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A 8302:2017 (ISO 2867:2011) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 乗降用・移動用設備の要求事項 ··························································································· 6 

4.1 一般要求事項 ················································································································ 6 

4.2 格納式乗降用・移動用設備 ······························································································ 7 

4.3 非常脱出経路及び非常口 ································································································· 8 

4.4 上部旋回体をもつ特定の履帯式機械に対する要求事項 ··························································· 8 

5 室内への出入口の要求事項 ································································································· 8 

6 防護柵,つま先板,作業床,廊下,通路,及び歩いていく,は(這)っていく,よじ登る, 

踏んでいく又は立っているための床面の要求事項······························································· 10 

6.1 床面 ··························································································································· 10 

6.2 作業床,廊下,通路,防護柵及びつま先板 ········································································· 11 

6.3 保全 ··························································································································· 12 

6.4 ブーム通路 ·················································································································· 12 

7 手すり及び握りの要求事項及び推奨事項 ·············································································· 13 

8 階段及び踏み板・踏み桟の要求事項 ···················································································· 15 

8.1 階段 ··························································································································· 15 

8.2 踏み板・踏み桟 ············································································································ 16 

9 はしごの要求事項 ············································································································ 18 

附属書A(参考)滑り防止表面とみなされる例 ········································································· 21 

附属書B(規定)人を移送する動力格納式乗降用・移動用設備の追加要求事項 ································ 22 

A 8302:2017 (ISO 2867:2011) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

建設機械施工協会(JCMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業

規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業

規格である。 

これによって,JIS A 8302:2010は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

A 8302:2017 

(ISO 2867:2011) 

土工機械−運転員及び整備員の乗降用・移動用設備 

Earth-moving machinery-Access systems 

序文 

この規格は,2011年に第7版として発行されたISO 2867を基に,技術的内容及び構成を変更すること

なく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

適用範囲 

この規格は,JIS A 8308に規定する土工機械上の運転台及び日常保全箇所に乗降,移動する場合の乗降

用・移動用設備の基準について規定する。この規格は,製造業者の指示に従って,駐車している機械上の

乗降用・移動用設備,例えば,室内への出入口などの開口部,作業床,防護柵,手すり,握り,階段,踏

み板・踏み桟,はしごに適用する。この規格の基準は,JIS A 8315に規定する小柄運転員から大柄運転員

の寸法に基づく。この規格は,人の滑り,つまずき,墜落及び健康に悪い姿勢又は過度の肉体的負荷とい

う重要な危険源,危険状態及び危険事象に対処するものである。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 2867:2011,Earth-moving machinery−Access systems(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS A 8308 土工機械−基本機種−用語 

注記 対応国際規格:ISO 6165,Earth-moving machinery−Basic types−Identification and terms and 

definitions(MOD) 

JIS A 8315 土工機械−運転員の身体寸法及び運転員周囲の最小空間 

注記 対応国際規格:ISO 3411,Earth-moving machinery−Physical dimensions of operators and 

minimum operator space envelope(IDT) 

JIS A 8323 土工機械−運転席及び整備領域−端部の丸み 

注記 対応国際規格:ISO 12508,Earth-moving machinery−Operator station and maintenance areas−

Bluntness of edges(IDT) 

JIS B 9713-1 機械類の安全性−機械類への常設接近手段−第1部:高低差のある2か所間の固定され

た昇降設備の選択 

A 8302:2017 (ISO 2867:2011) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 対応国際規格:ISO 14122-1:2001,Safety of machinery−Permanent means of access to machinery 

−Part 1: Choice of fixed means of access between two levels(MOD) 

JIS B 9713-4 機械類の安全性−機械類への常設接近手段−第4部:固定はしご 

注記 対応国際規格:ISO 14122-4,Safety of machinery−Permanent means of access to machinery−Part 

4: Fixed ladders(MOD) 

ISO 14567,Personal protective equipment for protection against falls from a height−Single-point anchor 

devices 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 一般用語 

3.1.1 

目標寸法(target dimension) 

快適性に基づく人間工学基準を考慮した寸法。 

注記 規定範囲内での(最小値から最大値までの)値は認められる。 

3.1.2 

機械修理(machine repairs) 

機械故障の結果として実施する機械への作業。 

3.1.3 

日常保全箇所(routine maintenance points) 

機械の予定された毎日,毎週及び毎月の保全作業を実施するための取扱説明書の定期的保全日程で規定

されている機械の箇所。 

3.1.4 

二点支持(two-point support) 

人が機械に昇降,又は機械上を動き回るとき,同時に両足,又は片手と片足とを用いて体を支えること

ができる乗降用・移動用設備の特徴。 

3.1.5 

三点支持(three-point support) 

人が機械に昇降,又は機械上を動き回るとき,同時に両手と片足,又は片手と両足とを用いて体を支え

ることができる乗降用・移動用設備の特徴。 

3.1.6 

運転席(operator station) 

運転員が機械の走行及び作業機能を操作するために位置する機械上の空間。 

3.1.7 

地面(ground) 

機械が置かれる表面で,パッドフート又は履帯のグローサの全面的貫入を考慮したもの。 

background image

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 記号 

基準地表面(GRP) 

図1−パッドフート又は履帯のグローサを備えた機械での地面の位置 

3.2 

乗降用・移動用設備 

3.2.1 

乗降用・移動用設備(access system) 

地面から上がったり,若しくは地面へ下りたり,又は機械上のある位置から別の位置に移動するため,

機械上に設置された設備。 

3.2.1.1 

常用乗降用・移動用設備(primary access system) 

地面から運転席への乗降に通常用いる乗降用・移動用設備。 

3.2.1.2 

格納式乗降用・移動用設備(retractable access system) 

