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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

F 4201-1996 

船用蒸気タービン主機陸上試験方法 

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1. 適用範囲 この規格は,船用蒸気タービン主機が完成して,製造業者の工場で行う無負荷蒸気試験の

方法について規定する。ただし,この規格により難い場合には,関係者(検査員・注文者・製造業者など)

が協議のうえ,この規格に準じて行う。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS F 0401 船に装備された主機の出力の呼び方及びその定義 

2. 試験及び成績表 試験は,あらかじめ作られた試験実施方案によって行い,その試験結果は,附属書

の試験成績表(様式例)によって計測記録し,所定の成績表に取りまとめるのがよい。 

3. 試験方法 

3.1 

試験実施方案 試験に先立ち,製造業者は試験の種類・次第・方法・運転諸元その他必要な事項に

ついて具体的な原案を作り,関係者の承認を得なければならない。 

3.2 

試験の種類及び目的 次の各項目について表1に従って試験を行うのがよい。ただし,※印の測定

は特に必要がある場合にだけ行う。 

(1) 前進回転試験 

(2) 後進回転試験 

(3) 非常遮断装置試験 

(4) 操縦弁試験 

(5) 回転装置試験 

(6) 振動計測 

(7) 騒音計測 

(8) 車室膨張計測 

(9) 潤滑油量計測 

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F 4201-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1 

試験番号 

試験の種類 

試験時間 

記録採取回数 

記事 

 1 




4

1連続最大出力 

10〜15分間 

2

4連続最大出力 

10〜15分間 

常用出力 

60分間 

連続最大出力 

60分間 

試験時間については状況によって適宜増減できる。 

※過負荷出力 

15分間 

 2 

後進回転試験 

15分間 

 3 

非常遮断装置試験 

適宜 

単独試験も行う。 

 4 

操縦弁試験 

陸上試験中に行う。 

必要に応じ単独試験も行う。 

 5 

回転装置試験 

適宜行う。 

確認程度とする。 

※6 

振動計測 

適宜行う。 

※7 

騒音計測 

適宜行う。 

※8 

車室膨張計測 

暖機中並びに前進及び後進 
回転試験中に行う。 

※9 

潤滑油量計測 

常用出力・連続最大出力及 
び過負荷出力 各2回 

備考 表中の各出力の定義は,JIS F 0401の規定による。 

3.2.1 

前進回転試験 試験は,無負荷蒸気試験とし,各回転速度における機関の状況を確認するため,所

定時間連続運転を行うのがよい。試験の種類は,連続最大出力の14,24及び常用出力,連続最大出力並びに

過負荷出力に相当する回転速度とする。 

3.2.2 

後進回転試験 前進回転試験と同じく,後進出力に相当する回転速度で所定時間連続運転を行う。 

3.2.3 

非常遮断装置試験 非常遮断装置試験は,次による。 

(1) 超過回転による危急弁作動試験 連続最大出力に相当する回転速度の115%を超えない範囲で定めら

れた回転速度で,非常装置によって蒸気主管危急弁を自動的に作動することを確認する。ただし,過

速度制限器の作動範囲はその定められた作動回転速度の0%,−3%以内とし,試験各回の最大差は2%

以内とする。試験は少なくとも連続2回行う。 

(2) 油圧低下による危急弁作動試験 注油圧力が所定の圧力に低下した場合,非常装置によって危急弁が

自動的に作動することを確認する。 

3.2.4 

操縦弁試験 機械付きのものを装備して試験を行い,その作動を確認するのがよい。 

3.2.5 

回転装置試験 主機付きの回転装置によって回転を行い,始動及びその他作動の適否を確認する。 

3.2.6 

振動計測 振動の大きさは,振動計を用い適当な箇所において計測する。 

なお,振動計測のためにダイヤル式,自己記録式振動計などを使用する。 

3.2.7 

騒音計測 減速装置の音響程度は,騒音計を用い減速車室の適当な箇所において計測する。ただし,

計測記録には使用騒音計の名称及びマイクロホン距離を明記する。 

3.2.8 

車室膨張計測 タービン車室の膨張量は,膨張計を用いて計測する。 

3.2.9 

潤滑油量計測 運転中の潤滑油の循環量は,流量計又はタンクを使用して計測する。 

3.2.10 危急弁及び操縦弁の単独試験 危急弁及び操縦弁は,それぞれ単独に計画蒸気状態でこれを数時間

保持した後,弁座からの蒸気漏れ試験を行い,更に弁開閉作動試験を行い,支障がないことを確認するの

がよい。 

4. 計測に関する一般的事項 計測に関する一般的事項は,次による。 

(1) 計測用計器類 検査済の正確なものを使用する。 

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(2) 圧力計測 圧力計・連成計・真空計などを使用する。 

なお,計器の取付位置には留意しなければならない。 

(3) 回転速度計測 回転速度計を使用し,主軸軸端で計測する。 

(4) 温度計測 棒状温度計,熱電対温度計などを使用する。 

5. 試験における注意事項 試験における注意事項は,次による。 

(1) 試験は,なるべく計画状態の蒸気で行うのがよい。 

(2) 回転速度を増減する場合には,機関の振動,異音などに十分注意してなるべく徐々に行い,もし,機

関に異状を認めた場合には,その状況や原因を検討確認した上で試験を続行する。 

(3) 潤滑油温度は,取扱説明書に示された温度に調整するのがよい。 

(4) 軸受温度が異状に上昇した場合には,直ちに機関を停止してその原因を確認する。 

(5) 試験中は,蒸気ドレンによる不測の災害を起こさないよう,常に注意することが必要である。 

(6) 特に潤滑油の管系は厳密に清掃を行った後,運転を行わなければならない。 

(7) 試験終了後タービン及び減速装置を開放して各部を厳密に検査する。軸車に対しては,次の記録を作

成のうえ復旧するのがよい。 

なお,減速装置に対しては,歯車の歯当たり検査を行い,記録を作成するのがよい。 

(a) 軸車釣合い試験(動的) 

(b) 軸車の振れ(心棒の偏心距離) ただし,必要がある場合だけ計測する。 

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附属書 試験成績表(様式例) 

記事欄 

1. 一般記事及び経過の概要 

(1) 一般記事(注文者その他によって試験に関し特に指示された事項を,なるべく簡単に記載する。) 

(2) 計測に関する事項(計測に関する事項のうち,特に注意すべき事項を記入する。) 

(3) 開放検査の成績(特記すべき事項があるときに限り,状況を簡単に記入する。) 

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(4) 故障・欠損など(陸上運転中に発生し,又は開放検査において発見した故障・欠損の状況の詳細及び

これに対する処置の概要を記入する。) 

(5) 意見(もし,あれば記入する。) 

(6) 試験担当者 

(7) 立会人 

船舶検査官 

船級協会検査員 

注文者 

2. 要目表(様式例) 

(1) タービン要目表 

(2) 減速装置要目表 

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(3) 試験成績表