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A 5548:2015  

(1) 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 種類・区分 ······················································································································ 1 

4.1 用途による区分 ············································································································· 1 

4.2 主成分の種類 ················································································································ 2 

4.3 ホルムアルデヒド放散基準による区分················································································ 2 

5 品質······························································································································· 2 

5.1 外観 ···························································································································· 2 

5.2 侵食性 ························································································································· 2 

5.3 有機溶剤の使用の有無 ···································································································· 2 

5.4 性能 ···························································································································· 2 

5.5 可使時間及び張付け可能時間 ··························································································· 2 

5.6 ホルムアルデヒド放散特性 ······························································································ 3 

6 試験······························································································································· 3 

6.1 試験の一般条件 ············································································································· 3 

6.2 試験に用いる材料及び用具 ······························································································ 4 

6.3 試験方法 ······················································································································ 5 

7 検査······························································································································ 11 

8 製品の呼び方 ·················································································································· 11 

9 表示······························································································································ 12 

10 取扱い上の注意事項 ······································································································· 12 

附属書A(参考)技術上重要な改正に関する新旧対照表 ····························································· 13 

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(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本接着剤工業会

(JAIA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべき

との申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS A 5548:2003は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成28年6月20日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS A 5548:2003によることができる。 

また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標

準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

日本産業規格          JIS 

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セラミックタイル張り内装用有機系接着剤 

Interior organic adhesives for ceramic tiles 

適用範囲 

この規格は,建築物の内壁面にJIS A 5209に規定するセラミックタイルを施工する場合に使用する有機

系接着剤(以下,接着剤という。)について規定する。 

なお,技術的に重要な改正に関する新旧対照表を附属書Aに記載する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS A 5209 セラミックタイル 

JIS A 5430 繊維強化セメント板 

JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材 

JIS K 6800 接着剤・接着用語 

JIS K 7100 プラスチック−状態調節及び試験のための標準雰囲気 

JIS R 3202 フロート板ガラス及び磨き板ガラス 

JIS R 5201 セメントの物理試験方法 

JIS R 6252 研磨紙 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 6800によるほか,次による。 

3.1 

合成樹脂系エマルション 

合成樹脂を水に分散させたもの。 

3.2 

張付け可能時間 

接着剤塗布後タイルを接着するまでの時間のうち,所定の接着強さを満足する時間。 

種類・区分 

4.1 

用途による区分 

接着剤は,その用途によって,表1のとおり区分する。 

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表1−用途による区分 

区分 

用途 

タイプI 

湿っている下地に張付け後,長期にわたって水及び
温水の影響を受ける箇所に用いるもの。 

タイプII 

ほぼ乾燥している下地に張付け後,間欠的に水及び
温水の影響を受ける箇所に用いるもの。 

タイプIII 

ほぼ乾燥している下地に張付け後,水及び温水の影
響を受けない箇所に用いるもの。 

4.2 

主成分の種類 

接着剤は,その主成分の種類によって,表2のとおりとする。 

表2−主成分の種類 

種類 

主成分内容 

合成樹脂系エマ
ルション形 

合成樹脂系エマルション,例えば,アクリルエマルシ
ョンを主成分としたもので,その他の樹脂,添加剤,
充塡剤などを配合したもの。 

エポキシ樹脂系 

エポキシ樹脂を主成分とし,その他の樹脂,添加剤,
充塡剤などを配合したもの。 

ウレタン樹脂系 

ウレタン樹脂を主成分としたもの。 

変成シリコーン
樹脂系 

変成シリコーン樹脂を主成分としたもの。 

4.3 

ホルムアルデヒド放散基準による区分 

接着剤は,ホルムアルデヒド放散基準による区分を表3の1区分とする。 

表3−ホルムアルデヒド放散基準による区分 

区分 

記号 

内容 

F☆☆☆☆等級 F☆☆☆☆ 

ユリア樹脂,メラミン樹脂,フェノール樹脂,レゾルシノール
樹脂,ホルムアルデヒド系防腐剤,メチロール基含有モノマー
及びロンガリット系触媒のいずれをも使用してはならない。 

