サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

B 9920-2:2019  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 モニタリング計画の作成・実施・維持 ·················································································· 2 

4.1 原則 ···························································································································· 2 

4.2 リスク評価 ··················································································································· 3 

4.3 モニタリング計画 ·········································································································· 3 

4.4 校正 ···························································································································· 3 

4.5 見直し及び承認 ············································································································· 4 

4.6 モニタリング中の逸脱への対応 ························································································ 4 

5 粒子数濃度による空気清浄度の定期的試験 ············································································ 4 

附属書A(参考)モニタリング計画の作成時に考慮すべき事項······················································ 5 

附属書B(参考)警戒及び行動レベルの設定のための考慮事項 ······················································ 8 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 12 

B 9920-2:2019  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本空気清浄協会(JACA)及

び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出が

あり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

これによって,JIS B 9920:2002は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS B 9920の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS B 9920-1 第1部:浮遊粒子数濃度による空気清浄度の分類 

JIS B 9920-2 第2部:浮遊粒子数濃度による空気清浄度に関するクリーンルーム性能を根拠付けるた

めのモニタリング 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 9920-2:2019 

クリーンルーム及び関連する制御環境−第2部: 

浮遊粒子数濃度による空気清浄度に関する 

クリーンルーム性能を根拠付けるためのモニタリング 

Cleanrooms and associated controlled environments-Part 2: Monitoring to 

provide evidence of cleanroom performance related to air cleanliness by 

particle concentration 

序文 

この規格は,2015年に第2版として発行されたISO 14644-2を基に,対応する部分について対応国際規

格を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,クリーンルーム又はクリーンゾーンが,粒子数濃度による空気清浄度を維持し,十分に機

能を発揮していることを保証するためのモニタリングについて規定する。浮遊粒子数濃度の測定又はこれ

に影響するパラメータに基づく,クリーンルーム又はクリーンゾーンの性能に関するモニタリング計画の

最低限の要求事項を規定する。 

この規格は,振動又はエンジニアリングシステムの一般的な維持管理などの項目の状態監視については

取り扱わない。また,この規格は,規定した粒径(下限しきい値0.1 μm〜5 μm)の範囲外にある超微粒子

(粒径0.1 μm未満の粒子)のモニタリングについても規定していない。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 14644-2:2015,Cleanrooms and associated controlled environments−Part 2: Monitoring to provide 

evidence of cleanroom performance related to air cleanliness by particle concentration(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 9920-1 クリーンルーム及び関連する制御環境−第1部:浮遊粒子数濃度による空気清浄度の分

類 

注記 対応国際規格:ISO 14644-1:2015,Cleanrooms and associated controlled environments−Part 1: 

B 9920-2:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

Classification of air cleanliness by particle concentration 

JIS B 9921 光散乱式気中粒子計数器−校正方法及び検証方法 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 9920-1によるほか,次による。 

3.1 

試験(test) 

クリーンルーム又はクリーンゾーンについて,規定した方法に従って性能を判定するために実行する手

順。 

3.2 

モニタリング(monitoring) 

クリーンルームの性能の根拠を提供するため,規定した方法及び計画に従って行う計測による監視。 

注記1 モニタリングは,連続的,逐次的又は定期的に行う。定期的な場合は,頻度を規定すること

が望ましい。 

注記2 モニタリングから得た情報は,運転時における推移状態を検出し,プロセスを支援するため

に使用してもよい。 

3.3 

行動レベル(action level) 

使用者が設定するパラメータのレベルで,これを超えたとき速やかな対処が必要となる。対処には,原

因調査,是正措置などを含む。 

3.4 

警戒レベル(alert level) 

