッタリング(3047参照)。 

RF sputtering 

3073 

3極スパッタリ

ング 

直流スパッタリング(3070参照)において,プラズマ(1028参照)発生

の補助機構として熱陰極を利用し,プラズマ発生とターゲット電位の制

御範囲を広くしたスパッタリング(3047参照)。 

triode sputtering 

3074 

4極スパッタリ

ング 

3極スパッタリング(3073参照)の熱陰極に補助陽極を設け,可変制御

範囲を広くしたスパッタリング(3047参照)。 

tetrode sputtering 

3075 

マグネトロンス

パッタリング 

磁界と電界とを直交するように配置し,ターゲット(3059参照)近くで

の加速電子による電離効率を上げ,成膜速度を高めたスパッタリング

(3047参照)。 

magnetron sputtering 

3076 

対向ターゲット

形スパッタリン

グ 

二つの同じ形状の陰極をその面が平行,かつ対向になるように配置し,

陰極面に垂直の方向に磁界を設けることによって電子の電離劾率を上

げ,成膜速度を高めたスパッタリング(3047参照)。 

facing target sputtering 

3077 

非対称交流スパ

ッタリング 

ターゲット(3059参照)と基板ホルダに交流電圧を印加し,かつ,基板

側へのイオン衝撃を弱くするように,電気回路を調整したスパッタリン

グ(3047参照)。 

参考 イオン衝撃が断続的に行われる点を除けば,バイアススパッ

タリング(3078参照)と同じである。 

asymetric 

 AC sputtering 

3078 

バイアススパッ

タリング 

基板側に制御した電位を与えて,基板(2001参照)へのイオン衝撃など

を制御しながら行うスパッタリング(3047参照)。 

bias sputtering 

3079 

ゲッタスパッタ

リング 

活性金属のスパッタ膜の反応性を利用して,使用するスパッタガス(3051

参照)の純化を行い,得られる高純度スパッタガスによって行うスパッ

タリング(3047参照)。 

gettering sputtering 

3080 

ECRスパッタリ

ング 

マイクロ波と磁界を印加して,電子サイクロトロン共鳴 (ECR) 放電

(1027参照)を発生させ,プラズマとターゲット電位とを独立に制御し

て行うスパッタリング(3047参照)。 

ECR sputtering 

3081 

イオンビームス

パッタリング 

イオン源(1045参照)によって生成したイオンビームをターゲット(3059

参照)に照射して行うスパッタリング(3047参照)。 

参考 イオンビーム源が二つある場合をデュアルイオンビームスパ

ッタリングといい,一つのイオン源は基板(2001参照)に照

射されることもある。 

ion beam sputtering 

3082 

スパッタガン 

スパッタ粒子(3052参照)を所定の方向に向けて放出するスパッタ源。 

sputter-gun 

(4) 化学蒸着法 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

4001 

化学蒸着 

気相学反応によって,基板(2001参照)上に膜を形成させること。化学

気相成長ともいう。 

略称 CVD 

chemical vapor deposition 

4002 

化学反応 

1種又は2種以上の物質がその構成元素の組替えを行い,新しい物質を作

り出す変化。 

参考 化学蒸着(4001参照)では,熱分解反応,酸化反応,還元反

応,不均化反応,加水分解反応などが用いられる。 

chemical reaction 

4003 

表面反応 

表面で起こる化学反応(4002参照)。 

surface reaction 

4004 

気相反応 

気相中で起こる化学反応(4002参照)。 

gan phase reaction 

4005 

励起反応 

励起を伴う化学反応(4002参照)。 

excited state reaction 

4006 

素過程 

化学反応式で表される反応の要素となる反応過程。素反応ともいう。 

elementary reaction 

4007 

律速過程 

幾つかの素過程(4006参照)からなる化学反応(4002参照)で,反応速

度を支配する素過程。 

rate-determining step 

4008 

活性化エネルギ

ー 

化学反応(4002参照)を起こさせるのに必要な最小のエネルギー。 

activation energy 

background image

12 

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

4009 

活性種 

光,熱などのエネルギーを吸収して,エネルギーの高い状態に励起され,

化学反応(4002参照)を起こしやすい状態になっている原子や分子。 

activated species 

4010 

前駆体 

化学反応(4002参照)において,生成物のすぐ前段階に存在して,生成

物と構造上密接な関係がある物質。 

precursor 

4011 

原料ガス 

膜形成時に使用される膜成分を含むガス。反応ガスともいう。 

source gas 

4012 

キャリヤガス 

膜形成材料の原料ガス(4011参照)をリアクタ(4013参照)に輸送する

ためのガス。 

carrier gas 

4013 

リアクタ 

化学蒸着(4001参照)のための反応室。 

参考 リアクタの構造には,垂直形,水平形,それらの混合形であ

る円筒形などがある。 

reactor 

4014 

コールドウォー

ル法 

リアクタ(4013参照)壁面を加熱しないで,基板(2001参照)だけを加

熱する方法。 

cold wall method 

4015 

ホットウォール

法 

リアクタ(4013参照)壁面を加熱して,基板(2001参照)を加熱する方

法。 

参考 ホットウォールエピタキシャル法では,加熱した反応管をホ

ットウォールといい,蒸気を均一温度に保つことと輸送管の

役目をする。 

hot wall method 

4016 

サセプタ 

基板(2001参照)の支持具。 

susceptor 

4017 

常圧CVD 

大気圧雰囲気中でのCVD(4001参照)。大気圧CVDともいう。 

略称 APCVD。 

atmospheric pressure CVD 

4018 

減圧CVD 

大気圧より低い減圧雰囲気中でのCVD(4001参照)。低圧CVDともいう。 

略称 LPCVD。 

low pressure CVD 

4019 

熱CVD 

熱エネルギーで化学反応(4002参照)を行わせるCVD(4001参照)。 

thermal CVD 

4020 

熱フィラメント

CVD 

高温に加熱したフィラメントより放出される熱電子で反応ガス(4011参

照)を励起し,化学反応(4002参照)を起こさせるCVD(4001参照)。 

hot-filament CVD 

4021 

プラズマCVD 

反応ガス(4011参照)をプラズマ(1028参照)状態にし,活性なラジカ

ルやイオンの生成のもとで化学反応を行わせるCVD(4001参照)。 

参考 熱プラズマCVD,直流プラズマCVD,高周波プラズマCVD,

マイクロ波プラズマCVD,電子サイクロトロン共鳴プラズマ

CVD,燃焼炎CVDなどがある。 

plasma CVD 

4022 

光CVD 

光のエネルギーによって反応ガス(4011参照)を励起又は分解し,反応

を促進させて行うCVD(4001参照)。 

参考 使用する光源には,ランプとレーザとがある 

photo-assisted CVD 

4023 

ランプCVD 

反応ガス(4011参照)の励起エネルギーとしてランプ光を用いるCVD

(4001参照)。 

参考 ランプ光源の波長域には,近赤外域,紫外域,真空紫外域が

ある。 

lamp CVD 

4024 

レーザCVD 

反応ガス(4011参照)の励起エネルギーとしてレーザを用いるCVD(4001

参照)。 

参考 レーザの波長によって紫外線レーザCVDと赤外線レーザ

CVDとに分類する。 

laser CVD 

4025 

原子層エピタキ

シ 

原子層又は分子層を1層ずつ制御してエピタキシャル成長(2057参照)

