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C 7803:2011  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 一般······························································································································· 2 

5 蛍光ランプ内水銀回収手順 ································································································· 3 

5.1 試薬 ···························································································································· 3 

5.2 器具 ···························································································································· 3 

5.3 試料準備 ······················································································································ 3 

5.4 試料溶解 ······················································································································ 7 

5.5 ろ(濾)過 ··················································································································· 7 

6 測定及び分析 ··················································································································· 7 

6.0A 一般 ·························································································································· 7 

6.1 ブランクテスト ············································································································· 7 

6.2 データ報告 ··················································································································· 7 

6.3 分析方法 ······················································································································ 7 

附属書A(規定)加熱気化原子吸光分析法 ················································································ 9 

附属書B(参考)コールドスポット法実施手順例 ······································································· 11 

附属書JA(規定)ランプ内水銀のサンプリング方法 ·································································· 14 

附属書JB(規定)CCFL管内の水銀の溶解方法 ········································································ 19 

附属書JC(規定)試料溶液の水銀定量操作 ·············································································· 22 

附属書JD(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 27 

C 7803:2011  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本電球

工業会(JELMA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正す

べきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS C 7803:2006は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 7803:2011 

蛍光ランプ封入水銀質量の測定方法 

Practical method for the determination of mercury filled in fluorescent lamps 

序文 

この規格は,2011年に第1版として発行されたIEC 62554を基とし,技術的内容を変更して作成した日

本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JDに示す。また,附属書JA〜附属書JCは対応国際規格にはない事項

である。 

適用範囲 

この規格は,0.1 mgを超える水銀を含む未使用蛍光ランプ[片口金,両口金(直管を含む。),電球形及

びバックライト用冷陰極蛍光ランプ]の水銀質量を決定するための試料準備及び水銀質量の測定方法並び

に分析方法について規定する。 

蛍光ランプは,点灯中に水銀がガラス内部に徐々に拡散し,ガラス中の材質と反応する。この規格で規

定する方法は,発光管ガラス内部に拡散,反応又は不可逆な結合をした水銀には,適用しない。 

注記1 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 62554:2011,Sample preparation for measurement of mercury level in fluorescent lamps(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

注記2 この規格を用いて試験を行う人は,化学分析に慣れている必要がある。この規格では,安全

に関する全ての問題を記述してはいない。安全及び健康に対する対処及び国の法令への遵守

は,各自の責任で行う必要がある。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 1105 アルゴン 

JIS K 1107 窒素 

JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8247 過マンガン酸カリウム(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

C 7803:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 8819 ふっ化水素酸(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS P 3801 ろ紙(化学分析用) 

ISO 3696:1987,Water for analytical laboratory use−Specification and test methods 

IEC 62321,Electrotechnical products−Determination of levels of six regulated substances (lead, mercury, 

cadmium, hexavalent chromium, polybrominated biphenyls, polybrominated diphenyl ethers) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

未使用ランプ(new lamp) 

製造業者から出荷後に点灯していないランプ。 

3.2 

冷陰極蛍光ランプ[cold cathode fluorescent lamp (CCFL) for backlighting] 

発光管内に冷陰極をもち,発光管内に塗布した蛍光体の励起によって発光の大半をもたらす細い管径の

蛍光ランプ。主として液晶用のバックライトとして用いられる。 

3.3 

外部電極蛍光ランプ[external electrode fluorescent lamp (EEFL) for backlighting] 

発光管外の電極によって発光管内の充塡ガスに放電をもたらし,発光管内に塗布した蛍光体の励起によ

って発光の大半をもたらす蛍光ランプ。この外部電極蛍光ランプは,冷陰極ランプの一種であり,主とし

て液晶用のバックライトとして用いられる。 

一般 

蛍光ランプ内の水銀は,次の状態で存在する。 

a) ランプ内の蒸気 

b) 液体水銀 

c) 化合物 

d) 合金 

水銀は,様々な方法で蛍光ランプに封入されており,形状及び封入時の投入装置における状態も様々で

ある。アマルガム若しくは水銀合金又は液体水銀を封入するランプがある。 

アマルガムを封入したランプは,補助アマルガムを使用していることが多い。補助アマルガムの形状及

び管内の位置は特定できない。 

コールドスポット法(附属書B参照)を用いることで,水銀蒸気の測定における損失は最小限に抑えら

れる。コールドスポット法によって管内の全ての水銀を凝集することができ,水銀の回収率を高めること

ができる。 

箇条5に規定する手順は,液体水銀,化合物,合金及びアマルガムを対象とする。 

総水銀質量は,液体水銀,化合物,合金及びアマルガムの総量で示す。 

水銀質量は,測定した水銀濃度及びろ過した溶液量によって求める。 

C 7803:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

蛍光ランプ内水銀回収手順 

5.1 

試薬 

試薬は,次による。 

a) 水 ISO 3696に規定する1級のもの。 

b) 過マンガン酸カリウム(5 %水溶液) 

c) 硝酸(65 %) 

d) 塩酸(37 %) 

e) ふっ化水素酸(40 %) 

a)〜e)の試薬は,水銀含有量1 ppb未満とする。 

5.2 

器具 

試験に用いる器具は,次のものであって,水銀を吸着してはならない。 

a) 真空ろ過用フィルタ 4 μm以下の孔径の,ろ紙を用いる。 

b) ねじ蓋付き広口ポリ瓶(以下,広口ポリ瓶という。) 125 ml,250 ml,500 ml,1 000 ml及び2 000 ml 

c) ビーカ 50 ml,100 ml,250 ml及び500 ml 

d) 定容フラスコ 50 ml,100 ml,125 ml,250 ml及び500 ml 

e) マイクロピペット 

f) 

ディスペンサ 

g) ベンチコート 実験用のテーブルクロスで,通常,片面はろ紙材質で,もう片面ははっ(撥)水性の

プラスチック材質のシート 

5.3 

試料準備 

試料の準備作業は,速やかに,実施しなければならない。 

5.3.1 

コールドスポット法 

コールドスポット法は,蒸気化可能水銀を局所に集めることによって,ランプ破壊中の水銀散逸を防止

する方法である(附属書B参照)。 

水銀は,低圧放電ランプを通常点灯しながら,発光管の一部を低温に保つことによって,局所に集める

ことができる。このコールドスポット法を行う場合の点灯条件は,管端部に著しい黒化が発生してはなら

ない。 

蒸気化可能水銀が全てコールドスポットに集まると,ランプは非常に暗くなり,通常,ピンク色の発光

になる。この発光によってコールドスポット法が完了したとみなす。 

注記 コールドスポットの温度を0 ℃以下とし,通常ランプを点灯した場合,コールドスポット法の

完了まで数日かかる場合がある。 

5.3.1.1 

コールドスポット法による電球形蛍光ランプ及び多数管形コンパクト形蛍光ランプの試料準備 

水銀の散逸を防ぐため,発光管の切断は広口ポリ瓶の上で実施する。 

第1容器として,250 ml広口ポリ瓶をコールドスポットポジション用として準備する。 

第2容器として,125 ml広口ポリ瓶を管端部用として準備する。 

第3容器として,500 ml又は1 000 ml広口ポリ瓶を発光管のガラス用として準備する。発光管の大きさ

によって,いずれかを選択する。 

試料の準備手順を,次に示す。 

a) グローブなどの発光外管がある場合には,発光外管を発光管から取り除く。 

b) 発光管の外周に付着している汚れを,化学分析用ガーゼケミカルワイプで拭く。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 発光管の冷却部の中心から両側約3 cmの位置に,発光管をきずつけないように,印を付ける。 

d) 5.3.1に従い,全ての水銀をコールドスポットに集める。 

e) 次に,ランプを冷却器から取り外す。水銀が移動しないように,ランプは,切断するまで冷却したと

きと同じ姿勢に保つ。 

f) 

