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C 8368:2016  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 標準使用状態 ··················································································································· 2 

5 極数及び素子数 ················································································································ 3 

6 定格······························································································································· 3 

7 性能······························································································································· 3 

8 構造······························································································································· 5 

9 試験方法························································································································· 8 

10 検査 ···························································································································· 13 

11 製品の呼び方 ················································································································ 14 

12 表示 ···························································································································· 14 

C 8368:2016  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

電気協会(JEA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS C 8368:1996は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 8368:2016 

電流制限器 

Current limiters 

適用範囲 

この規格は,屋内用で,周波数50 Hz若しくは60 Hz専用又は50 Hz・60 Hz共用の,交流220 V以下の

電路において素子にヒューズなどの消耗品を使用しないで反復使用できる,従量契約需要家用のアンペア

制用の電流制限器(以下,制限器という。)について規定する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 3307 600 Vビニル絶縁電線(IV) 

JIS C 8306 配線器具の試験方法 

JIS K 2435(規格群) ベンゼン・トルエン・キシレン 

JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS Z 8703 試験場所の標準状態 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

越流(overshoot) 

白熱電球を点灯したとき,過渡的に流れる,定常電流より大きい電流。 

3.2 

リセット(reset) 

引外し状態から再投入可能な状態にする操作。 

3.3 

引外し自由形(trip free type) 

投入用つまみ又はボタンを投入位置に押さえていても,引外し動作を妨げない機構。 

3.4 

回復電圧(recovery voltage) 

電流の遮断直後に,制限器の極の両端子間又は遮断点間に現れる商用周波数の電圧(実効値)。 

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3.5 

極数(number of pole) 

開閉接触部をもつ主回路の数。 

3.6 

素子(element) 

電流(単相3線式では合成電流)に応動し,制限器の遮断機構に動作を伝達する機能をもつ部分。 

3.7 

主回路(main circuit) 

主接点を含む通電のための導電部分。 

3.8 

開放状態(開の位置)(open position) 

制限器の主回路の接点間に所定の間隙が確保されている制限器の状態(位置)。 

3.9 

投入状態(閉の位置)(closed position) 

制限器の主回路が所定の閉路状態を維持している制限器の状態(位置)。 

3.10 

引外し状態(protected position) 

制限器の引外し機構の動作によって,制限器が開放されている状態。 

3.11 

手動操作(manual operation) 

他の動力源を使用せずに人力だけで行われる操作。 

3.12 

充電部(live part) 

制限器に電圧を印加したときに充電する部分。 

3.13 

端子(terminal) 

入力側及び負荷側の電線接続部。 

3.14 

定格遮断容量(rated breaking capacity) 

規定の試験条件の下で遮断できる最大の電流。 

3.15 

整定(setting) 

