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B 8831:2004  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本クレーン協会(JCA)/財団法人

日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準

調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 8686-1:1989,Cranes - Design 

principles for loads and load combinations Part 1 : General,ISO 8686-3:1998,Cranes - Design principles for loads 

and load combinations Part 3 : Tower cranes及びISO 8686-5:1992,Cranes - Design principles for loads and load 

combinations Part 5 : Overhead travelling and portal bridge cranesを基礎として用いた。 

JIS B 8831には,次に示す附属書がある。 

附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表 

B 8831:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 定義 ······························································································································ 1 

4. 荷重の種類 ····················································································································· 2 

5. 荷重の組合せ ·················································································································· 4 

附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ····································································· 8 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格         JIS 

B 8831:2004 

クレーン−荷重及び荷重の組合せに関する設計原則 

Cranes-Design Principles for Loads and Load Combinations 

序文 この規格は,1989年に第1版として発行されたISO 8686-1:1989,Cranes - Design principles for loads 

and load combinations Part 1 : General,1998年に第1版として発行されたISO 8686-3:1998,Cranes - Design 

principles for loads and load combinations Part 3 : Tower cranes及び1992年に第1版として発行されたISO 

8686-5:1992,Cranes - Design principles for loads and load combinations Part 5 : Overhead travelling and portal 

bridge cranesを翻訳し,技術的内容を変更し,一部労働安全衛生法に基づくクレーン構造規格及び移動式

クレーン構造規格(以下,「構造規格」という。)による規定を付け加えて作成した日本工業規格である。 

なお,この規格は,JIS B 8821:1994の改定に伴い,荷重及び荷重の組合せに関する項目を単独規格とし

たものである。また,側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表をその説明を付けて,附属書(参考)に示す。 

1. 適用範囲 この規格は,JIS B 0146-1に規定するクレーン(移動式クレーンを含む)の鋼構造部分の

設計に適用する。ただし,正当な理論又は実験によって証明できれば,この規格に規定する数式及び数値

によらなくてもよい。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21に基づき,IDT(一致している),MOD(修

正している),NEQ(同等でない)とする。 

ISO 8686-1:1989,Cranes - Design principles for loads and load combinations Part 1 : General (MOD) 

ISO 8686-3:1998,Cranes - Design principles for loads and load combinations Part 3 : Tower cranes 

(MOD) 

ISO 8686-5:1992,Cranes - Design principles for loads and load combinations Part 5 : Overhead 

travelling and portal bridge cranes (MOD) 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 0146-1 クレーン用語―第1部:一般 

JIS B 0146-2 クレーン用語―第2部:移動式クレーン 

JIS B 8830 クレーン―風荷重の評価 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS B 0146-1及びJIS B 0146-2による。 

B 8831:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4. 荷重の種類  

4.1 

記号 この項で使用する記号は,次による。 

a : 有効ホイルベース (m) 

Fc : 遠心力(N) 

Fi : 慣性力(N) 

g : 重力加速度(m/s2) 

L : スパン(m) 

Q : 定格荷重及び水平に運動する部分の質量(kg) 

Rs : 旋回半径 (m) 

Rw : 車輪荷重(N) 

Fs : 車輪側方力(N) 

Vc : 周 速 度(m/s) 

Vm : 各動作速度(m/s) 

Wh : つり上げ荷重(kg) 
Wv : つり上げ荷重及び運動する部分の質量(kg) 

β : 慣性力を求める係数 
δ : 水平動荷重を求める係数 
λ : 車輪側方力係数 

4.2 

定常荷重 クレーンが,通常の作業を行なっているとき発生する荷重で,つり荷及び機体の質量,

加減速によって生じる水平力及びレール上を走行するクレーンの斜行によって生じる車輪側方力をいう。 

4.2.1 

垂直動荷重 定格荷重にフックブロック,グラブバケット,つりビーム,リフチングマグネットな

どの質量及び巻上げ用ワイヤロープの質量(揚程が50m以上の場合に限る。)を加えたつり上げ荷重が,

垂直にクレーンに作用することによって生じる力をいう。 

4.2.2 

垂直静荷重 機体を構成する部分のうち,垂直動荷重に含まれない部分の質量によって生じる力を

いう。移動するトロリの質量,ホッパー内及びクレーン上にあるばらものの質量も垂直静荷重とみなす。 

4.2.3 水平動荷重 各種動作によって生じる慣性力又は遠心力,車輪側方力などによって生じる力などで,

次のものを考慮する。 

1) クレーン(移動式クレーンを除く)  

a) 慣性力 横行,走行,引込及び旋回運動などの加減速に伴って生じる力で,次式による。 

ただし,横行,走行で車輪駆動の場合は,動輪荷重の15%を最大とする。また旋回運動の場合は,

荷重はジブ先端にあるものとする。 

β

=

g

W

F

v

i

                     (4.1) 

