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B 7094 : 1997  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによってJIS B 7094-1978は改正され,この規格に置き換えられる。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 7094 : 1997 

写真レンズ−焦点距離の測定方法 

Photographic lenses−Measurement of the focal length 

序文 この規格は,1996年に第2版として発行されたISO 517 (Photography−Apertures and related properties 

pertaining to photographic lenses−Designations and measurements) を元に,この規格で規定する部分について

は,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定されていない

項目[測定方法2(遠方の物体による方法)及び測定方法3(ノーダルスライド方法)]を日本工業規格と

して追加している。 

なお,ISO 517の規定は,日本工業規格では3分割し,JIS B 7094,JIS B 7095及びJIS B 7106に規定して

いる。 

1. 適用範囲 この規格は,写真レンズ(以下,レンズという。)の焦点距離の測定方法について規定する。 

ただし,物空間及び/又は像空間の媒質が,空気以外のレンズ及びアナモフィックレンズには適用しな

い。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

ISO 517 : 1996 Photography−Apertures and related properties pertaining to photographic lenses−

Designations and measurements 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。この引用規格は,その最新版を適用する。 

JIS Z 8120 光学用語 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 8120によるほか,次による。 

a) 焦点距離 レンズの光軸と小さい角θをなす方向にある無限遠物点のレンズによってつくられた像点

が,光軸からy′ (mm) の距離にあるとき,レンズの焦点距離は,式(1)で表す(図1参照)。 

θ

θ

tan

'

lim0

y

f

=

 ·········································································· (1) 

ここに, f: 焦点距離 (mm) 

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B 7094 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注 物点の高さは正 (+) ,像点の高さは負 (−) ,角度は正。 

図1 写真レンズの焦点距離を求めるときの無限遠物点と像点の高さ,入射角の符号の関係[3.a)参照] 

b) 写真レンズ 写真感光材料上に物体の像をつくるために用いるレンズ。引伸し用レンズ,製版用レン

ズなども含む。 

4. 測定方法 

4.1 

測定方法の種類 測定方法は,次の4種類とする。 

a) 測定方法1(焦点距離比較方法) 

b) 測定方法2(遠方の物体による方法) 

c) 測定方法3(ノーダルスライド方法) 

d) 測定方法4(外挿方法) 

備考 測定方法2は,魚眼レンズには適用しない。 

4.2 

測定条件 測定条件は,次による。 

a) 測定には,波長546.07nm[水銀のe線(緑)]の単色光又はこれに準じる光を用いる。ただし,特定

波長域で使用することを目的とするレンズ,又は特に測定光の分光特性が指定されるレンズでは,そ

のレンズの使用目的に適応した単色光若しくはこれに準じる光,又は指定された分光特性の光を用い

る。 

b) 測定時の被験レンズの絞り目盛は,最大口径比が1:5.6以上のレンズでは5.6とし,それ未満のレン

ズでは最大口径比に相当する絞りとする。ただし,測定時の絞りが特に指定される場合には,その指

定された絞り目盛による。 

c) 拡大像をつくることを目的とするレンズなどは,測定に際し,入射光線束をそれぞれのレンズの指定

された側から入射させる。 

d) 被験レンズの撮影距離目盛は,無限遠に合わせる。ただし,測定時の撮影距離目盛の合わせ方に特に

指定のある場合には,その指定された目盛に合わせる。 

e) 測定にコリメータを使用する場合には,コリメータレンズの収差が被験レンズの焦点距離測定値に影

響しない程度に小さいことが必要であり,また,その開口は,測定状態にある被験レンズの開口より

も十分に大きくなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.3 

測定方法1(焦点距離比較方法) 既知の焦点距離をもつコリメータレンズの焦点面に既知の大きさ

をもつ物体を置き,コリメータレンズに正対した被験レンズの焦点面にその物体の像を結ばせて像の大き

さを測定する。ただし,物体の大きさはコリメータレンズの焦点距離の501以下でなければならない。また,

コリメータレンズの焦点距離は,少なくとも被験レンズの焦点距離の3倍以上のものを使用する。 

被験レンズの焦点距離は,式(2)によって求める。 

y

y

f

f

'

0

=

 ················································································ (2) 

ここに, 

f: 被験レンズの焦点距離 (mm) 

f0: コリメータレンズの焦点距離 (mm) 

y: 物体の大きさ(コリメータレンズの焦点面) (mm) 

y': 像の大きさ(被験レンズの焦点面) (mm) 

