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B 7954 : 2001  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項に基づき,社団法人日本電気計測器工業会 (JEMIMA) /財団

法人日本規格協会 (JSA) から工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業

標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

今回の改正では,大気中の浮遊粒子状物質自動計測器について規定した。 

この規格には,以下に示す附属書がある。 

附属書1(規定) 計測器の種類及び測定範囲 

附属書2(規定) 計測器の性能試験 

附属書3(参考) 吸光方式計測器 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 7954 : 2001 

大気中の浮遊粒子状物質自動計測器 

Automatic monitors for suspended particulate matter in ambient air 

1. 適用範囲 この規格は,大気中の浮遊粒子状物質の濃度を連続的に測定するための自動計測器(以下,

計測器という。)について規定する。 

測定原理として,次の種類がある。 

a) ベータ線吸収方式 

b) 圧電天びん方式 

c) 光散乱方式 

d) フィルタ振動方式 

備考1. これらのほかの測定原理の計測器として,吸光方式に基づくものを附属書3(参考)に示す。 

2. 計測器の種類及び測定範囲については,附属書1(規定)に示す。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7551 フロート形面積流量計 

JIS C 1302 絶縁抵抗計 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門) 

JIS K 0901 気体中のダスト試料捕集用ろ過材の形状,寸法並びに性能試験方法 

JIS Z 8103 計測用語 

JIS Z 8813 浮遊粉じん濃度測定方法通則 

JIS Z 8814 ロウボリウムエアサンプラ 

JIS Z 8901 試験用粉体及び試験用粒子 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0211及びJIS K 0215によるほか,次による。 

a) 浮遊粒子状物質 大気中に浮遊する粉じん(ここでは,ダスト,ヒューム,ミストを含む。)。 

備考 環境基本法に基づく大気の汚染に係る環境基準に関する浮遊粒子状物質とは,大気中に浮遊す

る粒子状物質で,その粒径が10μm以下のものをいう。 

b) 相対濃度 質量濃度及び一定の相対的関係にある物理量を測定して得られる値にある係数を乗じて質

量濃度としたもの。 

c) 質量濃度 単位体積の空気中の浮遊粒子状物質の質量。単位は,μg/m3で表す。 

d) 校正用空気 計測器の校正に用いる粒子(校正用粒子)を含む空気。 

e) 粒径 幾何学的又は物理学的性質に基づいて定められる粒子の大きさ。物理学的性質によるものには,

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

空気力学径,ストークス径,光学的相当径などがある。単位は,μmで表す。 

f) 

均一系単分散粒子 粒子を構成する物質が均一であって,計測器の校正に支障のない程度に狭い粒径

分布をもった粒子。 

g) 等価入力 校正用空気に代わり計測器の指示値を点検するための入力。 

4. 計測器の性能 計測器は,附属書2(規定)の2.によって試験を行ったとき,次の性能を満足しなけ

ればならない。 

表1 計測器の性能 

項目 

性能 

試験方法 

繰返し性 

最大目盛値の±2 % 

附属書2(規定)2.5 a) 

ゼロドリフト 

最大目盛値の±2 % 

附属書2(規定)2.5 b) 

スパンドリフト 

最大目盛値の±3 % 

附属書2(規定)2.5 c) 

指示誤差 

最大目盛値の±5 % 

附属書2(規定)2.5 d) 

校正用空気に対する指示値 

質量濃度の±10 % 

附属書2(規定)2.5 e) 

粒子状物質を含まない空気に対する指示値 ±10μg/m3又は最大目盛値の±1 % 

附属書2(規定)2.5 f) 

電圧変動に対する安定性 
指示の安定性 
大気流量の安定性 

 
最大目盛値の±3 % 
最大目盛値の±5 % 

 
附属書2(規定)2.5 g) 1) 
附属書2(規定)2.5 g) 2) 

流量の変化に対する安定性 

最大目盛値の±7 % 

附属書2(規定)2.5 h) 1)及び2) 

耐電圧 

異常を生じてはならない 

附属書2(規定)2.5 j) 

絶縁抵抗 

5MΩ以上 

附属書2(規定)2.5 k) 

