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G 0573 : 1999 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによってJIS G 0573 : 1980は改正され,この規格に置き換えられる。 

今回の改正では,日本工業規格と国際規格 (ISO 3651-1) との対比及び整合化を実施し,改正案として作

成したものである。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実

用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。 

通商産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,

実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

G 0573 : 1999 

ステンレス鋼の65%硝酸腐食 

試験方法 

Method of 65 per cent nitric acid test for stainless steels 

序文 この規格は,1970年に制定され今日に至っているが,ISO 3651-1との整合化を目指して,今回見直

しを行った。整合化部分は技術内容を変更することなく取り込まれた。主な改正点は,次のとおりである。 

a) 適用鋼種に,フェライト・オーステナイト(2相)系ステンレス鋼を加え,ISOとの整合を図った。 

b) 鋭敏化熱処理条件を,700±10℃30min保持後水冷と改正し,ISOとの整合を図った。 

c) 試験報告事項を追加し,ISOとの整合を図った。 

1. 適用範囲 この規格は,オーステナイト系,フェライト・オーステナイト(2相)系ステンレス鋼の

沸騰65%硝酸中の腐食減量を測定して,粒界腐食の程度を試験する方法について規定する。 

備考 この規格の国際対応規格を次に示す。 

ISO 3651-1 Determination of resistance to intergranular corrosion of stainless steels-Part 1 : Austenitic 

and ferritic-austenitic (duplex) stainless steels−Corrosion test in nitric acid medium by 

measurement of loss in mass. 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS R 6251 研磨布 

JIS R 6252 研磨紙 

JIS R 6253 耐水研磨紙 

JIS R 6254 エンドレス研磨ベルト 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8804 液体比重測定方法 

