D 3636:2003
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人自動車技
術会 (JSAE)/財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの
申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS D 3636:1994は改正され,この規格に置き換えられる。
改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 4010:1998, Diesel engines−
Calibrating nozzle, delay pintle typeを基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。 経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS D 3636には,次に示す附属書がある。
附属書1(規定) ISO 4010によらない,ピントル形校正用ノズルの要求事項
附属書2(参考) 参考文献
附属書3(参考) JISと対応する国際規格との対比表
D 3636:2003
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 呼び方及び表示 ··············································································································· 1
4. 寸法及び公差 ·················································································································· 2
5. 試験方法 ························································································································ 2
5.1 概要 ···························································································································· 2
5.2 試験方法1:噴孔部すき間 ······························································································· 2
5.3 試験方法2:しゅう(摺)動部すき間 ················································································ 4
附属書1(規定) ISO 4010によらない,ピントル形校正用ノズルの要求事項 ································· 6
附属書2(参考) 参考文献 ··································································································· 8
附属書3(参考) JISと対応する国際規格との対比表································································· 9
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
D 3636:2003
自動車−ディーゼル機関用燃料噴射装置の試験−
ピントル形校正用ノズル
Road vehicles−Diesel fuel injection equipment testing−
Pintle type calibrating nozzle
序文 この規格は,1998年に第2版として発行されたISO 4010,Diesel engines−Calibrating nozzle, delay
pintle typeを元に,対応する部分(形状及び寸法)については対応国際規格を翻訳し,技術的内容を変更す
ることなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定されていない規定項目を日本工業規格
として追加している。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にない事項である。変更の一覧
表をその説明を付けて,附属書3(参考)に示す。
1. 適用範囲 この規格は,燃料噴射ポンプ試験装置上でディーゼル機関用の燃料噴射ポンプ(以下,ポ
ンプという。)の試験及び調整をするために用いる校正用ノズル(以下,ノズルという。)について,寸法,
噴孔部(方法1)及びしゅう(摺)動部(方法2)のすき間を測定する試験方法について規定する。
ノズルの適用限界は,噴射ポンプの試験結果による。このノズルの仕様については,個々のポンプにつ
いてポンプ製造業者が確認し,ポンプ試験仕様書に記載する。代表的な範囲は,150 mm3/stroke以下とす
る。ただし,日本においては,これよりはるかに広い範囲で実用されており,受渡当事者間の協定によっ
て150 mm3/stroke以上でもよいものとする。
なお,附属書1にISO 4010によらないピントル形校正用ノズルの要求事項を規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21に基づき,IDT(一致している),MOD(修
正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 4010:1998, Diesel engines−Calibrating nozzle, delay pintle type (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS D 3604 自動車用ディーゼル機関燃料噴射ノズルの形状及び寸法−サイズ“S”