ここに, 

Fi: 慣性力(N) 

Wv: つり上げ荷重及び運動する部分の質量(kg) 

g: 重力加速度(m/s2) 

Vm: 各動作速度(m/s) 

β: 慣性力を求める係数(図4.1参照) 

m

V

062

.0

=

β

  横行及び走行 

m

V

077

.0

=

β

  引込 

m

V

046

.0

=

β

  旋回 

background image

B 8831:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図 4.1 慣性力を求める係数 

 
b) 遠心力 旋回運動に伴って旋回方向に外方へ働く力で,次式による。 

s

c

h

c

R

V

W

F

2

=

                      (4.2) 

ここに, 

Fc: 遠心力(N) 

Wh: つり上げ荷重(kg) 

Rs: 旋回半径 (m) 

Vc: 周速度(m/s) 

c) 車輪側方力 車輪の進行方向と直角方向に,スパンと有効ホイルベースとの比により生じる水平力

で,次式による。 

w

s

R

F

λ

=

                       (4.3) 

ここに, 

FS: 車輪側方力(N) 

Rw: 車輪荷重(N) 

L: ス パ ン(m) 

a: 有効ホイルベース(m) 

λ: 車輪側方力係数=(1+L/a) / 60 (図4.2参照) 

ただし,L/a<2の場合は,λ=0.05 

L/a>8の場合は,λ=0.15 とする。 

有効ホイルベースのとり方は図4.3による。ただし,水平のガイドローラーを設ける場合は,外側の二

つのガイドローラーの中心距離をホイルベースとする。 

λ

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0

2

4

6

8

L/a

図 4.2 車輪側方力係数                 図 4.3 有効ホイルベースの取り方 

0.00

0.05

0.10

0.15

0

1.0

2.0

3.0

4.0m/s

β

引 込
横・走行
旋 回

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) 移動式クレーン  

a) 慣性力 ジブの旋回,起伏及び走行に伴う慣性力によって生じる力で,次式による。 

ただし運動する部分の質量及び定格荷重によって生じる水平動荷重が,同一の水平方向に同時に

作用するものとして求める。 

δ

=

g

Q

Fi

                            (4.4) 

ここに, 

Fi: 水平動荷重(N) 

Q: 定格荷重及び運動する部分の質量(kg) 

g: 重力加速度(m/s2) 

