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A 1961:2015  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 2 

3 ホルムアルデヒドの放散源及び放散 ····················································································· 2 

4 測定法···························································································································· 4 

4.1 一般事項 ······················································································································ 4 

4.2 短期間のモニタリング ···································································································· 4 

4.3 長期間のモニタリング ···································································································· 5 

4.4 スクリーニングテストの方法 ··························································································· 5 

5 サンプリング方法 ············································································································· 5 

5.1 一般事項 ······················································································································ 5 

5.2 測定の目的及び条件 ······································································································· 5 

5.3 サンプリング時期 ·········································································································· 7 

5.4 サンプリングの時間及び頻度 ··························································································· 7 

5.5 サンプリング場所 ·········································································································· 7 

5.6 結果及び不確かさの報告 ································································································· 7 

5.7 測定値の品質保証 ·········································································································· 8 

附属書A(参考)ホルムアルデヒドの特性 ················································································ 9 

附属書B(参考)重要な放散源及び濃度の概要 ·········································································· 10 

附属書C(参考)自然換気されている部屋における換気とホルムアルデヒド濃度との関係 ················· 11 

附属書D(参考)信頼区間のサンプル数への依存性 ··································································· 12 

附属書E(参考)スクリーニングテストの例············································································· 13 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 16 

附属書JB(参考)技術上重要な改正に関する新旧対照表 ···························································· 18 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本

工業規格である。 

これによって,JIS A 1961:2005は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

A 1961:2015 

室内空気中のホルムアルデヒドのサンプリング方法 

Indoor air-Sampling strategy for formaldehyde 

序文 

この規格は,2004年に第1版として発行されたISO 16000-2を基とし,国内の実情を反映させるため,

技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。また,技術上重要な改正に関する新旧対照表を附

属書JBに示す。 

JIS A 1960では,室内空気の汚染物質の測定に関する一般要求事項,及び個別の汚染物質又は汚染物質

のグループについて,サンプリング前又はサンプリング中に観察すべき重要な条件を規定している。定量

分析の概念(サンプリング及び分析)及び特定の汚染物質又は汚染物質グループのサンプリング方法は,

JIS A 1961(ISO 16000-2)以後で規定する。 

この規格は,室内空気中のホルムアルデヒド1)を分析するためにサンプリング方法を実行するとき,考

慮されるべき基本的な事項を規定する。 

注記 この規格では“ホルムアルデヒド”という用語が“メタナール”(IUPAC有機化合物命名法に

よる名称。IUPAC=International Union of Pure and Applied Chemistry:国際純正及び応用化学連合)

の代わりに用いられる。 

この規格は,測定手順について規定するJIS A 1960との関連を意図している。また,分析手順について

規定し,ホルムアルデヒドのポンプサンプリングを扱うJIS A 1962,パッシブサンプリングを扱うJIS A 

1963との関連を意図している。この規格はJIS A 1960の知識を前提としている。 

注1) ホルムアルデヒドの特性は,附属書Aを参照。 

サンプリング方法については,VDI 4300,Part 3 [1]に基づく。 

空気汚染の異なる分野であるVOCの測定方法は,JIS A 1966及びJIS A 1967に規定している。 

適用範囲 

この規格は,ホルムアルデヒドによる室内空気汚染の測定を計画するときの支援となることを目的とし

ている。室内空気の測定では注意深いサンプリング計画が重要となる1)。それは,測定が,例えば,捕集

の効果を調べるものであったりするようにその適用が広範囲に及ぶためである。 

注1) この規格は,JIS A 1960で定義された室内環境の定義[2][3]を用いる。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 16000-2:2004,Indoor air−Part 2: Sampling strategy for formaldehyde(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

A 1961:2015  

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引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS A 1960 室内空気のサンプリング方法通則 

JIS A 1962 室内及び試験チャンバー内空気中のホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物の定量

−ポンプサンプリング 

JIS A 1963 室内空気中のホルムアルデヒドの定量−パッシブサンプリング 

ISO 6879:1995,Air quality−Performance characteristics and related concepts for air quality measuring 

methods 

Guide to the expression of uncertainty in measurement (GUM), BIPM/IEC/IFCC/ISO/IUPAC/IUPAP/OIML 

(計測における不確かさの表現のガイド) 

ホルムアルデヒドの放散源及び放散 

室内空気中へのホルムアルデヒドの放散は,内装及び仕上げ材に用いられる特定の木質建材などの使用

による場合が多い。濃度の上昇は,特定の殺虫剤,ペイントの使用など他の製品によっても起こされてい

る。たばこ煙は,影響も大きく経時的に大きく変化するホルムアルデヒドの放散源である。詳細を表B.1

に示す。 

間欠放散源(例えば,短時間でもホルムアルデヒド含有殺虫剤スプレーを用いた場合)は,使用中及び

使用後の短い時間だけではあるが,室内空気中のホルムアルデヒド濃度が増加する。一方,連続した放散

源(例えば,室内の仕上げ材に使われたパーティクルボード)は,より長い期間にわたってホルムアルデ

ヒド濃度に影響する。濃度は,室温及び相対湿度にも依存する。図1は,パーティクルボードからのホル

ムアルデヒド放散に対する湿度及び温度の影響を示す。湿度及び温度が上がることによって,ホルムアル

デヒドの放散量はかなり増加する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

温度=15 ℃ 

温度=20 ℃ 

温度=25 ℃ 

温度=30 ℃ 

注記1 パラメータK=1となる条件は,温度23 ℃,相対湿度45 %,換気回数1 h−1,負荷率1 m2/m3 
注記2 C(換算値)=C(実測値23 ℃,45 %RH)×K(パラメータ) ppmの場合 

