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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 7025-1995 

時計−精度表示 

Watches and clocks−Accuracy indication 

1. 適用範囲 この規格は,水晶時計に適用し,時間精度の表示を行う場合の,精度の試験方法,精度の

計算及び精度の計算値と表示精度との関係について規定する。 

備考1. 水晶時計とは,ムーブメントとして水晶発振子を用いる時計をいう。 

2. 次の時計については,適用しない。 

(1) 航空機用・船舶用・車両用の時計,設備時計などの特定用途のもの。 

(2) 他の製品に組み込まれた時計。 

(3) 標準電波で時刻を規正する時計。 

3. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS B 7001 時計−試験方法 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS B 7001によるほか,次のとおりとする。 

(1) 月差 1か月間の進み遅れの累積値。 

(2) 年差 1か年間の進み遅れの累積値。 

(3) エージング 精度が,時間とともに変化すること。 

(4) 平均月差 1年を通して測定した月差の平均値。 

3. 試験方法 

3.1 

一般試験条件 一般試験条件は,次のとおりとする。 

(1) 指示差又は歩度の測定装置の精度は,月差表示の時計の場合0.01s/d以下とし,年差表示の時計の場合

0.001s/d以下とする。 

(2) 測定姿勢は,各試験ごとに,任意の一姿勢とする。 

(3) 温度試験が,エージング試験の初期に影響することを避けるため,エージング試験の後に温度試験を

行う。 

3.2 

エージング試験 エージング試験は,表1のエージング試験プログラムに従って行う。II期,V期

及びVIII期で各3日間,指示差又は歩度を測定し,日差に換算してその算術平均値を算出する。 

なお,エージング試験は,年差表示の時計に限って適用する。 

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B 7025-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1 エージング試験プログラム 

期 

試験項目 

日数 

記号 

試験条件 

温度 

相対湿度 

ウオッチ 

クロック 

ならし 

23±0.5℃ 

23±1℃ 

(50±5) % 

II 

指示差又は歩度の測定 

Mb 

III 

放置 

24 

23±5℃ 

(50±20) % 

IV 

ならし 

23±0.5℃ 

23±1℃ 

(50±5) % 

指示差又は歩度の測定 

Mm 

VI 

放置 

24 

23±5℃ 

(50±20) % 

VII 

ならし 

23±0.5℃ 

23±1℃ 

(50±5) % 

VIII 

指示差又は歩度の測定 

Me 

ここに, Mb:エージング試験の始め,すなわち,II期の日差の算術平均値 (s/d) 

Mm:エージング試験の中間,すなわち,V期の日差の算術平均値 (s/d) 

Me:エージング試験の終わり,すなわち,VIII期の日差の算術平均値 (s/d) 

3.3 

温度試験 温度試験は,季節の温度変化のシミュレーションとして定めた,表2の温度試験プログ

ラムに従って行う。II期,III期,IV期及びV期で各3日間,指示差又は歩度を測定し,日差に換算して

その算術平均値を算出する。 

なお,各期の温度の移行速度は,20分間につき10℃とする。 

表2 温度試験プログラム 

期 

試験項目 

日数 

記号 

試験条件 

温度 

相対湿度 

ウオッチ 

クロック 

ならし 

25±0.5℃ 

20±1℃ 

(50±20) % 

II 

春のシミュレーション 

Mp 

25±0.5℃ 

20±1℃ 

III 

夏のシミュレーション 

Ms 

35±0.5℃ 

30±1℃ 

IV 

秋のシミュレーション 

Ma 

25±0.5℃ 

20±1℃ 

冬のシミュレーション 

Mw 

15±0.5℃ 

10±1℃ 

ここに, Mp:春のシミュレーションにおける日差の算術平均値 (s/d) 

Ms:夏のシミュレーションにおける日差の算術平均値 (s/d) 

Ma:秋のシミュレーションにおける日差の算術平均値 (s/d) 

Mw:冬のシミュレーションにおける日差の算術平均値 (s/d) 

