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E 4018:2012  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 測定装置························································································································· 3 

4.1 磁界センサ ··················································································································· 3 

4.2 測定装置の要件 ············································································································· 3 

5 測定項目························································································································· 4 

5.1 共通事項 ······················································································································ 4 

5.2 空間成分の加算 ············································································································· 4 

6 測定箇所及び測定手順 ······································································································· 5 

6.1 概要 ···························································································································· 5 

6.2 車両内の測定 ················································································································ 5 

6.3 車両外の測定(公衆及び職員) ························································································ 7 

7 測定の結果 ······················································································································ 8 

8 測定結果の評価 ················································································································ 9 

8.1 共通事項 ······················································································································ 9 

8.2 直流磁界 ······················································································································ 9 

8.3 交流磁界 ······················································································································ 9 

9 記録······························································································································ 10 

9.1 共通事項 ····················································································································· 10 

9.2 車両の試験記録 ············································································································ 10 

附属書A(参考)表面測定法による測定条件及び測定方法 ·························································· 12 

参考文献 ···························································································································· 14 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

鉄道車輌工業会(JARI)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規

格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本工業規

格である。 

これによって,JIS E 4018:1995は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

E 4018:2012 

鉄道車両−磁界測定方法 

Railway applications-Rolling stock- 

Measuring methods of magnetic field levels 

序文 

この規格は,1995年に制定されたJIS E 4018を,2011年に第1版として発行されたIEC/TS 62597,

Measurement procedures of magnetic field levels generated by electronic and electrical apparatus in the railway 

environment with respect to human exposureの技術動向を踏まえて,改正した日本工業規格である。 

なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。 

適用範囲 

この規格は,鉄道車両(以下,車両という。)の車体の内外部における低周波領域(直流から20 kHzま

で)の磁界の測定方法について規定する。ただし,短絡,地絡,変圧器の突入電流などの過渡的条件の場

合は除く。 

公衆及び職員が携帯する電子装置(例えば,携帯電話,モバイルコンピュータ,無線通信システムなど)

及び周波数が20 kHzを超える送信機が発生する磁界は,この規格の対象外である。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 1910 人体ばく露を考慮した低周波磁界及び電界の測定−測定器の特別要求事項及び測定の手

引き 

注記 上記の規格は,IEC 61786:1998,Measurement of low-frequency magnetic and electric fields with 

regard to exposure of human beings−Special requirements for instruments and guidance for 

measurementsに,一致している。 

JIS C 60050-161 EMCに関するIEV用語 

注記 上記の規格は,IEC 60050-161:1990,International Electrotechnical Vocabulary. Chapter 161: 

Electromagnetic compatibilityに,一致している。 

JIS E 4001 鉄道車両−用語 

JIS Q 17025 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項 

注記 上記の規格は,ISO/IEC 17025:2005,General requirements for the competence of testing and 

calibration laboratoriesに,一致している。 

IEC 62311,Assessment of electronic and electrical equipment related to human exposure restrictions for 

electromagnetic fields (0 Hz - 300 GHz) 

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用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS E 4001及びJIS C 60050-161によるほか,次による。 

3.1 

磁界(magnetic field) 

導体中の電流又は永久磁石によって近傍に発生する場。この規格においては,磁界は車両の磁界発生機

器から発生する磁束密度を指し,磁界と磁束密度とは同義として扱う。 

3.2 

磁束(magnetic flux) 

磁界中のある面を貫通する磁力線の法線方向成分の総和。単位は,ウェーバ(Wb)。 

3.3 

3軸(three-axis) 

線路方向(X軸),まくらぎ方向(Y軸),上下方向(Z軸)の各軸。 

3.4 

周波数解析(frequency analysis) 

決められた時間内で得られた時系列の磁界を,直流から20 kHzまでの周波数帯域で分別する解析。 

3.5 

磁界発生機器(magnetic field emitting apparatus) 

主回路用リアクトル,電力変換装置などの磁界を発生する電気機器。 

3.6 

磁界センサ(magnetic flux sensor) 

3.6.1 

サーチコイルセンサ(search coil sensor) 

磁界の時間微分値に比例した誘導電圧を発生させる巻線コイル(サーチコイル)から,積分器を介して

磁束密度を測定するセンサ。 

3.6.2 

ホール素子センサ(Hall effect sensor) 

半導体のホール効果を利用して,磁束密度を電圧の大きさに変換して測定するセンサ。 

3.6.3 

フラックスゲートセンサ(fluxgate sensor) 