図1−温度及び相対湿度に関連したパーティクルボードから 

のホルムアルデヒドの放散速度曲線[1][4] 

図2は,23 m3の部屋の中に2.3 mg/hのホルムアルデヒドを放散する23 m2のパーティクルボードを置い

た後での換気回数及びホルムアルデヒドの平衡濃度を示す[1][5]。曲線A,B及びCは,各々0.5 h−1を超え

る場合,0.5 h−1及び0.5 h−1未満の換気回数を示す。 

室内/大気の空気質に対する日本のガイドライン値[6]及び世界保健機構(WHO)のホルムアルデヒド

のガイドライン推奨値は,30分間の平均濃度として0.1 mg/m3以下である[7]。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A:換気回数>0.5 h−1 
B:換気回数=0.5 h−1 
C:換気回数<0.5 h−1 

図2−換気回数とホルムアルデヒド平衡濃度との関係 

一般に,屋外のホルムアルデヒドの放散源は,室内空気のホルムアルデヒドの重要な放散源とはならな

い。ただし,強いホルムアルデヒド放散源が近くにある場合(例えば,交通量の多い道路)は,外気が影

響する可能性はある。 

1985〜1986年の間のドイツにおける典型的な300世帯の調査で,室内空気のホルムアルデヒドの中央値

は55 μg/m3であることが分かった[8]。数%の世帯において,ホルムアルデヒド濃度は100 μg/m3以上であ

った。英国,スウェーデン及びオーストラリアにおける最近の調査によってホルムアルデヒド濃度の中央

値は,およそ25 μg/m3であることが明らかになった。表B.2は,室内で測定した濃度の中央値及びその範

囲を,外気で観測された濃度と比較した例である。 

2000〜2005年の間に,日本国内で新築住宅のホルムアルデヒド濃度測定が実施された。ホルムアルデヒ

ド濃度が100 μg/m3を上回った住宅の割合は,2000年では28.7 %(809件/2 815件)であったが,2005

年には1.5 %(18件/1 181件)となった[9]。 

測定法 

4.1 

一般事項 

ホルムアルデヒドを測定するための方法は幾つかある。基本的に,目的に応じて異なっており,ポンプ

サンプリングによる短期間測定,ポンプ又はパッシブサンプラを使った長期間測定,連続測定,及び直読

式の検知管を使ったスクリーニングテストに分けることができる。また,高濃度の妨害物質(特殊な場合

オゾン,二酸化窒素など)の影響を考慮しなければならない。 

ガイドライン値への適合性を調べるために使うことができる空気中のホルムアルデヒドを定量するため

の分析方法は,JIS A 1962に規定している。 

4.2 

短期間のモニタリング 

短期間のモニタリングは一般に1時間未満で行う。 

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JIS A 1962で規定した方法は,多成分系ガスの測定法であると考えることができる。ホルムアルデヒド

は,2,4-ジニトロフェニルヒドラジンと反応した後ヒドラゾンを形成し,高速液体クロマトグラフ(HPLC)

