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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

A 4303-1994 

排煙設備の検査標準 

Inspection standard of smoke exhaust equipment 

1. 適用範囲 この規格は,建築物に設置した排煙設備の性能について検査するための検査項目,検査器

具,検査方法及び判定基準について規定する。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS A 1311 建築用防火戸の防火試験方法 

JIS B 8330 送風機の試験及び検査方法 

JIS C 1102 指示電気計器 

JIS C 1302 絶縁抵抗計 

JIS K 1501 メタノール 

2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考値である。 

3. 数値の換算 従来単位の試験機又は計測器を用いて試験する場合の国際単位系 (SI) による

数値への換算は,次による。 

1kgf=9.80N 

1kgf/m2=9.80Pa 

2. 検査項目 検査項目は,次のとおりとする。 

(1) しゅん(竣)工検査 しゅん工検査では,4.に規定する全項目について検査する。 

(2) 定期検査 保守管理のための定期検査では,4.3.2の運転試験を除く,4.に規定する全項目について検

査する。 

3. 検査器具 検査器具は,次のとおりとする。 

(1) 電気系統の検査には,JIS C 1302に規定する500V,100MΩ絶縁抵抗計及びJIS C 1102に規定する2.5

級以上の精度をもつ電流計及び電圧計を用いる。 

(2) 排煙口(又は給気口)の開放装置の操作力を測る計器は,計量法で規定されたばねばかり又はこれと

同等以上の精度をもつものを用いる。 

4. 検査方法及び判定基準 

4.1 

書類による予備検査 書類による予備検査は,必要な書類(1)によって,あらかじめ次の各項の検査

を行うものとする。 

注(1) ここでいう必要書類とは,下記の内容を記載したものとする。 

(1) 建物の用途及び規模がわかるもの。 

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(2) 排煙設備,機器の形式,容量及び出力がわかるもの。 

(3) 建物の平面及び立断面がわかるもの。 

(4) 排煙計画がわかるもの。 

(5) 排煙設備の系統(風道・制御用配線・動力配線)がわかるもの。 

(6) 平面図上で,次の事項がわかるもの。 

(a) 防火区画及び防煙区画(天井内の区画も記してあること。) 

(b) 排煙風道の経路及び寸法,排煙口の位置,排煙風量,防火ダンパーの位置及び寸法,消防

法によって設置されたものを含めた煙感知器の位置及びその構成区画,煙感知器からの防

火戸,空調,排煙,エレベータ及びその他諸設備への指令,又は制御系統 

(7) 排煙機の設置室の平面及び立断面(排煙諸設備を含めたもの。)がわかるもの。 

(8) その他必要書類 

(a) 確認申請書一式 

(b) 空調,換気及び消火設備図面 

(c) 予備電源関係書類 

(d) 危険物使用の届出書 

(9) 次の仕様がわかる書類及び図面 

(a) 排煙口〔構造,材質,作動方法及び取付方法[ダクトからの接合部のフランジ,はぜなど

の詳細図(参考図1参照)],空気漏えい量〕 

(b) 防煙壁(構造,材質,作動方法及び取付方法) 

(c) 排煙風道(構造,材質,断熱方法及び材質) 

(d) 防火ダンパー〔構造,材質,作動方法,点検口,空気漏えい量及び取付方法[特に火災に

際し,ダクトが脱落・落下しても防火ダンパーが確実に旧状を保つことがわかる詳細図(参

考図2参照)]〕 

(e) 排煙機(構造,材質,設置方法及び性能) 

(f) 中央管理室(制御及び監視方法) 

(10) 計算書 各排煙口及びその風量の算定,風道の寸法及び長さ,排煙機の選定(最大排煙風量・

最大必要圧力・最大必要動力・排煙風量・風道)に必要な計算書。 

4.1.1 

排煙口 排煙口は,次のとおりとする。 

(1) 材質は不燃材料であり,しゅう動部は火災時の熱による変形又は脱落,日常のさび,じんあいなどに

よって作動を阻害されない構造であること。 

(2) 同一ダクト系統に設けてあるもので2番目以降の排煙口の開放に当たり,支障がなく,排煙運転中の

気流によって各部が振動などによる障害を生じないものであること。 

(3) 排煙口周辺及び風道との接続部において,空気漏えいによって排煙性能の低下が生じるおそれがない

構造及び取付方法であること。 

(4) 排煙計画に応じた用途,建物構成に応じた位置,形状及び取付間隔が適切であること。 

(5) 煙感知器と連動するもの,又は中央管理室から制御・監視ができるものは,制御監視回路が適正であ

り,かつ,電気系統は耐熱処置が,なされていること。 

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参考図1 排煙口の取付図 

参考図2 防火ダンパーの取付方法 

4.1.2 

防煙壁 防煙壁は,次のとおりとする。 

(1) 材質は不燃材料であり,可動式防煙壁の場合は,しゅう動部は火災時の熱による変形又は脱落,日常

のさび,及びじんあいなどによって,作動を阻害されない材質,構造であること。 

(2) 取付位置は適切であること。 

(3) 防煙壁の高さは適切であること。 

(4) 煙感知器に連動して作動する防煙壁(可動防煙壁)の煙感知器の取付位置は適切であること。作動す

る際,障害になるものがないこと。 

(5) 煙感知器に連動して作動する防煙壁,又は中央管理室から制御・監視ができる可動防煙壁は,制御監

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視回路が適正であり,かつ,電線は耐熱処理がなされていること。 