をさせるCVD(4001参照)。 

atomic layer epitaxy 

4026 

ハライドCVD 

塩化物(ハライド)を原料ガスとするCVD(4001参照)。 

halide CVD 

4027 

MOCVD 

有機金属化合物を原料ガス(4011参照)とするCVD(4001参照)。有機

金属気相成長ともいう。 

metalorganic CVD 

4028 

CVI 

成膜中,間欠的に減圧することによって多孔質基板の空孔に反応ガス

(4011参照)を導入し,多孔質内部にも被覆又は充てんするCVD(4001

参照)。 

chemical vapor impregnation 

background image

13 

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

4029 

プラズマ重合 

プラズマ(1028参照)中でモノマの反応ガス(4011参照)を重合させ,

高分子の薄膜を形成すること。 

plasma polymerization 

4030 

プラズマ開始重

合 

重合開始時にプラズマ(1028参照)を利用し,高分子の薄膜を形成する

こと。 

参考 主な重合反応は,液体又は固体モノマー中で進行する。 

plasma-initiated 

polymerization 

4031 

化学輸送法 

高温部に置いた固体物質を化学反応(4002参照)によって気体にし,こ

の物質を低温部にて新たな化学反応によって元の固体として析出させる

方法。 

chemical transport method 

4032 

スプレー法 

高温の基板表面に反応物質を吹きつけ,膜を形成するCVD(4001参照)。  spray method 

(5) 溶融成膜法 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

5001 

溶融成膜 

材料の溶融状態を利用して膜を形成すること。 

film formation using melting 

state 

5002 

液相エピタキシ 

成長温度で液体になる溶媒中に溶質を飽和状態まで溶解させ,その溶液

に基板(2001参照)を接触させて冷却させることによってエピタキシャ

ル成長(2057参照)させること。 

略称 LPE。 

参考 スライディングボート法,傾斜法(Nelson法),垂直浸せき法

などがある。 

liquid phase epitaxy 

5003 

溶射 

物質を熱源で溶融又は半溶融状態にして,基板(2001参照)に吹き付け

て膜を形成すること。 

参考 膜の形成物質は,金属,セラミックス,プラスチックなど,

熱源で蒸発(3011参照),分解しないものはすべて対象とな

る。熱源には,燃焼炎,アーク,プラズマ(1028参照),レ

ーザが用いられる。 

spraying 

5004 

溶融めっき 

溶融金属中に基板(2001参照)を浸せきして表面に溶融金属の膜を形成

すること。 

hot-dip plating 

(6) 表面改質法 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

6001 

熱処理 

材料に必要な性質を付与するために行う加熱と冷却のいろいろな組合せ

の操作。 

参考 焼ならし,焼なまし,焼入れ,焼戻しなど。 

heat treatment 

6002 

真空熱処理 

真空中において行う熱処理(6001参照)。 

vacuum heat treatment 

6003 

雰囲気制御熱処

理 

炉内の雰囲気ガスを目的に応じて,それぞれ調節・制御して行う熱処理

(6001参照)。 

参考 雰囲気ガスには,酸化性,還元性,不活性,浸炭性,窒化性

などの種類がある。 

controlled atmosphere heat 

treatment 

6004 

拡散浸透法 

金属材料の表面層の硬さ,耐熱性,耐食性などを向上させるために,高

温度の各種媒剤中で,他の元素を表面に拡散させる方法。 

cementation 

6005 

熱酸化 

酸化雰囲気中で材料を加熱し,その表面に酸化膜をつくること。 

thermal oxidation 

6006 

プラズマ酸化 

酸素を含むプラズマ(1028参照)を用いて材料表面を酸化させること。 

plasma oxidation 

6007 

プラズマ陽極酸

化 

材料表面に正のバイアスを印加して行うプラズマ酸化(6006参照)。 

plasma anodic oxidation, 

plasma anodization 

6008 

イオン窒化 

窒素を含む雰囲気中で材料を陰極とし,グロー放電(1023参照)を発生

させ,材料表面に窒化物を形成させること。 

ion nitriding, ion nitridation 

6009 

プラズマ窒化 

放電(1022参照)によって発生させたプラズマ(1028参照)で材料表面

に窒化物を形成させること。 

plasma nitriding, plasma 

nitridation 

6010 

イオン浸炭 

減圧した炭素を含むガス雰囲気中で材料を陰極とし,グロー放電(1023

参照)を発生させ,材料表面に炭素を富化させること。 

ion carburizing 

background image

14 

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

6011 

レーザ焼入れ 

レーザによる局所加熱を利用して行う焼入れ。 

laser quenching 

6012 

電子ビーム焼入

れ 

電子ビームによる局所加熱を利用して行う焼入れ。 

electron beam quenching 

6013 

表面溶融処理 

高エネルギー密度の熱源を照射して材料表面を急速溶融,凝固させて表

面改質(1002参照)を行うこと。 

surface melting treatment 

6014 

プラズマ処理 

プラズマ中のイオン,電子,ラジカル,光,原子・分子などを利用して

表面改質(1002参照)を行うこと。 

参考 高分子材料の表面改質に使われることが多い。 

plasma treatment 

6015 

紫外線処理 

紫外線の光化学作用を利用して,低温下で高分子材料などの表面改質

(1002参照)を行うこと。 

ultraviolet treatment 

6016 

電子照射処理 

電界で加速させた電子を高分子に照射し,高分子を架橋や崩壊させるこ

とによって表面改質(1002参照)を行うこと。 

electron beam treatment 

6017 

パッシベーショ

ン 

表面を不活性化し,外界からの影響を受けないように保護膜を形成する

こと。 

passivation 

6018 

アロイング 

基板(2001参照)上に他の物質を添加して,高エネルギーのレーザ,電

子ビームなどを照射し,それらの合金又は化合物を基板上に形成させる

こと。 

alloying 

6019 

グレージング 

基板(2001参照)上に高エネルギーのレーザ,電子ビームなどを短時間

照射し,表面を溶融・急冷することでその組織を微細化又は非晶質化す

ること。 

glazing 

6020 

ラピッドアニー

リング 

イオン打込みなどで損傷を受けた基板表面に高エネルギーのレーザ,電

子ビームなどを照射し,短時間に表面の欠陥やひずみなどを除く方法。 

rapid annealing 

6021 

ゲッタリング 

有害な不純物や欠陥を不活性化すること。 

gettering 

6022 

イオン注入 

元素をイオン化(1031参照)し,数十keV以上の高エネルギーに加速し,

その元素を基板内部に打ち込むこと。 

ion implantation 

6023 

イオンビームミ

キシング 

(広義) 

高エネルギーのイオンと標的原子との衝突及び反跳作用を

利用し,材料表面・界面を構成している原子層を混合又は

合金化すること。 

ion beam mixing 

(狭義) 

