B 0090-5:2010 (ISO 10110-5:2007)
(1)
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 表面形状偏差に対する公差の指示 ························································································ 2
4.1 一般 ···························································································································· 2
4.2 単位 ···························································································································· 2
4.3 波長 ···························································································································· 2
5 図面指示························································································································· 3
5.1 一般 ···························································································································· 3
5.2 コード番号 ··················································································································· 3
5.3 指示方法 ······················································································································ 3
5.4 位置 ···························································································································· 4
6 公差指示の例 ··················································································································· 4
附属書A(参考)サジッタ偏差の公差と曲率半径の公差との関係··················································· 6
B 0090-5:2010 (ISO 10110-5:2007)
(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本光学工業協会
(JOIA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの
申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS B 0090-5:2001は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
JIS B 0090の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS B 0090-1 第1部:通則
JIS B 0090-2 第2部:材料欠陥−応力複屈折
JIS B 0090-3 第3部:材料欠陥−泡及び異物
JIS B 0090-4 第4部:材料欠陥−不均一性及び脈理
JIS B 0090-5 第5部:表面形状公差
JIS B 0090-6 第6部:偏心公差
JIS B 0090-7 第7部:表面欠陥許容値
JIS B 0090-8 第8部:面の肌
JIS B 0090-9 第9部:表面処理及びコーティング
JIS B 0090-10 第10部:光学素子及び接合部品のデータ表示表
JIS B 0090-11 第11部:公差表示のないデータ
JIS B 0090-12 第12部:非球面
JIS B 0090-14 第14部:波面形状公差
JIS B 0090-17 第17部:レーザ放射による損傷しきい値
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日本工業規格 JIS
B 0090-5:2010
(ISO 10110-5:2007)
光学素子及び光学システム用の製図手法−
第5部:表面形状公差
Preparation of drawings for optical elements and systems-
Part 5 : Surface form tolerances
序文
この規格は,2007年に第2版として発行されたISO 10110-5を基に,技術的内容及び構成を変更するこ
となく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,製造及び検査に用いる製図における光学素子及び光学システムに対する設計上及び機能上
の要求事項の表記方法のうち,表面形状公差の指示方法について規定する。
この規格は,球面及び非球面の両方に適用する。
注記1 この規格は,干渉計測法の用語を,公差の指示,特に公差を指示する単位に対して適用して
いる。しかし,これは光学部品の実際の検査に干渉的方法だけを用いることができるという
意味ではない。ここで規定する単位に結果を変換する場合は,他の非干渉的方法を用いても
よい。
注記2 JIS B 0090-12は,この規格を引用することなく規定した非球面の表面形状公差について規定
している。
注記3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 10110-5:2007,Optics and photonics−Preparation of drawings for optical elements and systems
−Part 5 : Surface form tolerances (IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0090-1 光学素子及びシステム用の製図手法−第1部:通則