によって定量することができる。ホルムアルデヒドのほかに,他のアルデヒド及びケトンが同様に分析で

きる。ガイドライン値への適合性を調べるために,この方法を用いることができる。 

4.3 

長期間のモニタリング 

長期間のモニタリングはなるべくJIS A 1963に規定しているパッシブサンプラを使って行う。サンプリ

ングは反応性のある吸着剤中へのガス拡散の原理による[10][11][12][13][14]。パッシブサンプラでは,ホル

ムアルデヒド濃度は数時間から数日の間にわたって測定することができる。測定結果は,平均値として得

られる。より長い期間のための測定結果が必要な場合,繰り返し測定を行う。また,24時間又はより短い

時間でサンプリングする場合,4.2で規定したポンプサンプリングが適用できる。 

4.4 

スクリーニングテストの方法 

スクリーニングテストは,必ずしも十分とはいえないものの,迅速にホルムアルデヒド濃度が得られる

方法である。市販の検知管又はその他の直読式の器具は,比較的入手が簡単であり,追加測定の必要性に

ついて判断を与える。スクリーニングテストの結果は,追跡調査を行うべき範囲をどこまでにすべきかの

判断に役立つものとする。ある場合には追加の測定が不要となり,スクリーニングテストが結果となるか

もしれない(附属書E参照)。ガイドライン値の近く又はそれ以上のホルムアルデヒド濃度では,JIS A 1962

に規定する測定法によって,ガイドライン値に適合しているかどうか,又はどれぐらいのレベルでその値

を超えているかを測定する必要がある。 

スクリーニングテストを用いる場合,適切な計画作成のための要求事項を考慮しなければならない。 

5.2は必要とされる条件を示している。スクリーニングテストの例を,附属書Eに示す。 

サンプリング方法 

5.1 

一般事項 

選択された空気サンプリング方法は,解決すべき問題及び放散源の性質に依存する。表面の放散源から

の長期間で連続的な放散量は最も重要で,この規格で規定された方法は,この種の放散源だけに限定され

る。間欠放散源,例えば,たばこ煙が存在するか,又は少し前まで存在した場合は,それらをサンプリン

グ前に除かなければならない。そして,それらが放散するホルムアルデヒドは,換気の促進によって除去

しておくものとする。 

5.2 

測定の目的及び条件 

5.2.1 

一般事項 

室内空気測定が実行される前に,その目的を明確に定めなければならない。測定は通常,次のような目

的で行われる。 

a) 日本のガイドライン値への適合性を確認するため 

b) WHOガイドライン値への適合性を確認するため 

c) 特殊条件下で放散する濃度を求めるため 

d) 改修の効果を確認するため 

e) 比較的長時間にわたる平均濃度を求めるため 

5.2.2 

日本のガイドライン値への適合性を確認するため 

日本のガイドライン値への適合性を確認するための方法について,次に示す。 

新築住宅の測定においては,15分間以上換気後に対象室内を5時間以上密閉し,その後おおむね30分

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

間空気をサンプリングする。サンプリング時刻は,午後2〜3時頃が望ましい。換気後の密閉期間中は,外

気に面した開口部は全て閉鎖し,それ以外の室内の建具及び扉,並びに作り付けの家具,備品などの扉は,

全て開放とする。 

なお,常時換気システムのある場合は,全てのサンプリング期間中,システムを稼動させてもよい。ま

た,その際,常時換気システムに関連した開口は,密閉期間中でも閉鎖する必要はない。 

居住状態にある住宅の測定においては,日常生活を営みながらの状態で,24時間のサンプリングをする。 

5.2.3 

WHOガイドライン値への適合性を確認するため 

室内の空気について1987年に発表されたホルムアルデヒドに関するWHOガイドライン値には,特定の

サンプリング条件が示されていない。 

ホルムアルデヒドは急性の刺激物であるから,次の条件に従って,4.1に記載された測定法で測定し,

WHOガイドライン値への適合性を短期間の測定によって判定する。 

サンプリングの前に,自然換気によって換気している部屋のドア及び窓を全開にして15分間換気し,そ

の後少なくとも8時間(なるべく一晩)閉鎖する。その際,ドア及び窓の隙間にテープを張るなどして気

密性を高めることはしない。その後,ドア及び窓を閉じたまま30分間にわたってサンプリングを行う。 

換気の効果に関する情報を得るため,サンプリング後5分間,ドア及び窓を開けることによって部屋を

換気する。その後ドア及び窓を再び閉め切り,1時間後に,更にサンプリングを行う。 

常時換気システムによって換気されている部屋であれば,サンプリングに先立って,その部屋の一般的

な換気動作条件で,3時間運転しなければならない。同様に,特に換気に関する指示通達が出されている

部屋(例えば,学校,幼稚園)に対しては,測定の前に,代表的な運転条件で,規定どおりに運転しなけ

ればならない。 

居住者が通常でない特定の条件下で苦情を訴える場合は,解明のため,その条件下でも測定を行うこと

が望ましい。 

圧縮木製品(接着剤及び樹脂で生産された)が室内空気中のホルムアルデヒドの主な放散源であるなら,

ホルムアルデヒド濃度は,室温及び相対湿度に大きな影響を受ける。他の要因が一定の条件下であれば,

1 ℃の室温上昇が数%のホルムアルデヒド濃度の増加を引き起こす(図1参照)。 

測定は,通常の室内環境条件下で行うことが不可欠である。なおかつ,室内の条件は,快適と感じる範

囲の中であることが望ましい。 

測定は,居住者が存在しているときに行うことができる。 

5.2.4 

特殊条件下で放散する濃度を求めるため 

極端な条件下でのホルムアルデヒドの濃度レベルの情報を得ることが求められる場合もある。このよう

な極端な条件は第一に,通常の快適と感じる範囲外の温度又は相対湿度が著しく高い室内環境条件(例え

ば,真夏の晴れた条件)下で部屋が使われることが想定される場合である。第二に,殺虫剤使用のような

一時的な放散源からのホルムアルデヒドの放散も特殊条件に該当する。結果として,より高いホルムアル

デヒド濃度になることが予想される条件下では,短期間の測定(30分)が望ましい。 

5.2.5 

改修の効果を確認するため 

改修の効果を確認するため,サンプリング条件は改修前と同じにしなければならない。 

5.2.6 

比較的長時間にわたる平均濃度を求めるため 

サンプリング継続時間は通常24時間以上とする。居住者は換気及び生活行動を通常どおりに続けること

が望ましい。 

調査の前に普段どおりの生活行動を居住者に求め,内容を記録しておくことが望ましい。サンプリング

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の間の変化の状況も記録しなければならない。 

5.3 

