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B 8462 : 2000  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本ロボット工業会 (JARA) から

の工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申し出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,

通商産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 8462 : 2000 

電子部品実装ロボット−安全性 

PCB (printed circuit board) assembly robots−Safety 

1. 適用範囲 この規格は,電子部品実装ロボット(以下,ロボットという。)についての設計,製作,プ

ログラム編集,運転,使用,保守及び修理に対して,安全上考慮すべき点について規定する。 

なお,接着剤塗布機,ソルダペースト印刷機などの関連装置については,この規格を準用する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成するものであって,その後の改正版・

追補には適用しない。 

JIS B 0144 : 1997 電子部品実装ロボット−用語 

JIS B 9960-1 : 1999 機械類の安全性−機械の電気装置−第1部:一般要求事項 

ISO 6385 : 1981 Ergonomics principles of the design of work system 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

a) 安全運転速度 供給者によって用意される唯一の選択速度であって,人がロボットの危険な動きから

回避したり,又はその動作を停止させたりするために,あらかじめ制限された速度。 

参考 自動運転速度とは異なる設定速度である。 

b) 安全作業手順 作業中に起こり得る傷害の可能性を減少させるために定められた作業手順。 

c) 安全停止 安全防護装置が,安全防護領域への人の侵入又はカバーが開けられたことなどを検知した

ことによる人の安全のための停止。 

d) 安全防護装置 人を危険源から守るために設けたガード又は安全装置。 

e) 安全防護対策 安全防護装置及び安全作業手順を用いて人を保護するための対策。 

f) 

安全防護領域 安全防護装置によって人の侵入を制限された領域。 

g) イネーブル装置 供給者によってあらかじめ定められた位置に保持されている間に限り,ロボットの

作動を可能にするための手動操作装置。 

h) インタロック(安全防護のための) ロボット又は周辺装置のコントロールシステム及び動力システ

ムと,安全防護装置とが相互に結合して安全を確保する仕組み。 

i) 

ガード 人を保護するために,特に用いられる機械構造物。 

備考 フェンス,ドア,囲い,さく(柵)などがある。 

j) 

危険源 人に傷害を与えたり健康を害したりするおそれのある状況又は要因。 

k) 自動モード ロボットをオート運転,シミュレート運転,ワンブロック運転などの設定されたプログ

ラムに従って,自動的に作動させる運転モード。 

l) 

手動モード ロボットをオペレータが作動させる自動モード以外の運転モード。 

B 8462 : 2000  

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m) 存在検知装置 安全防護領域への人の侵入を検知するための装置。 

備考 存在検知装置には,ライトスクリーン,電磁フィールド,圧力検知装置,超音波装置,赤外線

装置,画像処理装置などがあるが,これらに限られるわけではない。 

n) トラブルシューティング 意図したように作業が行われないか,又は機能しなかった原因を系統的に

見つけ出す行為。 

o) 非常停止 危険又は異常を発見したり感じた人による非常停止ボタンなどの操作による停止。 

p) 人 要員を含むすべての人間。 

q) ホールド・トゥ・ラン 人手で操作したときだけ動作し,離すと動作が停止する機能。 

r) 要員 運転操作や保守などのために特別に雇用され訓練を受けている者。 

s) 

リスク 傷害が起きる確率と傷害の度合いとの組合せ。 

t) 

