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G 1258-7:2007  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 一般事項 ························································································································· 1 

4 要旨······························································································································· 1 

5 試薬······························································································································· 2 

6 器具及び装置 ··················································································································· 2 

6.1 ほう素蒸留器具 ············································································································· 2 

6.2 ICP発光分光分析装置····································································································· 2 

7 試料はかりとり量 ············································································································· 3 

8 操作······························································································································· 3 

8.1 試料溶液の調製 ············································································································· 3 

8.2 発光強度の測定 ············································································································· 3 

9 空試験···························································································································· 4 

10 検量線の作成 ················································································································· 4 

11 検量線の校正 ················································································································· 4 

12 計算 ····························································································································· 4 

13 許容差 ·························································································································· 5 

G 1258-7:2007  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本鉄鋼連盟(JISF)から,工業標準

原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大

臣が制定した日本工業規格である。 

これによって,JIS G 1258:2005は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

JIS G 1258の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS G 1258-0 第0部:一般事項 

JIS G 1258-1 第1部:けい素,マンガン,りん,ニッケル,クロム,モリブデン,銅,バナジウム,

コバルト,チタン及びアルミニウム定量方法−酸分解・二硫酸カリウム融解法 

JIS G 1258-2 第2部:マンガン,ニッケル,クロム,モリブデン,銅,タングステン,バナジウム,

コバルト,チタン及びニオブ定量方法−硫酸りん酸分解法 

JIS G 1258-3 第3部:けい素,マンガン,りん,ニッケル,クロム,モリブデン,銅,バナジウム,

コバルト,チタン及びアルミニウム定量方法−酸分解・炭酸ナトリウム融解法 

JIS G 1258-4 第4部:ニオブ定量方法−硫酸りん酸分解法又は酸分解・二硫酸カリウム融解法 

JIS G 1258-5 第5部:ほう素定量方法−硫酸りん酸分解法 

JIS G 1258-6 第6部:ほう素定量方法−酸分解・炭酸ナトリウム融解法 

JIS G 1258-7 第7部:ほう素定量方法−ほう酸トリメチル蒸留分離法 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

G 1258-7:2007 

鉄及び鋼−ICP発光分光分析方法− 

第7部:ほう素定量方法− 

ほう酸トリメチル蒸留分離法 

Iron and steel−ICP atomic emission spectrometric method− 

Part 7: Determination of boron content−Distillation as trimethyl borate 

序文 

この規格は,JIS G 1258:2005の附属書10の規定内容について,JIS G 1258の規格群の他の部と整合性

をとって作成した規格である。 

適用範囲 

この規格は,ICP発光分光分析法による鋼中のほう素定量方法のうち,ほう酸トリメチル蒸留分離法に

ついて規定する。この方法は,ほう素含有率(質量分率)0.000 1 %以上0.010 %以下の定量に適用する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS G 1258-0 鉄及び鋼−ICP発光分光分析方法−第0部:一般事項 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部:精確さに関する値の実用的

な使い方 

一般事項 

定量方法に共通な一般事項は,JIS G 1258-0による。 

要旨 

試料を塩酸と硝酸とで分解し,硫酸及びりん酸を加え,加熱して三酸化硫黄の白煙を発生させる。メタ

ノールを加え,ほう素をほう酸トリメチルとして蒸留し,ほう酸トリメチルを水酸化ナトリウムに吸収さ

せる。留出液を蒸発乾固した後,塩酸で塩類を溶解し,溶液をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ

中に噴霧して,ほう素の発光強度を測定する。 

注記 発光強度を測定する分析線については,JIS G 1258-0の5.1に規格群共通規定が記載されてい

る。この規格での使用に適したほう素の分析線としては,249.77 nmなどがある。 

G 1258-7:2007  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試薬 

試薬は,次による。 

注記 試薬のうち,標準液については,JIS G 1258-0の5.3に規格群共通規定が記載されている。 

5.1 

塩酸 

5.2 

塩酸(1+1) 

5.3 

硝酸 

5.4 

硝酸(1+1) 

5.5 

硫酸 

5.6 

りん酸 

5.7 

水酸化ナトリウム溶液(8 g/L) 

5.8 

鉄 純度の高い鉄で,ほう素含有率が質量分率0.000 05 %以下で既知のもの。 

5.9 

キャリヤーガス 窒素,アルゴン又は乾燥空気 

5.10 メタノール 

5.11 ほう素標準液原液(B 100 µg/mL) ほう酸0.572 0 gをはかりとってビーカー(200 mL)に移し入

れ,水約50 mLを加えて溶解する。溶液を1 000 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線ま

