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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

D 5010-1993 

自動車用リレー通則 

Automobiles−General rules of relays  

1. 適用範囲 この規格は,自動車の直流電気回路に用いる機械的接点をもつリレー(以下,リレーとい

う。)について規定する。ただし,電子回路に内蔵されるリレー,可動鉄心ソレノイド,レギュレータなど

は除く。 

なお,ラッチングリレー及びステッピングリレーについては,この規格を準用することが望ましい。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS C 1102 指示電気計器 

JIS C 1302 絶縁抵抗計(電池式) 

JIS C 1502 普通騒音計 

JIS D 0203 自動車部品の耐湿及び耐水試験方法 

JIS D 0207 自動車部品の防じん及び耐じん試験通則 

JIS D 1601 自動車部品振動試験方法 

JIS D 5005 自動車用電装部品の公称電圧及び試験電圧 

JIS D 5011 自動車用リレー−端子配列・端子機能及び寸法 

JIS Z 2371 塩水噴霧試験方法 

JIS Z 8731 騒音レベル測定方法 

JIS Z 8901 試験用ダスト 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

(1) 時間定格に関する用語 

(a) 連続定格リレー 所定の負荷,電圧及び周囲条件に応じて長時間連続して作動するリレー(記号CT)。 

(b) 短時間定格リレー 所定の負荷,電圧及び周囲条件に応じて,短時間作動するリレー(記号IT)。 

(2) 負荷電流に関する用語 

(a) 定格負荷電流 所定の使用条件で,接点に流すことができる最大負荷電流。 

(b) 過負荷電流 定格負荷電流を超えて一時的に流すことができる電流。 

(3) 接点の開閉に関する用語 

(a) 常開接点 リレーのコイルが励磁され,作動したとき閉じる接点(記号NO)。 

(b) 常閉接点 リレーのコイルが励磁され,作動したとき開く接点(記号NC)。 

(4) 作動及び復帰に関する用語 

(a) 作動 リレーが励磁されて常開接点が閉じ,又は常閉接点が開くこと。 

(b) 復帰 作動状態にあるリレーが,励磁されていない元の状態に戻ること。 

(5) 作動電圧に関する用語 

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D 5010-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(a) 最低作動電圧 周囲温度20±5℃において,リレーが作動する最低の電圧。 