使用者が設定するパラメータのレベルで,正常条件からのずれに対して初期警報を与えるレベル。これ

を超えたとき,更に注意を喚起し,又は是正措置を行うことが望ましい。 

モニタリング計画の作成・実施・維持 

4.1 

原則 

クリーンルーム又はクリーンゾーンが,粒子数濃度による空気清浄度を維持し,十分に機能を発揮して

いることを保証するために,モニタリング計画を作成し,実施し,維持しなければならない。 

モニタリング計画は,クリーンルーム又はクリーンゾーンにおいて,必要とする空気清浄度,重要な監

視場所及び関連する機器性能への影響について考慮しなければならない。モニタリング計画の作成,実施

及び維持には,次の項目を含めなければならない。 

− 不都合な汚染事象のリスクを理解・評価・文書化するための適切なリスクアセスメントのツールの使

用。 

− 文書化したモニタリング計画の策定。 

− 計画の見直し及び承認。 

− モニタリングの実施による計画の実行。 

− モニタリングの実施によるデータの分析,必要に応じて傾向分析及び性能の報告。 

− 必要となる行動及び是正措置についての実施及び文書化。 

− モニタリング計画の定期的な見直し。 

B 9920-2:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

モニタリング計画の下で測定された浮遊粒子数濃度は,製造装置設置時に測定された清浄度より高い場

合がある。測定値は,在室者数,風量,換気効果,装置及び機械の運転,隣接する場所の活動状態などの

要素によって変動する可能性がある。 

4.2 

リスク評価 

リスク評価は,ハザードを特定し,次にハザードへの暴露に伴うリスクを分析し,評価する体系的なプ

ロセスである。 

リスク評価は,次の目的で実施しなければならない。 

− クリーンルーム又はクリーンゾーンの受渡当事者間で協定した空気清浄度を維持するために影響する

可能性のある要因の決定及びモニタリング計画の作成。 

− クリーンルーム性能の根拠を提供するためのモニタリングの要件の決定。 

リスク評価を実施する際に考慮すべき指針として,附属書Aを参照。 

4.3 

モニタリング計画 

4.3.1 

モニタリング計画は,リスク評価の結果を考慮しなければならない。 

モニタリング計画を作成する場合,4.3.2〜4.3.13に記載した項目を最小限含まれなければならない。 

4.3.2 

モニタリングする全ての項目についてのリスト及びその根拠。浮遊粒子数濃度に影響する可能性の

ある項目を含める。 

4.3.3 

測定方法の記載及び根拠。モニタリング計画を作成する場合に更に考慮すべき点については,附属

書Aを参照。 

4.3.4 

モニタリング機器の精度・保守・校正。 

4.3.5 

選定したモニタリング場所の特定及び根拠。モニタリング場所は,三次元で規定しなければならな

い。 

4.3.6 

モニタリングの許容基準又は限界についての特定及び根拠。単一警報レベル又は警戒及び行動レベ

ルの二重警報レベルの確立を含める。最低限の要求事項は,単一の警報行動レベルの確立である。また,

警戒レベルは,性能について設定された範囲からのモニタリング値の逸脱を早期警告するために確立する

場合がある。警戒及び行動レベルの設定に関する追加の指針については,附属書B参照。 

4.3.7 

データが規定された範囲外になったときに必要となる措置内容の決定。 

4.3.8 

JIS B 9920-1に規定する,クリーンルーム又はクリーンゾーンにおける粒子数濃度による空気清浄

度の定期的なクラス分類の必要性及び頻度。 

4.3.9 

データ記録の様式。 

4.3.10 解析手法には,データの推移又は他の適切な分析に使用される統計手法を含める。 

4.3.11 報告の必要事項。 

4.3.12 記録の保存について,方針及び使用する媒体。 

4.3.13 モニタリング計画の見直しの頻度。 

注記 モニタリング計画は,定期的に見直す。また,クリーンルーム又はクリーンゾーンについて得

られた知見に基づきモニタリングプログラムを改正する。 

4.4 

校正 

モニタリングに使用する計測機器は,必要とするモニタリングの実施に十分なもので,有効な校正証明

書をもち,校正頻度及び方法が現実に実施可能なものでなければならない。 

特に,光散乱式気中粒子計数器の校正頻度及び方法は,JIS B 9921の規定に基づくことが望ましい。 

注記 粒子計数器によっては,JIS B 9921が要求する全ての試験項目については校正できない場合が

B 9920-2:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ある。このような場合は,その計数器の使用を決定したことをモニタリング計画に記載する。 