パーマロイのような高透磁率コアのB-H飽和特性の対称性が外部磁界によって変わることを利用して磁

束密度を測定するセンサ。 

3.7 

鉄道環境(railway environment) 

鉄道の磁界発生機器の発する磁界の影響を受ける可能性がある周辺の領域及び地域。 

3.8 

職員(workers) 

乗務員,車両保守要員などの鉄道環境で働く全ての人。 

3.9 

公衆(public) 

鉄道環境内の,職員を除く全ての人。 

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3.10 

等方性(isotropy) 

精度などが方向によらない特性。 

3.11 

立入り可能空間(occupied volume) 

通常の列車運行条件での磁界放射源を考慮して決められた,職員及び/又は公衆が居る磁界の測定対象

空間。 

3.12 

窓関数(window function) 

変数のある有限区間以外で計算された値がゼロとなる関数。スペクトル解析を行うために連続する波形

データを一定時間採取する場合に,データの周期性を仮定しているので,データの始端と終端との値が大

きく異なると解析結果にその影響が現れて,高周波成分にひずみ(歪)が発生する。フーリエ変換を行う

ときに測定したデータの不連続性の影響を補正するために窓関数を乗じる。適用する窓関数の種類によっ

て,周波数分解能及びダイナミックレンジが変化するので,目的に合わせて適切な窓関数を選定する。 

窓関数としては,“方形窓(rectangular window)”,“ガウス窓(Gauss window)”,“ハン窓(hann window)”,

“ハミング窓(hamming window)”などがある。 

3.13 

時間領域(time domain) 

対象とする物理量を時間の関数として扱う領域。 

3.14 

周波数領域(frequency domain) 

対象とする物理量を周波数の異なる多数の正弦波の集合として捉えて,周波数の関数として扱う領域。 

測定装置 

4.1 

磁界センサ 

各磁界センサの中心は,この規格に規定されている測定距離の基準点とする。また,磁界センサは,JIS 

C 1910に適合することが望ましく,次のいずれかによる。 

a) 3軸サーチコイルセンサ(交流磁界の測定には,ループの最大面積は100 cm2,周波数範囲は5 Hz〜20 

kHzを用いてもよい。) 

b) 3軸ホール素子センサ(周波数範囲は0〜20 kHz) 

c) 3軸フラックスゲートセンサ(周波数範囲は0〜20 kHz) 

4.2 

測定装置の要件 

磁束密度の測定に用いる測定装置は,次のとおりとする。 

a) ダイナミックレンジ 測定回路のダイナミックレンジは,適用範囲の領域を適切にカバーするものと

する。 

b) 等方性 測定機器は,磁界センサの方式にかかわらず等方性をもつ3軸の磁気検知素子又は部品によ

って構成されて,各軸の出力が個別に得られるものを用いる。また,全測定システムの等方性の偏差

は,5 %以下とする。 

c) 直線性 測定された磁界強度値に関する全システムの直線性偏差は,必要なダイナミックレンジにお

いて±5 %とする。 

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d) 校正及び精度 全ての関連する測定装置は,使用周波数範囲において校正された機器を使用する。ま

た,磁界センサから最終表示装置に至る全測定回路の“不確かさ”は,受渡当事者間で協定した範囲

(通常は20 %以下)とする。全測定回路を検査して,その性能及び精度を確認する。 

なお,“不確かさ”の評価に関する手引は,JIS C 1910による。 

e) 周波数範囲 周波数範囲は,0〜20 kHzとし,1台又は複数台設置することによって測定範囲をカバー

する。 

f) 

磁界センサ 磁界を測定するセンサは,サーチコイルセンサ,ホール素子センサ,フラックスゲート

センサ(磁気発振式も含む。)などいずれのセンサを用いてもよい。 

g) 測定回路のノイズ対策 測定機器のセンサ部分(磁界を検知する素子又は部品によって構成された部

位をいう。)が,測定機器の本体と電線によって接続される構造の場合には,電線へのノイズの混入を

防止するため,センサの電線が,測定機器自身の電気配線,車両の電気配線及び発電機などの電源装

置の電気配線と交差しないように配線する。 

h) 測定機器間のノイズ対策 同一の交流周波数帯の測定のために異なる形式の測定機器をやむを得ず使

用する場合には,それぞれの測定機器の発振信号がノイズとして現れることを考慮し,十分な離隔を

取って使用する。 

i) 

ゼロ点調整 センサのゼロ点調整は,測定対象機器及び車両が静止状態にあるときに行う。また,測

定開始後も必要に応じて適宜ゼロ点調整を行う。 

j) 

