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G 0597:2017  

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 試験溶液························································································································· 1 

3.1 混合塩溶液 ··················································································································· 1 

3.2 混合塩溶液の作製 ·········································································································· 1 

3.3 試験溶液の作製 ············································································································· 2 

4 試験装置························································································································· 2 

5 試験片···························································································································· 3 

5.1 試験片の種類,その数及び寸法 ························································································ 3 

5.2 試験片の表面状態の調整 ································································································· 3 

6 塩分付着量の測定方法 ······································································································· 3 

7 試験片の配置 ··················································································································· 3 

8 操作条件及び手順 ············································································································· 4 

9 試験後の試験片の処理 ······································································································· 6 

10 試験の継続 ···················································································································· 6 

11 試験期間 ······················································································································· 7 

12 試験結果の表し方 ··········································································································· 7 

13 試験報告書 ···················································································································· 7 

附属書A(参考)塩分付着ユニットを用いる複合サイクル試験装置(2試験槽型) ··························· 8 

附属書B(参考)塩分付着ユニットを用いる複合サイクル試験装置(1試験槽型) ···························· 9 

附属書C(参考)手動噴霧による塩分付着方法 ········································································· 10 

附属書D(参考)この規格の試験結果と実環境暴露試験との相関·················································· 11 

附属書JA(規定)海水の腐食性評価を模擬するための試験溶液 ··················································· 12 

附属書JB(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 13 

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(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

日本工業規格          JIS 

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絶対湿度一定下におけるステンレス鋼の 

乾湿繰返し促進腐食試験方法 

Accelerated cyclic corrosion tests with dry and wet conditions  

at constant absolute humidity for stainless steels 

序文 

この規格は,2013年に第1版として発行されたISO 16539を基とし,国内実情を反映するため,技術的

内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。 

適用範囲 

この規格は,大気環境におけるステンレス鋼の腐食挙動を評価する促進腐食試験方法について規定する。

この規格は,腐食試験で使用する装置も規定する。この腐食試験には,塩分付着条件,及び絶対湿度1)一

定下における乾燥・湿潤条件を含む。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 16539:2013,Corrosion of metals and alloys−Accelerated cyclic corrosion tests with exposure to 

synthetic ocean water salt-deposition process−"Dry" and "wet" conditions at constant absolute 

humidity(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

注1) 絶対湿度とは,体積1 m3の空気中に含まれる水蒸気の質量(g)をいう。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS G 0595 ステンレス鋼の表面さび発生程度評価方法 

試験溶液 

3.1 

混合塩溶液 

本試験で使用する混合塩溶液は,市販の人工海水又は附属書JAで規定する代替用海水溶液若しくは3.2

の規定で作製する混合塩溶液を使用する。 

3.2 

混合塩溶液の作製 

この混合塩溶液の組成は,附属書JAに示す代替用海水溶液と同じである。溶液の作製は,3.2及び附属

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書JAによる。 

表1に示す試薬を25 ℃±2 ℃で20 μS/cm以下の伝導率をもつ蒸留水又は脱イオン水に溶解し,濃度が

36.0 g/L±3.6 g/Lの混合塩溶液を作製する。試薬は全て特級を使用する。 

表1−混合塩溶液の試薬及びその濃度 

単位 g/L 

試薬 

濃度 

塩化ナトリウム(NaCl) 

24.53 

塩化マグネシウム(MgCl2) 

5.20 

硫酸ナトリウム(Na2SO4) 

4.09 

塩化カルシウム(CaCl2) 

1.16 

塩化カリウム(KCl) 

0.695 

炭酸水素ナトリウム(NaHCO3) 

0.201 

臭化カリウム(KBr) 

0.101 

ほう酸(H3BO3) 

0.027 

塩化ストロンチウム(SrCl2) 

0.025 

ふっ化ナトリウム(NaF) 

0.003 

警告 塩化ストロンチウム(SrCl2)及びふっ化ナトリウム(NaF)の取扱いは危険であり,熟練した

作業者が使用するか又は熟練した作業者の管理の下で実施する。 

溶液のpHを調整するため,0.125 mol/L水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を用いる。この溶液を作製す