製品固有の引外し動作特性を定める操作。 

標準使用状態 

次の使用状態を標準使用状態とし,制限器は,特に指定がない限りこの状態で使用する。 

なお,この標準使用状態以外で使用する場合は,受渡当事者間の協定による。 

a) 周囲温度は,−5〜40 ℃。ただし,24時間の平均値は,35 ℃を超えない。 

b) 標高は,2 000 m以下。 

c) 相対湿度は,45〜85 %。 

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d) 異常な振動及び衝撃を受けない状態。 

e) 過度の水蒸気,油蒸気,煙,じんあい(塵埃),塩分,腐食性物質などが存在しない雰囲気。 

極数及び素子数 

制限器の極数及び素子数は,表1による。 

表1−極数及び素子数 

電気方式 

極数 

素子数 

単相2線式 

単相3線式 

定格 

6.1 

定格電流及び定格電圧 

定格電流及び定格電圧は,表2による。 

なお,定格電流は,二重定格とすることができる。 

表2−定格電流及び定格電圧 

電気方式 

定格電圧 

定格電流 

単相2線式 

110 

 5 10 15 20 30 

単相3線式 

110/220 

10 15 20 30 40 50 60 

注記1 定格電圧は,線間電圧(実効値)で表す。ただし,単相3線式

においては,電圧線間220 V,電圧線−接地中性線間110 Vの
電圧を示す。 

注記2 単相3線式の定格電流は,両方の電圧線電流のベクトル合成値

である。 

6.2 

定格遮断容量 

定格遮断容量は,次のいずれかとする。 

− 1 000 A 

− 1 500 A 

− 2 500 A 

性能 

7.1 

端子部の強度 

制限器は,9.3によって試験したとき,端子部に異常があってはならない。 

7.2 

通電性能 

7.2.1 

動作電流 

制限器は,9.4.1によって試験したとき,30秒以内で引外し動作(以下,動作という。)をしてはならな

い。また,60分以内で動作しなければならない。 

7.2.2 

不動作電流 

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制限器は,9.4.2によって試験したとき,動作をしてはならない。 