3.4 

電圧試験 電圧試験は,表3に従って行う。ただし,電圧の許容差は,0〜+0.01Vとする。 

なお,電圧試験は,酸化銀電池又はリチウム電池以外の電池を使用したクロックに限って適用する。 

表3 電圧試験 

試験項目 

記号 

試験条件 

温度 

相対湿度 

定格電圧における歩度 (s/d) 

m1 

23±1℃ 

(50±20) % 

定格電圧の90%における歩度 (s/d) 

m2 

4. 精度の計算 精度の計算は,次のとおりとする。 

なお,1か月は30日,1か年は12か月,すなわち,360日として計算する。 

(1) エージングに起因する精度は,式(1)によってa,式(2)によってcを求め,式(3)によってVaを計算する。 

B 7025-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

)

60

1

ln(

)

30

1

ln(

b

e

b

m

a

a

M

M

M

M

+

+

=

 ······························································· (1) 

)

60

1

ln(

b

e

a

M

M

c

+

=

 ··········································································· (2) 

c

a

a

a

c

dt

at

c

V

360

)

360

1

ln(

)

360

1(

)

1

ln(

360

0

a

+

+

=

+

=∫

 ······················································ (3) 

ここに, 

a: 適用された対数関数の係数 (d-1) 

c: 適用された対数関数の係数 (s/d) 

t: 変化時間 (d) 

Va: エージングによる1年間の日差の累積値 (s) 

(2) 温度の季節変化に起因する精度は,式(4)によってVtを計算する。 

Vt=90 (Mp+Ms+Ma+Mw)  ·························································· (4) 

ここに, Vt: 温度の季節変化による1年間の日差の累積値 (s) 

(3) 電圧の変化に起因する精度は,式(5)によってVeを計算する。 

n

m

m

V

)

(

180

1

2

e

=

 ····································································· (5) 

ここに, Ve: 電池の電圧変化による1年間の日差の累積値 (s) 
 

n: 時計の電池寿命表示値 (y) 

5. 精度の計算値と表示精度との関係 精度の計算値と表示精度との関係は,次のとおりとする。 

(1) ウオッチ及び酸化銀電池又はリチウム電池を使用したクロックは,式(6)又は式(7)を満足しなければな

らない。 

12

t

m

V

A≧

平均月差表示の場合:

 ·················································· (6) 

a

tV

V

A

+

年差表示の場合:y

 ··················································· (7) 

ここに, Am: 平均月差表示値 
 

Ay: 年差表示値 

(2) 酸化銀電池又はリチウム電池以外の電池を使用したクロックは,式(8)又は式(9)を満足しなければなら

ない。 

12

e

t

m

V

V

A

+

平均月差表示の場合:

 ············································· (8) 

e

a

t

V

V

V

A

+

+

年差表示の場合:y

 ·············································· (9) 

6. 表示 精度の表示は,5.の結果によって行う。ウオッチ及びクロックともに,平均月差±Am秒又は年

差±Ay秒とする。 

なお,精度の表示の値±Am秒及び±Ay秒は,次の値から選択する。 

B 7025-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

±3秒・±5秒・±10秒・±15秒・±20秒・±30秒 

例1. 精度:平均月差±15秒 

例2. 精度:年差±20秒 

JIS B 7025 制定原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

石 坂 昭 夫 

東海大学 

(幹事) 

○ 池 西 正 孝 

セイコー電子工業株式会社 

藤 野 達 夫 

通商産業省機械情報産業局 

○ 山 村 修 蔵 

工業技術院標準部 

加 山 英 男 

財団法人日本規格協会 

蔵 並 隆 二 

国民生活センター 

佐 藤 憲 章 

東京都消費者センター 

剣 持 敏 一 

財団法人日本消費者協会 

柴 田 輝 子 

主婦連合会 

石 川 幸 子 

消費科学連合会 

吉 田   宏 

全日本時計宝飾眼鏡商業協同組合連合会 

齋 藤 有 常 

日本百貨店協会 

上 村   勇 

社団法人日本時計輸入協会(日本デスコ株式会社) 

○ 原 田   猛 

株式会社服部セイコー 

○ 廣 瀬 光 博 

シチズン時計株式会社 

○ 青 木   亘 

オリエント時計株式会社 

○ 伏 見   均 

カシオ計算機株式会社 

○ 斉 藤   博 

株式会社精工舎 

○ 寺 島 国 光 

リズム時計工業株式会社 

浅 川 史 朗 

社団法人日本時計協会 

(事務局) 

○ 樫 村 寿 文 

社団法人日本時計協会 

○ 中 野 彰 一 

社団法人日本時計協会 

備考 ○印は分科会委員