使用しないときは格納位置に動力式又は動力なしで出し入れ(例えば,回転,移動,伸縮,屈折)でき

る部分のある乗降用・移動用設備。 

3.2.1.3 

動力格納式乗降用・移動用設備(powered retractable access system) 

機械の動力源を用いて出し入れする格納式乗降用・移動用設備。 

3.2.2 

非常脱出経路(alternative exit path) 

常用乗降用・移動用設備が使えないときに,運転席から地面に脱出するための経路。 

3.2.3 

非常用乗降用・移動用設備(secondary access system) 

常用乗降用・移動用設備が使えないときに,地面から運転席への乗降に用いる乗降用・移動用設備。 

3.3 

室内への出入口 

3.3.1 

室内への出入口(enclosure opening) 

乗降用・移動用設備につながり人間が通って出入りすることを意図する開口部。 

3.3.1.1 

常用出入口(primary opening) 

運転席への出入りに通常用いる開口部。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.3.1.2 

非常口(alternative opening) 

常用出入口が使えない緊急時に用いる開口部。 

3.3.1.3 

保全用開口部(maintenance opening) 

日常保全に用いる開口部。 

3.4 

通路及び立ち位置 

3.4.1 

通路(walkway) 

機械の上のある場所から次の場所へと歩き,又は移動するための乗降用・移動用設備の一部。 

3.4.1.1 

ブーム通路(boom walkway) 

主として長いブーム上に用いる通路。 

3.4.1.2 

廊下(passageway) 

立って歩くための両側に柵などの落下防止設備のある通路。 

3.4.2 

作業床(platform) 

機械の運転又は日常の保全を行う人を支えることを意図する水平面。 

3.4.2.1 

踊り場(rest platform) 

人が立ち止まれるように乗降用・移動用設備の途中に設けた踏み面。 

3.4.3 

傾斜路(ramp) 

水平面からの傾きが20°以下の傾斜面。 

3.5 

防護柵,手すり及び握り 

3.5.1 

防護柵(guardrail) 

墜落事故を防止するための通路又は作業床の解放側に沿って設ける柵。 

3.5.2 

手すり(handrail) 

身体を支えバランスをとるために手でつかまるように設け,乗降用・移動用設備上を移動するときに(手

を離さないで)つかんだ手の位置をずらすことができる装置。 

3.5.3 

握り(handhold) 

身体を支えバランスをとるために片手でつかむための装置。 

3.6 

階段及び踏み板・踏み桟 

3.6.1 

階段(stairway) 

三段以上の踏み桟からなる,水平面からの傾きが20°を超え50°以下の乗降用設備又はその一部。 

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3.6.2 

踏み板・踏み桟(step) 

はしご若しくは階段の一部分として,又はそれだけで個別若しくは一連の装置として取り付けられる片

足又は両足を載せる装置。 

3.6.3 

可とう(撓)踏み桟(flexible step) 

障害物と接触したときに動いて,再び元の位置に戻るような材質のものに取り付けられた踏み桟(破損

が最小限となるように動くもの)。 

3.6.4 

け(蹴)あげ高さ(riser height) 

連続した二つの踏み板・踏み桟の間で,一つの踏み面から次の踏み面までの高さ。 

3.6.5 

踏みしろ(tread depth) 

踏み板・踏み桟の前縁からの奥行き。 

3.6.6 

またぎ(stride distance) 

踏み板・踏み桟の前縁から次の踏み板・踏み桟の前縁までの水平距離。 

3.6.7 

走行フレーム(トラックフレーム)踏み桟(track frame step) 

走行フレームと一体又は部品として付加した踏み桟。 

3.7 

はしご 

3.7.1 

傾斜はしご(inclined ladder) 

水平面からの傾きが75°を超え80°以下のはしご。 

3.7.2 

垂直はしご(vertical ladder) 

水平面からの傾きが80°を超え90°以下のはしご。 

3.7.3 

段ばしご(step ladder) 

水平面からの傾きが50°を超え75°以下のはしご。 

3.7.4 

(はしごの)一続き(flight) 

はしごの踏み桟の連続する一続き。 

3.8 

滑り及び墜落 

3.8.1 

個人用墜落拘束装置(personal fall arrest system PFAS) 

地面又は他の障害物と衝突する前に作業者の墜落を止めるように設計された装置。 

3.8.2 

個人用墜落阻止装置(personal fall restraint system PFRS) 

作業者が墜落する場所に行かないように拘束又は阻止する装置。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.8.3 

滑り防止表面(slip-resistant surface) 

履き物又は[例えば,は(這)っていくときに]他の組合せで滑りにくくしっかりつかまえるような特

性をもたせた乗降用・移動用設備の表面。 

3.8.4 

つま先板(foot barrier) 

作業床,踏み桟又は通路の縁から人の足が滑り落ちるのを防止する装置。 

3.8.5 

墜落防護装置(ladder fall-limiting device) 

