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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

E 4023-1990 

鉄道車両の振動特性−測定方法 

Vibration characteristics of railway rolling stock−Measuring methods 

1. 適用範囲 この規格は,走行時の旅客車の車体における振動加速度,振動数などの振動特性の測定方

法について規定する。 

備考1. この規格の中で規定する旅客車は,主として普通鉄道の旅客電車・旅客内燃動車・客車並び

に懸垂式鉄道,こ(跨)座式鉄道及び案内軌条式鉄道に用いる車両とする。 

2. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS E 4001 鉄道車両用語 

3. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考として併記したものである。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS E 4001によるほか,次による。 

(1) 左右方向の定常加速度 車両が曲線区間を通過する場合に,円曲線部分で定常的に生じる左右方向の

加速度の車体床面に並行な成分。車体の傾斜角度が小さい場合には,図1において近似的に式(1)で表

すことができる。 

aH=ac−g・φ ·············································································· (1) 

ここに, 

aH: 左右方向の定常加速度 (m/s2) 

ac: 遠心力の加速度 (m/s2) 

g: 重力の加速度 (m/s2) 

φ: 車体の傾斜角度 (rad) 

図1 左右方向の定常加速度 

備考 矢印は,正の方向を示す。 

(2) 前後方向振動 前後軸(1)方向の直線振動 

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E 4023-1990  

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(3) 左右方向振動 左右軸(2)方向の直線振動 

(4) 上下方向振動 上下軸(3)方向の直線振動 

(5) ローリング 前後軸(1)周りの回転振動 

(6) ピッチング 左右軸(2)周りの回転振動 

(7) ヨーイング 上下軸(3)周りの回転振動 

注(1) 車体進行方向に向かって車体床面に並行な図2に示すX軸。 

(2) 車体進行方向に直角で,かつ,車体床面に並行な図2に示すY軸。 

(3) 車体床面に垂直な図2に示すZ軸。 

図2 座標軸 

3. 測定項目 測定項目は,次のとおりとする。 

(1) 上下方向振動の振動加速度 

(2) 上下方向振動の振動数 

(3) 左右方向振動の振動加速度 

(4) 左右方向振動の振動数 

(5) 前後方向振動の振動加速度 

(6) 前後方向振動の振動数 

(7) 左右方向の定常加速度 

(8) ローリングの振動数 

(9) ローリングの角度 

(10) ローリングの角速度 

(11) ヨーイングの振動数 

(12) ピッチングの振動数 

備考 測定を実施する項目は,受渡当事者間で定める。 

4. 測定条件 測定条件は,次のとおりとする。 

(1) 供試車両は,空車状態(4)とする。 

注(4) 測定者及び測定機材を含む。 

(2) 軌道は,通常に整備されている状態とする。 

(3) 走行速度は,受渡当事者間で定める区間での線路及び電車線路の状態並びに車両構造を考慮して定め

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E 4023-1990  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

た最高運転速度までとする。 

5. 測定方法 

5.1 

測定位置及び測定器 測定項目別の測定位置及び測定器は,表1のとおりとする。 

表1 測定位置及び測定器 

測定項目 

測定位置 

測定器(例) 