(b) 復帰電圧 周囲温度20±5℃において,作動状態にあるリレーが復帰する最高の電圧。 

3. 種類 リレーの種類は,公称電圧及び定格負荷電流によって表1のとおりとする。 

表1 種類 

公称電圧 

定格負荷電流 

12 

5, 10, 15, 20, 25, 30 

24 

3, 5, 10, 15, 20 

4. 性能 リレーの性能は,7.に規定する方法によって試験したとき,表2に示す性能を満足しなければ

ならない。 

表2 性能 

項目 

性能 

試験方法箇条 

(1) 作動電圧 

正常に作動すること。 

7.2 

(2) 復帰電圧 

正常に復帰すること。 

7.3 

(3) 励磁電流 

受渡当事者間の協定による。 

7.4 

(4) 端子間電圧降下 

耐久試験前のものは,0.2V以下とする。 
耐久試験後のものは,0.3V以下とする。 

7.5 

(5) 絶縁抵抗及び耐電圧 

絶縁抵抗は,1MΩ以上とする。 

耐電圧は,異常を生じないこと。 

7.6 

(6) 温度上昇 

55℃以下とする。 

7.7 

(7) 作動音 

受渡当事者間の協定による。 

7.8 

(8) 耐温度性 

試験後,(1)〜(5)の性能を満足すること。 

7.9 

(9) 過負荷電流性 

試験後,(1)〜(5)の性能を満足すること。 

7.10 

(10) 耐振性 

試験後,(1)〜(5)の性能を満足すること。 

7.11 

(11) 耐湿耐水性 

試験後,(1)〜(5)の性能を満足すること。 

7.12 

(12) 耐じん性 

試験後,(1)〜(5)の性能を満足すること。 

7.13 

(13) 耐久性 

試験後,(1)〜(5)の性能を満足すること。 

7.14 

(14) 落下衝撃性 

試験後,(1)の性能を満足すること。 

7.15 

(15) 耐塩水噴霧性 

試験後,(1)〜(5)の性能を満足すること。 

7.16 

(16) 端子強度 

試験後,(1)の性能を満足すること。 

7.17 

5. 形状及び寸法 

5.1 

端子 リレーの端子は,JIS D 5011に規定する端子配列及び端子形状とする。 

5.2 

取付穴寸法 リレー取付部の穴は,φ5.5,φ6.5又はφ8.5mmとし,許容差は+05

0.mmとする。 

参考 リレーの取付場所は,水,振動,熱,じんあい,油脂などの影響を受けない場所とするのがよ

い。 

6. 外観 リレーの外観は,次のとおりとする。 

(1) リレーには,有害な傷,割れ,その他の欠点がないこと。 

(2) 外部表面が,腐食などのおそれがある場合は,塗装又はめっき等による処理を施すこと。 

7. 試験方法 

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D 5010-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.1 

試験条件 試験は,特に規定のない限り次の条件で行う。 

(1) 試験場所の状態は,常温 (5〜35℃) ,常湿 (40〜80%) とする。 

(2) 試験に用いる電流計,電圧計及び抵抗計は,JIS C 1102に規定する0.5級又はこれと同等以上のもの

を用いる。 

(3) 試験に用いる恒温槽は,低温側が−30℃,高温側が100℃まで変えることができるもので,任意の設

定温度で±2℃の温度に維持できるものを用いる。 

7.2 

作動電圧試験 リレーのコイル端子に表3の試験電圧を加え,正常に作動することを調べる。ただ

し,試験中の周囲温度は20 ℃とし,20 ℃にない場合には,励磁コイルの抵抗値温度特性で校正した電圧

を加える。 

表3 作動試験電圧 

公称電圧 

最低作動電圧 

標準作動電圧 

最高作動電圧 

12V 
又は 
24V 

JIS D 5005による
最低試験電圧(1) 

JIS D 5005による
一般試験電圧(1) 

JIS D 5005による
最高試験電圧(1) 