δ: 水平動荷重を求める係数=0.05 

4.3 

非定常荷重 作業中に受ける熱荷重及び風荷重のほか,積雪又は着氷による荷重,特殊な作業によ

る荷重,駆動装置の故障によって生じる荷重,非常停止などによって生じる荷重を実情に応じて考慮する。 

4.3.1 

熱荷重 温度変化によって部材の熱膨張が妨げられるような特別な場合に考慮する。標準的な作業

条件における気温は−25℃〜+45℃とする。ただし,熱荷重は移動式クレーンに対しては考慮しない。 

4.3.2 

作動時風荷重 作動時における風荷重の値はJIS B 8830 による。 

4.4 

特殊荷重 クレーン(移動式クレーンを除く)が停止時に受ける地震によって生じる水平力及び停

止時に受ける風荷重,緩衝器への衝突荷重などをいう。 

4.4.1 

地震荷重 走行式クレーン,固定式クレーンにかかわらず自重の20%の水平荷重を考慮する。ただ

し,ロープによりつられたつり荷による水平力は考慮しない。 

なお,地震に対して動的特性を考慮した構造解析を行なったものについてはこの限りではない。 

4.4.2 

緩衝器への衝突荷重 つり荷のないクレーンが,定格速度の70%で緩衝器に衝突した場合の荷重

とする。ただし緩衝器の手前で自動的に減速する装置がある場合は,減速によって得られた速度で衝突す

るものとして衝突荷重を求めてよい。 

なお,つり荷がトロリから剛体で案内される構造のクレーンでは,つり荷の影響も考慮する。さらに,

つり荷又は案内部分が地上の障害物と衝突するおそれのある場合は,トロリの片側車輪が持ち上がるまで

の水平力を考慮する。 

4.4.3 

停止時風荷重 クレーンに適用する停止時における風荷重の値は,JIS B 8830 による。 

4.5 

その他の荷重 歩道等にかかる荷重又は組立,解体,搬送時などに発生する荷重をいう。 

4.5.1 

歩道等への荷重 歩道及びはしごは,1個3,000 Nの移動する集中荷重が,また手すりには1個300N

の水平にかかる移動集中荷重が作用することとする。 

4.5.2 

組立,解体,搬送時の荷重 組立,解体又は搬送時に特別な荷重がかかると想定される場合は,こ

れらの荷重を考慮する。 

5. 荷重の組合せ  

5.1 

記号 この項で使用する記号は,次による。 

Vh :巻上定格速度(m/s) 

K :作業係数(移動式クレーンを除く) 

Ψ :衝撃係数(移動式クレーンを除く) 

γ :動荷重係数(移動式クレーンに適用) 

φ :静荷重係数(移動式クレーンに適用) 

background image

B 8831:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.2 

荷重の割り増し クレーン(移動式クレーンを除く)に対しては,その種類及び作業条件に応じて作業

係数K 及び衝撃係数Ψを,移動式クレーンに対しては,動荷重係数γ及び静荷重係数φを乗じて荷重の割

り増しを行う。 

5.2.1 

作業係数K 負荷される荷重条件及び荷重を受ける回数に応じて,定常荷重に対して表 5.1に示す

作業係数により荷重の割り増しを行う。 

各種クレーンに対する適用例を表 5.2に示す。 

表 5.1 作業係数 K 

負荷による区分 

荷重を受ける回数 

6.3×104回
未満 

6.3×104回 
以上 
1.2×105回 
未満 

1.2×105回 
以上 
2.5×105回 
未満 

2.5×105回 
以上 
5.0×105回 
未満 

5.0×105回 
以上 
1.0×106回 
未満 

1.0×106回 
以上 
2.0×106回 
未満 

2.0×106回 
以上 

常態として定格荷重の
50%未満の荷重の荷を
つるクレーン 

1.00 

1.02 

1.05 

1.08 

1.11 

1.14 

1.17 

常態として定格荷重の
50%以上63%未満の荷
重の荷をつるクレーン 

1.02 

1.05 

1.08 

1.11 

1.14 

1.17 

1.20 

常態として定格荷重の
63%以上80%未満の荷
重の荷をつるクレーン 

1.05 

1.08 

1.11 

1.14 

1.17 

1.20 

1.20 

常態として定格荷重の
80%以上の荷重の荷を
つるクレーン 

1.08 

1.11 

1.14 

1.17 

1.20 

1.20 

1.20 

表 5.2 各種クレーンへの適用例 

No. 適用されるクレーン 

作業係数K No. 

適用されるクレーン 

作業係数K 

発電所用,分解点検用クレーン 

1.00〜1.02 

11 

アンローダ用橋形クレーン(GB付,LM付) 1.14〜1.20 

機械及び組立工場用クレーン 

1.02〜1.08 

12 

ぎそうクレーン 
造船所用ジブクレーン 

1.05〜1.11 

一般工場用クレーン 

1.05〜1.11 

天井クレーン(GB付,LM付) 

1.14〜1.20 

13 

ふ頭用ジブクレーン(H付) 

1.11〜1.14 

レードルクレーン 

1.14〜1.20 

14 

ふ頭用ジブクレーン(GB付,LM付) 

1.14〜1.20 

ストリッパクレーン 

1.20 

15 

大荷重ジブクレーン 

1.02〜1.05 

ソーキングピットクレーン 

16 

建築用クレーン 

1.05〜1.08 

装入クレーン 

1.20 

17 

浮きクレーン(フック付) 

1.11〜1.14 

鍛造クレーン 

1.14〜1.20 

18 

浮きクレーン(GB付,LM付) 