るため,5.0 g±0.5 gの水酸化ナトリウムを蒸留水又は脱イオン水に溶解し,全容積1 Lに希釈する。25 ℃

±2 ℃においてpHを8.2±0.1に調整するため,作製した混合塩溶液にこの溶液を適量加える。 

3.3 

試験溶液の作製 

試験溶液は,3.2の混合塩溶液を原液のまま,並びに濃度が1/5及び1/25になるように希釈して,36.0 g/L

±3.6 g/L,7.20 g/L±0.72 g/L及び1.44 g/L±0.144 g/Lの混合塩溶液とする。 

なお,濃度が指定されていない場合は,試験溶液の濃度は受渡当事者間の協定による。 

試験装置 

4.1 

構成部品の耐食性 試験溶液と接触する全ての構成部品は,試験溶液に対して耐食性があり,また,

噴霧された試験溶液の腐食性に影響を与えない材料によって製作するか又はライニングする。試験装置は,

4.2〜4.4に規定する構成部品を含まなければならない。 

4.2 

暴露試験槽 暴露試験槽の温度及び湿度を制御できるものでなければならない。 

4.3 

塩分付着装置 噴霧器は,耐食材料(例えば,ガラス,プラスチック,チタンなど)を使用する。

噴霧された試験溶液は,試験片表面に均一に付着させる。また,試験溶液の付着量を制御し,所定の塩分

量を試験片表面に付着させる。 

なお,試験片表面に付着する液滴の大きさを均一に制御するため,塩分付着装置から噴霧する試験溶液

の直径は微細なものであることが望ましい。 

試験溶液の付着量は,次の方法で制御することができる。 

a) 連続噴霧の場合には,噴霧時間を制御する。 

b) 試験溶液の量,噴霧圧力及び噴霧器の移動速度を制御する。噴霧器に供給する圧縮空気は,微量な油

及び固形物を全て取り除くためフィルターを通す。 

c) 手動噴霧の場合には,あらかじめ噴霧量を調整したスプレーの噴霧回数を制御する。 

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4.4 

温度及び湿度制御装置 試験片周囲の温度及び湿度を検出し,制御できるものでなければならない。

温度及び湿度の移行期間では,目標値及び試験時間に対して乾球温度を直線的に制御できなければならな

い。また,乾球温度に対して相対湿度を制御することによって,絶対湿度を一定に保たなければならない。 

4.5 

試験装置の種類 4.2〜4.4に規定する要件を満足する3種類の試験装置は,次のいずれかとする。 

a) 2試験槽型(自動式) 試験片は,塩分付着装置と暴露試験槽との間を移動する。噴霧器は,前後左右

に移動し,各試験片の塩分付着量を変えることが可能である。次に,試験片は暴露試験槽に移動し,

湿潤・乾燥サイクルと洗浄処理とが自動的に実施される(附属書A参照)。 

b) 1試験槽型(自動式) 一つの試験槽に試験片を入れる。噴霧器をセットし,湿潤・乾燥サイクルと洗

浄処理とが自動的に実施される(附属書B参照)。 

c) 1試験槽型(手動式) 手作業による塩分付着後(4.3),試験片は湿潤・乾燥サイクル用の試験槽に入

れる。湿潤・乾燥サイクル終了後,試験片をこの試験槽から取り出して洗浄処理を実施する。塩分付

着後,試験片はなるべく早く試験槽に入れなければならない(附属書C参照)。 

試験片 

5.1 

試験片の種類,その数及び寸法 

試験片の種類(種類の記号,表面仕上げなど)及びその数は,試験対象の材料又は製品の仕様に従って

選ばなければならない。個別規格に規定がない場合は,受渡当事者間の協定による。また,試験片の寸法

は,50 mm×50 mmとするのが望ましい。 

5.2 

試験片の表面状態の調整 

試験片は,塩分付着前に表面状態をそろえるため,次の手順で脱脂処理を行う。 

a) 市販の中性洗剤で試験片表面を洗浄する。ビニール製などの手袋を使用して試験片のエッジをつかみ,

脱脂綿に中性洗剤(少量)及び水道水を含ませて,試験片の表面を軽くこする。 

b) 洗浄後,直ちに試験片の表裏面を丁寧に水道水で洗い流す。中性洗剤は,ステンレス鋼を腐食する成

分を含むため,十分に洗い流す。 

c) その後,試験片表面を乾燥させることなく,直ちに蒸留水又は脱イオン水をかけることで水道水を洗

い流す。 

d) 空気(温風でもよい。)又は窒素ガスを吹き付けて乾燥させる。試験片面上に,水滴を残さない。 

e) エタノール中で超音波洗浄を1分間行う。 

f) 