5. 構造 

5.1 

構造一般 計測器の構造は,次の各項目に適合しなければならない。 

a) 形状が正しく,組立及び各部の仕上がりが良好で,堅牢でなければならない。 

b) 通常の運転状態で危険の生じるおそれがなく,安全で円滑に作動しなければならない。 

c) 各部は,容易に機械的・電気的故障を起こさず,危険を生じない構造でなければならない。 

d) 結露などによって,計測器の作動に支障を生じない構造でなければならない。 

e) 光源,ヒータなどの発熱部に接する部分は,熱による変形及び機能の変化を起こさない構造でなけれ

ばならない。 

f) 

保守,点検の際,作業がしやすく,危険のない構造でなければならない。 

5.2 

計測器 

5.2.1 

ベータ線吸収方式 ろ紙上に捕集した粒子によるベータ線の吸収量の増加から質量濃度としての

指示値を得るもので,図1に示すように,大気導入部,浮遊粒子状物質捕集機構,ろ紙供給機構,ベータ

線源,検出器,演算制御器,流量制御部などで構成する。 

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図1 ベータ線吸収方式の構成例 

a) 大気導入部 大気導入管を接続する部分で,内径8〜26mmの導入管を接続できるものとし,必要に

応じて分粒装置を付加する。 

b) 浮遊粒子状物質捕集機構 大気を吸収し,ろ紙上に浮遊粒子状物質を捕集するもので,大気導入部に

接続した部分と大気吸収ポンプを接続する部分との間に,テープ状のろ紙を着脱できる機構。 

c) ろ紙供給機構 浮遊粒子状物質捕集用ろ紙(1)を供給し,測定後巻き取るもので,リールに巻かれたテ

ープ状のろ紙を一定時間ごとに左右又は一定方向に一定の長さだけ移動させ,測定が終了すると巻き

取りリールにろ紙を巻き取る機構。 

注(1) ろ紙は,JIS K 0901に規定する捕集率A1のものを用いる。 

d) ベータ線源 ベータ線源は,密封線源で,14C, 147Pmなどの低いエネルギーのものを使用する。 

備考 これらの線源の放射能は,3.7×106Bq (100μCi) 以下であり,放射線障害防止法に規定された“放

射性同位元素”には該当しないが,その取扱いには注意しなければならない。 

e) 検出器 試料採取前後のろ紙によって吸収されるベータ線の強さを測定するもので,シンチレーショ

ン検出器,電離箱,半導体検出器などを使用する。 

f) 

演算制御器 各構成要素に対し信号を発し,次の操作を所定のプログラムに従って自動的に繰り返す

ものである。 

1) ろ紙の移動 

2) ブランク及び浮遊粒子状物質を捕集したろ紙に対するベータ線量の測定及び濃度の演算 

3) 大気の通気開始及び停止 

4) ろ紙の背圧の判定及び制御 

5) 指示,記録 

6) その他 

g) 流量制御部 流量計,流量調整弁,大気吸引ポンプなどで構成され,演算制御器からの信号によって

流量制御を行うもの。大気の採取流量の変化は測定誤差の原因となるので,ろ紙に粉じんが付着して

通気抵抗が増しても,規定の流量が維持できるものでなくてはならない。流量計はフロート形面積流

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量計,質量流量計などで,温度20℃,気圧1 013hPaで目盛付けしたものを用い,その測定精度はJIS 

B 7551の規定に適合しなければならない。 

h) 指示部 アナログ表示,デジタル表示などがある。 

5.2.2 

圧電天びん方式 粒子を静電的に水晶振動子上に捕集し,質量の増加に伴う水晶振動子の振動数の

変化量から質量濃度を求めるもので,図2に示すように,大気導入口,等速吸引機構,浮遊粒子状物質捕

集・検出器,洗浄機構,高圧回路,演算制御器,大気吸引部,指示部などで構成する。 

図2 圧電天びん方式の構成例 

a) 大気導入部 5.2.1 a)の規定による。 

b) 等速吸引機構 大気導入管内部における浮遊粒子状物質の沈着を防ぐため,一定の流量で検出部近く

まで大気を導入し,その一部を等速吸引流量で検出用大気として分岐して検出器に導く。 

c) 高圧回路 浮遊粒子状物質を静電捕集するため,高圧回路と針状の放電電極によってコロナ放電を発

生させ,浮遊粒子状物質を帯電させる。 

d) 捕集・検出部 浮遊粒子状物質を捕集し,その質量を測定するもので,検出器となる水晶振動子の表

面に電極を設け,高周波発振器及び周波数検出器と接続したもの。 

e) 洗浄機構 水晶振動子の上に静電捕集された浮遊粒子状物質を一定時間又は定たい(堆)積量ごとに

洗い流すための機構。 

f) 