基板(2001参照)上に形成した薄膜(2020参照)にイオン

ビームを照射し,基板と薄膜とを完全に混合させた合金,

化合物層などを形成させること。 

6024 

界面ミキシング 

基板(2001参照)上に形成した薄膜(2020参照)にイオンビームを照射

し,薄膜と基板との界面だけを混合させるイオンビームミキシング(6023

参照)。 

interface mixing 

6025 

ダイナミカルミ

キシング 

基板(2001参照)への蒸着(3001参照)と同時にイオンを注入するイオ

ンビームミキシング(6023参照)。 

dynamical mixing 

6026 

ドーピング 

材料の物理的性質又は化学的性質を変化させるために適量の不純物元素

を材料に添加すること。 

doping 

6027 

オートドーピン

グ 

基板(2001参照)や真空槽(8015参照)などから,成膜中に不純物が膜

中に混入すること。 

autodoping 

6028 

アッシング 

酸化反応を用い,レジスト(7003参照)などの有機物を燃焼させ基板表

面から除去すること。 

参考 不燃性の灰分だけを残す分析操作としても用いられている。 

ashing 

(7) 表面加工法 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

7001 

選択酸化 

基板表面の特定部分を,指定されたパターンに従って選択的に酸化する

こと。 

selective oxidation 

7002 

層間絶縁 

集積回路などの素子間の配線が多層となる構造において,それらの層の

間を絶縁薄膜によって電気的に分離(絶縁)すること。 

inter-level isolation 

background image

15 

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

7003 

レジスト 

微細加工プロセスにおいて,パターン形成に必要な光,電子線などの照

射に対して感光性をもつ材料。 

参考 感光した後,現像液に可溶性,不溶性又は難溶性になるかに

よって,ポジ形レジスト,ネガ形レジストに区別することが

できる。 

resist 

7004 

レジスト感度 

微細加工プロセスにおいて,レジスト(7003参照)にパターンを形成す

るために必要な光,電子線などの照射量。 

sensitivity of resist 

7005 

解像力 

レジスト(7003参照)の微細像形成能力。 

参考 一般に,プリント配線板や半導体などのパターン形成におい

て,形成できる最小の線の幅及び間隔を指す。 

resolving power of resist 

7006 

プリベーク 

レジスト(7003参照)を塗布した後,膜中に残留している溶剤の蒸発(3011

参照)及び膜と基板(2001参照)との密着性の向上を目的として行う熱

処理(6001参照)。 

pre-bake 

7007 

ポストベーク 

現像によってレジストパターンを形成した後,膜又は表面に残留した現

像液などを蒸発除去し,更に膜の硬化及び密着性の向上を目的として行

う熱処理(6001参照)。 

post-bake 

7008 

マスクブランク 

レジスト(7003参照)が塗布されていない状態のフォトマスク製造用の

基板。 

mask blank 

7009 

フォトマスク 

マスクブランク(7008参照)にパターン像を形成したもの。 

photomask 

7010 

マスキング 

選択的な析出又はエッチング(7016参照)を行うために表面を一部被覆

すること。 

masking 

7011 

露光 

感光材料が光又は他の放射エネルギーを受けること。 

exposure 

7012 

露光装置 

基板(2001参照)上のレジスト(7003参照)に露光(7011参照)する装

置。 

aligner 

7013 

投影露光装置 

投影光学系を用いる露光装置(7012参照)。 

projection aligner 

7014 

電子ビーム露光 

電子ビームで露光(7011参照)すること。 

electron beam exposure 

7015 

ステップ式投影

露光装置 

マスクパターンの投影像に対し,基板(2001参照)を繰り返しステップ

して露光(7011参照)する投影露光装置(7012参照)。ステッパともい

う。 

stepping projection aligner 

7016 

エッチング 

被処理材料の全面又は一部を除去すること。 

参考 エッチングには,ウエットエッチング及びドライエッチング

がある。 

etching 

7017 

全面エッチング 

被処理材料の全面を除去すること。 

overall etching 

7018 

部分エッチング 

被処理材料の必要な部分を残し,不要な部分を除去すること。 

partial etching 

7019 

デジタルエッチ

ング 

1原子層又は1分子層ずつ制御してエッチング(7016参照)を行うこと。  digital etching 

7020 

ウエットエッチ

ング 

溶液を用いてエッチング(7016参照)を行うこと。 

wet etching 

7021 

ドライエッチン

グ 

ガスとの反応やスパッタリング(3047参照)などを用いてエッチング

(7016参照)を行うこと。 

dry etching 

7022 

スパッタエッチ

ング 

スパッタリング(3047参照)によってエッチング(7016参照)を行うこ

と。 

sputter etching 

7023 

プラズマエッチ

ング 

活性ガスによるプラズマ(1028参照)を利用してエッチング(7016参照)

を行うこと。 

plasma etching 

7024 

プラズマ分離形

プラズマエッチ

ング 

プラズマ発生室とエッチング室とが分離され,プラズマ発生室で生成し

た比較的長寿命の中性活性種をエッチング室に輸送してエッチング

(7016参照)すること。ケミカルドライエッチング,ダウンフローエッ

チングともいう。 

参考 主としてマイクロ波プラズマが用いられる。 

down stream plasma etching 

background image

16 

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

7025 

イオンビームエ

ッチング,イオ

ンミリング 

イオンビームを用いてエッチング(7016参照)を行うこと。 

ion beam etching, ion milling 

7026 

集束イオンビー

ム 

特定のイオンを加速して細く集束したビーム。 

参考 パターンの修正,露光(7011参照),加工,イオン注入

(6022参照)などに用いられる。 

focused ion beam 

7027 

電子ビームエッ

チング 

パルス状電子ビームを物質に衝突させ,ビーム照射部分が蒸発(3011参

照)する現象を利用してエッチング(7016参照)を行うこと。 

electron beam etching 

7028 

反応性イオンエ

ッチング 

基板(2001参照)を高周波電極とし,反応性ガスのプラズマ(1028参照)

を用い,セルフバイアス(3066参照)効果に伴う基板へのイオン入射に

よる化学反応(4002参照)を利用してエッチング(7016参照)を行うこ

と。 

略称 RIE。 

参考 基板は,中性活性種と反応ガスイオンとの相乗効果でエッチ

ングされる。 

reactive ion etching 

7029 

マグネトロン形

反応性イオンエ

ッチング 

直交電磁界によるマグネトロン放電(1026参照)を利用して,反応性ガ

スの高密度プラズマを発生させ,それによってエッチング(7016参照)