4.1.3 

排煙風道 排煙風道は,次のとおりとする。 

(1) 材質は不燃材料であること。 

(2) 製作工法は,排煙性能に著しい影響を及ぼす空気漏えいが微少であり,排煙性能の低下が生じるおそ

れがないこと。 

(3) 断熱材は,熱によってはく離したり延焼のおそれがない工法・厚さの仕様であること。 

(4) 防火区画及び防煙区画を貫通する場合は,そのすき間がモルタル又はその他の不燃材料で確実に埋め

戻されていること。 

(5) 各排煙口(特に排煙機に近い排煙口)で過大な風速で吸引されるおそれがあるときは,空気抵抗バラ

ンスを考慮するなど適正な空気吸込量となるように考慮されていること。 

4.1.4 

防火ダンパー 防火ダンパーは,次のとおりとする。 

(1) 材質は,1.5mm以上の鉄板であること。 

(2) 閉鎖時における漏えい量は,20℃において1m2当たり19.6N {2kgf} の圧力で毎分5m3以下であること。 

(3) しゅう動部は熱膨張,さび,じんあいなどによって,作動を阻害されない構造であること。 

(4) 検査口・点検口は適正な位置にあること。 

(5) 取付方法は,構造体に強固に取り付ける工法で,火災時にダクトが脱落,落下しても損傷を受けない

こと(参考図2参照)。 

(6) 排煙機の圧力によって,防災上,有害な振動及びすき間を生じない構造であること。 

4.1.5 

排煙機 排煙機は,次のとおりとする。 

(1) 排煙機の性能は,JIS B 8330に準拠した試験成績表によって,使用範囲が適正であり,開放する排煙

口の位置によりサージング現象及び過負荷現象が生じない性能をもっていること。 

(2) 必要な耐熱性能をもつこと。 

参考 おおむね560℃の温度で性能に著しい支障がなく運転できる材質及び構造であること。 

(3) 通常の電源が切れた場合は,予備電源又は直結エンジンによって作動する方式であること。 

(4) 回転部は火災時の熱によって熱膨張,溶断変形などによって回転に支障を生ぜず,また,日常のさび,

じんあいなどで著しく性能に影響を及ぼされない構造であること。 

(5) 排煙機の内部の状態が検査できる点検口があること。設置区画は,JIS A 1311に規定する標準加熱温

度曲線で,30分以上の耐火性能をもっていること。 

(6) 排煙機の前後のダクト形状によって,排煙機の排煙性能が著しく低下しないこと。 

参考 排煙機前後に実際に取り付けられる形状又はこれにほぼ似た形状のダクトを取り付け,工場立

会試験を行ってあるものであることが望ましい。 

(7) 電動モータに対して保護装置及び配線が適正であること。 

備考 電気事業法 電気設備に関する技術基準を定める省令(昭和40年通商産業省令第61号)によ

る。 

4.1.6 

煙排出口 煙排出口は,次のとおりとする。 

(1) 他への延焼のおそれがない位置にあること。 

(2) 避難に影響を与えない位置にあること。 

(3) 熱によって変形,脱落などで排煙に支障をきたすことがない取付方法であること。 

4.1.7 

予備電源 

(1) 自家発電装置 自家発電装置は,次のとおりとする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(a) 設置位置は,火災の影響を直接受けない耐火構造の室であること。 