4.5 

見直し及び承認 

完成した計画は,見直され,承認されなければならない。 

4.6 

モニタリング中の逸脱への対応 

モニタリングの結果が,規定した限界を超えた場合,原因を究明し,必要とする是正措置を決定するた

めに,調査を行わなければならない。 

是正措置として,施設又は運転に重大な変更が必要な場合,JIS B 9920-1に従った清浄度試験を行わな

ければならない。モニタリング計画も同様に施設及び/又は運転の変更の結果によって見直さなければな

らない。 

必要とする清浄度クラスが達成できたとき,モニタリングを再開してもよい。 

粒子数濃度による空気清浄度の定期的試験 

定期的な清浄度試験は,JIS B 9920-1に基づいて毎年行わなければならない。ただし,リスク評価,モ

ニタリングシステムの運用可能性,及びデータ(モニタリング計画で定義した許容限界又はレベルを継続

的に満足することを示すもの)に基づき,この試験間隔を延長することができる。 

注記 JIS B 9917-3は,差圧,気流などのクリーンルーム性能の他の項目に関係する補助的な試験を

規定している。 

B 9920-2:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

モニタリング計画の作成時に考慮すべき事項 

A.1 リスク評価の検討事項 

A.1.1 適切なリスク評価方法の選択 

ハザードの特定及びリスク評価には,多数の方法(個別又は幾つかの方法を組み合わせて)を使用する

ことができ,次のハザードの特定及びリスク評価方法が含まれるが,これに限定するものではない。 

− HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point) 

− FMEA / FMECA(Failure Mode and Effect Analysis / Failure Modes Effects and Criticality Analysis) 

− PHA(Process Hazard Analysis) 

− FTA(Fault Tree Analysis) 

− HAZOP(Hazard and Operability Study) 

A.1.2 要求性能及びモニタリング時に必要となる運転条件の規定 

要求性能及びモニタリング時に必要となる運転条件の規定は,次の事項が考えられる。 

− クリーンルーム又はクリーンゾーン内の重要位置又は空気清浄度を代表する位置において,モニタリ

ングによって汚染源及び生産活動に与える汚染源による影響の理解。 

− 差圧,空気流の均一性,空気流量,換気効果,温度,相対湿度など,清浄度レベルに影響を与える可

能性のある設備の性能。 

− 通常運転及び省エネルギー運転。 

− 製造装置設置時又は通常運転時。 

− シフト変更など,占有状態及び生産活動のレベル。 

A.2 一般的検討項目 

A.2.1 モニタリング計画を作成するとき,A.2.2〜A.2.21に記載する一般的検討項目を考慮することが望

ましい。 

A.2.2 手動及び/又は自動モニタリングの選択を含む測定手法。 

A.2.3 測定システムの分解能,精度及び校正に必要な事項。気中粒子計数器の場合,捕集システムの効率

及び限界を含む。 

A.2.4 モニタリングシステム構成機器の位置。保守及び校正のためのアクセスの条件を含む。 

A.2.5 機器又は吸入端の位置,形状及び向き。 

A.2.6 逸脱イベントを検出するための,測定又はサンプリングの頻度の特定。 

A.2.7 モニタリングシステム又は得られた結果に影響する可能性のある項目に対する検討。例えば,温度,

湿度,クリーニング手順及び洗浄剤,くん蒸剤,製品材料又はプロセスによるハザード,加熱面に起因す

る空気中の潜在的対流源など。ただし,これらに限定しない。 

A.2.8 サンプリングシステムがプロセス又はプロセス環境に与える可能性のある悪影響の検討(例えば,

気中粒子計数器による空気の吸引が小さな密閉環境に与える影響)。 

A.2.9 気流可視化研究の結果。例えば,“スモークテスト”,“コンピュータ空気流シミュレーション”な

ど。 

B 9920-2:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A.2.10 クリーンルーム又はクリーンゾーンにおける換気の効果の理解。これは,換気回数,回復又は清浄