プラスチック側を上面,つまりランプと接する側に向けてベンチコートを実験台に敷き,その上に発

光管を置く。 

g) ランプに付けた片方の印の位置にきずを入れ,ランプを切断する。このとき,ランプ内壁の蛍光膜が

剝がれず,ゆっくりと空気が入るように,スローリークさせる。 

h) ランプを完全に切断し,もう一方の印の位置にきずを付けてランプを切断する。約6 cmの長さのコー

ルドスポットの部分を,直ちに第1容器に移し,蓋をする。第1容器を振り,コースドスポットの部

分のガラスを細かく砕き,ガラスが溶解するまで,クラッシュアイス入り容器に保管する。浮遊粒子

が落ち着くまで約5分間待ち,5.4.1によって直ちに第1容器の内容物を溶解させる。 

i) 

次に,発光管に附属するプラスチック,電気回路などの金属部を取り除く。外に出ているリード線を,

できるだけガラス管に近い位置で取り除く。発光管だけが,水銀測定に必要である。 

j) 

発光管から全ての排気管チップ部を切り取り,内部に残る金属部の紛失に注意し,プライヤで細かく

砕きながら,チップ部を第2容器に移す。 

k) リード線を含む発光管の両端部から7 mmの位置にきずを付けた後,第3容器に入る大きさになるよ

う,できるだけ少ない数のきずを発光管に付ける。 

l) 

リード線を含む発光管の端部に,赤熱ガラス棒又は赤熱ワイヤでクラックを入れ,切断する。 

m) プライヤが,筒状になった全ての発光管の端部の内部物に触れないように注意して,発光管の端部を

穏やかに砕きながら,第2容器に移す。その後,蓋をする。 

n) k)できずを付けた発光管の他の部分に,赤熱ガラス棒又は赤熱ワイヤでクラックを入れ,切断する。 

o) これらを第3容器に入れる。 

p) ベンチコート上に落下しているものがあれば,それを第3容器に入れ,蓋をする。 

q) 次に,第3容器を振ってガラスを細かく砕き,浮遊粒子が落ち着くまで約5分間待つ。 

これで,溶解に入る準備ができたので,直ちに5.4を行う。 

5.3.1.2 

コールドスポット法による両口金蛍光ランプの試料準備 

第1容器として,250 ml又は500 mlの広口ポリ瓶をコールドスポット部分用として使用する。 

第2容器として,125 mlの広口ポリ瓶を発光管の端部用として使用する。 

第3容器として,250 ml,500 ml,1 000 ml又は2 000 mlの広口ポリ瓶を発光管のガラス用として使用す

る。発光管の大きさによって,いずれかを選択する。 

試料の準備手順を,次に示す。 

a) 飛散防止膜などがある場合には,それを発光管から取り除く。 

b) ランプマーク側の管端から12 cmの位置,及び発光管の冷却部から両側6 cmの位置に,発光管をきず

つけないように,印を付ける。 

c) 5.3.1に従い,全ての水銀をコールドスポットに集める。 

d) 次に,ランプを冷却器から取り外す。水銀が移動しないように,ランプは分解するまで水平に保つ。 

e) プラスチック側を上面,つまり,ランプと接する側に向けてベンチコートを実験台に敷き,その上に

発光管を置く。 

f) 

最初に印を付けた管端から12 cmの位置でランプにきずを入れ,ランプを切断する。このとき,ラン

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

プ内壁の蛍光膜が剝がれず,ゆっくりと空気が入るように,スローリークさせる。 

g) 残りの二つの印を付けた部分でランプを切断する。約12 cm長のコールドスポットの部分を直ちに第

1容器に移し,蓋をする。第1容器を振り,コースドスポットの部分のガラスを細かく砕き,ガラス

が溶解するまで,クラッシュアイス入り容器に保管する。浮遊粒子が落ち着くまで約5分間待ち,5.4.1

によって直ちに第1容器の内容物を溶解させる。 

h) 次に,発光管に附属するプラスチック,口金などの金属部を取り除く。外に出ているリード線を,で

きるだけ封止部に近い位置で取り除く。発光管だけが,水銀測定に必要である。 

i) 

リード線を含む発光管の両端部から7 mmの位置にきずを付けた後,第3容器に入る大きさになるよ

う,できるだけ少ない数のきずを発光管に付ける。 

j) 

リード線を含む発光管の端部を,赤熱ガラス棒又は赤熱ワイヤでクラックを入れ切断する。排気管チ

ップ部を切り取り,発光管内部に残る金属部の紛失に注意し,プライヤで細かく砕きながら排気管チ

ップ部を第2容器に移す。プライヤが筒状になった全ての発光管の端部の内部物に触れないように注

意して,穏やかに砕きながら第2容器に移す。その後,蓋をする。 

k) i)できずを入れた発光管の他の部分に,赤熱ガラス棒又は赤熱ワイヤでクラックを入れ,切断する。 

l) 

これらを第3容器に入れる。 

m) ベンチコート上に落下しているものがあればそれを第3容器に入れ,蓋をする。 

n) 次に,第3容器を振ってガラスを細かく砕き,浮遊粒子が落ち着くまで約5分間待つ。 

これで,溶解に入る準備ができたので,直ちに5.4を行う。 

5.3.2 

コールドスポット法に代わる試料作製方法 

5.3.2.1 

小容積小形蛍光ランプの試料作製方法 

この方法は,ランプ容積が150 cm3未満の蛍光ランプに適用する。 

第1容器として,500 ml又は1 000 ml広口ポリ瓶を発光管のガラス用として使用する。 

第2容器として,125 ml広口ポリ瓶を発光管の端部用として使用する。 

試料の準備手順を,次に示す。 

a) グローブなどの発光外管がある場合には,発光外管を発光管から取り除く。 

b) 次に,発光管に附属するプラスチック,口金などの金属部を取り除く。外に出ているリード線を,で

きるだけ封止部に近い位置で取り除く。発光管だけが,水銀測定に必要である。 

c) 発光管の外周に付着している汚れを,化学分析用ガーゼケミカルワイプで拭く。 

d) プラスチック側を表面,つまりランプ(と接する)側に向けてベンチコートを実験台に敷き,その上

に発光管を置く。 

e) リード線を含む発光管の両端部から7 mmの位置にきずを付けた後,第1容器に入る大きさになるよ

う,できるだけ少ない数のきずを発光管に付ける。 

f) 

金属部位アマルガムなどがないチップオフ側を確認し,きずを付けて切断する。このとき,ランプ内

壁の蛍光膜が剝がれず,ゆっくりと空気が入るように,スローリークさせる。 

g) 全てのチップオフにきずを付けて切断する。このとき,発光管内の金属部位アマルガムなどが紛失し

ないように注意する。チップオフをプライヤで細かく砕いて第2容器に入れる。 

h) e)で付けたリード線を含む発光管の端部のきずに赤熱ガラス棒又は赤熱ワイヤでクラックを入れ,切

断する。 

i) 