で薄めて原液とする。 

5.12 ほう素標準液A(B 10 µg/mL) ほう素標準液原液(5.11)を使用の都度,必要量だけ水で正確に10

倍に薄めてほう素標準液Aとする。 

5.13 ほう素標準液B(B 1 µg/mL) ほう素標準液原液(5.11)を使用の都度,必要量だけ水で正確に100

倍に薄めてほう素標準液Bとする。 

5.14 ほう素標準液C(B 0.25 µg/mL) ほう素標準液A(5.12)を使用の都度,必要量だけ水で正確に40

倍に薄めてほう素標準液Cとする。 

器具及び装置 

6.1 

ほう素蒸留器具 

ほう素蒸留器具は,通常,次のものを用いる。 

a) 蒸留器 石英ガラス製の蒸留フラスコ(200 mL),試薬注入管及び冷却管で構成する(図1参照)。 

b) 受器 35 mLに相当する箇所に印を付けた石英ガラスビーカー(100 mL)。 

c) 加熱器 磁気かき混ぜ機付きで,メタノール30 mLを15〜20分間で蒸留できるもの。 

6.2 

ICP発光分光分析装置 

6.2.1 

性能基準 

この規格で用いるICP発光分光分析装置は,6.2.2に規定する短時間安定性を満足するように,分析線,

励起条件,測光条件などを選定しなければならない。 

6.2.2 

短時間安定性 

箇条10 c) で調製した検量線用溶液を用いて,ほう素の濃度ごとに8.2の操作を連続10回行って発光強

度比を10個求め,各濃度の10個の平均発光強度比と添加したほう素量との関係線を作成して検量線とす

る。この検量線を用いて10個の個々の発光強度比をほう素量に換算し,ほう素量を試料0.5 g中の含有率

[質量分率(%)]に換算する。短時間安定性として,濃度ごとに得られた10個の含有率換算値の標準偏

差が,表1に規定するほう素含有率と評価基準値との関係を両対数グラフ上に直線で図示した関係線にお

いて,ほう素含有率に含有率換算値の平均値を代入して求めた評価基準値以下でなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1−短時間安定性の評価基準値 

ほう素含有率[質量分率(%)] 

0.000 10 

0.010 

評価基準値[質量分率(%)] 

0.000 02 

0.000 2 

6.2.3 

性能基準の調査頻度 

性能基準の調査は,期間を定めて定期的に行う。分析条件の変更,オーバーホールなど,装置の状態が

変わる可能性がある場合には,必ず行わなければならない。 

試料はかりとり量 

試料のはかりとり量は,0.50 gとする。 

操作 

8.1 

試料溶液の調製 

試料溶液の調製は,次の手順によって行う。 

a) 試料をはかりとってほう素蒸留器具(6.1)の蒸留フラスコ(200 mL)に移し入れる。 

b) 塩酸10 mL及び硝酸5 mLを加える。硝酸だけで分解容易な試料は,硝酸(1+1)15 mLだけを加え

てもよい。室温で放置し,試料の分解が進まなくなった後,加熱して試料を完全に分解する。りん

酸10 mL及び硫酸5 mLを加え,引き続き加熱し,三酸化硫黄の白煙が発生してから290±10 ℃で30

分間加熱した後,室温まで放冷する。温度の制御は,石英ガラス製三角フラスコ(200 mL)にりん酸

10 mL及び硫酸5 mLを加えて加熱し,硫酸白煙を発生させた状態で温度計によって確認しながら行

う。 

c) ほう素蒸留器具の受器に水酸化ナトリウム溶液(8 g/L)5 mLを入れ,冷却管流出口の先端がその中

に浸るようにする。b) で得た試料溶液が入っている蒸留フラスコ内に磁気かき混ぜ機の四ふっ化エチ

レン樹脂(PTFE)被覆回転子を入れ,ほう素蒸留器具を組み立てる。冷却管には10 ℃以下の冷水を

通す。磁気かき混ぜ機でかき混ぜながらメタノール50 mLを試薬注入管から蒸留フラスコ内に少しず

つ加える1)。蒸留フラスコ内に受器の溶液が逆流しない程度にキャリヤーガス送入口からキャリヤー

ガス(5.9)を送りながら15〜20分間で30 mLが留出するように加熱器で加熱する。受器中の液量が

約35 mLになったら加熱を止め,冷却管流出口の先端を少量のメタノールで洗浄する。洗液は,留出

液に合わせる。 

注1) 操作の注意点として,突沸や受器への溶液の逆流を起こさないことが挙げられる。 

d) 留出液及び洗液を白金皿(100番),PTFEビーカー(100 mL)又は石英ガラス製ビーカー(100 mL)

