F 2211 : 1998 (ISO 8148 : 1985)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,運輸大臣が制定した日本工
業規格である。
国際規格との整合を図るために,対応国際規格の技術的内容を変更することなくそのまま採用し,さら
にJISとして必要な規定内容を追加した。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
F 2211 : 1998
(ISO 8148 : 1985)
デリックブーム頭部金物−固定形
Derrick boom headfittings−Fixed type
序文 この規格は,1985年に第1版として発行されたISO 8148, Shipbuilding and marine structures−Derrick
boom headfittings−Fixed typeを元に,対応する部分については対応国際規格を翻訳し,技術的内容及び規
格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格に規定されていない規定内
容を日本工業規格として追加している。
なお,この規格で点線の下線を施してある部分は,対応国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲及び適用分野 この規格は,船の荷役に使用するデリックブームの固定型頭部金物の寸法と
材料を規定する。デリックブームに取り付けるガイ・アイプレート(ISO 8146に規定するアイプレート)
の取付位置の手引を附属書(参考)に示す。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS F 2201 船用鋼板製デリックブーム
JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材
JIS G 3201 炭素鋼鍛鋼品
JIS G 5102 溶接構造用鋳鋼品
ISO/R 286 ISO system of limits and fits−Part 1 : General, tolerances and deviations
ISO 630 Structural steels
ISO 8146 Shipbuilding and marine structures−Oval eyeplates
ISO 8147 Shipbuilding−Shipʼ s lifting gear−Terminology(1)
注(1) 現在提案中
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
ISO 8147 Shipbuilding−Shipʼ s lifting gear−Terminology
4. 分類
4.1
形式 デリックブームの固定形頭部金物は,次の3種類の形式がある。
− A形:カーゴエンドに,長軸がブームに平行なオーバルアイをもつもの(図1)。
− B形:カーゴエンドに,長軸がブームに斜めなオーバルアイをもつもの(図1)。
− その他の形式:上記A形及びB形以外のもの(図2,図3,図4)
2
F 2211 : 1998 (ISO 8148 : 1985)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.2
呼び寸法 A形及びB形のブームのカーゴエンド及びスパンエンドの頭部取付プレートの呼び寸法
の呼称は,参照用及び注文用の便のために単位のない数値とするが,この数値は許容荷重をキロ・ニュー
トンで表したものの1/10にしている。
その他の形式の頭部金物は,JIS F 2201のデリックブームに対応するものであり,JIS F 2201のブーム
の呼びを呼び寸法とする。
4.2.1
好ましい呼び寸法 好ましい呼び寸法とは,単に頭部金物の所要板厚を簡単な間隔としたものであ
る。
備考 好ましい寸法は,表1で太字で示した。
5. 材料 A形及びB形ではISO 630のFe 360(最低の品質として)とする。
注 機械的及び溶接に関する性質が同等であれば,代わりに船体用鋼板を使用して差し支えない。
その他の形式の頭部金物の材料は次による。
滑車金物(図2,図3,図4の①):JIS G 3201のSF 440A又はJIS G 5102のSCW 410
控え索金物(図2,図3,図4の②):JIS G 3101のSS 400
6. 製作
6.1
成形 頭部金物は,ガス切断で成形した後に鍛造又は機械加工を行って,必要とする仕上がり断面
形状にするものとしなければならない。
断面の間に急激な変化があってはならない。頭部金物は,二つの部分に分けて(スパンエンドとカーゴ
エンド)製作し,取付け前に溶接で一つの製品としても差し支えない。
6.2
表面 頭部金物の仕上がり表面にはき(亀)裂,めくれ及びラミネーションがあってはならない。
6.3
熱処理 鍛造した頭部金物は,すべての製作工程が完了した後に焼きならしを行う。
7. 寸法
7.1
主要寸法 A形及びB形のデリック頭部金物の寸法を表1に示す。
デリック装置全体の力線図から求めた頭部板のカーゴエンド及びスパンエンドに働く荷重を元にして,
表1で,呼び寸法及び許容荷重とから寸法を決定するものとする。
いずれの場合も,表1から選んだ許容荷重は,計算で決まった荷重よりも低くてはならない。
その他の形式のデリック頭部金物の寸法を,表3,表4及び図4に示す。
7.2
