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A 1960:2015  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 2 

2 引用規格························································································································· 2 

3 室内環境の特徴 ················································································································ 2 

4 サンプリングの目的 ·········································································································· 3 

5 サンプリング手順 ············································································································· 4 

6 サンプリングの時間 ·········································································································· 5 

7 サンプリング頻度 ············································································································· 5 

8 サンプリング場所 ············································································································· 6 

9 並行して行われる外気のサンプリング ·················································································· 7 

附属書A(参考)室内環境及び空気の主要な汚染源 ···································································· 9 

附属書B(参考)室内空気汚染の放散源··················································································· 10 

附属書C(参考)物質及びその放散源 ····················································································· 12 

附属書D(参考)室内空気サンプリングの間に記録するべき情報の指針 ········································· 15 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 22 

附属書JB(参考)技術上重要な改正に関する新旧対照表 ···························································· 24 

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まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本

工業規格である。 

これによって,JIS A 1960:2005は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

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日本工業規格          JIS 

A 1960:2015 

室内空気のサンプリング方法通則 

Indoor air-General aspects of sampling strategy 

序文 

この規格は,2004年に第1版として発行されたISO 16000-1を基とし,国内の実情を反映させるため,

技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。また,技術上重要な改正に関する新旧対照表を附属書JBに

示す。 

この規格は,室内空気中の汚染物質のサンプリング計画を作成するための支援となることを目的として

作られた。この後に続く規格において,特定の汚染物質又は汚染物質群を観測するための方法について規

定する。例えば,室内空気中の汚染物質濃度は環境中の温湿度などに依存する。実際の個別物質ごとのサ

ンプリング手順は,個々の規格による。 

不適切なモニタリング方法は,モニタリング手順による誤差によって,より大きい不確かさを生じる。 

室内空気中で物質を同定又は分類するときには,人間の臭覚の役割に注目することが望ましい。ここで

は臭覚の感度が重要なのではなく,においに対する記憶及び専門家(化学者及び香料専門家)の経験が重

要である。特に室内汚染が継続的な場合,感覚順応がにおいに対する情報に影響する。感覚情報は結果と

してサンプリング方法に影響を与える。 

室内空気質のガイドライン値を参照することは,室内空気測定結果の解釈の手助けをする。部屋で測定

された汚染物の濃度が,標準的なレベル又は健康の見地から許容できるレベルを超えるかどうか,そして

もし超えていたなら,どの程度超えているかについて結論を導くために,ガイドライン値又は公表された

文献の情報を使うことは有用である。表C.1(附属書C参照)の摘要欄は世界保健機構(WHO)の室内空

気質ガイドライン[1],厚生労働省におけるホルムアルデヒド等化学物質の室内濃度指針値及び建築物にお

ける衛生的環境の確保に関する法律の基準値[2]を示す。しかし,これらの値は法的に拘束力がない。公表

されたガイドライン値がない場合,調査者はクレームが発生していない建物で測定された典型的な値を報

告している論文及び文献を引用してもよい。 

様々な技術分野の専門家が室内空気質サンプリング計画に関係することが望ましい。 

表A.1は最も主要な室内環境の種類及びそこでの放散源の例を示す。リストは,もちろん,全ての可能

性を網羅する完璧なものではない。 

表B.1は,室内空気汚染の放散源及びそれらを放散する主要な物質の例を示す。 

表C.1は,表A.1と対照的に,よく検出される物質及びそれらの可能性のある放散源の例を示す。場合

によっては,室内空気汚染の放散源は屋外に起因する。例えば,ベンゼンは,自動車の排気ガス及びガソ

リン,ハロゲン化炭化水素は近くのクリーニング店などに由来する。また,例えば,埋立地,以前に工場

があった土地又はラドンを放散するウラン含有土壌の上に建築物が建てられている場合は,土壌からの放

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散も重要となる。 

附属書Dは,室内空気のサンプリングをするとき,記録するべき情報に関するチェックリストである。

このリストは分析結果の評価を行う場合に役立つように意図している。 

この規格に規定しているサンプリング方法は,Guideline VDI 4300 Part 1 [3]に基づく。 

なお,類似の国家規格が存在する[4], [5], [6]。 

適用範囲 

この規格は,室内空気中の汚染物質のモニタリングを計画することへの手助けとなるように意図されて

いる。 

サンプリング方法を検討する前に,何の目的で,いつ,どこで,どれぐらいの頻度で,そしてどのくら

いの時間にわたってモニタリングを行うか考える必要がある。これらの質問への答えは,特に,室内環境

の個々の状況,サンプリングの目的及びサンプリングする環境によっている。この規格では,これらの因

子の有意性を検討し,どのように適切なサンプリング計画を選択するべきかについて提案されている。 

この規格は,次に示す室内環境に適用可能である。 

住宅の居間,寝室,作業場,娯楽室,地下室,台所及び浴室:空気の汚染物に関して健康と安全検査の

適用を受けていない建物(例えば,事務所及び店舗)の中の作業場又は仕事場:公共の建物(例えば,病

院,学校,幼稚園,スポーツ室,図書館,レストラン,バー,劇場,映画館及びその他の建物)及び車室

内[7]。 

注記1 空気汚染に関して,事務所,店舗などの職場は,健康及び安全性調査の監視下におかれる国

もある。我が国では,建築物における衛生環境の確保に関する法律(建築物衛生法)によっ

て,延べ面積3 000 m2以上は規制されている。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 16000-1:2004,Indoor air−Part 1: General aspects of sampling strategy(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS Q 17025 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項 

室内環境の特徴 

例えば,測定の結果によって,改修工事の必要性の検討,改修の効果の検証など,測定結果の活用方法

は広範囲で重要性をもつので,慎重なサンプリング計画が重要となる。 

室内空気の汚染物の測定は,通常,二つの手法のいずれかによって行う。 

a) サンプリングは可能な限り扱いやすく,簡易な機器を使って現場で実施する。その後の分析は,実験

室で行う。 

b) サンプリングと分析を,直読式の測定システムを使って現場で行う。 

どんな物質の濃度も常に放散源の強度,人間の活動,換気量,建物外部又は内部の環境の条件,化学反

応及び収着反応(例えば,表面材及び家具への収着)によって変化するので,室内環境はほとんど一定し

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ていない。放散源と居住者の距離とが短いために,室内環境での人への暴露は重要な問題となる。さらに,

室内空気の組成は,室内及び室間で異なるものであり,建物周辺の外気ほど均一ではない。 

式(1)は,室内空気において,物質の濃度に影響を与えるパラメータの関係を表したものである。 

なお,繊維(アスベスト,人造繊維)などの特殊な場合には,別の条件を考慮する必要がある(ISO 16000-7

参照)[8]。 

i

i

a

i

A/V

q

/dt

+

=

)

(A

 ···················································· (1) 

ここに, 

ρi: 室内空気中の物質濃度(mg/m3) 

qA: 単位面積当たりの放散速度(mg/m2・h) 

A: 面積(m2) 

V: 部屋の容積(m3) 

n: 換気回数(h−1) 

ρa: 外気中の物質濃度(mg/m3) 

f: 除去係数(h−1) 

t: 時間(h) 