空気(温風でもよい。)又は窒素ガスを吹き付けて乾燥させる。試験片面上に,液滴を残さない。 

塩分付着量の測定方法 

試験溶液は,試験片の表面に塩分を付着させるために使用する。平均塩分付着量は,塩分付着工程の前

後における試験片の質量変化から求める。質量の計測は,1 mgの桁まで測定する。この測定は,付着した

液滴が乾燥するのを防止するため,なるべく手早く実施する。 

試験片の配置 

試験片への塩分付着の後,試験片は試験槽に入れる。試験片は試験槽に接触しないように配置する。試

験槽のある高さに置かれた試験片又は試験片支持具から,その下に置かれた試験片の上に,結露した水滴

が落ちない限り,複数の試験片を試験槽内の異なる高さに置いてもよい。 

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操作条件及び手順 

試験は,図中に示す温度,相対湿度及び処理時間に設定し,図1の操作手順に従って次のとおり実施す

る。表2に操作条件,試験装置で設定する温度,相対湿度及び時間を示す。 

なお,塩分付着に使用された試験溶液のうち噴霧して試料に付着せずに飛び散った試験溶液は,再使用

してはならない。また,試験中,試験槽内の圧力は大気圧に維持する。 

a) 温度30±1 ℃,相対湿度(RH)90±5 %に設定した試験装置内に,試験溶液噴霧後の試験片を,噴霧

面を上にして水平に設置する。 

b) その後,図1 b)の温度湿度パターンを1サイクル実施する。温度及び相対湿度は,指定された時間間

隔で直線的に変化させなければならない(図1及び表2の⑥参照)。 

c) 試験片表面に付着している塩分を洗い流すため,水道水,蒸留水又は脱イオン水を静かに試験片にか

ける。 

d) 試験片の表面から腐食生成物を取り除かないように空気(温風でもよい。)又は窒素ガスを吹き付けて,

乾燥させる。 

e) 乾燥後,再度,試験溶液の噴霧を行い,表2の①〜④の手順を所定の試験期間繰り返す。 

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a) フローチャート 

b) 手順図 

図1−操作手順 

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表2−操作条件 

手順 

条件 

① 塩分付着処理 

1) 温度 

1) 室温(25±2 ℃) 

2) 試験溶液 

2) 箇条3に規定 

3) 頻度 

3) 試験開始時及び各サイクルの後 

4) 付着量 

4) 試験片に付着した試験溶液の量は,0.025 g/cm2

±0.002 5 g/cm2でなければならない。 

② 乾燥処理 

温度 

相対湿度(RH) 

1) A 

(49±1) ℃ 

(32±5) %RH 

2) B 

(54±1) ℃ 

(25±5) %RH 

3) C 

(55±1) ℃ 

(24±5) %RH 

4) D 

(54±1) ℃ 

(25±5) %RH 

5) E 

(49±1) ℃ 

(32±5) %RH 

③ 湿潤処理 

(30±1) ℃ 

(90±5) %RH 

④ 洗浄乾燥処理 

水道水,蒸留水又は脱イオン水を用いて洗浄する。
ただし,水温は40 ℃を超えてはならない。 
試験片の表面から腐食生成物を取り除かないように
空気(温風でもよい。)又は窒素ガスを吹き付けて,
乾燥させる。 

⑤ 単一暴露サイクルの長さ及び構成

(単一暴露サイクルは24時間) 

“湿潤” 

6時間36分 

“乾燥” 10時間48分 
“湿潤” 