7.2.3 

200 %電流引外し 

制限器は,9.4.3によって試験したとき,表3に規定する時間以内で動作しなければならない。 

表3−200 %電流動作時間 

定格電流 

30以下 

40及び50 

60 

動作時間 

min 

7.2.4 

過電流時延 

制限器は,9.4.4によって試験したとき,1秒以内で動作してはならない。また,表4に規定する時間以

内で動作しなければならない。 

表4−過電流時延動作時間 

定格電流 

30以下 

40及び50 

60 

動作時間 

10 

20 

30 

7.3 

過負荷性能 

制限器は,9.5によって試験したとき,接点の甚だしい損傷,焼損,溶着その他の電気的又は機械的な支

障が生じてはならない。 

7.4 

越流性能 

制限器は,9.6によって試験したとき,越流によって動作することなく,かつ,接点が溶着してはならな

い。 

7.5 

電圧降下性能 

制限器は,9.7によって試験したとき,電圧降下が,定格電流15 A以下のものは0.5 V以下,定格電流

20 A以上のものは0.4 V以下でなければならない。 

7.6 

温度上昇 

制限器は,9.8によって試験したとき,温度上昇が表5の値以下でなければならない。 

なお,基準周囲温度の限度は,40 ℃とする。 

表5−温度上昇 

測定箇所 

温度上昇 

接点 

銀及び銀合金 

90 

コイル 

A種 

65 

E種 

80 

B種 

90 

F種 

115 

端子 

40 

7.7 

耐久性能 

制限器は,9.9によって試験したとき,電気的又は機械的な支障が生じてはならない。 

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7.8 

絶縁抵抗 

制限器は,9.10によって試験したとき,各部の絶縁抵抗が5 MΩ以上でなければならない。 

7.9 

耐電圧 

制限器は,9.11によって試験したとき,フラッシオーバ又は絶縁破壊が生じてはならない。電圧低下を

伴わないグロー放電は無視する。 

7.10 

コイル異極間の耐電圧 

制限器は,9.12によって試験したとき,フラッシオーバ又は絶縁破壊が生じてはならない。電圧低下を

伴わないグロー放電は無視する。ただし,単相3線式に用いるベクトル合成方式のものに限り適用する。 

7.11 

短絡遮断性能 

制限器は,9.13によって試験したとき,次を満足しなければならない。 

a) 排気孔又はハンドル開口部分に接して置いた かなきん に点火しない。 

b) 試験後,実用上支障なく定格電圧の下で定格電流を開閉でき,かつ,7.2.1,7.2.3及び7.2.4に適合す

る。 

c) 試験後,9.10の試験を行い,各部の絶縁抵抗は,0.5 MΩ以上である。 

7.12 

耐熱性能 

制限器は,合成樹脂製の台及び蓋にあっては,9.14によって試験したとき,膨れ,ひび割れ,機能を損

なう変形などを生じてはならない。 

7.13 

荷重性能 

制限器は,9.15によって試験したとき,各部に異常があってはならない。 

7.14 

傾斜性能 

制限器は,9.16によって試験したとき,7.2.1〜7.2.3の性能を満足しなければならない。 

7.15 

温度特性 

制限器は,9.17によって試験したとき,7.2.1〜7.2.4の性能を満足しなければならない。 

7.16 

アンモニアガス耐久性能 

制限器は,9.18によって試験したとき,端子部分に用いる黄銅製部品に破損又はひび割れが生じてはな

らない。 

7.17 

耐食性 

制限器は,9.19によって試験したとき,鉄及び鋼の部品表面に腐食の発生があってはならない。ただし,

鋭利な部分の腐食及びこすれば取れる黄色がかった被膜は,腐食の発生とはみなさない。 

構造 

8.1 

構造一般 

構造は,次に適合しなければならない。 

a) 良質の材料を用いて丈夫に作り,通常の使用状態において危険が生じるおそれがなく手動操作及び動

作が円滑で,電気的接触が確実であり,取扱いが容易で,電線の接続が確実かつ容易に行えるもので

ある。 

b) じんあいの侵入又は外物による損傷を防ぐため,動作機構を密封する構造である。ただし,排気孔,

つまみ,端子部分などによる多少の通気はあってもよい。 

c) 使用状態で,充電部に手が触れない構造である。 

d) 通常,制限器は,垂直取付形とし,簡単かつ堅固に取付けできる構造である。 

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なお,垂直取付けには,上下逆の取付けも含む。 

e) 手動操作による復帰であるとともに,手動操作で遮断もできる構造である。 

f) 

一般使用者が,蓋及び外郭を容易に開けることのできない構造である。 

g) 鉄及び鋼は,さび止めを施さなければならない。ただし,ステンレス鋼の場合を除く。 

h) 金属製の蓋,箱又は台は,電線に損傷を生じるおそれがないように,電線の貫通部に絶縁ブッシング

を取り付けなければならない。 

i) 

絶縁物は,器体の外被の材料が絶縁体を兼ねる場合は,機械器具に組み込まれる部分を除き,厚さが

0.8 mm以上,かつ,ピンホールがないもの。ただし,人が触れるおそれのないものは,0.5 mm以上

であってもよい。 

j) 