(b) 燃料に対する危険物の届出書が保管されていること。 

(c) 換気装置があり,その風量が適正であること。 

(d) 電気事業法に定める基準に適合していることが認められていること。 

(e) 始動は自動的に行う方式であること。 

(f) 発電容量が他の防災設備との関係も含め,十分な能力をもつものであること。 

(g) 冷却水が必要なものは,30分以上の運転に必要な冷却水が貯留されているか又は再循環できること。 

(h) 燃料は,30分以上,運転できる量であること。 

(2) 蓄電池 蓄電池は,次のとおりとする。 

(a) 蓄電池の種類及び容量が適正であること。 

(b) 蓄電池室には換気装置を具備していること。 

(c) 電池試験法が明示されていること。 

(d) 減液警報装置があること。 

(e) 10秒未満で自動的に切り替わるものであること。 

(f) 充電方法が示されていること。 

(3) 充電器 充電器は,次のとおりとする。 

(a) 充電器の種類及び能力が適正であること。 

(b) 設置室の換気状態等が適正であること。 

(4) 直結エンジン 直結エンジンは,次のとおりとする。 

(a) 容量及び能力は十分であること。 

(b) 直接火災の影響を受けない区画にあること。 

(c) 換気装置があり,風量は十分であること。 

(d) 燃料及び冷却水は,30分以上の運転に支障なく供給されること。 

4.1.8 

煙感知器 煙感知器は,次のとおりとする。 

(1) 煙感知器の種別がわかること。 

(2) 設置位置と対象物との関係が正しいこと。 

(3) 配線経路,種別及び電源が非常時有効に作動する方式であること。 

4.1.9 

電気配線 電気配線は,次のとおりとする。 

(1) 火災の影響を受けない工法及び配線種別であること。 

(2) 電気盤,分電盤,端子盤などは,火災の影響を直接受けない構造であり,火災の影響を直接受けない

取付位置にあること。 

(3) 幹線,分岐線などの太さ及び遮断器容量が,適合していると認められていること。 

備考 電気事業法 電気設備に関する技術基準を定める省令(昭和40年通商産業省令第61号)によ

る。 

4.1.10 中央管理室 中央管理室は,次のとおりとする。 

(1) 制御・監視方式の機能図がそろっていること。 

(2) 予備電源があること。 

(3) 中央管理室は耐火構造で囲まれていること。 

(4) 管理体制の組織表が整っていること。 

(5) 設置位置は避難階にあるか又はその上下階にあり,外部から容易に出入りすることができる位置にあ

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ること。 

4.2 

部位ごとに行う検査 部位ごとに行う外観検査及び性能検査は,原則としてすべての装置,機械,

器具などについて,実地に検査するものとする。ただし,隠ぺい部など建築仕上げ等の工程との関係にお

いて,直接検査できない部分及び現場において直接検査することが,著しく困難な部分については,施工

中,部分的に行った試験結果,及び工場などにおける性能試験結果の検査でこれに代えることができる。 

4.2.1 

排煙口 排煙口の検査は,次のとおりとする。 

(1) 外観検査 外観検査は,次のとおりとする。 

(a) 4.1.1の予備検査の内容を満足していること。 

(b) 排煙口の周辺に作動を妨げる障害物がないこと。 

(c) 手動開放装置の位置は目につきやすく,高さが適切であり,表示板が完備していること。 

(2) 性能検査 性能検査は,次のとおりとする。 

(a) 手動開放装置及びそれによる排煙口の開放が容易に作動すること。ただし,この場合の容易に作動

することとは,手動開放装置の操作が98.1N {10kgf} 以下の力で作動することをいう。 

備考 一つの排煙機が2以上の排煙口をもつ場合,最初の排煙口だけでなく,2個目以後の排煙口に

ついても,同様とする。 

(b) 排煙口は十分に開放し,開放状態の保持は良好であること。 

また,排煙口の開放時の衝撃等が,排煙口の取付けその他に悪い影響を与えないこと。 

(c) 排煙口の排煙風量は,その値が基準値以上であり,かつ,排煙計画値を満足するものであること[4.3.1

(排煙量の検査)の項参照]。 

この場合,測定対象数は,原則としてすべての排煙口を試験する。ただし,定期検査におい

ては,その数は全数の31程度でもよく,特に重要な場所以外は,前回の検査との重複を避け,

おおむね3年以内で全数が検査できるようにしてもよい。 

測定方法は,附属書1による。 

(d) 煙感知器連動による作動は良好であること[4.2.8(煙感知器)の項参照]。 

4.2.2 

防煙壁 防煙壁の検査は,次のとおりとする。 

(1) 外観検査 外観検査は,次のとおりとする。 

(a) 4.1.2の予備検査の内容を満足していること。 

(b) 可動防煙壁の周辺に障害物がないこと。 

(2) 性能検査 可動防煙壁の場合は,次の検査を行う。 

(a) 可動防煙壁を作動させて,しゅう動部分の作動が良好であること。 

また,作動時の衝撃が周囲に悪い影響を与えないこと。 

(b) 煙感知器連動による作動は良好であること[4.2.8(煙感知器)の項参照]。 

4.2.3 

排煙風道 排煙風道の検査は,次のとおりとする。 

(1) 外観検査 外観検査は,次のとおりとする。 

(a) 4.1.3の予備検査の内容を満足していること。 

(b) 排煙風道の取付けは強固であり,地震等でも障害を生じないこと。 

また,断熱材の破損不備がなく,排煙風道に可燃物が接触していないこと。 

(c) 防火ダンパーがある場合は,検査口は羽根に近接し,羽根の開閉作動状態が確認できること。 

点検口はダンパーに近接し,保守点検が容易に行えること。 

(d) 防火区画と防火ダンパーとの間の排煙風道は,厚さ1.5mm以上の鉄板で作られているか,モルタル

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等で被覆されて十分な防火性能をもつこと(参考図2参照)。 

(e) 熱膨張の伸びを吸収する伸縮継手は不燃材料であること。 

(2) 性能検査 性能検査は,附属書2によって試験を行い,著しい漏煙がないこと。 

4.2.4 

防火ダンパー 防火ダンパーの検査は,次のとおりとする。 

(1) 外観検査 外観検査は,次のとおりとする。 

(a) 4.1.4の予備検査の内容を満足していること。 

(b) 検査口は,羽根の開閉状態が確認できる位置についていること。 

(c) 点検口はダンパーに近接し,保守点検が容易に行えること。 

(d) 温度ヒューズはさび,ほこりなどで,性能を阻害されないこと。 

また,感熱部に方向性があるものは,その取付けの向きが適正であること。 

(2) 性能検査 性能検査は,次のとおりとする。 

(a) 温度ヒューズの取替えは,容易に行えること。 

(b) 作動は異常がなく,作動後は排煙機の圧力に耐え,適正な閉鎖状態を保ち得るものであること。 

4.2.5 

排煙機 排煙機の検査は,次のとおりとする。 

(1) 外観検査 外観検査は,次のとおりとする。 

(a) 4.1.5の予備検査の内容を満足していること。 

(b) 保守点検が容易な位置に強固に設置してあり,基礎架台は十分に固定されていること。 

(c) 排煙機と風道との接続材は耐熱性があり,風道の熱膨張等の影響が排煙機に伝わらない構造か,又

は悪い影響を与えない構造であること。 

(d) 排煙機内部に性能を阻害するさび,ほこりなどの異状がないこと。 

(e) Vベルトを使用するものは,たわみ具合が正常で,かつ,火災時に熱で損傷を受けない構造である

こと。 

(2) 性能検査 性能検査は,次のとおりとする。 

(a) 回転方向は正しく,回転数,電流及び電圧が正常であること。 

(b) 排煙機に最も近い排煙口2個を開放し,過負荷現象にならないこと。 

(c) 排煙機に最も遠い排煙口1個を開放して,サージング現象によって,排煙性能の著しい低下がない

こと。 

(d) 排煙口の開放に伴い,自動的に作動すること。 

4.2.6 

煙排出口 煙排出口の外観検査は,次のとおりとする。 

(1) 4.1.6の予備検査の内容を満足していること。 

(2) 雨水,ねずみ,虫などが侵入しない構造であること。 

4.2.7 

予備電源 

4.2.7.1 

自家発電装置 予備電源の自家発電装置の検査は,次のとおりとする。 

(1) 外観検査 外観検査は,次のとおりとする。 

(a) 4.1.7(1)の予備検査の内容を満足していること。 

(b) 潤滑油は十分であること。 

(c) 燃料タンク及び冷却水槽の貯蔵量は十分であること。 

(d) 空気槽の圧力状態又はセル始動用蓄電池の状態がよいこと。 

(e) 各種配管の状況がよいこと。 

(f) 発電気盤,自動起動盤などの管理状態がよいこと。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(g) バルブ及びハンドルの位置は運転可能状態にあること。 