固定 センサは,測定時には,6.2.1〜6.3に規定する測定点に固定して使用する。固定するためのジグ

類は,磁界に影響を及ぼさない構造のものを使用する。このため,ジグ類などの材質は,非磁性体と

する。さらに,可能な限り非導電体であることが望ましい。 

k) データの記録 測定データが,オフラインでの更なる解析評価に利用できるようにするため,データ

ロガーなどのデータ収集記録装置を用いることが望ましい。 

測定項目 

5.1 

共通事項 

この測定では,電圧及び電流の値は,実効値によって表す。測定項目は,同時に測定した3軸の磁束密

度,磁界発生機器の電流などとする。また,同時に電車線電流,電車線電圧及び車両速度などを含めるこ

ともできる。 

5.2 

空間成分の加算 

三つの直交面で同時に三方向の測定を実施して,磁束密度の成分を得るものとする。合成磁束密度は,

次の式によって求める。 

2

z

2

y

2

x

B

B

B

B

+

+

=

ここに, 

B: 合成磁束密度(T) 

Bx: X軸方向の磁束密度(T) 

By: Y軸方向の磁束密度(T) 

Bz: Z軸方向の磁束密度(T) 

なお,交流磁界の場合には,時間領域において偶発的ノイズを除去するなどのフィルタリング後に,又

は周波数領域において磁束密度の測定成分のFFT 1) 後に,加算を実施する必要がある。 

注記 上記のBを求める式では,周波数成分間の位相関係が失われるため,周波数領域における加算

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の最大値が得られる。 

注1) FFT(Fast Fourier Transformation):高速フーリエ変換 

測定箇所及び測定手順 

6.1 

概要 

鉄道には,車両,き電設備及び信号保安設備の三つの人体に影響を及ぼす可能性がある電磁界源が存在

する。包括的な電磁界を扱う国際規格IEC 62311では,様々な周波数の電界及び磁界の同時暴露に関して

は,電界及び磁界の個別加算方式となっている。それらは,暴露の影響によって異なる。1 Hz〜10 MHz

の周波数範囲では,電磁誘導による生体への電気的刺激が問題とされる。また,100 kHz〜300 GHzの周波

数範囲では,エネルギー吸収による熱的影響が問題とされる。 

車両,き電設備及び信号保安設備の検出可能な磁界放射周波数範囲は,0〜100 kHzであるため,測定,

シミュレーション及び計算はこの範囲に限定される。この周波数範囲では,磁界が支配的であり,電界は

無視することができるので,適用される加算方式は磁界だけである。 

信号保安設備の出力は,鉄道環境における他の磁界源に比べて低いため,その影響は無視することがで

きる。また,鉄道のき電設備及び車内の磁界の放射は負荷電流に依存しているので,短時間で大きく変化

することがある。 

鉄道環境における磁界の測定手順は,次の事例に分けられる。ただし,事例2はこの規格の適用外であ

る。 

注記 車両の法令又はガイドラインへの適合性は,事例1を用いて評価することができる。 

地上設備が法令又はガイドラインへ適合していることは,事例2を用いて評価することがで

きる。 

a) 事例1 車両(6.2を参照) 

1) 車両内の測定 

2) 車両外の測定(必要によって実施する。) 

b) 事例2 既存インフラの地上設備 

1) 既存の鉄道インフラの測定 

2) 最悪の状況のシミュレーション及び計算(橋,踏切,架線の最大可能電流,第三軌条など) 

鉄道環境における装置,システム及び地上設備について,ICNIRP 2) 及びIEEE 3) で規定されている公衆

及び職員に対する基本制限及び測定値と比較可能な参考レベルが存在する。 

事例1及び事例2が参考レベルに適合していれば,鉄道システム全体が関連の要求事項及び基本制限に

適合しているとみなすことができる。ただし,測定値が参考レベルを超えたとしても,必ずしも基本制限

を超過したことを意味しない。 

注2) ICNIRP(International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection):国際非電離放射線防護

委員会 

3) IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.):アイトリプルイー:米国の電気

電子学会 

6.2 

車両内の測定 

6.2.1 

測定方法の種類及び車両内の職員の行動領域 

測定は,立入り可能空間で実施する。立入り可能空間における磁界測定法の種類は,“表面測定法”と“容

積測定法”とに区分し,いずれかで測定する。 

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a) 表面測定法による測定 磁界源に近い最小距離4) で,合意された数の測定点において実施する(附属

