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B 7951:2004  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本電気

計測器工業会(JEMIMA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正す

べきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS B 7951:1998は改正され,この規格に置き換えられる。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS B 7951には,次に示す附属書がある。 

附属書(参考)定電位電解方式一酸化炭素自動計測器 

B 7951:2004  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 定義 ······························································································································ 1 

4. 計測器の種類及びレンジ ··································································································· 1 

5. 性能 ······························································································································ 2 

6. 構造 ····························································································································· 2 

6.1 構造一般 ······················································································································ 2 

6.2 計測器 ························································································································· 2 

6.3 指示記録計 ··················································································································· 7 

7.性能試験 ························································································································ 7 

7.1 一般事項  ·················································································································· 7 

7.2 試験条件  ·················································································································· 7 

7.3 試験方法  ·················································································································· 8 

8. 試験報告書 ···················································································································· 10 

9. 表示 ····························································································································· 10 

10. 取扱説明書 ·················································································································· 10 

附属書(参考)定電位電解方式一酸化炭素自動計測器 ································································ 12 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 7951:2004 

大気中の一酸化炭素自動計測器 

Continuous analyzer for carbon monoxide in ambient air 

1. 適用範囲 この規格は,大気中の一酸化炭素濃度を連続的に測定するための赤外線吸収方式による自

動計測器(以下,計測器という。)について規定する。 

参考 このほかの測定方式の計測器は,参考として附属書に示す。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 1302 絶縁抵抗計 

JIS K 0002 標準物質−標準ガス−一酸化炭素 

JIS K 0003 標準物質−標準ガス−二酸化炭素 

JIS K 0055 ガス分析装置校正方法通則 

JIS K 0151 赤外線ガス分析計 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0212 分析化学用語(光学部門) 

JIS K 0213 分析化学用語(電気化学部門) 

JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門) 

JIS Z 8103 計測用語 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0211,JIS K 0212,JIS K 0213,JIS K 0215及びJIS 

Z 8103によるほか,次による。 

a) 試料大気 一酸化炭素濃度を測定するために計測器に導入する大気。 

b) 試料ガス 試料大気に含まれる粉じんをダストフィルタによって除去したガス。 

c) ゼロガス 計測器の最小目盛値を校正するために用いるガス。 

d) スパンガス 計測器の最大目盛値を校正するために用いるガス。 

e) ゼロドリフト 計測器の最小目盛に対応する指示値のある期間内の変動。 

f) 

スパンドリフト 計測器の目盛スパンに対応する指示値のある期間内の変動。 

g) 設定流量 計測器で定められた試料大気,校正ガスなどの流量。 

h) コンバータ 試料ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換するもの。 

i) 

ppm 濃度を百万分率で表した体積比率。 

4. 計測器の種類及びレンジ 計測器の種類及びレンジは,表1による。 

なお,レンジは表1で示した間で適切なものを選ぶ。 

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表 1 計測器の種類及びレンジ 

種類 

レンジ(1) ppm 

測定対象物質 

適用条件 

赤外線吸収方式 

0〜5 
から 

0〜100 

一酸化炭素 

特になし 

注(2) このレンジ内で測定目的によって,適切に分割したレンジをもつ。 

5. 性能 計測器は,7.の性能試験を行ったとき,表2の性能を満足しなければならない。 

表 2 性能 

項目 

性能 

試験方法 

繰返し性 

最大目盛値の±2 % 

7.3 a) 

ゼロドリフト 

最大目盛値の±2 % 

7.3 b) 

スパンドリフト 

最大目盛値の±2 % 

7.3 c) 

指示誤差 

最大目盛値の±4 % 

7.3 d) 

最小検出限界 

最大目盛値の1 %以下 

7.3 e) 

応答時間 

2分30秒以下 

7.3 f) 

干渉成分の影響 

最大目盛値の±5 % 
ただし,0〜5 ppmレンジの場合は0.3 ppm以下 

7.3 g) 

試料ガス流量の変化に対する指示値
の安定性 

最大目盛値の±2 % 

7.3 h) 

電源電圧に対する安定性 

最大目盛値の±1 % 

7.3 i) 

耐電圧 

異常を生じてはならない 

7.3 j) 

絶縁抵抗      

5 MΩ以上 

7.3 k) 