発光管中の金属部位アマルガムなどが紛失しないように注意し,発光管の両端部をプライヤで静かに

砕いて第2容器に入れる。このとき,プライヤが発光管の端部内面に触れないように注意する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

j) 

残りの発光管についてもe)で付けたきずの部分に,赤熱ガラス棒又は赤熱ワイヤでクラックを入れ,

切断する。 

k) これらを第1容器に入れる。 

l) 

ベンチコート上に落下しているものがあればそれを第1容器に入れ,蓋をする。 

m) 次に,第1容器を振ってガラスを細かく砕き,浮遊粒子が落ち着くまで約5分間待つ。 

これで,溶解に入る準備ができたので,直ちに5.4を行う。 

5.3.2.2 

管内硝酸洗浄方式 

この方式は,両口金蛍光ランプに適用する。 

第1容器として,125 ml広口ポリ瓶を発光管の管端部用として使用する。 

第2容器として,250 mlサンプルビーカを発光管部用として使用する。 

試料の準備手順を,次に示す。 

a) 飛散防止チューブ等がある場合には,それを発光管から取り除く。 

b) 次に,発光管に附属するプラスチック,口金などの金属部を取り除く。外に出ているリード線を,で

きるだけ封止部に近い位置で取り除く。発光管だけが,水銀質量測定に必要である。 

c) チップオフを注意深く割って取り出し,砕いて第1容器に入れる。発光管内容積の1/30容量の濃硝酸

をピペット又は針付きの注射器で発光管内へ注入する。 

d) 発光管をほぼ水平に近い向きに傾け,注入した濃硝酸が発光管内の壁面の全てに行き渡るように回転

させる。その後,発光管を垂直向きに戻して15分間,その状態を保持する。これらの操作を3回以上

繰り返す。 

e) ダイヤモンドカッタ又はペン,及び赤熱ワイヤを使用し,開封したチップオフ管端部を管端からおお

よそ2 cmの位置で切り出し,第1容器に入れる。 

f) 

発光管内に純水を注いで内壁面を洗い,その液を第2容器に注ぎ込む。発光管内壁面を最低5回洗浄

する。 

g) ランプのもう一方の管端部2 cmをダイヤモンドカッタ又はペン,及び赤熱ワイヤを使用して切断する。

チップオフをペンチで砕いて第1容器に入れる。コイルマウント付き管端部2 cmを第1容器に入れる。

適切な量の濃硝酸を加え,15分間以上放置する。 

h) 第1容器中から全てのガラス部分を取り除き,金属部位だけ残す。 

第1容器は直ちに5.4を行う。第2容器は直ちに5.5を行う。 

5.3.2.3 

水銀直接測定手法 

この手法は,小径細管径蛍光ランプ(例えば,外部電極蛍光ランプ,冷陰極蛍光ランプなど)に適用す

る。 

この手法を,次に示す。 

a) ガラス封止部のできる限り直近でリード線を切る1)。小径外部電極蛍光ランプの外部電極を取り除く。

水銀質量測定には放電管だけを使う。 

b) 発光管の外周に付着している汚れを,化学分析用ガーゼケミカルワイプで拭く。 

c) 発光管の両端に引っかききずを付けて切断する。残った中央部分は,水銀を逃したり飛散させたりし

ないように石英ボートの直上で注意深く,100 mmごとに切断する。 

作製した試料は,加熱気化−冷蒸気原子吸光分析装置(ETV-AAS)で直ちに分析できる。 

注1) リード線に固着したはんだは,低融点で,かつ,ペースト(油脂)を含むので加熱気化−冷

蒸気原子吸光分析装置(ETV-AAS)の測定系に汚染を及ぼす。 

C 7803:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.3.3 

その他の蛍光ランプの試料作製方法 

その他の形状をもつ蛍光ランプの試料の作製方法は,電球形蛍光ランプの場合は5.3.1.1,電球形蛍光ラ

ンプ以外の場合には5.3.1.2による。また,附属書JA又は附属書JBに規定するサンプリング方法を採用

してもよい。 

5.4 

試料溶解 

5.4.1 

250 ml以上の容器中のガラス試料 

次に規定する溶解は,5.3.1.1 h),5.3.1.1 q),5.3.1.2 g),5.3.1.2 n)及び5.3.2.1 m)に適用する。 

次の薬液量は,250 ml容器中の試料に対する使用量であり,500 ml,1 000 ml又は2 000 ml容器中の試

料に関しては,使用量を適切に増倍(2倍,4倍又は8倍)する。破砕した材料を完全に浸すように,酸混

合液を注入する。 

a) 濃硝酸25 mlを加える。純水を10 ml加えてかくはん(攪拌)・混合する。 

b) 5 %(質量分率)過マンガン酸カリウムを0.25 ml加え,よく排気されているドラフト2) 中に16時間

(一昼夜)放置させる。ただし,有機物を含まない場合,過マンガン酸カリウムの添加は不要である。 

注記 溶解反応を促進させるために,容器をホットプレート上で80 ℃まで加熱してもよい。 

注2) ドラフトとは局所排気装置の一種で,粉じん,ガスなどの有害物質を囲い式フードから吸い込

み,ダクトを通って排気ファンによって工場外へ排気する換気装置である。 

5.4.2 

125 ml容器中の金属及びガラス試料 

次に規定する溶解は,5.3.1.1 m),5.3.1.2 j),5.3.2.1 i)及び5.3.2.2 h)に適用する。 

a) 濃塩酸3 ml及び濃硝酸1 mlを加える。 

b) 溶解が不十分であればふっ酸を2 mlずつ追加する。全ての金属片が溶解したら,硝酸を20 ml加える。 

c) 5 %(質量分率)過マンガン酸カリウムを0.25 ml加え,よく排気されているドラフト中に16時間放

置する。 

注記 溶解反応を促進させるために,容器をホットプレート上で80 ℃まで加熱してもよい。 

5.5 

ろ(濾)過 

ランプ1本ごとに各段階で溶解させた試料を全てまとめて,一つの250 mlのろ過フラスコ中へ注ぎ込み,

ろ過する。さらに,250 mlに希釈する。毎回,新しいろ紙を用いる。 

ろ過フラスコは,試料の大きさに応じて,500 ml,1 000 ml又は2 000 mlの大きさのものから選択する。 

測定及び分析 

6.0A 一般 

測定及び分析は,IEC 62321又は附属書JCによる。 

6.1 

ブランクテスト 

測定を始める前に,ブランク値が測定値に影響を及ぼさないことを確認するためにブランクテストを行

う。 

6.2 

データ報告 

測定は,抽出液それぞれに対して3回繰り返し行う。測定結果は,平均値とその平均値の95 %信頼区間

で求める。 

水銀質量は,有効数字3桁まで求めて,2桁に丸めて表示する。単位は,ミリグラム(mg)で表す。 

6.3 

分析方法 

分析手順は,IEC 62321の箇条7(Determination of mercury in polymers, metals and electronics by CV-AAS, 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

CV-AFS, ICP-OES and ICP-MS)又はJC.1.4若しくはJC.2.5による。 

5.3.2.3の試料作成方法には,加熱気化原子吸光分析法を適用する(附属書A参照)。 

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附属書A 

(規定) 