(h) 工具類がよく整備され,管理状態がよいこと。 

(2) 性能検査 性能検査は,次のとおりとする。 

(a) 所定の出力をもつこと。 

(b) 切替回路がよいこと。 

(c) 換気状態がよいこと。 

(d) 原動機の始動停止が確実に行われること。 

(e) 運転中に油漏れがないこと。 

(f) 異臭,異音,異常な振動,異常な発熱などがないこと。 

(g) 排気筒の破損,き裂などによる排気漏れがないこと。 

(h) 計器及び継電器の作動がよいこと。 

(i) コンプレッサーポンプの作動がよいこと。 

4.2.7.2 

蓄電池 予備電源の蓄電池の検査は,次のとおりとする。 

(1) 外観検査 外観検査は,次のとおりとする。 

(a) 4.1.7(2)の予備検査の内容を満足していること。 

(b) 蓄電池室の管理状態が良いこと。 

(c) 工具及び計器の管理状態が良いこと。 

(2) 性能検査 性能検査は,次のとおりとする。 

(a) 蓄電池の充電電圧及び電流は所定値であること。 

(b) 蓄電池の液温及び液の比重は適正であること。 

(c) 減液警報装置の機能は正しく作動すること。 

4.2.7.3 

充電器 予備電源の充電器の検査は,次のとおりとする。 

(1) 外観検査 外観検査は,次のとおりとする。 

(a) 4.1.7(3)の予備検査の内容を満足していること。 

(b) 充電器室の管理状態が良いこと。 

(c) 充電器の保守管理状態が良いこと。 

(d) 異臭,異音,異常な発熱などがないこと。 

(2) 性能検査 性能検査は,次のとおりとする。 

(a) 計器の指示及び充電装置の設定値が正しいこと。 

(b) 継電器の作動状態が良いこと。 

(c) 電圧補償装置の作動が良いこと。 

4.2.7.4 

直結エンジン 予備電源の直結エンジンの検査は,次のとおりとする。 

(1) 外観検査 外観検査は,次のとおりとする。 

(a) 4.1.7(4)の予備検査の内容を満足していること。 

(b) エンジンが置かれている室の管理状態が良いこと。 

(c) 原動機の管理状態が良いこと。 

(d) 燃料タンク及び冷却水の貯蔵量が十分であること。 

(e) 始動用蓄電池の保守管理状態が良いこと。 

(f) 各種配管の状態が良いこと。 

(g) バルブ及びハンドルは,運転可能状態になっていること。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(h) 工具類はよく整備され,管理状態が良いこと。 

(2) 性能検査 性能検査は,次のとおりとする。 

(a) 所定の出力をもつこと。 

(b) 原動機の始動停止が確実に行われること。 

(c) 運転中に,油漏れ及び水漏れがないこと。 

(d) 潤滑油の圧力及び冷却水の温度が適切であること。 

(e) 異臭,異音,異常な振動及び異常な発熱がないこと。 

(f) 排気筒の破損,き裂などによる排気漏れがないこと。 

(g) 計器及び継電器の作動が良いこと。 

4.2.8 

煙感知器 煙感知器の検査は,次のとおりとする。 

(1) 外観検査 外観検査は,次のとおりとする。 

(a) 4.1.8の予備検査の内容を満足していること。 

(b) 気流の影響を受けやすい場合は,適当な防護措置がなされていること。 

(c) 作動を妨げる障害物がないこと。 

(2) 性能検査 煙試験を行い,表1の時間内にシステムの作動が順調に行われること。ただし,試験方法

は,附属書3による。 

表1 

単位 s 

種別 

非蓄積型 

蓄積型 

イオン化式 

光電式 

イオン化式 

光電式 

1種 

30 

30 

60 

60 

2種 

60 

60 

90 

90 

3種 

90 

90 

120 

120 

4.2.9 

電気配線 電気配線の検査は,次のとおりとする。 

(1) 外観検査 外観検査は,次のとおりとする。 

(a) 4.1.9の予備検査の内容を満足していること。 

(b) 接続方法及び接続箇所は正しいこと。 

(c) 防火区画の貫通場所の埋戻しの状態が良いこと。 

(d) 配管等の支持及び接地の状態が良いこと。 

(2) 性能検査 性能検査は,次のとおりとする。 

(a) 絶縁抵抗は,表2の規定に適合しなければならない。ただし,絶縁抵抗は開閉器又は自動遮断器で

区切ることができる電路ごとに検査してもよい。 

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表2 

単位 MΩ 

回路の用途 

回路の使用電圧 

絶縁抵抗 

電動機主回路 

300V以下のもの 
300Vを超えるもの 

0.2以上 
0.4以上 

制御回路 
信号回路 
照明回路 

150V以下のもの 
150Vを超え300V以下のもの 

0.1以上 
0.2以上 

備考1. 電動機主回路の絶縁抵抗は,制御盤の各ヒューズを抜い

て検査する。制御回路の絶縁抵抗は,各安全装置のスイ
ッチを閉じてヒューズを抜いて検査する。 

2. 半導体,電解コンデンサ,電子管などの電子機器を含む

回路については,適当な絶縁抵抗計を用いて検査するか
又は電圧計を用いて次の式によって絶縁抵抗を算出す
る。 

×

×

1

000

000

1

)

(

x

m

e

e

E

R

M=

絶縁抵抗

ここに,Rm:使用電圧計の1V当たりの抵抗値 (Ω) 

E:使用電圧計のその時の測定範囲 (V) 
e:測定回路の常用操作電源の電圧 (V) 
ex:当該測定箇所での電圧計の指示電圧 (V) 

(b) 接地抵抗は,表3の規定に適合しなければならない。 

表3 

単位 MΩ 

回路の使用電圧 

接地抵抗 

300V以下のもの 

100以下 

300Vを超えるもの 

10以下 

その他の電気設備については,電気事業法電気設備に関する技術基準を定める省令(昭和40年通

商産業省令第61号)に適合していること。 

4.2.10 中央管理室 中央管理室の検査は,次のとおりとする。 

(1) 外観検査 外観検査は,次のとおりとする。 

(a) 4.1.10の予備検査の内容を満足していること。 

(b) 室内の管理状態(明るさ,清掃状態,換気状態など)が良いこと。 

(c) 銘板及び表示文字の脱落がないこと。 

(d) ランプカバーなどの脱落がないこと。 

(2) 性能検査 性能検査は,次のとおりとする。 

(a) 各表示灯は正常に点灯すること。 

(b) 作動表示が確実に行われること。 

(c) スイッチ類は円滑に作動すること。 

(d) 警報はよく聞こえること。 

(e) (a)〜(d)の検査をチェック回路で行えること。 

(f) 排煙機,可動防煙壁,排煙口,空調機などの制御及び監視が確実であること。 

(g) 非常用エレベータの呼出し装置及び通話設備が適正であること。 

4.3 

総合運転検査 総合運転検査は,排煙量の検査及び排煙効果の検査を,次の方法によって行う。 

background image

11 

A 4303-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.3.1 

排煙量の検査 

(1) 検査方法 総合運転による排煙量の検査は,同一排煙機が受け持つ排煙系統で,防煙区画ごとに,ま

た,最大防煙区画の前後の排煙口を開放して,附属書1によって測定する。 

(2) 判定基準 判定基準は,次のとおりとする。 

(a) 居室排煙においては,開放した排煙口で,当該防煙区画面積1m2当たり,毎分1m3以上あること。 

(b) 2以上の防煙区画を1台の排煙機で排煙する場合,最大防煙区画とその前後の防煙区画の排煙口と

の風量の合計が,最大防煙区画の(a)で規定された風量の2倍以上あること。 

(c) 特別避難階段の附室及び非常用エレベータの乗降ロビーの排煙設備の場合は,各階とも毎秒4m3以

上の風量があり,附室・乗降ロビー兼用のときは,各階とも,毎秒6m3以上の風量があること。 

(d) 各排煙口風量の合計が毎分120m3に満たないときは,毎分120m3以上の排煙量があり,各排煙口風

量の合計が毎分1 000m3を超える場合は,毎分1 000m3以上の排煙量がなければならない。 

例1. 