品質 

5.1 

外観 

接着剤の外観は,均質で,有害と認められる異物の混入があってはならない。 

5.2 

侵食性 

接着剤は,これに接するタイル,下地などを侵すものであってはならない。 

5.3 

有機溶剤の使用の有無 

接着剤は,トリフェニルスズ化合物及びトリブチルスズ化合物,炭素数3以下の塩素化合物,並びに二

硫化炭素を使用してはならない。 

5.4 

性能 

接着剤は,箇条6の試験に従って表4に○印で示す試験項目の試験を行ったとき,表5及び5.5の規定

に適合しなければならない。 

5.5 

可使時間及び張付け可能時間 

接着剤は,6.3.5及び6.3.6の試験を行ったとき,製品の容器に表示した時間に適合しなければならない。

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ただし,可使時間は二液形に適用する。 

表4−品質試験項目 

区分 






接着強さ 






使













湿







タイプI 

○ ○ ○ − − ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 

タイプII 

○ ○ − ○ − ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 

タイプIII 

○ ○ − − ○ ○ ○ − ○ ○ ○ ○ 

表5−特性 

性能 

判定基準 

適用試験箇条 

混練終結確認容易性 

混練終結時の色が明瞭である。 

6.3.1 

接着強さa) 
N/mm2 

標準 

0.60以上 

6.3.2 

温水 

0.30以上 

乾燥・水中 

0.30以上 

乾燥・湿潤 

0.30以上 

熱劣化 

0.30以上 

低温硬化 

0.30以上 

アルカリ水中 0.30以上 

耐熱性 

60 ℃,おもり4.5 kgで24時間経過後に,
タイルの剝がれ落ちがない。 

6.3.3 

ずれ抵抗性 

ずれが生じない。 

6.3.4 

混練終結確認容易性は,二液形に適用する。 

注a) 接着強さは,この数値未満の場合でも,その破断位置が下地試料又はセラミック

タイルであれば適合とする。 

5.6 

ホルムアルデヒド放散特性 

接着剤は,ユリア樹脂,メラミン樹脂,フェノール樹脂,レゾルシノール樹脂,ホルムアルデヒド系防

腐剤,メチロール基含有モノマー及びロンガリット系触媒のいずれをも使用してはならない。 

試験 

6.1 

試験の一般条件 

試験の一般条件は,次による。 

a) 試験体の作製は,特に指定のない限り標準状態で行う。ここでいう標準状態とは,JIS K 7100に規定

する標準雰囲気2級[温度23±2 ℃,湿度(50±10)%]をいう。 

b) 接着剤,試験に用いる材料及び用具は,標準状態の室内に試験体の作製前24時間以上放置しておかな

ければならない。 

c) 接着剤は,試験に際して,よくかき混ぜてから用いる。ただし,一液形のウレタン樹脂系及び変成シ

リコーン樹脂系はこの限りではない。 

d) 二液形の接着剤を試験するときは,主剤と硬化剤とを製造業者の定めた割合にとり,練り上がり約300 

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gを大きさ約300 mm×300 mm,厚さ約5 mmのガラス板上に載せ,直ちに適切なへらを用いて均質に

なるようによく練り混ぜる。 

6.2 

試験に用いる材料及び用具 

試験に用いる材料及び用具は,次のとおりとする。 

a) 試験に用いる材料及び用具は,表6による。 

表6−試験に用いる材料及び用具 

材料及び用具 

材質 

繊維強化セメント板 

JIS A 5430に規定するフレキシブル板。 

モルタル板 

JIS R 5201の11.5(供試体の作り方)に規定する方法によって調製した
モルタルを,内のり寸法70 mm×70 mm×20 mmの金属製型枠を用いて
成形し,温度20±3 ℃,湿度80 %以上の状態で24時間養生した後脱型
し,その後6日間,20±2 ℃の水中で養生する。さらに,7日間以上養
生室で養生した後,JIS R 6252に規定する研磨材の粒度によるP150の研
磨紙を用いて成形時の下面を十分に研磨して試験用基板としたもの。 