式(1)の左辺は時間における物質の濃度の変化を表す。右辺の最初の二項は放散源からの放散による濃度

の増加及び外気の侵入を記述する。他方最後の二つの項は,換気によって,又は部屋の中の繊維製品によ

る化合物の収着のような,除去機構の結果として生じる濃度の減少を表す。 

式(1)の最も重要な項は,放散源の強度である。それは,しばしば時間変動が観測されるが,この式では

考慮に入れられていない。時間変動が無視できないなら,より複雑な式が必要である。時間とともにどの

ように強度が変化するかによって,一定の場合と可変的な場合とで放散源強度を区別することができる。

そして両方のケースともさらに,規則的な放散か,不規則な放散かに細分化される。連続した発生源の強

度は同様に室温,相対湿度と室内気流に依存し,長期間,すなわち,数週間から数箇月オーダーで変化す

る可能性がある。間欠放散源の放散速度は,一般に,部屋の気候パラメータにはあまり影響を受けず,よ

り短い時間内でしばしば変化する。 

連続的に空気中に汚染物を放散する放散源の例として,アミノ樹脂で接着されたパーティクルボードが

ある。 

このような放散源は,温度と相対湿度のような環境の要素に強く依存し,長期間にわたってホルムアル

デヒドを放散する。 

発生量が変化する間欠放散源の例として,ガス調理器がある。しかしながら,日常の習慣によって,食

事の準備はしばしば日常のリズムの影響を受けやすいので,規則的な放散パターンが存在するかもしれな

い。 

間欠的かつ不規則な放散源の例として,防虫剤スプレーの使用がある。 

サンプリングの目的 

室内空気の測定は,主に次の五つの理由で行われる。最初の理由は他の四つと関連ない場合もあるが,

苦情が訴えられればb)〜e)の措置が必要となる可能性がある。 

a) 空気の品質が悪いなどの使用者の苦情があるため 

b) ある特定の物質に対する居住者の暴露量を測定するため 

c) ガイドライン値が維持されているかどうかを判断するため 

d) 改修の効果を検証するため 

e) 居住者の健康影響の観察と推定とを行うため 

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最初の場合は,苦情原因の広範囲な調査が必要であり,しばしば個別のケースに沿ったサンプリング方

法の適用が必要である。また,b)〜e)の状況では,サンプリングが始められる前に,物質を決定するため

の情報がある場合が多く,この場合扱うことがより容易になる。 

物質の性質及びその濃度が人間に与える影響によって,測定のための条件設定が異なる。刺激物の健康

影響に及ぼす評価については,最大許容暴露量の短時間平均値が重要である。長期間の健康影響をもつ化

学物質(例えば,発がん性化合物)の場合,長時間の平均暴露量が重要である。 

サンプリング手順 

測定器は,一般にそのサンプリングに適しているだけでなく,測定器の大きさ,サンプリング量及び発

生騒音の面でそれが使われる部屋に対し,悪影響を及ぼさないことを前提とする。外気用のサンプリング

方法は,装置の大きさ,サンプリング量及び発生騒音について居室の通常利用に悪影響がない場合には室

内空気のサンプリングに使用することができる。これは,特に住宅のモニタリングで重要である。この場

合,使われる器具は騒音が小さく,サンプリング量が標準的な換気量を妨害しないことが望ましい。器具

の配置に関しても,室内の空気の濃度が均一でない可能性もあるという事実を考慮すべきである。 

サンプリング時間の決定は重要な因子である。測定方法によってはサンプリング時間が異なることによ

って,測定した結果の解釈に影響をもたらすことになる。 

室内空気の1時間当たりのサンプリング量は,換気量の10 %以下とする。もし換気量が分からないか,

又は測定できないときは,室内空気の1時間当たりのサンプリング量は,部屋容積の10 %以下とすること

が望ましい。 

長時間にわたって(例えば,8時間)物質の平均濃度を測定するためには,長時間サンプリングに向か

ないポンプサンプリングの代わりに,パッシブサンプラを使ってもよい。しかし,パッシブサンプラは指

定された表面気流速度が維持されるような,適切な換気が行われる場所でだけ使うように細心の注意を払

うべきである。ポンプサンプリング,パッシブサンプリング共にJIS Q 17025のとおり,適切な品質保証

手順に従うものとする。 

注記1 通常,短時間のサンプリングは最高1時間のサンプリング時間を意味し,長時間のサンプリ

ングは,数時間から数日までに及ぶものをいう。 

注記2 サンプリング手順は,次のJISに規定されている。 

JIS A 1961 室内空気中のホルムアルデヒドのサンプリング方法 

JIS A 1962 室内及び試験チャンバー内空気中のホルムアルデヒド及び他のカルボニル化

合物の定量−ポンプサンプリング 

JIS A 1963 室内空気中のホルムアルデヒドの定量−パッシブサンプリング 

JIS A 1964 室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)のサンプリング方法 

JIS A 1965 室内及び試験チャンバー内空気中揮発性有機化合物のTenax TA®吸着剤を用

いたポンプサンプリング,加熱脱離及びMS又はMS-FIDを用いたガスクロマトグラ

フィーによる定量 

JIS A 1966 室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)の吸着捕集・加熱脱離・キャピラリ

ーガスクロマトグラフィーによるサンプリング及び分析−ポンプサンプリング 

JIS A 1967 室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)の吸着捕集・加熱脱離・キャピラリ

ーガスクロマトグラフィーによるサンプリング及び分析−パッシブサンプリング 

JIS A 1968 室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)の吸着捕集・溶媒抽出・キャピラリ

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ーガスクロマトグラフィーによるサンプリング及び分析−ポンプサンプリング 

JIS A 1969 室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)の吸着捕集・溶媒抽出・キャピラリ