(a) ①,②,③各防煙区画を単独に排煙した場合,各々床面積1m2当たり毎分1m3以上の排煙量

がなければならない。 

(b) ①,②防煙区画を同時に排煙した場合,合計して毎分200m3以上の排煙量がなければならな

い。 

例2. 

4.3.2 

排煙効果の検査 排煙効果の検査は,次のとおりとする。 

なお,煙発生のためのアルコールパンの燃焼量,発煙筒の量,燃焼時間,並べ方及び時間の設定は,附

属書4による。 

4.3.2.1 

居室・廊下の排煙効果の検査 居室・廊下の排煙効果の検査は,居室が火災になったとき,その

階の人が直接又は廊下等を通過して階段などの安全な区画に全員避難し終わるまでの排煙効果について行

うものであり,排煙設備の使い方及び避難の方法の検討のため行うものである。想定する火災は,特に定

めがない限り,フラッシュオーバー前を対象として行う。 

12 

A 4303-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(1) 検査の方法 検査の方法は,次のとおりとする。 

(a) 煙を発生する位置(発煙筒及びアルコールを燃焼する位置)は,居室で出火危険の高い位置若しく

は避難上不利となる位置又は室の中央とする。ただし検査上,引火のおそれがある部分は,そこを

避けるものとする。 

(b) アルコールパンに点火後,煙がほぼ一様に天井に達したとき(例えば500m2の部屋であれば約30

秒)を避難開始時刻とし,その判定は検査員が行う。ただし,煙感知器による自動火災報知装置又

は他の方法で火災を覚知するシステムの場合,警報ベルの作動が先の時刻よりも早いときには,そ

れをもって避難開始時刻としてもよい。 

(c) 避難開始時刻に,室の中央から1人が走って行き,計画に従って排煙口を開放する。 

また,1防煙区画内に排煙口が数個ある場合は,順次1人で開放する。 

(d) 居室と廊下との間の扉は,その階の避難終了時刻まで開放しておくことを標準とする。扉が2か所

以上ある場合には,出火位置が出入口付近であることを想定して,特別な計画がない限り出火位置

付近の扉を閉鎖し他を開放する。 

(e) 煙が廊下に漏出する場合で,廊下に排煙口があり,防災・避難計画上,排煙を行う予定の建物は,

煙が廊下と避難階段までの21の距離に達したとき,排煙口を開放し廊下の排煙を開始する。 

(f) 避難時間内に,煙が階段へ到達する場合で附室があるときは,附室に煙が到達したとき,排煙口を

開放し排煙する。 

(g) 避難時間後に,階段室(附室がある場合には附室)の扉を閉じ,廊下及び居室の煙の状態を観察記

録する。 

(2) 判定基準 判定基準は,次のとおりとする。 

(a) 居室の排煙効果 居室の避難時間 (4T1) (附属書4参照)の時点の煙の高さが,おおむね床上1.8m

以上にあること。 

(b) 火災階の排煙効果 廊下において,火災階の避難時間 (4Tf) (附属書4参照)の時点の煙の高さが,

おおむね床上1.8m以上にあること。 

また,附室がある場合,附室の排煙設備を作動させ,煙は,おおむね床上1.8m以上にあり,階段

室への漏煙がないこと。 

備考 火災中,火災になっていない場所(例えばこの項でいう廊下,階段附室など)で,排煙すると,

火災室から煙を吸引して好ましくないことがある。その場合は,この項に示すように廊下,階

段附室などの排煙を想定する火災室との間の扉の開放条件をいろいろと変えて,このような現

象を伴うかどうか検査しておくことが望ましい。 

(c) 連動装置の評価 種々の情報伝達システムが試験中,混乱なく作動すること。 

4.3.2.2 

特別避難階段の附室及び非常エレベータの乗降ロビーの排煙効果の検査 この検査は特別避難

階段,エレベータの昇降路及びその他から上階への煙の伝ぱ(播)について行うものであり,想定する火

災は,フラッシュオーバー後を対象として行う。 

(1) 検査の方法 検査の方法は,次のとおりとする。 

(a) アルコールパンを附室内の扉の近くへ設置し,発煙筒と共に着火する。ただし,アルコールパンに

よる発煙量は,あらかじめ行った実験値等に基づき,扉前後の圧力差19.6Pa {2kgf/m2} における通

気量(2)の2倍以上とし,燃焼時間は,3分間とする。 

備考 扉・天井で養生が必要なものは養生する。 

注(2) 算定方法は,附属書4の3.2(1)による。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(b) 給気口及び排煙口を開放し,排煙状態を検査する。 

備考 附室内に煙が充満し,給気口に逆流することもあるので注意する。 

(2) 判定基準 階段室又はエレベータ昇降路内へ,漏煙がないこと。 

4.3.2.3 

検査の条件 検査の条件は,次のとおりとする。 

(1) 自然排煙設備のものは,おおむねその土地の平均風速以上の外風の場合は行わない。 

(2) できるだけ冬季に行う。 

検査は,低層部及び高層部で行うことが望ましい。 

備考 煙は思わぬところから上階へも伝ぱ(播)するので,全館に注意を払うとともに,併せて,そ

の原因を調査することが望ましい。 

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14 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1 排煙口の風量測定方法 

1. 適用範囲 この附属書は,排煙設備における,排煙口風量の測定方法について規定する。 

2. 測定器具 JIS B 8330に規定するピトー管,U字形液柱計,傾斜液柱計,熱線風速計又は気象庁検定

品の風車風速計若しくはそれらと同等以上の性能がある器具を用いる。 

3. 測定方法 測定方法は,次のとおりとする。 

(1) 排煙口を開放して,各防煙区画ごとに風量を求める。 

(2) 排煙口の面で,附属書1図1のように,対角線上5点をそれぞれ30秒間継続して,風速を測定する。 

附属書1図1 

(3) 測定した風速から平均値を算出し,次式によって標準状態 (20℃) の風量を算定する。 

+t

v

A

Q

273

293

60

ここに, 

Q: 風量 (m3/min) 