を行うこと。 

magnetro enhanced reactive 

ion etching 

7030 

反応性イオンビ

ームエッチング 

反応性ガスのプラズマ(1028参照)をイオン源(1045参照)で発生させ,

反応性ガスイオン及び中性活性種をイオン源とは独立した室に置いた基

板(2001参照)に照射し,エッチング(7016参照)を行うこと。 

略称 RIBE。 

reactive ion beam etching 

7031 

ECR反応性イオ

ンビームエッチ

ング 

ECRイオン源から引き出した高密度の反応性イオンを利用する反応性イ

オンビームエッチング(7030参照)。 

参考 イオンの引き出しには,発散磁場を用いる方法及び引き出し

電極を用いる方法がある。 

ECR reactive ion beam 

etching 

7032 

光励起エッチン

グ 

紫外光などの光エネルギーによってエッチングガス(7035参照)を活性

化して活性種を発生させ,エッチング(7016参照)を行うこと。 

参考 プリント配線板などの配線は,一般にマスクパターン形成後

ウエットエッチング(7020参照)によって形成される。この

エッチングプロセスをフォトエッチングと呼んでいる。 

photo excited etching 

7033 

レーザアシスト

エッチング 

レーザ光による光励起化学反応プロセスを用いてエッチング(7016参照)

を行うこと。 

laser assisted etching 

7034 

エッチング速度 

単位時間にエッチング(7016参照)される深さ。 

etching rate, etch rate 

7035 

エッチングガス 

被処理材料をエッチング(7016参照)するためのガス。 

etching gas 

7036 

エッチング抑制

ガス 

特定方向のエッチング速度(7034参照)を抑制するための気体。 

suppressive gas for etching 

7037 

等方性エッチン

グ 

エッチング(7016参照)される方向によらず,被エッチング材料が等速

度でエッチングされること。 

isotropic etching 

7038 

異方性エッチン

グ 

被エッチング材料のエッチング速度(7034参照)がエッチング方向によ

って異なること。 

anisotropic etching 

7039 

選択エッチング 

二つの物質のエッチング速度(7034参照)の違いを利用して一方の物質

を選択的にエッチング(7016参照)すること。 

selective etching 

7040 

アンダカット 

被エッチング材料上のフォトレジストなどのマスク寸法に比較し,エッ

チング(7016参照)によって形成されたマスク直下の被エッチング材料

のパターン寸法が小となる現象。サイドエッチングともいう。 

参考 等方性エッチング(7037参照)では必ず生起するが,異方性

エッチング(7038参照)ではマスク寸法よりパターン寸法の

方が大となる場合がある。これを通常のアンダカットと区別

して負のアンダカットという。 

undercut 

background image

17 

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

7041 

エッチファクタ 

サイドエッチング(7040参照)された幅をエッチング深さで除した値。 

etch factor 

7042 

オーバエッチン

グ 

所定のエッチング量よりも過剰にエッチング(7016参照)を行うこと。 

参考 一般には,2層以上の積層構造からなる基板(2001参照)に

おいて,被エッチング材料だけでなく基板材料もエッチング

することを指す。 

over etching 

7043 

リソグラフィ 

露光転写した画像を基として画像を形成すること。 

参考 露光転写に使用する光源や線源によって,フォトリソグラフ

ィ,UVリソグラフィ,電子線リソグラフィ,イオンビーム

リソグラフィ,X線リソグラフィ,放射光リソグラフィ,レ

ーザリソグラフィなどに分類される。 

lithography 

7044 

紫外線硬化 

紫外線によって感光材料を硬化させること。UV硬化ともいう。 

ultraviolet curing 

(8) 設備及び工程 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

8001 

前処理 

表面処理(1001参照)をするに当たり,表面状態を調整するため,主工

程の前に行う処理。 

pretreatment 

8002 

ラッピング 

寸法誤差の調整又は表面仕上げ状態を改善するために行う研磨。 

参考 ラップ用と(砥)粒には,アルミナ粉末,炭化けい素粉末,

ダイヤモンド粉末などが使用される。 

lapping 

8003 

ポリシング 

高度の鏡面を得るために行う研磨。 

参考 ラップ用と(砥)粒より更に細かい粒子を用いる。 

polishing 

8004 

メカノケミカル

ポリシング 

加工物より軟質の粒子と加工物との間に固相反応を生じさせ,反応によ

って生成した異質な物質部分を除去しながら研磨すること。 

mechanochemical polishing 

8005 

洗浄 

基板表面を清浄化すること。 

参考 洗浄方法によって,高温加熱洗浄,蒸気洗浄水素放電洗浄,

オゾン洗浄,イオンボンバード,紫外線洗浄,超音波洗浄,

スクラブ洗浄などがある。 

cleaning 

8006 

基板加熱 

膜の結晶化,基板表面での反応の促進,密着化の向上などを目的として,

基板(2001参照)を加熱すること。 

参考 加熱方法によって,ヒータ加熱,ランプ加熱,レーザ加熱,

高周波加熱,電子線加熱などがある。 

substrate heating 

8007 

基板冷却 

表面処理(1001参照)中の基板温度(2002参照)の上昇の抑制,膜の構

造制御などのため,基板(2001参照)を冷却すること。 

substrate cooling 

8008 

予備加熱 

蒸発材料(3021参照)表面の汚染物を除去するために行う加熱。 

preheating 

8009 

脱ガス 

蒸発材料(3021参照),基板(2001参照),ジグ(8032参照),真空槽(8015

参照)などを加熱し,吸着(1013参照)又は内部のガスを除去すること。 

degassing 

8010 

ソーキング 

(1) 蒸発材料(3021参照)を予備加熱(8008参照)し,脱ガス(8009

参照)すること。 

参考 通常は,蒸発材料が蒸発(3011参照)しないできるだけ高い

温度まで加熱する。 

(2) 材料の内外の温度差が少なくなるようにする目的で,適当な時間,

一定の温度に保持すること。均熱ともいう。 

soaking 

8011 

ベーキング 

基板表面,真空容器表面などの水分を除くために行う加熱処理。 

baking 

8012 

アンダコート 

基板(2001参照)の平滑性の向上,基板からのガス放出の減少,基板か

ら膜への拡散物質の減少,膜の密着性の向上などの目的で,成膜前にあ

らかじめ基板に下地膜を形成すること。プレコート,ベースコート,プ

ライマコートともいう。 

under coat 

8013 

後処理 

表面処理(1001参照)後,使用目的に適するように皮膜に施す処理。 

参考 皮膜の平滑化のために行う研磨,皮膜の特性を調整する加熱,

皮膜の密着性を向上させるために行う加熱などがある。 

posttreatment 

background image

18 

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

8014 

トップコート 

形成された膜の保護や酸化防止の目的で膜の上面に皮膜を形成するこ

と。 

top coat 

8015 

真空槽 

真空(1004参照)を保つためにガラス,ステンレス鋼,アルミニウム合

金などの材料でつくられた容器。 

vacuum chamber 

8016 

真空排気系 

操作環境として真空(1004参照)が必要な場合に真空を作り又は維持す

るための装置。 

参考 真空排気系は,気体を排除する機器としてのポンプ,トラッ

プ,真空容器とポンプとを連結するフランジ・配管,気体の

流れを制御するバルブ,圧力(1005参照)を計測する真空計

(8019参照)などで構成される。 

vacuum pumping system 

8017 

真空ポンプ 

特定の空間から気体を排除し,大気圧より低い圧力(1005参照)の気体

で満たされた状態を作り,維持するための機器。 

参考 気体輸送式真空ポンプ(油回転ポンプ,油拡散ポンプ,ター

ボ分子ポンプなど)と気体ため込式真空ポンプ(ソープショ

ンポンプ,ゲッタポンプ,スパッタイオンポンプ,クライオ

ポンプなど)とに大別される。 

vacuum pump 

8018 

コールドトラッ

プ 

真空排気系(8016参照)において真空容器とポンプの間に設置し,液体

窒素などによって冷却された面に逆流する油の蒸気や分解生成物を凝縮

させ,望ましくない気体や蒸気の分圧(1006参照)を減少させる装置。 

cold trap 

8019 

真空計 

大気圧より低い気体の圧力(1005参照)を測定する圧力計。 

参考1. 