ーガスクロマトグラフィーによるサンプリング及び分析−パッシブサンプリング 

サンプリングの時間 

測定結果を評価するとき,空気汚染物質の濃度の時間変化を考慮に入れることが必要である。たばこ煙

及び化学物質(例えば,洗浄剤)は,それらを汚染の評価対象としない場合,サンプリング前に取り除い

ておく。 

サンプリングの時間を選択するに当たって,注意する重要な因子は換気,汚染源の使用状況,居住者の

有無,居住者の行動,室内の状況(室内の仕上げ,その状態など),温度及び相対湿度である。 

外気が室内に比べ対象物質で汚染されていないときは,室内空気中の汚染物質の濃度は窓を開放するこ

とによって必然的に減少する。同時に,それまでに達した平衡を乱すことになる。 

短時間のサンプリングで,換気のすぐ後に開始する場合は,代表する値を得られない。もし測定すべき

物質が,一定して連続的に放散される場合には,窓を開け換気後,平衡に達するまで数時間を必要とする。

このことは,長時間のサンプリングにも重要となる。しかし,サンプリングが実際の居住条件下で長時間

行われる場合は,短時間のサンプリングほどには重要とはならない。 

上記の理由のため,換気終了後のサンプリング開始時刻を考慮して,慎重にサンプリングの時刻を計画

することは重要である。もし重大な問題がない場合には,短時間サンプリングは,換気後サンプリング操

作を始める前に,数時間待たなければならない。個別のケースで選択される時間間隔の指標は,特定の物

質又は物質群に関連する日本工業規格に規定されている(JIS A 1961及びJIS A 1964)。 

間欠発生源から放散される空気汚染物の場合,サンプリング時間は,サンプリング目的に依存する。そ

の目的が最大暴露量の生じる時間に対応するか,又はより長い時間の平均暴露に対応するかである。 

建物又は部屋が暖房・換気・空調システムを備えている場合は,別な考慮が必要である。例えば,換気

システムから汚染(例えば,シール材,加湿器の水,ほこりの堆積から)が生じるかもしれない。特に再

循環率が高い場合は,望ましくない汚染が,建物内のある部屋から他の部屋にもたらされるかもしれない。

空調システムによって導入された外気が,(例えば,隣接地の放散源によって)汚染されているかもしれな

い。連続運転されていない場合,サンプリングを始める前に少なくとも3時間は,換気システムの通常能

力で運転しなければならない。 

サンプリング頻度 

サンプリングの継続時間は,次によって決定される。 

− 分析対象成分の性質 

− 対象物質の潜在的な健康影響 

− 放散源の放散特性 

− 分析手法の定量下限 

− 測定目的 

多くの場合,特に2,3回のサンプリングで済まされる場合,同時に五つの全ての項目を考慮せず,妥協

することが必要である。 

サンプリング時間の選択は,対象とする物質の健康への影響の見地から特に重要である。物質が健康へ

の急性的な影響をもつ場合,短時間のサンプリングを使うことが望ましく,物質が健康への慢性的な影響

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を起こすなら長時間のサンプリングを使うほうが望ましい。 

長時間のサンプリング方法は,短時間の濃度のピークを検出しない。特に物質が健康に対する短期的影

響ももつ場合,測定結果の解釈を困難にする可能性がある。 

放散源の放散特性との関係で,放散源からの放散が短時間であれば,短時間のサンプリングによって定

量できることは明らかである。長時間の放散の放散源は,同じく長時間のサンプリングをするのが最も望

ましい。しかし,この一般的な規則からそれることはよく起こり得る。例えば,殺虫剤をスプレーしたと

きの短時間ピーク濃度は,短時間のサンプリングによって定量される。しかし,部屋の中の残留濃度レベ

ルが主要な目的であれば,長時間のサンプリングは,スプレーした後から行うことが適切である。 

また,疑われる放散源の放散特性が,最初は未知であることがある。このような場合,連続した測定量

[例えば,水素炎イオン化検出器(FID)又は光イオン化検出器(PID)を使った一定時間のガスの総揮発

性有機化合物量]の記録がサンプリング方法を決めるための有用な情報となる。 

サンプリング時間は,選ばれた分析手法の定量下限によって決定する。すなわち,サンプリング時間内

に捕集された分析対象成分は,明確な同定と信頼できる定量分析がされるべきである。また,より長時間

にわたりサンプリング時間を延長することによって,捕集された分析対象成分の量が必ずしも十分には増

加しないことに留意すべきである。目的が短時間だけの間欠放散源からの化合物の濃度を決定する場合に

は,24時間サンプリングの場合と同量の物質が,1時間サンプリングで捕集される可能性がある。さらに,

サンプリング時間の選択が不適切であるために,その情報が失われる可能性もある。 

サンプリング時間は,(例えば,基準又はガイドライン値が濃度評価時間とともに指定されたケースで

は,)分析者に任せてもよい。例えば,ドイツでは,テトラクロロエチレンの場合,1週間平均値の上限値

が0.1 mg/m3として定められている[9]。その平均時間はドライクリーニング店に隣接している部屋で,平

日と休日との間で変化する週全体の放散レベルパターンをカバーするために定められた。 

費用の理由で,一部屋で実施されるサンプリングの数は一般に少ない。一方,一つ(又は2,3点だけ)

のサンプリング結果を調査対象の部屋内の代表的状況としてみなす傾向もある。このような状態で,結果

が平均又は極端な状態を反映するかどうか判断することを可能にするために,結果に影響を及ぼす因子に

ついて可能な限り多くの関連情報を合わせて記載することが不可欠である。 

極端な状態(例えば,換気が少ない,高温)での最大暴露量を推定するために,短期間のサンプリング

が実施されることが多い。長期間のサンプリングは,標準的な居住条件の下の,汚染の状態を測定するた

めに用いられることが多い。サンプリング時の部屋の使用状況などを正確に記録しなければならない。 

総合的な評価のためには,短時間のサンプリングと長時間のサンプリングの両方を行わなければならな

い。評価は季節の相違を含めて,換気パターン及び部屋の使用状況による濃度の変化を考慮する。このこ

とは,ホルムアルデヒドと微生物の場合は,特に重要である。 

ホルムアルデヒドの場合では,尿素/ホルムアルデヒド樹脂で接着している木質建材などからのホルム

アルデヒドの放散が,温度及び相対湿度によって影響を受けるので,濃度の季節変化が特に重要である(箇

条3参照)。 

最終的なサンプリング計画は,利用可能な器材・人員,経費,データ必要事項及び調査が実施できる時

間に必然的に依存する。 

サンプリング場所 

濃度の時間変化に加えて,場所の違いによる温度分布についても同様に考慮する。すなわち,建物中で

実施する測定については,部屋の選択だけでなく,その部屋の中で適切な場所を指定することが必要であ

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る。部屋の選択は,測定の目的に依存する。また,空調システムが設置されている建物では,導入外気と