加熱気化原子吸光分析法 

A.1 加熱気化原子吸光分析装置 

加熱気化原子吸光分析装置の構成例を,図A.1に示す。水銀蒸気発生部は,破砕した水銀ランプを加熱

することによって水銀蒸気を発生させる。発生した水銀は,原子吸光分析装置に送られ,全水銀質量が測

定される。 

原子吸光分析装置は,定量範囲内で安定性及び直線性の得られるものを用いる。制御部は,原子吸光分

析装置から送られてくる水銀の紫外吸光度をモニタし,吸光度が原子吸光分析装置の直線範囲を超えない

ように水銀蒸気発生部の加熱温度を制御する。また,積分器では,水銀ランプの加熱開始と同時に紫外吸

光度の積分を行う。加熱気化原子吸光分析装置の略図例を,図A.2に示す。 

A.2 試薬 

試薬は,次による。 

a) 水 イオン交換水又は蒸留水を用いる。 

b) 酢酸水銀標準溶液 純度99 %以上の酢酸水銀を水に溶解し,調整する。 

c) 粒子状又は粉末状の活性アルミナ 粒径は45 μm〜2 000 μmで,水銀を含有してはならない。 

A.3 測定 

A.3.1 試料測定 

石英製試料ボート(図A.2のD)を加熱気化原子吸光分析装置の石英製加熱管に挿入し測定を開始する。

加熱開始と同時に,原子吸光分析装置による紫外吸光度の積分を開始する。加熱は,発生水銀濃度をモニ

タしながら制御する1)。加熱温度は1 000 ℃以下とし,水銀の発生がなくなるまで加熱及び積分を行う。 

A.3.2 検量線 

測定装置は,0.01 mg〜20 mgの測量範囲で直線性が確認されているものを用いる。検量線の作成には酢

酸水銀の標準溶液を用いる2)。試料ボートに活性アルミナを敷き,マイクロピペットを用いて適当量の標

準溶液を採取し,採取した標準溶液をその活性アルミナにしみこませる。試料ボートを加熱気化原子吸光

分析装置の石英製加熱管内に挿入し,加熱温度を360 ℃以上に設定し測定を行う。水銀質量と積分結果と

の関係線(検量線)を作成し,この関係線を用いて試料中の水銀質量を求める。 

注1) ランプによっては突発的な水銀の発生があり,原子吸光分析装置の測定濃度範囲を超えること

がある。この場合の測定結果は,負の誤差を生む。 

2) 酢酸水銀の標準溶液は,国家計量標準物質で値付けしたものを使用するのが望ましい。 

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図A.1−加熱気化原子吸光分析装置の構成例 

図A.2−加熱気化原子吸光分析装置の略図例 

 A :水銀除去装置 
 B :エアーポンプ 
 C :石英製加熱管 
 D :石英製試料ボート 
 E :石英製吸収セル 

 F :水銀ランプ 
 G :原子吸光用検出器 
 H :積分器 
 I :制御器付き電源 
 J :ヒータ 

光源部 

原子吸光分析装置 

制御部・積分器 

水銀蒸気発生部 

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附属書B 

(参考) 

コールドスポット法実施手順例 

B.1 片口金及び両口金のランプのコールドスポット法による水銀捕集の概要 

コールドスポット法は,水銀が最冷点に凝集する性質を活用した採取方法である。コールドスポットと

は,蛍光ランプガラス管表面の約0 ℃に冷却した部分をいい,ここに水銀が凝集する。 

凝集が終わると,発光管内の蒸気化可能な水銀はなくなり,結果として紫外線の放射がなくなる。その

ため,ランプは薄暗くなり,通常,ピンク色になる。この状態を暗点灯という。暗点灯状態になると,ほ

ぼ全ての蒸気化可能水銀はコールドスポットに凝集している。 

B.1.1 両口金蛍光ランプ 

両口金蛍光ランプの場合,冷却システムを用いてコールドスポットを形成する。この冷却システムは,

水とエタノールとの混合物を約0 ℃でガラスセル内を循環できなければならない。このセルは,放電管の

周りに隙間なく取り付けた円筒の形をしている。 

B.1.2 片口金蛍光ランプ 

片口金蛍光ランプの場合,ランプ表面に強く押し当てた銅製のロッドを用いて,コールドスポットを形

成する。その銅製ロッドの反対側は,両口金蛍光ランプに用いたのと同等の冷却システムに接続する(B.1.1

参照)。 

B.1.3 通則 

通常,水銀の凝集場所は,両口金ランプの中央部を選択する。片口金ランプの場合,ガラス管直線部の

中央付近を選択する(図B.2参照)。 

蒸気化可能水銀がコールドスポットに凝集する間,適切な制御装置1) で点灯する。 

水銀凝集の間,ランプを点灯することによって,コールドスポットとそれ以外の部分の温度差を大きく

して,凝集を加速することができる。 

コールドスポットの大きさは,ランプサイズに関係する。一般的な120 cmの蛍光ランプの場合,コール

ドスポットの長さは10 cm以下とする。それより小さなランプに関しては,コールドスポットは更に小さ

くする。最終的に採取するガラス管部は,コールドスポットより長くしなければならない。 

注1) 適切な制御装置とは,コールドスポット法を実施中の点灯で著しい電極部ガラス管黒化を生じ

させないものをいう。 

B.1.4 コールドスポットの液体窒素処理 

一旦凝集操作が完了しても,点灯は不要だが,冷却は続ける必要がある。コールドスポット部のガラス

管採取の間にガラス管温度が高くならないように,液体窒素によってガラス管温度を低温に保ち,凝集を

維持する。 

コールドスポット周辺に脱脂綿を巻いて縛り,10分間液体窒素を脱脂綿にしみこませるとよい。この処

理をもってランプは,開封の準備が完了する。 

B.1.5 コールドスポット部分の採取 

電極部分から離れたコールドスポットに水銀を凝集させるとよい。これによって,電極部分とコールド

スポット中央との間に十分なマージンを取ることができ,コールドスポット部分の採取を容易にすること

ができる。ガラス放電管に小さなクラックを入れて大気開放させたら,直ちに放電管の残りの部分を分割

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してもよい。 

B.2 蒸気化可能水銀をコールドスポットへ凝集するための詳細な操作 

B.2.1 両口金蛍光ランプ 

両口金蛍光ランプの操作は,次による。 

a) 蛍光ランプの長さを測りランプの中央に印を付ける。 

b) ランプ中央の印の上にガラスセルを取り付ける(図B.1参照)。 

 a) 両口金蛍光ランプのコールドスポット法模式図 

b) 両口金蛍光ランプ用ガラスセルの一例 

図B.1−両口金蛍光ランプのコールドスポット法 

c) 次に,ガラスセルを装着したランプを点灯台に移動する。 

d) 冷却装置に接続し,ガラスセル内の水とエタノールとの混合液を連続的に送液していることを確認す

る。冷却装置は,水とエタノールとの混合液を約0 ℃でチューブからガラスセルへ連続的に送液する。 

e) 適切な制御装置を用いてランプを点灯して,蒸気化可能水銀のコールドスポットへの凝集を開始する。 

f) 

ランプが暗くなったら,冷却装置の電源を切りガラスセルを取り外す。 

g) 暗くなったランプは,脱脂綿のワイパで濡れた外側を拭き,すぐにコールドスポット部分に脱脂綿を

巻いて,10分間液体窒素に浸す(B.1.4参照)。 

h) 次に,ランプをドラフトの中に移す。 

i) 