A: 排煙口有効面積 (m2) 

v: 平均風速 (m/s) 

t: 室温 (℃) 

4. 測定上の注意 測定上の注意は,次のとおりとする。 

(1) 熱線風速計は指向性が強いので,受感部を風向きに直角にあてるようにする。 

(2) 測定者が風の流れを乱さないように注意する。 

(3) 測定器は,使用前に必ず修正する。 

(4) 面風速の平均値を求めるのであるから,受感部は排煙口面にできるだけ近づけること。 

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15 

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附属書2 排煙風道の漏れ試験方法 

1. 適用範囲 この附属書は,現場又は工場で排煙設備の排煙風道の漏れを試験する方法について規定す

る。 

2. 試験器具 試験器具は,次のとおりとする。 

(1) 加圧送風機 ダクト内圧力19.6Pa {2mmAq} 以上に加圧できる送風機とする。 

(2) 発煙筒 適宜な大きさで建物の汚染,ほかへの障害が少ないものとする。 

(3) 液柱形 JIS B 8330に規定するU字形液柱形又は傾斜液柱形を用いる。 

3. 試験方法 各排煙口及び煙排出口を密閉し,試験用送風機で煙を圧入(約19.6Pa {2mmAq})し,排煙

風道の漏煙の有無を目視によって確かめる。 

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16 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書3 煙感知器の試験方法 

1. 適用範囲 この附属書は,既に設置してある排煙設備の煙感知器の性能を現場で試験する方法につい

て規定する。 

2. 試験器具 試験器具は,次のものを用いる。 

(1) 加煙試験器 

(2) 溶接用うず巻線香 

3. 検査方法 検査方法は,次のとおりとする。 

(1) 加煙試験器内に発煙材(溶接用うず巻線香)2個以内で,感知器に加煙する(附属書3図1参照)。 

附属書3図1 

(2) 感知器が感知し,システムが作動するまでの時間を測定する。 

4. 測定上の注意 煙感知器の取付面の気流の影響を受けないよう適当な防護措置を講じること。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書4 “排煙効果に関する総合運転試験”の条件設定方法 

1. 適用範囲 この附属書は,排煙設備の“排煙効果の運転試験”の器具及び条件設定方法について規定

する。 

2. 検査器具 検査器具は,次のとおりとする。 

(1) アルコールパン 鉄板製 

(2) 発煙筒(1) 適正な発煙量で建物への汚染,その他有害な影響が少ないものとする。 

(3) アルコール JIS K 1501に規定するメタノールを用いる。 

注(1) ここでいう発煙筒とは,排煙設備検査用の発煙筒であり,次の性能をもつものである。 

(1) 発煙量 (CsV) は10Csm3/min 

(2) イオン濃度は煙濃度(減光濃度Cs)0.1のとき30V 

3. 検査方法 

3.1 

居室,廊下の排煙設備の運転試験 

3.1.1 

避難時間の設定 避難時間の設定は,次のとおりとする。 

(1) 避難人員の設定 避難人員の数は実況に応じるが,定まらないときについては,附属書4表1によっ

て定めるものとする。 

附属書4表1 

密度分類 

算定用密度(2) 

(人/m2) 

用途例 

高密度 

2.0 

劇場,映画館,公会堂の客席部分 

1.5 

一般の集会場 

1.0 

遊技場,キャバレー,大衆食堂,特売場 

中密度 

0.75 

レストラン,教室,会議室,百貨店の一般売場 

0.5 

図書室,店舗,地下道部分 

0.25 

事務室,大病室,寄宿舎,旅館,一般ロビー 

低密度 

0.1 

小病室,マンション,共同住宅,診療所,ホテル 

0.05 

一般住宅 

注(2) 表中の密度は,その用途部分の居室面積に対するもので,階全体の平均

密度は,実体に応じて有効率(レンタブル比)を乗じて求める。 

参考 一般に高層建築の事務室では,人口密度を,0.125人/m2(8m2/人)とする習慣がある。 

(2) 避難時間の計算 避難時間は居室から階段室又は特別避難階段があるものは,附室内へ入る時間まで

を計算する。 

(a) 居室から廊下に出るまでの避難時間T1(秒)居室から廊下に向かう出口の前にたまった群集が,通

過に要する時間T1'(秒)は,次の式(1)によって求める。 

18 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1

1

1

5.0

75

.0

B

N

T

Σ

×

′=

 ··········································································· (1) 

ここに, 

N1: 居室の避難対象人員(人) 

B1: 出入口幅 (m) 

Σ: 出入口が2以上ある場合これらの幅を合計することを示す。 

分子の0.75: 群集の扉など通過量(人/m・s)の逆数 

分母の0.5: 扉の半分が有効に使われるとする係数 

混雑時の室内歩行に要する最大時間T1"(秒)は,次の式(2)によって求める。 

U

L

B

T

+

″=

1

 ··············································································· (2) 

ここに, 

B: 室幅 (m)  

L: 室長 (m)  

U: 混雑時の群集歩行速度。 

 この規格では1m/sを標準とする。 

T1'又はT1"の大きい方を居室から廊下に出るまでの避難所要時間T1(秒)とする。 

(b) 階段(附室)に入る群集の避難所要時間T2(秒) ある階段(附室)を利用するために集まる人数

N2は,次の式(3)によって求める。 

k

B

B

N

N

×

Σ

×

Σ

2

2

1

2=

····································································· (3) 

ここに, 

Σ: その階の各居室の避難対象人員の和(人) 

B2: 当該階段の入口幅 (m) 

k: 片寄り係数で廊下・階段などの配置によって差があるが,通

常1.2〜2.0の値をとる。 
火災階からの避難では片寄りは小さいと考えられるから,こ
の規格ではk=1.2を標準とする。 

階段(附室)の入口をその前に集まった群集が通過する時間T2(秒)はN2を用い,次の式(4)に

よって求める。 

2

2

2

75

.0

B

N

T

×

 ··········································································· (4) 

ここに, 

B2: 当該階段(附室)の入口幅 (m) 

(c) その階の各居室から階段(附室)まで避難する群集の歩行に要する時間T3(秒)は,次の式(5)によ

って求める。 

U

L

T

2

3=

 ··················································································· (5) 

ここに, 

L2: 居室から廊下への出口から階段(附室)入口までの廊下等の

距離 (m) 