ローカル運転 ロボットに設置された操作パネル(可搬形を含む)だけから運転できる状態。 

u) ロックアウト/タグアウト エネルギー供給装置又はその制御下にある周辺装置の操作を禁止するた

めに,エネルギー供給装置の安全側の位置に固定具又は表示札を付けること。 

4. 一般的事項 

4.1 

一般 自動運転中には,ロボットの安全防護領域に人体又はその一部が入ってはならない。教示,

プログラムの確認,保守などの場合には,人体の一部が入ることもあるが,これらの作業は要員に限られ

る。 

安全防護対策の設計と選択は,行われる作業に適合していなければならず,必要であれば安全防護対策

によって教示,準備,保守,プログラムの確認及びトラブルシューティングが安全に遂行されなければな

らない。 

使用される安全防護対策は,ロボットの設置及び使用によって生じる危険源に対して適切なものが望ま

しい。適切な安全防護対策を設計選択する前に,危険源を識別し,それから生じるリスクを査定する必要

がある。 

事故防止の技術的手段は,次の二つの原則に基づいている。 

a) 自動運転中には安全防護領域に人(手・足など人体の一部も含む)がいないこと。 

b) 教示やプログラムの確認作業などのために安全防護領域の中に入る(手・足など人体の一部だけが入

る場合も含む)ときは,危険源を完全に取り除くか,可能な限り危険源を減少させること。 

これらの原則を遵守するために次の処置を講じなければならない。 

− 安全防護領域を定める。 

− 安全防護領域の外部からほとんどの作業ができるようにロボットを設計する。 

− 安全防護領域に入る場合には,安全を確保するための手段を準備する。 

4.2 

安全性分析 安全性の分析に当たっては,次の手順に従わねばならない。 

a) 安全防護領域への進入の必要性の評価など,必要な作業を明示する。 

b) 明示された作業に存在する過失や故障を含めた危険の源泉を識別する(4.2.1参照)。 

c) リスクを評価し,査定する(4.2.2参照)。 

d) リスクを許容レベルまで小さくする安全対策を検討する(4.2.3参照)。 

e) 必要な作業と許容できるリスクのレベルに適合する安全防護対策を選択する(6.10, 6.11, 6.12参照)。 

f) 

安全機能の達成レベルを査定し,そのレベルが許容できることを確認する(4.2.3参照)。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.2.1 

危険源 危険は,ロボット自体,ロボットと他の装置との関連,又はロボットと人との相互作用か

ら生じる。危険源の例を次に挙げる。 

a) 次のものの故障や障害(機能が遂行されなくなること。) 

1) 保護手段(装置,回路,部品など)。除去又は分解も含む。 

2) 動力及び動力分配手段 

3) 制御用の回路,装置及び部品 

b) 挟込み又は衝撃を引き起こす可動部 

1) 可動部自身 

2) ロボットの他の部分又は作業領域内の他の機器と関連したもの。 

c) 蓄積されたエネルギー 

1) 可動部分 

2) 電気又は油空圧機器動力要素 

d) 動力源 

1) 電気 

2) 油圧 

3) 空気圧 

e) 危険な雰囲気(極度な高温,低温など) 

f) 

騒音 

g) 妨害 

1) 電磁,静電気,無線周波数 

2) 振動,衝撃 

h) 人的誤り 

1) 設計,開発及び製作(人間工学的配慮を含む) 

2) 据付けと立上げ(接近,照明及び騒音を含む) 

3) 機能試験 

4) 使用 

5) プログラムの作成及び検証 

6) フィーダの取付け,保持及びツールの取付けなどのセットアップ 

7) トラブルシューティング及び保守・点検 

8) 安全作業手順 

i) 

実装ロボット又は関連機器の移設,改造 

4.2.2 

リスクアセスメント ロボットの大きさ,能力及び速度は非常に多様であるので,各種の危険源と

いろいろなレベルのリスクが存在する。ロボットの据付け,プログラミング,運転,使用,トラブルシュ

ーティング及び保守作業中に起きるリスクを十分に査定しなければならない。 

ロボットのアクチュエータに動力が供給できる状態で,ロボットに近づかないとできない作業に対して

は特に注意するべきである。もし例外的に接近作業が必要であると認められた場合には,適切な安全防護

装置を設計し適用しなければならない。 

4.2.3 

安全手段を選択するときの考え方 安全手段は,設計段階で組み込まれる手段と使用者によって組

み込まれる手段との組合せから成り立っている。 

ロボットの設計開発では,性能を許容できるレベルに維持しつつ安全対策を第一に考慮しなければなら

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ない。この段階で実現できない場合は,安全防護対策を考慮しなければならない。安全防護対策には,安