水銀が最大限保持されるように,ランプの大気開放はコールドスポットからできるだけ遠い位置を選

ぶ。最初,発光管端部にきずを入れ,ガラス管にクラックを入れる。そして,ランプ内圧が外気圧と

同じになったら,ランプは大気開放されたことになる。その後,コールドスポット部分の両端で切断

する。ランプの切断は適切な切断ジグによって行う。コールドスポット部分は次の分析のための容器

に移す。 

B.2.2 片口金蛍光ランプ 

片口金蛍光ランプの操作は,次による。 

a) ランプのガラス管直線部の中央部に,印を付ける。 

b) ランプのマーク部に冷却装置を取り付ける(図B.2参照)。 

発光管挿入位置 

ガラスセル 

両口金蛍光ランプ 

冷却液の流れ 

ガラスセル

シール材 

冷却液 

循環装置 

ランプ点灯用 

電源 

口金 

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a) 片口金蛍光ランプのコールドスポット法模式図 

b) 片口金蛍光ランプのコールドスポット法実施例 

図B.2−片口金蛍光ランプのコールドスポット法 

c) 冷却装置を取り付けたランプを,スタンドに取り付ける。 

d) プラスチックチューブを用いて,ガラスセルを冷却装置に接続する。冷却装置は,水とエタノールと

の混合液を約0 ℃でチューブからガラスセルへ連続的に送液する。 

e) ガラスセル内の水/エタノールを,連続的に送液していることを確認する。 

f) 

適切な制御装置を用いてランプを点灯して,蒸気化可能水銀のコールドスポットへの凝集を開始する。 

g) ランプが暗くなったら,冷却装置の電源を切り,ガラスセルを取り外す。 

h) 冷却装置にランプを接続したまま,5分間液体窒素に浸せき(漬)する。 

i) 

次に,ランプをドラフトの中に移す。 

j) 

水銀が最大限保持されるように,ランプの大気開放はコールドスポットからできる限り遠い位置を選

ぶ。最初,発光管端部にきずを入れ,ガラス管にクラックを入れる。そして,ランプ内圧が外気圧と

同じになったら,ランプは大気開放されたことになる。その後,コールドスポット部分の両端で切断

する。ランプの切断は,適切な切断ジグによって行う。コールドスポット部分は,次の分析のための

容器に移す。 

ロッド 

ガラスセル 

冷却水 

  

金属ロッド 

ランプ点灯用 

電源 

片口金蛍光ランプ 

ガラスセル 

シール材

口金 

冷却液の流れ 

冷却液 

循環装置 

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附属書JA 

(規定) 

ランプ内水銀のサンプリング方法 

JA.1 試薬 

試薬は,次による。 

a) 硝酸 JIS K 8541に規定する硝酸又はこれと同等以上の品質のものを用いる。 

b) 水 水は,特に指定のない限り,イオン交換水又は蒸留水を用いる。 

c) 硝酸(1+1) 硝酸と水とを等量混合する。 

JA.2 器具 

器具は,次による。 

a) 注射器 

b) ガラスビーカ(例えば,40 Wランプで500 ml程度),全量フラスコ及び駒込ピペット 

c) ろ紙及びロート 

d) やすり,はさみ,ハンマ,ニッパ,ゴム管,ニクロム線,ガラス細工用バーナ及びガラス棒 

e) ホットプレートなど 

JA.3 ランプの中に硝酸を入れて,水銀を溶解するサンプリング方法 

ランプの中に硝酸を入れて,水銀を溶解するサンプリング方法は,次による。 

a) ランプの排気側の口金を除去し,排気細管を切断する。 

b) 速やかに,排気細管から注射器を用いて硝酸(1+1)適量(FL40 Wの場合は,30 ml程度。)を注入

する1)(図JA.1参照)。 

c) ランプ内全体に硝酸がゆきわたるように,ゆり動かしながらランプ内面を洗う。そのときは,ランプ

を排気する細管部近くまで十分に洗い,細管部付近の蛍光体がこれ以上剝がれなくなる程度まで洗う。

また,細管から硝酸がこぼれるとその水銀質量が低くなるので,硝酸が絶対にこぼれないようにする。

硝酸がこぼれた場合には,そのサンプルは破棄し,再度やり直す。その後,ランプを斜めに置き,内

部の硝酸の温度が80 ℃〜100 ℃に保つように40分間加熱し,液中に水銀を溶解する2)。この時点で

ランプ中の金属水銀は,硝酸に溶解している。 

d) 排気管側の管端から約30 mmの位置で,バルブを切断し,ランプ内の溶液をビーカに移す(電極部分

は保存する。)。 

e) さらに,ランプ内に硝酸(1+1)20 mlを入れ,ランプ内をよく洗い,先のビーカに移した後,約20 ml

の水でランプ内を洗浄して,先のビーカに移す。 

f) 

反対側の管端から約30 mmの位置でバルブを切断し,ガラスバルブを水で十分に洗い3),先のビーカ

に移す(電極部分は保存する。)。 

g) d)及びf)で保存した電極部分からフィラメント及び内部導入線を切断して,先のビーカに入れ,管端

部をそれぞれ硝酸(1+1)5 ml及び少量の水で順次洗い,洗液は全て先のビーカに入れる。 

h) 冷却後,ろ紙でろ過をしながら全量フラスコに移し,標線を合わせ,これを試料溶液とする(ろ過終

了後,ろ紙を十分硝酸で洗い,試料溶液の中に入れる。)4)。 

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注1) ランプ内と外気との圧力差を利用して,図JA.2に示すようにゴム管をかぶせ,ゴム管中に入れ

た針などで封止部を切断して,管内に硝酸を注入してもよい。 

2) ホットプレート,サンドバス,ウォーターバス,リボンヒータなどで加熱するとよい。 

3) ランプ内の洗浄が十分でない場合,負の誤差を生じる。 

4) この溶液は,通常1週間以上保管できるが,できるだけ速やかに測定する。特に希釈後は,調

製したその日のうちに測定を行う。 

図JA.1−注射器で注入 

図JA.2−圧力差を利用して吸引 

JA.4 ランプを破砕して,水銀を溶解するサンプリング方法 

ランプを破砕して,水銀を溶解するサンプリング方法は,次による。 

a) ランプに付いている口金を取り除き,カッタナイフなどで樹脂を除去する。 

b) やすりなどを用いて,ランプの管端付近にきずを入れる。 

c) きずを入れた箇所に赤熱したニクロム線又はガラス棒でクラックを入れて,スローリークさせ,ラン

プ内を大気圧にする。 

d) ランプ内の水銀合金部を含む金属リングを取り除き,JA.5のサンプリング方法を用いて水銀をサンプ

リングする。 

e) ランプの内側をイオン交換水で湿らせ,破砕時の飛散を防止する。滴下したイオン交換水をビーカで

受ける。 

f) 

厚手のサンプリングバック(ビニル袋)の中,又はビーカの中で,ハンマ,ニッパなどを用いて,ラ

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ンプを破砕する(図JA.3参照)。このとき,内容物が外に飛ばないように注意する(一度破砕した部