はしごから落ちるリスクを最小にする装置。 

乗降用・移動用設備の要求事項 

4.1 

一般要求事項 

4.1.1 

高低差のある二か所間の乗降用・移動用設備の選択は,JIS B 9713-1の4.(重要顕著な危険源)及

び5.(昇降設備選択時の要求事項)並びに次による。 

4.1.2 

(高低差のある二か所間の)乗降用・移動用設備の設計は,次による。 

− 垂直はしご又は傾斜角60°〜75°の段ばしごの使用は,可能ならば避け,むしろ傾斜はしごを使用す

るのがよい。 

注記 人が段ばしごに背を向けて降りるとき,墜落の危険が増すなどの安全性への影響があり,傾

斜角60°〜75°の段ばしごは,空間的制約又は工程上の要求がある場合だけ選択することが

望ましい(JIS B 9713-1参照)とされている。このため,やむを得ない場合は,むしろまし

な方法として,より傾斜角の急な傾斜はしごの使用を推奨している。 

− 乗降用・移動用設備の一部として車輪及びタイヤの表面を使用することは許されない。 

− 三点支持が得られる場合に限り乗降用・移動用設備の一部として履帯の表面を使用することは許され

るが,実際的である限り,通路としては履帯の表面以外の乗降用移動用設備を用いることが望ましい。 

− 乗降用・移動用設備が損傷を受ける可能性,並びに機械周囲及び機械の作業装置の視界の障害となる

可能性を評価しなければならない。 

4.1.3 

乗降用・移動用設備は,特別に訓練しなくても手足を正しく置けるように,自明でなければならな

い。格納式乗降用・移動用設備の説明は運転取扱説明書に含めなければならない。滑り防止表面含め乗降

用・移動用設備の摩耗及び損傷の有無の点検の必要性を説明しておかなければならない。機械の乗降用・

移動用設備の他に支援用設備の使用を機械の製造業者が推奨する場合は取扱説明書で説明しなければなら

ない。 

格納式乗降用・移動用設備は,機械の取扱説明書に使用の説明を含めるとともに設備の近くに適宜説明

表示をしなければならない。 

4.1.4 

つまずきの危険源を発生させ,身体の一部,着衣などをひっかけたり,拘束されたりすることによ

る危険源を発生させる乗降用・移動用設備の突起物は,できるだけ少なくしなければならない。 

4.1.5 

運転員などが極端な高温又は低温,電気的な危険,可動部分,鋭い角のような潜在的危険に接触す

る可能性を,できるだけ少なくしなければならない。 

4.1.6 

歩く,よじ登る,踏む又はは(這)うための乗降用・移動用設備(乗降用・移動用設備の一部とし

て使ういかなる装置又は構造的構成部品も含む。)の表面は,滑り防止措置を施さなければならない。 

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4.1.7 

地上から1 m以上の乗降用・移動用設備で機械に乗降し,又はその上を移動する際,人が三点支持

を用いることができ,かつ,用いたくなるように乗降用・移動用設備の各構成部品を適切に配置しなけれ

ばならない。階段,傾斜路,通路及び作業床は,二点支持でもよい。 

4.1.8 

運転員又は整備員が運転席又は日常保全箇所に工具などを運ぶときは,次に例示する装置(自明で

ない場合は説明指示を含む。)のいずれか一つを備えなければならない。 

− 二点支持だけで乗降,移動でき,残りの一方の手で工具などを運べるような階段又は傾斜路。 

− 乗降用・移動用設備上を移動するときに常に三点支持となるように,工具などを一時的に置ける最小

300 mm×400 mmの踏み面又はその他の支持面を1.7 mごとに配置。 

− 乗降用・移動用設備上を移動するときに常に三点支持となるように,工具などを運転席又は日常保全

箇所に運べる(例えば,滑車とワイヤロープとを組み合わせた)装置。 

4.1.9 

運転席の床面が地上高3 mを超えるときは,常用乗降用・移動用設備に照明を備えなければならな

い。灯火の点灯は地上及び運転席のいずれからも可能でなければならない。 

4.1.10 製造業者が提供するアタッチメント又は選択部品(例えば,鏡)の使用及び日常保守のために乗降

用・移動用設備を備えなければならない。 

4.1.11 1か月を超える間隔の定期保全のために,機械の乗降用・移動用設備以外の例えば,個人用墜落拘

束装置(PFASs),個人用墜落阻止装置(PFRSs)又は外部の乗降用・移動用設備(例えば,可搬式作業台,

階段)のような補助手段を用いることができる。運転取扱説明書はそのような乗降用,移動用補助手段の

使用についての指針を与えなければならない。そのような手段の取付け位置がある場合は,ISO 14567に

よらなければならない。 

4.1.12 機械を修理するときの乗降用・移動用設備は,製造業者から提供する説明文書(例えば,整備解説

書類)に含めなければならない。機械の修理のための乗降用・移動用設備は,機械上に備えるか,又は製

造業者の説明文書で外部の乗降用・移動用設備(例えば,可搬式作業台・階段)の使用についての推奨情

報を記すことができる。 

4.1.13 乗降用・移動用設備の部品で障害物又は地面との接触によって損傷を受けやすいものは,容易に交

換可能なように設計しなければならない。 

4.1.14 乗降用・移動用設備の着脱可能な部品の取扱い,組立,分解,貯蔵及び輸送については取扱説明書

(例えば,輸送について)に明記しなければならない。 

4.1.15 ジャッキ又はアウトリガを使用する作業姿勢のある機械又は車幅を拡大縮小できる機械では,それ

らの作業姿勢となった作業場所でも適切な乗降移動が確実にできるように乗降用・移動用設備を設計して

おかなければならない。 

4.2 

格納式乗降用・移動用設備 

4.2.1 

一般要求事項 

4.2.1.1 

格納式乗降用・移動用設備に特定の次の要求事項に加えて,この規格の規定する他の全ての関係

する要求事項にも適合しなければならない。 

4.2.1.2 

乗降用・移動用設備は一部を機械の便利な収容箇所に格納してもよいが,使用時及び収容時に,

例えば,重力,ばねの力又は付随的機構によって意図した位置にとどまるようにしなければならない。 

4.2.1.3 

格納式乗降用・移動用設備は,引っかかって動けなくなるリスクを低減するように設計しなけれ

ばならない。 

4.2.1.4 

運転席の高さが地上2 mを超えるときは手動又は動力格納式乗降用・移動用設備の使用は地上か

ら実施できるか,又はこの規格に適合する非常用乗降用・移動用設備を備えなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.2.2 