6. 構造  

6.1 

構造一般 計測器の構造は,次の各項目に適合しなければならない。 

a) 形状が正しく,組立及び各部の仕上がりが良好で,堅ろうでなければならない。 

b) 通常の運転状態で危険の生じるおそれがなく,安全で円滑に作動しなければならない。 

c) 各部は,容易に機械的・電気的故障を起こさず,危険を生じない構造でなければならない。 

d) 結露などによって計測器の作動に支障を生じない構造でなければならない。 

e) 光源,ヒータなどの発熱部に接する部分は,熱による変形及び機能の変化を起こさない構造でなけれ

ばならない。 

f) 

保守,点検の際,作業しやすく,危険のない構造でなければならない。 

6.2 

計測器  

6.2.1 

計測器の構成 計測器は,図1に例を示す試料採取部,赤外線ガス分析計などで構成する。 

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切換弁

試料大気

ポンプ

流量計

赤外線ガス

分析計

収納部

試料採取部

校正用ガス

指示記録計

図 1 計測器の構成例 

a) 試料採取部 試料大気中に含まれる粉じんを除去し,試料ガスの一定量を分析計に供給するためのも

のである。 

1) 試料大気導入口 試料大気導入管を接続する部分で,内径4〜8 mmの導入管を接続する。 

2) フィルタ ガラス繊維,セルロース繊維又は合成樹脂製のろ紙を用いる。 

3) ポンプ 試料大気などを吸引するポンプで,通常,ダイヤフラムポンプを用いる。 

4) 流量計 フロート形面積流量計などを用いる。例えば,JIS B 7551 フロート形面積流量計 を参考

とする。 

5) 切換弁 試料ガスと校正用ガスとの流路切換の操作を行う弁で,電磁切換弁などを用いる。 

b) 赤外線ガス分析計 物質を構成している分子は,それぞれ特有の原子間振動をもっており,この振動

モードの振動数に応じた波長の光を吸収し,圧力が一定のガス体では濃度に対応した吸収を示す。非

分散型赤外線吸収方式による一酸化炭素分析計は,一酸化炭素の4.7 μm付近における赤外線吸収を

計測することによって,その成分濃度を測定する方法である。赤外線ガス分析計はJIS K 0151に適合

するものを用い,図2に例を示すように,光源,回転セクタ,光学フィルタ,試料セル,比較セル,

検出器,増幅器などで構成する。 



回転セクタ

光学フィルタ

試料ガス 

排出 

試料セル 

比較セル 


モータ

図 2 赤外線ガス分析計の構成例 

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1) 光源 原則としてニクロム線,炭化けい素などの抵抗体に電流を流して加熱したものを用いる。 

2) 回転セクタ 試料セルを通る光と比較セルを通る光とを一定周期で断続し,光学的に変調を行うも

ので,断続周期が1〜60 Hzの交互断続方式又は同時断続方式とする。 

3) 光学フィルタ 試料ガス中に含まれる干渉成分の吸収波長域の赤外線を吸収除去できるもので,ガ

スフィルタ,固体フィルタのいずれか,又はその組み合わせたものを用いる。 

4) 試料セル 試料ガスが流通し,両端の窓から赤外線が透過するものを用いる。 

5) 比較セル 試料セルと同じ形状のもので,アルゴン又は窒素を封入したものを用いる。 

6) 検出器 赤外線の吸収を電気信号に変換するもので,選択的検出器(測定成分ガスなどを適切な分

圧で封入したコンデンサマイクロホン又は熱式流量計)又は非選択的検出器(PbSeなどの半導体検

出器)を用いる。干渉成分の影響を少なくするため,測定成分を検出する主検出器と特定干渉成分

を検出する補償検出器とを組み合わせて用いる場合がある。 

7) 増幅器 検出器の信号を指示記録及び伝送信号に必要な電気信号が得られるように増幅するもので,

増幅回路や演算処理回路などからなる。 

6.2.2 

差量法の赤外線吸収方式による分析計(差量法赤外線ガス分析計) 差量法赤外線ガス分析計は,

JIS K 0151を基本とし,流路を一定周期で切換弁などによって切換え,試料ガスと比較ガス(試料ガス中

の一酸化炭素とをコンバータによって二酸化炭素に変換し,一酸化炭素以外の成分が試料ガスとほぼ同じ

濃度としたゼロガス)を交互に試料セルに導入・測定し,その差量値を測定値とする方式とし,次のサン

プル切り換え式又は流体変調式のいずれかとする。 

a) サンプル切換式 サンプル切替式の分析計は,図3に例を示すように,回転セクタによって光学的に

断続した変調信号を用い,切換弁などによって,試料ガスと比較ガスとを一定周期で交互に試料セル

に導入・測定する方式とし,その差量値を測定値とする。 

図4では二つのガスセルを交互に試料セル及び比較セルとして用いている。 





主検出器

補償検出器

モータ

試料ガス

コンバータ

切換弁

光源

光源

回転セクタ

光学フィルタ




図 3 サンプル切換式分析計の構成例(1) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試料ガス

コンバータ

切換弁

切換弁

光 源

回転セクタ











光学フィルタ

モータ







主検出器

補償検出器

図 4 サンプル切換式分析計の構成例(2) 