サンプリング時期 

サンプリングをする時期は目的に依存する。 

短時間の妨害要因(例えば,放散源の強度変化又は換気)によって起こる濃度変化と同じように,より

長い時間(例えば,季節の変化による温度及び湿度の変化。箇条3参照。)にわたって生じる濃度変化も重

要である。 

圧縮木材製品が主な放散源である場合,ホルムアルデヒド濃度が平衡に達するために必要な時間は,図

2の中に示される換気回数との関係図を用いて推定することができる。 

図C.1は,一般に,換気を促進した後の2時間の密閉では,特にホルムアルデヒド濃度が高い場合,平

衡に達するのに十分ではないことを示している。 

5.4 

サンプリングの時間及び頻度 

サンプリングの時間は,目的及び定められた空気のサンプリング体積に対する分析方法の定量下限の両

方によって決める。ガイドライン値への適合性を確認するために,サンプリング継続時間は30分とするこ

とが望ましい。 

サンプリング頻度,回数は,サンプリングの目的及び測定の不確かさの両方から決める(5.6参照)。 

5.5 

サンプリング場所 

大きい建物では,どの部屋でホルムアルデヒド測定を行うかは事前に決定すべきである。部屋を選ぶと

きの主な判断基準は,苦情の有無又は部屋の使用状況による。比較的大規模な建物でも,個人用アパート

でも,最初から全ての部屋を調査することは一般に行われない。測定開始前に,ホルムアルデヒドを測定

する部屋を決める必要がある。部屋の選択をするときには,その部屋の用途を第一の要素として考慮する。

居住時間が比較的長い部屋(例えば,居間,寝室,教室,保育室,事務所)は,特に関心の対象となる。

部屋の選択は,例えば,スクリーニングテストの結果を参考にして行うことができる(4.4参照)。 

部屋の中でのサンプリング場所も,結果に影響する。想定される放散源,例えば,パーティクルボード

から作られた家具類の近くでのサンプリング結果は,同じ部屋の他の場所でのサンプリング結果より高い

濃度を示すことがよくある。放散源を突きとめるためには,放散源に近い場所及び放散源から遠い場所の

両方でサンプリングを行うことが有効である。潜在的な放散源を特定するために行われる家具類内の測定

結果は,ガイドライン値への適合性を確認するために用いてはならないが,記録することは重要である。 

ガイドライン値への適合性を確認するときは,サンプリング場所は,壁から1 m以上離し,高さ0.75〜

1.5 mにすることが望ましい。 

なお,事務所では1〜1.2 m,幼稚園及び学校では座っているときの高さにしなければならない。このよ

うな状況下では,一般的にサンプリングは部屋ごとに1か所で十分である。日の当たる場所,暖房装置の

近く,顕著なドラフト又は吹出し口の近くは,測定結果に影響を与える可能性があるので,避けることが

望ましい。 

居室におけるパッシブサンプラの場所による影響調査によって,サンプラを設置する高さが0.75〜2 m

の間ならば,測定に影響を及ぼさない。ホルムアルデヒドの強い放散源(表面処理していないパーティク

ルボードのような)及び開いた窓の周囲の近い場所を避ければ測定に影響を与えないことが分かっている

[16]。 

5.6 

結果及び不確かさの報告 

サンプリング計画では,どの測定パラメータを測定報告の中の結果として使うか,どのような不確かさ

を記述するか決めることが必要である。一つの値だけでなく,他のパラメータ(平均値,百分率)が結果

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を特徴づけるために使われる。 

サンプリング及び分析における不確かさは不可避である。それらは測定の数が常に限定されていること

及び定量に不確かさがあることによって起きる。さらに,測定できるサンプリング場所は,必ずしも調査

対象の部屋又は建物の代表的位置であるとは限らない(不確かさに関する一般的な情報は,GUMを参照

すること)。 

測定の不確かさを決めるために,次のことは有用である。 

− 繰返し測定 

− 測定の標準偏差 

− 測定範囲 

測定作業時に明らかである関連する作業特性の説明は,測定報告に含めることが望ましい。最も重要な

パラメータは次のとおりである。 

− 校正曲線 

− 検出下限及び定量下限(ISO 6879:1995参照) 

パッシブサンプラを用いる場合,結果の計算に用いた換算式も示すことが望ましい。 

結果は,正確性を伴った報告とすることが望ましい。その正確さは,用いた方法に関係する不確かさの

レベルで評価される。 

上記の操作特性から得られた不確かさから,経験を積んだ試験所では小数点第三位まで測定結果

(mg/m3)が得られるはずである。 

表D.1に,信頼区間が測定の回数によってどのように変化するかを示す[15]。もし2回,3回,5回又は

10回の測定が実行されるなら,ホルムアルデヒド濃度が120 μg/m3(0.1 ppm)で5 μg/m3の標準偏差を仮

定し,2回,3回,5回又は10回の測定を行った場合の信頼区間を示している。式(1) は信頼区間[I(n)]

を計算するために用いる。 

n

s

t

n

I

×

±

=

)

(

 ·········································································· (1) 

ここに, 

t: t分布値(95 %) 

s: 標準偏差 

n: 測定の回数 

5.7 

測定値の品質保証 

依頼者の測定に関する品質要求は,測定計画に明示されなければならない。 

サンプリング方法を準備する場合,事前に次の質問に答えることが望ましい。 

− 測定機関は文書化された品質保証システムをもっているか。 

− 用いられる校正方法はどのようなもので,どれぐらいの頻度で,そしてどれぐらいの範囲か。 

− 比較測定は必要か。 

− 不確かさはどのように決めるか(例えば,GUMに従って。)。 

− 測定機関は共同比較実験に参加しているか。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

ホルムアルデヒドの特性 

ホルムアルデヒド(CAS No.50-00-0)は,化学式HCHO(1 ml/m3=1 ppmは20 ℃及び101.3 kPaにおい

て1.2 mg/m3と等しい。)という最も単純なアルデヒドである。刺激性の臭気をもっている無色のガスで,

非常に反応性がある。 

ホルムアルデヒドは水及びアルコールのような極性溶媒に容易に溶け,安定剤としてメタノールを5〜

15 %(w/w)含む35〜40 %(w/w)水溶液として市販品が主に入手可能である。 

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10 

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附属書B 

(参考) 