セラミックタイル 

JIS A 5209に規定するセラミックタイルで,BIII施ゆうタイル,100 mm
角,裏面無処理のもので裏あしのないもの。 

ガラス板 

JIS R 3202に規定するフロート板ガラス及び磨き板ガラス。 

標準くし目ごて 

JIS G 3101に規定するSS330。 

鉄片,ジグ 

b) 試験に用いる塗布用具は,標準くし目ごてとする。ただし,製造業者の指定するくし目ごてを用いて

もよい。標準くし目ごての形状・寸法は,図1による。厚さは0.8±0.2 mmとする。 

単位 mm 

部位 

寸法 

130±10 

150±5 

85±5 

3±0.2 

3±0.5 

3±0.2 

図1−くし目ごて 

c) 試験体の作製に用いる鉄片の接着面は,40 mm×40 mmの正方形とし,その他の形状・寸法の例を図

2に示す。 

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単位 mm 

図2−鉄片(例) 

6.3 

試験方法 

6.3.1 

混練終結確認容易性(二液形に適用) 

混練終結確認容易性試験は,主剤及び硬化剤を約300 mm×300 mm,厚さ約5 mmのガラス板上に,製

造業者の示す割合で合計約200 g〜300 g程度となるように採取し,へらで十分に均質になるよう約3分間

混練する。 

練り混ぜ前の主剤及び硬化剤と混練終了後のものとを比較して,目視によって混練終結が明瞭であるこ

とを確認する。 

6.3.2 

接着強さ 

接着強さ試験は,次による。 

a) 試験用材料 試験用材料は,次による。 

1) 下地材 下地は,表6に規定するモルタル板とし,大きさ70 mm×70 mm,厚さ20 mmとする。表

面は,ごみ,その他の異物の付着がないように清掃する。 

2) セラミックタイル 表6に規定するセラミックタイル(以下,タイルという。)は,あらかじめ40 mm

×40 mmの大きさに切断したものを用いる。 

b) 試験体の作製 試験体の作製は,次による。 

1) 下地材の処理 タイプIの接着剤の試験に供試するモルタル板は,各試験とも23±2 ℃の水中に7

日間浸せきしたものを用いる。水中から取り出したモルタル板は,布などを用いて軽く被着面を拭

った後,直ちに供試接着剤を塗布する。 

なお,タイプII及びタイプIIIは表6のモルタル板を用いる。 

2) 供試接着剤の塗布 供試接着剤の塗布操作を行うときは,図3に示す鉄製塗布用補助枠に,平滑面

を上にして下地材5枚を隙間なく挿入固定し,図4に示すように,下地材を粘着テープで3方を約

7 mm覆うように張り付け,供試接着剤の適量を載せて,へらなどを用いて厚さ約3 mmに塗布した

後,6.2 b) に規定する標準くし目ごてを角度約60度に立てて両手で一気に手前に引いて,供試接着

剤を5枚の下地材に均一に塗布する。粘着テープは,供試接着剤塗布後直ちに静かに剝がして取り

去る。 

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単位 mm 

部位 

寸法 

350±1 

70±0.5 

10±4 

20±1 

図3−鉄製塗布用補助枠,供試接着剤 

単位 mm 

図4−供試接着剤の塗布(例) 

3) タイルの張付け 供試接着剤塗布後,20分の待ち時間をとり,a) 2)に規定するタイルを供試接着剤

が塗布してあるそれぞれの下地材の中央に静かに載せ,更に各タイル上に質量1 kgのおもりを約30

秒間載せた後,おもりを取り除き,7日間養生する。 

4) 鉄片の取付け 養生4日から6日までの間に6.2 c)に規定する鉄片を標準状態の中でエポキシ樹脂

系接着剤など1)でタイルに接着し,図5のように取り付けておく(試験体作製時に,タイルの施ゆ

う面を研磨紙などで,目荒ししておくとよい。)。 

注1) この接着剤は,供試接着剤の接着強さより大きいものを用いる。 

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図5−鉄片の取付け 

c) 試験体の養生 試験体の養生は,標準養生,低温養生及び高温養生とし,養生の条件は表7による。 

表7−養生及び処理の条件 

条件 

項目 

時間 

温度 

℃ 

水分 

養生 
条件 

標準養生 

168 

23±2 

50±10(RH%) 