公差 頭部金物の仕上がり寸法の許容誤差は,次の公差範囲でなければならない。
7.2.1
A形及びB形デリック頭部金物のd及びt1(図1参照)の寸法の公差は,ISO/R 286のIT14によ
る。
その他の形式の頭部金物では,寸法の公差は規定しない。
7.2.2
外形寸法はすべて:+5%, −0%
7.2.3
内のり寸法はすべて:+0%, −5%
3
F 2211 : 1998 (ISO 8148 : 1985)
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図1 プレートの形状,A形及びB形
表1 呼び寸法及び寸法
呼び寸法(4)
許容荷重
kN
スパンエンドの寸法
カーゴエンドの寸法
カーゴ
エンド
C
スパン
エンド
S
d
e1
r1
t1(3)
a
b
c
e2
h
r2
t2(3)
2
2
20
25
40
25
22
50
27
100
49.5
88
38.5
25
2.5
2.5
25
27
40
28
25
55
29
105
53.5
93
39.5
25
3
3
30
30
45
30
28
66
33
126
56.5
103
46.5
30
4
4
40
33
50
33
30
77
36
147
65
118
53
35
5
5
50
39
55
38
35
87
41
167
70
130.5
60.5
40
6
6
63
42
60
43
40
91
45
171
75
137.5
62.5
40
8
8
80
48
70
48
45
101
51
201
80
155.5
75.5
50
10
10
100
52
75
55
50
117
56
217
90
168
78
50
12
12
125
56
80
60
55
128
61
248
100
190.5
90.5
60
16
16
160
65
85
65
60
145
67
265
115
208.5
93.5
60
20
20
200
74
95
70
65
157
73
297
125
231.5
106.5
70
25
25
250
78
100
75
70
170
80
331
135
255
120
80
32
32
320
86
110
85
80
194
88
374
150
284
134
90
40
40
400
96
120
95
90
220
98
420
170
319
149
100
−
50
500
106
135
105
100
−
−
−
−
−
−
−
−
63
630
116
150
115
110
−
−
−
−
−
−
−
注(1) 寸法Z(単位 mm)は,デリック頭部プレートの位置におけるデリックブームの直径又は二重張り
のある場合はその表面までに相当する板の長さと定義する(図1及び附属書図1参照)。
(2) 刻印の位置
(3) 頭部プレートを−様な厚さにしたい場合は,t1とt2のうちの大きい方を採用すればよい。
(4) 太字で記した寸法が好ましい寸法である。
8. 呼称 参照及び注文用として,デリックの頭部金物の呼称を次のとおりとする。
8.1
呼称の要素 注文するときには,次の要素を用いなければならない。
A形及びB形デリックの場合は,次による。
− 略称
:プレート
− 規格番号
:JIS F 2211
− 形式,記号
:(4.1及び図1参照)
4
F 2211 : 1998 (ISO 8148 : 1985)
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− カーゴエンド,記号
:C
− カーゴエンド,呼び寸法 :(表1参照)
− スパンエンド,記号
:S
− スパンエンド,呼び寸法 :(表1参照)
− 寸法Z
:(表1参照)
その他の形式の頭部金物は,下記による。
− 名称 頭部金物
− 規格番号 JIS F 2211
− 型式,記号 JIS F 2201の呼び記号
8.2
例 この規格に準拠したデリック頭部金物のA型で,カーゴエンド (C) の呼び寸法が10,スパンエ
ンド (S) の呼び寸法が12,長さがZ(頭部金物を取り付ける箇所のデリックブームの直径に相当する。)
=600mmは,次のとおりの呼称とする。
プレートJIS F 2211-A-C 10xS 12-600
その他の形式の頭部金物で図4で2形の場合
頭部金物-JIS F 2211-15 t-2
9. 刻印
9.1
刻印の種類 A形及びB形デリック頭部金物には,カーゴエンドとスパンエンドにそれぞれの呼称
寸法を,消えないように,かつ,読みやすいように刻印しなければならない。
その他の形式の頭部金物には,JIS F 2201による呼び記号を上記と同様に刻印しなければならない。
9.2
刻印の場所 刻印を行う場所は,表面の高い応力が生じない部分でなければならない(図1参照)。
9.3
刻印の寸法 使用する刻印の寸法は,表2に示す。
表2 刻印の寸法
呼称寸法又は記号
刻印の寸法
A形及びB形の2及び2.5
5
A形及びB形の3より63
及びその他の形式
6.3
5
F 2211 : 1998 (ISO 8148 : 1985)
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図2 その他の形式(JIS F 2201の呼び1及び2)の頭部金物
表3 その他の形式(JIS F 2201の呼び1及び2)の頭部金物の寸法
単位mm
呼び
記号
滑車金物
組合せ可能
シャックル(参考)
控え索金物
A
B
C
d
E
F
R
T
a
b
c
d1
r
1T1
280