重要な放散源及び濃度の概要 

表B.1−室内環境での最も重要なホルムアルデヒド放散源の例 

放散源 

使用例 

パーティクルボード及びその他の圧縮木製品 

壁(外装及び内装),天井,床,はば(巾)木,
建具,階段,化粧合板,家具 

尿素ホルムアルデヒド発泡断熱材 

壁断熱材,屋根断熱材 

接着剤,のり 

タイル,ベニヤ,パネル,カーペット及びビニ
ル床の接着剤,壁紙のり, 

壁紙,ラッカー,ワニス,ペイント 

インテリア装飾 

たばこ 

たばこの煙 

殺虫剤 

表面消毒用のスプレー及び溶液 

燃焼 

ガスこんろ(運転時) 

各種加工織物 

カーテン,じゅうたん 

内燃機関a) 

交通機関 

注a) 渋滞時に重要となる。 

表B.2−室内及び外気中のホルムアルデヒド濃度の例 

室内空気の濃度[7] 

外気の濃度 

平均     範囲 

農村部     都市部 

55 μg/m3 <30〜300 μg/m3 

1〜5 μg/m3    3〜10 μg/m3 

室内空気の濃度[15] 

外気の濃度 

平均     範囲 

平均       範囲 

25 μg/m3   6〜130 μg/m3 

2 μg/m3     1〜4 μg/m3 

background image

11 

A 1961:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

自然換気されている部屋における換気とホルムアルデヒド濃度との関係 

図C.1−自然換気されている様々な部屋における換気とホルムアルデヒド濃度との関係 

部屋は,全ての窓及びドアを10分間開放することで換気してから,ドア及び窓を一晩閉めた。冬期には

部屋を一晩約20 ℃で暖めた。 

最初のサンプリングは翌朝行われた。サンプリング後,部屋を再び約10分間同じ方法で換気した。窓及

びドアを再び閉じた2時間後,2回目のサンプリングをホルムアルデヒド定量のために行った。 

background image

12 

A 1961:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D 
(参考) 

信頼区間のサンプル数への依存性 

表D.1−濃度レベル約120 μg/m3の(標準偏差5 μg/m3で与えられたt分布の値) 

室内空気中のホルムアルデヒド定量のための信頼区間 

サンプル数 

t(95 %) 

信頼区間(μg/m3) 

12.7 

45 

4.3 

12 

2.8 

10 

2.5 

表D.1は約10 %の信頼区間で,ガイドライン値への適合性を確かめる場合,少なくとも3回の測定が必

要であることを示している。 

13 

A 1961:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書E 

(参考) 

スクリーニングテストの例 

E.1 

一般事項 

スクリーニングテスト法とは,費用がかかる分析手法を用いず,存在する空気汚染の指標を迅速に提供

できる方法である。それらは情報不足を補うために重要な手段である。その結果は,更に必要とされる測

定範囲の決定を容易にすることができる。スクリーニングテストを用いるときは,どのような場合でも,

測定方法の基本的な要求は考慮されなければならない。 

E.2 

測長形検知管 

測長形検知管は,0.01〜6 400 ppmの範囲でホルムアルデヒドを測定することができる。一般的な市販品

での測定は,空気中のホルムアルデヒドが吸着剤に吸着すると変色することに基づいている[17]。十分な

変色がガイドライン値において起こることが望ましい。システムはガラス管及び手動又は電動ポンプから

なる。検知管は,ホルムアルデヒドの検出のために化学物質をしみ込ませた粒状の基材が充塡されている。

手動又は電動ポンプによって,0.05〜9 Lの空気がガス採取器を通して吸入される。 

ホルムアルデヒドが存在すると次の反応(1)が起きる。 

キノイド反応生成物

+

+

4

2

2

3

4

6

SO

H

)

(CH

H

C

HCHO

 ······················· (1) 

ホルムアルデヒドが存在していれば,白からうすいピンクへの変色が起こる。変色域の長さは測定濃度

値であり,検知管上のスケールから読み取ることができる。ホルムアルデヒド含有量の読取りを容易にす

るために,測定に使用した検知管を未使用の検知管と比較することは有用である。 

変色がないか,又は読取りスケール上の0.01 ppm以下を示す場合は,追加測定は必要ない。検知管が製

造業者によって記載されている色と異なっていたなら,他の妨害する汚染物質の存在を示している。この

場合は,ホルムアルデヒドの存在について結論を出せない。 

E.3 

検知紙 

市販の検知紙を使っての測定は,0.02〜0.7 ppmの範囲でのホルムアルデヒド濃度の評価を容易にする

[18]。このシステムでは多孔質の表示層に空気中のホルムアルデヒドを拡散させる必要がある。そこで,

ホルムアルデヒドは酵素によって置換され,濃度に依存して,ピンクから赤にわたる着色を生じる。測定

プロセスに必要な酵素及び試薬は,焼結ガラス棒及び活性化溶液を充塡したアンプルを含むバッチシステ

ムとして調製されている。測定の始めに開始ボタンを押すことによって,アンプルは壊され,次に焼結ガ

ラス棒が湿り,酵素が活性化する。 

ホルムアルデヒドが存在すれば,次の反応(2)及び(3)が起きる。 

HCOOH

NADH

E

NAD

HCHO

1

+

+

+

·············································· (2) 