注記 対応国際規格:ISO 10110-1,Optics and photonics−Preparation of drawings for optical elements
and systems−Part 1 : General(IDT)
JIS B 0090-10 光学素子及びシステム用の製図手法−第10部:光学素子及び接合部品のデータ表示表
注記 対応国際規格:ISO 10110-10,Optics and photonics−Preparation of drawings for optical elements
2
B 0090-5:2010 (ISO 10110-5:2007)
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and systems−Part 10 : Table representing data of optical elements and cemented assemblies(IDT)
JIS B 0091 光学素子及び光学システムの干渉測定−表面形状及び波面形状公差の用語及び定義
注記 対応国際規格:ISO 14999-4,Optics and photonics−Interferometric measurement of optical
elements and optical systems−Part 4 : Interpretation and evaluation of tolerances specified in ISO
10110(IDT)
JIS B 7090 光学及び光学機器−基準波長
注記 対応国際規格:ISO 7944,Optics and optical instruments−Reference wavelengths(MOD)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0091による。
4
表面形状偏差に対する公差の指示
4.1
一般
表面形状偏差の公差は,サジッタ偏差,イレギュラリティ及び/又は回転対称なイレギュラリティの最
大許容値によって指示する。これに加えて,表面形状偏差の三つの二乗平均平方根(全rms,rmsイレギュ
ラリティ及びrms回転非対称なイレギュラリティ)による公差を指示してよい。これら三つの用語の定義
はJIS B 0091の3.3を参照。
表面形状偏差のすべての形式に対する公差は,必ずしも指示する必要はない。
注記 任意の面のサジッタ偏差,イレギュラリティ及び回転対称なイレギュラリティの量を求める方
法は,JIS B 0091による。
4.2
単位
サジッタ偏差,イレギュラリティ及び回転対称なイレギュラリティの最大許容値は,しまの本数又はナ
ノメートルの単位で指示する。しまの本数を用いる場合には,表面形状偏差は,波面偏差で表されている。
ナノメートルを用いる場合は,面の実際の高さ偏差である。混乱を引き起こすおそれがあるので,表面形
状偏差に“光の波長”を単位として用いることは望ましくない。
面を干渉的方法によって垂直入射の反射光で検査する場合は,光の波長の半分の面形状偏差が1波長分
の波面偏差を引き起こす。これによって明じまから次の明じま,又は暗しまから次の暗しままで光の強度
が変化する(すなわち,“1本のしま”として見える)干渉パターンとなる。
表面形状に一つ以上のrms形式の指示をする場合は,しまの本数,又は望ましい場合にはナノメートル
の単位で指示しなければならない。
注記1 1本のしまは,ニュートンゲージ,又はダブルパス干渉計による検査の場合は,実際の表面
形状偏差としては1×1/2×波長(ナノメートル表示)で指示する。
注記2 rms偏差形式によって公差を指示する場合は,その光学システムはデジタル干渉計で解析す
る必要がある。
4.3
波長
波長は,特記のない限り,JIS B 7090に従い,水銀の緑のスペクトル線(e線)の波長λ=546.07 nmで
ある。
注記 ある基準波長を用いたしまの本数は,他の基準波長を用いたしまの本数に次の式を用いて変換
することができる(JIS B 0091の4.6参照)。
3
B 0090-5:2010 (ISO 10110-5:2007)
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2
1
1
2
λ
λ
λ
λ
×
=N
N
ここに,
Nλ1: (波長)λ1のしまの本数
Nλ2: (波長)λ2のしまの本数
5
図面指示
5.1
一般
表面形状公差は,コード番号(5.2参照),サジッタ偏差,イレギュラリティ,回転対称なイレギュラリ
ティ及び/又はrms偏差形式に対する公差として指示しなければならない。
すべての量には,その単位を指示しなければならない。単位を指示しない場合は,単位はしまの本数で
あるとみなす。
5.2
コード番号
表面形状公差のコード番号は,“3/”とする。
5.3
指示方法
指示は,次の三つのうち一つを使用する。
− 3/A(B/C);λ=E
− 3/A(B/C) RMSx<D;λ=E
(xは,JIS B 0091の3.3に規定するt,i又はaのいずれか)
− 3/―RMSx<D;λ=E
(xは,JIS B 0091の3.3に規定するt,i又はaのいずれか)
λ=546.07 nmの場合,“λ=E”(3種類の形式の最後に指示する項目)は省略することができる。
量Aは,次のいずれかである。
a) JIS B 0091の3.3.1に定義するしまの本数で表したサジッタ偏差の最大許容値。
b) 全曲率半径公差を曲率半径寸法で指示していることを示す横線“―”(ただし,平面には適用しない。)
注記 附属書Aに示した式を用いて,曲率半径公差をサジッタ偏差の公差に変換することが多い。
量Bは,次のいずれかである。
a) JIS B 0091の3.3.2に定義するナノメートル又はしまの本数で表したイレギュラリティの最大許容値。
b) イレギュラリティ公差を指示していないことを示す横線“―”。
量Cは,JIS B 0091の3.3.3に定義するナノメートル又はしまの本数で表した回転対称なイレギュラリ
ティの許容値である。この公差を指示しない場合は,斜線“/”を,閉じる括弧“)”で置き換える。すな
わち,3/A(B)とする。
公差を三つの偏差形式(A,B,C)のどの形式でも指示しない場合は,A,B,C,斜線“/”及び括弧“)”
は,一つの横線“─”で置き換える。すなわち,3/―とする。
量Dは,xで指示する形式のrms量の最大許容値である。ここに,xは,t(全rms),i(rmsイレギュラ
リティ)又はa(rms回転非対称なイレギュラリティ)のいずれかの文字である。これらの三つの偏差の定
義は,JIS B 0091の3.3.5,3.3.6及び3.3.8による。一つ以上の形式のrms偏差を指示してもよい。これら