化時間,その他の項目などに影響される可能性がある。 

A.2.11 清掃の範囲及び頻度又は保守手順及びそれらの空気清浄度レベルに対する影響。その影響は,作業

中及び完了直後のものを共に含む。 

A.2.12 モニタリング位置における,環境条件に影響する生産プロセスに関連した異常事象の考慮。こうし

た事象は,プロセスの一部又は保守工事の一つの要素としての機器の解体,クリーニング及び再組立を含

むが,これらだけに限らない。 

注記 通常運転の再開前に,これらの工事の完了時において,回復時間を評価する規定をモニタリン

グ計画に含めることは有用である。 

A.2.13 重要な運転の期間中の要員の代表的位置及び動作。 

A.2.14 クリーンルーム又はクリーンゾーン内で活動する要員数の予測,その業務の性質及び活動の持続期

間。 

A.2.15 機器に起因する空気流パターンの変化による影響評価。 

A.2.16 機器に起因する粒子発生源の可能性の評価。例えば,移動コンベヤシステム上の表面摩擦,ガラス

製アンプルのシーリング及び封入時の高周波(RF)溶接などから生じる粒子を含む。 

A.2.17 データロギング及びデータ管理。データの完全性の確保,保存及び検索を含む。 

注記 一部の業界では,データの保管及び完全性が厳密に規制されている。 

A.2.18 生データの評価,傾向評価及び報告書作成のための適切な手法の確立。 

A.2.19 合否基準の定義及び単一警報レベル,又は警戒及び行動レベルの二重警報方法の確立。 

A.2.20 モニタリングシステムのコミッショニング及び試験に対する要求事項。 

A.2.21 モニタリングシステムの保守に対する要求事項。 

A.3 差圧のモニタリング 

A.3.1 クリーンルーム又はクリーンゾーン内の差圧に関するモニタリングシステムを規定するために,

A.3.2〜A.3.5に記載する追加的側面を考慮することが望ましい。 

A.3.2 かく乱による差圧変動を最小限に抑え又は管理する方法。ドア開放又は局所排気システムの間欠的

操作に伴う変動を含む。一般的な対処方法として,警報に時間遅延を組み入れることがある。 

A.3.3 圧力測定に用いた基準圧力の選択(室間若しくは空間間の差圧の測定,又は共通の基準圧力との差

圧の測定)。 

A.3.4 警戒及び行動レベルの確立。建物に対する風の作用,ドア開閉及びその他の要因による通常の圧力

変動を考慮する。 

A.3.5 差圧は,定期的監視又は自動式計測によってモニタリングしてもよい。 

A.4 浮遊粒子のモニタリングシステム 

A.4.1 リアルタイム浮遊粒子計数システムを規定するときは,A.4.2〜A.4.6に記載する追加的側面を考慮

することが望ましい。 

A.4.2 システム構成には,次の属性を評価する。 

− 浮遊粒子捕集効率。 

− 選択した粒径をモニタリングするための適合性。 

− 保守,校正及び修理の容易さ。 

B 9920-2:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記1 これら考慮事項は,測定システムの選択に影響を与える。複数の局所センサー,又は長いサ