6時間36分 

⑥ 単一暴露サイクル内において規定

条件に達するまでの時間 

“湿潤”から“乾燥A”まで2時間22分 
“乾燥A”から“乾燥B”まで1時間40分 
“乾燥B”から“乾燥C”まで1時間22分 
“乾燥C”から“乾燥D”まで1時間22分 
“乾燥D”から“乾燥E”まで1時間40分 
“乾燥E”から“湿潤”まで2時間22分 

注記1 温度及び相対湿度は,指定された時間間隔で直線的に変化させなければならない(こ

の表の⑥参照)。連続した乾燥Aから乾燥Eは,同じ露点30 ℃の絶対湿度を与える。 

注記2 温度,相対湿度及び時間の値は,試験装置の設定値を表す。 

試験後の試験片の処理 

試験期間終了後,試験片を試験槽から取り出して洗浄する前に,腐食生成物が除去されるリスクを減ら

すため,0.5時間から1時間乾燥しなければならない。試験片を調べる前に,噴霧された溶液の残留物を表

面から注意深く除去するため,試験片を40 ℃以下の流水(水道水,蒸留水又は脱イオン水)に静かに浸

し,次に,直ちに0.2 MPa以下の圧力で噴出させた大気,窒素ガスなどの不活性ガスの気流中(25±2 ℃)

で乾燥させる。 

10 試験の継続 

試験は,試験期間中は中断せずに続けることが望ましい。操作を中断する必要がある場合,中断期間は

最小限にしなければならない。 

試験を中断する必要がある場合,試験片を試験槽から取り出して箇条9に規定する方法で処理し,その

後試験が再開されるまでデシケーター(温度25±2 ℃,相対湿度30 %以下)の中で保管しなければなら

ない。 

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11 試験期間 

試験期間は,試験対象の材料又は製品を扱う仕様と必要性に応じ,注文者が指定する。指定されない場

合,試験期間は,受渡当事者間の協定又は試験実施者の選定による。 

推奨する試験期間は,次のとおりである。 

3サイクル(72時間),7サイクル(168時間),12サイクル(288時間),21サイクル(504時間)及び

42サイクル(1 008時間) 

12 試験結果の表し方 

試験結果の表し方は,次の事項から選択する。 

a) 腐食発生までの経過時間 

b) 試験後の外観 

c) JIS G 0595によるレイティングナンバ(附属書D参照) 

d) 表面の腐食生成物を取り除いた後の外観[腐食生成物除去方法は,JIS Z 2371の表JB.1(腐食生成物

の化学的除去方法)又はISO 8407を参照] 

e) 質量の変化 

f) 

孔食深さ(測定方法は,受渡当事者間の協定による。) 

注記 孔食深さの測定方法には,探針式接触測定法,光学顕微鏡による焦点深度法,レーザ顕微鏡

による三次元形状測定法などがある。 

13 試験報告書 

試験報告書には,次の事項を記載する。 

a) この規格で試験した旨の記載:JIS G 0597 

b) 試験装置の説明 

c) 試験した材料の説明 

d) 試験片の寸法,形状及び表面仕上げ,並びに試験面積 

e) 試験前の洗浄処理及び端部保護を含めた試験片作製の詳細 

f) 

試験溶液の濃度,塩分付着量及び塩分付着手順 

g) 各塩分付着工程及び試験時の“乾燥”及び“湿潤”条件における温度及び相対湿度 

h) 中断の頻度及び期間 

i) 

試験期間 

j) 

試験後に試験片を洗浄するために用いた方法 

k) 試験結果 

l) 

必要な場合には,試験片の外観写真 

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附属書A 

(参考) 

塩分付着ユニットを用いる複合サイクル試験装置(2試験槽型) 

記号 

噴霧器 

乾燥室 

試験片保持器 

試験片トレイ 

試験片 

試験片移動用ローラー・試験片駆動ユニット 

フィルター 

ノズル駆動ユニット 

ホスティングドア 

10 暴露試験槽 

 
11 ブロア用モーター 
12 空気加熱器 
13 冷却ユニット 
14 冷却装置 
15 洗浄用ノズル 
16 ブロワ(水滴除去用) 
17 排出物処理ユニット 
18 排気ブロワ 
19 ポンプ 

図A.1−塩分付着ユニットを用いる複合サイクル試験装置(2試験槽型) 