1) コンバータ 試料ガス中の一酸化炭素を除去するためのもので,二酸化マンガンと酸化銅の混合物

又は白金などの酸化触媒で構成し,必要に応じて加熱したものを用いる。 

2) 切換弁 試料ガスとコンバータで処理された比較ガスとを数秒〜数十秒の一定周期で流路切換の操

作を行う弁で,電磁切換弁などを用いる。 

b) 流体変調式 流体変調式の分析計は,図5に例を示すように回転セクタを用いないで,切換弁などに

よって試料ガスと比較ガスとを一定周期で交互に試料セルに導入・測定する方式とし,ガス切換によ

って得られた変調信号を用い,その差量値を測定値とする。 

図6では二つのガスセルを交互に試料セル及び比較セルとして用いている。 

試料ガス

コンバータ

切換弁

光源




光学フィルタ








主検出器

補償検出器

図 5 流体変調式分析計の構成例(1) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試料ガス

コンバータ

切換弁

切換弁

光源

光源

光学フィルタ

























主検出器

補償検出器

図 6 流体変調式分析計の構成例(2) 

1) 切換弁 試料ガスとコンバータで処理された比較ガスとを1〜2 Hzの一定周波数で流路切換の操作

を行う弁で,電磁切換弁などを用いる。 

6.2.3 

ガスフィルタ相関法の赤外線吸収方式による分析計(ガスフィルタ相関法赤外線ガス分析計) ガ

スフィルタ相関法赤外線ガス分析計は,JIS K 0151を基本とし,図7に例を示すように,試料ガスを試料

セルに導入し,測定ガス(一酸化炭素を含むガス)と比較ガス(ゼロガス)とを封入したフィルタからな

るガス相関フィルタと回転セクタを一定周期で回転させ,測定ガスフィルタと比較ガスフィルタとで得ら

れる差信号を用い,測定値とする。 

光源

モータ

試料ガス




検出器

回転セクタ

(比較ガスフィルタ)

(測定ガスフィルタ)

ガス相関フィルタ

光学フィルタ

反射ミラー

反射ミラー





図 7 ガスフィルタ相関法分析計の構成例

回転セクタ 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1) ガス相関フィルタ 測定ガス(一酸化炭素を含むガス)及び比較ガス(ゼロガス)を封入した2種

類のフィルタから構成されるものを用いる。 

2) 反射ミラー 大気中の一酸化炭素を測定するのに十分な光路長とするために,試料セル内で光を複

数回反射させるためのもので,赤外線の損失が少ない材質のものを用いる。 

6.3 

指示記録計 一酸化炭素濃度を等分目盛で指示記録するものとする。デジタル表示方式のものは,

測定単位を印字するものとする。 

7. 性能試験  

7.1 

一般事項 指示誤差,耐電圧及び絶縁抵抗以外の各項目については,その計測器の最小目盛範囲に

おける試験結果をもって各レンジごとの性能としてもよい。 

7.2 

試験条件 試験条件は,次のa)〜g)による。 

a) 周囲温度 5〜35 ℃の間の任意の温度で変化幅は5 ℃ 

b) 湿度 相対湿度は85 %以下。 

c) 大気圧 95〜106 kPaで,変化幅は5 kPa(3)。 

注(4) 試験開始時の気圧から±0.5 kPaを超えた場合は,気圧補正をする。 

d) 電源電圧 定格電圧 

e) 電源周波数 定格周波数 

f) 

暖機時間 取扱説明書に記載された時間 

g) 試験用ガス 標準ガス,スパン試験用ガス,ゼロ試験用及び干渉影響試験用ガスとする。 

標準ガスは,JIS K 0002 及びJIS K 0003に規定するものを用いる。3 ppm未満の一酸化炭素標準ガ

スについては,JIS K 0055の附属書(規定)4.に適合するものを用いる。 

その他のガスについては,これらの規格に準じる方法で調製されたものを用いる。 

これらのガスの種類及び適用する試験項目は,表3による。 

なお,水分影響試験用ガスの調製方法は,表3の備考2による。 

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表 3 試験用ガス 

ガスの種類 

成分濃度 

適用試験項目 




ス 

スパンガス 

レンジの80〜100% 
(CM-P5〜CM-P100) 