注(1) リレーの使用負荷に応じた回路の電圧を選ぶ。 

7.3 

復帰電圧試験 リレーを作動状態におき,コイルが発熱の影響を受けない時間内に,表4の電圧が

加わった状態で,作動状態から異常なく復帰することを調べる。ただし,試験中の周囲温度は20℃とし,

20℃にない場合は,励磁コイルの抵抗値温度特性で校正した電圧を加える。 

表4 復帰試験電圧 

単位 V 

公称電圧 

復帰試験電圧 

12 

0.5以上6.0以下。ただし,始動回路に用いる
ものは,0.5以上4.0以下。 

24 

1.0以上12.0以下。ただし,始動回路に用いる
ものは,1.0以上8.0以下。 

7.4 

励磁電流試験 リレーに公称電圧を加えて作動させ,コイルに流れる電流値を測定する。ただし,

試験中の周囲温度は20℃とし,20℃にない場合には,励磁コイルの温度特性により校正する。 

7.5 

端子間電圧降下試験 リレーに定格負荷電流を通電し,電圧降下を,接点側端子間で測定する。た

だし,常開接点のリレーは,公称電圧で作動させた状態とし,常閉接点のリレーは,復帰した状態で行う。 

7.6 

絶縁抵抗及び耐電圧試験 次の方法で試験を行う。 

(1) 絶縁抵抗は,リレーの絶縁された端子間及び,端子と他の導電部材間に,JIS C 1302による500Vの

絶縁抵抗計を用いて測定する。 

(2) 耐電圧は,リレーの絶縁された端子間及び,端子と他の導電部材間に,50Hz又は60Hzで500Vの交

流電圧を1分間加え,異常の有無を調べる。 

7.7 

温度上昇試験 無風の常温常湿においてリレーを表3の最高作動電圧で作動させ,定格負荷電流を

通電して,リレーの表面飽和温度を測定する。この測定場所は,受渡当事者間の協定による。ただし,短

時間定格のリレーは,受渡当事者間で協定した時間又は回数の断続通電後に測定する。 

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7.8 

作動音試験 リレーの作動音試験をする必要がある場合には,無響室又はできるだけ静粛で周囲か

ら音の反射がない環境に,リレーを正規の使用状態で共鳴を生じない支持台に取り付け,図1に示すよう

に騒音計などを設置し,公称電圧でリレーを作動させて作動音を測定する。測定は,リレーの前後,左右

及び上方向について行う。騒音計はJIS C 1502に適合するものを使用し,聴感補正回路はA特性,指示計

器の動特性は速 (Fast) を使用する。暗騒音の影響はJIS Z 8731の6.(特定騒音に対する暗騒音の影響)に

よる。 

図1 作動音測定方法 

7.9 

耐温度性試験 次の方法で試験する。 

(1) 高温放置試験 リレーを恒温槽に入れ,80±2℃[又は100±2℃(2)]の状態で96時間放置してから,

常温に戻し,7.2〜7.6の試験を行う。 

注(2) 特に高温雰囲気を必要とする場合に適用する。 

(2) 高温作動試験 リレーを恒温槽に入れ,60±2℃[又は80±2℃(2)]の状態で表3の最高作動電圧を加

え,定格負荷電流を1時間通電した後,その温度のまま,7.2の試験を行う。ただし,短時間定格のリ

レーは,受渡当事者間で協定した時間又は回数の断続通電後に7.2の試験を行う。 

(3) 低温放置及び作動試験 リレーを恒温槽に入れ,−20±2℃[又は−30±2℃(3)]の状態で96時間放置

してから,この状態で公称電圧を加え,定格負荷電流を通電して作動させた後,7.2及び7.4の試験を

行う。 

その後,常温常湿に1時間放置した後,7.2〜7.6の試験を行う。 

注(3) 特に低温雰囲気を必要とする場合に適用する。 

(4) 温湿度サイクル試験 リレーを恒温槽内に正規の使用状態で取り付け,図2に示す24時間の温湿度変

化を1サイクルとして,5サイクル以上の温湿度変化を加える。その後常温に戻してから7.2〜7.6の

試験を行う。 

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図2 温湿度サイクル試験 

(5) 熱衝撃試験 リレーを恒温槽内に正規の使用状態で取り付け,図3に示す温度変化を1サイクルとし

て,合計48サイクルの温度変化を加える。その後,常温常湿に1時間放置してから,7.2〜7.6の試験

を行う。 

図3 熱衝撃試験の温度サイクル 

備考 t0からt1までを1サイクルとする。 

7.10 過負荷電流試験 リレーに表3の最高作動電圧を加え,定格負荷電流の150%を30秒間通電した後,

7.2〜7.6の試験を行う。 

7.11 耐振試験 リレーを正規の使用状態で振動試験台に取り付け,JIS D 1601の5.3(1)(振動耐久試験方

法,共振がない場合)の段階4に示す方法によって試験を行い,その後,7.2〜7.6の試験を行う。 

なお,リレーの作動条件については,受渡当事者間の協定による。 

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7.12 耐湿耐水試験 リレーが耐湿性又は耐水性を必要とする場合には,JIS D 0203に規定するM2又は

R1の試験を行った後,外部の水をふ(拭)き取り,常温常湿に1時間放置した後,7.2〜7.6の試験を行う。 

7.13 耐じん試験 リレーが耐じん性を必要とする場合には,JIS D 0207に規定するF1の試験を,JIS Z 

8901の試験用ダスト8種を用いて行い,その後,7.2〜7.6の試験を行う。 

7.14 耐久試験 リレーを正規の使用状態において表5に示す条件で試験を行い,その後,7.2〜7.6の試験

を行う。 

表5 耐久試験条件 

項目 

試験条件 

試験電圧 

表3の標準作動電圧 

負荷 

実負荷,又はこれに相当する負荷 

断続作動速度 

毎分10〜30回(作動及び休止時間は,受渡当事者間の協定による。) 

