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C 6122-11-1:2010 (IEC 61290-11-1:2008) 

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 2 

3 記号及び略語 ··················································································································· 2 

4 装置······························································································································· 2 

4.1 システム構成 ················································································································ 2 

4.2 波長可変レーザ ············································································································· 3 

4.3 偏波制御器 ··················································································································· 3 

4.4 偏光子 ························································································································· 3 

4.5 入力光学系 ··················································································································· 3 

4.6 光ファイバピグテール ···································································································· 3 

4.7 光学レンズシステム ······································································································· 3 

4.8 出力光学系 ··················································································································· 3 

4.9 偏光計 ························································································································· 4 

5 手順······························································································································· 4 

6 計算······························································································································· 4 

6.1 JME計算 ····················································································································· 4 

6.2 DGD対波長の表示 ········································································································· 5 

6.3 平均DGD ····················································································································· 5 

6.4 最大DGD ····················································································································· 5 

7 測定結果························································································································· 5 

附属書A(参考)光増幅器のASEによる偏光度の減少 ································································ 7 

C 6122-11-1:2010 (IEC 61290-11-1:2008) 

(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人光産業技術振興協会(OITDA)及

び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

また,令和2年6月22日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標準

化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。 

JIS C 6122の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS C 6122-1 第1部:利得パラメータ測定方法 

JIS C 6122-2 第2部:パワーパラメータ測定方法 

JIS C 6122-3 第3部:雑音指数パラメータ測定方法 

JIS C 6122-3-2 第3-2部:雑音指数パラメータ−電気スペクトラムアナライザ試験方法 

JIS C 6122-5-1 第5-1部:光反射率パラメータ測定方法−光スペクトラムアナライザを用いた測定方

法 

JIS C 6122-6 第6部:漏れ励起光パラメータ測定方法 

JIS C 6122-7 第7部:波長帯域外挿入損失測定方法 

JIS C 6122-10-1 第10-1部:マルチチャネルパラメータ−光スイッチ及び光スペクトラムアナライザ

を用いたパルス法 

JIS C 6122-10-2 第10-2部:マルチチャネルパラメータ−ゲート付き光スペクトラムアナライザを用

いたパルス法 

JIS C 6122-11-1 第11-1部:偏波モード分散パラメータ−ジョーンズマトリクス固有値解析(JME)

法 

日本産業規格 

JIS 

C 6122-11-1:2010 

(IEC 61290-11-1:2008) 

光増幅器−測定方法− 

第11-1部:偏波モード分散パラメータ− 

ジョーンズマトリクス固有値解析(JME)法 

Optical amplifiers-Test methods- 

Part 11-1: Polarization mode dispersion parameter- 

Jones matrix eigenanalysis (JME) 

序文 

この規格は,2008年に第2版として発行されたIEC 61290-11-1を基に,技術的内容及び対応国際規格の

構成を変更することなく作成した日本産業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。 

適用範囲 

この規格は,アクティブな光ファイバを用いた光ファイバ増幅器(OFA),半導体光増幅器(SOA)及び

導波路形光増幅器(POWA)を含むすべての商用化されている光増幅器(OA)のジョーンズマトリクス固

有値解析(JME)法について規定する。 

偏波モード分散(PMD)は,時間領域において光パルス幅が広がる要因となる。この分散は,情報通信

システムの性能を劣化させる。この効果は信号の異なる偏波成分の群速度差とそれに対応する到着時間と

を関連付けることができる。狭線幅光源では,この効果は直交する偏波主軸状態(PSP)の間の群遅延時

間差(DGD)と関連付けることができる。PMDに関する他の一般情報は,IEC/TR 61282-9に記載する。

また,OAに関するPMDについての情報は,IEC/TR 61292-5に記載する。 

この規格は,OAのPMDを測定する手順について規定する。測定結果は,波長間隔の狭い二波長での正

規化されたストークスパラメータの測定から得られる。 

この規格で規定する測定方法では,偏光計の入力ポートの位置での偏光度(DOP)が25 %以上の信号光

がなければならない。測定光源のDOPが高くても,増幅された自然放出光(ASE)の影響でOAの出力に

おけるDOPは低下する。附属書AにDOPに対するASEの影響について示す。正確な測定を保証するた

めに,測定手順の一環としてDOPを測定する。 

この規格で規定する測定方法の測定結果は,1 dB以内の偏波依存利得変動(PDG)及び偏波依存性損失

(PDL)に影響されない。 

ジョーンズマトリクス固有値解析法(以下,JME法という。)は,原理的には励起されていない(電源

が入っていない)OAに対しても適用できるが,この規格で規定するJME法は,励起された(電源が入っ

ている)OAに対してだけ適用できる。 

C 6122-11-1:2010 (IEC 61290-11-1:2008) 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 61290-11-1:2008,Optical amplifiers−Test methods−Part 11-1: Polarization mode dispersion 

parameter−Jones matrix eigenanalysis (JME)(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