全防護装置,注意喚起手段及び安全作業手順が含まれる(6.10, 6.11, 6.12参照)。 

5. 一般的設計要求事項 

5.1 

フェールセーフ すべての構成要素(電気,電子,機械,空気圧及び油圧)の中でいずれか1個の

部品が予測可能な範囲で故障しても,安全機能は影響を受けず,また影響を受けた場合でも安全な状態に

保たれるように,設計,製作及び据付けしなければならない。安全機能には少なくとも次に示すものが含

まれる。 

a) 部品の放出対策 

b) 非常停止と安全停止(6.4.2, 6.4.3参照) 

c) 安全防護装置のインタロック 

故障時の制御機能についてはJIS B 9960-1の9.4を適用しなければならない。 

5.2 

電気装置 ロボットの電気装置は,JIS B 9960-1の11.によらなければならない。 

5.3 

動力の供給 動力源と接地(保護アース)については,製造者の仕様によらなければならない。 

5.4 

動力源の遮断 それぞれのロボットには,その動力源を遮断する手段を設けなければならない。こ

の手段は,誰も危険源にさらさないように配置され,ロックアウト・タグアウトできなければならない(電

源遮断装置に対する要求については,JIS B 9960-1の5.3参照)。また,動力源の遮断が危険な状態を引き

起こしてはならない。 

6. ロボットの設計と製作 

6.1 

一般 ロボット製造者は,この項及び5.に述べる要求事項に従ってロボットを設計し製作しなけれ

ばならない。 

6.2 

人間工学的側面 人間工学的な手段とデータを適用することによって,作業の達成が容易になり,

かつ人間の介在中(例 修理,保守,点検,プログラム編集,運転)の人為的な誤りが減り,その結果,

安全レベルが向上する。次の事項が要求される。 

a) 人間の介在が必要な実装ロボットの要素の設計においては,体格,姿勢,筋力及び身体の動きなどの

人間の特性を考慮すること(ISO 6385参照)。 

b) ヒューマンインタフェース[操作パネル(可搬形を含む),コンピュータ端末及びプログラムによって

行う動作を含む]は,使用者の意図が確実に指示,反映できる表示,及び操作が容易な姿勢で行える

位置に設置するなど,安全性及び操作性を考慮して設計,設置すること。 

c) 使用者に対し適切な情報を提供すること(例 作業モードの明確な表示,プログラムされていないの

に停止した理由の表示)。 

6.3 

機械的側面 

6.3.1 

一般 ロボットの可動部分で起きる危険源は,できるだけ初期設計の段階で除去しておかなければ

ならない。除去できないときには,適切な安全防護装置を設計の一部として組み込まなければならない。

もし設計上の組込みができないならば,後の段階で安全防護装置を組み込むことができるように考慮しな

ければならない。 

6.3.2 

カバーなど 危険源となる電気機器,空圧機器などは,固定式のカバーなどによって,ロボットの

運転中に操作できないように設計しなければならない。固定式のカバーなどは工具がないと取り外しでき

ないようにしなければならない。 

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6.3.3 

運搬 運搬のためには,フック・アイボルトなどを必要に応じて用意し,運搬中に意図しない動き

が起きないように取り付けなければならない。出荷重量をロボットに表示するのが望ましい。また,ロボ

ットの可動部を固定することが望ましい。 

6.3.4 

据付け手段 所定のすべての運転状態において,安定した運転ができるような方法を講じなければ

ならない。 

6.4 

制御的側面 

6.4.1 

パネル配置 操作ボタンやスイッチ類をJIS B 9960-1の10.に従って配置し,識別できるようにし,

不用意な操作から保護しなければならない。 

6.4.2 

停止 停止には,次のカテゴリーがある(JIS B 9960-1の9.2.2参照)。 

カテゴリー0:アクチュエータへの動力の速やかな供給停止による停止 

カテゴリー1:アクチュエータを制御によって速やかに停止させ,その後動力の供給を停止する 

カテゴリー2:アクチュエータへの動力が供給されている状況における,制御による停止 

ロボットのすべての停止に対して,どのカテゴリーの停止を適用するかについては,リスクアセスメン

トによらなければならない。また,ロボットが停止しているときには,どの停止であるかを表示すること

が望ましい。 

6.4.2.1 

非常停止(JIS B 9960-1の9.2.2参照) 非常停止はロボットの他のいかなるモード及び機能より

も優先されなければならない。 

非常停止はカテゴリー0又は1の停止でなければならない。カテゴリーの選択はリスクアセスメントに

よらなければならない。 

非常停止にカテゴリー0の停止機能を用いるときには,ハードワイヤードだけの電気制御部品(例えば

リレー,有接点スイッチなど)だけで構成されていなければならない。 

非常停止にカテゴリー1の停止機能を用いるときには,最終的なアクチュエータの動力の除去は電気制

御部品を用いて確実に行わなければならない。 

手動の非常停止スイッチは,JIS B 9960-1の10.7による。また,外部的な非常停止装置,安全防護装置