備考1. この方法では,被験レンズの焦点面に既知の大きさ (y') の物体を置き,コリメータレンズの

焦点面でその像の大きさ (y) を測定することで被験レンズの焦点距離を算出してもよい。た

だし,この場合には物体の大きさが被験レンズの焦点距離の501以下でなければならない。 

2. 像の観察には,全倍率が約50倍の顕微鏡を使用する。 

3. 物体には,0.002mmの正確さで目盛を彫ったスケールを使用する。 

図2 測定方法1 

4.4 

測定方法2(遠方の物体による方法) 被験レンズから,その焦点距離の公称値又は設計値の1 000

倍以上の距離にある物体に被験レンズを正対させ,被験レンズを通してその像面内に物体の像を結ばせて,

像の一端を光軸に一致させた状態で像の大きさ (y') を測定する。この場合,被験レンズの位置から物体を

見込む角θは,被験レンズの最大画角の101以下であって,その値はあらかじめ測定されていなければなら

ない。被験レンズの焦点距離 (f) は,4.6の式(3)によって求める。 

4.5 

測定方法3(ノーダルスライド方法) コリメータレンズの光軸に平行な光学ベンチ上に,この光軸

とほぼ一致する光軸をもつ顕微鏡と光軸方向に移動できるしゅう(摺)動台を載せた回転台(ノーダルス

ライド台)を図3のように配置し,次の手順によって測定する。 

なお,この方法に用いる顕微鏡対物レンズの開口数は0.1以上とする。 

a) 回転台の回転軸は,顕微鏡の光軸を含む面内で光軸と直交させ,コリメータの焦点面には,回転軸と

平行で,かつコリメータレンズの焦点を通る標線を置く。 

b) 被験レンズをコリメータに正対させてしゅう動台に取り付け,被験レンズによる標線の像が明りょう

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B 7094 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

に見えるように顕微鏡の位置を調節しながらしゅう動台を光軸に沿って前後に移動させ,回転台をわ

ずかに回転しても観測する標線の像が横移動しなくなる被験レンズの位置を見い出したところで顕微

鏡の位置を光学ベンチ上で読み取る。 

c) 次に,被験レンズの代わりに標線を彫刻した標板の彫刻面を顕微鏡側に向け,かつ,標線が回転台の

回転軸と平行になるようにしゅう動台に取り付ける。標線の像が明りょうに見えるように顕微鏡の位

置を調節しながら,b)と同様に標線の像が横移動しなくなる標板の位置をしゅう動台の前後移動によ

って見い出したところで顕微鏡の位置を光学ベンチ上で読み取る。 

d) 被験レンズの焦点距離は,b)及びc)での顕微鏡位置の読みの差から求める。 

図3 測定方法3 

4.6 

測定方法4(外挿方法) 図4に示すように,被験レンズの焦点面に目盛板を置き,物体側節点を中

心に回転できる十字線付き望遠鏡を用いて目盛板を観測する。 

レンズの焦点距離fは,式(1)の像高の絶対値y'に相当する幾つかの目盛の長さlとそれに対応する角θの

測定値とから式(3)によってfを計算し,外挿法によってθ→0のときの値を定める。 

θ

tan

1

=

f

 ················································································· (3) 

ここに, f: 被験レンズの焦点距離 (mm) 
 

l: 目盛の長さ (mm) 

図4 測定方法4 

5. 測定値の記録 焦点距離の測定値を記録する場合には,次の事項を付記する。 

B 7094 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 被験レンズの名称,その他(最大口径比の呼び,焦点距離の呼び,製造番号など) 

b) 測定方法の種類 

c) 測定光の分光特性(光源の種類,併用されるフィルタの分光特性など) 

d) 測定時の焦点距離目盛(焦点距離が可変のレンズの場合) 

e) 測定時の絞り目盛及び撮影距離目盛(特に指定がある場合) 

関連規格:JIS B 7095 写真レンズ−有効口径,Fナンバ及び口径比の測定方法 

JIS B 7106 写真レンズ−絞り目盛 

JIS B 7094 改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

一 色 真 幸 

東京工芸大学工学部 

(委員) 

大 頭   仁 

早稲田大学理工学部 

久 保 走 一 

東京工芸大学芸術学部 

◎ 近 藤 英 樹 

日本大学芸術学部 

横 田 英 嗣 

東海大学工学部 

中 嶋   誠 

通商産業省機械情報産業局 

本 間   清 

通商産業省工業技術院標準部 

山 村 修 蔵 

財団法人日本規格協会 

青 野 康 廣 

株式会社ニコン 

○ 菊 池 寿 郎 

オリンパス光学工業株式会社 

北 岸   望 

キヤノン株式会社 

工 藤 吉 信 

ミノルタ株式会社 

○ 河 本 眞 介 

旭光学工業株式会社 

○ 鈴 木 憲 章 

元日本写真機工業会 

池 田   稔 

写真流通商社連合会 

市 川 泰 憲 

株式会社写真工業出版社 

岩 本   啓 

全日本写真材料商組合連合会 

鎌 田   環 

国民生活センター 

古 川 哲 夫 

財団法人日本消費者協会 

松 下 百合子 

社団法人日本写真協会 

(事務局) 

竹 田 尚 義 

日本写真機工業会 

(◎印は小委員会委員長,○印は小委員会委員を兼ねる。)