低温養生 

168 

5±2 

− 

高湿養生 

168 

23±2 

90以上(RH%) 

処理 
条件 

温水浸せき処理 

24 

50±2 

温水中 

乾燥・水中浸せき
繰返し処理 

23±2 

水中 

20 

60±2 

50±10(RH%) 

これを1サイクルとして4サイクル繰り返す。 

乾燥・湿潤繰返し
処理 

23±2 

90±10(RH%) 

20 

60±2 

乾燥 

これを1サイクルとして4サイクル繰り返す。 

熱劣化処理 

672 

60±2 

乾燥 

低温硬化処理 

672 

5±2 

− 

アルカリ水中浸せ
き処理 

48 

23±2 

水酸化カルシウ
ム飽和溶液中 

d) 試験体の処理 試験体の処理は,次による。 

1) 標準 標準養生を行った後の処理は行わない。 

2) 温水 低温養生を行った後,恒温水槽内において表7に示す温水浸せき処理を行う。 

3) 乾燥・水中 低温養生を行った後,表7に示す乾燥・水中浸せき繰返し処理を行う。乾燥は恒温恒

湿槽(室)で行い,水中へは図6に従って浸せきする。 

4) 乾燥・湿潤 高湿養生を行った後,表7に示す乾燥・湿潤繰返し処理を行う。乾燥は恒温槽(室),

湿潤は恒温恒湿槽(室)で行う。 

5) 熱劣化 標準養生を行った後,表7に示す熱劣化処理を恒温室内で行う。 

6) 低温硬化 低温養生を行った後,表7に示す低温硬化処理を恒温室内で行う。 

7) アルカリ水中 標準養生を行った後,表7に示すアルカリ水中浸せき処理を行う。水酸化カルシウ

ム飽和溶液中へは図6に従って浸せきする。 

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単位 mm 

図6−試験体の水中浸せき 

e) 接着強さ試験 

1) 試験機 試験機は,破壊荷重が試験機の容量の15 %〜85 %に相当する引張試験機で,変位速度が3 

mm/minに調節できるものとする。 

2) 接着強さ 接着強さは,b) によって作製した試験体を表7に示す養生及び処理を行った後,図7に

示すジグ及び図8に示す補助枠を用いて,試験機に図9の方法で取り付けて,変位速度は3 mm/min

で引張試験を行い,破断するまでの最大荷重を測定し,破断の状況を記録する。 

なお,引張試験は,養生終了後,直ちに行うものとする。ただし,乾燥・湿潤繰返し処理及び熱

劣化処理を行った試験体は,標準状態で24時間静置した後に行う。 

図7−ジグ 

単位 mm 

部位 

寸法 

21±5 

80±5 

50±5 

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単位 mm 

部位 

寸法 

12.5±3 

45±3 

図8−補助枠 

図9−ジグの取付け 

3) 接着強さの求め方 接着強さは,次の式によって求める。 

A

P

F=

ここに, 

F: 接着強さ(N/mm2) 

P: 最大荷重(N) 

A: タイルの面積(mm2) 

接着強さは,5個の試験体の平均値を求め,四捨五入によって,小数点以下2桁で表す。 

4) 破断の状況の記録 破断の状況は,次のように記録する。破断面を観察し,最大面積を示す破断の

位置を図10に従って目視によって測定し,その破断の位置を記号で示す。 

記号 

破断の位置 

下地材 

GA 

下地材と供試接着剤との界面 

供試接着剤 

AB 

供試接着剤とタイルとの界面 

タイル 

図10−破断位置 

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10 

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なお,鉄片とタイルとの界面で破断を生じた試験体については,その試験体の個数に応じて再試験を行