又はインタロックを非常停止回路に接続できるようにしておかなければならない。 

非常停止回路を手動でリセットすることなしに,いかなる動作も開始しないように設計しなければなら

ない。また,非常停止回路のリセットだけによってロボットのいかなる動作も開始してはならない。非常

停止又は電源異常によって重要なロジックや記憶状態が失われる場合には,このロジックやメモリをリセ

ットした後に,運転を再開しなければならない。 

6.4.2.2 

安全停止 安全停止はカテゴリー0又は1の停止でなければならない。 

安全停止回路が用意されているときには,ロボットにおいて安全防護装置とインタロックを安全停止回

路に接続できるようにしなければならない。安全停止後に動作を始動する前に,アクチュエータへの動力

をリセットする必要があるが,この操作によっていかなる運転も始動してはならない。 

6.4.3 

電気コネクタ 正しく結合しないと危険な動作を引き起こす可能性のある,ロボットに使われてい

る電気コネクタは,キー溝を設けるなど,正しく結合できるようにしなければならない。外れたり壊れた

りすると危険な動作を引き起こす可能性のある電気コネクタは,意図せずに外れないように設計し製作し

なければならない。 

6.4.4 

可搬形操作パネル(ペンダント) プログラム編集用のペンダントをもつものにあっては,次の設

計要求事項を満たすこと。 

a) ペンダントを手に持っている間は信頼して使用できるように,必要に応じてホールド・トゥ・ランを

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導入することなど人間工学の原則に従って設計すること。 

b) ペンダントを用いての教示中には,ロボットが自動運転に切り替わらないようにすること。 

c) ペンダントで制御する場合,すべての動作は,ペンダントだけから始動できるようにすること。 

6.4.5 

イネーブル装置 ロボットにイネーブル装置を設ける場合は,イネーブル装置が所定の動作位置に

あるときだけロボットの動作又はその機能が有効となるように設計し,それ以外の位置では,危険な動作

を停止しなければならない。このイネーブル装置の操作が危険な動作又は機能を引き起こしてはならない。 

イネーブル装置が必要な場合には,イネーブル装置は,安全停止回路又は同等レベルの安全性のある停

止回路に接続しなければならない。 

6.5 

動力源 動力源の停止,復帰又は変動が実装ロボットの危険な動作を起こさないように,設計し製

作しなければならない。 

6.6 

妨害 ロボットの設計と製作に当たっては,安全性に影響を与える妨害を最小に抑えるために適切

な工学的手段を組み込まなければならない。妨害には,電磁波妨害 (EMI),静電気妨害 (ESD),無線周波

数妨害 (RFI),熱,光,振動などがある。 

備考 妨害に対する要求事項及び試験についてはJIS B 9960-1の4.4.2に規定されている。 

6.7 

運転モードの選択 運転モードを確実に選択することができる装置を用意しなければならない。さ

らに,この装置は,選択された運転モードを表示しなければならない。種々の運転モードの選択それ自身

がロボットを動作させたり,その他の機能を働かせてはならない。 

運転モード(例えば,調整,教示又はプログラムの確認)の選択で安全防護装置による保護の解除は,

運転モードがキースイッチなどによって確実に選択されているときに限り可能にすることが望ましい。安

全防護装置を解除しているときには,自動運転(通常運転)をできないようにしなければならない。 

6.8 

複数の操作パネル 複数の操作パネルをもつロボットにおいては,オペレータによって管理される

ただ一つのものだけによって操作が可能であり,他のすべてのものによって運転できてはならない。 

6.9 

遠隔操作 遠隔操作が可能なロボットにおいては,他のいかなる地点からも始動されることに起因

する危険な状態を防止する手段を講じなければならない。 

遠隔操作(例えば,通信ネットワークを通じて)が可能なロボットに対して,ローカル制御の際に,遠

隔指令によって危険な状態を引き起こさないような手段(例えば,キースイッチ)を講じなければならな

い。 

6.10 安全防護装置 

6.10.1 ガード 

6.10.1.1 固定ガード 固定ガードは次の事項を満たさなければならない。 

a) 予測可能な運転中に受ける力及び周囲から受ける力に耐え得るように製作されていること。 

b) インタロック装置や存在検知装置のついている入口以外からの安全防護領域への侵入を防止するもの

であること。 

c) 固定されており,工具を使用しない限り除去できない。 

d) 鋭利なかどや突起がなく,それ自体が危険源ではない。 

6.10.1.2 インタロックガード 

a) インタロック及びインタロックのついたガードは,次の1)及び2)のように設計,据付け,調整するこ

とが望ましい。 

1) ガードが閉じるまでインタロックによって自動運転はできないようにしておくこと。ガードを閉じ

ることにより自動運転が再始動しないこと(6.14参照)。 

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2) ロック付きのインタロックガードでは,危険源がもたらす傷害のリスクがなくなるまでガードは開