上下方向振動の 
振動加速度及び振動数 

前台車又は後台車中心上の車体
床面及び車体中央部床面 

振動加速度計 

左右方向振動の 
振動加速度及び振動数 

前台車又は後台車中心上の車体
床面 

前後方向振動の 
振動加速度及び振動数 

前台車若しくは後台車中心上の
車体床面又は車体中央部床面 

左右方向の定常加速度 車体中央部床面又は前台車若し

くは後台車中心上の車体床面 

振動加速度計, 
ジャイロ式傾斜計 

ローリング 

振動数 車体中央部床面又は前台車若し

くは後台車上の車体床面 

ジャイロ式傾斜計,変位
計,振動加速度計 

角度 

ジャイロ式傾斜計,変位計 

角速度 車体中央部床面 

ジャイロ式傾斜計, 
ジャイロ式角速度計 

ヨーイングの振動数 

前台車及び後台車中心上の車体
床面又は車体中央部床面 

ジャイロ式傾斜計, 
変位計, 
振動加速度計 

ピッチングの振動数 

5.2 

測定器の使い方 測定器の使い方は,次による。 

(1) 共通事項 測定器の共通的な使い方は,次のとおりとする。 

(a) 測定器は,測定対象振動数に対して,共振周波数又は搬送波周波数が十分離れた動特性のものを使

用する。 

(b) 測定器は,局部的な振動がない場所で,目的とする測定方向に正しく設置する。 

(c) 測定器は,できるだけ水平な面に取り付け,測定中の振動によって,がたつき,滑りが生じないよ

うに,固定する。 

(d) フィルタは,対象となる振動の測定に影響を与えない範囲で使用してもよい。 

(2) 振動加速度計 振動加速度計の使い方は,次のとおりとする。 

(a) 振動加速度計の周波数特性は,測定対象振動数の範囲を十分満足するものとする。 

(b) 振動加速度計は,測定範囲が±50m/s2 {5.1G} 以内のものとする。 

(3) ジャイロ式傾斜計 ジャイロ式傾斜計の使い方は,次のとおりとする。 

(a) 車両の進行方向に対して,ジャイロの測定軸を合わせる。 

(b) 設置時には,水準器を用いて地上面に対して水平になるようにする。 

(4) ジャイロ式角速度計 ジャイロ式角速度計は,車両の進行方向に対して,ジャイロの測定位置を合わ

せる。 

(5) 変位計 変位計の使い方は,次のとおりとする。 

(a) 変位計の最大変位量内で計測する。変位量を,ひずみゲージを用いて板ばねのひずみで検出する場

合は,計測される変位及びそれによって発生するひずみは,板ばねの弾性変形域内でなければなら

ない。 

(b) 変位計による測定は,測定項目に基づく必要な箇所の間で測定し,それぞれの変位を組み合わせる。 

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6. 測定結果の解析項目及び解析方法 

6.1 

一般事項 測定結果の解析に関する一般事項は,次のとおりとする。 

(1) 実施する測定結果の解析項目は,受渡当事者間で定める。 

(2) 測定結果の記録は,受渡当事者間で定める記録用紙に図示する。 

6.2 

解析項目別の解析方法 測定結果の主な解析項目及びその解析方法は,次による。 

なお,振動加速度の解析には,受渡当事者間の協定によって,最大複振幅に代えて最大複振幅の21を用

いてもよい。この場合,解析図にその旨を表記する。 

(1) 走行速度と振動加速度との関係の解析 測定区間内を受渡当事者間で定める距離ごとに区切り,各区

間内の振動加速度の最大複振幅及びそのときの走行速度を整理し,さらに,適当な速度の範囲ごとの

振動加速度の最大複振幅の平均値を集計・整理して図示する。 

解析図の例を,図3に示す。 

図3 走行速度と振動加速度との関係(例) 

備考 2aは,複振幅の値であることを示す。 

(2) 走行速度と振動数及び振動加速度との関係の解析 走行速度と振動数及び振動加速度との関係につ

いては,振動加速度の複振幅の大きさを円の大きさで表して図示する。 

解析図の例を,図4に示す。 

図4 走行速度と振動数及び振動加速度との関係(例) 

(3) 振動数と振動加速度との関係の解析 振動波形の中から,振幅ができるだけ大きな波形を選び,その

ときの振動数と振動加速度(複振幅の21を用いる。)との関係を図示する。 

解析図の例を,図5に示す。 

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図5 振動数と振動加速度との関係(例) 

備考 aは,複振幅の21の値であることを示す。 

(4) 振動波形のスペクトル解析 振動波形をスペクトル解析して図示する。 

解析図の例を,図6に示す。 

図6 振動波形のスペクトル解析(例) 

(5) 振動加速度の累積頻度の解析 測定区間内を受渡当事者間で定める距離ごとに区切り,振動波形から

各区間における振動加速度の最大複振幅を整理し,適当な振動加速度の範囲ごとに累積頻度を集計し

て図示する。 

解析図の例を,図7に示す。 

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図7 振動加速度の累積頻度(例) 

備考 2aは,複振幅の値であることを示す。 

(6) 走行速度と左右方向の定常加速度との関係の解析 曲線区間における走行速度と車体床面の左右方

向の定常加速度との関係を図示する。 

解析図の例を,図8に示す。 

図8 走行速度と左右方向の定常加速度との関係(例) 

(7) 走行速度とローリングの角速度との関係の解析 曲線区間における走行速度とローリングの角速度

の最大値との関係を図示する。 

解析図の例を,図9に示す。 

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図9 走行速度とローリングの角速度との関係(例) 

7. 測定条件の記録方法 

7.1 

記録事項 測定条件の記録事項は,次のとおりとする。 

(1) 測定日時 

(2) 天候 

(3) 供試車両及び編成 

(4) 測定区間 

(5) 走行速度 

(6) キロ程 

(7) 線路の曲線半径,こう配,構造など。 

(8) 測定人員数及び測定機材の質量 

(9) 測定器の種類・形式 

(10) 測定器の接続図及び使用したフィルタの特性値 

(11) 測定器の設置位置 

(12) 測定項目 

7.2 

記録様式 記録様式は,受渡当事者間で定める。 

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鉄道車両の振動特性の測定方法IIS原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

松 本   陽 

運輸省交通安全公害研究所交通安全部 

伊 東   厚 

工業技術院標準部 

粕 谷   勲 

運輸省地域交通局 

中 桐 宏 樹 

運輸省地域交通局 

石 井 秋 安 

運輸省大臣官房国有鉄道改革推進部 

谷 口 哲 夫 

運輸省交通安全公害研究所交通安全部 

池 本 憲 三 

財団法人鉄道総合技術研究所 

高 尾 忠 明 

東日本旅客鉄道株式会社運輸車両部 

出 井 広 幸 

東海旅客鉄道株式会社新幹線鉄道事業本部車両部 

酉 川 秀 雄 

西日本旅客鉄道株式会社鉄道本部車両部 

天 沼 正 雄 

社団法人日本民営鉄道協会技術部 

小 林 善一郎 

帝都高速度交通営団車両部 

石 川   博 

東武鉄道株式会社運転車両部 

青 谷 克 弘 

阪神電気鉄道株式会社車両部 

植 木 繁 夫 

アルナ工機株式会社尼崎事業所 

矢 野 栄 亮 

富士重工業株式会社技術部 

高 井 英 夫 

株式会社日立製作所笠戸工場車両設計部 

末 松   浩 

川崎重工業株式会社車両事業部技術部 

杉 本 嘉 孝 

近畿車輌株式会社車両事業本部設計部 

井 上   浩 

株式会社新潟鉄工所大山工場 

加 藤 達 名 

日本車輌製造株式会社鉄道車両本部技術部 

鈴 木 孝 司 

東急車輌製造株式会社 

岡 部 信 雄 

住友金属工業株式会社製鋼所鉄道車両品部 

(事務局) 

浅 田 時 則 

社団法人日本鉄道車輌工業会