3. 試験装置 試験装置は,次による。 

a) 試験容器 試験容器は,コールドフィンガー型コンデンサを付けた,三角フラスコ(容量約1l)を使

用する。ただし,受渡当事者間の協定によって条件を定めれば,十分な冷却面積をもつガラス製の立

型逆流コンデンサ(1)をテーパすり合わせで結合した,ガラス製の三角フラスコ(容量約1l)を使用し

てもよい。 

注(1) 逆流コンデンサの使用によって得られる腐食度は,蒸発損失が大きいためコールドフィンガー

G 0573 : 1999 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

型コンデンサよりも少々高くなる傾向がある。 

b) 試験片ホルダ 試験片を試験溶液の中位に保持できる適切な形状のガラス製ホルダを使用する。 

c) 加熱装置 加熱装置は,試験中の試験溶液を静かな沸騰状態に保持できるものを使用する。 

4. 試験溶液 試験溶液は,JIS K 8541の特級品(密度1.42g/ml)と蒸留水又は脱イオン水とによって65%

硝酸に調製する。試験溶液の濃度は65±0.2%(質量%)とし,その検定は,JIS Z 8804の密度測定による

か,又はJIS K 8541の中和滴定法による。 

5. 試験片 試験片は,次による。 
a) 試験片は,全表面積が10〜30cm2で,圧延又は鍛造方向に直角の断面の面積が全表面積の21以下にな

るように供試材から採取する。鋳鋼品,溶着金属などの試験片採取方法は,それぞれの規格による。 

b) 試験片の切断方法は,通常のこぎり切断による。せん断による場合は切断面を切削又は研削で再仕上

げし,せん断の影響部分を除く。 

c) 試験片にスケールが付着している場合には,切削又は研削によって除去する。 

d) 試験片の表面は,JIS R 6251,JIS R 6252若しくはJIS R 6254のP120以上で乾式研磨を行うか,又は

JIS R 6253のP80以上で湿式研磨を行う。 

e) 表面仕上げした試験片は,適切な溶剤又は洗剤(非塩化物)で脱脂後,乾燥する。 

6. 試験片の鋭敏化熱処理 試験片の鋭敏化熱処理は,極低炭素鋼種(炭素0.030%以下)及び安定化鋼種

(チタン,ニオブを添加)だけについて行う。 

熱処理は研磨前に行い,熱処理条件は700±10℃30min保持後水冷とする。ただし,受渡当事者間の協

定によって,これ以外の鋭敏化熱処理条件に代えることもできる(2)。 

注(2) ISO 3651-1では,鋭敏化熱処理条件を700±10℃30min保持後水冷を標準としているが,JIS G 

0573 : 1980では,650℃で2時間保持後空冷となっていた。鋭敏化熱処理条件は,試験の目的そ

の他でいろいろ変化するので,受渡当事者間の協定によって目的に応じて変更すればよい。 

7. 試験方法 試験方法は,次による。 

a) 沸騰試験前後において試験片質量を少なくとも1mgのけたまではかる。 

b) 試験溶液の量は,試験片の表面積1cm2当たり20ml以上とする。 

c) 試験片をガラス製ホルダを用いて試験溶液の中位に保持するようにして入れ連続48時間沸騰試験を

行う。一つの試験溶液の中では,試験片1個を試験する。ただし,すべて同一熱処理条件の同一鋼種

で,それぞれが絶縁され5mm以上離れている場合には,複数個の試験片を同時に試験してもよい。 

d) 沸騰試験後,試験溶液から試験片を取り出し,付着している腐食生成物を流水で,柔らかいブラシな

どを用いて除去し,乾燥後,質量をはかり減量を求める。 

e) 同じ試験片を新しい試験溶液に入れて,同様の方法によって,沸騰48時間試験を行う。 

f) 

このようにして合計5回,沸騰試験を繰り返す。ただし,受渡当事者間の協定によって条件を定めれ

ば,試験回数を変更(例 48時間3回繰り返し)することができる。 

8. 腐食度 腐食度は,各沸騰48時間試験ごとの質量減の単位面積単位時間当たりの値をg/m2/h単位で

求め,5回の平均値をJIS Z 8401によって,小数点以下第2位に丸めて表す。 

G 0573 : 1999 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

9. 報告 報告は,通常次の項目について行う。 

a) このJISの番号 

b) 試験した鋼の種類の記号又は化学成分 

c) 表面仕上げ条件 

d) 使用したコンデンサの型式 

e) 鋭敏化熱処理条件(行った場合) 

f) 

平均腐食度 (g/m2/h) 

g) 試験中の特記事項 

ステンレス協会腐食専門委員会 

氏名 

所属 

(委員長) 

柴 田 俊 夫 

大阪大学工学部 

(幹事) 

金 子 道 郎 

新日本製鐵株式会社鉄鋼研究所 

増 田 正 純 

工業技術院標準部 

佐々木 英 字 

通商産業省物質工学工業技術研究所 

田 原   晃 

科学技術庁金属材料研究所 

宇 城   工 

川崎製鉄株式会社鉄鋼研究所 

足 立 俊 郎 

日新製鋼株式会社鉄鋼研究所 

佐 藤 義 和 

日本金属工業株式会社研究本部 

樽 谷 芳 男 

住友金属工業株式会社ステンレス・チタン研究部 

谷 内 俊 彦 

日本冶金工業株式会社技術研究所 

中 嶋 義 弘 

愛知製鋼株式会社第一開発部 

久 原 昭 夫  

株式会社クボタ鋳鋼研究部 

上 窪 文 生 

株式会社神戸製鋼所材料研究所 

中 間 一 夫 

山陽特殊鋼株式会社技術研究所 

清 水 哲 也 

大同特殊鋼株式会社研究開発部 

山 崎   修 

日本金属株式会社技術研究所 

正 村 克 身 

日本鋼管株式会社京浜材料研究センター 

鈴 木 紹 夫 

味の素株式会社中央研究所 

福 田 敬 則 

石川島播磨重工業株式会社技術研究所 

都 島 良 治 

千代田化工建設株式会社品質管理部 

笹 野   林 

日輝株式会社技術開発本部 

鶴 田 孝 雄 

三菱重工業株式会社高砂研究所 

三 浦 健 造 

三井造船株式会社玉野研究所 

(事務局) 

池 原 康 允 

ステンレス協会 

解説作成者 武藤 泉 新日本製鐵株式会社