132
92
28
34
40
45
28
SB20〜28
70
110
40
19
19
1T2
300
132
92
28
34
40
45
28
SB20〜28
70
110
40
19
19
1T3
325
132
92
28
34
40
45
28
SB20〜28
70
110
40
19
19
2T1
340
164
108
34
38
40
53
34
SB24〜32
75
130
40
22
22
2T2
365
164
108
34
38
40
53
34
SB24〜32
75
130
40
22
22
呼び
記号
組合せ可能
シャックル(参考)
二重張板
計算質量
(kg)
取付寸法(参考)
L
厚さ 滑車
金物
控え索
金物
l1
l2
l3
l4
1T1
SC12〜26, SB20〜26
300
6
7.6
1.1
370
85
150
200
1T2
SC12〜26, SB20〜26
300
6
8.1
1.1
370
85
150
200
1T3
SC12〜26, SB20〜26
300
6
8.9
1.1
370
85
150
200
2T1
SC14〜30, SB20〜30
350
6
13.2
1.4
400
97
175
200
2T2
SC14〜30, SB20〜30
350
6
14.0
1.4
400
97
175
200
備考 滑車金物とデリックブーム本体とのはめあい部には,できるだけ大きく丸みをつけることが望ましい。
6
F 2211 : 1998 (ISO 8148 : 1985)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図3 その他の形式(JIS F 2201の呼び3, 5及び10)の頭部金物
表4 その他の形式(JIS F 2201の呼び3, 5及び10)の頭部金物の寸法
単位mm
呼び
記号
滑車金物
組合せ可能
シャックル(参考)
控え索金物
A
B
C
E
F
d
R
T
a
b
c
d1
r
t
3T1
425
209
130
46
42
415
68
45
SB32〜40
375
145
415
26
26
22
3T2
440
209
130
46
42
45
68
45
SB32〜40
390
145
45
26
26
22
5T1
480
216
155
56
76
48
76
48
SB34〜48
415
160
50
28
28
28
5T2
510
216
155
56
76
48
76
48
SB34〜48
445
160
50
28
28
28
10T1
530
296
200
74
67
58
95
58
SB40〜60
495
170
60
32
32
32
10T2
565
296
200
74
67
58
95
58
SB40〜60
540
170
60
32
32
32
呼び
記号
組合せ可能
シャックル(参考)
二重張板
計算質量
(kg)
取付寸法(参考)
L
厚さ 滑車
金物
控え索
金物
l1
l2
l3
3T1 SC18〜32, SB20〜32
570
6
30.6
4.4
575
200
127
3T2 SC18〜32, SB20〜32
570
6
31.0
4.9
575
200
127
5T1 SB20〜36
600
8
47.4
6.0
600
200
124
5T2 SB20〜36
600
8
48.1
6.8
600
200
124
10T1 SB22〜38
650
10
83.4
8.9
650
220
125
10T2 SB22〜38
650
10
84.8
9.2
650
220
125
備考 滑車金物とデリックブーム本体とのはめあい部には,できるだけ大きく丸みをつけることが望ましい。
7
F 2211 : 1998 (ISO 8148 : 1985)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図4 その他の形式(JIS F 2201の呼び15)の頭部金物(1形及び2形)
備考1. 計算質量は,滑車金物119.6kg,控え金物11.8kgである。
2. 括弧内寸法は,参考として示す。
3. 滑車金物とデリックブーム本体とのはめあい部には,できるだけ大きく丸みをつけることが望ましい。
4. 組合せ可能シャックル(参考)は,滑車金物がSB 48〜75,控え金物がSB 24〜40である。
(1形)
8
F 2211 : 1998 (ISO 8148 : 1985)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考1. 計算質量は,滑車金物118.9kg,控え金物11.8kgである。
2. 括弧内寸法は,参考として示す。
3. 滑車金物とデリックブーム本体とのはめあい部には,できるだけ大きく丸みをつけることが望ましい。
4. 組合せ可能シャックル(参考)は,滑車金物がSB 48〜75,控え金物がSB 24〜40である。
(2形)
9
F 2211 : 1998 (ISO 8148 : 1985)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(参考) 取付け位置
附属書図1は,デリックブーム頭部金物とガイ・アイプレートの位置との取付けを単なる説明用として
示したものである。ガイ・アイプレートの寸法に関しては,ISO 8146参照。
注(1) 形式及び寸法については,表1参照。
(2) 単独のガイ・アイプレート又は複式のガイプレートのいずれを採用してもよい。
附属書図1 アイプレートの位置