けられないこと。インタロックガードを開けたとき,動作中のロボットが安全停止又は非常停止す

ること。 

インタロックが作動して停止したとき,再始動しても別な危険源が発生しないならば,停止した位置か

ら再始動できることが望ましい。 

ガード内に入る前に危険源を除去する方法には,動力源の遮断があるが,これによって直ちに危険源が

除去できない場合には,ガードのロック又はブレーキシステムを含むインタロックシステムが必要である。 

インタロック付きドアから全身がさくの中に入ることができる場合には,意図せずにドアが閉じないよ

うな装置を取り付けることが望ましい。 

ある危険源から守られるように据付けられたインタロックの動作(例えば,ロボットの危険な動作の停

止)が,別の危険源(例えば,部材の放出)をもたらさないように注意を払うことが望ましい。 

b) 適切なインタロックシステムの選択をするためには,リスクアセスメントを考慮すること(4.2.2参照)。 

c) インタロックシステムの設計及び製作は,5.1に従うこと。 

6.10.2 存在検知装置 安全のために存在検知装置を用いるときは,次の事項を満たさなければならない。 

a) 存在検知装置は,人がその装置を作動させることなくしては危険区域に入れないように,又は危険な

状態がなくならないうちに危険区域に入れないように据付け及び配置すること。存在検知装置といっ

しょに用いられるバリアは,存在検知装置をう回して通ることができないように設置すること。 

b) 存在検知装置の作動は,ロボットに想定される周囲のいかなる環境からも悪影響を受けないこと。 

c) 存在検知装置が作動して停止したときには,再始動しても別の危険源が発生しないならば,停止した

位置から再始動できることが望ましい。 

d) 検知領域から人がいなくなってからロボットを再始動すること。人の退去だけで自動運転を再始動し

ないこと(6.14参照)。 

6.11 注意喚起手段 次の注意喚起手段は,安全防護装置に追加して使用してもよい。しかし,安全防護

装置の代替として使用してはならない。 

6.11.1 注意喚起バリア 注意喚起バリアは,人が不注意にロボットの危険区域に入ることがないように製

作し据付けなくてはならない。 

6.11.2 注意喚起信号 注意喚起信号は,危険源への接近や危険源の存在を耳に聞こえる音又は目に見える

信号によって,人に知らせるように製作し配置しなければならない。光による注意喚起装置を制限領域内

の危険源の警告のために用いる場合には,その領域の近くにいるすべての人にその光がはっきりと見える

ように装置を使用し配置しなければならない。 

音による注意喚起装置は,暗騒音レベルより大きく,聞いてすぐ分かる音を発生しなければならない。 

6.12 安全作業手順 ロボットの運用の幾つかの段階(例えば,立上げ,工程の切換え,清掃,保守など)