書A参照)。測定する位置は,磁界放射源の上方の床面及び必要に応じて床上高さが0.5 m,1.0 m及

び1.5 mとする(図1参照)。 

注4) 最小距離とは,磁界センサの寸法制限の下での最短距離をいう。 

b) 容積測定法による測定 職員が行動する可能性がある代表的な位置で測定する。職員の行動領域にお

ける測定の床上高さは,1.0 m及び1.5 mとする。 

なお,測定点から壁までの水平距離は,0.3 m又は職員が行動可能な場所と壁面との最小距離(0.3 m

以上)とする(図2参照)。 

6.2.2 

車両内の公衆領域 

測定は,立入り可能空間で実施する。立入り可能空間における磁界は,次の“表面測定法”又は“容積

測定法”のいずれかで測定する。 

a) 表面測定法による測定 6.2.1 a)に示す職員の行動領域の測定と同じとする。測定点を図1に示す。 

図1−車両内の表面測定法による測定点 

b) 容積測定法による測定 公衆領域における測定の床上高さは,0.3 m,1.0 m及び1.5 mとする。測定

点を図2に示す。 

0.5 m 

床面 

1.0 m 

1.5 m 

車内測定点(職員及び公衆) 

磁界放射源 

磁界を放射する車載機器 

車両の外部表面 

レール踏面 

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図2−車両内の容積測定法による測定点 

6.3 

車両外の測定(公衆及び職員) 

測定は,立入り可能空間で実施する。立入り可能空間における磁界は,次の表面測定法又は容積測定法

のいずれかで測定する。 

車両の外部表面は,図3による。車両の下方又は上方の場所は,立入り可能空間における磁界の測定対

象外である。 

なお,第三軌条集電方式の車両においては,公衆に関する測定は,第三軌条のある側では実施しないも

のとする。 

注記 

図3の    部分は,磁界の測定対象外の領域を示す。 

図3−車両の外部表面 

a) 表面測定法による測定 測定は,図4に示すように車両の外部表面の延長線上の最小距離で,磁界を

レール踏面 

0.3 m 

床面 

1.0 m 

1.5 m 

車内測定点(公衆) 

磁界放射源 

磁界を放射する車載機器 

車両の外部表面 

レール踏面 

0.3 m以上

車内測定点(職員) 

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放射する機器の最も近い側の中心の高さにおいて実施する(附属書A参照)。 

なお,受渡当事者間で協定した数の測定点においても測定を行う。 

図4−車外の表面測定法による測定点 

b) 容積測定法による測定 測定は,車両の磁界放射源(電力変換装置,電力ケーブル,リアクトルなど)

を考慮し,図5に示すような車両の外部表面まで0.3 mの距離で,レール踏面から0.5 m,1.5 m及び

2.5 mの高さにおいて実施する。 

図5−車外の容積測定法による測定点 

測定の結果 

測定の結果は,車内及び車外の磁界を,次によって測定する。この場合の測定は,各測定点及び各負荷

条件について,1回実行すれば十分である。ただし,受渡当事者間の合意がある場合には,測定条件を満

床面 

磁界放射源 

磁界を放射する車載機器 

車両の外部表面 

レール踏面 

車外測定点 

0.3 m 

2.5 m 

0.5 m 

1.5 m 

磁界放射源 

磁界を放射する車載機器 

車両の外部表面 

レール踏面 

車外測定点 

床面 

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たさない部分は,実測値から換算することができる。測定値は(µT)で表し,小数点以下は四捨五入して