引用規格 

(対応国際規格では,この箇条において引用規格を記載しているが,記載されたすべての規格は引用で

はなく参照のため,不採用とした。) 

記号及び略語 

∆λ 

波長間隔 

∆τ 

群遅延時間差(DGD) 

ν 

光周波数 

ω 

光角周波数 

光増幅器雑音係数 

利得 

プランク定数 

N(λ) 

ASEのパワースペクトル密度 

Ps 

増幅された信号光パワー 

ASE 

増幅された自然放出光 

(Amplified spontaneous emission) 

DGD 

群遅延時間差 

(Differential group delay) 

DOP 

偏光度 

(Degree of polarization) 

DUT 

供試品(光増幅器) 

[Device (optical amplifier) under test] 

JME 

ジョーンズマトリクス固有値解析 

(Jones matrix eigenanalysis) 

OA 

光増幅器 

(Optical amplifier) 

OFA 

光ファイバ増幅器 

(Optical fiber amplifier) 

OSA 

光スペクトラムアナライザ 

(Optical spectrum analyzer) 

PDG 

偏波依存利得変動 

(Polarization-dependent gain) 

PDL 

偏波依存性損失 

(Polarization-dependent loss) 

PMD 

偏波モード分散 

(Polarization-mode dispersion) 

POWA 

導波路形光増幅器 

(Planar optical waveguide amplifier) 

PSP 

偏波主軸状態 

(Principal states of polarization) 

SOA 

半導体光増幅器 

(Semiconductor optical amplifier) 

装置 

4.1 

システム構成 

典型的な測定システムの主要なコンポーネントの構成図を,図1に示す。 

background image

C 6122-11-1:2010 (IEC 61290-11-1:2008) 

図1−典型的な装置の構成 

4.2 

波長可変レーザ 

測定波長範囲内で波長を調節できる単一モードレーザ又は狭帯域光源を使用する。スペクトルの分布は,

すべての測定条件の下でDUTを通過する測定光が必要なDOPを維持できる程度に狭くなければならない。 

4.3 

偏波制御器 

偏光した光源を使用する場合には,その光源の偏光状態がおおよそ円偏光となるように偏波制御器を調

整し,偏光子が入力光と直交しないようにする。光源が偏光していない場合,これは必要ない。偏光して

いる光源を使用する場合には,次に従って偏光状態を調整する。 

a) 波長可変レーザの波長を測定範囲の中心に調節する。 

b) 三つの偏光子をビームに挿入して,それぞれの偏光子を挿入した場合の偏光子からの出力パワーの測

定を行う。 

c) 光源の偏光状態を偏波制御器で調整し,b)での三つの測定値の差が3 dB以内となるように調整する。 

空間ビーム系の場合は,波長板で光源の偏光状態を調整してもよい。 

4.4 

偏光子 

三つの直線偏光子を,相互に約45°傾いた状態で順番にビームに挿入する。実際の相対的な角度は,別

途求めておく。 

4.5 

入力光学系 

DUTを励振するために,光学レンズシステム又はシングルモード光ファイバピグテールを用いる。 

4.6 

光ファイバピグテール 

光ファイバピグテールを使用する場合,反射による干渉の影響を避けなければならない。これには,屈

折率整合材又は傾斜端面コネクタが必要となる場合がある。光ファイバピグテールは,シングルモード光

ファイバとする。 

4.7 

光学レンズシステム 

光学レンズシステムを使用する場合,真空チャックなどの適切な方法で光ファイバ入力端を支える。 

4.8 

出力光学系 

DUTからの全光パワーを偏光計に入力する。光学レンズシステム,シングルモード光ファイバピグテー

ルの突合せによる接続,屈折率整合を用いた受光器への直接接続などの入力方法を用いることができる。 

C 6122-11-1:2010 (IEC 61290-11-1:2008) 