備考 ISO 2697:1974 Road vehicles−Fuel injection nozzles−Size“S”からの引用事項は,この規格
の該当事項と同等である。
3. 呼び方及び表示 ノズルの呼び方は,ISO 4010とし,ノズルのキャップナットから突き出すシャフト
部分に表示する。ただし,D 3636-1でもよい。
2
D 3636:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4. 寸法及び公差 ノズルの寸法及び公差は,図1による。
図に示す以外の寸法は,しゅう(摺)動部のすき間を除き,JIS D 3604のB形による。
しゅう(摺)動部のすき間は,5.3で示す方法で測定する。
単位 mm
図 1 ノズル断面図
5. 試験方法
5.1
概要 次の二つの試験方法によるすべての測定は,洗浄され乾燥されたノズルで行わなければなら
ない。流量測定のための測定装置は,表示値に対して測定正確度±0.5 %に校正済みのものを用いる。
5.2
試験方法1:噴孔部すき間 方法1は,噴孔部すき間を空気流量で測定する。
5.2.1
空気流量特性 ノズルの流量特性は,図3で示す測定装置によって測定し,表1に示す流量範囲で
なければならない。
表 1 空気流量特性
針弁リフト
mm
流量
cm3/min
L/h
0.1
120〜220
−
0.35
400以下
−
0.5
600以上
−
最大流量時リフト
−
228〜238
最大リフト
−
210〜220
表1に示す値は,大気圧が98 kPa, 大気温度が293 Kの場合に基づいている。
針弁リフトに対する空気流量特性を,図2に示す。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図 2 空気流量特性(1)
注(1) 斜線で示した範囲は,流量特性の範囲を示す。
5.2.2
試験条件 ノズルの噴孔部有効断面(針弁リフトごとの流路断面積最小部)及び出口部で,それぞ
れ流速が音速に達しているならば,測定装置が示す流量は,ノズルの噴孔部有効断面に比例する。この条
件を満足するために,測定時,ノズル出口で,大気圧力 (Pa) より少なくとも60 kPa低い圧力 (Pe) が常に
得られなければならない。針弁リフト0.1 mm及び0.35 mm時,ノズル出口部では大気圧より少なくとも
80 kPa低い圧力でなければならない。
また,流量計が示す値は, 測定時の大気条件(圧力,大気温度)に依存する。比較できる結果を得るた
めには,流量計の読みを流量計製造業者の校正条件で補正しなければならない。さらに,この補正値を,
熱力学の法則 (2) に基づいて,図2の特性を規格とする場合の条件(圧力98 kPa,温度293 K)に補正し
なければならない。
また,受渡当事者間(ポンプ製造業者及びエンジン製造業者)の協定によって規格の上限・下限のマス
タノズルを設定することによって,大気条件を補正してもよい。
注(2)
a
l
a
l
a
l
T
P
Q
Q
P T
×
×
=
4
D 3636:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2
l
1
l
2.99×10
PQ
T
×
×
=
ここに, Qa: 規定の大気条件での流量 (cm3/min)
Pa: 規定の大気圧力=98 (kPa)
Ta: 規定の大気温度=293 (K)
Q1: 実際の大気条件での流量 (cm3/min)
P1: 実際の大気圧力 (kPa)
T1: 実際の大気温度 (K)
5.2.3
測定装置 図3に示す。
図 3 噴孔部流量測定装置の原理図
5.3
試験方法2:しゅう(摺)動部すき間 方法2は,窒素ガスの流量でしゅう(摺)動部すき間を測定
する (3)。測定装置の原理図を図4に示す。
窒素ガスの流れの条件を次に示す。
− 圧力:2 MPa±0.01 MPa
− 温度:ノズル入口で 293 K
新品も使用済みのノズルも,ガス流量は,50〜100 cm3/minでなければならない。
注(3) 測定ごとに,ノズルボディ内の針弁を約120°回して,すき間の測定を2回繰り返すことが望
ましい。
すべての測定値は,上記公差内でなければならない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図 4 測定装置の原理図
6
D 3636:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書1(規定) ISO 4010によらない,ピントル形校正用ノズルの
要求事項
序文 この附属書1に規定するピントル形校正ノズル(以下,ノズルという。)の形式番号は,JIS D 3636 :
1994に規定されていた形式番号と同一とし,2形とする。
1. 適用範囲 この附属書は,燃料噴射ポンプ試験装置上でディーゼル機関用の燃料噴射ポンプ(以下,
ポンプという。)の試験及び調整をするために用いる校正用ノズル(以下,ノズルという。)のうち,ISO 4010
によらない校正用ノズル(2形)について規定する。これら以外の要求は本体の規定による。
2. 呼び方及び表示 ノズルの呼び方は,D3636-2とし,それを規格本体の3.で規定する部位に表示する。
3. 寸法及び公差 ノズルの寸法及び公差は,附属書1 図1による。
備考 図に示す以外の寸法は,JIS D 3604のB形による。
単位 mm
附属書1図 1
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4. 試験方法 ノズルの空気流量特性は, 本体図3で示す測定装置によって測定し,附属書1表1による。
附属書1表 1 空気流量特性
針弁リフト
mm
流 量
cm3/min
L/h
0.1
290〜340
−
0.35
500以下
−
0.65
915以上
−
最大リフト
−
280〜290
附属書1表1に示す値は,大気圧が98 kPa,大気温度が293 Kの場合に基づいている。