U: 避難時の群集歩行速度。 

 この規格では1 (m/s) を用いるのを標準とする。 

(d) 階別避難時間Tf(秒) 各居室から,階段(附室)への避難所要時間Tf(秒)はT1+T3又はT2+T3

の値の内いずれか大きい方の値を用いる。 

(e) この試験においては,避難時間として実際の火災では火災覚知後に,消火・通報などの作業,避難

時における混乱などがあることを想定し,上記の計算によって求めた避難時間の4倍の値を採用す

ることとする。 

すなわち,居室から廊下に出るまでの避難時間として4T1,階別避難時間として4Tfを採用する。 

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19 

A 4303-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.1.2 

標準発煙量 標準発煙量は,次のとおりとする。 

(1) 試験用発煙量 居室の試験用発煙量V1 (m3/min) は,居室から廊下へ出るまでの避難所要時間T1の4

倍の時間の発煙量とし,附属書4図1から求める。 

さらに,その階の排煙効果を試験するための発煙量Vf (m3/min) は,4Tfの時間の発煙量とし,附属

書4図1によって求め,試験開始から4T1(秒)以後,アルコールパンの点火枚数を増加させる。 

(2) アルコールパン アルコールパンは,次のとおりとする。 

(a) 0.3×0.3mの大きさで,熱による変形が少ない構造とする。 

(b) アルコールパンに入れるアルコールの量は,4Tf+60(秒)の燃焼時間が得られるものとする。 

参考 アルコールの燃焼速度は,毎分当たり深さ1mmから1.5mmである。 

附属書4図1 模擬火災における煙体積と天井高さとの関係 

模擬火災実験式 

min)

/

(

100

60

195

.0

3

3

5

0

3

1

m

t

H

CT

gQ

V

a

a

s

p

+

×

γ

γ

γ

20 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに, 

V: 煙体積 (m3/min)  

0.195: 実験に基づく係数 

60: 時間の単位を秒から分に改める換算係数 

γp: 立ち上る煙内の煙の比重量 (kg/m3)  

γs: 立ち上る煙外の煙の比重量 (kg/m3)  

 この規格ではγp/γsに0.7を用いる。 

γa: 常温空気の比重量 (kg/m3)  

 この規格ではγaに1.18を用いる。 

Ta: 常温空気の絶対温度 (゚K) 

 この規格ではTaに300を用いる。 

C: 空気の定圧比熱 (kJ/kg・℃) 

 この規格ではCに0.24を用いる。 

H0: 火面から煙層下端までの距離 (m) 

 この規格では床と天井間の距離としてよい。 

Q: 発熱量 (kJ/s) 

 この規格ではQに次の数値を用いる。 

 Q=1.33×10−2t2 (kJ/s) 

t: 模擬火災の出火からの経過時間 (s)  

g: 重力加速度 (m/s2) 

 この規格では9.8を用いる。 

(c) アルコールパンの数 室内に並べる居室の試験用アルコールパンの数nは,次の式(1)又は式(2)によ

って求める。 

式(1)は,避難時間4T1におけるアルコールパンの数を求める式である。式(2)は避難時間4Tfにお

けるアルコールパンの数を求める式である。 

v

V

n

1

1=

 ···················································································· (1) 

v

V

n

f

2

 ··················································································· (2) 

ここに, 

V1: 居室から廊下に出る避難時間T1の4倍の時間における発煙量

で附属書4図1によって求める。 

Vf: 階別避難時間Tfの4倍の時間における発煙量で附属書4図1

によって求める。 

v: アルコールパンの燃焼によって生じる上昇気流量で附属書4

図2によって求める。 

n: アルコールパンの数は,1に満たない場合は1とする。1以上

の場合で端数が出る場合は四捨五入する。 

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21 

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附属書4図2 30cm角アルコールパンの燃焼によって生じる上昇気流量 

アルコールパンによる模擬火災における実験式 

min)

/

(

)

45

.0

(

60

195

.0

3

3

5

0

3

1

m

H

CT

gQ

v

a

a

s

f

+

×

γ

γ

γ

この場合は次の数値を用いる。 

0.1

s

f

γ

γ

Q=9 (kcal/s) 

その他は附属書4図1と同じとする。 

また,この式はH0≦2m(3)では適用できない。 

注(3) H0:アルコールパン面(床面)から煙層下端までの距離 (m) 

ここでは,床と天井との距離と考えてよい。 

(d) アルコールパンの並べ方 アルコールパンとアルコールパンとの最小距離l (m) は,互いの上昇気

流が干渉しない限界とし,次の式によって求める(附属書4図3)。 

l≧0.06H0+0.027 (m) 

ここに, 

H0: アルコールパン面(床面)から煙層下端までの距離 (m)  

(ここでは,床と天井との距離と考えてよい。) 

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22 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書4図3 アルコールパンの最小離間距離 (l) 

備考1. 発煙筒の煙が熱気流に十分吸引・混入するように配置すること。 

2. アルコールパンの位置は,天井材,照明器具,スプリンクラーなどの真下は避けるか,又はこれら

に適当な養生を行う必要がある。 

[計算例] 

1. 避難時間の設定 

(a) 居室から廊下までの避難時間 

N1:居室の避難対象人員 62人 

B1:出入口幅 1mのものが2か所 

)

(

5.

46

5.0

75

.0

1

1

1

B

N

T

Σ

×

×

室内歩行に要する時間T1" B:室幅15m L1:室長33m 

T1"=B+L1=48(秒) 

T1"の方がT1'より時間がかかるため,避難所要時間T1は48秒となる。 

したがって48(秒)×4=192(秒)が居室の避難試験時間である。 

(b) 階段(附室)内への避難所要時間T2(秒) 

ΣN1: 各居室の避難対象人員の和=250人 

ΣB2: その階に開口する階段(附室)の人口幅の合計 (m) =1.8m

×2か所 

k: 片寄り係数:1.2 

 この建物で防火区画が完備している公共地下道等を想定すれ

ば1.5〜2.0くらいの大きい値が必要となる。 

)

(

150

2

2

1

2

k

B

B

N

N

×

Σ

×

Σ

)

(

5.