金属製の蓋又は箱で,アークが達する部分は,燃えにくい絶縁物を取り付ける。 

8.2 

通電部分 

通電部分は,次に適合しなければならない。 

a) 熱応動要素以外の通電部分には,銅若しくは銅合金又はこれらと同等以上の電気的,熱的及び機械的

な安定性があるさびにくい材料を使用する。ただし,弾性を必要とする部分,その他の構造上やむを

得ない部分に使用するものであって,危険が生じるおそれがないときはこの限りではない。 

b) ばね作用をする通電部分の材料は,りん青銅板又はこれと同等以上の効力があるものである。 

c) 導電金具及び電気的接触部は,絶縁物の収縮,振動などによって容易に緩まない構造とする。また,

温度の高くなる箇所の絶縁物は,この温度に十分に耐え,かつ,吸湿性の少ない材料を用いる。 

d) 導電部相互間を締め付けるねじ及び端子ねじの作用している山数は,金属相互で貫通する場合は,ね

じ径8 mm未満のものでは2山以上,ねじ径8 mm以上のものでは,ねじの作用している部分の長さ

がねじ径の40 %以上でなければならない。貫通しない場合は,ねじ径以上とする。 

なお,ねじは容易に緩まない構造とする。 

8.3 

端子 

電線を接続する端子及び端子ねじは,次に適合しなければならない。 

a) 端子ねじは,部品の取付けに共用しないものである。 

b) 端子は表面接続のものとし,電線の接続に当たっては,はんだ付けを必要とする銅管端子又は電線の

先端を環状に曲げる必要のあるものを用いない構造とする。 

c) 接地側の端子記号は“N”と表示し,単相3線式の場合の接地側は,中央端子とする。 

d) 端子の大きさは,表6に規定する大きさ以上の端子ねじを用い,かつ,通常,表6に規定する太さの

電線の接続ができる構造とする。 

なお,電線は,JIS C 3307に規定する600 Vビニル絶縁電線である。 

表6−端子ねじの呼び径及び電線の太さ 

定格電流 A 

15以下 

20 

30 

40 

50 

60 

端子ねじの呼び 

1本止めの場合 

M4 

M5 

M5 

M6 

M6 

M8 

2本止めの場合 

M3.5 

M3.5 

M4 

M5 

M5 

M5 

電線の太さ 

単線 

mm 

2.0 

2.6 

− 

− 

− 

− 

より線 

mm2 

− 

5.5 

14 

22 

22 

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8.4 

絶縁距離 

絶縁距離は,表7に規定する値以上とする。ただし,単相3線式用のもののベクトル合成用の異極コイ

ル間は,この限りではない。測定方法は,JIS C 8306によって行う。 

なお,表7において造営材に取り付けるものの取付面以外の部分であって,外郭の突合せ面の間隙が0.3 

mm以下のものの場合,充電部と人が触れるおそれのある非金属部の表面との間の絶縁距離は,1.5 mm以

上とすることができる。 

表7−絶縁距離 

単位 mm 

部分 

絶縁距離 

空間距離 

沿面距離 

極性が異なる充電
部相互間 

端子部 

4(3) 

6(3) 

端子部以外の固定してい
る部分であって,金属粉
が付着しにくい箇所 

4(1.5) 

6(1.5) 

その他の箇所 

4(3) 

6(3) 

充電部と接地する
おそれがある非充
電金属部又は人が
触れるおそれのあ
る非金属部の表面
との間 

端子部 

4(3) 

6(3) 

端子部以外の固定してい
る部分であって,金属粉
が付着しにくい箇所 

4(1.5) 

6(1.5) 

その他の箇所 

4(3) 

6(3) 

注記1 括弧内の数値は,定格電流が15 A未満のものに適用する。 
注記2 空間距離は,器具の外面の場合は30 N,器具の内部の場合は2 Nの力

を,距離が最も小さくなるように加えて測定したときの距離とする。 

8.5 

動作機構 

動作機構は,次に適合しなければならない。 

a) 多極のものは,各極が同時遮断する。 

b) 引外し機構は,重力を利用しないもので,引外し自由形とし,通常,リセットを要せず,また,使用

者によってみだりに調節できないものである。 

c) 素子は,非接地側に設けてある。 

d) 整定を不正にしたり,自動引外しを妨害できないように封印できるものである。 

e) 動作部分に設けるねじ又はナットは,振動によって緩まないように,回り止めが施してある。 

f) 