排気の測定によって,空気の汚染物の放散源が分かる。 

室内の汚染源を識別することがしばしばサンプリングの目的であるが,重要な点は一般に,汚染物によ

る居住者への暴露量を決定することである。サンプリング前に,サンプリング装置を最も適切な場所に設

定することは,全ての場合に可能ではない。個人の住宅では,リビンクと寝室から選択される。放散源が

居住者の特定の活動と結びつけられ,特に汚染を引き起こしている活動がリビングで起こるのであれば,

リビングでのサンプリングは,しばしば有用である。しかし,寝室は人々が最も多くの時間を過ごすとこ

ろであるから,長期間にわたる放散源(例えば,建築材料)からの暴露は,寝室でのサンプリングによっ

て十分に特徴を把握できる。個人の住宅のサンプリングでは,測定によって部屋の使用に支障がないよう

にすることが重要である。 

大きな部屋(ホール,大きな事務所など)のサンプリングの場合,サンプリング場所の選択及びサンプ

リング結果を評価するには,一つの部屋を区分して,それぞれの場所でサンプリングすることも考慮しな

ければならない。特にこれは短時間のサンプリングで適用される。 

リビングが屋外の汚染源(例えば,ドライクリーニング店など)に,より近い場合は,寝室だけサンプ

リングすることは,論理的ではない。 

部屋の中心は一般に,サンプリングのための最も適切な位置であると考えられる。しかし,これが不可

能ならば,サンプラは壁から1 m以上離すべきである。平均的な呼吸域(座ったときも考慮して)は床上

0.75〜1.5 mであるので,サンプリングはこれとほぼ同じ高さで行うのがよい。例えば,ガス調理器からの

放散を測定するときなど,特別な状況では,位置設定の変更が必要になる可能性がある。これらの放散は,

室内空気の熱移動を起こすとともに顕著な濃度勾配を形成する。例えば,ガス調理器を用いている場合,

調理器より下の位置では,上の位置に比べ顕著に低いNO2濃度が観察される。このような濃度勾配は他の

放散源から生じることもあり,部屋での放散源を見付けるために使用することができる。このために,部

屋を異なった場所に区分すること,そして同時にそれぞれの場所でサンプリングすることが推奨される。

しかしながら,このような手順は部屋内部の各々の場所での換気条件が同様な場合だけ有効である。しか

し,このことは,いつでも適用できるとは限らない。機械換気の場合は,適用できない場合が多い。居住

住宅では,サンプリング装置が人の影響をできるだけ受けないよう注意したほうがよい。 

換気の性能と範囲に依存する空気の動きはサンプリング点を決定するために,非常に重要である。パッ

シブサンプラが使用される場合は,特に注意が必要である。大きな断面積をもつパッシブサンプラ(いわ

ゆるバッジタイプのサンプラ)を使うとき,特に部屋の隅角部で起こり得るような,表面気流速度があま

りにも低い場合,低い濃度の測定結果となる可能性がある。直射日光を受けるところ,暖房器の近く,気

流を感じるところ及び換気経路に当たるところに置くことは,結果に影響を与えるので避けなければなら

ない。 

並行して行われる外気のサンプリング 

屋外での測定は,漏気及び換気による室内と外気の交換が行われているので,室内空気測定を補完する

ために重要である[10](可能なら建物内のサンプリング位置と同じ高さで)。 

条件によっては,汚染源が確認されることがある。外気のサンプリング場所は,建物の近くとするが,1 

m以上離したほうがよい。 

このようなサンプリングにおいて,例えば,ビルの谷間での車両排気ガス成分のために,垂直の濃度勾

配が生じる可能性があることに留意したほうがよい。建物に空調システムが設置してある場合,外気は,

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外気取入れ口の近くでサンプリングしたほうがよい。 

サンプリング時における風向及び風速,その他天候の情報は重要である。 

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附属書A 

(参考) 

室内環境及び空気の主要な汚染源 

表A.1は室内環境の重要な項目についての完璧なリストではなく,放散源の例である。 

表A.1−頻繁に見られる室内環境及び空気汚染源の主要な種類 

室内環境の種類 

放散源又はプロセス 

個人住居及び居間 

a) 全般的な放散源 

人間,建築材料,家具,修理材料,洗浄剤,殺虫剤,換気及び
空調システム,外気,開放型燃焼暖房器具,微生物の繁殖 

b) 特定用途の部屋 

台所 
居間,寝室,浴室 
地下室,娯楽室 
車庫 

 
ガス器具,調理,洗剤 
たばこ煙,開放型燃焼暖房器具,殺虫剤,化粧品,消毒剤 
趣味の活動,たばこ煙,土壌放散ガス 
燃料,有機溶剤 

公共の建物 

a) 全般的な放散源 

人間,建築材料,家具,修理材料,洗浄剤,殺虫剤,換気及び
空調システム,外気 

b) 特定用途の部屋 

事務所 
学校及びデイケアセンター 
病院 
駐車場 
水泳プール 

 
事務機器及び事務用品 
教材,玩具 
消毒剤,洗剤,麻酔剤,殺菌剤 
燃料,自動車 
プールの水から放散するガス 

交通機関 

燃料タンク,内燃機関,内装材,外気 

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10 

A 1960:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

室内空気汚染の放散源 

表B.1は,室内空気汚染物質の放散源と主な放散物質を示す。 

表B.1−室内空気汚染物の放散源,及びそれらが放散する主要な物質 

放散源/原因 

過程/活動 

使用製品/狭義の放散源 

放散物質 

1. 生物学的放散源 

人間,家畜 

呼吸 

− 

二酸化炭素,水蒸気,食品からの臭気物
質:バクテリア,ウイルス 

発汗 

− 

水蒸気,臭気物質 

消化,排せつ(泄),
皮膚の剝がれ 

− 

腸内ガス,臭気物質,排せつ(泄)物の
分解物,感染性排せつ(泄)物,バクテ
リア,ウイルス,アレルギー性ダスト 

ゴキブリ,ハウ
スダスト,ダニ
及び他の昆虫 

排せつ(泄) 

− 

アレルギー性ダスト 

ネズミ,ハツカ
ネズミ及び他
のペット 

排せつ(泄) 

− 

臭気物質,バクテリア,ウイルス,アレ
ルギー性ダスト 

抜け毛,皮膚の剝が
れ 

− 

アレルギー性ダスト 

観葉植物 

蒸発 

− 

テルペン,臭気物質,水蒸気 

かびの繁殖 

代謝,胞子の放出 

− 

臭気物質,芽胞,バクテリア,マイコト
キシン 

2. 建築物及び建築設備 

建物及び材料 

施工過程,ガス放
散,経年変化,摩耗,
分解 

建築材料,防腐剤,断熱材,シ
ーリング材,塗料,コンクリー
ト添加剤 

種々のガス状及び粒子状物質(例:溶剤),
可塑材,モノマー,オリゴマー,木材防
腐剤,防炎剤,繊維(例:アスベスト,
鉱物性ウール),ラドン[例:花こう(崗)
岩],アミン,アンモニア 

換気及び空調
システム 

運転及び保守 

スクラバ,フィルタ,断熱及び
シーリング剤,堆積物 

微生物(例:レジオネラ),殺虫剤,繊維,
臭気物質 

室内内装 

施工過程,改装,ガ
ス放散 

家具,床仕上げ材,カーペット
/カーテン類,ペイント及びワ
ニス,壁装材 

プラスチック,樹脂,モノマー及びオリ
ゴマー(例:ホルムアルデヒド):繊維,
溶剤,可塑剤,安定剤,殺虫剤 

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11 

A 1960:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表B.1−室内空気汚染物の放散源,及びそれらが放散する主要な物質(続き) 

放散源/原因 

過程/活動 

使用製品/狭義の放散源 

放散物質 

3. 室内活動 

調理及び暖房
器具 

燃焼 
(加熱,調理) 

石炭,灯油,ガス,薪炭 

ガス(例:都市ガス,液化ガス,天然ガ
ス),暖房用燃料の排気[例:二酸化炭素,
一酸化炭素,窒素酸化物,水蒸気,浮遊
粒子状物質,炭化水素及び多くの他の有
機物(例:燃焼及び炭化生成物)] 