手動格納式乗降用・移動用設備 

使用位置では損傷のリスクがあるときは,手動格納式乗降用・移動用設備が格納(収容)位置にないこ

とを運転員に警告する手段がなければならない。 

4.2.3 

動力格納式乗降用・移動用設備 

4.2.3.1 

操作装置を放したときは,動作が停止しなければならない。 

4.2.3.2 

動力格納式乗降用・移動用設備は,操作位置から見えるか,又は適切に見えるように追加の装置,

例えば,鏡・監視カメラ(CCTV)を備えなければならない。 

4.2.3.3 

動力格納式乗降用・移動用設備は,格納(収容)位置にないときに機械そのものと接触して乗降

用移動用設備の損傷を引き起こすような機械動作(例えば,ショベル系掘削機械の旋回)を防止するため

にインターロックを備えなければならない。それ以外の機械動作については運転員への警報で十分である。

人を移送する動力格納式乗降用・移動用設備に対する追加要求事項は,附属書Bを適用する。 

注記 人を移送する動力格納式乗降用・移動用設備は,仕様に応じて国内法令が適用される。 

4.2.3.4 

動力源が故障したときは,動力格納式乗降用・移動用設備を降ろすことがことができるか,又は

非常用乗降用・移動用設備を備えなければならない。 

4.3 

非常脱出経路及び非常口 

4.3.1 

運転席には,常用出入口とは別の面に,非常口を備えなければならない。その寸法は,表1に適合

しなければならない。非常脱出経路は,機械上の常用乗降用設備とは機械上の別の場所に設けなければな

らない。 

4.3.2 

非常口は,明確に表示しなければならない。非常脱出経路は自明でない場合は識別できるようにし

なければならない。 

4.3.3 

非常脱出経路には,垂直はしごの使用は許容され,その最下段の地上からの高さは,最大700 mm

とする。 

4.3.4 

常用乗降用設備が危険又は障害によって使用できないときを意図して,非常脱出経路を備える。し

たがって,4.1に規定する一般要求事項に適合する必要はないが,非常用乗降用・移動用設備の一部として

使用するときは,一般要求事項に適合しなければならない。 

4.4 

上部旋回体をもつ特定の履帯式機械に対する要求事項 

上部旋回体を360°連続的に旋回できるパイプレーヤ,並びに基礎工事及びせん孔工事に使用するショ

ベル系掘削機械で,製造業者が規定する通常の駐車位置とは別の位置に上部旋回体が旋回した状態で,運

転室への出入りが必要な場合には,追加の乗降用移動用設備が必要となる。この追加の設備は,この規格

の全ての要求事項に適合しなければならない。 

室内への出入口の要求事項 

5.1 

室内への出入口は,表1に適合しなければならない。例外として,5.3に規定する機械は,5.3.1及び

5.3.2に適合で代用してもよい。 

5.2 

常用出入口を長方形から変形させるときは,最小開口範囲を,表1の図に二点鎖線で示す最小開口

寸法にしてもよい。下部の開口範囲の代替案として,最小開口部の狭まっている部分の床からの高さは,

最小幅を250 mm〜300 mmに増すことを条件として,460 mm〜770 mmまで増すことができる。開口部の

形状を対称とする必要はない。 

5.3 

ミニショベル,超小旋回形ショベル及び設計上前方から出入りする,又は運転室に降りていくミニ

機械,例えば,スキッドステアローダでは,表1に適合する代わりに5.3.1及び5.3.2に適合していればよ

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

い。 

5.3.1 

常用出入口幅(表1ではA)は,550 mmを上回るものでなければならない。出入口高さ(表1で

はH)は,敷居上875 mmを上回るものでなければならない。 

5.3.2 

非常口開口部は,380 mm×550 mmの長方形が通るものとし,開口部の角の半径は表1に適合させ

る。 

5.4 

室内への常用出入口のドアがあるときは,開け閉めする人が三点支持を保つ状態で開け閉めするこ

とができなければならない。ドアを開け閉めするときのドアとの接触を支持の一点とみなしてはならない。 

5.5 室内への常用出入口のヒンジ式のドアを開け閉めするために必要な力は,135 Nを超えてはならない。

その他の乗降用のヒンジ式ドア又はカバーを開け閉めするために必要な力は,245 Nを超えないようにす

るのがよい。この要求事項はドアの開け閉めに適用するが,ラッチの作動には適用しない。 

5.6 

室内へのドアは,閉じた位置でしっかりと止める手段を設けるように設計しなければならない。機

械を運転中,開いたままとすることのできるように設計された室内への出入口ドアは,300 Nの閉じ方向

の力に耐える開いた位置でしっかりと止める手段を設けなければならない。 

5.7 

機械の運転に起因する慣性力による危険なドアの動きが生じないように設計しなければならない。 

5.8 

ヒンジ式出入口ドアは,通常外側に開くものとする。 

5.9 

次の場合は,少なくとも40 mmの手が入る隙間を設けなければならない。 

a) ヒンジ式ドアの垂直な外側の縁とドア枠以外の一切の固定部分。 

b) (この規格の適用範囲内で)ヒンジ式以外の室内への出入口ドア又はカバーを開けたり外したりする

ために,手の入る隙間が必要なとき。 

5.10 重力でその場に納まっている着脱式の室内への出入口カバーは,開口部から落ちることがないよう

に設計しなければならない。 

5.11 着脱式の室内への開口カバーの質量は,25 kgを超えてはならない。 

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10 

A 8302:2017 (ISO 2867:2011) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1−室内への出入口の寸法 

単位 mm 

常用出入口 

整備用開口部 

記号 

記号の意味 

寸法 

最小 

最大 

目標 

常用出入口 

幅 

450 

− 

680 

高さ 

− 着席式運転室 

1 300 

− 

1 300を超える 

− 起立式運転室 

1 800 

− 

1 800を超える 

内側ドアハンドルの床面高さ 

− 着席式運転室 

350 

850 

350を超える 

− 起立式運転室 

800 

1 200 

800を超える 

外側ドアハンドルの地面/床面からの高さ 

500 

1 700 

900 

非常口a)(常用出入口と同じ寸法が望ましい。) 