つまみの操作は,できるだけ軽く行えるものである。また,引きひもを取り付けられるように,適切

な孔又はこれに代わるものが設けてある。 

8.6 

台及び蓋 

台及び蓋は,次に適合しなければならない。 

a) 台及び蓋は,金属,磁器,合成樹脂成形品又はこれらに類する材料である。 

b) 動作機構を直接取り付ける台は,良質の絶縁材料を用い,取付方法が適切で,長期使用によって動作

特性に変化を与えるおそれがないものである。 

c) 台裏面の充電部分は,取付面から3 mm以上の深さとし,かつ,その上を65 ℃以下で軟化しない,

硫黄を除く絶縁性耐水質混和物の適量を容易に脱落しないように詰めてある。ただし,熱硬化性樹脂

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

をその間隙に充塡してあるものの場合は取付面から1 mm以上の深さにすることができる。また,台

裏面の充電部が台の取付面から6 mm以上の深さの場合又は厚さ0.5 mm以上の適当な絶縁板で覆う場

合は,この限りではない。 

8.7 

開閉の表示 

開放状態及び投入状態を,文字又は色によって,見やすい箇所に明瞭に表示しなければならない。 

試験方法 

9.1 

試験条件 

試験は,9.17の試験を除き,JIS Z 8703に規定する常温(5〜35 ℃)及び常湿(相対湿度45〜85 %)で,

かつ,通風,温度変化,その他試験の結果に甚だしい影響を及ぼすおそれがない場所で,原則として通常

の取付状態で行う。 

9.2 

構造試験 

構造試験は,箇条8及び箇条12に規定する事項について目視及び測定器具によって調べる。 

9.3 

端子部の強度試験 

端子部の強度試験は,端子に表8に規定する太さの電線を接続し,表9に規定するトルクで端子を締め

付けた後,表9に規定する引張力を導体の軸方向に静的に1分間加えたときの異常の有無を調べる。 

なお,電線は,JIS C 3307に規定する600 Vビニル絶縁電線を使用する。 

表8−電線の太さ 

定格電流 A 

15以下 

20 

30 

40 

50 

60 

電線の太さ 

単線 

mm 

1.6 

2.0 

2.6 

− 

− 

− 

より線 

mm2 

− 

− 

5.5 

14 

22 

22 

表9−締付トルク及び引張力 

端子ねじの呼び 

M3 

M3.5 

M4 

M5 

M6 

M7 

M8 

トルク 

N・m 

0.5 

0.8 

1.2 

2.0 

2.5 

5.5 

5.5 

引張力 

60 

60 

80 

90 

100 

120 

120 

9.4 

通電試験 

9.4.1 

動作電流試験 

動作電流試験は,表10の動作電流を通電する。 

なお,単相3線式用のものは,表10の動作電流を表11の各条件で通電する。 

表10−動作電流及び不動作電流 

単位 A 

定格電流 

10 

15 

20 

30 

40 

50 

60 

動作電流 

7.5 

15 

22.5 

28 

39 

52 

64 

76 

不動作電流 

5.75 

11.5 

17.2 

22 

33 

44 

54 

64 

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表11−試験条件(単相3線式) 