化粧用品 

美容・化粧 

化粧品 

溶剤,噴射剤,香水,無機及び有機エア
ロゾル(例:染料,顔料,ラッカー,樹
脂),ハロゲン化炭化水素 

衛生用品 

清掃 

洗剤,清掃剤,光沢剤,殺菌剤,
殺虫剤 

水,アンモニア,塩素,有機溶剤,殺虫
剤,殺菌剤及び塩素化合物,ほこり 

事務用品 

事務作業 

事務用品,電子データ処理用
品,複写機 

有機溶剤,低揮発性有機物質(例:可塑
剤,防炎剤),トナー成分,オゾン 

趣味及び工作
品 

工作,修理,塗装な
ど 

ペイント,ラッカー,接着剤,
スプレー,手芸品,はんだごて 

噴霧剤などガス状及びエアロゾル状物
質,溶剤,ダスト,浮遊粒子状物質,金
属蒸気,モノマー,殺虫剤 

たばこ 

喫煙 

たばこ煙 

一酸化炭素,窒素酸化物,ニコチン,ア
ルデヒド,ニトロソアミン,その他の有
機物(例:多環芳香族炭化水素,エアロ
ゾルなど) 

車庫・倉庫 

保管 

燃料,ペイント,ラッカー,清
掃剤など 

燃料蒸気,排気ガス,溶剤 

4. 輸送 

交通機関 

車両(乗用車,車両,
トラック,RV車,
バス) 

燃料,プラスチック,ゴム材料,
断熱材 

車両の排気ガス及び粒子(例:一酸化炭
素,窒素酸化物,炭化水素,多環芳香族,
ベンゼン,鉛を含む浮遊粒子状物質,デ
ィーゼルすす),可塑剤(例:フタル酸エ
ステル)及び他の添加剤,アルデヒド,
モノマー(例:スチレン),オゾン(航空
機内) 

5. 屋外の空気汚染 

人間の活動に
よる放散 

換気,建物外壁を通
じての侵入及び拡
散 

商業及び産業施設,交通,家屋
の火災,農業,屋外での燃焼 

噴霧剤などガス状及びエアロゾル状物
質,溶剤,アンモニア,臭気物質,多環
芳香族 

自然放散 

換気,土壌ガス侵
入,ダスト 

花壇,土壌のラジウム,海のし
ぶき,土壌再飛散,自然腐食 

花粉,ラドン,メタン,海塩粒子,微生
物 

家畜 

排せつ(泄) 

腸内ガス,臭気物質,排せつ
(泄)物分解生成物,感染性排
せつ(泄)物,バクテリア,ウ
イルス,アレルギー性ダスト 

アンモニア,硫黄化合物 

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12 

A 1960:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

物質及びその放散源 

表C.1は,よくサンプリングされる物質である。濃度に関しあまりデータのない物質及び物質群は,記

載していない。これらには,ジイソシアネート,フタル酸エステル,ニトロソアミン,アミン及び殺虫剤

が含まれる。 

表C.1−よく検出される物質及び可能性のある放散 

汚染物質 

放散源 

摘要 

炭化水素類 

ベンゼン 

裸火,たばこ煙,自動車の排気ガス,石油,ガ
ソリン 

− 

トルエン 

塗料及びワニス,木材保存剤,接着剤,印刷イ
ンキ,溶剤,フェルトペン,自動車の排気ガス,
石油 

AQG a):260 μg/m3(1週間) 
1 000 μg/m3(臭気用評価時間30
分とする) 
厚生労働省指針値b):260 μg/m3 

スチレン 

ポリスチレン(残留モノマー),趣味用品(例:
キャスティング用樹脂,溶融粒子) 

AQG a):260 μg/m3(1週間), 
7 μg/m3(臭気用評価時間30分
とする) 
厚生労働省指針値b):220 μg/m3 

他の芳香族 

溶剤,埋立ごみ処理場,車両の排気 

− 

C6〜C15のアルカン 

自動車の排気ガス,石油,清掃剤,ペイント及
びワニス 

− 

4-フェニルシクロヘキサン/イ
ソブテン三量体 

カーペット 

− 

多環芳香族炭化水素(PAH) 

裸火,たばこ煙 

− 

テルペン(例:Δ3−カレン,ピ
ネン,リモネン) 

テルペン油(ペイント及びワニス,木材防腐剤,
家具用ワックス),入浴剤,清掃用品 

− 

ハロゲン化炭化水素類 

テトラクロロエチレン 

ドライクリーニング 

AQG a):250 μg/m3(24時間) 

ジクロロメタン 

噴射剤,ペイント剝離剤,溶剤 

AQG a):3 000 μg/m3(24時間) 

トリクロロエチレン 

溶剤 

− 

1,1,1-トリクロロエタン 

修正液 

− 

ハロゲン化炭化水素(中・低揮発性)類 

p-ジクロロベンゼン 

殺菌剤,防臭剤,防虫剤 

厚生労働省指針値b):240 μg/m3 

HCH異性体(例:リンデン) 

木材防腐剤,殺虫剤,ペイント及びワニス 

− 

ペンタクロロフェノール 

木材防腐剤,ペイント及びワニス,防かび剤 

− 

ポリ塩化ビフェニル(PCB) 

絶縁材,蛍光灯のコンデンサ,消火剤 

− 

ダイオキシン類 

裸火中のハロゲン含有燃焼物,木材防腐剤(不
純物として),消火剤,プラスチック含有臭素
化フェニルエーテル 

− 

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13 

A 1960:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表C.1−よく検出される物質及び可能性のある放散(続き) 

汚染物質 

放散源 

摘要 

他の炭化水素類 

アルデヒド類 

− 

− 

 ホルムアルデヒド 

裸火,たばこ煙,合板,断熱材,消毒剤 

AQG a):100 μg/m3(30分) 
厚生労働省指針値b):100 μg/m3 

 アセトアルデヒド 

裸火 

厚生労働省指針b):48 μg/m3 

 アクロレイン,ヘキサナール,
ノナナール 

裸火,ラジエータの防さび剤 

アクロレインのAQG a):50 μg/m3
(30分間) 

ケトン類(アセトン,2-ブタノン,
メチルイソブチルケトン) 

接着剤,除光液 

− 

アルコール類(エタノール,プ
ロパノール,2-プロパノール,グ
リコール) 

ペイント及びワニス,家具用ワックス,化粧
品,接着剤,消毒剤,不凍液(自動車用),ペ
イント剝離剤,フェルトペン,カーペット 

− 

1-エチルヘキサノール 

塩化ビニル樹脂床材 

− 

グリコールエーテル 

清掃剤,ペイント溶剤 

− 

フェノール 

ペイント剝離剤,消毒剤,木材防腐剤(カル
ボル油),たばこ煙 

− 

エステル類 

ペイント及びワニス,家具用ワックス,接着
剤,しみ抜き剤,靴磨き,除光液,溶剤 

− 

フタル酸エステル類 

床材,プラスチック 

2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジ
オール ジイソブチラート 

塩化ビニル樹脂製品,接着剤,塗料 

CAS番号:6846-50-0 

2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジ
オール モノイソブチラート 

塩化ビニル樹脂製品,接着剤,塗料 

CAS番号:25265-77-4 

ニコチン 

たばこ煙 

− 

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14 

A 1960:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表C.1−よく検出される物質及び可能性のある放散(続き) 

汚染物質 

放散源 

摘要 

無機物質 

一酸化炭素(CO) 