− 円形(直径) 

650 

− 

650を超える 

− 正方形 

600×600 

− 

600×600を超える 

− 長方形 

450×650 

− 

450×650を超える 

整備用開口部 

幅 

450 

− 

680 

高さb) 

760 

− 

1 100 

床面から底端まで 

− 

500 

250 

角の丸み 

− 

0.5 H 

150 

注a) 常用出入口及び非常口の開口部の角の半径は,190 mmを超えてはならない。 

b) 幅Hが680 mm未満でJが250 mm以上のときは,Iは1 100 mmを超えるものとする。 

防護柵,つま先板,作業床,廊下,通路,及び歩いていく,は(這)っていく,よじ登る,踏んでい

く又は立っているための床面の要求事項 

6.1 

床面 

6.1.1 

人が歩き,は(這)い,よじ登り,踏んでいき又は立つ床面は,踏み桟を含め,次の垂直な力をか

けたときに,永久変形が生じてはならない。これらの力は,順に加える。ただし,同時ではない。 

a) 表面の最も厳しい条件となる場所に直径125 mmの円板で2 kNの力を加える。 

b) 1 m2当たり4.5 kNの等分布の力,又は1 m2以下の場合は,その割合の等分布の力を加える。 

11 

A 8302:2017 (ISO 2867:2011) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

キャブ及びキャノピの屋根のように,点検のときに人が乗る機械の屋根は,a) の負荷要求だけを満足す

ればよい。 

計算による確認は許容される。 

6.1.2 

通路,廊下及び作業床の床面は,次の基準に適合しなければならない。 

− 通常は人の歩くこと,立つこと又は働くことが意図されている面が下にある通路及び作業床は,孔が

ある場合でも直径20 mm以上の球形物が通らない寸法とする。 

− 通常は人の歩くこと,立つこと又は働くことが意図されていないとしてもそのような面が下にある通

路及び作業床は,孔がある場合でも直径40 mm以上の球形物が通らない寸法とする。 

床面を物質が通過して,床面の上又は下にいる人を傷つけるおそれがあるときは,通路,廊下及び作業

床は,孔のない床面を用いなければならない。 

6.2 

作業床,廊下,通路,防護柵及びつま先板 

6.2.1 

作業床,廊下,通路,防護柵及びつま先板の寸法は,表2の規定に適合しなければならない。 

6.2.2 

防護柵の一番上の手すりと通路又は作業床との中間に中桟を設けなければならない。その代わりに

180 mm以下の間隔の縦桟を用いてもよい。 

6.2.3 

作業床及び通路の高さが地上又は他の作業床,通路若しくは廊下から3 mを超える場合は,作業床

及び通路の解放側に,防護柵を備えなければならない。 

作業床及び通路の高さが地上又は他の作業床,通路若しくは廊下から2 mと3 mとの間のときで,人が

立ち又は歩く範囲が解放側の縁から1.5 m未満の場合は,次の項目を適用する。 

− 起立した人が両手で日常保全を行う必要がある作業床又は通路の解放側は,防護柵を備えなければな

らない。 

− 作業床又は通路の解放側には防護柵又は手すり(箇条7参照)を備えるか,又は表2(Gの寸法の説

明)に示す三点支持のための手すり又は握りを内側に備えなければならない。 

現場から現場への移動を確実に容易とするため,固定式保護柵の代わりに折り畳み式の防護柵又は手す

りで置き換えてもよい。 

注記 作業床の端,開口部などで墜落によって労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは,国内法令

が適用される。 

6.2.4 

隣り合う二つの手すりの端部の垂直部分の水平間隔は,75 mm以上120 mm以下でなければならな

い。手すりの端部の角部は,半径250 mm以下でなければならない。間隔が大きい場合は,障害物を設け

なければならない。この要求事項は,隣り合う保護柵又は手すりの開口が乗降用移動用設備の他の部分(例

えば,作業床,通路,階段,はしご)に人を導くためのものである場合は適用しない(表3のGの寸法参

照)。障害物は6.2.5に適合するものでなければならない。 

6.2.5 

防護柵は,任意の位置及び方向に50 mm範囲に分布する最小1 kNの力を加えても,目に見える永

久変形が生じない強さのものでなければならない。可とう(撓)性の防護柵・障害物は,この最小1 kNの

力を加えても,正常なたわみのない位置から80 mmを超えて変位してはならない。 

6.2.6 

人が足を踏み外すおそれのある通路及び作業床の端部には,つまずく危険源とならない限りつま先

板を設けなければならない。作業床の端部から物,例えば,工具が人の上に落ちる危険源がある場合は,

つま先板を推奨する。 

6.2.7 

作業床の寸法は,400 mm以上でなければならない。 

6.2.8 

防護柵,手すり又は握りが機械輸送時の危険源となるときは,取り除けるようになっていなければ

ならない。 

12 

A 8302:2017 (ISO 2867:2011) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.3 

保全 

6.3.1 

日常保全箇所への接近のために用いる地上又は他の適切な床面からの高さが2 m未満の作業床の

幅は,手すり又は握りが備えられている場合は(表2のGの寸法参照),最小300 mmとしてもよい。モ

ータグレーダの後部タンデム車輪の上の通路又は作業床は,三点支持を確保できる場合は,最小幅200 mm

としてもよい。保全作業を行うときに体をお辞儀又は屈んだ姿勢とする場合の作業床の幅又は長さは,最

小600 mmでなければならない。 

6.3.2 

手すり及び握りは保全箇所への通路又は作業床の幅員内にあってはならない(6.3.1及び表2参照)。 

6.4 

ブーム通路 

日常保全箇所がブーム沿いにある場合は(例えば,地中連続壁施工機械のケーブル及びワイヤロープ交

換),通路又は作業床は,ブームの全長及び全幅とする(6.2.3参照)。 

運転取扱説明書には,作業手順を明記しなければならず,安全帯など個人用墜落拘束装置又は個人用墜

落阻止装置の使用が該当する場合は,それも含める。保全姿勢での通路の傾斜は,20°を超えてはならな

い。 

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13 

A 8302:2017 (ISO 2867:2011) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2−作業床,廊下,通路,防護柵及びつま先板の寸法 