分は何度もハンマでたたかず,ニッパなどを用いて更に細かく砕くと,サンプリングバッグの破れを

防ぐことができる。)。 

g) サンプリングバッグを用いた場合は,内容物をビーカに移し,バッグ内に水銀が残らないよう水洗し,

洗液を前のビーカに移す。 

h) ビーカに硝酸(1+1)を約30 ml加え,駒込ピペットなどを用いて,破砕したランプ全体に硝酸を注

ぐ。この操作は,それ以上蛍光体が落ちなくなる状態まで繰り返す。このとき,あらかじめ加熱して

おいた硝酸を使用すると,蛍光体が剝がれて落ちやすくなる。その後,液温を80 ℃以上に保ち,1

時間以上加熱する。 

i) 

冷却後,ろ過をしながら全量フラスコに移し入れ,ろ紙を十分洗浄した後,標線を合わせ,これを試

料溶液とする5)。 

注5) この溶液は,通常1週間以上保管できるが,できるだけ速やかに測定する。特に希釈液は,

調製したその日うちに測定を行う。定容量はランプの形状によって異なるが,アマルガムを

取り除いたランプの管内水銀は,少量であることが多いため,できるだけ少ない容量で定容

することが望ましい。ろ過時間を短縮するために,JIS P 3801に規定する5種Bのろ紙を用

いた場合は,上澄み液を測定してもよい。 

図JA.3−蛍光ランプの破砕例 

JA.5 ランプ内水銀合金などの中の水銀サンプリング方法 

JA.5.1 チタン水銀合金の場合 

ランプ内にチタン水銀合金を装着した例を,図JA.4に示す。 

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図JA.4−ランプ内にチタン水銀合金を装着した例 

a) 器具 器具は,次による。 

1) 丸形フラスコ(すり合わせ口付き)及びビーカ 

2) 還流冷却器 

b) 試薬 試薬は,次による。 

1) 硫酸 JIS K 8951に規定する硫酸又はこれと同等以上の品質のものを用いる。 

2) 硫酸(1+1) 硫酸と水とを等量で混合する。 

3) 硝酸(1+1) 硝酸と水とを等量で混合する。 

c) サンプリング方法 JA.4 d)で取り除いた水銀合金を丸形フラスコに入れ,還流冷却器を付けて水を流

しながら硫酸(1+1)10 mlを加え,弱火で約30分間加熱した後,硝酸(1+1)5 mlを加えて,更に

約30分間加熱する。水銀合金の溶解を確認後,加熱を止め,放冷した後,不溶分として残ったゲッタ

材のジルコニウム−アルミニウム合金をろ別し,そのろ液を全量フラスコに移し入れて標線を合わせ

る。 

なお,ビーカに水銀合金を入れ,硫酸(1+1)10 ml及び硝酸(1+1)10 mlを加え,硫酸白煙の発

生まで加熱を続けて完全に溶解させた後,硝酸(1+1)を5 ml加えてもよい。 

JA.5.2 粒状などの水銀合金の場合 

ランプ内に粒状の水銀合金を装着した例を,図JA.5に示す。 

a) チタン水銀合金装着ランプのイメージ図 

水銀合金 

金属リング 

b) 金属リング及びチタン水銀合金の例 

 金属リング+水銀合金 

c) チタン水銀合金を装着した実際のランプの例 

(通常は蛍光体膜によって中身は見えない) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図JA.5−電球形蛍光ランプの水銀合金封入箇所の例 

a) 器具 器具は,次による。 

1) ガラス製ビーカ 

2) ガラス製時計皿 

b) 試薬 試薬は,次による。 

1) 塩酸 JIS K 8180に規定する塩酸又はこれと同等以上の品質のものを用いる。 

2) 王水 硝酸と塩酸とを1:3の容量比で混合する。 

c) サンプリング方法 サンプリング方法は,次による。 

1) ランプから発光管部分を取り出す。このとき超音波カッタなどを用いて樹脂ケース部分から破壊す

るか,又は口金部分からニッパによって切込みを入れて樹脂ケースを破壊するとよい。樹脂ケース

を勢いよく破壊すると発光管が割れることがあるため,慎重に作業を行う必要がある。 

2) JA.4のa)〜c)の操作によって,ランプをリークさせた後,発光管内から粒状の水銀合金及びメッシ

ュ状の水銀合金を取り出す(細管内で溶融している場合は,細管ごと折り取る。)。 

3) ガラスビーカに試料を移し,王水を約10 ml加える。 

4) 時計皿で蓋をして,液温80 ℃以上で約90分間加熱する。 

5) 完全に溶解したら冷却し,全量フラスコに移し入れ,標線を合わせる。 

注記 ビスマス(Bi)が含まれている場合には,酸濃度が薄くなるとBiが析出するときがあるので,

定容又は希釈時の王水濃度が10 %以上になるように王水を加えながら,定容又は希釈を行う。 

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附属書JB 

(規定) 

CCFL管内の水銀の溶解方法 

JB.1 開放系酸分解法 

JB.1.1 試薬 

試薬は,次による。 

a) 硝酸 JIS K 8541に規定する硝酸又はそれ以上の品質のものを用いる。 

b) 水 

c) 硝酸(1+1) 硝酸と水とを等量混合する。 

d) ふっ化水素酸 JIS K 8819に規定するふっ化水素酸又はそれ以上の品質のものを用いる。 

JB.1.2 器具 

器具は,次による。 

a) ガラス器具(ビーカ,時計皿,全量フラスコ,駒込ピペット及び漏斗) 

b) ろ紙 

c) ニッパ及びやすり 

d) ホットプレート 

e) ふっ素樹脂チューブ 

JB.1.3 サンプリング方法及び試料調製方法 

サンプリング方法及び資料調整方法は,次による。 

a) ランプのリード線をニッパを用いて切断する。 

b) ランプ両端の電極近傍1) 及び両端から約50 mmごと2) に,やすりでランプにきずを入れる。 

c) ランプより径の大きなふっ素樹脂チューブ3) をきずを入れた箇所にかぶせ,破片がビーカの外にこぼ

れないように注意しながら,200 mlのビーカ上でランプを折って破片を入れていく。最後に,ふっ素

樹脂チューブもビーカに入れる。 

d) ランプの破片が入ったビーカに駒込ピペットを用いて,硝酸(1+1)を20 ml添加し,時計皿を載せ

て約60 ℃ホットプレート上で,1時間加熱する。 

e) 放冷後,JIS P 3801に規定する5種Bのろ紙4) でろ過を行い,ろ液を全量フラスコに移した後,定容

する。 

注1) 電極の溶解が必要な場合は,できるだけ管端に近い部分でランプを折り,電極だけ別のプラ

スチックビーカに取り分け,硝酸及び電極の溶解に必要な酸[例えば,ニオブ(Nb),モリ

ブデン(Mo)の場合は,ふっ化水素酸]の混酸(例えば,硝酸とふっ化水素酸とを1:1で

混合した酸)を0.3 ml程度添加し,常温で分解する。後の定容操作がガラス容器でできるよ

う,最小限の酸によって溶解する。電極を溶解した溶液は,最終的にJB.1.3 e)の溶液に加え

る。ただし,電極が硝酸に溶解する成分である場合は,この操作は必要ない。また,水銀の

揮散がないよう,混酸には必ず硝酸を含める。 

2) 分解時に用いるビーカの底の内径よりも小さくすることによって,ランプの破片及びふっ素

樹脂チューブがビーカ底面と平行に納まるため,少量の酸によって試料全体を浸せきできる。 

3) ランプを折る場合,破片が飛散すると水銀分析値に大きな誤差を生じるため,ふっ素樹脂チ

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ューブなどで飛散防止対策を行う。ふっ素樹脂チューブは,ビーカの底の内径よりも短いも