流量制御部 5.2.1 g)の規定による。 

g) 演算制御器 各構成要素に対して信号を発し,次の各操作を所定のプログラムに従って自動的に繰り

返す機能をもつもの。 

1) 検出器の洗浄及び乾燥 

2) 初期周波数の測定及び濃度の演算 

3) 大気の通気開始及び停止 

4) 周波数測定及び制御 

5) 指示,記録 

6) その他 

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h) 指示部 アナログ表示,デジタル表示などがある。 

5.2.3 

光散乱方式 粒子による散乱光量から相対濃度としての指示値を得るもので,図3に示すように,

大気導入部,検出器,光源,光源安定化回路,増幅回路,演算制御器,大気吸引部,指示部などで構成す

る。 

図3 光散乱方式の構成例 

a) 大気導入部 5.2.1 a)の規定による。 

b) 検出部 浮遊粒子状物質に対する光の散乱光量を測定するもので,暗室中に吸引ポンプ又はファンに

よって大気を導き,光源から光を照射し,その散乱光を光センサによって検出し,電気信号に変換す

る機構。 

c) 光源 レーザーダイオード,タングステンランプなどを使用する。 

d) 光源安定化回路 光源の光量を安定化するための電源回路。 

e) 増幅回路 光センサによって検出した光電流を演算制御器で処理可能な電気信号に増幅する回路。 

f) 

大気吸引部 流量計,吸引ポンプ,ファンなどで構成する。 

1) 流量計 試料大気流量の調整又は確認のために用いる流量計は,温度20℃,圧力1 013hPaで目盛付

けをする。 

2) 吸引ポンプ又はファン 規定の流量が維持できるよう,吸引能力に余裕のあるものを用いる。 

g) 演算制御器 各構成要素に対し信号を発し,次の操作及び濃度演算の機能を併せもつものである。 

1) 散乱光量の測定及び濃度の演算 

2) 指示及び記録 

3) その他 

h) 指示部 アナログ表示,デジタル表示などがある。 

5.2.4 

フィルタ振動方式 ろ紙上に捕集した粒子による円すい状振動子の振動数の低下から質量濃度と

しての指示を得るもので,図4に示すように,大気導入部,等速吸引機構,浮遊粒子状物質捕集・検出器,

流量制御部,発振回路,演算制御器,指示部などで構成する。 

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図4 フィルタ振動方式の構成例 

a) 大気導入口 5.2.1 a)の規定による。 

b) 等速吸引機構 大気導入管内部における浮遊粒子状物質の沈着を防ぐため,一定の流量で検出部近く

まで大気を導入し,その一部を等速吸引流量で検出用大気として分岐して検出器に導く。 

c) 発振回路 浮遊粒子状物質捕集・検出器の素子を振動させるための回路。 

d) 捕集・検出部 浮遊粒子状物質を捕集し,その質量を測定するもので,検出器となる素子の先端にろ

紙を設け,発振回路及び演算制御器と接続したもの。 

e) 流量制御部 5.2.1 g)の規定による。 

f) 

演算制御器 各構成要素に対して信号を発し,次の各操作を所定のプログラムに従って自動的に繰り

返す機能をもつもの。 

1) 検出器の浮遊粒子状物質捕集の判定及び制御 

2) 初期周波数の測定及び濃度の演算 

3) 大気の通気開始及び停止 

4) 周波数測定及び制御 

5) 指示,記録 

6) その他 

g) 指示部 アナログ表示,デジタル表示などがある。 

5.3 

附属装置 計測器には,必要に応じて次の附属装置を付加する。 

a) 分粒装置 目的に応じて浮遊粒子状物質を分粒するために使用する。その構造及び性能は,JIS Z 8814

による。 

b) 平均値演算器 1時間ごとの濃度平均値を電気信号として取り出すために用いるもの。 

c) 指示記録計 浮遊粒子状物質の濃度を等分目盛又はデジタル量で指示記録するもの。 

6. 表示 計測器には,見やすい箇所に,容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならない。 

a) 名称及び製造業者が指定する形名 

b) 測定対象成分 

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c) 測定濃度範囲 

d) 使用温度範囲 

e) 電源種別及び容量 

f) 