の指示は,箇条6の例5に示すように“;”(セミコロン)で分離する。
量Eは,表面形状偏差を指示するための波長であり,ナノメートルで表す。
4
B 0090-5:2010 (ISO 10110-5:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表面形状公差は,光学的有効範囲内に適用する。ただし,光学的有効範囲よりも小さな,任意の被検領
域を,光学的有効範囲内のいずれの位置についても適用する場合には,公差表示に被検領域の直径を次の
ように追記する。
− 3/A(B/C) RMSx<D (allφ…)
公差指示の例については,箇条6の例3を参照。
この規格は,全表面形状偏差[サジッタ偏差及びイレギュラリティの両方を含む(JIS B 0091の3.2.3参
照)。]の最大高低差(PV)を公差として指示する方法は規定しない。このような指示が必要な場合には,
その情報は,例えば,“全表面形状偏差は0.25波長以下である”,又は,“全表面形状偏差は150 nm以下で
ある”のように図面に注記として指示する。
注記 このような指示は,例えば,干渉計のオプティカルフラットに対し有効である。
5.4
位置
位置は,該当面への引出し線によって指示する。また,偏心公差及び表面欠陥許容値も併せて指示する。
この指示の例は,JIS B 0090-1の附属書Aを参照。
レンズ素子に対しては,上記指示の代わりに,JIS B 0090-10に従って表で指示することもできる。
二つ以上の光学素子が接合(又は,オプティカルコンタクト)されることになるとき,個々の素子に指
示した表面形状公差は,特記のない限り接合(又は,オプティカルコンタクト)後の光学的部分組立部品
の各面にも適用する(JIS B 0090-1の4.8.3参照)。
6
公差指示の例
この規格による公差指示の例及びその説明は,次による。
例1 3/3(1)
サジッタ偏差の公差は,3本である。イレギュラリティは,1本以下である。
例2 3/5(─) RMSi<0.05
サジッタ偏差の公差は,5本である。イレギュラリティと回転対称なイレギュラリティに対
する特定の公差は,指示しないが,イレギュラリティのrms値は,0.05本未満である。
例3 3/3(1/0.5);λ=632.8 nm (allφ20)
サジッタ偏差の公差は,3本である。全イレギュラリティは,1本以下である。回転対称な
イレギュラリティは,0.5本以下である。これらの公差は,直径20 mmの被検領域が光学的
有効範囲内のいずれの位置にあっても適用する。すべての面形状偏差を規定する波長は,λ=
632.8 nmである。
注記 ナノメートル表示の場合:3/949.2 nm(316.4 nm/158.2 nm)(allφ20)
例4 3/─(1)
サジッタ偏差の公差は指示しないが,曲率半径の公差は,曲率半径表示方式で指示する。全
イレギュラリティは,1本以下である。
注記 曲率半径の公差を指示しない場合は,JIS B 0090-11の表1を適用する。
例5 3/─RMSt<0.07;RMSa<0.035;λ=405 nm
サジッタ偏差,イレギュラリティ,及び回転対称なイレギュラリティについての公差は指示
しないが,曲率半径の公差は,曲率半径表示方式で指示する。しかし,面を望ましい理論面と
比較するときは,全rms及びrms回転非対称なイレギュラリティは,それぞれ0.07本及び0.035
本未満でなければならない。すべての面形状偏差を規定する波長は,λ=405 nmである。
5
B 0090-5:2010 (ISO 10110-5:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注記 曲率半径の公差を指示しない場合は,JIS B 0090-11の表1を適用する。
例6 3/600 nm (300 nm/150 nm) (allφ20)
サジッタ偏差の公差は,600 nmである。全イレギュラリティは,300 nm未満でなければなら
ない。回転対称なイレギュラリティは,150 nm未満でなければならない。これらの公差は,直
径20 mmの被検領域が光学的有効範囲内のどこの位置にあっても適用する。
6
B 0090-5:2010 (ISO 10110-5:2007)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
サジッタ偏差の公差と曲率半径の公差との関係
比∆R/Rが小さい場合は,曲率半径寸法公差に相当するしまの最大許容本数Nは,次の式による。
−
−
×
≈
2
2
1
1
Δ
2
R
d
λ
R
N
比d/Rが小さい場合は,この式の近似式は,次の式による。
λ
R
R
d
N
Δ
2
2
×
≈
ここに,
R: 曲率半径
ΔR: 曲率半径寸法公差
d: 被検領域の直径
λ: 波長(通常546.07 nm)
参考文献 [1] JIS B 0090-11 光学素子及びシステム用の製図手法−第11部:公差表示のないデータ
注記 対応国際規格:ISO 10110-11:1996,Optics and photonics−Preparation of drawings for
optical elements and systems−Part 11 : Non-toleranced data(IDT)
[2] JIS B 0090-12 光学素子及びシステムの製図手法−第12部:非球面
注記1 対応国際規格:ISO 10110-12:1997,Optics and optical instruments−Preparation of
drawings for optical elements and systems−Part 12: Aspheric surfaces(IDT)
注記2 ISO 10110-12は,2007年に改正版が発行されている。
ISO 10110-12:2007,Optics and photonics−Preparation of drawings for optical
elements and systems−Part 12 : Aspheric surfaces
[3] ISO/TR 14999-2,Optics and photonics−Interferometric measurement of optical elements and
optical systems−Part 2:Measurement and evaluation techniques
[4] Born,M. and Wolf,E.,Principles of Optics,Pergamon press,Oxford-New York,1975
[5] Malacara, D. ed. , Optical Shop Testing, Wiley, New York, 1978.
[6] Maréchal, A. Revue. d'Optique.26, p.257,1947