真空計には,気体の種類,組成の情報を含まない全圧計と,

気体の種類ごとの分圧(1006参照)を測定する分圧計とが

ある。 

2. 広範囲の圧力領域を測定するために圧力範囲に応じて,液

柱差真空計,ダイヤフラム真空計,熱伝導形真空計,ペニ

ング真空計,電離真空計などがある。 

vacuum gauge 

8020 

ガス供給系 

真空容器へ原料ガス(4011参照),放電用ガスなど所要のガスを供給する

ために,ガスボンベ,制御バルブ,流量計,マスフローコントローラ(8024

参照),圧力計,フィルタなどで構成された一連の装置。 

gas supply system 

8021 

ガス分析計 

空間内に存在するガスの成分,濃度などを測定する機器。 

gan analyzer 

8022 

ヘリウムリーク

ディテクタ 

探索気体にヘリウムガスを用いて,真空装置などの密閉容器の漏れ,場

所,リーク量を調べる装置。 

helium leak detector 

8023 

マスフローメー

タ 

単位時間に流れる気体又は液体の質量(質量流量)を測定する計器。 

massflow meter 

8024 

マスフローコン

トローラ 

マスフローメータ(8023参照)と質量流量を制御するバルブとから構成

され,設定された質量流量を保持する機構又は機器。 

massflow controller 

8025 

浮子式流量計 

ガラス製の目盛り付きテーパ管中で,ガス流量に応じて静止する浮子の

位置を直読する簡易形のガス流量を測定する計器。 

参考 使用ガスによって目盛値は変わる。 

rotameter 

8026 

ガス精製装置 

原料ガス(4011参照)から残留不純物ガスを除去する装置。 

gas purifier 

8027 

ガスラインフィ

ルタ 

ガス中の微粒子を捕そく(捉)除去するための精密フィルタ。 

in-line gas filter 

8028 

廃ガス処理装置 

製造工程で排出される有害物を含む廃ガス中の有害物質,汚濁物質を除

去又は分解処理する装置。 

waste gas treatment 

equipment 

8029 

モニタリング 

処理工程で,製品の品質にかかわりのある要因を監視すること。 

参考 真空蒸着(3003参照)では,膜厚,成膜速度(2037参照),

残留ガスなどを工程中で監視する。 

monitoring 

8030 

膜厚モニタ 

成膜時に,膜の厚さ又は成膜速度(2037参照)を膜厚計(9010参照)に

よって直接又は間接に測定及び監視する機構。 

参考 膜厚計には,水晶発振式,光学式,原子吸光式などがある。 

thickness monitor 

background image

19 

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

8031 

膜厚コントロー

ラ 

成膜プロセス中に膜厚モニタ(8030参照)によって得られる膜厚又は成

膜速度(2037参照)をフィードバックして所定の膜厚を制御する機器。 

参考 蒸発速度(3022参照)を制御する機能をもつものもある。 

thickness controller 

8032 

ジグ 

基板(2001参照)に所定の処理を行うために,その基板を処理容器内に

保持する器具。 

jig 

8033 

自公転ジグ 

処理容器内に多数の基板(2001参照)を保持し,各基板に対して均一に

処理が行えるように個々の基板又は基板を保持するジグ(8032参照)を

自転させ,さらにこれらのジグの全体を蒸発源(3012参照)を中心に公

転させることのできるジグ。 

参考 カルーセル形とプラネタリ形とがある。 

rotary and revolutionary jig 

8034 

ドーム形ジグ 

多数の平面基板を均一に処理するために,これらの基板(2001参照)と

蒸発源(3012参照)との距離が一定で,基板の各面が蒸発源に向くよう

に球面の一部を切り取った形状(ドーム状)をしたジグ(8032参照)。 

dome jig 

8035 

基板回転 

基板面を均一に処理するための基板(2001参照)の自転,公転,自公転

などの回転。 

substrate rotation 

8036 

バレル方式 

(1) 小さく,かつ,多量の基板(2001参照)を回転又は振動する容器に

満たして処理する方式。 

(2) CVD(4001参照)で円筒状のサセプタ(4016参照)の側面に基板を

張り付けて成長を行う方式。 

barrel processing system 

8037 

基板搬送系 

基板(2001参照)の表面処理(1001参照)を行うとき,基板を処理装置

内に搬入,搬出又は装置内の処理空間に移動させる機構。 

substrate transfer system 

8038 

バッチ方式 

基板(2001参照)を一槽ごとに装着して処理を行う方式。 

参考 真空装置では,真空排気からはじまってエアリークして取り

出すまでを同じ容器で行う。 

batch processing system 

8039 

ロードロック方

式 

ゲートバルブなどの隔離バルブを用いて処理槽と搬入・搬出槽を隔離し,

処理槽への空気の流入を防止したり,温度,圧力(1005参照)などの外

乱を小さくし品質の安定化を目的とした方式。 

load lock system 

8040 

インライン方式 

搬送系を備えて基板(2001参照)を逐次的に処理できるようにした方式。 

参考 ロードロック方式(8039参照)を用いた閉口端式とベルトコ

ンベアのように流す開口端式とがある。 

in-line system 

8041 

巻取方式 

プラスチックフィルム,紙,金属はく(箔)などのフィルム状基板を連

続的に巻き取りながら処理する方式。 

winding up loading and 

unloading system 

(9) 試験及び検査 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

9001 

外観検査 

外観の状態を目視によって行う検査。 

visual inspection 

9002 

色彩測定 

表面処理材料の色彩を測定すること。 

参考 色彩色差計によって測定する。 

colorimetry 

9003 

断面観察 

膜又は表面改質(1002参照)した材料の切り口の表面を観察すること。 

cross-section observation 

9004 

光学顕微鏡観察 

光学顕微鏡を用いて,表面状態を観察すること。 

observation by optical 

microscope 

9005 

偏光顕微鏡観察 

偏光現象を起こす偏光板又は偏光子を備えた光学顕微鏡を用いて,表面

状態を観察すること。 

observation by polarizing 

microscope 

9006 

走査形電子顕微

鏡観察 

走査形電子顕微鏡(略称SEM)を用いて,表面状態を観察すること。 

observation by scanning 

electron microscope 

9007 

透過形電子顕微

鏡観察 

透過形電子顕微鏡(略称TEM)を用いて,膜などの状態を観察すること。  observation by transmission 

electron microscope 

9008 

膜厚測定 

膜の厚さの測定。 

参考 膜厚には,測定法によって光学的膜厚,質量膜厚,幾何学的

膜厚がある。 

film thickness measurement 

background image

20 

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

9009 

膜厚分布 

基板(2001参照)上の各位置における膜厚の分布。 

thickness distribution 

9010 

膜厚計 

膜厚測定(9008参照)を行う計器。 

thicknessmeter 

9011 

マイクロバラン

ス法 

マイクロバランスによって成膜前後の基板(2001参照)の質量変化を測

定し,膜厚を求める方法。 

mictobalance method 

9012 

触針法 

ダイヤモンドなどの針に荷重をかけ,測定表面を走査し,針の上下の変

動を差動変圧器によって変位を電気信号として検出・拡大し,表面の粗

さ,膜厚を求める方法。 

stylus method 

9013 

透過反射率法 

膜面に垂直に光を入射したとき,透過率及び反射率によって生じる振動

曲線の極大・極小から膜厚を求める方法。 

transmittance-reflectance 

method, photometric 

method 

9014 

光学干渉法 

光の干渉を利用して膜厚などを求める方法。 

optical interference method 

9015 

二光干渉法 

光線束を二つに分け,一方を測定光線束,他方を比較光線束(標準光源

束)とし,光路差による干渉のずれによって表面観察又は膜厚を求める

方法。 

two-beam interferometry 

9016 

繰り返し反射干

渉法 

向き合った反射率の高い二面間で繰り返し反射した光の干渉を利用し,

鮮鋭な干渉縞を得て表面観察又は膜厚を求める方法。多重反射干渉法と

もいう。 

multiple-beam interferometry 

9017 

偏光解析法 

表面で光が反射する際の偏向状態の変化を観測して,薄膜(2020参照)