1.14〜1.20 

一般用橋形クレーン(H付) 

1.08 

19 

大荷重浮きクレーン 

1.02〜1.05 

10 

アンローダ用橋形クレーン(H付)  1.11〜1.14 

20 

鉄道クレーン 

1.08 

コンテナ用橋形クレーン(H付)  

備考 H:フック GB:グラブバケット LM:リフチングマグネット 

5.2.2 

衝撃係数Ψ 巻上げ作業に際して生じる衝撃は,起動の方法,加減速度,けた又はジブのたわみ,

ロープの長さなどによって異なり,衝撃係数は実測によって求めることができるが,一般には,衝撃係数

を垂直動荷重に乗じて荷重の割り増しを行う。 

垂直動荷重によって生じる応力が,自重によるものと符号が異なる部材については,垂直動荷重を地上

に下ろすときの衝撃を考慮して,垂直動荷重に(1−Ψ)/2を乗じた荷重を考慮する。 

衝撃係数は次式によって計算した値とする。 

background image

B 8831:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ジブクレーンの場合 

Ψ=1+0.3 Vh ただし,1+0.3 Vh<1.10の場合は,Ψ=1.10 

           1+0.3 Vh>1.30の場合は,Ψ=1.30 

その他のクレーンの場合 

Ψ=1+0.6 Vh ただし,1+0.6 Vh<1.10の場合は,Ψ=1.10 

           1+0.6 Vh>1.60の場合は,Ψ=1.60 とする。 

ここに, 

Ψ: 衝撃係数 

Vh: 巻上定格速度(m/s) 

5.2.3 

動荷重係数γ 動荷重係数は,移動式クレーンに適用する。垂直動荷重に動荷重係数を乗じて荷重

の割増しを行う。その値γは,移動式クレーンの形式,作業状況に関係なくγ=1.25とする。 

5.2.4 

静荷重係数φ 静荷重係数は,移動式クレーンに適用する。垂直静荷重に静荷重係数を乗じて荷重

の割増しを行う。その値φは,移動式クレーンの形式,作業状況に関係なくφ=1.1とする。 

5.3 

荷重の組合せ  

5.3.1 基本的な荷重の組合せ クレーン(移動式クレーンを除く)に対する構造部分の応力算定は,表 5.3,

移動式クレーンに対する構造部分の応力算定は表 5.4に示す荷重の組合せによる。 

組合せAは定常荷重と非定常荷重の一部(熱による荷重)の組合せを,組合せBは定常荷重と非定常荷

重の組合せを,組合せCは定常荷重,非定常荷重及び特殊荷重の組合せを対象とする。 

荷重の組合せは,構造部分の強度に関して最も不利となる組合せとする。すなわち,定格荷重とつり具

の質量,組合せ荷重と作用方向等の関係について,最も厳しい条件をとる。 

5.3.2 

組立,解体,輸送中の荷重の組合せ 組立及び解体工程における荷重の組合せのほか,場合によっ

ては輸送中に生じる荷重を考慮する。 

表 5.3 荷重の組合せ・強度係数(移動式クレーンを除くクレーン) 

荷重の種類 

組合せA 

組合せB 

組合せC 

C1 

C2 

C3 

C4 




重 

垂直動荷重 

つり上げ荷重に対して 

K・Ψ 

K・Ψ 

− 

− 

垂直静荷重 

クレーンの質量に対して 

水平動荷重 

慣性力 

つり上げ荷
重とクレー
ンの質量に
対して 

− 

− 

− 

− 

遠心力 

車輪側方力 





重 

熱による荷重 

作動時風荷重 

− 

− 

− 

− 

− 

雪・氷による荷重 

− 

− 

− 

− 

− 




重 

地震荷重 

クレーンの
質量に対し
て 

− 

− 

− 

− 

緩衝器への衝突荷重 

− 

− 

− 

− 

− 

停止時風荷重 

− 

− 

− 

− 

− 

強度係数 

降伏点に対して* 

1.5 

組合せAの値を

1.15で除した値 

組合せAの値を 

1.3で除した値 

引張強さに対して* 

1.8 

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B 8831:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