に少量のメタノールを用いて移し入れ,沸騰しない程度に加熱してメタノールを蒸発させ,更に加熱

を続けて蒸発乾固した後,室温まで放冷する。 

e) 塩酸(1+1)10 mLを加えて塩類を溶解し,あらかじめ体積をJIS K 0050の附属書5の3.(全量フラ

スコの校正方法)に従って校正したポリエチレン又は石英ガラス製の50 mL全量フラスコに水を用い

て移し入れ,水で標線まで薄める。 

8.2 

発光強度の測定 

8.1 e) で得た溶液の一部をICP発光分光分析装置(6.2)のアルゴンプラズマ中に噴霧し,ほう素の発光

強度を測定する。 

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空試験 

鉄(5.8)0.500 gをはかりとって蒸留フラスコ(200 mL)に移し入れる。以下,8.1のb)〜e) 及び8.2の

手順に従って,試料と同じ操作を試料と併行して行う。 

10 検量線の作成 

検量線の作成は,次の手順によって行う。 

注記 検量線の作成については,JIS G 1258-0の5.5に規格群共通規定が記載されている。 

a) 表2に規定する試料中のほう素含有率の範囲ごとに6個の蒸留フラスコ(200 mL)を用意し,それぞ

れに鉄(5.8)0.500 gをはかりとって移し入れる。 

b) 表2に従ってほう素標準液を正確に加える。 

c) 8.1のb)〜e) の操作を行って,検量線用溶液とする。検量線用溶液は,試料と併行に調製する。 

d) 8.2に従ってほう素の発光強度を測定する。検量線用溶液の発光強度の測定は,試料と併行に行う。 

e) 各検量線用溶液の発光強度と添加したほう素量との関係線を作成して検量線とする。 

表2−検量線用溶液へのほう素標準液添加量 

単位 mL 

検量線No. 

試料中のほう素含有率(質量分率) 

0.000 1 %以上 0.002 0 %以下 

試料中のほう素含有率(質量分率) 

0.002 0 %以上 0.010 %以下 

添加標準液 

添加量 

添加標準液 

添加量 

1(ゼロメンバー)  

ほう素標準液C(5.14) 

ほう素標準液A(5.12) 

ほう素標準液B(5.13) 

ほう素標準液A(5.12) 

ほう素標準液B(5.13) 

ほう素標準液A(5.12) 

ほう素標準液B(5.13) 

ほう素標準液A(5.12) 

ほう素標準液A(5.12) 

ほう素標準液A(5.12) 

11 検量線の校正 

作成した検量線の経時変化は,ほう素添加量の異なる2個の検量線用溶液2) を用意して,8.2によって発

光強度を測定し,得た発光強度の検出量換算値が検量線作成時におけるそれら溶液の検出量換算値と一致

するように,検量線を校正する。ただし,検量線の校正は,併行に調製した試料溶液の測定において,検

量線が経時変化を起こしたときにだけ行う。 

注2) 例えば,検量線用溶液の上限及び下限の2個を用いる。 

12 計算 

8.2及び空試験(箇条9)で得た発光強度を,箇条10で作成した検量線又は箇条11で校正した検量線に

よってほう素量に換算し,試料中のほう素含有率を,式 (1) によって算出する。 

注記 計算については,JIS G 1258-0の5.6に規格群共通規定が記載されている。 

100

3

2

1

×

+

m

m

m

m

B=

 ····························································· (1) 

ここに, 

B:試料中のほう素含有率[質量分率(%)] 

m1:試料溶液中のほう素検出量(g) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

m2:空試験液中のほう素検出量(g) 

m3:空試験ではかりとった鉄(5.8)に含まれるほう素量(g) 

m:試料はかりとり量(g) 

13 許容差 

許容差は,表3による。 

表3−許容差 

ほう素定量値の平均値 

[質量分率(%)] 

併行許容差 

[質量分率(%)] 

室内再現許容差 

[質量分率(%)] 

室間再現許容差 

[質量分率(%)] 

0.000 1以上 
0.010  以下 

  f(n)× 
  [0.014 1×(B)+0.000 014] 

  f(n)× 
  [0.019 5×(B)+0.000 017] 

  f(n)× 
  [0.028 3×(B)+0.000 033] 

許容差計算式中のf(n) の値は,JIS Z 8402-6の表1による。nの値は,併行許容差の場合は併行分析回数,室内

再現許容差の場合は同一分析室内における分析回数,室間再現許容差の場合は分析に関与した分析室数である。ま
た,(B)は,許容差を求めるほう素定量値の平均値[質量分率(%)]である。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

図1−蒸留器の例 

記号 

1 試薬注入管 

2 蒸留フラスコ 

3 回転子 

4 冷却器 

5 冷却水