単位 mm 

記号 

記号の意味 

寸法 

最小 

最大 

目標 

幅 

− 作業床 

300 a) e) 

− 

600 

− 通路 

300 a) b) 

− 

600 

廊下の幅 
− 前向き歩行用通路c) 
− 横向き歩行用通路 
− すれ違える通路 

550 
330 
900 

− 
− 
− 

650 
450 

1 300 

天井高さ 

− 起立 

2 000 

− 

− 

− ひざまずきd) 

1 500 

− 

− 

− 腹ばいd) 

1 000 

− 

− 

防護柵の高さ 

1 000 

1 100 

1 100 

つま先板の高さ 

50 

− 

100 

つま先板と床面との隙間 

10 

作業床の幅−地面からの高さが2 m未満のとき 

300 e) 

注a) 最小幅Aは,右のグラフに示すように天井高さBに

よる制約を受ける。 

b) 6.3.1参照。 

c) 腹ばい時には,最小値を目標寸法として適用する。 

d) 点検及び日常保守用だけに使用する。 

e) 6.3.1及び6.3.2参照。 

手すり及び握りの要求事項及び推奨事項 

7.1 

手すり及び握りは,表3に規定する寸法に合致しなければならない。 

7.2 

手すり及び握りは,移動する人が絶えず身体を支え,適宜三点支持又は二点支持を保つことができ

るように乗降用・移動用設備に沿って適切に配置しなければならない。 

7.3 

握りよりも連続的な手すりの使用が望ましい。隣接する手すりの間隔は,最大400 mm,望ましくは

120 mmとする。 

7.4 

手すり及び握りの断面は,円形とすることが望ましい。やむを得ない場合は,JIS A 8323に従って

角を丸めた正方形又は長方形断面としてもよい。 

7.5 

手すり及び握りの把握部が支柱部の外側にある場合は,握った手が滑って抜け落ちるのを防ぐため

14 

A 8302:2017 (ISO 2867:2011) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

に自由端の形状を変えなければならない。 

7.6 

はしごでは,握りよりもはしごの両側に手すりを備えるのが望ましい。手すり又は握りは,はしご

と一体でも構造上分離してもよい。 

7.7 

手すり及び握りは,損傷を受ける可能性が最小となるように設計配置しなければならない。 

7.8 

手すり及び握りの表面には,手を傷つけるざらざらした表面,とがった角又は突起があってはなら

ない。 

7.9 

手すり及び握りは,着脱式の覆い又は可動部(例えば,ドア,覆い,ガード)に取り付けることも

あるが,そのときは,手すり又は握りに力が加わったときに,その可動部がその位置に固定されるか,可

動部に不意の動作が生じるような方向には力が加わらないようになっているときだけとする。 

7.10 手すり及び握りは,任意の位置及び方向に最小1 kNの力を加えても,目に見える永久変形が生じな

い強さのものでなければならない。可とう(撓)性の手すり及び握りは,最小1 kNの力を加えても,正常

な中立位置から80 mm以上ずれてはならない。 

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15 

A 8302:2017 (ISO 2867:2011) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表3−手すり及び握りの寸法 

単位 mm 

記号 

記号の意味 

寸法 

最小 

最大 

目標 

手すりの直径又は差し渡し幅 
− はしご,踏み桟又は通路 
− 階段及び傾斜路手すり 

15 a) 
15 

38 
80 

25 
50 

握り取付け部間の内側長さ 

150 

− 

250 

取付け面との間の手が入る隙間 

50 

− 

75 

地面又は床面からの高さ 

− 

1 700 

900 

連続する手すりの踏み桟,通路,階段又は傾斜路か
らの高さ 

850 

1 100 c) 

900 

はしごの端から手すり又は握りまでの距離(はしご
と手すりとが構造上分離している場合) 

50 

200 

150 

平行な手すり間の幅 
− はしご 
− 階段及び傾斜路 

300 d) 
460 

950 b) 

− 

600 
700 

手すりの通路,廊下の踏み桟又は階段踏み板からの
高さ 

850 

1 400 c) 

900 

地面・踏み桟・作業床・通路から握りまでの前方の
届く範囲 

− 

765 

500 

注a) 地上から3 mを超える高さに立ってつかむ手すり及び握りで垂直方向のものは19 mmとする。 

b) ドア出入口の一部を構成する手すり又は握りの場合は,最大1 100 mmまでとする。 

c) キャブの出入口の上部に配置する手すり又は握りの場合は1 700 mmまで増加させてもよい。 

d) 最大450 mmの高さ(E参照)までは300 mmとし,460 mmを超える高さでは460 mmとする。 

階段及び踏み板・踏み桟の要求事項 

8.1 

階段 

16 

A 8302:2017 (ISO 2867:2011) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8.1.1 