整数値にまとめるのがよい。 

なお,測定する際は,測定結果を評価するために全ての測定データの記録をとるのが望ましい。 

a) 車内の測定 車両内の全ての測定領域の各点を,次によって磁界を測定する。 

1) 3軸の磁界を全て同時に測定する。 

2) 静止状態で30〜60秒間測定する。 

3) 車両が停止状態から最大加速度で最高速度に達し,少なくとも10秒間惰行した後,実施可能な最大

電気ブレーキ力で停止するまでの間,各車内測定点における3軸の磁界を全て測定する。 

なお,車両内の職員行動領域及び公衆領域の測定値は,停止状態及び運転状態での車載の磁界発

生機器の磁界放射量を示す。 

b) 車外の測定 静止状態で30〜60秒間,3軸の磁界を全て測定する。 

なお,車外領域の測定値は,停止状態における車載の磁界発生機器の磁界放射量を示す。 

測定結果の評価 

8.1 

共通事項 

測定データは,関連する法規に従って評価することが望ましい。 

8.2 

直流磁界 

直流磁界は,5.2に規定する式を用いて算出した合成磁束密度の大きさを評価する。 

8.3 

交流磁界 

8.3.1 

評価の基準 

交流磁界の場合,次のいずれかの方法を用い評価する。 

a) FFTを用いて周波数領域で評価を行うICNIRPガイドラインに規定の基本的方法 

b) IEEE規格で規定されている時間領域で評価を行う方法 

なお,二つの方法は,次の傾向がある。 

− 正弦波磁界について同じ結果をもたらす(両方の方法で重み関数が同じであると仮定した場合)。 

− 周期磁界について類似の結果をもたらす。 

− インパルス状の磁界について異なる結果[多周波数信号について,a) のFFT法では暴露が過大評価

される。]をもたらすことがある。 

a) の周波数領域での評価方法では,b) の時間領域での評価方法(鉄道環境がパルス及び複合非正弦波

形で特徴付けられる。)の結果に比べて磁界が過大評価されるため,b) の方法がよりふさわしい場合があ

る(ICNIRP声明参照。)。また,過渡現象によって限界を超える場合には,過渡現象を特定することが望

ましい。例えば,スイッチング現象のような持続時間が1秒間未満の過渡現象は無視することができる。 

8.3.2 

周波数領域の分別 

得られた時系列の測定値を,FFT解析によって周波数帯域(0〜20 kHz)に分別するのは,次の手順によ

る。 

a) FFTアナライザ,デジタル信号プロセッサ,それに相当する装置(オンライン又はオフラインによる

記録)などを用いた周波数領域の測定。その後に,測定された信号を磁束密度の値に変換するために

必要な,ICNIRP声明などの関連要求事項又は規格で規定されたスペクトルの重み付け及びスペクト

ル成分の加算を行う。 

b) FFTデータ(スペクトル信号の観測時間及び帯域幅)のレコード長及びサンプリング周波数は,関連

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要求事項又は規格に従っていることが望ましい。 

c) 推奨事項としての標準パラメータを,次に記載する。 

1) 窓関数:ハミング(重複なし) 

2) レコード長:0.5秒(リアルタイムFFT) 

3) サンプリング周波数: 40 kHz以上 

4) スペクトル成分の加算:限界値の10 %のしきい値を下回る線形スペクトル線は考慮しない。 

注記 FFT解析による過渡電流及び可変周波数制御の影響による磁界変動の評価から誤った結果

が得られることがある。ピークホールド結果が限界値に適合する場合には,各時間ステッ

プの詳細な解析は不要である。負荷の変化(例えば,加速から惰行への変化)によってFFT

解析に過大な誤差が生じることがある。このため,過渡的な変化のない異なる動作条件で

の別個の調査が許容される。 

8.3.3 

時間領域での評価 

スペクトルの重み付け及び磁束密度[B(t)]の値への測定信号の変換を実行するための適切なフィルタ

特性を備えるデジタルフィルタ又はアナログフィルタを用いた時間領域での評価[dB(t)/dt又はB(t)]に続

けて,必要に応じて,次に,ICNIRP声明などの基本要求事項又は規格で規定されている評価を行う。 

例 サンプリング周波数:40 kHz以上 

記録 

9.1 

共通事項 

報告書に関する指針は,JIS Q 17025の5.10(結果の報告)に示されている。報告書には,測定器具及び

測定に関連する次の情報についても,全ての場合において提供することが望ましい。 

a) 測定の日付 

b) 測定法の種類及び車内の測定値 

c) 測定法の種類及び車外の測定値 

d) 測定の時刻 

e) 測定の設定(測定の高さ,位置など) 

f) 

環境条件(気象条件,他の磁界源,磁化物質など) 

g) 測定の不確かさ[測定条件など,JIS C 1910の5.3(測定の不確かさ)参照] 

h) 測定結果の評価(実施した各測定値のICNIRPについての適合性評価など) 

i) 

選ばれた測定場所(高放出を伴う場所,第三者から要請された場所など)のスペクトル分析 

j) 

所定の測定条件からの逸脱(測定期間,最大電流など)及びその理由 

k) 測定機器及び測定回路構成 

9.2 

車両の試験記録 

車両試験中に次の項目を具体的に記録することが望ましい。 

a) 軌道及び走行方向 

b) 列車編成,車両番号及び車両の相対位置 

c) 車両の質量(満車又は空車) 

d) 作動しているパンタグラフの位置 

e) 地上電源設備 

f) 