7.3のd),e),g) 

中間点ガス 

レンジの50%付近 
(CM-P3〜CM-P50) 

7.3のd) 

ゼロガス 

レンジの0% 

7.3のd),e),g) 

二酸化炭素(JIS K 0003) 
(干渉影響試験用ガス) 

1000ppm 
(CD-P1000) 

7.3のg) 

スパン試験用ガス 

レンジの80〜95% 

7.3のa),c),f),h),i) 

ゼロ試験用ガス 

レンジの0〜5% 

7.3のa),b),c),e),f),h),i) 

水分影響試験用ガス 
(干渉影響試験用ガス) 

約2.5% 

7.3のg) 

備考1. スパン試験用ガス及びゼロ試験用ガスとは,標準ガスによってその濃度が確認されたガスとする。 

2. 水分影響試験用ガスの調製方法は,次による。 

a) 水分影響試験用ガス調製装置 水分影響試験用ガス調製装置の構成例を図8に示す。 

1) 加湿器 ガラス製管に水を入れ,試験用ガスが液面に接して流れるようにし,これを恒温槽に入れ

たもので,加湿温度を調節可能なものとする。試験用ガスの加湿に用いる。 

2) 湿度計 計測器に導入される試験用ガスの湿度を測定するもので,乾湿球湿度計,静電容量式湿度

計などを,用いる。 

b) 操作 操作は,次による。 

1) 加湿器に水を入れ,25〜35℃の温度で安定させる。 
2) ゼロガスを流し,試験用計測器を接続した状態で,オーバーフロー流量が約1L/minとなるように絞

り弁で調節する。 

3) 加湿器を通した試験用ガスの相対湿度が,80 %以上であることを確認する。80 %以下のときは,

加湿器温度を調節して80 %以上が得られるようにする。 

気液分離器以降の周囲温度は,25 ℃以上とする。 

3. 高圧ガスの安全取扱方法については,高圧ガス保安法及び環境大気自動測定における高圧ガス管理取扱

手引書等を参考にして安全を確保する。 

図 8 水分影響試験用ガス調製装置(一例) 

ゼロガス 

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7.3 

試験方法 試験方法は,次による。 

a) 繰返し性 ゼロ試験用ガスを設定流量で導入し,最終指示値を確認し記録した後,スパン試験用ガス

を同様に導入し,最終指示値を確認し記録する。この操作を3回繰り返し,ゼロ値,スパン値の各々

の平均値を算出し,各測定値と平均値との差の最大目盛値に対する百分率を求める。 

b) ゼロドリフト ゼロ試験用ガスを設定流量で導入し,必要な場合はゼロ値を最大目盛値の5%程度に

設定して,24時間連続測定を行う。この間におけるゼロ指示値の初期の指示値からの最大変動幅の最

大目盛値に対する百分率をゼロドリフトとする。 

c) スパンドリフト ゼロドリフト試験において,試験開始時,試験終了時(24時間後)及び中間に2回

以上(2)ゼロ試験用ガスに代えてスパン試験用ガスを導入し,指示値を記録する。この間におけるスパ

ン指示値の初期の指示値からの最大変動幅の最大目盛値に対する百分率をスパンドリフトとする(3)。 

なお,ゼロドリフトの影響が見られるときは,スパン指示値からその変動分を補正する。 

注(5) 各スパン測定点の測定時間間隔は,4時間以上離れていなければならない。 

(6) 大気圧変化に対する指示値への影響を自動補正する機能がない計測器において大気圧の影響が

見られるときは,次の式を用いて大気圧の変動分を補正したものを,スパンドリフトとする。

ただし,計測器に大気圧変化に対する指示値への影響量が示されている場合はその値を用いて

補正する。 

100

×

×

=

F

C

P

P

C

D

si

s

i

s

S

ここに, 

Ds: スパンドリフト(%) 

Cs: スパン指示値(ppm) 

Csi: 初期スパン指示値(ppm) 

F: 最大目盛値(ppm) 

Pi: 初期大気圧(kPa) 

Ps: スパン指示値時の大気圧(kPa) 

d) 指示誤差 ゼロ校正,スパン校正を行った後,中間点ガスを導入し,指示値を記録する。この指示値

と中間点ガスの表示濃度との差の最大目盛値に対する百分率を求めて指示誤差とする。 

e) 最小検出限界 ゼロ,スパン校正を行った後,ゼロ試験用ガスを設定流量で導入し,指示記録させる。

2分間隔で25点以上の指示を読み,標準偏差(sx0)を求める。その標準偏差の2倍の最大目盛値に対す

る百分率を最小検出限界(χ)とし,次の式によって求める。 

100

2

=Fs

x

x

ここに, 

sx0: ゼロ試験用ガスによる指示値の標準偏差(ppm) 