4.9 

偏光計 

偏光計を用いて,三つの偏光子の各々の挿入に対応する三つの出力偏波状態を測定する。偏光計の測定

波長範囲は,光源波長を含まなければならない。 

手順 

JME法は,次の手順によって行う。 

a) 偏波制御器を通して,偏光子と光源とを接続する。 

b) DUTの入力に,偏光子の出力を接続する。 

c) 偏光計の入力に,DUTの出力を接続する。 

d) 正規化したストークスパラメータを測定するための波長間隔Δλを決定する。(公称波長λ0の周りの)

許容できる最大のΔλは,式(1)によって求める。 

c

2

2

0

max

λ

λ

τ

 ·········································································· (1) 

ここに, 

c: 光速度 

Δτmax: λ0±Δλ/2の範囲で予想されるDGDの最大値 

例えば,DGDの最大値と波長間隔との積は,1 550 nmにおいては4 ps・nm未満,1 300 nmにおいて

は2.8 ps・nm未満でなければならない。この条件は,一つの測定波長から次の測定波長までの間の出

力偏波状態の回転がポアンカレ球上の主偏光軸周りに180°以下であることを保証する。Δτmaxの概算

ができないときは波長範囲全般にわたって一連のサンプル測定を行うが,ここでは光源のスペクトル

幅及び波長設定の最小ステップ幅に応じて,近接した波長間隔の二波長を使用する。このようにして

測定したDGDの最大値に安全係数3を乗じて,これを式(1)のΔτmaxの替わりに用い,実際の測定で用

いるΔλの値を計算する。測定のためのΔλが大き過ぎるときは,測定はより小さいΔλで繰り返せば

よい。DGD対波長のカーブの形とDGDの平均値とが基本的に変わらなければ,最初の波長間隔は適

切とする。 

e) 測定データを採集する。各波長においてそれぞれの偏光子を挿入し,それに対応する正規化したスト

ークスパラメータを偏光計で測定する。 

f) 

測定した正規化ストークスパラメータから式(2)によってDOPを計算し,測定が有効であるかどうか

を決定する。 

2

3

2

2

2

1

DOP

s

s

s

+

+

=

 ··································································· (2) 

ここに, 

s1: 1番目の正規化ストークスパラメータ 

s2: 2番目の正規化ストークスパラメータ 

s3: 3番目の正規化ストークスパラメータ 

DOPが25 %より大きいとき,測定は妥当性がある。DOPが25 %より小さいときは,波長可変レー

ザのパワーを上げてe)を繰り返す。 

計算 

6.1 

JME計算 

正規化したストークスパラメータから,各波長におけるジョーンズマトリクスを計算する。それぞれの

波長間隔において,周波数の高いほうのジョーンズマトリクスΤ (ω+Δω)と周波数の低いほうのジョーン

ズマトリクスの逆行列Τ -1(ω)との積を計算する。光角周波数ωはラジアン/秒で示し,ω=2πνによって光

background image

C 6122-11-1:2010 (IEC 61290-11-1:2008) 

周波数νと関連付ける。 

特定の波長間隔に対するDGDは,式(3)によって求める。 

ω

ρ

ρ

τ

Δ

Δ

2

1

=

Arg

 ········································································· (3) 

ここに, 

Δτ: DGD 

ρ1及びρ2: Τ (ω+Δω)Τ -1(ω)の複素固有値 

Arg: 偏角関数 

Arg(ηeiθ)=θ 

 θ:偏角 

データ分析のため,それぞれのDGD値は,対応する波長間隔の中点でのDGDに対応付ける。 

6.2 

DGD対波長の表示 

JME計算から得られるデータは,縦軸にDGD,横軸に波長をとって,図2のように示すことができる。 

注記 この測定におけるDOPは,57 %〜79 %の範囲である。 

図2−典型的な光増幅器のDGD測定例 

6.3 

平均DGD 

1回の測定から得られるPMD値は,波長間隔に対応して測定したDGD値の単純平均とする。サンプル

数を増すために異なった条件下で複数回の測定を行う場合は,アンサンブル平均を用いる。 

6.4 

最大DGD 

最大DGDは,波長帯域全体について測定したデータの最大値とする。 

測定結果 

それぞれの測定において,次の情報を記録する。 

a) 測定を行った波長範囲及び波長ステップサイズ(nm) 

b) 各波長におけるDGDの値(ps) 

c) 指定した波長範囲にわたって平均したDGD(ps) 

d) 指定した波長範囲で最大のDGD(ps) 