裸火,たばこ煙,自動車の排気ガス 

AQG a):100 000 μg/m3(15分間) 
60 000 μg/m3(30分) 
30 000 μg/m3(1時間) 
10 000 μg/m3(8時間) 
建築物環境衛生管理基準c):10 
ppm 

二酸化炭素(CO2) 

裸火,たばこ煙,人間,自動車の排気ガス 

建築物環境衛生管理基準c):
1 000 ppm 

二酸化窒素(NO2) 

裸火,たばこ煙,自動車の排気ガス 

AQG a):200 μg/m3(1時間) 
40 μg/m3(年平均) 

二酸化硫黄(SO2) 

硫黄含有燃料 

AQG a):500 μg/m3(10分) 
125 μg/m3(24時間) 
50 μg/m3(年平均) 

オゾン(O3) 

複写機,レーザプリンタ 

AQG a):120 μg/m3(8時間) 

アンモニア 

床仕上げ剤,コンクリート,セルフレベラー,
モルタル/石こう(膏) 

− 

ラドン 

土壌中のウラニウム及びラジウム堆積物,建材
[花こう(崗)岩,軽石,及び温泉沈殿物],
人工石こう 

− 

水銀 

壊れた温度計,塗料 

AQG a):1 μg/m3(年平均) 

鉛 

ペイント 

AQG a):0.5 μg/m3(年平均) 

粒子状物質 

AQG a):量応答関係は[1]参照 

降下ばいじん(煤塵) 

浮遊ダスト 

アスベスト 

断熱材,遊離アスベスト 

繊維状ダスト 

鉱物繊維,建材 

エアロゾル 

たばこ煙 

浮遊粒子状物質 
 PM2.5 
 PM10 
 TPM (total particulate matter) 

燃焼,調理,菌・胞子,花粉,動物,人間,バ
クテリア,風に吹かれたほこり 

注a) AQG:Regional Publications. European series No. 91/2000 

b) 厚生労働省:シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書その4−第8回及び第9回のまと

め(2002年)[2] 

c) 建築物における衛生的環境の確保に関する法律(2003年) 

15 

A 1960:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D 
(参考) 

室内空気サンプリングの間に記録するべき情報の指針 

結果の評価のため,サンプリング時の状態を可能な限り詳細に報告することには,大きな利益がある。

次の報告スキームは望ましい情報であるが,必要であればスキームの幾つかの部分を削除又は追加しても

よい。プロトコールの最終的な構成は,個々のサンプリング計画に沿って規定するのがよい。 

試料の情報 

A1 

試料番号 

A2 

測定物質 

A3 

測定目的 

A4 

住所 

サンプリング/モニタリングの時間及び種類 

B1 

サンプリング/モニタリングの日時 

開始   日付:      時間:      

終了   日付:      時間:      

B2 

サンプリング/モニタリングの種類 

□ ポンプサンプリング 

□ パッシブサンプリング 

サンプリング/測定の場所 

C1 

建物の種別/用途 

□ 住宅 

□ 学校,幼稚園 

□ 事務所 

□ 病院 

□ 店舗 

□ その他の建物 

C1-1 建物の構造 

□ 在来木造 

□ プレハブ(木質系,鉄鋼系,コンクリート系) 

□ 2×4 

□ RC,SRC 

□ その他 

C2 

築年数 築後___年 

改修工事を行った場合:改修後____年 

C3 

建物の周辺の環境(<2 km) 

16 

A 1960:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

C3-1 地域 

□ 農山村 

□ 都市(郊外) 

□ 都市(中心地) 

□ その他 

C3-2 自動車交通量 

□ 自動車交通量が少ない地域 

□ 自動車交通量が多い地域 

C3-3 土地利用 

□ 住宅地域 

□ 商業地域 

□ 工業地域 

□ 化学工業地域 

□ 住宅・工業混在 

□ その他 

C3-4 その他 

□ 土壌汚染 

□ 隣接建物等での工事,薬剤の使用その他の特徴的条件 

C4 

サンプリング時の外気の条件 

平均外気温        ℃ 

平均風速         m/s 

平均風向         

平均相対湿度       % 

日照 

□あり □なし 

降雨 

□あり □なし 

積雪 

□あり □なし 

C5 

部屋の用途及び暖房 

C5.1 部屋の用途 

部屋の用途 

□ 居間 

□ 台所 

調理器具の熱源  ガス/電気/その他 

□ 寝室 

□ オフィス 

□ 教室 

□ その他の部屋:どのような用途で使われているか       

  面積:      m2 

  高さ:      m 

□ 測定建物の階層別平面図,窓の有無,方位,家具・建具の有無 

C5.2 暖房の種類 

17 

A 1960:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

暖房の種類:         

□ 暖房器具などの使用時間:_____ 

□ 暖房の燃料源の種類 

□ 電気 

□ ガス 

□ 油 

□ 木材 

□ 石炭 

C5.3 冷房の種類 

冷房の種類:_____ 

C6 

建物の中の部屋の位置(必要であれば見取図を添付) 

□ 部屋に窓がない 

□ 部屋の外壁     面 

    外壁は     方向にある 

    窓の面している方向: 

      □ 南 

      □ 北 

      □ 西 

      □ 東 

    部屋は     に面している(例:道路,中庭など) 

C7 

室内でのサンプリング装置/測定器具の設置(必要であれば見取図の準備) 

サンプリングの位置 

一番近い壁からの距離:    m 

床からの高さ:    m 

C8 

建物又は部屋の階数 

□ 地上__階 地下__階,測定した部屋の階数__階 

C9 

居住,使用の有無 

□ 未入居 

□ 居住又は使用の期間 

C10 

カーテン,雨戸の取扱い 

サンプリング/測定前の換気状態 

D1 

窓による部屋の換気(窓の開放) 

窓の種類 

□ 一重窓 

□ ゴムでシールされた高気密ガラス窓 

□ 二重窓 

窓の気密性は 

□ 明らかによい 

□ 明らかに悪い 

18 

A 1960:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

D2 

サンプリング前の換気状態 

□ 部屋を換気した時間 

時間:    分 

□ その後,窓及びドアを閉め切った時間 

時間:    時間 

□ 部屋の居住者が行う通常の換気パターン(常時機械換気) 

D3 

換気及び空調システム作動状況の確認 

サンプリング前まで機械は動いていたか。 

□はい □いいえ 

何時間動いていたか。 

□ 機械の作動時間    時間 

□ 機械の停止時間    時間 

D4 

換気及び空調システムの情報 

□ 加湿方式 

    □ 蒸気式 

    □ 気化式 

    □ システム作動時のリターン空気の割合    % 

    □ 最後に行ったシステムのメンテナンス年月日     

        □ 全体的 

        □ 部分的 

サンプリング/測定中の部屋の温熱条件及び換気の状態 

E1 

窓による換気をしている部屋 

□ 窓及びドアの密閉 

□ 部屋の居住者が行う通常の換気パターン 

    窓   開/閉 

    ドア  開/閉 

E2 

機械換気による換気をしている部屋 

□ システムの通常運転 

□ システムの停止 

E3 

室内空気の条件 

平均室温       ℃ 

室内平均湿度     % 

部屋の仕上げ及び状態 

F1 

床,壁,天井,小屋裏 

F1.1 床   ________________ 

F1.2 壁   ________________ 

F1.3 天井  ________________ 

F1.4 小屋裏 ________________ 

F1.5 家具の有無及びその材料,仕上げ ________________ 

19 

A 1960:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

F2 

改修 

□ 過去3か月以内の改修 

何を改修したか      

□ 過去3か月以内に部屋又は近くの場所(例えば,近接した部屋)をリフォームした

か 

それらは何のリフォームか      

F3 

最近3か月に入った新しい家具があるか 

□はい 

□いいえ 

F4 

水損と水害の有無 

□はい 

□いいえ 

浸水時間 

浸水の種類  

浸水した場所 

改修の有無 

 □はい □いいえ 

 水損と水害の時期               

F5 

目に見えるかびがあるか 

□はい 

□いいえ 

説明:       