のを使用する。 

注4) 5種Bのろ紙では,蛍光体等の不溶成分が一部ろ液に含まれる場合もあるが,溶液の上澄み

の使用で測定機器への影響を抑え,かつ,精度を落とすこともなく定量ができる。より目の

細かい5種Cのろ紙を使用してもよい。  

JB.2 還流冷却/酸分解法 

JB.2.1 試薬 

試薬は,次による。 

a) 硝酸(1+1) 

b) 水 

JB.2.2 器具 

器具は,次による。 

a) ガラス器具(分解フラスコ,還流冷却器,全量フラスコ,駒込ピペット及び漏斗) 

b) ろ紙 

c) ニッパ及びやすり 

d) ホットプレート 

e) ふっ素樹脂チューブ 

JB.2.3 サンプリング方法及び試料調製方法 

サンプリング方法及び試料調整方法は,次による。 

a) 両端のリード線をニッパなどで取り除き,ランプの両端を30 mm以下,その他の部分は50 mm以下

になるようやすりなどを用いてきずを付ける。 

b) ランプより径の大きな50 mm程度に切ったふっ素樹脂チューブを用いてランプを折る。 

なお,この作業は分解フラスコの上でランプを垂直に立てた状態で行い,破片などが分解フラスコ

外に飛び散らないように十分注意する。最後にふっ素樹脂チューブも分解フラスコ内に入れる。 

c) ランプの破片が入った分解フラスコに駒込ピペットを用いて,硝酸(1+1)20 mlを添加し,還流冷

却器をセットし,還流冷却器に冷却水を流しながら,ホットプレート上で1時間加熱する。 

d) 冷却後,JIS P 3801に規定する5種Bのろ紙でろ過し,全量フラスコに移し水にて定容し,試料溶液

とする。 

JB.3 密閉系酸分解法 

JB.3.1 試薬 

試薬は,次による。 

a) 硝酸(1+1) 

b) 水 

JB.3.2 器具 

器具は,次による。 

a) ガラス器具(全量フラスコ,駒込ピペット及び漏斗) 

b) ろ紙 

c) ニッパ及びやすり 

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21 

C 7803:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) マイクロ波加熱分解装置 

e) ふっ素樹脂チューブ 

f) 

ふっ素樹脂製分解容器セット 

JB.3.3 サンプリング方法及び試料調製方法 

サンプリング方法及び試料調整方法は,次による。 

a) 両端のリード線をニッパなどで取り除き,ランプの両端を30 mm以下,その他の部分は50 mm以下

になるよう,やすりなどを用いてきずを付ける。 

b) ランプより径の大きな50 mm程度に切ったふっ素樹脂チューブを用いてランプを折る。ただし,この

作業はふっ素樹脂製分解容器の上でランプを垂直に立てた状態で行い,破片等が分解容器外に飛び散

らないように,十分注意する。最後に,ふっ素樹脂チューブもふっ素樹脂製分解容器内に入れる。 

c) ランプの破片の入ったふっ素樹脂製分解容器に,駒込ピペットを用いて硝酸(1+1)20 mlを添加し,

密栓してふっ素樹脂製分解容器セットを組み立て,マイクロ波加熱分解装置にセットする。 

d) あらかじめ設定した分解プログラム5) で試料を加熱する。 

e) 冷却後,JIS P 3801に規定する5種類Bのろ紙でろ過し,全量フラスコに移し水にて定容し,試験溶

液とする。 

なお,長尺ランプ等分解容器の許容量を超える場合は,分割して複数の分解容器にて同様の操作を行い,

ろ過時に一つの全量フラスコに集めて,定容し,試料溶液とする。 

注5) 使用するマイクロ波加熱分解装置に適した分解プログラムを用いる。分解プログラム例を,

表JB.1に示す。 

表JB.1−マイクロ波過熱分解装置に適した分解プログラム例 

段階 

最大電力 

傾斜 

分 

温度 

℃ 

保持時間 

分 

1 200 

15 

150 

 2 

1 200 

 4 

180 

10 

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22 

C 7803:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JC 

(規定) 

試料溶液の水銀定量操作 

JC.1 還元気化原子吸光光度法 

この分析については,JIS K 0102の66.(水銀)の規定によった。 

JC.1.1 要旨 

この方法は,蛍光体とともに封入水銀を溶解した試料溶液の一部を分取して,塩化第一すずで金属水銀

に還元し,発生した水銀蒸気をダイヤフラムポンプで石英製吸収セルに送り込み,253.7 nmの紫外線の吸

収量を求める方法である。還元気化送気方式には,密閉循環方式と開放送気方式とがある。 

JC.1.2 装置及び器具 

装置及び器具は,次による。 

なお,還元気化原子吸光分析装置(密閉循環方式)の一例を図JC.1に,開放送気方式の構成の一例を図

JC.2に示す。 

a) 原子吸光分析装置 測定の目的に対して十分な感度をもち,かつ,定量範囲内で安定性の得られる原

子吸光分析装置又は水銀専用原子吸光分析装置 

b) 全量フラスコ,メスピペット及びホールピペット 

図JC.1−還元気化原子吸光分析装置の例 

 A :還元容器 
 B :乾燥管 
 C :流量計 
 D :吸収セル 
 E :空気ポンプ 
 F :記録計 
 G :水銀中空陰極ランプ又は水銀ランプ 
 H :原子吸光用検出器 
 I :水銀除去装置 

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23 

C 7803:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図JC.2−開放送気方式の構成の一例 

JC.1.3 試薬 

試薬は,次による。 

a) 硫酸(1+1) 水銀含有量0.01 ppm以下の硫酸と水とを等量混合する。 

b) 塩化第一すず溶液(10 w/v %) JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物10 gに硫酸(1+20)

60 mlを加え,かき混ぜながら加熱して溶かし,冷却後水を加えて100 mlとする。ただし,保存期間

は約1週間とする。 

c) 過塩素酸マグネシウム(粒状) 乾燥用(電子冷却法によって除湿する場合は,不要である。) 

d) 水銀標準溶液(1 000 μgHg/ml) 水銀標準溶液を使用するたびに,正確に希釈する。 

e) 過マンガン酸カリウム溶液(5 %) JIS K 8247に規定する過マンガン酸カリウム5 gを硫酸(1+5)

100 mlに溶解する。 

JC.1.4 分析操作 

分析操作は,次による。 

a) 試料溶液から適量1) を分取し,測定容器に入れる。 

b) 硫酸(1+1)及び水を加えて適切な液量に調整する2)。 

c) 塩化第一すず溶液を加え,直ちに装置に組み込む。 

d) 空気量を最適状態に調整したダイヤフラムポンプを作動し,空気を循環させ,波長253.7 nmの吸光度

のピークを求める。 

e) a)〜d)の操作で得られたピーク値によって,試料と同様操作で作成した検量線から水銀質量を求め,

これに希釈倍数を乗じて水銀質量を算出する。 

f) 

検量線の作成 濃度の異なる4種類以上の検量線用溶液を用い,濃度と表示値との関係線を作成し,

検量線とする。この検量線を用いて,試料溶液中の分析対象元素の濃度を求める(図JC.3参照)。 

注記 密閉循環方式の場合,水銀ガスを循環することでピークが加算され大きな信号が得られるがピ

A〜I:(記号は,図JC.1による。) 