の光学定数又は膜厚を求める方法。 

ellipsometry 

9018 

干渉色法 

透明体薄膜に白色光を当てたときに示す膜の干渉色から膜の光学的厚さ

を推定する方法。 

interference color method 

9019 

水晶振動子法 

水晶振動子に物質がたい(堆)積したとき,水晶の固有振動数がそのた

い積量に比例して変化することを利用し,振動数の変化を測定して膜厚

を求める方法。 

quartz-crystal oscilliater 

method 

9020 

渦電流法 

装置と試料との間に渦電流を生じさせ,膜の厚さによって渦電流量が変

化することを利用して膜厚を求める方法。 

eddy current method 

9021 

直流抵抗法 

導電性膜の抵抗率は膜厚に依存することを利用して,抵抗値を測定して

膜厚を求める方法。 

DC resistance method 

9022 

蛍光X線法 

試料にX線を照射した際,基板(2001参照)及び膜から放射される元素

に特有の蛍光X線の強度を測定することによって膜厚を求める方法。 

X-ray fluorescence method 

9023 

位相差顕微鏡法 

集光器の絞りと位相板とを共役な位置に配置した顕微鏡を用いて,物体

の微小な位相差を明暗の差に変えて膜厚を求める方法。 

phase-contrast microscope 

method 

9024 

β線法 

試料にβ線を照射し,後方散乱するβ線強度が膜厚によって変化すること

を測定して膜厚を求める方法。 

β back-scatter method 

9025 

密着性試験,付

着性試験 

基板(2001参照)と膜とがどの程度強固に一体化しているかを調べる試

験。 

参考 外的刺激の条件を一定にして損傷の有無から判定する方法

と,刺激条件を徐々に強くして損傷の生じる値から判定する

方法とがある。 

adhesion test 

9026 

引きはがし試験 

可とう(撓)性のある板材又は線材を接着剤(又ははんだ)で膜に張り

付けた後,板又は線材の一端を引き上げることによって膜を引きはがし,

密着性を調べる試験。 

peeling test 

9027 

テープ試験 

粘着テープを膜上に張り付けた後,テープをはがすことによって膜の密

着性を調べる試験。 

tape test 

9028 

引き倒し試験 

角棒又は丸棒の一端を膜表面に接着剤で固定し,他端を膜面方向に引っ

張り,棒を引き倒すことによって膜を基板(2001参照)から引き離し,

膜の密着性を調べる試験。 

toppling test 

9029 

スクラッチ試験 

膜表面に硬い突起を押し付け,横に移動させる(引っかく)ことによっ

て皮膜の密着性を調べる試験。 

scratch test 

background image

21 

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

9030 

圧痕試験 

膜の上から硬い突起を押し付けることによって基板(2001参照)との界

面を破壊させ,膜に損傷を起こさせたり,はく離させることによって皮

膜の密着性を調べる試験。 

indentation test 

9031 

組成分析 

作製した膜などの化学組成を求めること。 

chemical composition 

analysis 

9032 

その場観察 

膜のたい積やエッチング(7016参照)などを行うその場所で,その状態

を直接観察・分析すること。 

in situ observation 

9033 

電子プローブ微

小部分析法 

細く絞られた電子線を試料に照射し,試料から励起されて出てくる特性X

線を解析して微小部分の元素分析を行う方法。 

略称 EPMA。X線マイクロアナリシス (XMA) ともいう。 

electron probe microanalysis 

9034 

イオンマイクロ

プローブ分析法 

イオンビームを幾つかの静電レンズで縮小し,ビームの直径を小さくし

て試料に照射し,試料から放出するイオン,X線,光又は電子を検出し

て,表面の元素分析や状態分析を局所的に行うとともに,イオンで試料

をスパッタリング(3047参照)し,深さ方向の分布を調べる方法。 

略称 IMA。 

参考 散乱されるイオンを検出して分光する場合はイオン散乱分光

分析 (ISS),二次イオンを検出する場合はイオンマイクロアナ

リシス (IMA),X線を検出する場合はイオンマイクロプロー

ブX線分析 (IMXA),光を検出する場合はイオン励起光分光

分析 (SCANIIR),オージェ電子を検出する場合はイオン励起

オージェ電子分光分析 (IAES)という。 

ion microprobe analysis 

9035 

オージェ電子分

光法 

数keVの電子線を試料表面に照射し,真空中へ放出される二次電子のう

ち,オージェ効果で放出される電子(オージェ電子)のスペクトルを測

定することによって試料表面近傍に存在する元素を分析する方法。 

略称 AES。 

参考 走査形のオージェ電子分光法をSAMと略称する。 

Auger electron spectroscopy 

9036 

蛍光X線分析法 

試料にX線を照射し,発生する蛍光X線を分光結晶を用いて分光,検出,

記録して成分元素を分析する方法。 

略称 XFA又はXRF。 

X-ray fluorescence analysis 

9037 

X線光電子分光

法 

高真空下に置かれた試料表面に軟X線を照射し,光電効果によって試料

中の原子の内殻・外殻レベルから放出される電子の運動エネルギーから

電子の結合エネルギーを,その数からエネルギー状態で存在する原子の

数を決定する方法。 

略称 XPS。ESCAともいう。 

X-ray photoelectron 

spectroscopy 

9038 

低速イオン散乱

分光法 

数keV以下の低エネルギーイオンビームを物体に照射したとき,散乱さ