では,すべての危険源から防護するように完璧な安全防護装置を設計することができない場合や,安全防

護装置の機能を抑制させる場合もある。この場合には適切な安全作業手順を決めて用いなければならない。 

6.13 安全防護装置のリセット インタロックガード又は存在検知装置のリセットをするだけで,ロボッ

トが自動運転を再開してはならない。安全防護領域の外部において慎重に操作することによってだけ,ロ

ボットの再始動ができるようにしなくてはならない。再始動装置は,安全防護領域内から手が届くことな

く,安全防護領域内に誰もいないことを容易に確認できる場所に置かなければならない。 

7. 使用と点検 

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7.1 

一般 ロボットの自動運転,プログラム編集,及び保守作業において,使用者はそれぞれの作業担

当であると否とにかかわらずすべての要員に対しても,安全防護対策が用意され,使用され,維持されて

いることを保証しなければならない。 

使用者は,それぞれの担当要員が操作する操作パネル以外のところで操作ができないようにしておかな

ければならない。 

7.2 

自動モード 自動運転は次の場合にだけ許可されなければならない。 

a) 意図した安全ガードが設置され機能している。 

b) 適当な安全作業手段が講じられている。 

7.3 

プログラム編集 プログラム編集(教示を含む)の際には,ドアのインタロックや存在検知装置な

どの安全ガードの防護効果のほか,次に記されているような追加方法を採用してよい。 

a) 安全性を確認した上で,一時的に一部の安全防護機能を失わせてよい。 

b) ロボットがオペレータだけの制御の下にあること。 

c) ロボットの危険な動作を引き起こす可能性のあるすべての遠隔操作や条件に対して,実装ロボットが

応答しないこと。 

d) ロボットのすべての非常停止装置が機能すること。 

プログラム編集終了後,自動運転に入る前に,オペレータは一時的に失効した安全ガードの本来の機能

をもとに復帰させなければならない。 

7.4 

プログラム編集データ 実装プログラムの修正などのすべての記録は保存されなければならない。

また,テープや磁性体などの持ち運び可能な媒体上に保存されるプログラムされたデータは,使用されな

いときは適正に保護された環境の中に保存されなければならない。 

7.5 

プログラムの検証 プログラムの検証時には,要員が危険源にさらされることを最小化するための

安全作業手順が確立されなければならない。 

7.6 

保守 ロボットの安全な運転を持続させることを保証するために,定期的な検査及び保守を行わな

ければならない。この検査及び保守手順には,実装ロボットの製造者の推奨事項が含まれていなければな

らない。 

7.6.1 

要員の訓練 ロボットの保守や修理を行う要員が,要求された作業を安全に行うための必要な手順

について十分に訓練されなければならない。 

7.6.2 

要員の安全防護 ロボットの保守や修理を行う要員は,危険源に対して安全防護されなければなら

ない。 

7.6.3 

安全防護対策 保守を行う必要があるときには,以下の安全防護策から適当と思われるものをリス

クアセスメントを考慮して選択する。 

a) ロックアウト/タグアウトの手段によって実装ロボットの動力源を断つ。 

b) ロボットへの動力源が有効なときは,作業の前に次の手順を行わなければならない。 

1) ロボットの視認によって,誤動作を引き起こしそうな条件の存在を調べなければならない。 

2) 適切な運転操作を行うために,操作装置の使用前に機能のテストを行わなければならない。 

3) 損傷又は誤動作が発見されたならば,作業の前に,必要な修理がなされ,再テストが行われなけれ

ばならない。 

c) 保守や修理を行う要員は実装ロボットの全制御権をもたなければならない。 

1) ロボットはいかなる遠隔からの信号にも応答してはならない。 

2) ロボットのすべての非常停止装置は有効に保たれなければならない。 

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d) ロボットの自動運転が開始される前に,一時的に失効した安全防護策の本来の機能をもとに復帰させ