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24 

C 7803:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ーク波形の面積を積分することができず,測定経路内の水銀吸着が起こりやすいので注意を要

する。 

注1) 試料溶液の分取量は,1.0 ml以下では分析誤差が大きくなるので,あらかじめフラスコを用

いて分取量が1.0 ml以上となるように薄める。 

2) b)の状態で放置した場合は,水銀質量が低くでるおそれがあるので注意する。 

図JC.3−検量線の例 

JC.2 ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)発光分光分析法 

JC.2.1 一般 

蛍光ランプ内から所定の操作に従って回収したランプ封入水銀を,硝酸又は硝酸と組み合わせた混酸を

用いて溶解後,ガラス片,蛍光体などの不溶成分をろ過する。ろ液をICP発光分光分析装置のアルゴンプ

ラズマ中に噴霧し,その発光強度を測定する。 

JC.2.2 装置及び器具 

装置及び器具は,次による。 

a) ICP発光分光分析装置 測定の目的に対して十分な感度をもち,かつ,定量範囲内で安定性の得られ

るICP発光分光分析装置。ICP発光分光分析装置の構成例を,図JC.4に示す。 

b) キャリア及びプラズマ点灯用ガス JIS K 1105の2級以上のアルゴンガス[必要に応じて,分光器き

ょう(筐)体内パージ用ガス,JIS K 1107の2級以上の窒素ガスなど] 

c) 試料分取及び希釈用器具 清浄なビーカ,全量フラスコなど。 

図JC.4−ICP発光分光分析装置の構成例 

励起源部 

発光部 

分光測光部 

制御システム・指示記録部 

試料導入部 

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C 7803:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JC.2.3 試薬 

試薬は,次による。 

a) 試料希釈用及びアイドリング時にネブライザ吸引する水 イオン交換水 

b) 水銀標準溶液(1 000 μgHg/ml) 水銀標準溶液を使用の都度,正確に希釈する。 

JC.2.4 測定条件の設定 

高周波出力,観測高さ,キャリアガス流量などを水銀分析に最適化する。水銀濃度が高い試料溶液を測

定した後,濃度の低い試料を測定する場合には,メモリ効果(装置内の試料通過箇所に水銀元素が微量で

あるが残留し,あたかも次の以降の試料に含まれているような測定結果をもたらす現象。)が生じるおそれ

がある。そのため,使用する分析装置のメモリ効果の有無又はメモリ効果を生じさせない試料溶液中の水

銀濃度範囲,リンス時間などを事前に確認しておく。 

JC.2.5 分析操作 

分析操作は,次による。 

a) 水銀の発光強度の測定に用いる分析線は,194.2 nmを使用する。ただし,精確さを確認してあれば,

253.7 nmなど他の波長を選択してもよい。また,高次スペクトル線が使用可能な装置では,高次スペ

クトル線を用いてもよい。 

b) 試料溶液に含まれるマトリックス成分によっては,分光干渉を引き起こす可能性があるため,定量分

析の前には必ず測定溶液をプラズマ中に噴霧し,水銀分析線近傍の波長領域をスキャンし,分光干渉

の有無を確認し,分光干渉のない発光線を選択する3)。 

c) 定量分析は,多量に含まれる蛍光体マトリックスの定量値への影響を除くために,標準添加法を用い

る4)。 

試料溶液から等量に4個以上の溶液を分取し,水銀元素を添加しないもの1種類と水銀元素をそれ

ぞれ異なる濃度で添加したものとを3種類以上調製する。必要な精確さが得られる測定濃度の範囲を

あらかじめ調べておき,水銀元素を添加した溶液が,その濃度領域内に入るよう適宜希釈率を調整す

る。 

d) 調製した試料溶液をプラズマ内に噴霧し,発光強度を測定する。測定した発光強度から標準添加検量

線を作成し,外挿によって試料溶液の濃度を求める(図JC.5参照)。 

試料溶液の濃度,希釈率及び定容量から次の式を用いて,蛍光ランプの水銀封入量を算出する。 

000

1

V

C

A

W

×

×

=

ここに, 

W: ランプ内の水銀質量(mg) 

A: 試料溶液の希釈率 

C: 試料溶液中の水銀濃度(μgHg/ml) 

V: 試料溶液の定容量(ml) 

注3) 分光線には,プラズマ構成成分及び共存元素による線スペクトル,並びに連続スペクトルが

重なる場合があり,それらが分析線に分光干渉として影響を及ぼすことがあるため,分光干

渉のない発光線を用いる。例えば,分光干渉がある場合は,あらかじめ既知濃度の共存元素

溶液を用いて,分析線に及ぼす影響を水銀の濃度として算出し,この濃度が測定溶液の水銀

濃度の1/100以下であることを確認する。 

4) この方法は分光干渉がなく,バックグラウンドが正しく補正されていて,かつ,発光強度と

濃度との関係が,低濃度域まで良好な直線性を保つ場合にだけ適用できる。 

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26 

C 7803:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図JC.5−標準添加検量線 

参考文献 JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0102 工場排水試験方法 

JIS K 0116 発光分光分析通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0212 分析化学用語(光学部門) 

JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門) 

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附属書JD 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS C 7803:2011 蛍光ランプ封入水銀質量の測定方法 

IEC 62554:2011 Sample preparation for measurement of mercury level in fluorescent 
lamps 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範
囲 

0.1 mg以上の水銀
を含む未使用蛍光
ランプ[片口金,両
口金(直管含む。),
電球形,バックライ
ト用冷陰極蛍光ラ
ンプ]の試料の分析
を規定。 

0.1 mg以上の水銀を含む
未使用蛍光ランプ[片口
金,両口金(直管含む),
電球形,バックライト用
冷陰極蛍光ランプを含
む]の試料の前処理を規
定。 

変更 

分析手法も適用範囲に包含。 

IEC 62554で参照している分析法
の規格であるIEC 62321の対応
JISが未発行のため,分析手法も
包含した規格とした。 

2 引用規
格 

5 蛍光ラ
ンプ内水
銀回収手
順 

JISとほぼ同じ 

5.2,5.3.2.2及び5.5で分かりや
すくするため文章を追加した。 
5.3は附属書を引用させた。 

実質的な差異はない。 

6 測定及
び分析 

JISとほぼ同じ 

6.0Aを追加し,附属書との関
係を明確にした。 

差異の理由は,附属書JCを参照。 

附属書JA 
(規定) 

− 

追加 

改正前のJISに記載されてい
た前処理手法を追加した。 

改定前のJISに記載されていた前
処理手法であり同等の分析精度
が得られるため,附属書として残
した。 

 
 
 

4

C

 7

8

0

3

2

0

11

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

附属書JB 
(規定) 

− 

追加 

日本電球工業会のJEL規格
(JEL305)に記載されたCCFL
ランプ中の水銀の溶解方法を
追加した。 

CCFLランプは管径が細く一般蛍
光ランプとは異なった前処理を
行うため附属書として追記した。 

附属書JC 
(規定) 

− 

追加 

改定前のJISに記載された分
析手法を追加した。 

IEC 62554で参照している分析法
の規格であるIEC 62321に対応す
るJISが未発行のため。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 62554:2011,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  − 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD…………… 国際規格を修正している。 

4

C

 7

8

0

3

2

0

11

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。