い,先の試験値と合わせて5個の試験体の平均値で表す。 

6.3.3 

耐熱性 

図11に示すように,タイル相互を10 mm上下にずらして裏面同士を接着し,表7の標準養生をした試

験体を60 ℃の恒温槽(室)にほぼ鉛直につるし,一方のタイルに質量4.5 kgのおもりをかけ,24時間そ

のままとする。タイルの剝がれ落ちの有無を観察する。 

単位 mm 

図11−耐熱性試験方法 

6.3.4 

ずれ抵抗性 

ずれ抵抗性試験は,次による。 

a) 試験用材料 試験用材料は,次による。 

1) 下地材 下地は,表6に規定する厚さ8 mmのフレキシブル板を200 mm×500 mmの大きさに切断

し,その短辺の両端に5 mm角の棒材をエポキシ樹脂系接着剤で張り付けたものとする。表面は,

ごみ,その他の異物の付着がないように清掃する。 

2) セラミックタイル 表6に規定するセラミックタイルを用いる。 

b) 試験体の作製及び試験方法 

1) 供試接着剤の塗布 供試接着剤の塗布操作を行うときは,供試接着剤の適量をとり,へらなどを用

いて下地材に厚さ約3 mmで塗布した後,6.2 b)に規定する標準くし目ごてを角度約60度に立てて

両手で一気に引いて余分の接着剤を取り除く。くし目の方向は,下地材の長辺方向に平行方向及び

直角方向の二通りとする。 

2) 試験方法 供試接着剤塗布後5分以内に,a) 2)に規定するタイルを図12に示すとおり供試接着剤が

塗布してある下地材へ静かに載せ,更にその上に質量5 kgのおもりを約30秒間載せた後,おもり

を取り去り,試験体中央部に墨,油性ペンなどで印を付け,基準線とする。 

直ちに試験体を垂直に立てる。24時間経過後に基準線からのずれ長さを,精度0.5 mm以上の長

さ測定器を用いて測定する。 

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単位 mm 

図12−ずれ抵抗性試験 

6.3.5 

可使時間 

可使時間の試験は,二液形に適用し,次による。 

a) 接着剤が23±2 ℃であることを確認する。 

b) 主剤及び硬化剤を製造業者の指定する割合で合わせて300 g程度になるように採取し,へらで均質に

なるように3分間混練する。その後,200 g以上入る容器に気泡が入らいないように充塡する。 

c) 直ちに回転式粘度計で粘度測定を行い,10分間隔で測定を継続する。製造業者が事前に設定した粘度

範囲を超えない時間を可使時間とする。 

6.3.6 

張付け可能時間 

張付け可能時間の試験は,次による。 

a) 試験用材料及び試験方法は,6.3.2による。試験体は,タイルの張付けを20分以降は10分おきに行う。

ただし,張付け可能時間があらかじめ想定できる場合,待ち時間を変更することができる。 

b) 標準養生を行った後,測定によって得られた結果が0.6 N/mm2を下回らない時間を張付け可能時間と

する。 

検査 

接着剤は,合理的な抜取検査方式によって試料を抜き取り,5.1〜5.5の規定を満足する場合は合格とす

る。ただし,5.6については,新しく設計したとき又は品質に影響を及ぼす技術的生産条件を大幅変更した

ときに行う。 

製品の呼び方 

製品の呼び方は,次の例に示すとおり,ホルムアルデヒド放散基準による区分の記号,主成分の種類,

規格名称及び用途による区分の順とする。 

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例 F☆☆☆☆・合成樹脂系エマルション形・セラミックタイル張り内装用有機系接着剤・(タイプII) 

用途による区分 

規格名称 

主成分の種類 

ホルムアルデヒド放散基準による区分の記号 

表示 

この規格の全ての要求事項に適合した接着剤の容器には,容易に消えない方法で,次の事項を表示しな

ければならない。 

a) 製品の呼び方 

b) 適用できるタイル 

c) 可使時間(二液形の場合に表示) 

d) 張付け可能時間 

e) 1回当たり塗布面積 

f) 

正味質量 

g) 製造年月日又はロット番号(ロット番号は製造年月日が明確である表示方法とする。) 

h) 有効期限又は有効期間 

i) 