C 6122-11-1:2010 (IEC 61290-11-1:2008) 

e) 指定した波長範囲で最小のDOP 

f) 

波長可変レーザの形名及びそのスペクトル線幅を含む測定装置 

g) 例えば,OFAの場合であればポンプ光パワー,SOAの場合であれば電気的励起条件などの測定中にお

ける増幅器の動作条件 

h) 周囲温度(必要な場合) 

background image

C 6122-11-1:2010 (IEC 61290-11-1:2008) 

附属書A 

(参考) 

光増幅器のASEによる偏光度の減少 

偏光計で正確にストークスパラメータを測定するためには,被測定信号のDOPは25 %以上でなければ

ならない。DUTで発生したASEは偏光していないので,偏光度の高い波長可変レーザ光源のDOPを減少

させる。OSAで観測した典型的なOFA出力スペクトルを,図A.1に示す。 

注記 OSAの分解帯域幅は,0.5 nm。 

図A.1−OFA出力のスペクトル 

信号のDOPが十分に高く,ASEは偏光していないとき,DOPは式(A.1)によって求める。 

+

=

λ

λd

N

P

P

)

(

DOP

s

s

······························································· (A.1) 

ここに, 

Ps: 増幅された信号光パワー 

N(λ): ASEのパワースペクトル密度 

λ

λd

N)

(

: ASEの総パワー 

OFAに関しては,信号波長におけるNの値は,式(A.2)によって求める。 

ν

FGh

N=

 ············································································ (A.2) 

ここに, 

F: 光増幅器雑音係数 

G: 利得 

h: プランク定数 

ν: 光周波数 

十分に飽和したOAの典型的な値は,次のとおりである。 

F=4 

(6 dB) 

G=100 

(20 dB) 

Ps=10 mW 

(+10 dBm) 

hν=1.28×10-19では,Nは次のように計算する。 

N=4×100×1.28×10-19=5.12×10-17 W/Hz〜6.4×10-6 W/nm=−21.9 dBm/nm 

30 nmの帯域幅のとき,ASEの総パワーは0.19 mW=−7.2 dBmとなる。DOPは式(A.1)によって,10/(10

C 6122-11-1:2010 (IEC 61290-11-1:2008) 

+0.19)=98 %となる。この値は,DGD測定により適している。 

ただし,信号パワーが低下するとASEは増加する。低い飽和状態におけるOAの典型的な値は,次のと

おりである。 

F=4 

(6 dB) 

G=1 000 

(30 dB) 

Ps=1 mW 

(0 dBm) 

N=4×1 000×1.28×10-19=5.12×10-16 W/Hz〜6.4×10-5 W/nm=−11.9 dBm/nm 

30 nmの帯域幅のとき,ASEの総パワーは1.9 mW=+2.8 dBmとなる。DOPは式(A.1)によって,1/(1+

1.9)=34 %となる。この値は,DGD測定に使うことができる下限に近い。 

したがって,十分高いDOPを得るためにOAを適切な飽和状態にすることは,非常に重要である。 

参考文献 

JIS C 6121 光増幅器−通則 

注記 対応国際規格:IEC 61291-1,Optical amplifiers−Part 1: Generic specification(IDT) 

JIS C 6123-4 光増幅器−性能仕様テンプレート−第4部:マルチチャネル用光増幅器 

注記 対応国際規格:IEC 61291-4,Optical amplifiers−Part 4: Multichannel applications−Performance 

specification template(IDT) 

JIS C 6802 レーザ製品の安全基準 

注記 対応国際規格:IEC 60825-1,Safety of laser products−Part 1: Equipment classification and 

requirements(IDT) 

JIS C 6803 レーザ製品の安全−光ファイバ通信システムの安全 

注記 対応国際規格:IEC 60825-2,Safety of laser products−Part 2: Safety of optical fibre communication 

systems (OFCS)(IDT) 

IEC 60793-1-1,Optical fibres−Part 1-1: Measurement methods and test procedures−General and guidance 

IEC 60874-1,Connectors for optical fibres and cables−Part 1: Generic specification 

IEC/TR 61282-9,Fibre optic communication system design guides−Part 9: Guidance on polarization mode 

dispersion measurements and theory 

IEC/TR 61292-5,Optical amplifiers−Part 5: Polarization mode dispersion parameter−General information