ンプル移送管をもつ多重マニホルド測定システムが利用される。 

注記2 多重マニホルド測定システムで必要な長いサンプル移送管の使用は,粒径5 μm以上のモニ

タリングには適していない。 

A.4.3 空気サンプル流量及び空気量。 

A.4.4 各空気サンプルの測定頻度及び測定時間(サンプル流量から決定)。 

A.4.5 サンプルプローブの形状及び空気流に対する方向(等速吸引又は非等速吸引)。 

注記 非一方向気流の場合は,サンプルプローブを高性能フィルタ(HEPA)の真下に置くのは適切で

はない。この位置が,クリーンルーム又はクリーンゾーンを代表する位置ではないかもしれず,

また,運転中の汚染事象の検出を妨げることがあるからである。 

A.4.6 サンプリングシステムがプロセス又はプロセス環境に与える潜在的悪影響(例えば,サンプル流量

が小容積環境に影響する可能性)。 

A.5 空気流速及び空気量のモニタリング 

A.5.1 空気流速又は空気量のモニタリングシステムを規定するときは,A.5.2〜A.5.3に記載する追加的側

面を考慮することが望ましい。 

A.5.2 空気流速又は空気量の測定方法の選択。 

A.5.3 測定値がモニタリング対象のシステムを代表するものとなるような測定装置の位置。 

注記 測定が代表的なものであり,ダクト内の空気流の乱れ,不均一流,その他の要因による悪影響

を受けていないことを実証するためには,測定位置の評価が必要になることがある。 

B 9920-2:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

警戒及び行動レベルの設定のための考慮事項 

B.1 

警戒レベル及び行動レベルを設定するための一般的基礎事項 

警戒及び行動レベルの警報を定める場合,対応を開始するための有効な根拠を得るために,慎重な配慮

が必要である。対応としては,警戒レベルではより詳細な調査又は監視頻度の増加を行い,行動レベルで

は是正行動を開始する際,次の点を考慮することが望ましい。 

− モニタリングの意図及び目的。 

− モニタリング対象のパラメータの重要性。 

− 単一警報レベル,又は警戒及び行動レベルの二重警報レベルの選択。 

− 警報の頻度が高いために,“警戒”又は“行動”に応答しなかったことから生じるリスク。このリスク

は,不適切な警報レベルを設定したことから生じ,その結果,要員が警報に基づいて行動しなかった

り,又は警報を切断したりすることがある。 

− モニタリング対象のパラメータにおける,通常の許容変動を管理する方法。例えば,遅延時間の合理

性及び変化率予測システムのアルゴリズムの根拠。 

− サンプリング又は測定の頻度。次のデータポイントの値を得るのに必要とする時間を考慮する。 

− 警戒レベルに応答する場合,対応する能力,対応の内容,及び是正行動へと移行するまでの時間。 

B.2 

差圧モニタリングにおける警戒レベル及び行動レベルの設定 

B.2.1 差圧に対する通常動作範囲の確立 

差圧に対する警戒及び行動レベルを設定する場合,例えば,ドア開放及び機器相互作用による変動を含

む,通常の動作範囲を確立する必要がある。この場合,通常の動作範囲からの逸脱は,数値の偏差又は数

値の偏差と時間とによって確定できる。 

通常レベルの初期状態の監視は,定期的及びクリーンルーム又はクリーンゾーンの保守又は改造後に繰

り返すことが望ましい。これは機器の性能の変化及び設備構成部品の経年劣化があるためである。 

圧力変動の詳細調査及び文書化のために,B.2.1.1及びB.2.1.2に示すアプローチを採用することが望ま

しい。 

B.2.1.1 気密ドア操作の影響 

エアロックは,要員又は材料がクリーンルーム間又はクリーンゾーン間を移動するときの差圧の維持を

支援するように設計する。エアロックは,向き合った一方の側のドアが必ず閉鎖されているように設計又

は操作する。ただし,ドアが膨張式のシールを備えている場合を除き,向き合った一方の側のドアが開い

たときにエアロックから漏れる空気量は,両側のドアが閉じられたときよりも大きいのが通常である。 