備考1. 強度係数は,基本許容応力を求める係数とする。(JIS B 8821を参照。)*:いずれか小さい値を組合せ

Aの許容応力とする。 

2. すべての荷重は検討しようとする部材に対して,最も不利な位置及び大きさをとる。例えばΨ をかけ

ない方が大きくなる場合にはΨ=1とする。 

3. 水平動荷重は,慣性力,遠心力及び車輪側方力で,同時に起こることが予想される最も条件の悪い組合

せを考慮する。ただし,巻上動作と重ならないことが明らかな場合にはΨ=1としてよい。 

4. 停止時には,トロリは無負荷で所定の位置に置く。これが決められないときには最も不利な位置にある

こととする。 

5. 旋回クレーンの場合,停止時にはジブを無負荷で所定の位置に置く。指定のない場合は最も不利な位置

にあることとする。また,ジブが風で振り回されないことが明らかなときは,最も不利な方向から風を
受けることとする。 

表 5.4 荷重の組合せ・強度係数(移動式クレーン) 

荷重の種類 

組合せA 

組合せB 




重 

垂直動荷重 

定格総荷重に対して 

γ=1.25 

γ=1.25 

垂直動荷重 

移動式クレーンの質量に対して 

φ=1.1 

φ=1.1 

水平動荷重 

定格荷重と移動式クレーンの水平移動部分
に対して 

− 



作動時風荷重 

− 

強度係数 

降伏点に対して** 

1.5 

組合せAの値を

1.15で除した値 

引張強さに対して** 

1.8 

備考 強度係数は,基本許容応力を求める係数とする。(JIS B 8821を参照。)**:いずれか小さい値を組

合せAの許容応力とする。 

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B 8831:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表 

JIS B 8831: クレーン−荷重及び荷重の組合せに関する設計原則 

ISO 8686-1:1989,クレーン荷重及び荷重の組合せに関する設計原則 
            第1部:一般 
ISO 8686-3:1998,クレーン荷重及び荷重の組合せに関する設計原則 
      第3部:タワークレーン 
ISO 8686-5:1992,クレーン荷重及び荷重の組合せに関する設計原則 
      第5部:天井走行及び橋形クレーン 

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ) 国際
規格番号 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異
の項目ごとの評価及びその内容 
 表示箇所:本文の左側 
 表示方法:傍線 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策 

項目 
番号 

内容 

項目 
番号 

内容 

項目ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1.適用範
囲 

クレーン及び移動式クレ
ーンに適用する 

ISO 8686-1 
ISO 8686-3 
ISO 8686-5 

1. 

JISに同じ 

IDT 

− 

− 

2.引用規
格 

JIS B 0146-1 
JIS B 0146-2 
JIS B 8830 

2. 

ISO 4302 
ISO 4306 
ISO 4310 

− 

3.定義 

この規格で使用する用語
の定義を述べている。 

同上 

3. 

JISに同じ 

IDT 

− 

− 

4.荷重の
種類 

荷重の内容を説明してい
る。 

同上 

6. 

詳細対比表参照 

MOD/変更 − 

構造規格の規定を一部追加した。 
(詳細対比表参照) 

5.荷重の
組合せ 
 
 
 
 
 
 

荷重の組合せ方法を決め
ている。 

7. 

詳細対比表参照 

MOD/変更 − 

構造規格の規定を一部追加した。 
(詳細対比表参照) 

2

B

 8

8

3

1

2

0

0

4

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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B 8831:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JISと対応する国際規格との詳細対比表 

JIS B 8831:クレーン−荷重及び荷重の組合せに関する設計原則 

ISO 8686-1:1989  クレーン−荷重及び荷重の組合せに関する設計原則

        第1部:一般 

技術的差異 

4.荷重
の種類 
 

クレーンに作用する荷重は,定常荷重,非定常荷重,
特殊荷重及びその他の荷重に分けられる。 
 
a)定常荷重 
b)非定常荷重  
c)特殊荷重 
4.4.1 地震荷重  
走行式クレーン,固定式クレーンにかかわらず自重の
20%の水平荷重。ただし,ロープによりつられたつり
荷による水平力は考慮しない。 
d) その他荷重 