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附属書B 

(参考) 

塩分付着ユニットを用いる複合サイクル試験装置(1試験槽型) 

記号 

ブロワ(水滴除去用) 

噴霧器 

試験片 

溶液供給槽 

溶液供給ポンプ 

ブロア用モーター 

 

洗浄用ノズル 

制御盤 

冷却装置 

10 空気加熱器 
11 冷却ユニット 
 

図B.1−塩分付着ユニットを用いる複合サイクル試験装置(1試験槽型) 

10 

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附属書C 
(参考) 

手動噴霧による塩分付着方法 

C.1 装置 

装置は,次のいずれかによる。 

a) 試験溶液を噴霧する装置は,ノズル先端を回転させて噴霧量が調整できる手動式スプレーを使用する

ことが望ましい。ノズルの調整は,例えば,1/5に希釈した試験溶液を使用した場合,30回のスプレ

ー噴霧で0.025 g/cm2±0.002 5 g/cm2の付着塩水量になるように行う。調整後は,ノズルが回転しない

ようにテープなどで固定する。 

b) 試験溶液を噴霧する装置は,清浄な空気,制御された圧力の供給,及び噴霧される溶液を含む容器で

構成することが望ましい。 

噴霧圧力は,0.12 MPa〜0.3 MPaとし,できるだけ一定圧の0.15 MPaに制御することが望ましい。 

C.2 塩分付着方法 

塩分付着方法は,次による。 

a) 箇条5によって表面状態を調整した試験片を,塩分付着装置の前に水平に置くことが望ましい。 

b) 噴霧ノズルから試験片までの距離を300 mmとする。試験片の高さはノズルから50 mm低くする。 

c) 試験溶液は,試験片の表面に塩分を付着させるために必要な噴霧回数で噴霧することが望ましい。 

d) 平均塩分付着量は,塩分付着工程の前後における試験片の質量変化によって1 mgの桁まで測定する。

この測定は,試験片が乾燥するのを防止するため,なるべく手早く実施する。 

e) 塩分付着は,気流の影響がないところで実施する。 

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附属書D 
(参考) 

この規格の試験結果と実環境暴露試験との相関 

ISO 9223の腐食性区分に従ってC3〜C5と分類された海浜及び海洋環境(千葉県銚子市,沖縄県宮古島

市及び沖縄県うるま市)において直接暴露された試験片の腐食と,この規格で規定した促進腐食試験との

相関関係を調査した代表的な結果を以下に示す。 

海浜及び海洋環境において暴露されたステンレス鋼と,この規格の促進腐食試験によって得られた試験

片の表面観察から得られたレイティングナンバとの相関関係を表D.1に示す。使用されたステンレス鋼の

表面仕上げは,SUS447J1はJIS G 4305に規定されたBAであり,他の7種類はNo.2Bである。 

この相関関係は,あくまでも相対的な評価結果であり,ステンレス鋼の耐食性に対する絶対的な評価結

果を示すものではない。 

表D.1−異なる腐食試験におけるさび発生程度の比較 

種類の記号 

(ISO番号) 

JIS G 0595によるレイティングナンバ 

この規格による促進腐食試験a) 

(混合塩溶液1/5希釈) 

12サイクル 

実環境暴露試験b) 

(1年,直接暴露試験) 

SUS410L(4030-410-90-X) 

2〜3 

0〜2 

SUS430(4016-430-00-I) 

3〜4 

1.5〜4 

SUS445J1(4128-445-92-J) 

3.5〜5 

5〜7 

SUS447J1(4135-447-92-C) 

6〜9 

8〜9 

SUS304(4301-304-00-I) 

2.5〜3 

1.5〜3 

SUS316(4401-316-00-I) 

4〜5 

3〜5.5 

SUS312L(4547-312-54-I) 

4〜6 

7〜8 

SUS329J4L(4481-312-60-J) 

4〜6.5 

7〜8.5 

注a) 促進腐食試験のデータは,ラウンドロビン試験に参加した7社のデータを全て反映したものである。 

b) 実環境暴露試験のデータは,銚子市,宮古島市及びうるま市の3か所で実施した全てのデータを反映

したものである。 

12 

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附属書JA 

(規定) 