れてくるイオンのエネルギーやイオン数の角度分布を測定して物体の組

成や構造を解析する方法。 

略称 LEIS。ISSと記すことが多い。 

low energy ion scattering 

spectroscopy 

9039 

ラザフォード後

方散乱法 

数MeV程度の軽イオン (H+, He+) を試料表面に照射し,試料中の原子核

によってラザフォード散乱されたイオンの数及びエネルギー分布を測定

する方法。 

略称 RBS。 

Rutherford back scattering 

spectroscopy 

9040 

放射化分析法 

試料に加速粒子線又は電磁波を照射して,目的の元素を放射性核種に変

換させ,その放出する放射線を測定し定性,定量を行う分析法。 

略称 AA。 

activation analysis 

9041 

グロー放電スペ

クトル法 

グロー放電(1023参照)を利用して試料の成分元素を励起し,放射され

た光を分光して得られるスペクトルから成分分析を行う分析法。 

略称 GDS。 

glow discharge spectrometry 

background image

22 

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

9042 

ICP発光分析法 

不活性気体の気流中においたコイルに高周波発振器から高周波電流を流

すときに発生する無極放電プラズマ中に試料を導入し,その発光を分光

して成分分析を行う分析法。 

inductively coupled plasma 

spectrometry 

9043 

赤外分光法 

赤外吸収スペクトルを利用する分光分析法。 

略称 IR。 

参考1. 

赤外吸収スペクトルは,分子によって異なるので,これを

利用し物質の同定,定性分析,定量分析ができる。 

2. この発展した方法として,フーリエ変換赤外分光法  

(FTIR) がある。 

infrared spectroscopy 

9044 

レーザラマン微

小部分析法 

レーザビームを微小部に照射して,微小部のラマン効果によって現れる

散乱光(ラマンスペクトル)を利用し,成分,結晶構造などを分析する

分光分析法。 

略称 LRM。 

laser Raman microanalysis 

9045 

メスバウア分光

法 

原子核から無反跳で放出されたγ線が試料中の同種の原子核によって共鳴

吸収される現象を利用した分光分析法。 

略称 MS。 

参考 この分光法は,メスバウア効果の観測される核種(57Fe, 119Sn

など)に限られている。 

Mössbauer spectroscopy 

9046 

カソードルミネ

センス法 

試料に電子線照射した際に発生する発光を用いて不純物,格子欠陥など

を分析する方法。 

略称 CL。 

cathode luminescence 

analysis 

9047 

構造解析 

物体の一部又は全部の原子の配列状態[単結晶(2009参照)・多結晶(2010

参照)における結晶構造又は非晶質状態など]を知るためにとられる解

析法。 

structure analysis, structural 

analysis 

9048 

X線回折法 

X線を結晶(2008参照)に照射すると,ブラッグの反射条件又はラウエ

の回折条件に従って,その結晶に特有の回折パターンが得られることを

用いて,結晶の構造解析(9047参照)を行う方法。 

略称 XD又はXRD。 

参考 既知の結晶構造に対する回折パターンとの比較による同定が

容易である。 

また,結晶の格子ひずみを回折パターンによって測定し,

内部応力を見積もることもできる。 

X-ray diffraction method 

9049 

ロッキングカー

ブ,ロッキング

曲線 

単結晶(2009参照)のX線回折において,ブラッグ条件を満たすX線の

入射角付近で結晶(2008参照)を回転して得られる回折線の強度分布。 

参考 結晶の完全性が高いほどその半値幅が狭く,ピーク強度が大

きくなる。 

rocking curve 

9050 

電子線回折法 

電子線を結晶(2008参照)に照射すると,その波動性によって,ブラッ

グの反射条件又はラウエの回折条件に従って,結晶に特有な回折パター

ンが得られることを用いて結晶の構造解析(9047参照)を行う方法。 

略称 ED。 

参考 一般に,X線より波長が短いので,その結晶格子の逆格子構

造を表す回折パターンが得られる。 

また,結晶を構成する原子との相互作用がX線より強いの

で多重反射の影響が現れやすい。 

electron diffraction method 

9051 

低速電子線回折

法 

加速エネルギーが1keV以下の電子線を用いる電子線回折法(9050参照)。 

略称 LEED。 

参考 結晶(2008参照)への電子線の進入深さが0.3〜1nm程度と

浅いので,結晶表面の構造を調べるのに適している。 

low energy elctron 

diffraction method 

background image

23 

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

9052 

高速電子線回折

法 

加速エネルギーが約10keV以上の電子線を用いる電子線回折法(9050参

照)。 

略称 HEED。 

参考 透過電子線の回折像を見る場合[透過電子線回折 (TED) とい

う]と反射電子線の回折像を見る場合[反射電子線回折 

(RHEED) という]とがあるが,RHEEDにおける電子線の入

射角を十分小さく,すなわち表面すれすれに入射することに

よって結晶表面の構造を解析することができる。 

high energy electron 

diffraction method 

9053 

走査トンネル顕

微鏡 

極めて鋭い金属探針を物質表面に近づけ,探針と表面内に流れるトンネ

ル電流を利用して導電性物質表面の原子レベルでの観察を行う顕微鏡。 

略称 STM。 

参考1. 