発色分子

+

+

+

NAD

E

CPMS

NADH

2

 ············································· (3) 

ここに, 

E1: ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ 

E2: ジアホラーゼ 

CPMS: 発色分子の前段階物質 

14 

A 1961:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2時間のサンプリング継続時間の後に,附属のカラーコードと退色(幅)とを比較し,更にカラーコー

ド別評価表を用いて,ホルムアルデヒド濃度が決められる。 

検知紙はホルムアルデヒドに対して非常に敏感である。アセトアルデヒドは干渉するが応答はホルムア

ルデヒドの約50倍小さい。 

参考文献 [1] VDI 4300 Part 3,Measurement of indoor air pollutants−Measurement strategy for formaldehyde 

[2] Sondergutachten, Mai 1987. Luftverunreinigungen in Innenraumen. Rat von Sachverstandigen fur 

Umweltfragen. Servicecenter Fachverlage, Kunsterdingen, Germany 

[3] VDI 4300 Part 1,Indoor-air pollution measurement−General aspects of measurement strategy 

[4] MEHLHORN, L. Normierungsverfahren fur die Formaldehydabgabe von Spanplatten. Adhasion 6 

(1986), pp. 27-33 

[5] 

SEIFERT, 

B. 

Planung 

und 

Durchfuhrung 

von 

Luftmessungen 

in 

Innenraumen. 

Haustechnik-Bauphysik- Umwelttechnik-Ges.-Ing. 105 (1984), pp.15-18 

[6] Air Quality Guidelines for Europe, Copenhagen, WHO-Regional Office for Europe. WHO Regional 

Publications. European Series No. 23/1987. Revised values see webpages: www.who.int.peh, 

www.who.dk/envhlth/pdf/airqual.pdf 

[7] 厚生労働省:シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書その4−第8回

及び第9回のまとめ(2002年) 

[8] KRAUSE, C., CHUTSCH, M., HENKE, M., HUBER, M., KLIEM, C., LEISKE, M., MAILAHN, 

W., SCHULZ, C., SCHWARZ, E., SEIFERT, B., ULLRICH, D. Formaldehyd, Institut fur Wasser-, 

Boden- und Lufthygiene, Berlin, Wa-Bo-Lu-Hefte 4 (1991), p. 271f 

[9] 国土交通省:建築基準法に基づくシックハウス対策について 

(http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/sickhouse.html) 

[10] LEVIN, J.-O., LINDAHL, R., ANDERSSON, K. Monitoring of parts-per-billion levels of 

formaldehyde using a diffusive sampler. J. Air Poll. Control Assoc. 39 (1989), pp. 44-47 

[11] MULIK, J. D., LEWIS, R. G., MCCLENNY, W. A., WILLIAMS, D. D. Modification of a 

high-effective passive sampler to determine nitrogen dioxide or formaldehyde in air. Anal. Chem. 

61 (1989), pp. 187-189 

[12] SEXTON, K., LIU, K.-S., PETREAS, M. X. Formaldehyde concentrations inside private 

residences: a mailout approach to indoor air monitoring. J. Air Poll. Control Assoc. 36(6) (1986), 

pp. 698-704 

[13] PANNWITZ, K.-H. Influence of air currents on the sampling of organic solvent vapours with 

diffuse samplers. Proceedings of the Symposium “Diffuse Sampling” in Luxembourg (1986), pp. 

157-180 

[14] PRESCHER, K.-E., JANDER, K. Formaldehyd in Innenraumen. Bestimmung mit Passivsammlern 

und Bewertung der Meβergebnisse. Bundesgesundheitsblatt 30 (1987), pp. 273-278 

15 

A 1961:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

[15] GAVIN, M., CRUMP, D. BROWN, V. Appropriate sampling strategies for the measurement of 

formaldehyde in indoor air. Environmental Technology 16 (1995), pp. 579-586 

[16] SEIFERT, B. Meβstrategien und Qualitatssicherung bei der Untersuchung der Luftqualitat in 

Innenraumen; Schriftenreihe der Kommission Reinhaltung der Luft (KRdL) im VDI und DIN, 

Band 19; Schadstoffbelastung in Innenraumen Dusseldorf (1992), pp. 23-43 

[17] SCHIRK, O. Different methods for the measurement of formaldehyde in indoor air. Proceedings of 

Indoor Air 93, vol. 2, pp. 357-362 

[18] WUSKE, TH., RINDT, K.-P., SCHIRK, O., MANNS, A. Enzymatischer Biosensor fur gasformige 

Umweltnoxen, VDI-Berichte 1122, pp. 941-947 

background image

16 

A 1961:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS A 1961:2015 室内空気中のホルムアルデヒドのサンプリング方法 