階段の踏み板は,8.2及び表4に合致しなければならない。 

8.1.2 

階段の踏み板の踏みしろは,けあげ高さに等しいかそれより大きいものとする。連続する踏み板の

けあげ高さ及び踏みしろは,一様でなければならない。 

8.1.3 

階段は,少なくとも一つの手すりを備えるものとする。 

8.1.4 

地上又は床面からの高さが3 mを超える階段には,解放側又は両側に,6.2.6に適合するつま先板

及び6.2.2に適合する手すりを備えた防護柵を設けなければならない。 

8.1.5 

地上又は床面からの高さが2 mと3 mとの中間の階段には,解放側に手すり又は握りを備えなけれ

ばならない。表3のGの寸法参照。 

8.2 

踏み板・踏み桟 

8.2.1 

踏み板・踏み桟は,自然な足の置き方ができるように設計するか,又ははっきりと目に見えるよう

にしなければならない。踏み板・踏み桟の寸法は,表5又は表6に適宜合致しなければならない。全ての

踏み板・踏み桟は,機械側の制約(例えば,機械の寸法への適合,片足ずつ交互に踏む用法,損傷を受け

る危険源)に合わせて片足幅の踏みが必要な場合を除き,両足を載せられる幅とすることが望ましい。 

8.2.2 

はしごの最上段又は最下段の桟から次の踏み面までに横方向に体を移動させる必要があるときは,

その桟から踏み面の至近端までの距離は,表7に適合しなければならない。 

8.2.3 

踏み板・踏み桟から足が出て可動部に接触するおそれがあるときは,踏み板・踏み桟と機械の可動

部との間に遮蔽板を設けなければならない。 

8.2.4 

踏み板・踏み桟の構造は,できるだけ足を横方向に滑り外すおそれのないものとしなければならな

い。 

8.2.5 

踏み桟の踏み面を握りとして使用することを意図してはならない。 

8.2.6 

踏み板・踏み桟の構造は,土砂の堆積を最小限とし,靴底の泥及び土砂をきれいに落としやすい設

計としなければならない。 

8.2.7 

機械使用時に損傷を受けやすいものを除いては,可とう式に取り付けられた(又は連続する可とう

式)踏み桟は,避けるのがよい。単段,又は連続する可とう式踏み桟の最下段の外端中央に内側へ向けて

250 Nの水平方向の力を受けたとき,80 mm以上内側にたわんではならない。 

8.2.8 

履帯フレームに収まった最大二段までの踏み桟では上部の踏み桟は,表5の記号 Q に規定するよ

うに引き込んだものとしてもよい。この場合,降りるときに視界が制約されるので,踏み桟の幅は少なく

とも両足に対する幅の目標寸法としなければならない(表6参照)。 

8.2.9 

最上段の踏み桟又は各桟を,作業床又は通路の縁から引っ込み側とするときは,やむを得ない場合

でも30 mm以内までとする。 

8.2.10 地面又は他の適切な床面から2 m未満の高さでは,踏み桟を日常保全箇所の起立面,又は踊り場と

して用いることもやむを得ないが,そのときは,踏み桟の幅が,両足に対する表6に示す要求事項に適合

しなければならない。 

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17 

A 8302:2017 (ISO 2867:2011) 

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表4−階段の寸法 

単位 mm 

記号 

記号の意味 

寸法 

最小 

最大 

目標 

階段 

地上又は作業床・通路・廊下から最下段の踏み板
までの高さ 

− 

600 

400 

けあげ高さ 

− 

250 

180 

踏み板の幅 

320 

− 

400 

踏みしろ 

240 

400 

300 

またぎ 

215 

− 

− 

踏み板の突出し 

− 

25 

通路に連絡する踏み板の頭上隙間 

2 000 

− 

2 000を超える 

踏み板のけあげ高さとまたぎ幅との割合J=G+2B 

− 

800 

600 

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18 

A 8302:2017 (ISO 2867:2011) 

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表5−履帯フレームの踏み桟・引き込んだ踏み桟の寸法 

単位 mm 

記号 

記号の意味 

寸法 

最小 

最大 

目標 

けあげ高さ 

230 

400 a) 

300 

踏み桟の開口部の高さ 

150 

− 

190 

つま先の隙間(踏み桟の前端又は円形断面の踏み
桟中心からの空間) 

150 

− 

200 

つま先の上部隙間 

100 

− 

− 

踏み桟の一段当たりの最大引込み量 

− 

15° 

− 

注a) 履帯を踏み板として用いる機械では,けあげ高さは履帯から作業床まで,又は踏み板から履帯まで最大500 

mmとしてもよい。これは,車輪式ショベルの下部走行体側の上部旋回体へ乗降するための踏み板にも適
用する。 

はしごの要求事項 

9.1 

はしごの桟は,踏み桟に対する全般的要求事項を規定する8.2及び表6に合致しなければならない。 

9.2 

垂直はしごの一続きが地面又は作業床から垂直に3 m以上の長さのはしごには,できれば使用者の

行動に依存しない形式の(例えば,安全囲い)JIS B 9713-4に適合する墜落防護装置を備えなければなら

ない。このような墜落防護装置は,使用者がはしごを昇降する際に,常に操作を必要とするものであって

はならない。 

はしごの囲いの内面は,桟から700 mm以上離れてはならず,かつ,内幅は700 mmを超えてはならな

い。 

9.3 

踊り場は,少なくとも高さ6 m登るごとに設けるものとする。ただし,登り高さが10 mを超えない

単一のはしごを除く。 

9.4 

一つのはしごのけあげ高さは,一定でなければならない。 

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19 

A 8302:2017 (ISO 2867:2011) 

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表6−踏み板・踏み桟,はしご及び階段の寸法 

単位 mm 

記号 

記号の意味 

寸法 

最小 

最大 

目標 

地上又は作業床・通路・廊下から最下段の踏み板
までの高さ 

− 

600 a) 

400 

けあげ高さ 

230 b) 

400 c) 

300 

踏み桟 
− 片足 
− 両足 

160 
320 

− 
− 

200 
400 

D1 
D2 
D3 
D4 

踏みしろ−円形断面d) 
踏みしろ−長方形断面 
すのこ状踏み桟のすのこの踏みしろ 
すのこ状踏み桟のすのこの間隔 

19 
12 

− 

− 

− 
− 

50 

60 
50 

− 

50 

踏み桟の開口部の高さ 

100 e) 