圧力警報のための警戒及び行動レベルを適切に設定するためには,これらの通常変動を試験し,文書化

することが必要であり,次の手順に従う。 

− 全てのドアとパスボックスのハッチとを閉じ,全ての機器の使用状態を決め,その上で定常状態の差

圧を観測する。この差圧は,選択した室間又はゾーン間のものであり,風圧,その他の動的影響によ

って発生する小さな通常の変動を記録する。 

− エアロック,パスボックスのハッチ,又はパスルームのそれぞれに対して,一組の向き合ったドアを

B 9920-2:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

一度に開放することを,全てのドアで実施し,室内圧力又はゾーン圧力の変動を記録する。ドアを閉

じて,差圧が最初の値に戻ることを確認する。 

− ドア周辺にあるような漏れの経路をクリーンルーム設計の一環として評価し,空気バランスによって

このような漏れに対する余裕が適切にとられていることを確認する。 

B.2.1.2 プロセス機器の影響 

一部のプロセス機器は,クリーンルーム又はクリーンゾーンに対して許容範囲内ではあるが,圧力変動

をもつ。機器の高圧側からの空気の損失によるこの圧力変動は,機器を異なった動作状態で運転したとき

生じる。その評価は次の手順に従う。 

− 全てのドアとパスボックスのハッチとを閉じ,機器を規定の使用状態にし,その上で定常状態の差圧

を観測する。この差圧は,選択した室間又はゾーン間のものであり,風圧及びその他の動的影響によ

って発生する小さな通常の変動を記録する。 

− 機器の異なったそれぞれの動作状態に対して,試験を繰り返す。各状態において,定常状態の差圧を

観測する。この差圧は,選択した室間又はゾーン間のものであり,風圧及びその他の動的影響によっ

て発生する小さな通常の変動を記録する。 

B.2.2 警戒及び行動レベルの設定 

B.2.2.1 通常の動作範囲の観察及び記録の後,圧力測定装置の警報圧力の設定値は,正圧システムの場合

は最低観察圧力よりも数パスカル低く,また,負圧システムの場合は最高観察圧力よりも数パスカル高く

設定することを推奨する(指針値として2 Pa〜3 Pa)。 

B.2.2.2 要員の出入りのためのドア開放のようなクリーンルーム内での通常活動を考慮して,警戒又は行

動警報の遅延が必要なことがある。適切な時間遅延を決定するために,代表的な又は予想される通常の逸

脱時間を慎重に観察する必要がある。通常の逸脱時間を超える場合は,警報を作動させることが望ましい。 

B.2.2.3 過大な圧力変動又は漏れを差圧を大きくすることで管理することは,推奨しない。これは,空気

漏れが増大した場合,それに伴って空調システム又は換気システムの性能効率が悪化する場合があるため

である。 

B.2.2.4 規制のある業界では,問題の根本原因が特定され,是正されることが期待されている。作業管理

値の変更によって調整を図ることは望ましくない。根本原因を特定できないことによって,不利な規制措

置を招くことがある。 

B.2.3 差圧測定装置 

B.2.3.1 圧力スイッチを使用する場合,圧カスイッチの動作が再現可能であり,また,作動ヒステリシス

が警戒レベル又は行動レベルの設定に対応し,調整されていることを確認する。 

B.2.3.2 校正を簡易化し,かつ,計器を設備機器から取り外す必要性を避けるため,特に差圧測定装置が

アクセスの困難な区域内に設置されている場合は,差圧測定装置に試験ポートを装備し,ゼロ及びスパン

の決定ができるように計器を圧力源から切り離す方法をもつことが望ましい。 

B.3 

浮遊粒子計数における警戒及び行動レベルの設定 

B.3.1 一般手引 

B.3.1.1 操業時のクリーンルーム又はクリーンゾーンにおける粒子数濃度計数モニタリングの目的は,重

要管理点で必要な清浄度レベルが達成されているという証拠を得ることである。リスクアセスメント及び

JIS B 9920-1によるクリーンルーム又はクリーンゾーンのクラス分類におけるデータ評価を利用して,モ

ニタリング位置(重要管理点)を決定することが望ましい。性能変化及び定義した管理基準からの偏差の

10 