製造業者名又はその略号 

表示例 

商品名 

製品の呼び方 

製造業者名又はその略号 

○ ○株式会社 

製造年月日 

年 月 日 

可使時間 

○ ○ 分間 

正味質量 

○ ○ kg 

1回当たり塗布面積 

m2 

張付け可能時間 

○ ○分間 

有効期限又は有効期間 

適用できるタイル 

セラミックタイル 

10 取扱い上の注意事項 

接着剤のカタログ,取扱説明書などに,次の事項を記載しなければならない。 

a) 保管には直射日光を避けるとともに,凍結が起こらないように,気温の変化に注意する。 

b) 気温5 ℃以上で使用する。 

c) 接着剤の安全な取扱いについては,製造業者の指定する注意事項を守る。 

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附属書A 

(参考) 

技術上重要な改正に関する新旧対照表 

現行規格(JIS A 5548:2015) 

旧規格(JIS A 5548:2003) 

改正理由 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条番号 
及び題名 

内容 

規格名称 

セラミックタイル張り内装用有機系接着剤 
Interior organic adhesives for ceramic tiles 

規格名称 

陶磁器質タイル用接着剤 
Organic adhesives for ceramic tiles 

引用規格であるJIS A 5209が2014
年の改正において,規格名称が“陶
磁器質タイル”から“セラミック
タイル”へ変更されたため。 

2 引用規格 削除 

JIS K 6800 接着剤・接着用語 の追加 

2. 引用規格 

JIS Z 1525 包装用ポリ塩化ビニル粘着テープ 

− 

試験体作製時の養生に使用するテ
ープのため,性能規定まで必要な
いと判断したため。 

3 用語及び
定義 

削除 

3. 定義 

b) 合成ゴムラテックス 

同成分系の接着剤は既に市販され
ていないため。 

削除 

f) 反応硬化形 

区分を見直したため。 

表2 主成
分の種類 

・ 削除 
・ 削除 

表2 主成分
による区分 

・ 合成ゴム系ラテックス形 
・ エポキシ変成合成ゴム系ラテックス形 

・ 同成分系の接着剤は既に市販

されていないため。 

・ エポキシ樹脂系 エポキシ樹脂を主成分と

し,その他の樹脂,添加剤,充塡剤などを配
合したもの。 

・ エポキシ樹脂系反応硬化形 エポキシ樹脂

を主成分とする主剤と,硬化剤との二液混
合形の接着剤で,それぞれに,その他の樹
脂,添加剤,充塡剤などを配合したもの。 

・ 他成分系においても反応硬

化,二液混合形が存在するこ
とから整合させたため。 

5 品質 

・d) 項の削除 

5. 品質 

d) 接着剤は,常温・常湿において,製造後6

か月間保存しても著しい品質の低下がな
く,かつ,e)及びf)の品質に適合しなければ
ならない。 

製造業者が有効期限又は有効期間
を表示しており,また,6か月保
存後の品質確認を規定すると品質
の維持向上のための製品開発及び
改良の時間的制約となること,接
着剤に関連するその他のJISでは
有効期限に関する規定を設けてい
ないことから削除。 

表4 品質
試験項目 

削除 

表4 品質試
験項目 

貯蔵安定性 

3

A

 5

5

4

8

2

0

1

5

background image

14 

A 5548:2015  

現行規格(JIS A 5548:2015) 

旧規格(JIS A 5548:2003) 

改正理由 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条番号 
及び題名 

内容 

表5 特性 

・ 単位N/mm2 
・ 削除 
・ 標準 0.60以上 
・ 温水 0.30以上 
・ 乾燥・水中 0.30以上 
・ 乾燥・湿潤 0.30以上 
・ 熱劣化 0.30以上 
・ 低温硬化 0.30以上 
・ アルカリ水中 0.30以上 

表5 判定基
準 

・ 単位N/cm2 
・ 貯蔵安定性 
・ 標準 58.8以上 
・ 温水 29.4以上 
・ 乾燥・水中 29.4以上 
・ 乾燥・湿潤 29.4以上 
・ 熱劣化 29.4以上 
・ 低温硬化 29.4以上 
・ アルカリ水中 29.4以上 