製造業者名又はその略号 

g) 製造年月又はその略号 

h) 製造番号 

備考 これらの表示は,1箇所にまとめて表示しなくてもよい。 

7. 取扱説明書 取扱説明書には,次の事項を記載しなければならない。 

a) 設置場所 

b) 大気の温度,流量のそれぞれの許容範囲 

c) 配管及び配線 

d) 暖気時間 

e) 使用方法 

1) 測定の準備及び校正 

2) 測定操作 

3) 測定停止時の処置 

f) 

保守点検 

1) 日常点検の指針 

2) 定期点検の指針 

3) 故障時の対策 

4) 流路系の清掃 

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附属書1(規定) 計測器の種類及び測定範囲 

1. 適用範囲 この附属書は,計測器の原理別種類と測定範囲(以下,レンジという。)について規定する。 

2. 計測器の種類及びレンジ 計測器の種類は原理別に分類し,個々の計測器のレンジは附属書1表1の

とおりとする。 

なお,レンジは,附属書1表1で示した間で適切なものを選ぶ。 

附属書1表1 測定原理及びレンジ 

原理別種類 

測定範囲 μg/m3 

ベータ線吸収方式 

0〜1 000から0〜10 000 

圧電天びん方式 

0〜1 000から0〜10 000 

光散乱方式 

0〜1 000から0〜10 000 

フィルタ振動方式 

0〜1 000から0〜10 000 

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附属書2(規定) 計測器の性能試験 

1. 適用範囲 この附属書は,大気中の浮遊粒子状物質自動計測器の性能試験について規定する。 

2. 計測器の性能試験 計測器の性能試験は,次による。 

なお,指示誤差,耐電圧及び絶縁抵抗以外の各項目については,その計測器の最小目盛範囲における試

験結果をもって各レンジごとの性能としてもよい。 

2.1 

試験条件 試験条件は,次のa)〜h)による。 

a) 周囲温度 5〜35℃の温度で,変化幅は±5℃。 

b) 湿度 相対湿度85%以下。 

c) 大気圧 950〜1 060hPaで,変化幅は±5%。 

d) 電源電圧 定格電圧 

e) 電源周波数 定格周波数 

f) 