− 

150 

つま先の隙間(踏み桟の前端又は円形断面の踏み
桟中心からの空間) 

150 

− 

200 

注a) スキッドステアローダで大形のバケット又はアタッチメントを備えるものでは700 mmとしてもよい。こ

れはミニショベル,ブルドーザ,ランドフィルコンパクタ及びパッドフートのある鉄輪式の派生機械にも
適用する。 

b) はしごの最上段の桟から通路までは,150 mmとする。 

c) 履帯を踏み板として用いる機械では,けあげ高さは履帯から作業床まで最大500 mmとしてもよい。これ

は,車輪式ショベル又は他の上部旋回体をもつ機械の下部走行体側の上部旋回体へ乗降するためのの踏み
板にも適用する。 

d) 円形断面の踏み桟の表面は滑り止めとする。 

e) ミニショベルで履帯を踏み桟とするときは,踏む部分の高さが600 mm未満の場合は,その上方の隙間高

さは,最小70 mmとする。 

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20 

A 8302:2017 (ISO 2867:2011) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表7−はしごから踏み面への寸法 

単位 mm 

記号 

記号の意味 

寸法 

最小 

最大 

目標 

はしごから近接する踏み桟までの半径a) 

− 

500 

400 

踏み面 

注a) 8.2.2参照。 

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21 

A 8302:2017 (ISO 2867:2011) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

滑り防止表面とみなされる例 

次の例は,滑り防止表面と考えられる。 

a) 藤つぼ(壺)状突起面 藤つぼ(壺)状の孔のある突起を設けた格子状表面(図A.1参照)。 

b) すのこ状格子 ひし(菱)形のすのこ状格子で不整とした面(図A.2参照)。 

c) 砂のざらつき面 塗装がかわく前に砂を吹き付けてざらつかせた面。 

d) 柔軟面 片側は,炭化けい素で覆ったプラスチックの摩擦の大きな材質とし,他の面は感圧性の粘着

面としたもの。 

図A.1−藤つぼ(壺)状突起面 

図A.2−すのこ状の格子 

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A 8302:2017 (ISO 2867:2011) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(規定) 

人を移送する動力格納式乗降用・移動用設備の追加要求事項 

B.1 

一般 

人を移送する動力格納式昇降用・移動用設備が,最も低い位置にあるときは,初段の踏み桟は,(地上か

らの高さが)600 mm未満でなければならない。このような装置の昇降速度は,通常の使用条件では,0.6 m/s

を超えてはならない。このような形式の昇降用設備の上昇位置で,補給又は保全作業を行わなければなら

ない場合は,機械的な支持機器を備えていなければならない。その機器は,乗降用設備の質量による力の

2倍の負荷に耐えなければならない。 

設計荷重係数は,予期される作業負荷の,最小限4倍でなければならない。油圧配管又は動力源に不具

合が発生したとしても,制御されない落下を防止しなければならない, 

地上から2 mを超える高さで使用する装置は,保護柵又は囲いを備えなければならない。 

最大荷重及び人の数を示す負荷容量銘板を,装置の操作位置から見える場所に備えなければならない。 

装置を引き出す動作は,人の障害又は装置そのものに損傷を引き起こすような速い動きを防止するよう

に制御しなければならない。 

装置への乗降は,完全に引き出したときだけできるようになっていなければならない。 

B.2 

動力式乗降用設備の操作装置 

動力式乗降用設備の操作装置は,明確に表示して,意図しない作動が起きるのを防止しなければならな

い。操作装置を手放すか,又は中立位置に戻したときは,動力式乗降用設備の動作は,停止しなければな

らない。 

B.3 

非常降下 

原動機の停止又は油圧系統の不具合で動力源が故障のときは,運転員は,人を移送する動力格納式乗降

用・移動用設備を,どのような位置からでも,最も低い位置に降下させることができなければならない。 

B.4 

降下時の視界性 

人を移送する動力格納式乗降用・移動用設備と機械の車体との間を運転員が直接確認できない場合は,

視覚補助装置(例えば,外部の鏡)によって,下降運転中に,運転員が動力格納式乗降用・移動用設備と

機械の車体との間を観察できるようになっていなければならない。 

B.5 

運転取扱説明書 

運転取扱説明書は,人を移送する動力格納式乗降用・移動用設備の安全に関する説明事項を含まなけれ

ばならない。 

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A 8302:2017 (ISO 2867:2011) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献  

JIS A 8301 土工機械−整備用開口部最小寸法 

注記 対応国際規格:ISO 2860,Earth-moving machinery−Minimum access dimensions(IDT) 

JIS A 8307 土工機械−ガード−定義及び要求事項 

注記 対応国際規格:ISO 3457,Earth-moving machinery−Guards−Definitions and requirements(IDT) 

JIS B 9700 機械類の安全性−設計のための一般原則−リスクアセスメント及びリスク低減 

注記 対応国際規格:ISO 12100,Safety of machinery−General principles for design−Risk assessment 

and risk reduction(IDT) 

JIS B 9713-2 機械類の安全性−機械類への常設接近手段−第2部:作業用プラットフォーム及び通路 

注記 対応国際規格:ISO 14122-2,Safety of machinery−Permanent means of access to machinery−Part 

2: Working platforms and walkways(IDT) 

JIS B 9713-3 機械類の安全性−機械類への常設接近手段−第3部:階段,段ばしご及び防護さく(柵) 

注記 対応国際規格:ISO 14122-3,Safety of machinery−Permanent means of access to machinery−Part 

3: Stairs, stepladders and guard-rails(IDT) 

ISO 10333-4,Personal fall-arrest systems−Part 4: Vertical rails and vertical lifelines incorporating a 

sliding-type fall arrester 

ISO 16024,Personal protective equipment for protection against falls from a height−Flexible horizontal 

lifeline systems