62

75

.0

2

2

2

B

N

T

×

23 

A 4303-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(c) その階の各居室から,階段(附室)まで避難所要時間T3(秒) 

L2: 居室出入口から階段(附室)までの距離=10m 

U: 1m/s 

)

(

10

2

3

=UL

T

(d) 階別避難時間 

T1+T3=58(秒) 

T2+T3=73(秒) 

この階の避難所要時間Tfは73(秒)となる。 

(e) よって,この階の排煙効果を試験する避難試験時間は4×Tf=292(秒)である。この階における排

煙効果の運転試験のタイムスケジュールは附属書4図4のようになる。 

background image

24 

A 4303-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書4図4 計算例題に基づく,排煙効果運転試験モデルのタイムスケジュール 

25 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

[計算例] 

2. 標準発煙量 

(1) 居室から廊下までの避難試験時間4T1(192秒)の煙量を附属書4図1によって求める。 

階高3mの場合 発煙量 (V1) =450m3/min 

(2) 同様に階別避難試験時間4Tf(292秒)の煙量を附属書4図1によって求める。 

階高3mの場合 発煙量 (Vf) =800m3/min 

(3) アルコールパンの数 (n) 

(a) 30×30cmのアルコールパン1個の発煙量 (v) 附属書4図2より階高3mでv=92m3/min 

9.4

92

450

1

1

v

V

n

192(秒)の時点まではアルコールパン5個とする。 

7.8

92

800

2

v

V

n

f

192(秒)以降は,アルコールパンは,更に4個追加して燃焼させ合計9個とする。 

(b) アルコール量 最初の5個のアルコールパンは4Tf+60(秒)燃焼に要するアルコール量とし,4T1

(192秒)以降に燃焼させる5個のアルコールパンは4 (Tf−T1) +60(秒)燃焼するアルコール量

とする。 

最初のアルコール量 0.025mm/s× (292+60s) =8.8mmとする。 

192秒以降のアルコール量 0.025mm/s× (100+60s) =4.0mmとする。 

(c) アルコールパンの並べ方 附属書4図3より天井高さ3mの場合の離間距離は2.1m以上となる。 

(4) 発煙筒の本数 指定能力をもつ発煙筒を実験時間の間,一つのアルコールパン当たり2本,連続燃焼

させる。 

3.2 

特別避難階段附室・非常エレベータ乗降ロビーの排煙設備の運転試験 

(1) 標準発煙量 フラッシュ・オーバー後に廊下等から附室へ通じる扉に19.6Pa {2kgf/m2} の圧力がかか

り,閉鎖された扉から侵入した煙が,附室内で2倍に拡散すると想定し,標準発煙量V (m3/min) を算

出する。 

対象となる扉の通気量に関する実験値がある場合は,扉前後の圧力差が19.6Pa {2kgf/m2} のときの

通気量V' (m3/min) を2倍し,V=2V'を標準発煙量とする。実験値がない場合には,以下の計算によっ

て求める。 

(a) すき間の合計面積 扉のすき間幅を想定し(通常3〜5mm),めし合わせ長さをかけてすき間の合計

面積A (m2) を求める。 

(b) 通気量 圧力差∆p Pa {kgf/m2} のとき,面積Am2の開口での通気量V'm3/minは式(1)によって求めら

れる。 

60

2

×

p

g

A

V

γ

α

·································································· (1) 

ここに, 

α: 形状抵抗係数 

 この規格ではαに0.7を用いる。 

A: すき間の合計面積 (m2) 

γ: 扉のすき間を通過する煙の比重量 (kg/m3) 

 この規格では煙温を100℃と考えγに0.95を用いる。 

26 

A 4303-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

∆p: 扉前後の圧力差Pa {kgf/m2} 

 この規格では19.6Pa {2kgf/m2} を用いる。 

g: 重力加速度 (m/s2) 

 この規格では9.8を用いる。 

(c) 標準発煙量V=2V'によって求められる。 

(2) アルコールパンの数 (n)  附室に並べる試験用アルコールパンの数nは,4.1と同様に次の式(2)によ

って求める。 

v

V

n=

 ····················································································· (2) 

ここに, 

V: (1)で求められた標準発煙量 

v: アルコールパンの燃焼によって生じる上昇気流量,附属書4

図2によって求める。 

n: アルコールパンの数 

1に満たない場合は1とする。1以上の場合で端数が出る場
合は四捨五入する。 

[計算例] 

(1) 標準発煙量 

(a) 廊下から附室への扉の大きさを1枚が0.8×2mの両開き扉とする。すき間幅5mmとすると,すき

間の合計面積:Am2 

A= (2×3+1.6×2) ×0.005=0.046 (m2) 

(b) 通気量:V' 

60

2

×

p

g

A

V

γ

α

60

2

95

.0

8.9

2

046

.0

7.0

×

×

×

×

 =12.4 (m3/min) 

(c) 標準発煙量:V 

V=2V' 

 =24.8 (m3/min) 

(2) アルコールパンの数 (n) 

(a) 附室の天井高さ3mとすると附属書4図2によってv=92m3/min 

27

.0

=vV

n

n=1 

27 

A 4303-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

建築部会 排煙設備検査標準専門委員会 構成表(昭和51年11月8日制定のとき) 

氏名 

所属 

(委員会長) 

斎 藤 平 蔵 

東京大学 

水 野 宏 道 

工学院大学 

木 内 俊 明 

国士館大学 

大 田 敏 彦 

建設省住宅局 

大 内   茂 

東京消防庁 

小笠原 祥 五 

三機工業株式会社 

伊 藤   浩 

建設省大臣官房官庁営繕部 

岩 井 一 三 

株式会社日建設計 

笠 原 重 剛 

三菱地所株式会社 

小 山 信 次 

新日本空調株式会社 

守 谷 房 夫 

鹿島建設株式会社 

芦 浦 義 雄 

火災報知機工業会 

帆 足 万 里 

工業技術院標準部 

(事務局) 

田 村 尹 行 

工業技術院標準部材料規格課 

米 倉 久 明 

工業技術院標準部材料規格課 

山 村 修 蔵 

工業技術院標準部材料規格課 

田 仲 信 夫 

工業技術院標準部材料規格課 

(事務局) 

牛 島 宏 育 

工業技術院標準部材料規格課 

(平成6年12月15日改正のとき) 

根 岸 喜代春 

工業技術院標準部材料規格課 

(平成6年12月15日改正のとき) 

荒 井   淳 

工業技術院標準部材料規格課 

(平成6年12月15日改正のとき)