順序 

回路 

第1回路電流 

第2回路電流 

位相差 

度 

試験電流値の1/2 

試験電流値の1/2 

試験電流値の3/4 

試験電流値の1/4 

試験電流値の1/4 

試験電流値の3/4 

試験電流値の1/3 試験電流値の1/3 

60 

試験電流値の3/4 

試験電流値の0.4 

試験電流値の0.4 

試験電流値の3/4 

9.4.2 

不動作電流試験 

不動作電流試験は,表10の不動作電流を各部の温度がほぼ一定になるまで通電する。 

なお,単相3線式用のものは,表10の不動作電流を表11の各条件で通電する。 

9.4.3 

200 %電流引外し試験 

200 %電流引外し試験は,定格電流の200 %の電流を通電する。 

なお,単相3線式用のものは,両回路それぞれ単独に通電する。 

9.4.4 

過電流時延試験 

過電流時延試験は,表12に規定する電流を通電する。 

なお,単相3線式用のものは,表11の順序1の条件で通電する。 

表12−過電流時延電流 

単位 A 

定格電流 

10 

15 

20 

30 

40 

50 

60 

試験電流 

22 

40 

55 

70 

100 

120 

150 

180 

9.5 

過負荷試験 

過負荷試験は,次の条件によって開閉を行う。 

a) 定格電流20 A以下のものは150 Aの試験電流,定格電流30 A以上のものは定格電流の6倍の試験電

流を通じ,手動操作で閉路し自動で開路する操作を1回とし,1分間に6回の割合で50回繰り返す。

ただし,構造上この割合で操作できない場合は,試験品が投入できる割合に減じてもよい。 

b) 50 Hz又は60 Hzの定格電圧で試験し,力率は0.45〜0.5とする。 

c) 電圧の変動率は,10 %以下とする。 

d) 2極のものは2極を直列にして行う。単相3線式用のものは,通常,両回路直列とし220 Vの回路で

行うが,両回路それぞれ単独に110 Vの回路で行ってもよい。 

9.6 

越流試験 

越流試験は,次の条件によって,白熱電球を点灯する。 

a) 100 V 200 Wの白熱電球を基準とし,点灯状態で定格電流の100 %を流すことができる個数を試験品の

負荷側に接続する。必要に応じて1〜2個は,200 Wより小さい電球でもよい。 

b) 試験回路の電圧は100〜105 Vとし,電球負荷で通電したときの制限器の電源側端子における電圧降下

は5 %以下とする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

なお,単相3線式用のものに対しては,いずれか一方の回路について行えばよい。 

c) 試験は2秒間閉路後に開路し,2分間冷却し,この操作を連続3回行う。 

9.7 

電圧降下試験 

電圧降下試験は,定格電流を通電し,端子間で電圧降下を測定する。ただし,2極のものは各極を直列

に接続した端子間で行い,単相3線式用のものは両回路それぞれ単独に行う。 

9.8 

温度試験 

温度試験は,表10の不動作電流を連続通電し,各部の温度がほぼ一定となったとき,温度計法によって

測定する。ただし,試験は,単相2線式で2極のものの場合は2極を直列にして行い,単相3線式用のも

のは,両回路それぞれ単独に行う。 

なお,接続電線は,表8に規定する太さの電線であって,JIS C 3307に規定する600 Vビニル絶縁電線

を使用し,その長さは1.5 mとする。600 Vビニル絶縁電線は,表13に規定するトルクで締め付ける。 

表13−締付トルク 

単位 N・m 

端子ねじの呼び 

M3 