単位を全てN及びN/mm2に統一し
たことによる。また,有効桁数を
2桁にして,旧規格値以上の設定
となるようにした。ただし,おも
り,荷重はkgを継続。 

6.1 試験の
一般条件 

c) 接着剤は,試験に際して,よくかき混ぜてか

ら用いる。ただし,一液形のウレタン樹脂系
及び変成シリコーン樹脂系は除く。 

6.1 試験の
一般条件 

c) 接着剤は,試験に際して,よくかき混ぜて

から用いる。 

接着剤が分離した状態で使用され
ないことからの記載であるが,一
液形湿気硬化タイプの接着剤では
適さないため。 

d) 二液形の接着剤 

d) エポキシ樹脂系の接着剤 

表6 試験
に用いる材
料及び用具 

・ 繊維強化セメント板 

フレキシブル板 

表6 試験に
用いる材料
及び用具 

・ スレート 

フレキシブル板 

引用規格の改正に伴う整合のた
め。 

・ セラミックタイル 

JIS A 5209に規定するセラミックタイルで,

BIII施ゆうタイル,100 mm角,裏面無処理の
もので裏あしのないもの。 

・ 陶磁器質タイル 

JIS A 5209に規定する内装陶磁器質タイ

ルで100 mm角,裏面無処理のもので,9.
の適用タイルに規定するもの。 

− 

貯蔵安定性(一液形に適用)項の削除 

6.3.1 貯蔵安
定性(一液形
に適用) 

4 kg以上の缶入り接着剤2缶を1 kgずつに分け
1 kg缶8個を用意する。 
この中の4缶を貯蔵安定性試験に供する。4週
間のうち,最初の2週間は23±2 ℃,後半の2
週間は50±2 ℃で貯蔵し,その後の容積及び粘
度に著しい変化が見受けられるかどうか目視に
よって調べる。 
なお,残りの1 kg缶4個の接着剤は,ほかの試
験に供するものとする。 

箇条5(品質)と同理由による。 

6.3.1 混練
終結確認容
易性(二液
形に適用) 

練り混ぜ前の主剤及び硬化剤と混練終了後のもの
とを比較,目視によって混練終結が明瞭であるこ
とを確認する。 

6.3.2 混練終
結確認容易
性(二液混合
形に適用) 

目視によって混練終結と色が明瞭であることを
確認する。 

確認する比較対象が明確になるよ
うに追記。 

3

A

 5

5

4

8

2

0

1

5

background image

15 

A 5548:2015  

現行規格(JIS A 5548:2015) 

旧規格(JIS A 5548:2003) 