海水の腐食性評価を模擬するための試験溶液 

JA.1 一般 

海水の腐食性評価を模擬するための試験溶液は,通常,市販の金属腐食試験用人工海水を使用するが,

JA.2で規定する代替用海水溶液を使用してもよい。 

JA.2 代替用海水溶液の作製 

塩化ナトリウム(NaCl)245.34 g及び無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)40.94 gを8〜9 Lの蒸留水又は脱

イオン水に溶解する。試薬は全て特級を使用する。 

激しくかく(攪)はんしながら0.200 Lの保存溶液A[a)で規定]をゆっくり添加する。さらに,0.100 L

の保存溶液B[b)で規定]を添加して,10 Lに希釈する。0.1 N水酸化ナトリウム水溶液を用いて,pHを

8.2に調整する。代替用海水溶液は,使用の都度,新たに作製するのが望ましい。 

代替用海水溶液を作製するために,あらかじめ,25 ℃±2 ℃で20 μS/cm以下の伝導率をもつ蒸留水又

は脱イオン水,及び試薬用薬品を使用して,次の2種類の保存溶液を準備する。 

a) 保存溶液 A 

塩化マグネシウム六水和物(MgCl2・6H2O) 3889.0 g 

塩化カルシウム(CaCl2) 

405.6 g 

塩化ストロンチウム六水和物(SrCl2・6H2O) 

14.8 g 

所定量の塩を蒸留水又は脱イオン水に溶解し,全容積7 Lに希釈する。密閉されたガラス製容器で

溶液を保存する。 

b) 保存溶液 B 

塩化カリウム(KCl) 

486.2 g 

炭酸水素ナトリウム(NaHCO3) 

140.7 g 

臭化カリウム(KBr) 

70.4 g 

ほう酸(H3BO3) 

19.0 g 

ふっ化ナトリウム(NaF) 

2.1 g 

所定量の塩を蒸留水又は脱イオン水に溶解し,全容積7 Lに希釈する。密閉された遮光型ガラス製

容器で溶液を保存する。 

参考文献 JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯 

JIS Z 2371 塩水噴霧試験方法 

ISO 8407,Corrosion of metals and alloys−Removal of corrosion products from corrosion test 

specimens 

ISO 9223,Corrosion of metals and alloys−Corrosivity of atmospheres−Classification, determination 

and estimation 

background image

13 

G 0597:2017  

附属書JB 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS G 0597:2017 絶対湿度一定下におけるステンレス鋼の乾湿繰返し促進腐食
試験方法 

ISO 16539:2013,Corrosion of metals and alloys−Accelerated cyclic corrosion tests with 
exposure to synthetic ocean water salt-deposition process−"Dry" and "wet" conditions at 
constant absolute humidity 

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲 

− 

適用範囲 

削除 

B法の記載を削除した。 

ISO規格では,A法でステンレス鋼を対象
とし,B法で表面処理鋼板を対象としてい
るが,この規格では,ステンレス鋼だけを
対象とするため,B法を削除した。 

2 引用規格 

3 試験溶液 

3.3 試験溶液の作
製 

3.3 

試験溶液の作製 

変更 

ラウンドロビン試験に基づき,
ステンレス鋼に適合した試験
溶液濃度へ変更した。 

ISO規格で採用した試験溶液の濃度は“B
法”での使用も考慮したもので,ステンレ
ス鋼だけに適用する場合には必ずしも適
切ではないため,変更した。ISOへの提案
を検討する。 