M3.5 

M4 

M5 

M6 

M7 

M8 

トルク 

0.4 

0.6 

0.8 

1.5 

2.0 

3.7 

3.7 

9.9 

耐久試験 

耐久試験は,次の条件によって行う。 

a) 定格電流を通じて6 000回開閉した後,無通電で4 000回開閉する。開閉の割合は,毎分約6回とする。 

b) 50 Hz又は60 Hzの定格電圧で試験し,力率は0.75〜0.8とする。試験品の電源側端子における電圧降

下は,無負荷時における電源側端子の電圧の2.5 %以下とする。 

c) 単相3線式用のものは,表11の順序1の条件で行う。 

9.10 

絶縁抵抗試験 

絶縁抵抗試験は,500 V絶縁抵抗計によって次の各部を測定する。 

a) 開放状態及び投入状態で,主回路導電部と外郭との間 

なお,外郭には,人が触れるおそれがある部分及びつまみを含む。 

b) 開放状態及び引外し状態で,電源側端子と負荷側端子との間 

c) 投入状態で異極端子間 

d) 主回路導電部と試験用金属板との間 

注記 この試験は,通常の使用状態又は試験用金属板の上に水平に置いた状態で試験を行ってもよ

い。 

9.11 

耐電圧試験 

耐電圧試験は,9.10に規定する各部に正弦波に近い50 Hz又は60 Hzの1 500 Vの1/2以下の電圧を加え,

それから1 500 Vまで,電圧計でそのときどきの電圧が読み取れる範囲でできるだけ早く上昇させ1 500 V

に達した後1分間連続印加して行う。ただし,受渡当事者間の協定によって,1 500 Vの120 %に相当する

電圧を1秒間印加して行うことができる。 

なお,耐電圧試験に使用する試験用変圧器の容量は,500 VA以上とする。 

9.12 

コイル異極間の耐電圧試験 

単相3線式に用いるベクトル合成方式のもののコイル異極間の耐電圧試験は,交流3 000 Vの電圧を両

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コイル異極間に1分間印加して行う。 

なお,この試験は,コイルだけについて行う。 

9.13 

短絡遮断試験 

短絡遮断試験は,かなきん(密度が25.4 mmにつき縦72±4本,横69±4本で30番手の縦糸及び36番

手の横糸を使用したのり付けしない平織りの綿布)を排気孔又はハンドル開口部分に接して置いて,次の

条件によって短絡電流を遮断して行う。 

a) 試験電流は,図1〜図3に示す回路において,S及びS1を閉じたとき流れる電流であって,50 Hz又

は60 Hzの定格電圧に等しい電源を用い,短絡発生後0.5サイクルにおける交流分の実効値が定格遮

断容量になる電流値とする。このときの回路の回復電圧は,90 %以上,力率は0.45〜0.50とする。 

図1−1極のもの 

図2−2極のもの 

図3−単相3線式用のもの 

b) 動作責務は,“O-t-CO”とする。“O”は,試験回路の投入用開閉器Sで試験回路を閉路し試験品で自

動遮断を行わせることを示す。“CO”は,試験品で試験回路を閉路し,試験品で自動遮断を行わせる

ことを示す。“t”は,“O”試験と“CO”試験の時間間隔で,通常,2分間とするが,構造上この時間

で試験ができない場合は操作できる時間で行ってもよい。 

9.14 

耐熱試験 

合成樹脂成形品の台及び蓋を使用したものの耐熱試験は,試験品を次の温度の空気中に1時間保った後

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取り出して自然に冷却したとき,膨れ,ひび割れ,機能を損なう変形などの有無を調べる。 