B 9920-2:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

値に対して管理できるように,警戒及び行動レベルの値は有効な情報を提供する。 

注記 統計的プロセスの管理原則は,履歴データの分析に基づく警戒及び行動レベルの設定に使用す

ることができる。 

B.3.1.2 粒子計数値が警戒レベル又は行動レベルに到達したときに報知又は表示する適切な方法を定め

ることが重要である。 

B.3.1.3 警戒及び行動レベルを設定する場合,浮遊粒子数濃度が時間とともに,また,異なった場所で非

常に変動することに注意することが重要である。特に,粒子数濃度が低い,クラス5以上の清浄度クラス

に対しては,警戒及び行動レベルを検討するときに特別な注意を払わなければならない。こうした状況で

は,誤計数及び粒子数濃度の自然変化による誤報の発生がより多くなりやすく,これらを回避するため,

警戒及び行動レベルを慎重に選択することが望ましい。誤報が頻発すると,使用者が警報を無視する行動

を取ることがあるので,頻繁な誤報発生は避けることが望ましい。 

B.3.1.4 物理的なサンプリング位置及び吸入端の向きは,粒子数濃度測定値に大きな影響を与えることが

ある。このことは,一つのサンプル期間からの値を次の期間の値と比較する必要があるとき,特に問題と

なる。傾向分析,並びに警戒及び行動レベルヘの影響を考慮することなく,サンプル位置及び吸入端の向

きを大きく変えないことが重要である。 

B.3.2 通常運転時における粒子計数値範囲の確立 

B.3.2.1 製造装置設置時及び通常運転時の占有状態において,相当な期間にわたって,設定した重要管理

点での粒子数濃度を測定及び記録する。決定したサンプリング時間及び対象粒径を使用する。このデータ

群から,クリーンルーム又はクリーンゾーンの通常性能を予測することができ,また,警戒及び行動レベ

ルの確定の基礎となる。これらの通常値は,清浄度クラス上限値又は行動レベルより低い値となる。 

B.3.2.2 設備又は生産方法に大きな変更が生じた場合,一定期間の経過観察が必要なことがある。 

B.3.2.3 粒子計数データは,理解すべき独自の特性をもっている。次の項目が重要である。 

a) 空間内の粒子数濃度の基底値は,生産状態,クリーンルーム又はクリーンゾーンの容積及び換気機構,

並びに換気効率に大きく左右される。 

b) 通常値を継続して下回っている粒子計数の値を確認することを推奨する。このことが,粒子計数器,

空気サンプル捕集システム又はデータ収集装置の不具合を示す場合があるからである。 

c) 非一方向気流システムにおいて,製造装置設置時における粒子数濃度の範囲は,通常運転時のものよ

りも顕著に低いことが通常である。 

d) 警報レベルは,同一ルーム内又はゾーン内において,測定点が異なれば違う値となる場合がある。 

e) 室内の通常の活動によって,粒子計数値は瞬間的に増大する場合があるが,これは許容できる場合も

ある。 

B.3.2.4 信頼性の高い粒子モニタリングデータを確実に得るために,また,それ以降の空気サンプルから

のデータの比較を支援するために,サンプリング位置と吸入端との向きを一定とすることが重要である。

サンプリング位置と吸入端との向きは,あるサンプル期間の値と別の期間の値とを比較する必要がある場

合,データの信頼性に大きな影響を与える。サンプリング位置又は吸入端の向きの変更は,傾向分析,警

報及び行動レベルに悪影響を与える。新しいサンプリング位置を決める必要がある場合は,吸入端の大幅

な位置変更を考慮し,適切な警報及び行動レベルを決定するための一連の測定を新たに始める必要がある。 

B.3.3 粒子計数における警戒及び行動レベルの警報設定 

B.3.3.1 B.3.3.2〜B.3.3.8に記載する原則は,警報レベル,警戒及び行動レベルの警報しきい値を設定する

ときに重要となる。 

11 

B 9920-2:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.3.3.2 単一の警報レベル又は警戒及び行動レベルの二重警報レベルのいずれかを選択する。一部の産業