4 試験装置 

4.3 塩分付着装置  

4.3 

塩分付着装置 

追加 

手動噴霧の場合の塩分付着量
の制御方法を追加した。 

ISO規格には,手動噴霧方法の規定がない
ため,追加した。ISOへの提案を検討する。 

− 

4.5 

試験片の洗浄処理 

削除 

箇条8の操作手順と重複する記
載があるため,削除した。 

この箇条は,操作手順の一部を規定したも
のであるため,規定内容を整理して,箇条
8のc)に規定した。 

5 試験片 

5.1 試験片の種
類,その数及び寸
法 

5.1 

試験片の種類及びそ
の数について規定 

追加 

試験片の種類の具体的な例及
び寸法を追加した。 

ISO規格には,試験に供される試験片の種
類の具体的な例及び寸法の規定がないた
め,追加した。ISOへの提案を検討する。 

5.2 試験片の表面
状態の調整 

5.2 
5.3 

試験片の表面調整方
法について規定 

変更 

ラウンドロビン試験に基づい
た,ステンレス鋼に適用可能な
調整方法へ変更した。 

試験片表面に付着した混合塩溶液の液滴
径を均一にするため,表面状態の調整方法
を変更した。ISOへの提案を検討する。 

2

G

 0

5

9

7

2

0

1

7

background image

14 

G 0597:2017  

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

5 試験片 
(続き) 

− 

5.4 
5.5 

有機塗膜をもつ試験
片について規定 

削除 

B法の記載を削除した。 

ステンレス鋼には該当しないため,削除し
た。 

8 操作条件
及び手順 

操作条件及び手順 

削除 

B法の記載を削除した。 

B法は表面処理鋼板を対象としているた
め,削除した。 

追加 

ラウンドロビン試験で採用し
た操作手順を追加した。 

この試験を初めて行う利用者の利便性を
考慮した。技術的な差異はない。 

11 試験期間   

11 

試験期間 

削除 

B法の記載を削除した。 

B法は表面処理鋼板を対象としているた
め,削除した。 

追加 

ラウンドロビン試験で使用し
た試験期間(12サイクル)を追
加した。 

国内の適用実態を考慮して追加した。技術
的な差異はない。 

12 試験結果
の表し方 

12 

結果の評価 

変更 

箇条項目名を変更した。 

試験結果の項目を規定している箇条であ
り,“評価”を下していないため,変更し
た。 

削除 

B法の評価に関連する塗料に関
する記載を削除した。 

B法は表面処理鋼板を対象としているた
め,削除した。 

追加 

JIS G 0595によるレイティング
ナンバ及び孔食深さを追加し
た。 

国内では,JIS G 0595によるレイティング
ナンバ及び孔食深さが評価に用いられて
いるため,追加した。技術的な差異はない。 

腐食生成物除去方法として,JIS 
Z 2371の表JB.1の方法を追加
した。 

国内で除去に使用されている方法を追加
した。 

13 試験報告
書 

13 

試験報告書 

削除 

B法に関連する記載を削除し
た。 

B法は表面処理鋼板を対象としているた
め,削除した。 

追加 

箇条12による試験結果を追加
した。 

この試験を初めて行う利用者の利便性を
考慮した。 

附属書C 
(参考) 

手動噴霧による
塩分付着方法 

附属書C
(参考) 

手動噴霧による塩分
付着方法 

変更 

国内ラウンドロビン試験で採
用した手順へ変更した。 

この試験を初めて行う利用者の利便性を
考慮した。技術的な差異はない。 

削除 

図C.1を削除した。 

この規格で規定している方法は,噴霧回数
で塩分付着量を制御しているため,削除し
た。 

2

G

 0

5

9

7

2

0

1

7

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15 

G 0597:2017  

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

附属書D 
(参考) 

この規格の試験
結果と実環境暴
露試験との相関 

附属書D
(参考) 

試験推奨期間 

変更 

ラウンドロビン試験で得られ
た促進腐食試験及び実環境暴
露試験の相関を示した。 

ISO規格に記載されているデータは,十分
な量の試験データに基づいたものでない
ため,国内で蓄積されたデータに差し替え
た。ISOへの提案を検討する。 

− 

附属書E
(参考) 

試験の腐食性評価方
法 

削除 

腐食減量を評価項目として規
定していないため,削除した。 

この規格では,腐食減量を評価項目として
規定していないため,削除した。 

附属書JA 
(規定) 

海水の腐食性評
価を模擬するた
めの試験溶液 

− 

追加 

ISO 16539で引用しているISO 
11130のA.3を翻訳し,附属書
として追加した。 

ISO 11130を基に,技術的内容を変更する
ことなく作成したJISがないため,利用者
の利便性を考慮し,翻訳した。技術的な差
異はない。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 16539:2013,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

2

G

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0

1

7