− フェノール樹脂成形品:150±3 ℃ 

− その他:100±3 ℃ 

9.15 

荷重試験 

荷重試験は,試験品に正規の取付状態でつまみに丈夫なひもを付け,ひもの引張方向に荷重を加えて荷

重が100 Nに達してから1分間経過したとき,各部に異常がないかを調べる。 

9.16 

傾斜試験 

傾斜試験は,試験品を正規の取付状態から前後左右に各々5 度傾斜した状態に取り付け,9.4.1〜9.4.3に

規定する方法によって試験する。ただし,単相3線式用のものに対する9.4.1及び9.4.2の試験は,表11

の順序1の条件で行う。 

なお,制限器の構造上最も厳しくなる条件で試験を行い,これに代えることができる。 

9.17 

温度特性試験 

温度特性試験は,0〜30 ℃のうち最も不利な周囲温度で,試験品が一定の温度になった状態で,9.4.1〜

9.4.4に規定する方法によって試験する。 

なお,制限器の構造上最も厳しくなる条件で試験を行い,これに代えることができる。 

9.18 

アンモニアガス耐久試験 

アンモニアガス耐久試験は,端子部分に使用する黄銅製部品について,次の条件で試験する。 

各端子ごとに,表14に規定する太さの電線であって,長さ10 cmの電線を表9に規定する締付けで接続

し,端子カバーのあるものはそれを取り外したままで,試験品が試験液に接しない状態で操作用取っ手が

ある面を液面側としてデシケータの中に入れ,72時間保持する。この場合,試験中にデシケータの蓋を取

るなどしてアンモニアガスを拡散させてはならない。 

その後,試験品を取り出し,表9に規定する締付トルクによって端子ねじを締め付けた後,電線を取り

外して目視観察を行う。 

表14−電線の太さ 

定格電流 A 

15以下 

20 

30 

40 

50以上 

600 Vビニル絶縁電線 

単線 

mm 

1.6 

2.0 

2.6 

− 

− 

より線 

mm2 

− 

− 

5.5 

14 

22 

この試験に用いるデシケータは,JIS R 3503に規定する呼び寸法240 mmのデシケータを用い,底部に1 

Lの試験液を入れる。 

なお,試験液は,JIS K 8116に規定する特級塩化アンモニウム107 gを約700 mLの蒸留水に溶解し,そ

の溶液にJIS K 8576に規定する特級水酸化ナトリウム50〜70 gを約250 mLの蒸留水に溶解させた液を加

え,水素イオン濃度(pH)が10になったとき,全量が約1 Lになるように調整したものを用いる。 

9.19 

耐食性試験 

耐食性試験は,次の順序で,鉄製及び鋼製の部品について試験を行う。 

a) 試料をJIS K 2435の規格群に規定するキシレン,トルエンなどの中に浸せきし,グリースを全て取り

除く。ただし,ばね又はしゅう(摺)動する部分でグリースなどの腐食防護が施されているものは,

この処理は行わなくてもよい。 

b) 試料を20±5 ℃のJIS K 8116に規定する塩化アンモニウムの10 %水溶液に10分間浸した後取り出し,

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乾燥させずに水滴を全て振り切ってから20±5 ℃の飽和水蒸気を含む容器中に10分間放置する。 

c) 試料を100±5 ℃の温度の恒温槽で10分間乾燥させる。 

10 

検査 

10.1 

検査の種類 

検査の種類は,次による。 

a) 形式検査 製品の品質が,設計で示された品質項目を満足しているか否かを判定するための検査であ

って,一つの形式につき品質の良否を判定するためのもの。 

b) 受渡検査 形式検査に合格したものと同じ設計・製造にかかる製品の受渡しに必要と認められる品質

項目が,規定を満たしているか否かを判定するための検査であって,受渡しを決定するためのもの。 

10.2 

形式検査 

形式検査は,次の項目の順序で,同一品について箇条9によって試験を行ったとき,箇条7に適合しな

ければならない。ただし,b),n) 及びv)〜aa) の検査は,別試料で行う。 

なお,検査中,接触部を磨いたり,装置の条件を変更してはならない。また,二重定格のものの検査に

ついては,箇条8,箇条11及び箇条12は,定格の大きい方について実施すればよい。 

a) 構造 

b) 端子部の強度 

c) 動作電流 

d) 不動作電流 

e) 200 %電流引外し 

f) 

過電流時延 

g) 過負荷性能 

h) 越流性能 

i) 

電圧降下性能 

j) 

温度上昇 

k) 耐久性能 

l) 

絶縁抵抗 

m) 耐電圧 

n) コイル異極間の耐電圧,ただし,単相3線式に用いるベクトル合成方式のものに限る。 

o) 動作電流 

p) 200 %電流引外し 

q) 過電流時延 

r) 短絡遮断性能 

s) 

動作電流 

t) 

200 %電流引外し 

u) 過電流時延 

v) 耐熱性能,ただし,合成樹脂成形品の台及び蓋を使用したものに限る。 

w) 荷重性能 

x) 傾斜性能 

y) 温度特性 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

z) アンモニアガス耐久性能 

aa) 耐食性 

10.3 

受渡検査 

受渡検査は,次の項目の順序で,同一試験品について,箇条9によって試験を行ったとき,箇条7に適

合しなければならない。試験は,b)〜h) は同一試験品について行い,a) は別試料で行う。ただし,受渡

当事者間の協定によって,検査の一部を省略してもよい。 

なお,受渡検査は,受渡当事者間の協定によって抜取検査とすることができる。 

a) 構造 

b) 動作電流,ただし,単相3線式用のものは,表11の順序1の条件だけとする。 

c) 不動作電流,ただし,単相3線式用のものは,表11の順序1の条件だけとする。 

d) 200 %電流引外し 

e) 過電流時延 

f) 

温度上昇 

g) 絶縁抵抗 

h) 耐電圧 

11 製品の呼び方 

製品の呼び方は,名称,電気方式,極数,定格電圧及び定格電流による。 

例 電流制限器 単相2線式 2極 110 V 15 A 

12 表示 

制限器には,見やすい場所に容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならない。 

a) 名称 

b) 定格電圧 

c) 定格電流 

d) 定格遮断容量 

e) 製造業者名又はその略号 

f) 

製造年月又はその略号1) 

注1) 略号の例 

2015年4月→2015.4,ʼ15.4 

平成27年7月→27.7