暖機時間 取扱説明書に記載された時間 

g) 試験に用いる校正用空気及び等価入力 2.2に規定する校正用空気及び2.4に規定する等価入力を用い

る。 

h) 測定周期 測定の各操作を自動的に繰り返す測定周期は,1時間とする。 

2.2 

校正に用いる空気 

2.2.1 

校正用空気及びその発生方法 計測器の校正及び試験に用いる校正用空気は,JIS Z 8901に規定す

る試験用ダスト13種又は14種に相当する粒径範囲0.1〜3μmの均一系単分散粒子を含むもので,校正用

粒子発生器によって連続的に発生させ,2.2.2に規定する粒子状物質を含まない空気によって希釈して所定

の濃度に調製する。 

2.2.2 

粒子状物質を含まない空気 粒子状物質の質量濃度が無視し得る程度にしか含まない空気。 

備考 例えば,JIS K 0901に規定する捕集率A1のろ過材2枚に相当するろ過材を通すことによって

得られる。 

2.2.3 

校正用空気の質量濃度の測定方法 校正用空気の質量濃度は,JIS Z 8814に規定するロウボリウム

エアサンプラによって測定する。測定条件は,次のa)〜c)による。 

a) フィルタ JIS Z 8814の4.(4)に規定するろ過材で,粒径0.3μmの粒子に対し捕集効率95%以上とする。 

b) 吸引流量 同時に濃度を測定する計測器の吸引流速と一致することが望ましい。 

c) 校正用粒子の捕集量 フィルタに捕集する校正用粒子の質量は,一つの試料採取について,原則とし

て1mg程度とする。 

なお,分粒装置は設けなくてよい。 

2.2.4 

計測器に導入する校正用空気の質量濃度の求め方 

a) 準備 2.2.1の規定によって発生した校正用空気は,附属書2図1a)に示すように流路を二つに分け,

同一形式のロウボリウムエアサンプラ(A)及び(B)を接続し,2.2.3の規定によって校正用空気の質量濃

度を測定する。このとき,両者の測定値が5%以内で一致するよう調整する。 

b) 質量濃度の決定 次に,附属書2図1 2)に示すように,ロウボリウムエアサンプラ(B)に代えて計測器

を接続し,校正用空気の質量濃度をそれぞれ測定する。この場合,ロウボリウムエアサンプラ(A)の測

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定値を,計測器に導入した校正用空気の質量濃度とする。 

備考 上記2)の測定における計測器の指示値は,2.3.1 b)に規定するスパン校正に用いるほか,2.5 e)に規定する校正

用空気に対する指示値として用いる。 

附属書2図1 計測器に導入する校正用空気の質量濃度の測定例 

2.3 

校正 

2.3.1 

校正用空気による校正 校正用空気による計測器の校正は,次による。 

a) ゼロ校正 粒子状物質を含まない空気を導入し,指示記録させる。指示が安定した後,ゼロ調整を行

う。 

b) スパン校正 校正用空気を導入し,指示記録させる。計測器が校正用空気の濃度を正しく示すように

スパン調整を行う。 

2.3.2 

校正用計測器による校正 計測器の校正には,2.3.1 a)及びb)に規定する方法によるほか,2.3.1で

校正された計測器(校正用計測器)(1)であらかじめ質量濃度を求めた浮遊粒子状物質を含む空気を用いて

スパン校正を行ってもよい。 

注(1) 測定原理及び検出器の特性は,校正される計測器と同じものとする。 

2.4 

等価入力 

2.4.1 

等価入力の種類 中間点等価入力及びスパン等価入力は,あらかじめ試験される計測器と同じ形名

の計測器を,2.3によって正しく校正し,これに等価入力を入力した場合に対応する指示値を調べ,等価入

力の値を求めておく。 

等価入力には,次の3種類がある。 

a) ゼロ等価入力 0μg/m3の濃度に相当する入力,又は試料大気を導入しないで測定する状態。 

b) 中間点等価入力 500μg/m3付近の濃度に相当する等価入力。 

c) スパン等価入力 1 000μg/m3付近の濃度に相当する等価入力。 

2.4.2 

等価入力の構成 計測器の原理別の等価入力の構造は,次による。 

a) ベータ線吸収方式 等価入力は,安定なプラスチックフィルムによって作られた等価膜を検出部にろ

紙とともに装着して用いる。 

b) 圧電天びん方式 等価入力は,参照用素子と検出用素子との発信周波数差の信号の代わりに内蔵され

た発振器の周波数信号を入力して用いる。 

c) 光散乱方式 等価入力は,安定な白ガラス板などによって作られた散乱板を検出部に装着して用いる。 

d) フィルタ振動方法 検出用素子の発信周波数差の信号の代わりに,内蔵された発振器の周波数信号を

入力して用いる。 

2.5 

試験方法 試験方法は,次のa)〜j)による。 

a) 繰返し性 計測器にゼロ等価入力を導入し,最終指示記録値を確認した後,スパン等価入力を同様に

導入し,最終値を確認する。この操作を3回繰り返し,ゼロ値,スパン値の各々の平均値を算出し,

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各測定値と平均値との差の最大目盛値に対する百分率を求める。 