G 部屋の使用者の行動 

G1 

人の数 

通常の居住者:____人 

サンプリング/測定の間常時部屋にいた人:   人 

ペットの有無,種類,数               

G2 

喫煙(使用者,居住者の喫煙習慣) 

□ 禁煙の部屋 

□ 喫煙の部屋 

    室内での一日当たり平均のたばこの消費数 

        紙巻きたばこ/葉巻/パイプ_____ 

□ サンプリング開始前に部屋の中でたばこを吸った 

    何を_____(例:紙巻きたばこ/葉巻/パイプ) 

    どれだけ_____ 

    最後にいつ吸ったか      

    隣の部屋かどうか      

□ サンプリング中に部屋の中でたばこを吸った 

    何を      

    どれだけ      

    最後にいつ吸ったか      

20 

A 1960:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

G3 

部屋の中での製品使用/作業(洗濯,掃除,その他) 

部屋の中での製品使用の目的: 

□ 床の掃除 

    商品名      

    □まれに □頻繁に 

□ 床の手入れ 

    商品名      

    □まれに □時々 □頻繁に 

□ 家具の手入れ 

    商品名      

    □まれに □頻繁に 

□ 窓の掃除 

    商品名      

    □まれに □頻繁に 

□ 室内空気の浄化 

    商品名      

    □まれに □頻繁に 

□ 虫の駆除 

    商品名      

    □まれに □頻繁に 

□ 化粧品 

    商品名      

    □まれに □頻繁に 

□ 趣味の活動 

    商品名      

    □まれに □頻繁に 

□ その他 

    商品名      

    □まれに □頻繁に 

□ 換気及び空調システムの加湿器の水への添加剤 

    商品名      

    □まれに □頻繁に 

□ ペット 

    種類_____ 

    □まれに □頻繁に 

□ 消毒 

    商品名_____ 

    □まれに □頻繁に 

□ 消臭剤,芳香剤 

    商品名_____ 

21 

A 1960:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

    □まれに □頻繁に 

G4 

調理/食事(飲酒を含む。) 

参考文献 [1] Regional Publications. European series No. 91/2000 

(http://www.euro.who.int/en/ what-we-publish/abstracts/air-quality-guidelines-for-europeで閲覧

可能) 

[2] 厚生労働省:シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書その4−第8

回及び第9回のまとめ(2002年) 

[3] VDI 4300 Part 1,Indoor air pollution measurement−General aspects of measurement strategy 

[4] XP X 43-401,Air quality−Strategy for sampling of chemical pollutants from indoor atmosphere of 

premises−Recommendations 

[5] XP X 43-402,Air quality−Auditing of air quality in non-industrial premises−Dwelling houses 

and similar premises 

[6] XP X 43-403,Air quality−Quality audit of the air in non-industrial premises−Buildings for office 

use and similar premises 

[7] Sondergutachten Mai 1987: Luftverunreinigungen in Innenräumen. Gutachten des Rates von 

Sachverständigen für Umweltfragen. Servicecenter Fachverlage, Kunsterdingen, Germany. 

[8] ISO 16000-7,Indoor air−Part 7: Sampling strategy for determination of airborne asbestos fibre 

concentrations 

[9] 2nd Regulation on Implementation of Federal German Pollution Control Act (Zweite Verordnung 

zur Durchführung des Bundes-Immissionsschutzgesetzes [Verordnung zur Emissionsbegrenzung 

von leichtflüchtigen Halogenkohlenwasserstoffen−2. BImSchV vom 10. Dezember 1990 (BGBl. 1,

S. 2694), geändert am 5. Juni 1991 (BGBl. 1, S. 1218)] 

[10] SEIFERT, B., Vergleich der innerhalb und außerhalb geschlossener Räume auftretenden 

Konzentrationen anorganischer und organischer Verbindungen. In: K. Aurand, B. Seifert and. J. 

Wegner (eds.): Luftqualität in Innenräumen. Schriftenreihe Verein für Wasser-, Boden- und 

Lufthygiene 53. Gustav Fischer Verlag, Stuttgart, New York, 1982, pp. 41/74 

background image

22 

A 1960:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS A 1960:2015 室内空気のサンプリング方法通則 

ISO 16000-1:2004,Indoor air−Part 1: General aspects of sampling strategy 

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価
及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲 室内空気汚染のモニタ

リング計画について規
定 

JISに同じ 

追加 

注記に安全性の例として“建築物におけ
る衛生環境の確保に関する法律”(建築
物衛生法)の条件を規定した。 

技術的な差異はない。 

5 サンプリ
ング手順 

JIS A 1961 
JIS A 1962 
JIS A 1963 
JIS A 1964 
JIS A 1965 
JIS A 1966 
JIS A 1967 
JIS A 1968 
JIS A 1969 

ISO 16000シリーズ 

追加 

該当するJISが制定されているため,JIS
の表記とした。ISOに対応していない日
本独自のJISも含まれるため,追加とし
ている。 

技術的な差異はない。 

8 サンプリ
ング場所 

試料空気の採取におい
て,床面からの高さを
0.75 mから1.5 mとした 

1 m〜1.5 m 

変更 

国内法“建築物衛生法”に合わせて試料
空気採取高さを,座ったときの呼吸域の
高さとした。 

ISO規格改正時に,改正提案す
る。 

3

A

 1

9

6

0

2

0

1

5

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23 

A 1960:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価
及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

附属書C 
(参考) 

物質及びその放散源 

附属
書C
(参
考) 

JISに同じ 

追加 

厚生労働省におけるホルムアルデヒド等
化学物質の室内濃度指針値及び建築物に
おける衛生的環境の確保に関する法律の
指針及び基準値を追記した。 

2,2,4-トリメチル-1,3-ペ
ンタンジオール ジイ
ソブチラート 

2,2,4-Trimethylpenta
nediol diisobutyrate 

一致 

ISO 16000-1原文の名称からJIS A 1964 
(ISO 16000-5)の名称にそろえた。 

物質名が長く紛らわしいため,
特定が容易になるようにした。 

CAS番号:6846-50-0 

− 

追加 

CAS番号を参考として載せた。 

技術的な差異はない。 

2,2,4-トリメチル-1,3-ペ
ンタンジオール モノ
イソブチラート 

2,2,4-trimethyl-1,3-pe
ntanediol isobutyrate 

一致 

ISO 16000-1原文の名称からJIS A 1964 
(ISO 16000-5)の名称にそろえた。 

物質名が長く紛らわしいため,
特定が容易になるようにした。 

CAS番号:25265-77-4 

− 

追加 

CAS番号を参考として載せた。 

技術的な差異はない。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 16000-1:2004,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 
 