これを利用した走査トンネルスペクトロスコピ (STS) に

よって物質表面の電子状態も観察できる。 

2. 絶縁性物質の表面構造については,原子間力を利用して行

う原子間力顕微鏡 (AFM) がある。 

scanning tunneling 

microscope 

9054 

走査形超音波顕

微鏡 

超音波集束ビームを被測定物に走査照射し,反射波又は透過波によって

ミクロな弾性的性質の変化を画像として表示する顕微鏡。 

略称 SAM。 

参考 走査形オージェ電子分光法と同じ略称。 

scanning acoustic 

microscope  

9055 

広域X線吸収連

続微細構造解析 

X線吸収スペクトルで吸収端より短波長側約30eVから1keVにわたる領

域に見られる減衰する波状の振動構造を用いることによって,特定元素

周辺の原子まわりの局所構造(隣接原子までの距離や配位数など)を求

めること。 

略称 EXAFS。 

参考 吸収端より約50eV程度までに見られる微細構造は,X線吸

収端微細構造(XANES又はNEXAFS)という。 

extended X-ray absorption 

fine structure analysis 

9056 

欠陥検査 

表面処理(1001参照)した材料表面のマクロ及びミクロ欠陥の検査。 

defect inspection 

9057 

吸着試験 

固体表面に特定の目的で選択された原子や分子を吸着させ,表面の状態

を調べる試験。 

adsorption test 

9058 

エッチピット法 

化学的処理や腐食などによって,固体表面にできる小孔の顕微鏡観察に

よって欠陥や結晶粒の方位の違いなどを調べる方法。 

etch pit method 

9059 

デコレーション

法 

欠陥部に適当な物質を選択的に析出させ,欠陥の分布や状態を観察する

方法。 

decoration method 

9060 

内部応力測定 

膜が基板(2001参照)に密着している状態で,膜の成長や構造変化など

に伴い膜の内部に生じた応力を測定すること。 

参考 膜と基板(2001参照)との間には熱応力も作用するため,測

定温度を明示する必要がある。 

internal stress measurement 

9061 

ニュートンリン

グ法 

鏡面の膜表面が示す等厚干渉縞を利用して基板の変形を調べ,内部応力

を評価する方法。 

Newton-ring method 

9062 

片持ち梁法 

短冊形の薄い基板の一端を固定し,板の片側全面に膜を形成させ,自由

端に生じる変位を測定することによって内部応力を評価する方法。 

cantilever method 

9063 

微小硬さ試験 

特定の小部分の硬さを測定する試験。 

参考 ビッカース硬さ試験及びヌープ硬さ試験がある。 

microhardness test 

9064 

耐磨耗性試験 

表面処理(1001参照)した材料が他の材料と擦れ合うとき,擦り減らさ

れる程度を測定することなどによって摩耗に耐える性質を調べる試験。 

abrasion resistant test 

9065 

耐久性試験 

表面処理(1001参照)した試料に繰り返し応力又は変動応力を加えて,

疲れ寿命や疲れ限界などを求める試験。 

参考 応力の種類に応じて,ねじり疲れ試験,軸荷重疲れ試験,回

転曲げ疲れ試験,平面曲げ疲れ試験などに分類される。 

durability test 

background image

24 

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

9066 

繰り返し加熱試

験 

表面処理(1001参照)した試料を繰り返し加熱・冷却して,割れ,はく

離などの発生状態を調べる試験。 

repeated heating test 

9067 

恒温試験 

常温,低温又は高温の恒温雰囲気中で表面処理膜などの変化を調べる試

験。 

constant temperature test 

9068 

耐食性試験 

液体や気体中での材料の腐食の起こりにくさ及び表面処理(1001参照)

の効果を調べる試験。 

参考 浸せき試験,耐食塩水性試験,塩水噴霧試験,暴露試験など

がある。 

corrosion resistant test 

9069 

湿度試験 

湿り水蒸気の雰囲気中での表面処理膜の表面変化を調べる試験。 

high humidity test 

9070 

浸せき試験 

表面処理(1001参照)された試料を試験液中に浸して皮膜の割れ,はく

離などの状態を調べる試験。 

参考 試験片全体を溶液に浸せきする場合は,完全浸せき試験,一

部分を浸せきする場合は部分浸せき試験という。 

dipping test 

9071 

噴霧試験 

溶液の噴霧中に試料を暴露させ,耐食性を調べる試験。 

参考 溶液の種類によって,塩水噴霧試験,キャス試験,酢酸塩水

噴霧試験などがある。 

spray test 

9072 

ガス試験 

ガスを含む雰囲気中に試料を暴露して耐食性を調べる試験。 

参考 亜硫酸ガス試験などがある。 

gas exposure test 

9073 

屋外暴露試験 

屋外の大気中に表面処理(1001参照)した試料を暴露し,日光,風雨,

大気汚染などによる膜の割れ,はく離などの状態を調べる試験。 

outdoor exposure test 

9074 

耐候性試験 

自然条件の影響を受けて,時間の経過とともに起こる材料の物理的及び

化学的変化を調べる試験。 

weather resistant test 

25 

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ドライプロセス表面処理用語工業標準新規原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

沖   猛 雄 

名古屋大学工学部 

(委員) 

明 石 和 夫 

東京理科大学工学部 

麻 蒔 立 男 

日電アネルバ株式会社 

池 田   要 

工業技術院標準部 

岩 木 正 哉 

理化学研究所 

上 田 新次郎 

株式会社日立製作所 

○ 大 山 昌 憲 

国立東京工業高等専門学校 

○ 亀 山 哲 也 

工業技術院化学技術研究所 

神 戸 徳 蔵 

工業技術院製品科学研究所 

金 原   粲 

東京大学工学部 

黄   燕 清 

東海大学工学部 

○ 河 野   昌 

株式会社アルバック・コーポレートセンター 

木 島 弌 倫 

京都工芸繊維大学 

権 田 俊 一 

大阪大学産業科学研究所 

鹿 田 順 生 

工業技術院機械技術研究所 

鈴 木 六 郎 

社団法人表面技術協会 

瀬 高 信 雄 

科学技術庁無機材質研究所 

○ 高 井   治 

関東学院大学工学部 

高 木 俊 宜 

株式会社イオン工学研究所 

○ 高 谷 松 文 

千葉工業大学 

○ 武 井   厚 

科学技術庁金属材料技術研究所 

○ 竹 内   学 

茨城大学工学部 

堂 山 昌 男 

西東京科学大学 

直 江 正 彦 

東京工業大学工学部 

永 山 嘉 重 

日本半導体製造装置協会 

西 村   允 

科学技術庁航空宇宙研究所 

針 生   尚 

東北大学工学部 

○ 藤 田 安 彦 

東京都立科学技術大学 

藤 本 正 友 

日本電信電話株式会社電気通信研究所 

牧 浦 宏 文 

財団法人大阪科学技術センター 

光 川   寛 

通商産業省基礎産業局 

村 山 洋 一 

東洋大学工学部 

堀 池 靖 浩 

広島大学工学部 

湯 川 憲 一 

財団法人金属系材料研究開発センター 

吉 田 貞 史 

工業技術院電子技術総合研究所 

○印……小委員会委員 

26 

H 0211-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ドライプロセス表面処理用語W.G. 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

浅 場 修 司 

株式会社徳田製作所 

朝 日 直 達 

日立粉末冶金株式会社 

石 田   裕 

日本ペイント株式会社 

伊 藤 健 二 

株式会社半導体エネルギー研究所 

稲 川 幸之助 

日本真空技術株式会社 

稲 葉 正 義 

日本建鉄株式会社 

上 野   保 

東成エレクトロビーム株式会社 

浦 尾 亮 一 

茨城大学工学部 

影 近   博 

日本鋼管株式会社鉄鋼研究所 

柏 木 邦 宏 

東洋大学工学部 

菊 池 則 文 

三菱金属株式会社 

久保田 英 志 

株式会社アフティ 

小 川 健 一 

セイコー電子工業株式会社 

小 林 邦 明 

住友金属鉱山株式会社 

小 巻 邦 雄 

株式会社昭和電工 

斎 藤 一 男 

科学技術庁金属材料技術研究所 

杉 村 博 之 

新技術事業団 

柴 垣 正 弘 

株式会社昭和真空 

大工原 茂 樹 

真空器械工業株式会社 

高 尾 敏 弘 

株式会社JAT総合研究所 

高 津 宗 吉 

東芝タンガロイ株式会社 

滝 沢 貴久男 

三洋電機株式会社 

寺 島 慶 一 

千葉工業大学 

土 岐 和 之 

日本電子株式会社 

仁 平 宣 弘 

東京都立工業技術センター 

馬 場   茂 

東京大学工学部 

堀 口 青 史 

日電アネルバ株式会社 

松 坂 菊 生 

東洋製罐グループ綜合研究所 

松 沢 昭 生 

日本エー・エス・エム株式会社 

安 永 暢 男 

新日本製鐵株式会社 

山 崎   徹 

シチズン時計株式会社 

渡 辺 武 司 

神奈川県工業試験所