クレーンに作用する荷重は,定常荷重,非定常荷重,特殊荷
重及びその他の荷重に分けられる。 
 
a)定常荷重 
b)非定常荷重 
c)特殊荷重 
6.3.7 クレーンの基礎からの外部振動  
クレーンの基礎からの外部振動の例には,地震や波浪によっ
て生じる振動がある。このような振動による荷重は,その振
動が重大なリスクを伴う場合に限り考慮する。 
d) その他荷重 

ISO 8686-1:1989の規定と異なる事項
は下記のとおりである。 
 
 
 
 
1) 地震荷重を荷重の種類に明記し,
構造規格に整合させた。ISO 8686-1は
基礎からの外部振動などを原因とす
る荷重としリスクを伴う場合に限り
考慮するとしている。 
 
 

5.2 荷重の割り増し  
クレーン(移動式クレーンを除く)に対しては,その種
類及び作業条件に応じて作業係数及び衝撃係数を乗
じて荷重の割り増しを行う。 
5.2.1 作業係数 クレーンの負荷状況及び予測寿命
によって1.0から1.2の作業係数を設定し,すべての
定常荷重の割増しを行う。 
 
5.2.2 衝撃係数 クレーンの種類別に巻上速度の関
数として1.1から1.6の係数を規定している。この衝
撃係数は垂直動荷重についてのみ考慮する。 
 
設計原則 
許容応力設計法による。 

荷重の割り増し 
作業係数 ISOには,作業係数に相当する係数の規定はない。 
 
衝撃係数 
ISOでは,荷重地切り時の機体振動,地切り衝撃,荷重の落
下,走行面の不整,加速,動的荷重試験及び緩衝器との衝突
に対して,発生の原因別にφ1からφ7の衝撃係数を規定し,
荷重の割増しを行う。 
 
 
 
 
設計原則 
許容応力設計法又は限界状態設計法を設計原則としている。 

 
2) ISOには,作業係数に相当する係
数の規定はない。 
 
 
 
 
 
 
 
3) ISOは,許容応力設計法又は限界
状態設計法を設計原則としているが,
この規格では,構造規格に整合させる
ため,許容応力設計法のみとした。 
 
 

9

B

 8

8

3

1

2

0

0

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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B 8831:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS B 8831:クレーン−荷重及び荷重の組合せに関する設計原則 

ISO 8686-1:1989  クレーン−荷重及び荷重の組合せに関する設計原則

        第1部:一般 

技術的差異 

5.荷重
の組合
せ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

5.3 荷重の組合せ 
5.3.1 基本的な荷重の組合せ 
組合せA:定常荷重と非定常荷重の一部(熱による荷
重)の組合せ 
組合せB:定常荷重と非定常荷重の組合せ 
組合せC:定常荷重,非定常荷重及び特殊荷重の組合
せ 
 
5.3.2 組立,解体,輸送中の荷重の組合せ 
表5.3荷重の組合せ・強度係数(移動式クレーンを除
く) 
表5.4荷重の組合せ・強度係数(移動式クレーン) 
 

7.荷重の組合せ方法に関する基準 
7.1.1 基本的な荷重の組合せ 
組合せA:定常荷重 
組合せB:定常荷重と非定常荷重の組合せ 
組合せC:定常荷重,非定常荷重及び特殊荷重の組合せ 
 
 
 
7.2 組立,解体,輸送中の荷重の組合せ 
ISOには、荷重の組合せ・強度係数(移動式クレーン)に関
する規定が定められていない。 
 

4) ISO 8686-1においては,組合せA
は定常荷重のみであるが,この規格で
は,構造規格に整合させるため,定常
荷重と非定常荷重の一部(熱による荷
重)との組合せとした。 
 
 
 
 
 
5)荷重の組合せ・強度係数(移動式ク
レーン)のISO規定がないので、構造
規格と同一の内容を追加した。 

 
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD 

 
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

  ― IDT……………… 技術的差異がない。 
  ― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
  ― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  ― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。 
  ― MOD/選択……… 国際規格の規定内容と別の選択肢がある。 
  ― NEQ…………… 技術的差異があり,かつ,それがはっきりと識別され説明されていない。 
2. 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

  ― IDT……………… 国際規格と一致している。 
  ― MOD…………… 国際規格を修正している。 
  ― NEQ…………… 技術的内容及び構成において,国際規格と同等でない。 

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0

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。