耐久回数 

10 000回,30 000回,50 000回,又は100 000回以上のうち,いず
れかを受渡当事者間の協定によって選ぶ。 

7.15 落下衝撃試験 リレーを0.5m又は1.0mの高さから,平らなコンクリート床面に自由落下させた後,

7.2の試験を行い,また,外観などの異常の有無を調べる。 

なお,落下試験高さの選択,落下衝撃面の向き,及び試験回数は,受渡当事者間の協定による。 

7.16 塩水噴霧試験 リレーが耐塩水性を必要とする場合には,塩水噴霧試験機に正規の使用状態に取り

付け,JIS Z 2371に規定する方法で48時間の試験を行う。その後,水道水で表面を洗ってから24時間放

置し,7.2〜7.6の試験を行う。 

なお,塩水噴霧中は,リレーに電源及び負荷は接続しない。 

7.17 端子強度試験 リレーの端子強度は,各端子それぞれに80Nの荷重を1分間,端子の接続方向に,

引く力及び押す力を加えた後,7.2の試験を行い,また,外観などの異常の有無を調べる。ただし,リード

線付きのものは,リード線の接続方向に引っ張る。 

8. 表示 リレーには,見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を表示する。 

(1) すべてのリレーに表示する事項 

(a) 製造業者名又はその略号 

(b) 製造年月又はその略号 

(2) 個別規格が選択する事項 

(a) 公称電圧 

(b) 定格負荷電流 

(c) 端子記号 

(d) 取付姿勢を示す記号 

(e) 時間定格又はその反号(CT又はIT) 

D 5010-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS D 5010改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

○ 清 水 健 一 

工業技術院機械技術研究所 

(幹事) 

○ 中 野 雅 光 

ナイルス部品株式会社 

(幹事) 

○ 河 村 祥太郎 

アンデン株式会社 

林   洋 和 

通商産業省機械情報産業局 

○ 山 村 修 蔵 

工業技術院標準部 

加 山 英 男 

財団法人日本規格協会 

○ 浅 沼   勲 

日産自動車株式会社 

村 田 容 一 

トヨタ自動車株式会社 

川 崎 秀 則 

ダイハツ工業株式会社 

雨 海 正 勝 

いすゞ自動車株式会社 

冨 谷 直 充 

三菱自動車工業株式会社 

田 中   光 

株式会社本田技術研究所 

杉 田 昌 夫 

富士重工業株式会社 

○ 長谷川   保 

株式会社三ッ葉電機製作所 

○ 小 磯 文 三 

自動車電機工業株式会社 

○ 服 部 政 一 

株式会社東海理化電機製作所 

○ 平 井 一 夫 

丸子警報器株式会社 

○ 城 下   毅 

株式会社今仙電機製作所 

○ 旅 川   実 

メトロ電装株式会社 

○ 村 岡 良 三 

社団法人日本自動車部品工業会 

中 込 常 雄 

日本工業標準調査会自動車航空部会規格調整専門委員会 

(関係者) 

笹 尾 照 夫 

工業技術院標準部 

(関係者) 

渡 辺 健 司 

日産自動車株式会社 

(関係者) 

梅 田 幸 彦 

トヨタ自動車株式会社 

(関係者) 

川 井 浩 史 

三菱自動車工業株式会社 

(関係者) 

室 岡 冨 夫 

ナイルス部品株式会社 

(関係者) 

金 子   昇 

自動車電機工業株式会社 

(関係者) 

皆 川 阿吾三 

宮本警報器株式会社 

(事務局) 

中 田 八 重 

社団法人日本自動車部品工業会 

備考 ○印は小委員会委員