b) ゼロドリフト ゼロ等価入力を導入し,24時間連続測定を行う。この間におけるゼロ指示値の初期の

指示値からの最大変動幅の最大目盛値に対する百分率をゼロドリフトとする。 

なお,記録計などのゼロ点を最大目盛値の5%程度に設定して試験を行ってもよい。 

c) スパンドリフト ゼロドリフト試験において,試験開始時にスパン等価入力を導入し,24時間後及び

中間に2回以上(2)ゼロ等価入力に代えてスパン等価入力を導入し,指示記録する。この間におけるス

パン指示値の初期の指示値からの最大変動幅の最大目盛値に対する百分率を,スパンドリフトとする

(3)。 

注(2) 各スパン測定点の測定時間間隔は,4時間以上でなければならない。 

(3) ゼロ指示値の変動がある場合は,その変動を補正する。 

d) 指示誤差 ゼロ及びスパン等価入力によって,ゼロ点検,スパン点検を行った後,中間点等価入力を

導入し,指示記録する。この指示値と等価入力の濃度の指示値との差の最大目盛値に対する百分率を

求める。 

e) 校正用空気に対する指示値 ゼロ及びスパン等価入力によって,ゼロ点検,スパン点検を行った後,

濃度200μg/m3付近の校正用空気を導入して指示記録させる。この指示値と校正用空気の質量濃度との

差の最大目盛値に対する百分率を求める。 

f) 

粒子状物質を含まない空気に対する指示値(4) 大気導入部から2.2.2の粒子状物質を含まない空気を

24時間導入し,指示記録させる。この指示値のそれぞれの1時間値の24時間にわたる算術平均値と

最大値とを求める。 

注(4) 空(から)試験ともいう。 

g) 電圧変動に対する安定性 

1) 電圧変動に対する指示の安定性 スパン等価入力を導入し,指示が安定していることを確認し,そ

の値をAとする。次に電源電圧を定格電圧の+10%の電圧に変化させ,安定後の指示値をBとする。

次に定格電圧の−10%の電圧に変化させ,安定後の指示値をCとする。B−A, C−Aのレンジの最

大目盛値に対する百分率を求める。 

2) 電圧変動に対する大気流量の安定性 大気流量を設定流量に調整し,指示が安定したときの値をA'

とする。次に電源電圧を定格電圧の+10%の電圧に変化させ,安定後の指示値をB'とする。次に定

格電圧の−10%の電圧に変化させ,安定後の指示値をC'とする。B'−A', C'−A'のレンジの最大目盛

値に対する百分率を求める。 

h) 流量の変化に対する安定性 

1) ベータ線吸収方式,及びフィルタ振動方式の計測器 e)の試験において,1時間の測定周期の初め

における大気流量及び測定周期の終わりにおける大気流量を読み取り,両者の差の設定流量に対す

る百分率を求める。 

2) 圧電天びん方式 大気導入口から大気を導入する。試験開始時に設定流量に大気流量を調整した後,

5日間連続運転を行う(5)。この中間に2回以上,及び5日後の終了時に大気流量を読み取る。これ

らの最大値又は最小値と設定値との差の設定流量に対する百分率を求める。 

注(5) この試験中は,大気流量を調整してはならない。 

備考 光散乱方式の計測器については,この項の試験は行わない。 

i) 

耐電圧 計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱との間に定格周波数の交流1 000Vを1

分間加えて,異常の有無を調べる。 

12 

B 7954 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

j) 

絶縁抵抗 計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱との間の絶縁抵抗を,JIS C 1302に

規定する直流500V絶縁抵抗計で測定する。 

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13 

B 7954 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書3(参考) 吸光方式計測器 

この附属書3(参考)は,吸光方式計測器に関する事柄を記載するもので,規定の一部ではない。 

1. 測定原理 大気中の浮遊粒子状物質をテープ状ろ紙の上に捕集し,捕集前後のろ紙の吸光量,反射量

の変化をタングステンランプなどを光源とし,検出器(光電管,半導体光電変換素子など)によって光電

変換し,相対濃度としての指示値を得る。 

備考 この測定法は,粒子の色・形状によって吸光量が異なるため,測定場所にて標準測定法による

相対質量濃度の補正が必要である。 

2. 性能 測定範囲は,0〜1 000μg/m3から0〜10 000μg/m3の間で任意に選ぶ。 

主な計測器の性能は,次のとおりとする。 

附属書3表1 計測器の性能 

項目 

性能 

繰返し性 

最大目盛値の ±2 % 

ゼロドリフト 

最大目盛値の ±2 % 

スパンドリフト 

最大目盛値の ±3 % 

指示誤差 

最大目盛値の ±5 % 

校正用空気に対する指示値 

質量濃度の  ±10 % 

3. 構成 附属書3図1に示すように,大気導入部,浮遊粒子状物質捕集機構,ろ紙供給機構,光源,光

源安定化回路,検出器,流量制御部及び演算制御器などで構成する。 

附属書3図1 吸光方式計測器の構成例