なければならない。 

8. 据付け,立上げ及び機能テスト 

8.1 

一般 この章では,ロボットを正常に運転させる前に,その準備事項並びに据付け又は機能試験に

必要な事項について述べる。 

8.2 

据付け ロボットは製造者の要求事項に従って据付けなければならない。安全防護対策を危険源の

分析とリスクアセスメントによって決定しなければならない。 

使用者は,安全性の要求事項をよく調べて,生産開始に入る前に,安全防護装置が適切に用いられてい

ることを再確認しなければならない。 

8.3 

立上げ及び機能試験 ここでは,据付け又は配置換え後の試験の際に行うべき手順を定めている。

この手順は,ロボットを変更(例えばハードウェア又はソフトウェア若しくは部品又は調整の変更)した

後,又は安全運転に影響を与える可能性のある保守や修理をした後にも適用しなければならない。 

8.3.1 

要員の立入制限 立上げ及び機能試験中,安全防護装置の機能が働くまで,要員は安全防護領域に

立ち入ってはならない。 

8.3.2 

安全と運転の確認 立上げ及び試験については,製造者の指示に従わなくてはならない。最初に始

動させる場合の手順は,次の項目に従う。 

a) 動力を入れる前に検査する項目 

1) 機械的に適切にかつ安定に取り付けられていること。 

2) 電気的な接続は適正で,その容量(電圧,周波数など)は仕様範囲内にあること。 

3) 他のユーティリティ(水,空気,ガスなど)との接続が適切で,仕様に適合していること。 

4) 周辺装置との接続が適切であること。 

5) 安全防護策を施してあること。 

6) 物理的環境(温度,湿度,振動,じんあい,光,騒音レベルなど)が指定内にあること。 

b) 動力を入れた後,確認する項目 

1) 始動,停止やモード選択(キースイッチを含む)などの駆動制御装置が意図したとおりに機能する

こと。 

2) 各アクチュエータが意図したとおりに動くこと。 

3) 非常停止と安全停止(ついている場合)回路と装置が正しく機能していること。 

4) 動力源の遮断が可能であること。 

5) 教示と再生の機能が正しく機能していること。 

6) 安全防護装置とインタロックが意図したとおりに機能していること。 

7) 自動運転で適正に作動し,計画された作業を行う能力をもっていること。 

8.3.3 

再始動させる手順 ハードウェア,ソフトウェア,プログラムの修正,修理又は保守後のロボット

の再始動のための手順は,少なくとも次の項目を含まなければならない。 

a) 動力を入れる前の,ハードウェアシステムの変更や追加事項のチェック。 

b) 適切な運転をさせるための機能試験。 

9. 取扱い説明書など 取扱い説明書などには,少なくとも次の事項を記述しなければならない。 

a) 型式 

10 

B 8462 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 性能 

c) 物理的環境への要求 

d) 据付けの説明(設置及び動力源との接続を含む) 

e) 以下の使用方法の説明 

1) 立上げ 

2) プログラムの編集 

3) 運転 

4) 保守 

f) 

予測される危険な状態とその回避方法。 

g) 安全防護装置及びインタロックの説明。 

h) そのロボットにおける特別な使い方に対する説明。 

これらの説明には,危険な状態を回避するための安全対策について記述しなければならない。 

使用する要員の訓練の必要性についても記述しなければならない。 

10. 警告表示 製造者は,ロボットの本体上の必要と認められる場所に,危険・警告・注意のそれぞれの

内容ごとに,適切な表示を行わなければならない。 

11. 訓練 使用者は,プログラム編集,運転,保守,修理を行う要員が,適切な訓練を受けていること及

びその仕事を安全に行う能力をもっていることを確かめなければならない。訓練には少なくとも次の項目

が必要である。 

a) 製造者による安全に関する推奨事項と適用可能な標準的な安全手段の概要 

b) 与えられた作業の明確な内容 

c) 与えられた作業の遂行に用いるすべての制御装置の識別とその機能の概要と説明 

d) 与えられた作業に関連する危険源の識別 

e) 識別された危険源に対する安全作業手順を含む安全防護対策の指定された方法 

f) 

安全防護装置とインタロックの機能を確認する方法及び正しく機能していることを確認する方法 

11 

B 8462 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

電子部品実装ロボットの安全性JIS原案作成専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

稲 垣 荘 司 

技術士事務所“ロボティ” 

安 藤 嘉 則 

名古屋大学 

藤 田 昌 宏 

通商産業省機械情報産業局 

八 田   勲 

工業技術院標準部 

前 田 祐 司 

工業技術院機械技術研究所 

杉 本   旭 

労働省産業安全研究所 

加 瀬   究 

理化学研究所 

山 村 修 蔵 

財団法人日本規格協会 

高 島   覺 

財団法人機械振興協会 

寺 内 常 雄 

三菱電機株式会社 

平 本 外 二 

株式会社日立製作所 

真 島 紀 文 

富士通株式会社 

森 田   直 

ソニー株式会社 

辻   康 紘 

株式会社東芝 

横 手   環 

JUKI株式会社 

梁 池 征志朗 

松下電器産業株式会社 

清 水 良 男 

三洋ハイテクノロジー株式会社 

本 田 義 信 

ヤマハ発動機株式会社 

足 立 康 之 

富士機械製造株式会社 

松 本   仁 

シチズン時計株式会社 

倉 田 政 明 

株式会社テンリュウテクニックス 

黒 沢 豊 樹 

黒沢R&D技術事務所 

馬   月 平 

株式会社テスコン 

(事務局) 

佐 藤 公 治 

社団法人ロボット工業会 

三 浦 敏 道 

社団法人ロボット工業会