F: 最大目盛値(ppm) 

備考 指示値の平滑(移動平均)時間を可変できる計測器にあっては,表2で要求される性能(応答

時間)を満たす設定範囲で行わなければならない。 

f) 

応答時間 試料大気導入口から設定流量のゼロ試験用ガスを導入し,指示安定後,流路をスパン試験

用ガスに切り換える。このときの指示記録において,スパン試験用ガスの導入の時点から最終指示値

の90%値に達するまでの時間を測定し,応答時間とする。 

10 

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g) 干渉成分の影響 ゼロ校正,スパン校正を行った後,干渉影響試験用ガスを導入し,そのときの指示

値の最大目盛値に対する百分率を求める。0〜5 ppmレンジの場合はその指示値を読む。 

h) 試料ガスの流量の変化に対する指示値の安定性 設定流量のスパン試験用ガスを導入し,指示が安定

したときの値をAとする。次に流量を設定値から+5%変化させ,指示が安定したときの値をBとす

る。さらに流量を設定値から−5%変化させ,指示が安定したときの値をCとする。B−A,C−Aの値の

最大目盛値に対する百分率を求める。 

i) 

電源電圧に対する指示値の安定性 電源電圧を定格電圧にしてスパン試験用ガスを導入し,指示が安

定したときの値をAとする。次に電源電圧を定格電圧の+10 %に変化させ,指示が安定したときの

値をBとする。さらに電源電圧を定格電圧の−10 %に変化させ,指示が安定したときの値をCとする。

B−A,C−Aの値の最大目盛値に対する百分率を求める。 

j) 

耐電圧 電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱(接地端子)との間に定格周波数の交流1 000 V

を1分間加えて,異常の有無を調べる。 

k) 絶縁抵抗 電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱(接地端子)との間の絶縁抵抗を,JIS C 1302

に規定する直流500 V絶縁抵抗計で測定する。 

8. 試験報告書 作成する報告書は,5.の各項目について,7.による試験条件,試験結果などについての内

容を記述する。また,必要に応じて次の項目について記載する。 

a) この規格に関する内容 

b) 校正方法についての内容 

c) 校正についての結果 

d) 特記事項 

9. 表示 計測器には,見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならない。 

a) 名称及び製造業者が指定する形名 

b) 測定対象成分 

c) 測定濃度範囲 

d) 使用温度範囲 

e) 定格電圧,定格周波数及び容量 

f) 

製造業者名又はその略号 

g) 製造年月 

h) 製造番号 

備考 これらの表示は,1か所にまとめて表示しなくてもよい。 

10. 取扱説明書 取扱説明書には,少なくとも次の事項を記載しなければならない。 

a) 設置場所 

b) 試料大気の温度,流量,ダスト濃度及び干渉成分のそれぞれの許容範囲 

c) 試料大気の前処理方法 

d) 配管及び配線 

e) 暖機時間 

f) 

使用方法 

11 

B 7951:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1) 測定の準備及び校正 

2) 測定操作 

3) 測定停止時の処置 

g) 保守点検 

1) 日常点検の指針 

2) 定期点検の指針 

3) 流路系の清掃 

4) 故障時の対策 

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B 7951:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書(参考)定電位電解方式一酸化炭素自動計測器 

この附属書は,定電位電解方式一酸化炭素自動計測器に関する事柄を記載するもので,規定の一部では

ない。 

1. 原理 ガス透過性隔膜,作用電極,対電極などを備えた検出器(電解セル),定電位電源,増幅器など

で構成され,ガス透過性隔膜を通じて電解液中に拡散吸収された一酸化炭素が,定電位電解によって酸化

されたときに得られる電解電流を測定し,大気中の一酸化炭素濃度を連続的に求める。 

2. 性能 レンジ0〜20 ppm から0〜100 ppm における主な性能は,次による。 

a) 繰返し性 最大目盛値の±2 %とする。 

b) ドリフト 4時間におけるゼロ及びスパンドリフトは,最大目盛値の±2 %とする。 

c) 応答時間 計測器本体の90 %応答時間は,2分30秒以下とする。 

3. 構成 計測器は附属書図1のように,ガス透過性隔膜,作用電極,対電極などを備えた検出器(電解

セル),定電位電源,増幅器などからなる。 

附属書図 1 定電位電解計測器の構成例