改正理由 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条番号 
及び題名 

内容 

6.3.2 接着
強さ 

・a) 試験用材料 

1) 下地材 表6に規定するモルタル板 
2) セラミックタイル 表6に規定するセラミ

ックタイル 

6.3.3 接着強
さ試験方法 

・a) 試験用材料 

1) 下地材 モルタル板 
2) 陶磁器質タイル 陶磁器質タイル 

 
表6を引用。 

・b) 試験体の作製 

3) タイルの張付け 供試接着剤塗布後,20分

の待ち時間 

・b) 試験体の作製 

3) タイルの張付け 接着剤塗布後,通常,

20分の待ち時間 

 
待ち時間を明確にするため。 

・c) 試験体の養生 を追加 

− 

・d) 試験体の処理 

1) 標準 を追加 
2) 温水 低温養生を行った後,恒温水槽内にお

いて表7に示す温水浸せき処理を行う。 

3) 乾燥・水中 低温養生を行った後,表7に示

す乾燥・水中浸せき繰返し処理を行う。乾燥
は恒温恒湿槽(室)で行い,水中へは図6
に従って浸せきする。 

4) 乾燥・湿潤 高湿養生を行った後,表7に示

す乾燥・湿潤繰返し処理を行う。乾燥は恒温
槽(室),湿潤は恒温恒湿槽(室)で行う。 

5) 熱劣化 標準養生を行った後,表7に示す熱

劣化処理を恒温室内で行う。 

6) 低温硬化 低温養生を行った後,表7に示す

低温硬化処理を恒温室内で行う。 

・c) 試験体の処理 

− 

1) 温水浸せき 低温養生を行った後,表7

に示す養生を恒温水槽内において行う。 

2) 乾燥・水中浸せき繰返し 低温養生を行

った後,表7に示す養生を行う。乾燥は
恒温恒湿室で行う。水中へは図6に従っ
て浸せきする。 

3) 乾燥・湿潤繰返し 高湿養生を行った後,

表7に示す養生を行い,乾燥は恒温室で
行う。湿潤は恒温恒湿室で行う。 

5) 熱劣化 標準養生を行った後,表7に示

す養生を恒温室内で行う。 

6) 低温硬化 低温養生を行った後,表7に

示す養生を恒温室内で行う。 

養生と処理の表現が混在してお
り,不明瞭であったため。 
表5に記載の接着強さの項目に合
わせた記載とした。 
“養生”と“処理”の使用方法を
明確にした。 

7) アルカリ水中 標準養生を行った後,表7

に示すアルカリ水中浸せき処理を行う。水酸
化カルシウム飽和溶液中へは図6に従って
浸せきする。 

4) アルカリ水中浸せき 標準養生を行った

後,表7に示す養生を行う。水酸化カル
シウム飽和溶液中へは図6に従って浸せ
きする。 

・e) 接着強さ試験 

2) 表7に示す養生及び処理を行った後 

・d) 接着強さ試験 

2) 表7に示す養生を行った後 

3) 接着強さは,5個の試験体の平均値を求め,

四捨五入によって,小数点以下2桁で表す。 

3) 接着強さは,5個の試験体の平均値で表

す。 

規格値の変更に伴う変更,及び数
値の丸め方を明記した。 

3

A

 5

5

4

8

2

0

1

5

background image

16 

A 5548:2015  

現行規格(JIS A 5548:2015) 

旧規格(JIS A 5548:2003) 

改正理由 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条番号 
及び題名 

内容 

6.3.3 耐熱
性 

・タイル相互を10 mm上下にずらして裏面同士を
接着 

6.3.4 耐熱性
試験方法 

・タイル相互を10 mm上下にずらして接着 

張付け面を明確にした。 

6.3.4 ずれ
抵抗性 

・a) 試験用材料 

1) 下地材 表6に規定する厚さ8 mmのフレキ

シブル板 

6.3.5 ずれ抵
抗性試験方
法 

・a) 試験用材料 

1) 下地 厚さ8 mmのフレキシブル板 

 
表6に材料を規定する記載がある
ため。 

2) セラミックタイル 表6に規定するセラミ

ックタイル 

・b) 試験体の作製及び試験方法 

2) 陶磁器質タイル 9.に規定する適用タイ

ルで100 mm角タイル 

・b) 試験体の作製及び試験方法 

2) 試験方法 試験体中央部に墨,油性ペンなど

で印を付け,基準線とする。 

2) 試験方法 試験体中央部に墨を打ち,基

準線とする。 

タイル厚さによって墨打ちが適切
にできない場合があるため。 

6.3.5 可使
時間 

可使時間の試験手順をより詳細に規定。 

6.3.6 可使時
間及び張付
け可能時間 

可使時間及び張付け可能時間の定め方は,表5
に規定する標準接着強さを満足する最長の時間
とする。 

JIS K 6870を参考にタイル施工に
おいて適切な粘度変化を用いるこ
ととした。 

6.3.6 張付
け可能時間 

張付け可能時間の試験手順をより詳細に規定。 

試験方法を明確にした。 

8 製品の呼
び方 

・ セラミックタイル張り内装用有機系接着剤 

8. 製品の呼
び方 

・ 陶磁器質タイル用接着剤 

規格名称変更による変更。 

9 表示 

削除 
g) 製造年月日又はロット番号 

9. 表示 

g) ロット番号 
h) 製造年月日 

ロット番号は製造年月日が明確で
ある表示方法と規定したため。 

3

A

 5

5

4

8

2

0

1

5