帰線路(複線又は単線)及び帰線ケーブルの特性 

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E 4018:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

g) 測定位置に対する吸上変圧器及び地上電源設備の位置 

h) 主変換装置の位置 

i) 

補助変換装置の位置 

j) 

主リアクトルの位置 

さらに,車両の総消費電力量に相当する集電電流,車両速度及び電車線電圧を,できるだけ記録するの

がよい。 

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E 4018:2012  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

表面測定法による測定条件及び測定方法 

A.1 走行状態の車両内における測定条件及び測定方法 

A.1.1 測定の際の注意点 

車両内部での放射磁界の主要なものは,床下機器からのものである。特に,大電流を使用する床下機器

の直上及びその周辺での測定を行う必要がある。 

A.1.2 測定対象機器の選定 

測定環境に応じて,大電流が通電される機器を優先して選定する。 

A.1.3 基本測定点 

測定対象機器ごとに,床面から0 cmの高さ(センサの構造によるやむを得ない場合はこの限りでない。)

であり,測定対象機器の放射磁界が最大となると思われる点(図A.1のA点)に最も近い点を選定する。

また,測定対象機器の各辺上の点から数点の測定点を選定することもできる。ただし,測定対象機器が複

数の機器によって構成されている場合には,個々の機器のA点に最も近い点(図A.1のB点)を選定する

ことを妨げない。 

図A.1−車両の内部・床下機器からの放射磁界の測定点 

A.1.4 測定期間 

測定対象機器の動作状態が列車の走行状態によって変化するものにあっては,列車が静止した状態から

列車が再び静止するまでの間を,1期間として測定を行う。ただし,測定対象機器の動作が予測可能であ

り最大の放射磁界の測定が可能な場合又は試験実施環境からやむを得ないときは,これによらないことが

できる。 

A.1.5 空間的分布調査のための測定点 

床面における測定後,放射磁界の空間的分布を調査する場合には,床面における測定点から垂直方向に

高さ0.5 m,1.0 m及び1.5 mでの測定を行うことができる。 

注記 列車の状況と放射磁界との関連性を明らかにするため,力行・惰行・停止の別を記録できるト

リガー装置及び速度・主回路電流などを記録する装置も測定結果を解析する上で有効である。 

測定点 

X軸方向 

Y軸方向 

車体平面 

遮蔽板 

遮蔽板 

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E 4018:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A.2 車内における大電流ぎ装配線の近傍 

測定点は,大電流が通電されるぎ装配線の近傍の車内床上面又は壁面の1点とする。 

A.3 車外における機器の近傍 

車外の測定は,6.3 a) によって実施する。 

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E 4018:2012  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

[1] JIS Z 8103:2000 計測用語 

[2] IEC 62110:2009,Electric and magnetic field levels generated by AC power systems−Measurement procedures 

with regard to public exposure 

[3] 国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP):静磁界への暴露を制限するためのガイドライン “Health 

Physics 66 (1)”:100〜106ページ,1994年 

[4] 国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP):時間的に変化する電界,磁界及び電磁界への暴露を制限す

るためのガイドライン(最大300 GHz) “Health Physics 74 (4)”:494〜522ページ,1998年 

[5] ICNIRP声明:(“100 kHzを下回るパルス複合非正弦波形への暴露がICNIRPガイドラインに準拠して

いるかどうかを判断するための指針”2003年3月から) 

[6] 車両内の非定常低周波数磁界放射の時間領域測定およびスペクトル解析:“IEEE Transactions on 

Electromagnetic Compatibility”第46巻,第1号,12〜23ページ,2004年2月 

[7] IEEE C95.1:2005,IEEE Standard for Safety Levels with Respect to Human Exposure to Radio Frequency 

Electromagnetic Fields, 3 kHz to 300 GHz[無線周波数電磁界(3 kHz〜300 GHz)への人体暴露を考慮し

た安全水準に関するIEEE規格] 

[8] IEEE C95.3.1:2010,IEEE Recommended Practice for Measurements and Computations of Electric, Magnetic, 

and Electromagnetic Fields with Respect to Human Exposure to Such Fields, 0 to 100 kHz[電磁界(0〜100 

kHz)への人体暴露を考慮した測定及びコンピュータ解析に関するIEEE実施勧告] 

[9] IEEE C95.6:2002,IEEE Standard for Safety Levels with Respect to Human Exposure to Electromagnetic 

Fields, 0-3 kHz[電磁界(0〜3 kHz)への人体暴露を考慮した安全水準に関するIEEE規格]