ISO 16000-2:2004,Indoor air−Part 2: Sampling strategy for formaldehyde 

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価及
びその内容 

(V)JISと国際規格
との技術的差異の
理由及び今後の対
策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

3 ホルムアルデ
ヒドの放散源及
び放散 

濃度は,室温及び相対
湿度にも依存する。 

ホルムアルデヒドの放散
源及び放散について規定。 

追加 

ホルムアルデヒド濃度が温度・湿度に依存す
ることを追加した。 

ISO規格改正時に,
改正提案する。 

2000〜2005年の日本
の新築住宅実測につい
て文章を追加した。 

追加 

日本の実測例を追加した。 

5.2 測定の目的
及び条件 
5.2.1 一般事項 

測定の目的として,日
本のガイドラインへの
適合性を規定した。 

5.2 
5.2.1 

測定の目的を規定。 

追加 

WHOガイドラインへの適合性の確認のほか
に,日本のガイドラインへの適合性について
追加規定した。また,目的の順序を変更した。 

技術的差異はな
い。 

5.2.2 日本のガ
イドライン値へ
の適合性を確認
するため 

日本のガイドライン値
への適合性を確認する
ための方法を追記し
た。 

− 

− 

追加 

日本のガイドライン値への適合性を確認する
ための方法を追記した。 

技術的差異はな
い。 

5.5 サンプリン
グ場所 

試料空気の採取におい
て,床面からの高さを
0.75〜1.5 mとした。 

5.5 

試料空気の採取において,
床面からの高さを1〜1.5 
mと規定。 

変更 

室内濃度指針値及び建築物における衛生的環
境の確保に関する法律に合わせて試料空気採
取高さを,座ったときの呼吸域高さとした。 

ISO規格改正時に,
改正提案する。 

附属書E(参考)  

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 16000-2:2004,MOD 

3

A

 1

9

6

1

2

0

1

5

background image

17 

A 1961:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 
 

− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 

− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 
 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

3

A

 1

9

6

1

2

0

1

5

background image

18 

A 1961:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JB 

(参考) 

技術上重要な改正に関する新旧対照表 

現行規格(JIS A 1961:2015) 

旧規格(JIS A 1961:2005) 

改正理由 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条番号 
及び題名 

内容 

1 適用範
囲 

室内空気の測定では注意深いサンプリング計画が重要
となる1)。 

注1) この規格は,JIS A 1960で定義された室内環

境の定義[2][3]を用いる。 

1 適用範
囲 

室内空気の測定では注意深いサンプリング計画が重要
となる。 

ISO原文の加筆による追
加。 

2 引用規
格 

“計測における不確かさの表現のガイド”(GUM) 

2 引用規
格 

− 

引用したため追加。 

− 

JIS Q 17025:2000 試験所及び校正機関の能力に関する
一般要求事項 

本文中に引用されていな
いため,JIS Q 17025を削
除した。 

3 ホルム
アルデヒ
ドの放散
源及び放
散 

注記2 C(換算値)=C(実測値23 ℃,45 %RH)

×K(パラメータ)ppmの場合 

3 発生源
及び発生 

すなわち,C(換算値)=C(実測値23 ℃,45 %RH)
×K(パラメータ)ppmの場合 

ISO本文に従い,C(換算
値)に関する数式を注記
に移動した。 

曲線A,B及びCは,各々“0.5 h−1を超える場合,0.5 h − 1
及び0.5 h−1未満の”換気回数を示す。 

曲線A,B及びCは,“各々0.5 h−1,0.5 h−1以上,0.5 h

−1次の”換気回数を示す 

JIS正誤票より記載。 

1985〜1986年の間のドイツにおける典型的な300世帯
の調査で,室内空気のホルムアルデヒドの中央値は55 
μg/m3であることが分かった[8]。数%の世帯において,
ホルムアルデヒド濃度は100 μg/m3以上であった。英国,
スウェーデン及びオーストラリアにおける最近の調査
によってホルムアルデヒド濃度の中央値は,およそ25 
μg/m3であることが明らかになった。表B.2は,室内で
測定した濃度の中央値及びその範囲を,外気で観測され
た濃度と比較した例である。 

− 

ドイツの実態調査に関す
る文言は,附属書Bから
移動してきた。 

2000〜2005年の間に,日本国内で新築住宅のホルムア
ルデヒド濃度測定が実施された。ホルムアルデヒド濃度
が100 μg/m3を上回った住宅の割合は,2000年では
28.7 %(809件/2 815件)であったが,2005年には1.5 %
(18件/1 181件)となった[9]。 

日本国内の実態調査に関
する文言を追加した。 

3

A

 1

9

6

1

2

0

1

5

background image

19 

A 1961:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

現行規格(JIS A 1961:2015) 

旧規格(JIS A 1961:2005) 

改正理由 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条番号 
及び題名 

内容 

4.1 一般
事項 

高濃度の妨害物質(特殊な場合オゾン,二酸化窒素など) 4 測定法 

高濃度の妨害物質(特殊な場合オゾン,NOなど) 