針弁リフトに対する空気流量特性を附属書1図2に示す。
附属書1図 2 針弁リフトに対する空気流量特性 (1)
注(1) 斜線で示した範囲は,流量特性の範囲を示す。
8
D 3636:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書2(参考) 参考文献
この附属書(参考)は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではな
い。
[1] JIS D 3637-1 自動車−ディーゼル機関用燃料噴射装置の試験−第1部:校正用ノズル及びホルダアッ
センブリ
備考 ISO 7440-1:1991, Road vehicles−Fuel injection equipment testing−Part1 : Calibrating nozzle and
holder assembliesからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書3(参考) JISと対応する国際規格との対比表
この附属書(参考)は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
JIS D 3636 : 2002 自動車−ディーゼル機関用燃料噴射装置の試験−ピントル形校正用
ノズル
ISO 4010 : 1998, Diesel engines−Calibrating nozzle, delay pintle type
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際
規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目ごと
の評価及びその内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線又は実線の側線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
項目番号
内容
項目番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
1.適用範囲 150 mm3/stroke以上を追加規
定。
1.適用範囲 150 mm3/stroke以下
と規定。
MOD/変更
JISは受渡当事者間での取決め
によって150 mm3/stroke以上で
もかまわないとした。
日本では広い範囲で実用され
ているため,ISOを包含する形
で追加。
2.引用規格 JIS D 3604
2.引用規格 ISO 2697
IDT
−
3.呼び方及
び表示
呼び方として,D3636-1を追加
規定。
3.呼び方及
び表示
呼び方は,ISO 4010
とする。
MOD/選択
JISは,D 3636-1でもよいとし
た。
ISOを包含する内容とした。
4.寸法及び
公差
ノズルの寸法及び公差を規定。
4.寸法及び
公差
JISと同じ。
IDT
−
5.試験方法 二つの試験方法について規定。
5.試験方法 JISと同じ。
IDT
−
5.2.1空気
流量特性
針弁リフトに対する,噴孔部す
き間を空気流量で規定。
5.2.1空気
流量特性
JISと同じ。
IDT
−
5.2.1空気
流量特性
図2
針弁リフトに対する,噴孔
部すき間を空気流量で図
示。
5.2.1空気
流量特性
図2
JISと同じ。
IDT
−
わかり易くするために、図の補
足説明を追加。
9
D
3
6
3
6
:
2
0
0
2
10
D 3636:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS D 3636 : 2002 自動車−ディーゼル機関用燃料噴射ポンプの試験−ピントル形校正
用ノズル
ISO 4010 : 1998, Diesel engines−Calibrating nozzle, delay pintle type
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際
規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目ごと
の評価及びその内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線又は実線の側線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
項目番号
内容
項目番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
5.2.2試験
条件
補正のために,熱力学の公式を
追加規定。
5.2.2試験
条件
熱力学の法則に基
づいて補正。
MOD/追加
JISは,補正のために熱力学の
公式を追加。
ISOの記述では,不親切なので
適用する公式を追加。改正等の
機会を捉えて提案を考える。
受渡当事者間の取決めによっ
て補正してもよい。
−
MOD/選択
JISは,受渡当事者間の取決め
によるを追加規定。
ISOを包含する内容とした。
附属書(規
定)
ISO 4010によらない,ピント
ル形校正用ノズルを規定。
−
−
MOD/追加
我が国独自の校正用ノズルを
規定。
我が国で主に小型車用に多く
用いられているため規定。改正
等の機会を捉えて提案を考え
る。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。
― MOD/選択……… 国際規格の規定内容と別の選択肢がある。
― NEQ…………… 技術的差異があり,かつ,それがはっきりと識別され説明されていない。
2.
JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 国際規格と一致している。
― MOD…………… 国際規格を修正している。
― NEQ…………… 技術的内容及び構成において,国際規格と同等でない。
1
0
D
3
6
3
6
:
2
0
0
2
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。