− 一致 ················ 技術的差異がない。 

− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 

− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 
 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

3

A

 1

9

6

0

2

0

1

5

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24 

A 1960:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JB 

(参考) 

技術上重要な改正に関する新旧対照表 

現行規格(JIS A 1960:2015) 

旧規格(JIS A 1960:2005) 

改正理由 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条番号 
及び題名 

内容 

1 適用範
囲 

− 

1. 適用範
囲 

例えば,測定の結果によって,改修工事の必要性の検討,
改修の効果の検証など,測定結果の活用方法は広範囲で
重要性をもつので,慎重なサンプリング計画が重要とな
る。 

“例えば〜重要となる。”
は箇条3へ移動した。 

− 

不適切なモニタリング方法は,モニタリング手順による
誤差よって,大きい誤差を生じる。 

“不適切な〜誤差を生じ
る。”は序文へ移動した。 

サンプリング方法を検討する前に,何の目的で,いつ,
どこで,どれぐらいの頻度で,そしてどのくらいの時
間にわたってモニタリングを行うか考える必要があ
る。これらの質問への答えは,特に,室内環境の個々
の状況,サンプリングの目的及びサンプリングする環
境によっている。この規格では,これらの因子の有意
性を検討し,どのように適切なサンプリング計画を選
択するべきかについて提案されている。 

− 

“サンプリング方法を〜
提案されている。”は,序
文から移動してきた。 

この規格は,次に示す室内環境に適用可能である:住
宅の居間,寝室,作業場,娯楽室,地下室,台所“及
び”浴室:空気の汚染物に関して健康と安全検査の適
用を受けていない建物(例えば,事務所及び店舗)の
中の作業場又は仕事場:公共の建物(例えば,病院,
学校,幼稚園,スポーツ室,図書館,レストラン,バ
ー,劇場,映画館及びその他の建物)及び車室内[7]。 

この規格では建物などの室内について次の定義を使う
(欧州で開かれた環境問題に関する専門家会議によ
る。)[2]。 
住宅の居間,寝室,作業場,娯楽室,地下室,台所“又
は”浴室:空気の汚染物に関して健康と安全検査の適用
を受けていない建物(例えば,事務所及び店舗)の中の
作業場又は仕事場:公共の建物(例えば,病院,学校,
幼稚園,スポーツ室,図書館,レストラン,バー,劇場,
映画館及びその他の建物)及び交通機関の車内。 

ISO規格原文に従い,本文
の削除及び追記を行った。 

2 引用規
格 

− 

2. 引用規
格 

− 

3

A

 1

9

6

0

2

0

1

5

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25 

A 1960:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

現行規格(JIS A 1960:2015) 

旧規格(JIS A 1960:2005) 

改正理由 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条番号 
及び題名 

内容 

3 室内環
境の特徴 

例えば,測定の結果によって,改修工事の必要性の検
討,改修の効果の検証など,測定結果の活用方法は広
範囲で重要性をもつので,慎重なサンプリング計画が
重要となる。 

3. 室内環
境の特徴 

− 

“例えば〜重要となる。”
は1.から移動してきた。 

室内空気の汚染物の測定は,通常,二つの手法のいず
れかによって行う。 
a) サンプリングは可能な限り扱いやすく,簡易な機

器を使って現場で実施する。その後の分析は,実
験室で行う。 

b) サンプリングと分析を,直読式の測定システムを

使って現場で行う。 

− 

“室内空気の汚染物の測
定は〜現場で行う。”の部
分は,序文から移動してき
た。 

なお,繊維(アスベスト,人造繊維)などの特殊な場
合には,別の条件を考慮する必要がある(ISO 16000-7
参照)[8]。 

− 

DISからISへの移行に伴
い,記号が変更されたた
め,JISと相違しており,
部分的に修正を行う必要
がある。 

  

i

i

a

i

A/V

q

/dt

+

=

)

(A

 ····················· (1) 

ここに, 

ρi: 室内空気中の物質濃度(mg/m3) 

qA: 単位面積当たりの放散速度 

(mg/m2・h) 

A: 面積(m2) 

V: 部屋の容積(m3) 

n: 換気回数(h−1) 

ρa: 外気中の物質濃度(mg/m3) 

f: 除去係数(h−1) 

t: 時間(h) 

  

i

i

a

i

nc

Ac

nc

Q/V

/dt

dc

+

=

·························· (1) 

ここに, 

Ci: 室内空気中の物質濃度(mg/m3) 

Q: 発生源の強度(mg/h) 

V: 部屋の容積(m3) 

n: 換気回数(h−1) 

Ca: 外気中の物質濃度(mg/m3) 

A: 除去係数(h−1) 

t: 時間(h) 

5 サンプ
リング手
順 

外気用のサンプリング方法は,装置の大きさ,サンプ
リング量及び発生騒音について居室の通常利用に悪影
響がない場合には室内空気のサンプリングに使用する
ことができる。 

5. サンプ
リング手
順 

− 

ISO原文の加筆によって,
訳文を追加した。 

3

A

 1

9

6

0

2

0

1

5

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26 

A 1960:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

現行規格(JIS A 1960:2015) 

旧規格(JIS A 1960:2005) 

改正理由 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条番号 
及び題名 

内容 

6 サンプ
リングの
時間 

個別のケースで選択される時間間隔の指標は,特定の
物質又は物質群に関連する日本工業規格に規定されて
いる(JIS A 1961及びJIS A 1964)。 

6. サンプ
リングの
時間 

個別のケースで選択される時間間隔の指標は,特定の物
質又は物質のグループに関連する国際規格(ISO 16000
シリーズの他の規格)に規定されている。 

対応するJISを記した。 

建物又は部屋が“暖房・換気・空調システム”を備え
ている場合は,別な考慮が必要である。 

建物又は部屋が“24時間換気システム”を備えている
場合は,別な考慮が必要である。 

訳語の修正を行った。 

7 サンプ
リング頻
度 

サンプリングの継続時間は,次によって決定される。 
− 分析対象成分の性質 
− 対象物質の潜在的な健康影響 
− 放散源の放散特性 
− 分析手法の定量下限 
− 測定目的 
多くの場合,特に2,3回のサンプリングで済まされる
場合,同時に“五つ”の全ての項目を考慮せず,妥協
することが必要である。 

7. サンプ
リング頻
度 

サンプリングの継続時間は,次によって決定される。 
− 分析対象成分の性質 
− 発生源の放散特性 
− 分析手法の定量下限 
 
 
多くの場合,特に2,3回のサンプリングで済まされる
場合,同時に“三つ”の全ての項目を考慮せず,妥協す
ることが必要である。 

ISO原文の加筆によって,
訳文を追加した。 

3

A

 1

9

6

0

2

0

1

5