訳語の修正を行った。 

4.2 短期
間のモニ
タリング 

短期間のモニタリングは一般に“1時間未満”で行う。 4.1 短期

間のモニ
タリング 

短期間のモニタリングは一般に“1時間以下”で行う。 訳語の修正を行った。 

4.3 長期
間のモニ
タリング 

長期間のモニタリングはなるべく“JIS A 1963に規定し
ている”パッシブサンプラを使って行う。 

4.2 長期
間のモニ
タリング 

長期間のモニタリングはなるべくパッシブサンプラを
使って行う。 

ISO原文の加筆によっ
て,文言を追加した。 

より長い期間のための測定結果が必要な場合,繰り返し
測定を行う。 

− 

ISO原文の加筆によっ
て,訳文を追加した。 

4.4 スク
リーニン
グテスト
の方法 

ある場合には追加の測定が不要となり,スクリーニング
テストが結果となるかもしれない(附属書E参照)。 

4.3 スク
リーニン
グテスト
の方法 

− 

ISO原文の加筆によっ
て,訳文を追加した。 

5.2.2 日本
のガイド
ライン値
への適合
性を確認
するため 

日本のガイドライン値への適合性を確認するための方
法について,次に示す。 

5.1 測定
の目的及
び条件 

A 日本のガイドライン値への適合性を確認するため 

項目番号をISO原文に一
致させた。そのため,旧
JISでは独立項目だった
日本のガイドライン値に
関する文面は5.2.1(一般
事項)の中に入れること
にした。 

新築住宅の測定においては,“15分間以上”換気後に対
象室内を5時間以上閉鎖し,その後おおむね30分間空
気をサンプリングする。 

新築住宅の測定においては,“30分間”換気後に対象室
内を5時間以上密閉し,その後おおむね30分間空気を
サンプリングする。 

後述される5.2.2の換気
時間(15分間)及びJIS A 
1964(=ISO 16000-5)に
準じ,かつ国内のガイド
ライン(国土交通省,厚
生労働省,文部科学省)
との整合性を保つために
換気時間は“15分以上”
とした。 

3

A

 1

9

6

1

2

0

1

5

background image

20 

A 1961:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

現行規格(JIS A 1961:2015) 

旧規格(JIS A 1961:2005) 

改正理由 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条番号 
及び題名 

内容 

5.2.3 
WHOガイ
ドライン
値への適
合性を確
認するた
め 

サンプリングの前に,自然換気によって換気している部
屋のドア及び窓を“全開にして15分間換気し,その後”
少なくとも8時間(なるべく一晩)閉鎖する。 

B WHO
ガイドラ
イン値へ
の適合性
を確認す
るため 

サンプリングの前に,自然換気によって換気している部
屋のドアと窓を少なくとも8時間(なるべく一晩)閉め
切る。 

ISO原文の加筆部分を追
加した。 

“常時”換気システムによって換気されている部屋であ
れば,サンプリングに先立って,その部屋の一般的な換
気動作条件で,3時間運転しなければならない。 

“24時間”換気システムによって換気されている部屋
であれば,サンプリングに先立って,その部屋の一般的
な換気動作条件で,3時間運転しなければならない。 

訳語の修正を行った。 

5.2.6 比較
的長時間
にわたる
平均濃度
を求める
ため 

サンプリング継続時間は通常24時間以上とする。居住
者は換気及び生活行動を通常どおりに続けることが望
ましい。 
調査の前に普段どおりの生活行動を居住者に求め,内容
を記録しておくことが望ましい。サンプリングの間の変
化の状況も記録しなければならない。 

− 

− 

旧JISのCから移動して
きた。 

5.5 サン
プリング
場所 

大きい建物では,どの部屋でホルムアルデヒド測定を行
うかは事前に決定すべきである。 

5.4 サン
プリング
場所 

− 

訳文の修正及び追加を行
った。 

なお,事務所では1〜1.2 m,幼稚園及び学校では座って
いるときの高さにしなければならない。 

− 

居室におけるパッシブサンプラの場所による影響調査
によって,“サンプラを設置する高さが0.75〜2 mの間
ならば”,測定に影響を及ぼさない。ホルムアルデヒド
の強い放散源(表面処理していないパーティクルボード
のような)及び開いた窓の周囲の近い場所を避ければ測
定に影響を与えないことが分かっている[16]。 

居室におけるパッシブサンプラの場所による影響調査
によって,ホルムアルデヒドの強い発生源(表面処理し
ていないパーティクルボードのような)及び開いた窓の
周囲の近い場所を避ければ測定に影響を与えないこと
が分かっている[14]。 

5.6 結果
及び不確
かさの報
告 

(不確かさに関する一般的な情報は,GUMを参照する
こと) 

5.5 結果
及び不確
かさの報
告 

− 

ISO原文の加筆による追
加。 

式(1) は信頼区間“[I(n)]”を計算するために用いる。 

n

s

t

n

I

×

±

=

)

(

 ···································· (1) 

式(1) は信頼区間“(CI)”を計算するために用いる。 

n

s

t

CI

×

±

=

 ····································· (1) 

ISO原文に従い,記号を
修正した。 

ここに, 

t: t分布値“(95 %)” 

s: 標準偏差 

n: 測定の回数 

ここに, 

t: t分布値 

s: 標準偏差 

n: 測定の回数 

ISO原文に従い,95 %信
頼区間に関する記述を追
加した。 

3

A

 1

9

6

1

2

0

1

5