又は用途では,警戒及び行動レベルの二重警報レベルを品質管理措置及び応答ツールとして採用している。 

B.3.3.3 警報,警戒,又は行動レベルを,通常測定濃度範囲と清浄度クラス上限値との間に設定する。 

B.3.3.4 警戒の警報レベルは,適正に設定することが重要である。設定値によっては,頻繁な誤報の発生

によって,要員が警報を無視する行動をとる場合がある。 

B.3.3.5 新しいサンプリング位置を決める必要がある場合は,吸入端の大幅な位置変更を考慮し,適切な

単一の警報レベル又は警戒及び行動レベルの二重警報レベルを決定するための一連の測定を新たに始める

必要がある。 

B.3.3.6 特定の位置のデータ群の傾向分析が重要な場合,各サンプルを採取したときの生産活動が同様に

なるように注意する。低い生産活動又は生産活動がない期間に採取したデータは,生産活動がより活発な

期間,及び室内又はゾーン内により多数の要員がいる場合に採取したデータと比較して,通常異なる基底

値及び値の範囲をもつ。 

B.3.3.7 サンプル捕集時間は,許容できるリスクと関連付けて考慮する必要がある。サンプル捕集時間を

長く設定すると,平均化されたデータとなり,潜在的な誤報は避けられるが,短時間の異常な汚染発生に

よる高い浮遊粒子数濃度レベルを見過ごすことがある。 

B.3.3.8 モニタリングシステムの性能,収集したデータ,設定した水準及び傾向を定期的に見直すことが

望ましい。警戒及び行動の警報レベルの改正(緩和又は強化)は,実績データに基づいて検討することが

望ましい。 

B.3.4 粒子計数の警報レベルに対する可能な代替手法 

B.3.4.1 粒子計数の警報レベルの設定に対する可能な代替手法として,B.3.4.2及びB.3.4.3に示す二つの

手法がある。 

B.3.4.2 代替手法1:濃度しきい値を連続して超えた回数によって警報の開始しきい値とする手法。高濃

度値がある期間継続した場合に警報を発生する(例えば,1分の測定値が3回連続して超えた場合)。 

B.3.4.3 代替手法2:一定時間の測定データのうち,高濃度出現頻度を警報の開始しきい値とする手法。

測定回数(y)のうち高濃度出現回数(x)と表すことがある。この手法は,規定の濃度しきい値を超える

測定値を記録し,十分な数の一連の測定値が規定値を超えた場合,警戒又は行動警報を発生する(例えば,

最新の10の測定値のうちの三つ以上が濃度しきい値を超えている場合)。 

B.3.4.4 2種類の粒径を同時にモニタリングし,また,サンプルを1分間隔で採取する場合,単一警報レ

ベル又は,警戒及び行動の二重警報レベルの設定は,より複雑になる。 

参考文献 [1]  ISO 14644-4:2001,Cleanrooms and associated controlled environments−Part 4: Design, 

construction and start-up 

[2] JIS B 9917-3 クリーンルーム及び付属清浄環境−第3部:試験方法 

[3] JIS Q 31000 リスクマネジメント−指針 

[4] JIS Z 8122 コンタミネーションコントロール用語 

background image

12 

B 9920-2:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS B 9920-2:2019 クリーンルーム及び関連する制御環境−第2部:浮遊粒子数
濃度による空気清浄度に関するクリーンルーム性能を根拠付けるためのモニタ
リング 

ISO 14644-2:2015,Cleanrooms and associated controlled environments−Part 2: 
Monitoring to provide evidence of cleanroom performance related to air cleanliness by 
particle concentration 

(I)JISの規定 

(II)国際 
規格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲 クリーンルーム又

はクリーンゾーン
のモニタリングの
範囲 

− 

追加 

規格の目的をより明確化にした。 
技術的差異はない。 

次回の対応国際規格の改訂時に提
案の予定。 

附属書B 
 警戒及び
行動レベル
の設定のた
めの考慮事
項 
B.3.4 

B.3.4.1 
粒子計数の警報レ
ベルの設定に対す
る代替手法 

Annex B 

JISに同じ。 

変更 

代替手段の説明が不十分。 
技術的差異はない。 

対応国際規格の内容が不十分なた
め,修正した。次回の改訂時に提
案の予定。 

B.3.4.4 
2種類の粒径の同時
モニタリング 

− 

追加 

内容が不明瞭なため,別項目で記
載。 
技術的差異はない。 

対応国際規格の内容が不十分なた
め,修正した。次回の改訂時に提
案の予定。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 14644-2:2015,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

2

B

 9

9

2

0

-2

2

0

1

9

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。